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それから数時間が経ち、入渠と書かれたのれんをくぐる艦娘がいた。 「はー、めっちゃ疲れたわ」 独特なイントネーションの声が脱衣場から響き、ガラリと戸を開けたのは軽空母の龍穰だ。 大規模な戦闘中である今、負傷した艦娘は彼女と同時に出撃した艦隊だけでも複数人いたはずだが、時間を選んで1人での入渠である。 「隣みて悲しくなるのも嫌やからなぁ……アカン、ここまでして何で自分から考えてるんやろ」 独り言を呟きながら胸元に手を当てている龍穰。 軽空母の中でも最小、駆逐艦レベル……いや、見た目の年齢を考えればそれ以上に胸の薄さが際立つ彼女の体型。 他の艦娘たちと一緒に入渠すると、どうしてもコンプレックスを抱いてしまうのだ。 「1人になっても気にするとか、ウチほんまにどうしようもないわ」 周りに比較する相手がいない状況を作っても、艤装を脱げばまな板のような胸が視界に入ってしまう。単独での入渠は、あまり意味がなかったようだ。 しかし損傷の修復はちゃんと行わねばならない。軽くため息を吐きつつも浴場へと足を踏み入れた。 「ん……?」 一瞬、眉をひそめて動きを止める龍驤。 ムワッとした水蒸気と熱気に覆われているのはいつも通りだが、どこか匂いが違うような気がしたのだ。 しかしすぐに違和感はかき消え、彼女はふたたび湯船へと歩いきだした。 「あ~、効く~」 ザブンと湯船に全身で浸かると、戦闘での傷や疲労が押し流されていく。今日はいつもよりも身体が暖かく感じるし、入り心地も抜群だ。肩の力を抜いて入浴を楽しむ龍驤。 しかしボンヤリと視界に入るのはやはり自分の胸板。乳首の膨らみの方が肌の盛り上がりよりも大きいかもしれないくらい。 目を閉じてゆったりと湯に身を任せつつ、自嘲まじりに呟く。 「ウチの胸もでっかく『修復』してくれへんかなぁ……」 その願いは誰もいない風呂場に空しく響きつつ、そのまま消えていくはずだった。 「……ん?」 何となく身体に違和感を覚えて目を開いた龍驤。 のぼせたわけではないのに、火照ったような感覚が首から下を満たしている。 湯に入っているのだから暑さを感じることがおかしいわけではないのだが、いつもとはどこか違う気がする 何気なく視線を下げて自分の身体を眺め、そして―― 「なっ……えええっ!?」 驚愕に目を見開きながら叫び声をあげた。 視界に映るのは、両手に収まるほどのサイズながら自分の胸についた2つの膨らみ。 つまり胸が大きくなっていくのだ。 「これどうなって……うぇ? ウチの胸がっ、はぁ!?」 キョロキョロと辺りを見渡すが周りに誰もいないうえに、入渠はまだ終わっていない。 しかも胸を抑えた両手は、内側から反発するように押し返されていく。 両乳が、今この間にも膨らんでいるのだ。 ムクッ、ムククッ、ビキビキッ……! 膨張は止まらず、手では掴みきれないボリュームになっていく。 徐々に皮下脂肪を押しやるように、内側からビキビキと繊維を浮き上がらせながら……。 そう、彼女の胸を形成しているのは脂肪ではなく大胸筋である。 大量に溶け込んだ神通の汗が、龍驤の身体に浸透して筋肉化を引き起こしていたのだ。 しかし龍驤の変化は神通たちとは少し異なっていた。 これまでの艦娘たちは筋肉で押し上げられた土台の上に、柔らかな脂肪が乗った筋肉爆乳が形成されていく……というパターンだった。 しかし彼女の場合は違う。筋肉化によって全身の皮下脂肪が薄くそぎ落とされていく中で、胸さえも皮膚のすぐ下に筋肉が張り出しているのだ。 そして重要なのは、それでもなお大きなバストである。 彼女の大胸筋は全身のバランスからみても著しく発達し、乳房と呼べるほどの膨らみを形成していたのだ。 両胸は手を広げても覆いきれないサイズとなっているのだが、肥大化は止まらなかった。前に大きく突き出ながらも筋肉特有の強い丸みを帯び、重力で垂れる様子は一切ない。 