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2月頃から書いていたssですが、完成した時期が世の中の色々と被ったため、pixivへの投稿を見送っておりました。 しかし、ただ寝かせておくのもイヤなので、こちらに先行公開していきます。 世の中が落ちついた頃に、折をみてpixivに投稿する予定です。 ~~~~~~ 『島風くんウイルス』 未知の症状を伴ったそれは突如現れ、世の中の在り方を一気に変えてしまった。 個々のケースを追いながら、その変容ぶりをみていこうと思う。 ・ある男の子の場合 「島風くんウイルスですね」 あっけなく診断が下る。 告げられたその名に、呆然とする高校生くらいの男子。 対して彼の目の前にいる医者は、島風のコスチュームを身に着けた男の娘、いわゆる「島風くん」の状態だった。 「島風くん化するのは今日の夜中だね、朝には終わってると思うよ」 変声期前のような高い声で淡々と説明していく。 このウイルスに感染すると、言葉の通り島風くんの姿になってしまうのだ。 そして症状が治まっても肉体と精神に大きな変化を残したまま元に戻ることはない。 この症状が流行し始めた際、医者の多くは真っ先に感染したのだった。 「処方箋出しておくから、必要になったら使ってね」 今は普通の男子の見た目をしている彼も、そこから逃れる術はないのだ。 目の前の存在が、自分の未来の姿……そんな想像をして顔から血の気が引いていく。 「大丈夫、今どきみんな感染してるんだし、そんなに困ることもないよ」 その言葉に、彼は反応することはできなかった。 処方箋を持って薬局に行くと、当たり前のように大きな袋が手渡される。 家に帰ってから中身を取り出すと、島風くんの衣装一式が入っていた。 「こんなコスプレみたいな……」 股下を隠してすらいないスカート、女性モノの下着よりも露出の覆い水着、腋や腹を丸出しのセーラー服……。 これを着て歩いている「島風くん」を見た事は何度もあるが、女子でさえ痴女にしか思えない露出の衣装を男が着ているのだ。見ているこちらの方が恥ずかしくなってくるものだった。 袋に戻して、できるだけ見えない位置に置く。 「はぁ……」 どうすることもできす、大きなため息をつきながらボンヤリと時間だけが流れていく。 ベッドで横になるが、なかなか寝付けない。 そして夜が更けるにつれて、身体に変化が起き始めた。 「うぅっ、熱い……!」 全身が火照ったように熱く、汗が流れだす。 同時に身体中をこねくり回されているような違和感と不快感が満たしていく。 暗闇の中で呻き声だけが部屋に響く。 ギュ、グッ、ググッ……! 二次性徴途中の男子らしい体つきをしていた男の子。ゴツさも感じられた彼の体格が、徐々に細く華奢なものへ変わっていく。筋肉が失われてゆき、皮下脂肪がうっすらと全身を包み込む。 同時に髪も色が抜け、明るい金髪へと染まっていく。 その長さも伸びつつあるのだが、本人はそれに気づく余裕すらもない。 「あぁ……うっ……」 そのまま気を失ったかのように眠り込み、夜は過ぎていった。 「んっ……あれ?」 朝日で目が覚め、のそりと起き上がる彼。 上半身を起こしたためにサラリと肩に金髪が掛かり、反射的に手で払いのけようとして……身体の変化に気づいた。 「なんで金髪が……えっ、声も!?」 自分出した声音に驚き、反射的に喉もとを手で抑える。 喉仏は少し残っているが、声は変声期前のように中性的なものへ変わっていた。 視界に入る腕は白く肌に覆われていて、女の子のように細くならだかな輪郭をしている。白魚のような指もあわせて、男子らしさはみる影もない。 「そっか、変わっちゃったんだ……」 薄い胸板、細い腰、華奢な体格……一点の曇りもない白い肌。 人並みにあった毛も抜け落ちている。 しかし股間には、男であることを主張するようにペニスがついていた。 自分の肉体が「島風くん」のものに変質したことを、もう受け入れるしかない。 「服、着ないと……」 気づけば彼は一糸まとわぬ姿になっていた。 熱にうなされた夜中、汗まみれのパジャマを脱ぎ散らかしてしまったのだ。周りをみるとそれらが散らばっている。 立ち上がった彼はタンスから着替えを取り出す。しかし袖を通しかけたところで動きを止めた。 「なんか鬱陶しいなー」 肌にまとわりついてくる感覚が気持ち悪いのだ。肌が拒絶しているかのようで、こんなのを着て一日中過ごすと考えるだけでも背筋に寒気が走る。 ただずっと全裸でいるわけにもいかない。どうするか考えていると、ふと処方されたものを思い出した。 「そうだ、ボクの服があるじゃん!」 着ようとしていた服を放り投げ、部屋の片隅にあった袋を掴み取り勢いよく開封する。 昨日は嫌悪感さえあった露出のすさまじい衣装が、今は自分のためにあるのだと光り輝いてみえた。 「~♪」 水着風のパンツ、へそ丸出しのセーラー服……普通の男子であれば絶対に着ないであろうそれらを、いそいそを身に着けていく。 一つ一つのパーツが、とても全身にしっくりとなじむようだ。 「できたっと♪」 嬉しそうに笑みを浮かべた彼は洗面所へと走り、鏡に全身を映した。 その姿はとてもよく似合った島風のコスプレイヤー、そんな印象を受ける姿だ。 顔も中性的なものに変わり、パッとみると女性に映る。 しかし丈の短いスカートからチラリとみえるのは、黒い下着に包まれた男の象徴。 モッコリと膨らんだそこを隠す気は微塵もなさそうだった。 「ボク、とっても可愛い♪」 これが自分の相応しい姿なんだと、価値観が書き換えられていく。 身も心も「島風くん」に染まった彼は、この姿のまま学校へと向かった。

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