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激しい戦闘が行われている最中は、入渠にも人の出入りが続く。 そして同時に入ってくるのが1人とは限らない。 「武蔵さん、大丈夫ですか?」 「なに、このぐらい問題ないさ」 姿をみせたのは大和型の戦艦である武蔵と、夕雲型駆逐艦の清霜だった。 見るからに焼け焦げたような跡とボロボロの艤装を身に纏った武蔵に対して、ほとんど無傷に近い清霜。2人は連合艦隊で出撃したのだが、敵の猛攻を浴びて武蔵が大破、護衛に清霜がついて退避したのだった。 また清霜自身も軽い損傷を受けていたため、次の出撃に備えて武蔵とともに入渠することになっていた。 本体は相手戦力を少しでも削ぐために出撃を継続しているが、おそらく主力たる武蔵を欠いては決定打は打てないだろう。 今後も直り次第、出撃の必要があることを考えると時間を無駄にはできない。武蔵たちは手際よく服を脱ぎ、浴場へ続く引き戸を開ける。 自身に火薬の残渣がしみついていたこともあって、空間全体にこもった汗の匂いには気づく余裕がなかったようだ。 軽く身体を流し、仕切られた浴槽にそれぞれ入る。いつも通りの慣れた手順、あとはひたすら時間が流れるのを待つのみだ。 ……とはいえ、2人で入浴しているのにずっと無言が続くわけもなく。 「あと何回近代化改修すれば武蔵さんみたいになれるのかなー」 「ははっ、まずはちゃんと損傷を直さないとな。肩まで浸かるんだぞ」 武蔵に憧れている清霜はキラキラした瞳でずっと彼女を見つめている。いつも通りのことであり受け流しはするものの、武蔵も悪い気はしなかった。 容姿相応に子供らしく話しかける清霜と、浴槽に腰を降ろして腕を組みつつ応える武蔵。 つかの間の休息、入渠中くらいは精神的にもリラックスしていいだろう。 そんなふうに武蔵は思いつつ、いくらかの時間が過ぎていったのだが―― 「ん……?」 ふとニコニコしながらこちらを見つめている清霜に、漠然とした違和感を覚えた。 いつも通りの表情、振る舞いも変わらない。なのにどこか雰囲気が異なるように思えたのだ。 チャプチャプと動く彼女によってさざ波だっている水面、その奥にぼやけた影がやけに大きな気がするのだ。 「武蔵さん、こっちをじっと見てどうしたの?」 「いや……何でもない」 しかし湯気を挟んだ向こうのことである、しかも彼女の身体は脱衣所でみているが何もおかしいところは存在しなかった。ゆえに水の屈折による悪戯だろうと判断し、視線を戻す。 「私も46センチ砲を詰みたいなー」 「ははっ、あれは大和型専用で作られたからな、他の戦艦でも難しいぞ」 ジンワリと全身に染み渡るようなお湯の温かさに身を任せつつ、また同じように清霜と会話へと戻っていった。。 さらにしばらく時間が経過したところで、清霜の入渠が終わった。 駆逐艦でかつ軽傷である以上は仕方ないことだが、まだ武蔵の修復作業は半分も終わっていない。 「あー、もう出なきゃだ。もっと武蔵さんとお話してたいのに」 「また時間ができたらな」 しぶしぶといった風にお湯から上がる清霜。 ずっと肩まで使っていた彼女だが、水しぶきをあげながら一気に立ち上がったことでその全身が露わになる。 「っ……!」 何気なく眺めていたはずの武蔵は、その身体をみて目を見開いた。 いつもの可愛らしい清霜の顔、しかしそこから下はアンバランスなほどに「成長」していたのだ。 小柄だったはずの身体は、左右にガッシリと広がった肩幅でまったく違う印象へと変わっている。身長もかなり高く、見た目つきだけでいえば戦艦のように……いやもっと大きい。 筋ばった首まわりに深く窪んだ鎖骨、その下でたわわに実った胸は、トップクラスのバストを誇る大和型すらも超えていそうだ。スイカを2つ抱えたような乳肉。しかも肩幅が広がり胸板が分厚くなったために不釣り合いなものではなく、見るからにハリのあるカーブを描いて大きく前方に突き出している。 引き締まった腹筋はシックスパックを形成し、へそは縦に割れて筋肉の溝と一体化していた。 少女というよりも女性というべきプロポーションに、バランスのとれた筋肉量。 さらに武蔵への憧れの結果なのか、全身の肌が小麦色に染まっている。 湯気など関係ないくらい、明らかに異様なレベルの変化を目の前にした武蔵は、 (美しい……) 清霜の身体を食い入るように見つめていた。 彼女自身は気づいていなかったが、すでに彼女の価値観も塗り替えられていたのだ。 変わってしまった身体つきに対する動揺よりも、その筋肉に、肉体美に魅了されていた。 