純粋筋肉爆乳と呼ぶべき双丘が出来あがっていた。 気づけば腕もボコボコと太く、皮膚のすぐ下まで迫った筋肉の繊維が浮き上がっていく。 明らかに異常な肉体の変化。入渠が終わっていないとはいえ、浴場から出ていきそうなものだが―― 「はぁ……ウチのおっぱいデッカく育ったなぁ♡」 しかし汗の匂いによる洗脳効果と龍驤の胸への執着が合わさった結果、彼女は「素晴らしい成長」と感じていた。 大胸筋をウットリと見つめながら、分厚くなった手のひらで揉みしだく。 力の抜けた筋肉はしなやかで柔らかく、おっぱいのように指の動きにムニムニと形を変えながらジンワリとした快感を染み出していた。 本人はまったく気にしていないが、筋肉だけでなく肌も徐々に色素が濃く、褐色へと染まっていく。小麦色という表現では足りない、日焼けサロンに通いつめたような黒さ。 二の腕や胸元はもちろん、ぼやけて見えにくい湯の中にある下半身もチョコレートのような色を水面に滲ませていた。 「ん? あ、もう時間やないか!」 ザバァ! 夢中で自らの胸を堪能している間に、入渠が終わっていたようだ。 しぶきを上げながら立ち上がる龍驤、その全身が露わになった。 まず目を引くのはやはり大胸筋だ。分厚い胸板を形成しつつ、鎖骨のすぐ下から左右の筋肉の塊が急激に前方に張り出し、まるでボールを埋め込んだかのよう。 中央には谷間もあるが、本来の乳が作り出すムッチリとした柔らかさはそこにない。筋肉のみの、固く深い溝のようなそこを汗が流れていく。 多くのボディビルダーがそうであるように、乳首は筋肉に押し出された結果、斜め下を向いている。しかし彼女にとっては些細なことなのだろう。 筋繊維を浮き上がらせながら、腕を動かすたびにつられて形を変える筋肉乳。そのボリュームは足元が見えにくいほどだが、その不自由さすらも龍驤にとっては巨乳の証として嬉しさをかきたてるものだった。 すさまじい胸だが、決してアンバランスというわけではない。周りの筋肉もバランスをとるかのように肥大化しているのだ。 筋肉で大きく広がった肩幅に、丸太のように太い二の腕。 胸の奥では左右に大きくせり出した広背筋が腋の下か顔を覗かせている。 大胸筋を中心に形成された筋肉の数々によって、横に広い逆三角形の上半身が形成されていた。 胸囲だけなら大和型さえも軽く凌ぐだろう。 上半身の筋肉量は総じて凄まじいが、バランスを取るように下半身の筋肉も発達していた。 湯に隠れて見えなかったが、小ぶりだった尻も後方に張り出し、かつ筋肉によって窪みができている。太腿も樽が2つ並んだようで、上半身に見劣りしないボリュームだ。 褐色に染まった肌は水滴のきらめきを放ちつつ、筋肉の陰影を強調している。 小柄な体格だったゆえか身長はそのまま保たれつつもバルクは凄まじく、筋肉で分厚い体型へと変わり果てた。 「何がトップヘビーや! もうウチには胸も尻もあるんやで!」 脱衣所に戻り、鏡に向かってポージングを繰り返す龍驤。 その表情はどこか熱に浮かされたようで、かなり強く筋肉化が作用しているらしい。 恍惚とした表情で自らの身体を見つめる姿はボディビルダーのようだ。 「合う服がないけど……まぁ着なくてもええか」 完全に洗脳が完了した今、彼女にとって服は肉体美を隠してしまう余計なものでしかなかった。 最低限の下着だけをギチギチに引き伸ばしながら身にまとい、がに股気味に歩きはじめる。 このまま部屋に戻って、1人静かに過ごす気は微塵もなかった。 この肉体美を誰かに見せつけたい、同じような身体の仲間とともに筋肉を楽しみたい。 想像するだけでも期待に胸が膨らんでいく。 龍驤は姉妹たる同型艦はいない。しかし同じ胸の悩みを抱えた軽空母の同僚はいた。 「せや、瑞鳳に会いにいこかな」 瑞鳳にとっては幸か不幸か、そんなことを呟きながら脱衣所を出ていく。 こうして龍驤は入渠を終えた。

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