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また次の艦娘がやった来たようだが、今度はのれんをくぐる前から声が聞こえる。 「毎日毎日、遠征に出撃に……もう嫌でち!」 独特な口調で愚痴をこぼし、のれんごしにピンク色のアホ毛が顔を覗かせる。 その下には廊下なのにも関わらず青いスクール水着、胸元はセーラー服を身に着けているものの、両脚は素肌かつ裸足だ。 事情を知らぬ者ならば痴女かと思ってしまいそうな姿、しかしこれが当艦種特有のコスチュームである。 入ってきたのは潜水艦伊58だった。 燃費がよく遠征に重宝し、かつ戦力としても優秀な彼女。……しかしそれは指令側からみての話である。 当の本人は休むひまもないほどに頻繁に繰り返される出撃と遠征に辟易としていた。 「夏休みくらいほしいでち……」 彼女の損傷は軽く、潜水艦という艦種も考慮すればわざわざバケツまで使って直すには値しないはずのものだ。しかし司令部にとって、完全に直すこと自体は主な目的ではなかった。 入渠はダメージを受けた箇所の修復だけでなく、艦娘の疲労を取る効果も有している。つまり入渠を挟むことによって、連続して出撃させることが可能になるのだ。そして高速修復剤を併用することで、さらなる待機時間の短縮にもつながる。非常に効率のよい手法だと考えられていた。 しかし伊58からしてみれば、バケツで入渠してすぐにまた出撃である。 ひたすら任務をこなし続ける日々、鎮守府の中でもトップクラスの出撃回数。いくら疲労が取れようとも、誰もいない入渠中くらいは愚痴をこぼしたくもなる。 ただ現在も大規模戦闘中であり連合艦隊での出撃が多い中においては、他の海域への出撃や遠征で資材を稼ぐことは必須であった。そのことも彼女はよく分かっている。だからこそやりきれないモヤモヤとした感情が胸中に溜まっていた。 スクール水着のまま浴場に入り、軽いため息を漏らしつつ、自分の入る浴槽の前に立つ。 「やぁーっ! でち」 気晴らしとばかりに声をあげながらバケツの中身を湯船にぶちまけ、 ザブンッ! そのままお湯へと飛び込んだ。 潜水艦の習性がそうさせるのか、そのまま頭までお湯の中に潜る伊58。海とは違う暖かさが全身に染み渡っていく。 流石は潜水艦というべきか、水しぶきが収まったあとの浴場は外からみれば誰もいないのではと思うくらい静寂に包まれた。 お湯の中にいる彼女の身体はバケツの効果で急速に修復が進んでいく。しかし今回はそれだけでなかった。 ムククッ、グググゥ……ッ! 幼さの残る肢体が、急激に肥大化していく。 筋肉化の効果もまた、修復剤によって一気に発揮されたのだ。 水面ごしの伊58の影が大きくなっていくが、本人には目立った動きはない。 少し濁ったお湯の視界では、自らの身体の変化に気付けなかったのだ。 浴槽の中を潜水しつつ、全身を包み込む心地よい熱に身を任せていた。 バケツの効果は遺憾なく発揮され、1分と経たないうちに入渠が終了した。 「ぷはっ!」 静寂を破る大きな息継ぎとともに、いつものあどけない顔が水面から出てくる。そして浴槽のふちに手をかけ、一気に身体を持ち上げた。 お湯を滴らせながら露わになる全身。その頭から下は別人のように変わりきっていた。 境目がわからないほどに太い首に、山の裾野のような像帽筋がさらにインパクトをくわえている。 メロンが埋め込まれたかのように肥大化した肩に水着の紐がギチギチと食い込み、今にも切れてしまいそうだ。 鎖骨から下は分厚い胸板が形成され、大胸筋の輪郭が浮かび上がっている。元からたわわに実っていた胸は形を保ったままさらにボリュームを増し、胸元の名前の書かれた白布は引き伸ばされて字が歪んでしまっている。 女性の肉体であることを主張するように括れた腰は、しかし筋肉の形が鎧のように形を水着ごしに浮かび上がらせ、正面からは腹筋が6つに深く割れながらひしめいている。 ヒップも発達した大殿筋で固く上向き、スク水との境目を引っ張りあげているためハイグレのような状態だ。 晒された両脚は締まりつつも筋繊維の詰まっており、潜航時も水の抵抗など意に介さないだろう。 水泳選手の身体に、さらに筋肉を盛りまくったような体型。 潜水艦の艤装であるスク水が筋肉でパンパンに引き伸ばされ、明らかに限界ギリギリの状態になっている。 しかし本人はまったく気にした様子もなく、むしろ満足そうに自分の身体を見つめていた。 「よし、出撃も頑張るでち!」 高速修復剤を使いつつ頭までお湯に浸かった結果、違和感を覚える余裕もなく心身ともに筋肉に染まったらしい。 外気に晒された二の腕は丸太のように太く、持ち上げると顔よりもボリュームがあった。 その白い肌の表面にはビキビキと血管が浮き上がり、あどけない顔とはかけはなれた雄々しさをたたえている。 更衣室で軽く水気をとり、のしのしと歩き出す伊58。 動くたびに水着の布がギチギチと音を立てているが、彼女にとっては機能美にあふれているため脱ぐことはないだろう。 のれんを出て、そのまま海へと向かっていく。 入渠が終わり次第、次の出撃を命令されていたのだ。 「ゴーヤ、潜りまーす!」 魚雷を軽々と掴み、海に潜っていく。 肥大化した筋肉は、海水よりも重いため沈むのはいつも以上に簡単だった。 腕の方が太くなったせいで立派なはずの酸素魚雷が物干し竿のようにみえる。 「とっとと終わらせるでち」 出撃ではかすり傷ひとつなく瞬く間に完全勝利を収め、帰投した。 その後は同じく入渠を経た潜水艦たちと編隊を組み、敵を圧倒し続けている。 連続での戦闘や遠征で疲弊することはなくなったものの……筋肉がついても潜水艦のため、あまり敵味方に見せつけることができないのが不満らしい。

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