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「んっ! ……ダメだ、閉まってる」 本来の入口だろう、ステージとは反対側に設置されていた大きな扉。 そこまで着くのはとても簡単だったのだが、扉には鍵が掛けられているようで、いくら力を込めてもビクともしなかった。 このまま無理に開けようとしても埒があかないし、まごまごしてるとあのピエロが来てしまう。 「裏口を探しましょう」 「……うん」 仕方なく3人は観客席を回るようにして、一番端に設置されていたドアからステージの裏手側へと回る。 普段は関係者以外は立ち入り禁止なのだろうが、今はそんなことを気にしている場合じゃない。 裏手に入ると観客席と同じ位大きな空間が広がっていて、倉庫のように様々な備品や道具が積まれていた。 3人の背よりも高く積まれている場所もいくつかあり、まるで迷路だ。 それよりも気になるのは、彼女たちを追いかけているはずのピエロだが―― 「みんな速いねー、若いっていいネー。もっと団員に欲しくなってきちゃったヨ」 少し遠いところから、備品の山ごしに声だけが聞こえてくる。 ずっと気にしてはいるものの、とくに足が速いわけではなさそうだ。 一定の距離があるし、スピードを緩めずに反対側の壁までたどり着ければ、裏手にあるはずのドアや鍵を見つけることができるだろう。 3人の心の中に、わずかながらも安心感が広がっていく。 ……しかし、ピエロがこのまま取り逃がすはずもなかった。 「ンー、このまま逃げられちゃっても困るし、ちょっとだけ本気出しちゃおっかナ~」 ニヤニヤとそんなことを呟きながら、歩みを止める。 そしてどこからか手品のように、鮮やかな赤色のボールを取り出した。いくつもあればジャグリングをできるだろう小ぶりな玉だが、それ1つだけを手に持って大きく振りかぶる。 「そーれっ!」 そして掛け声とともに綺麗なフォームで放り投げた。 ボールは放物線を描きながら3人の進行方向、少し高い地点へと飛んでいく。 カァンッ! 重力に引かれて速度を増した玉は、2メートルほどの高さに置かれていたバケツ、不安定な所にあったそれに見事に命中し―― ちょうど真下を通る所だった、アヤの頭へと落下した。 バシャァッ! 「きゃっ!?」 突然のことに対応することもできず、アヤはバケツの中になみなみと溜まっていた液体を頭から被ってしまった。 「だ、大丈夫?」 「うん……ヌルヌルするけど」 水とは違う、ヌルリとした液体。肌の上に広がって光沢を放つそれは、海に行ったときに使うサンオイルのような質感だ。 ただ全身が濡れただけなので、アヤもすぐに立ち上がる。 「うわ、本当にベトベトね……」 タマミが思わず呟く。数リットルはあったオイルをまともに浴びたアヤの身体は、どこもかしこもオイルまみれだった。 衣服はジットリと濡れ、肌もテカテカと光沢を放っている。 「とにかく逃げよう」 「……うん」 ただ、今は服が濡れた不快感くらい気にしていられない。 あのピエロはテントの内部のことも知り尽くしているのだろう。こんな足止めみたいなこともしてくるし、下手に立ち止まっている方が何をされるか分からない。 3人はふたたび走り出した。 山のように詰まれた備品や小道具の数々の間を縫うように走る。 森のように入り組んだ細道を迷いつつも進んでいく3人だったが―― 「はぁっ、はぁっ……んぐっ」 アヤに異変が現れつつあった。なぜか、うまく身体が動かない。 自分の思うように手足が動いてくれないような、今まで感じたことのない重さが全身を包んでいる。 さきほど浴びたオイルで、足元が滑ったりはしてないのだが……。 全身がサウナにでも入っているかのように火照ってきているし、息もどんどん荒くなっていく。