「じゃあね、また出撃のときに会えたらいいな」 「あっ……」 武蔵の熱視線に気づかず、浴場から出ていこうとする清霜。指示通りに動こうとしているだけなのだが、その身体に見入っていた武蔵はつい口惜しそうな声を漏らしてしまう。 「私の身体に何かついてた?」 聞いたこともない声音に、振り向いて首をかしげる清霜。 武蔵も今まで抱いたことのない衝動に、自分自身で動揺していた。理性はこのまま命令通りに動くことを是としているはずなのだが、それを感情が、身体が嫌だと訴えている。清霜の身体から視線を逸らすことさえできない。 大量の湯気に包まれた彼女の褐色の肌は、すでに珠のような汗が浮かびつつありキラキラと天井の光を反射している。筋肉の陰影と相まって、彫像のような美しさをたたえていた。 このまま去ってしまうのが勿体ない、もっと見つめていたい。そんな思考が頭を満たしていく。 「……この後は自室で待機だったな?」 「うん、だから駆逐艦の寮に戻ろうかなって」 身体は様変わりしたものの内面は何も変わっていないようで、いつもの純粋な声音で答える清霜。 武蔵は軽く咳ばらいをしてから、それが自分の欲望であることを悟られないよう言葉を選びつつ語りかける。 「私からの頼みなんだが……このままずっと1人というのも味気なくてな。ここに留まるくらいなら大丈夫だろう」 何かあれば私に頼まれたと言えばいい、と体裁を保ちつつ言葉を続ける。 「そこに立って、もっと……その身体を見せてくれないか?」 「うん!」 初めての武蔵からのお願いに、清霜は満面の笑みを浮かべて快諾した。 いつもより高すぎる目線も、視界の下側に映る自分の胸と褐色の肌も、まったく違和感を覚えていない。むしろ憧れの武蔵が見つめてくれるこの肉体を誇るべきだとすら思っていた。 喜々として見せつけるべく武蔵の入っている浴槽の前に立つ清霜。 この身体をどう見せればいいか、考えたこともないはずなのに、なぜか身体が勝手に動いた。 「……フンッ!」 両腕を持ち上げ、グッと曲げて筋肉を収縮させる。筋肉を魅せるポージングとしても有名なダブルバイセップス。 真正面からみての左右からはみ出ている背筋によって逆三角形が強調されるが、下半身にも力を入れ続けている。軽く開いた両脚は片方だけでも子供の胴体ほどありそうな太さで、上半身に負けないボリュームを強調している。筋肉で引き締まりくびれた腰を中心に、砂時計のような輪郭のカーブを描いていた。 その状態でしばらく静止してから、次はサイドチェストへ。 両手をみぞおち辺りで組み、半身になりながら軽くひねって両胸を中心にみせつける。 身体の厚みを強調するポージングであり、今さっき出来上がったばかりの大胸筋による分厚い胸板がこれでもかと迫ってくるようだ。 その上に乗ったハリのある爆乳も、両腕の中でグニグニとたわみ、女性としての魅力も兼ね備えている。 下半身は片足を軽く曲げ、側面を強調している。左右だけでなく前後にも太い大腿筋群は、尻と膝の間でググッと膨らみを形成しまるで樽のよう。普段は目立たないふくらはぎでさえも筋肉の形が明瞭に浮かび、足先まで力強く太い筋肉のラインをつくっていた。 しばらく胸や腕を見せつけた清霜はおもむろに後ろを向き、今度は背筋を強調し始めた。 バックラッドスプレッド、腰に両手を当てて左右に背筋を開き、厚みと大きさを強調するポージング。 正面からみてもはみ出るサイズの広背筋が、二の腕すらも押しやるほどに広がっていく。 背骨のある中心から対称に、肩甲骨まわりや像帽筋に至るまでうねるようにぶ厚い筋肉が褐色のうねりを生み出している。 「私の筋肉……どうかな?」 「あぁ、とても素晴らしい」 女体美を保ちつつ、さらに強調するようについた筋肉の数々。 武蔵からの称賛を受け、清霜は全身で悦びを表現していく。 もちろんポージングだけが筋肉を魅せる方法ではない。 踊るように様々な姿勢をとっていくたび、普通の肉体では見ることすらできない筋肉の数々が収縮し、うごめき、盛り上がる。さらには血管も浮き上がり力強く身体を飾っていく。 大胸筋がピクピクと震えると、それにつられて両乳もユサリと揺れる。 かいた汗は浴場の湿度のために蒸発することはなく、褐色の肌の上で珠のようにきらめき、筋肉の間を伝って滴り落ちていく。 「あぁ……」 特等席の湯船から見上げる清霜の身体は美意識を塗り替えられた武蔵にとって最高以外の何物でもなく、蕩けるような吐息を漏らしながらウットリと見つめていた。 呼吸をするたびに鼻腔を満たす、かいたばかりの清霜の濃厚な汗の匂い。 興奮のせいか全身が火照ったように熱い。 大和型特有の長時間の入渠中ずっと、清霜の筋肉ステージは続いた。 