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大規模戦闘を勝利で終えた鎮守府。 途中から一気に情勢が好転し、最終的には圧勝と呼べるほどに成果を挙げた。 長期戦を想定してかなりの備蓄を用意していたのだが、予想よりも早く戦闘が終結したため、余剰の資材を使って大型建造を試みていた。 「グーテンターク、私はビスマルク型戦艦のネームシップ、ビスマルクよ」 建造に成功したのは戦艦ビスマルク。ドイツ艦の中でも特筆して有名かつ強力な艦である。 鎮守府に新たな戦力が加わった。 「……?」 工廠から出てきたばかりのビスマルクは、眉をひそめた。 何か資材とは別に濃厚な匂いが辺りにたちこめている。 辺りを見回すが、おかしなところは見当たらず至って普通の工廠だ。 「ビスマルク! 会えてうれしいよ」 建造を見守っていたらしい艦娘がこちらに歩み寄ってきた。 少年と見間違えてしまいそうな中性的な容姿。紺色の制服に、女子であることを示すように丈の短いスカートが一体となっている。 ドイツ駆逐艦のZ1……レーベヒト・マースだ。 「レーベ! 先に着任してたのね」 同じ国の艦に出会えた喜びに相貌を崩しながら両腕を開く。その小柄な身体にハグをした……はずなのだが。 「……?」 駆逐艦と戦艦、大人と子供くらいの差があるはずなのに、腕が回しきれなかった。 目線も近い気がするし、密着した胸や腕からは固く熱い感触が返ってくる。 「どうかしたの? もしかして建造に不備が……」 「い、いえ。問題ないわ」 Z1はごく自然に振舞っており、彼女の身体がおかしいというわけではなそうだ。 不自然な抱擁となってしまったのだが、建造直後の自分の方が艦娘という肉体をうまく使えていないのだろうか? 「他のみんなにも挨拶してきなよ」 「え、ええ。そうするわ」 しかしZ1の身体から感じるムワリとした熱気、呼吸とともに吸いこんだ瞬間、違和感が最初から存在しなかったかのように消え去った。 何かが釈然としないのだが、それを考えている余裕はなかった。着任したばかりの彼女には把握しなければならないことが山ほどあるのだ。 Z1に促されるまま、鎮守府へと足を向ける。 この地区の本拠地である大きな建物に入ると、温室のような蒸し暑さを感じた。 (まるでサウナね……冷房が壊れてしまったのかしら) 廊下を歩いている中で何人かの艦娘とすれ違ったが、その多くが必要以上に肌を大きく晒していた。暑さ対策のようなのだが、故意に身体を焼いたような褐色をした者も多く、みな恥ずかしげもなく胸を張りつつダラダラと汗を流している。 あまりにも普通とはかけ離れた光景に、ビスマルクはこれもこの国の訓練の一環なのではないかと思い始めていた。 「ビスマルク姉さまー!」 「えっ……きゃぁっ!?」 突然に声を掛けられ振り向くと、何者かがこちらに駆け寄ってきた。 数歩手前で気づいたが、その勢いを受け止めきれずに後ろに倒れ込む。抱きついてきた人影はそのままビスマルクの上に乗った状態になった。 「お久しぶりです、またお姉さまに会えて光栄です!」 ブロンドの髪を左右でおさげにした、青い瞳の少女。顔はビスマルクよりはあどけなさを残していて、かつZ1よりは年上にみえる。 その身体にまとっているのはグレーを基調とした衣装で、一目でビスマルクと同じ国の艦であるとわかった。 ドイツの重巡洋艦、プリンツオイゲンだ。 「立って話をしましょう?」 「あっ、すみません!」 本人にその気はないはずなのだが、上から抑えつけられた格好になっていた。 ズシリとした肉体がのしかかり、ビスマルクの力では微動だにしない。戦艦としての出力には自信があるのだが……仲間相手だから自然とセーブしているのだと自分に言い聞かせる。 のそりとオイゲンが離れ、立ちあがって向かい合う。 (やっぱり、どこかおかしいような……) Z1に抱いたような感覚が、オイゲンを前にしても消えなかった。 まず2人とも直立しているのに、戦艦である自分よりと同じくらいの目線に彼女がいる。しかも身体の横幅というか、胴体が太いような気がするのだ。全体をみると自分よりも重巡洋艦である彼女の方が大きくみえる。 ……とはいえ、決してオイゲンが太っているわけではないのだ。腹部が脂肪でたるんでいるわけでもないし、顔だって年相応の少女らしいものでおかしさはない。 胸部装甲はかなりのものがあり、しかしビスマルクより大きくたわわに実っているようにみえる。 ミニスカートはサイズが合っていないらしくヒップラインまで半分ほど見えてしまっている。 二―ソックスとの間で素肌をみせる太腿は、間違いなくビスマルクより太く……内側から何かが膨らんでいるようにいくつもの隆起が押し上げていた。 「お姉さま、浮かない顔をしてどうしました?」 「いえ……あなたが元気そうならいいわ」 これが艦娘として普通の姿なのだろうか、むしろ自分が華奢なだけなのか? さっきから何かがおかしいような、鎮守府全体が茫洋とした異様さに包み込まれているような気がしてくる。 しかし違和感は霧に包まれるように掴めず、どんどんぼやけていくようだった。 考え込むビスマルクを心配そうに見つめていたオイゲンだったが、ふと何かを思いついたように両手を叩く。 「そうだ、まずはお風呂に入りましょう。お姉さまも絶対に気に入りますよ!」 言うやいなや、ガシッと腕を掴むオイゲン。 唐突な行動にビスマルクは驚いたものの、その力の強さに振りほどくことができない。 「ちょっと、まだ挨拶が……」 「挨拶は後からできます、身だしなみは大切ですよ!」 半ば引きずられるように入渠へと連れていかれるビスマルク。 2人のドイツ艦は入渠ののれんへと吸いこまれていった。 着任当初は鎮守府の独特な雰囲気に困惑していたビスマルクだったが、他の艦娘に会うときには皆と同じ堂々とした態度に様変わりし、挨拶代わりの熱いハグをして回ったという。 そして鎮守府の入渠をいたく気に入ったらしい。 まるで生まれ変わったかのようにスッキリとして、誇らしく美しい肉体に力がみなぎって仕方がないのだとか。 誰にも気づかれないまま鎮守府を筋肉に染めていった入渠だが、ひとつ予想外の現象が起きていた。 時間が経つにつれ、大量に注がれた神通の汗も普通のお湯で流されていき、筋肉洗脳の効果は薄れていくはず……なのだが。 しかし、むしろその効果はより強力に、短時間で発揮されるようになっていた。 神通自身、しばらく経って鎮守府を歩き回り、筋肉化した艦娘の多さと、その肢体の巨大さに驚いていた。 入渠のためにのれんをくぐった艦娘たちが、出てくるときには見違える肉体となっている。 すでに筋肉化した艦娘たちも、合法的に裸になって互いの肉体を鑑賞できる入渠へと頻繁に訪れ、大量の汗を流していた。 そのお湯には、筋肉化した彼女たちの汗も混じり続けているのだ。 戦力の飛躍的な増強にも繋がっており、かつ鎮守府全体が濃厚な汗の匂いに包まれ筋肉体型でいてもバレることがない空間に仕上がっていた。これは嬉しい誤算というべきだろう。 遠征ばかりの部隊や、まだ実戦投入されていない艦など影響を受けていない者もいるようだが、確実に少数派へとなりつつあった。 それに鎮守府に所属している以上、入渠しない艦娘はいない。 ここが筋肉に染め尽くされるのは時間の問題だろう。 今では夏専用の水着姿で全身の筋肉を見せつけながら闊歩している者もいる。 艦娘同士が互いの筋肉を褒め、愛撫しながら身体を重ね合う、そんな光景がそこかしこで起き、日常となっていた。 鎮守府は今日も平和である。

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