体力に自信はあまりない彼女だったが、単純な息切れとは違っていた。 それに走る足音もドタドタと大きくなっている気がする。 徐々に大きくなっていく違和感に、離れそうになる2人を引き留めるアヤ。 「ちょ、ちょっと待って……」 「なによ、今はそんな余裕ないんだけど……っ?」 こんな状況だからだろう、眉をひそめて振り返る2人だったが、その表情は彼女の姿をみて、すぐに動揺に揺れた。 そして、ゆっくりと口を開く。 「ねぇ……アヤ、そんなに腕太かった?」 「え?」 アヤは反射的に足を止め、自分の腕を見下ろす。 視界に映る自分の腕は……手首から肘にかけて、ボコリと急激に盛り上がっていた。 そのまま半袖の私服で晒された二の腕へ目を向けてみると、力を込めていないのに力こぶのような膨らみが肌を押し上げている。 こんな輪郭の腕は見たことがない。彼女の身体は、その内気な性格を象徴するように華奢な細腕だったはずだ。 「あ、あれ? どうして……」 モコッ! 困惑する彼女へ畳みかけるように、視界に映る自分の腕がさらに一回り肥大化した。 ムクッ、ムググッ……ボコォ! 「え……ちょっと、えっ!?」 一気に異変が進行していく。 呆然としつつも歩きだそうとするアヤだが、腕だけでなく両脚も太さを増し、さらに膨れ上がっていく。 腕はすでに丸太のように太く、動かすのさえままならない。 胴体も肥大化しているようで服がギチギチに張り詰めてゆき、全身の輪郭が浮き上がる。 それは女性らしい丸みを帯びたものではなく、ゴツゴツと岩のように盛り上がった独特なフォルムで……彼女自身の筋肉だった。 みるみるアヤの全身が、筋肉が肥大化していく。 ドスッ、ズシッ、ドスッ! なんとか走ろうとしても、太腿が肥大化したせいで勝手にがに股になってしまう。そして全身がズッシリと重く、上手くバランスを取れない。 そして……自分の姿をみて後ずさりするタマミとトモカ。 「まって……置いてかないでぇ!」 「ひぃっ!」 必死に訴えるアヤだったが、1歩近づいたことで怯えながら2人。 そして背を向け、一気に走り出す。 スレンダーな女子高生の全力疾走に、重く膨れがあった身体が追いつけるはずもなかった。 「どうなって……」 何が起きているのか、わけが分からない。 アヤが自分の身体を見下ろすと、今までみたことのない肌色の塊が視界に入った。 「これ……胸?」 貧乳といえる部類の膨らみしかなかった彼女の胸が、視界を遮るほどに前へせり出している。 しかし脂肪の丸みを帯びた柔らかいものではなく、みるからに固そうでギチギチとひしめいている。 鎖骨から大きくせり出したそれは……大胸筋だ。 乳房というよりも、分厚い胸板によるものだ。さらにその上にいくらかか脂肪がのって、女性的な膨らみとしての体裁を保っていた。 筋肉9割の、ギチギチに詰まった自分の胸。ハリがいいといえば褒め言葉だが、あきらかに普通じゃない。 さらに全身から熱が溢れ出し、トドメとばかりに全身がひと回り膨れ上がる。 「んぐっ……苦し……あぁっ!」 ビリッ……バリィッ! 限界寸前だった服も千切れ飛び、全身が露わになる。 気づけばアヤだけが取り残され、呆然と立ち尽くしていた。 視界に入る腕や胸からして、自分の身体に異様なことが起きているのは分かる。 ただ見えない部分が多すぎて、異変を把握しきれていなかった。 腹わまりに触れてみるとゴツゴツした感触が変えてくるし、背中も何かを背負っているかのように重く、左右に広がった感覚がある。 しかし張り出した胸板が邪魔で、うまく見ることができない。 (自分の身体がどうなってるのか、確認しないと……) アヤが辺りを見回してみると、備品の山の中に姿見が置かれていた。 重い身体を動かしてその前に立ち、全身を映して……彼女の目が驚きに見開かれた。 