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3異変  「むむ? なんだかカラダがムズムズする……」 3Dプリンターが出力を開始し始めて3時間を経過した頃だった。 液タブでの絵描き作業に疲れを覚え、時間も時間なので軽く夕飯でも取りながら休憩しようと席を立った智也。 冷蔵庫の中を覗き込むと賞味期限切れの食パンと食べ残していた春雨サラダ、そしてコンビニで買っておいたおにぎりが一つだけ、であった。 「しかし、なんでまたこんなにムズつくんだろ? 痒み、とも違うし、何なんだ?」 違和感を覚えながら、しかし心当たりが無い智也は食べ残していた春雨サラダとおにぎりを胃の中に放り込み、ひとまず空腹感を退ける事に成功した。 「ううむ……、やっぱまだ妙な感じがするなぁ。あれか? 布団か服にダニでも湧いちまってたのか?」 それならば、と智也は衣類を脱ぎシャワーを浴びる事にした。 そして、なんとなく股間へ目をやった智也は人生で一番素っ頓狂な声を上げてしまう事になったのだ。 「ぅほひひゃあぁぁっ!? うえっ!? ちょ、ちょっと待った! ま、マジでか!?」 夢を見ている訳じゃない。頬をつねってもひっぱたいてもちゃんと痛みが走り抜ける。 「で、デカくなってる? これ、本当に俺のチンポか?」 手に取って持ってみれば触れた感触が直に伝わり、体温をじんわり感じ取れる。 「勃起もしてねぇのに、15cmはあるぞ、コイツは……」 力なく下に向く陰茎が、明らかに普段の智也のサイズとはかけ離れていた。 普段は萎えた状態であれば7~8cm程しかないのだ。 ゴクリ、と咽喉が鳴った。 冷や汗が額からタラリと落ちた。 ムズムズした感覚は少しずつ強くなってきている。 「ヤバいんじゃ……」 どうやらこの異変はダニなんかじゃ無さそうだ、との考えが智也の脳裏に浮かんだ時だった。 電流のようなピリリとした痺れが亀頭から陰茎の根元へ向かって走り抜けた。 そして、ムクッ、ムククッ、と智也の目の前でチンポが肥大したのだ。 「う、うわっ! 俺のチンポが!」 あり得ない事だ。 見た現象を智也の心が否定した。 だけど見た事は事実だ、と智也の脳は肯定する。 意思と思考の乖離により智也は身動きできなくなった。 呼吸の音までうるさく思えるほど沈黙を保っていると、次は全身がゾクリと泡立った。 「はうっ!? んふぅっ!」 ビクビクと震えた筋肉がメキメキ肥大し始めた。 股間の男性器がグググと頭を持ち上げ勃起を開始。ドクドクと流れ込む血流の勢いに乗るかのように更に大きく成長していく。 「ぅくっ! んあ゛! んひぃぃっ!」 筋肥大も性器の肥大も智也に性的な快感をもたらした。 卑猥な気持ち良さは智也に更なる異変を呼び興す。 ゆるやかに、しかし確実にサイズアップ中だった全身の筋肉が、ペニスが勃起するかのように一気に肥大した。 「んぐ! ぐあああっ! あ゛ぎぃぃぃーーーっ!」 筋肉勃起と呼んでも良いような勢いで智也の大胸筋が、僧帽筋が、広背筋が、腹直筋が、上腕二頭筋が、大腿筋が、 ボゴ! ドゴンッ! ズブンッ! ギチギチッ! ズブビュルッ! と巨大に膨張し、それぞれが激しく主張し始めたのだ。 「あひっ! んひぃっ! ど、どうなって!? んが! はひぃっ! も、止まっ! れぇ! 止まれよぉぉーーーーっ!」 智也の全身に汗が吹き出た。 バキバキの筋肉が汗で濡れテカテカと艶やかに光を反射していた。 太い血管がその筋肉の上を這いまわり、そして股間から聳え勃つ巨大な、あまりに巨大なモンスターコックへと血液のケーブルを繋げてくねらせていた。 「はぁっ、はか、はぁっ、んはぁっ、はぁ、はぁっ、はぁ、はぁ、も、終わった、……のか?」 バスルームの鏡に映る自分の姿に智也は呆然とした。 股間から伸びるチンポが60cmはある。 