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サークルその他大勢が発行した同人誌を振り返る記事、第3弾。今回は2011年に発行した同人誌です。

最初に言いそびれたのですが、この同人誌総評シリーズでは個人誌に限定して語ります。合同誌・寄稿については個別に語ることはしませんので、あしからず…


2011年5月発行「すきすきゆかりさま」 東方project二次創作 ゆからん本

あらすじ:「藍は私のこと好き?」「はい、紫さま」「じゃあ具体的にどこが好きなの?」そう聞かれて言葉に詰まった藍。はたしてこの好意的感情は”式”だから湧く感情なのか…藍は悩み始め、ついにあぶらげに…

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「藍は紫に式を打たれているから付き従っている。であれば、その感情も手綱を握られているものであって、自発的に好きになったのではないのでは?」というところから出てきたネタです。式あるあるネタだと思います(?)とはいえこの本、あらすじを描くと自分の感情に思い悩む藍という構図なんですが自分の描いたゆからん本の中でもトップクラスにギャグに走っている本です。その断片はお気に入りカットを見てもらえばわかると思います。何を考えてこんな…今描くならこの題材はもっとシリアスにしているかも。

この本から書店委託をはじめました。

それと「かみなりこわい」からは、「ゆからん本のタイトルは必ずひらがなだけにする」という謎の縛りを始めてしまいました。もっと初期からそういうつもりだったのですが「マイハート」とか「ショー」とかでちょいちょいカタカナも混じっていたので、句読点以外は平仮名にしようと。そのほうが自分のらぶらぶゆからん本には合うかな?と思いまして。ただ、これが今後自分の首をどんどんしめていくわけですが…


●お気に入りカット

左:本文1ページ目。とにかく表紙を開いて最初のページはインパクト大にしようという意識が見える…

右:こういうギャグ表現ばっかりの本です。好きという感情は油揚げにも抱いているのだからという理由で紫様があぶらあげに見えてくる苦しみを描いた…ギャグのページ…



2011年7月発行「GOGOGIRLS!!」 TIGER&BUNNY二次創作 ドラゴンキッド×ブルーローズ本

あらすじ:ブルーローズのことが気になり始めて、胸を刺すようなちくちくした気持ちを感じたドラゴンキッド。この感情はなに?恋なの?だとしたら自分はどうしたらいい?


みなさんは覚えていますか…女性向け同人界隈における大・大・大・タイバニブームを…こてつおじさんとばにーちゃんが猛威を奮っていたことを…そしてそんな二人が大旋風を巻き起こした大・BL時代に私が出した本がこの百合本でした。なんで?なんでと言われても、この二人で描きてえ…ってなったんだから仕方ないね…かわいいんだもんね…

アニメ放映中に開催された初のタイバニオンリーで、私だけが百合本を出していた記憶があります。ありがたいことに完売をしたので、ああよかった~異端者だと指さされなかった…と胸をなでおろしたのでした。

これは以前からの性癖なのですが「公式カップリングを最低限尊重しつつ、自カプ(捏造)を加え入れる」という行為が大変好きで、どうすればすでに好きな人がいるキャラに対しそれを邪魔しない程度にくっつけられるかな?と迷ったり、所詮二次創作の捏造の妄想なんだし!と割り切って安易に両立させたり、逆に自カプのあとから惚れたほうが勝手に身を引いたり…というのをこの本でもやっています…今後私の本でも何度も出てくる概念なので、覚えておいてください。必修科目です。

この二人、「同じヒーローである」というところ以外実はそんなに接点らしい接点がない…微妙に燃料がないので完全に「こうなったらいいな」というところからスタートしました…いいんだよ互いに競い合ってるヒーロー同士で訓練施設だって共同で使ってるんだから接点ある!同じ画面内に入ってる!!!!!