「これ、私……!?」 鏡が見つめ返している顔は、確かにアヤ自身のものだ。 しかしそこから下は、まったくの別人のような姿だった。 ボコリと張り出した両肩と、アーチのように盛り上がった首まわり。 大胸筋で形成された巨乳クラスのボリュームに、少し下ではチョコレート板のようにボコボコと割れた腹筋がひしめいている。 腰には括れらしきものは一応あるが、「引き締まった」という表現が不適切なほどに分厚く、大木の幹のよう。 背中は背筋が分厚い甲羅のように広がっていて、両腋からもはみ出してみえるほど。 樽のように膨れ上がった太腿がぶつかり合って、がに股になった両脚。 全身を包む異様な量の筋肉、それこそ男性のボディビルダーでも比較にならないだろう。 いまの彼女は裸なのだが、それが些細な事に思えてしまう。 異形とまで言われてしまうだろう、筋肉の塊。 「すごい……」 しかし、なぜか嫌悪感が湧かなかった。 むしろこの肉体が、とても美しくみえる。 そして全身の筋肉が、その力を発揮したいと疼いている。 「ふんっ!」 ムキィッ! 鏡を見つめながら腕を動かし、力を込めてみる。 肌の色がみるみる濃い褐色へと染まってゆき、筋肉の影を強調する。 そしてオイルがヌラリと光沢を放ち、ボコボコとした筋肉の隆起を飾っていた。 ムッ! 自然と身体が動き、全身の筋肉を強調するようにポーズを取っていく。 背中に意識を向けるとただでさえデカい背筋が翼のように広がり、正面からみても胸板の奥からはみ出して上半身のボリュームがさらに際立つ。 二の腕は顔よりもデカく、背筋とギチギチとぶつかり合って自然と半開きになっている。 ボコリと盛り上がった肩も、いかり肩でさらに強調されている。 樽のような太腿は上半身のデカさに匹敵するボリュームで、全身が砂時計のようなフォルムを描いていた。 「あはっ♪」 自分の筋肉に、肉体美に見惚れてしまう。 全身が熱く、興奮が急激に高まっていく。立っているだけなのに汗がにじむ。 この筋肉に視線が集まる瞬間を想像するだけでゾクゾクとした快感が広がる。 身体だけでなく、彼女の精神までもが急速に筋肉に染められていく。 (この筋肉を! 私の肉体美を見てぇ❤) ニッコリと笑みを浮かべながら鏡の前でポージングを繰り返す。ムワリと汗の熱気が立ち昇り、それさえも彼女の興奮を高めていく。 そこにいるのは、自らの筋肉を見せつけることしか頭にない変態だった。 腕、脚、胸、背中……夢中で自分の筋肉に見惚れていると、 「いやー、すごい身体になったネ!」 ゆったりとアヤのもとへ、ピエロが歩いてくる。 「ええ、おかげで素晴らしい身体になれたわ!」 さっきまでの嫌悪感はどこへやら、笑顔でポージングを繰り返し筋肉を見せつけながら応えるアヤ。 今の彼女にとって、ピエロは「こんなに素敵な身体に変えてくれた人」なのだ。 「これからはマッスル団員として、ショーを盛り上げてもらうヨ!」 アヤの身体にタッチしながら、語りかけるピエロ。 彼女の人間離れした肉体は、それだけでサーカスの見せ物となるだろう。 そして彼女も、見せ物として観衆の視線を浴びることを心も身体も望んでいた。 「ええ、この筋肉で会場のみんなを魅了してみせるわ!」 性格まで筋肉に矯正されたらしく、今までになく大きな声で、晴れやかに笑みを浮かべるアヤ。 今までの彼女は見る影もなく、筋肉を見せつけることしか頭にない変態へとなり果てていた。 ポージングとともに肥大化した大胸筋が、興奮とともにピクピクと震えていた。

Comments

HNZM

ありがとうございます。鏡に映った自分自身の筋肉で変脳完了するシチュは自分でもエロいと思いました! 変態洗脳の中でも特に供給が少ないので、好きでいて下さる方がいて本当に嬉しいです。