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これまで男子が感染した場合を追ってみたが、女子が感染した場合、島風くんになるかというとそうではない。 男子の場合は肉体と精神がメスのそれへと変わるのだが、女子はその対になるように変化するのだ。 「最近ヤバいよねー」 「見た目が丸っきり変わるんだって」 「まだウチの学校には来てないし大丈夫っしょ」 学校の休み時間、その女子生徒は仲良しのグループで雑談に興じていた。朝から少し体調が悪い気もしたが、欠席するほどではないと思い通学していたのだ。 このウイルスは前兆がとても軽く、発症前に気付けない者も多い。そして診断が下らずに変化が始まるパターンでは、発症する時と場所によって問題が起きることもある。 彼女の場合、とても不幸なタイミングでの発症となった。 ドクンッ 「うぐっ!?」 異常に火照ったように身体が熱くなっていく。 身体の内側から、何かが溢れだすような違和感に表情も歪む。 「ちょっと、どうしたのよ……」 周りの女子たちも異変に気付き、心配そうに声を掛ける。 しかし反応する余裕もなく、苦しげに身体を抱きかかえながらうずくまる女子生徒。 そこからの変化は急激だった。 ムクッ、ムククッ……ボコッ! 「きゃぁっ!?」 彼女の全身が、内側から膨らみはじめた。 肩幅が広がり、腕が太くなっていく。胸まわりも厚みが増し、制服がパンパンに張り詰めて見えるはずのない身体のラインが浮き上がる。 脂肪とは違う、どこかゴツゴツとした輪郭。 「あぁ、私……そんなっ!」 ここでようやく、島風ウイルスを発症したことを理解した。 彼女自身、女子が発症した場合はどんな姿になるかを情報としては知っている。 女の子とは思えない姿へと変わりつつある自分の身体、筋が浮き上がりつつある腕をみて、顔から血の気が引いていく。 「いやぁ……止まってぇ!」 涙目になりながら膨らむ身体を抑えようとするものの、固い肉が内側から両腕押し上げていく。 スカートの下にある太腿からは脂肪の柔らかさが消え失せ、肥大化していく筋肉の隆起がボコボコと浮かび上がる。 バツンッ! 限界を迎えたボタンがはじけ飛び、褐色に染まりつつある肌と分厚い胸板が顔をのぞかせた。 岩のような大胸筋がシャツを押し広げながらせり出してくる。 「いや……いやぁっ!」 シャツごと破け散り、卵の殻を破るように膨れ上がった身体が晒される。 本来の肌色よりも色素が濃くなりつつある背中は、逆三角形に広がりながら山脈のような隆起を伴いながら分厚くなっていく。 女子らしい丸みはみる影もなく、筋肉の陰影はさらに強調されていく。 「うぅっ、あぁ……!」 褐色と化した全身から汗が噴き出してくる。 一般的な長さの黒髪が伸びてゆき背中に掛かっていく。 全身がひと回り膨らみ、変化が止まった。 「はっ、はぁ、はぁっ……」 荒い息を吐きながら、床に手をつく彼女。 下着ごと千切れ落ち、一糸まとわぬ姿で立ち上がる。 「私の身体、どうなって……」 声も女性にしては低い響きへ変わっている。 立ち上がると、両脚や腕にズシリと重い手ごたえが返ってくるのに、動かしにくさはまったく感じない。 しかしその腕は、自分が見た事のないほどに筋肉で太く発達していた。 本人は気づけていないが、その相貌も女性らしい印象を残したまま、通った鼻筋と涼やかな目元へ変わっている。 島風くん……ではなく、長門のような容姿。 しかし首から下はよく知られたイメージ通りの身体ではなかった。 元々逞しく描かれている長門だが、それ以上に全身が分厚い筋肉の装甲に覆われていた。 本来の男が鍛えてもなかなか到達できないような筋肉量で、かつ男のようなゴツさはなく女性らしいプロポーションを保っている。 形のよかった両胸は脂肪を押し上げるように発達した大胸筋が、胸の膨らみ以上に存在を主張している。 ただ男子のように筋肉だけの膨らみではなく、大胸筋のカーブが描く先には女性らしい膨らみも存在していた。 尻も脂肪がむっちりと覆われているのだが、内側から筋肉が押し上げている影響で、柔らかさよりもハリの強さの方が勝っている。 太腿は片方だけで女子のウエストほどに太く、岩ようにゴツゴツとしている。 上半身と下半身のボリュームとは対照的に、腰まわりは引き締まり括れもあるが、それよりもボコボコに割れたシックスパックのインパクトが凄まじい。 ボディービルダーのような肢体となっていた。 周りの友人たちは、無言のまま青ざめた顔で見つめることしかできなかった。 しばらく静寂が続いたが、ふたたび彼女が声をあげる。 「あれ、なんでこんな……はあぁ♡」 呆然としていた表情が、急速に恍惚としたものへ変わっていく。 変質しきった身体の内側から、快感が湧き上がってきたのだ。 肌のすぐ内側……筋肉が歓喜で熱く疼いている。 「だ、大丈夫?」 「っ!」 恐る恐る距離を詰めながら、心配そうに見つめる友人たちが視界に入る。 その瞬間、身体が更に熱く疼いた。このまま抱きつきたい、その身体を蹂躙してしまいたい……それが性欲だということを数秒遅れて頭が理解する。 マグマのように煮えたぎった衝動が湧き上がり、理性をあっという間に侵食する。 発症直後の精神が不安定な状態に、目の前にいる女子たちは刺激が強すぎたのだ。 (なんだろ……すごくムラムラする) 自分の身体を眺めると、筋肉の隆起一つ一つが美しくみえる。 この身体なら、少し力を込めるだけで押し倒せてしまうだろう。 圧倒したい、犯したい。 逞しく魅力的な肉体に合わせるように、オスとしての性欲が湧き上がってくる。 そして彼女は、どこか性欲が表に滲み出たような笑みを浮かべた。 「私の身体、とても綺麗だろ?」 恥ずかしさは微塵も感じさせず、肉体美を誇るように胸を張る。腹筋や腕の筋肉に力を込めながら友人たちに見せつける。 「ひぃっ!? こっちこないでヘンタイ!」 あまりの変貌ぶりに拒絶する友人たち。 休み時間のひとときは、あっという間に惨憺たる状況へと一変した。 遅ればせながら病院へと送られた彼女には、その身体に合う長門の服装が渡された。 逞しい肉体は鍛えるたびに発達を続け、精神は好色なままであった。 ちなみに嫌悪の表情すら浮かべていた友人たちだったが、発症直前まで彼女と至近距離で雑談に興じていたのだ、その後いずれもウイルスに感染していることが判明した。 数日後にはみんな逞しい肉体美と湧き上がる性欲のオス女子へと変貌した。 「お前もこの身体になれたんだな♪」 「ああ、貧弱な身体で満足してた自分が恥ずかしいよ」 今では互いの身体を褒め合い、筋肉を触り合い…… メス男子や未感染の女子を「つまみ食い」する仲である。

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