●お気に入りカット

左:下コマのドラゴンキッドの目の描き方(ハイライトの入れ方)が気に入って、今後多用し始めます。

右:上で説明した概念に触れている4コマです。青薔薇ちゃんにはおじさんを好きでいてほしいので…



2011年8月発行「とうめいなこころ」 東方二次創作 ゆからん+チルノ本

あらすじ:炎天下の中我が家に帰ってきた藍が見たものは、攫ってきたチルノで涼をとる紫の姿だった。チルノは「レティを探すために幻想郷を探し回っていた」と言うが…

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自分の現在の漫画演出・背景の書き込み具合などはこの本からだいぶ固まってきた感じがします。三白眼(四白眼)チルノのデザインはまたも他の作家さんが描かれたチルノの影響と、アニメ「ヤダモン」を思い出しながら描いたものです。キャラ観もいわゆる「⑨」よりももうすこし賢そうな、わがままで考えなしだが愚かではない程度の悪ガキ…みたいな幼さにしました。レティのすみかの設定についてはもう完全なるオリジナルで、この幻想郷で紫の手引によって現代からひっぱってきた電気の通った部屋でクーラーガンガンにかけて過ごしてたら面白いだろうなぁ~と思って描きました。ゆからん要素は比較的薄めかと思いきや、後半に突然イチャイチャをぶっこんできてるので何が何でもゆからん本にしたかったんだと思います。「ゆからんが根底にある幻想郷でいろんなキャラがわいわいする」という自分の本に見られる特徴はここから顕著になっていきます。


●お気に入りカット

左:四白眼チルノです。紅魔郷では若干三白眼っぽく見えるから!と自分に言い聞かせてました

右:この時期はうろジョジョと究極超人あ~るにドハマリしてたのが2コマ目でわかります。



2011年8月発行「きみは なにを みてる」 東方二次創作 ゆからん(幼い藍)本

あらすじ:夏の終わり、幽々子のところで花火や酒を楽しむ紫、そして小さい藍。妖忌と遊んでいた藍がふと紫を見ると幽々子と仲睦まじくしており… 幼い恋心とおじいちゃんの物語。

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いわゆる妖忌本です。これもまた他の作家さんにめっちゃくちゃ影響を受けて「妖忌が描きたい!描きたい!」という気持ちが素直に前に出た本で、ゆからんではありますが妖忌メインの本となりました。見た目は完全捏造で忍たま乱太郎の山田先生をかなり意識してデザインしました。作画全体としては、この時期入江亜季先生に多大な影響を受けて、そのような画作りになっています。

妖忌が「おれだってなぁ!」と怒るシーン、これは妖忌の若い頃は一人称が「俺」だったろうと考えて当時の一人称がポロッと出たというイメージであり、ミスではないです(笑)目に入れてもじぇんじぇん痛くない幼い幽々子の図は、1コマしか出してませんがお気に入りです。

ちなみにタイトルは久保田利伸の曲から拝借。曲名を同人誌のタイトルにするやつ、やりたいやりたい!と思いつつ一度もしてなかったのですが、ようやく叶いました。


●お気に入りカット

左:幽々子も妖忌もこれで描くのが好きになったので、今後何度かゆからん本に登場します。

右:おれだってなぁ!のシーン。「俺の若ぇ頃ぁなぁ!!」(おやっさん)な感じで読んでください。



2011年8月発行「ねむたいゆかりさま」 東方二次創作 ゆからん(小さい紫)本

あらすじ:恒例の冬眠前、省エネと称して体を小さくしている紫。今にも寝そうなほど船を漕いでいる紫だが、かたくなに布団に入ろうとしない。年末大掃除で忙しい藍は紫に自分を手伝わせようとするが…

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小さい藍とくれば、小さい紫も描かざるを得ないでしょう(?)しかし「幼い紫」ではなく「小さい紫」の話です。結界維持などにリソースを割くために自分の体を小さく維持したりするんじゃないかという脳内設定をそのまま描きました。昔からフィクションの食事シーンは見るのも描くのも好きだったのですが、力を入れ始めたのはこの本からですね。2年前・1年前の本と比べると仕上げがだいぶ垢抜けてきた感あります。


●お気に入りカット

左:おこたに鍋のシーン。ここから料理作画に力を入れるようになりました。

右:左下コマ、紫が見ていないところでは足でふすまを開けるようなガサツな一面もあるよ、ということで。



2011年の発行冊数は5冊でした。

社畜を脱した年だったのですが、その本領発揮となるのは次の年からです…

というわけで、次回に続きます。

今回振り返った本も、タイバニ本以外はすべてBOOTHに電子版登録いたしましたので、興味がわきましたらぜひ読んでみてください。よろしくお願いします。

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