「……あ、武蔵さんの入渠も終わったみたいだよ」 全身をぐっしょりと汗で濡らしながら、声を掛ける清霜。 息は軽く上がっているものの、いつものあどけない顔と無邪気な口調は変わっていない。 ずっと浴場にいて、かつ筋肉を収縮し続けたせいか、さらに一回り身体が肥大化したようにみえる。 「もうそんな時間か……ありがとう。私も出るよ」 心からの礼を述べつつ立ち上がろうと身体に力を込める。 身じろぎした瞬間、お湯の抵抗のせいか思うように動きにくい感覚があったが、ずっと座っていたせいだろうと無理やりに全身を動かしていく。 浴槽のへりに置かれた自分の手、そこから伸びる前腕が、やけに大きくみえる。それに肌も、もとから濃い色をしているとはいえこんなに黒かっただろうか? やけに浴槽の湯もこぼれていた、何か巨大なものが動いたかのように大波が自分の周りから起きている。 「……?」 軽い違和感を覚えつつも、武蔵は一気に浴槽から立ち上がった。 筋肉の巨体。 一言で表現するながらこれしかないだろう。 成長した清霜をさらに追い越した上背。しかもそれでいて横に大きくみえるほどに肥大化した筋肉の数々が全身を包み込んでいる。 そして脂肪も極限まで絞り込まれ、全身のそこかしこに筋繊維が浮き上がり、ビキビキと太い血管が這いまわっている。 「ふぅ……ここは風呂から出ても暑いな」 立っているだけなのに、汗が噴き出て止まらない。 チョコレート色の肌を流れる汗はオイル質で全身にまとわりつき、長時間の入渠を経て膨らみきった全身を輝かせつつ陰影も強調している。 武蔵自身、湯から出た今も動きにくさを感じているのだが、それも全身の筋肉が原因だった。 まず両脇が締まらない。これは脱力していても凄まじいバルクの広背筋と二の腕がぶつかり合いジャマをしているためである。 両脚も発達した大腿筋のせいで閉じることができず、普通に立っている今もがに股の状態だ。さらにはぶ厚すぎる胸板によって足元が見えず、まだ全身の状態さえ視認できていない。 これ以上はアンバランスになってしまう、そのギリギリの筋肉の塊であった。 清霜の身体も素晴らしいのだが、もし2人の肉体を比較したならば圧倒的大差で武蔵が勝つだろう。 先に筋肉化した清霜は自分よりもはるかに上の肉体を見上げつつ、 「武蔵さんの身体……とっても綺麗!」 今までと変わらない羨望のまなざしを向けていた。その肉体を目にした瞬間から、清霜の理想像は今の筋肉ダルマな武蔵の姿へと塗り替えられたのだ。 いつものように憧れの視線を向けられた武蔵は、しかし受け流す気にはなれなかった。 もとから恥じるような身体はしていないが、視界の下半分を覆う胸も、顔よりも太い二の腕も、甲羅のように巨大な背筋も、ぶつかり合う太腿も、今はすべてが誇らしくて仕方ない。 「そうか? 触ってもいいぞ」 武蔵の厚くなった手のひらが清霜の前腕を掴み、自らの腹部へと誘導していく。 手のひらで触れると、熱い体温とヌルリとした汗、そして盛り上がりひしめき合う腹筋の分厚さが伝わってくる。 そして目の前に広がるのは、筋肉で形成された深い胸の谷間。 今度は清霜が筋肉に魅了される番だった。 「武蔵さんの身体、もっと見たいな……♡」 ウットリと褐色の肉体美を見つめるながら呟く清霜。 いつもの武蔵なら受け流すところなのだが、今はなぜかその気がおきなかった。 むしろ身体が、筋肉が、彼女のおねだりを歓迎している。 そもそも武蔵自身、ここで別れる気が起きなかった。 「まだ次の出撃まで余裕はあるだろうし……私の部屋に来るか?」 「本当っ!? 武蔵さんありがとー!」 ダラダラと流れる汗にかまわず武蔵の胸に抱きつき、頬ずりするように顔をうずめる。武蔵もボコボコに盛り上がった腕をゆっくりと清霜の背中に回した。 筋肉と筋肉がぶつかり合い、ヌルヌルと滑る。互いの熱が混じり、境目がなくなっていくような感覚に包まれる。 ……ムググッ! 武蔵の腕の中にある清霜の身体、その筋肉が一気にひとまわり肥大した。 肌もわずかに色が濃く、皮下脂肪はさらに絞り込まれ、バルクが増している。 まるで武蔵の肉体に近づいていくように……。 「それじゃあ早く行こっ! 武蔵さんの部屋、楽しみだな~♪」 「ふふっ、私物はあまり置いてないぞ?」 清霜が艦種の枠を超えた肉体を手に入れる日も近いだろう。 こうして2人は入渠を終えた……のだが、武蔵は筋肉が巨大すぎたせいでのれんをくぐり切れず、掛けていた棒ごと落としてしまったことを付記しておく。

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