腕よりも太いチンポが腹を超え、胸を超え、さらに舌を伸ばせばそのまま舐められる位置に亀頭が達していた。 「マジで冗談、……だろ?」 そして、そんなモンスターコックの基盤となる肉体も、以前の智也とは全く異なるメガマッチョボディへと変貌を遂げていた。 「何だこの腕、太すぎだろ? 大胸筋もどんだけ盛り上がってんだよ? 頭を下に向けても腹が見えねぇし」 陰茎をずらして鏡に映る腹部を見れば、一つ一つが手で掴めそうなほど隆起したシックスパックを形成していた。 頭を振って目を閉じて、呼吸を整えもう一度瞼を開く――「ああ、マジで夢とか幻覚じゃない。このカラダ、本当に俺なんだ……」 目に入る現実をなんとか受け入れようとする智也の耳に「ピーッ、ピーッ」との電子音が飛び込んだ。 位置はバスルームの隣の居室の方からだ。 急いで戻ってみると電子音の発信源である3Dプリンターの出力作業は終わっており、内部でフィギュア、いや、『リンクドール』が完成した事を告げる音だった。 プリンターの扉を開け、中から自分を模したリンクドールを取り出す。 ほんのりと温かいドールはスマホの予想図で見た通り、細部まで忠実に再現された智也自身のミニサイズ。 5分の一になった智也のフィギュアであった。 「良くできている……て言うか、もしかして、このフィギュアのカラダと今の俺のカラダが同じ、って事なのか?」 巨根でマッチョな智也フィギュアを持ってもう一度バスルームの全身鏡の前に立つ。 「や、やっぱそうだ。間違いない……。このフィギュアと俺、本当に同じカタチ、同じ体形になってんだ……。 チンポまでも」 リンクドールのペニスもまた智也と同じように上を向き、どデカイ亀頭を顔よりも上に乗せていた。 気付けばスマホに新たな通知が届いていた。 表示させてみると 『チュートリアル出力が完了しました。リンクドールに触れ、その感触が伝わっているかどうか、確認して下さい』とのメッセージであった。 「感触? 伝わる?」 リンクドールを改めて持ち直し、肩や胸をつついてみた。 「うわ……、確かに突かれた感覚が俺にまで伝わってきたぞ?」 ますます妖しい。 どんな仕掛けなのか想像すらできない。 ただ手に持っているだけだと何も感じないのに。 「すげぇエロいよな……。あ、やべ、俺、こんな状況なのに興奮してきちったじゃん。くっそ……、でも、こんなマッチョでこんなチンポしてりゃ当然か」 普段は本性を隠して女の子好きの異性愛者を演じているものの、本当に好きなもの、本当に興奮する対象は今の自分のような筋肉隆々のマッチョな男であったし、 チンポもまたデカいほど卑猥に興奮できた。 たまにこっそりと巨根マッチョの多いゲイサイトを覗いてみたり、あり得ないほど巨大なペニスのエロイラストをオカズにして自慰に耽ることもあった。 巨大な亀頭の先からじわりと透明な粘液が垂れて来た。 「ああ、ヤベェって……。俺が俺に興奮してるだなんて、ナルシストじゃないのに……、でも、こんなイヤラシイ肉体とチンポじゃしょうがねぇよな」 頬が紅潮し吐く息にねっとりとした湿り気を帯びる。 期待でヒクヒク震える巨大ペニスは包皮の血管を脈打たせ、内部に肉欲のエネルギーをどんどん充填して行く。 「も、もう、こうなったら一発抜くっきゃねぇ……。けど、こんだけ太いと両手でも握り切れねぇ……」 フィギュアであれば巨大とは言っても5分の一スケールなので右手だけでも十分握れるのだが。 ほら、この通り……。 ――「はうっんをおぁあぁっ!?」  ひと際大きな快感が智也の巨大チンポから発生した。 目には見えない大きな手が、智也の巨大化したチンポをすっぽりと握り、心地よい圧を加えた感覚だった。

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