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シュルルル…シュルルル…。 夜の森で静かに不思議な音が響く。 ッ……ぅ…、ぁ…ッ……。 小さく漏れる呻き声、その声の主は若い狼の青年。その体の腰から下は白い糸で包まれ繭にされていた。 糸を吐く者は蚕を人型にした様な姿で、楽し気に口元を歪ませながら糸を丁寧に巻き付けていく。 側にはもう一人、獅子の青年もいた。彼は口元に糸の膜を塗り付けられており声を出せず、近くの樹に大の字になるよう磔にされていた。 狼の友人なのか弱りきった彼に必死に声をかけようとしているが、膜のせいで声が一切出ずにいる。その間にも狼の体は白い糸で着実に包まれていき遂には顔が出ているのみになった。 「可愛い…。もう少しで楽にしてあげるわね…?」 見た目とは裏腹に大人びた艷のある声色で囁く。狼は小さく首を振るが彼女はその頬に手を伸ばし、顔を寄せる。 そして彼の唇を奪うと、虫にはないはずの舌を絡め濃厚な接吻を始める。狼の体が震えると、獅子は必死に体を捩り彼を助けようともがく。 というのも、狼がここまで衰弱したのはこの接吻を何度も受けたからだった。舌を絡めしばらくすると、ゴクン…ゴクン…と彼女は喉を鳴らす。 それに合わせて狼の顔からは精気が抜けていき、ビュルルルルッと音を立てて射精を始めるのだ。 今回もやはり同じ。ゴクンと喉を鳴らし始めると狼は射精をしながらどんどん衰弱していく。顔は痩けていき、凛とした元の面影は全くない。 そして、彼女は彼から顔を離すと糸引く唾液を舌で舐めとり満足げに笑う。 狼は目を閉じ、呻き声もあげなくなってしまった。そんな状態の彼に彼女はまた糸を噴きかけていく。 シュルルル…シュルルル…。 また、森にこの音が響く。 そして狼は完全に糸に包まれ繭にされてしまう。 ドクン、ドクンと脈動する音がし始めれば獅子はその様子を心配そうに見つめる。 彼は無事なんだろうか、中でどうなっているのだろうか、必死に抵抗を続けるも糸は全く切れる気配はない。 「気になる?彼がどうなるのか。」 彼女はクスクスと笑いながら翼をばさりと羽ばたかせる。キラキラと光る鱗粉を撒き散らせば楽しげに続けた。 「彼は私の息子になるのよ?この繭の中でね。」 息子になる、彼女はそう言った。 意味を読み取れず困惑した表情を浮かべる獅子へ彼女は近づく。 「あの繭の中で、あなたのお友達は自分の体を変化させ私と同じ蚕になるのよ。今すぐ助け出せば間に合うでしょうけど、こんな所まで誰も助けになんて来てくれないわ。」 思いもよらない言葉に目を見開き必死に体を捩る。大切な友達が彼女と同じ存在にされてしまう。嫌だと必死に首を振り、彼を助けようとするがどう足掻いても若い獅子にはどうすることも出来ない。 繭はドクン、ドクンと脈打ち中の狼が変えられていっている事をまざまざと伝えてくる。 「あなたはどうしようかしら?」 ビクンと体が跳ねた。彼を助けようと必死で忘れていたが自分も同じ末路を辿る可能性が高いのだ。彼女は笑いながら楽しげにこちらを見つめる。 「そうねぇ…あなたには三つ選択肢をあげるわ。まず一つ目、あの子と同じように私の息子になる。」 嫌だと首を振る。自分が自分でなくなるなんて嫌だと獅子は拒否を意思を必死に示した。 「じゃぁ二つ目、私の卵をお腹の中にたっぷり産み付けて上げるから子どもを産んでちょうだい?息子をこうやって作る事も出来るし成体のまま増やせるけど数が少ないのよ。だから、あなたには沢山の子を産んでもらう。」 その選択肢も到底受け止められる内容ではなかった。雄にも関わらず、卵を産み付けられ、子を産むだなんて雄としての尊厳を踏みにじられる事は受け入れられなかった。尚且つ、出産までの間どんな事が起きるのか想像もつかない恐怖、獅子はこの選択肢も拒否した。 「それじゃあ最後になっちゃうわよ?三つ目はさっきお友だちにキスしてたのは見てたわよね?あれ、あなたがその可愛い命が消えちゃうまで吸い付くしちゃうわ。これが最後の選択肢。さぁ、どれがいいかしら?」 どれもマトモじゃない。もう、無事に帰ることは完全に出来ないと悟った獅子は恥も捨てて恐怖のままに失禁する。スボンを濡らし、尻尾を前にくるんと回して怯えながら必死に考える。 どれが一番ましなのか、そうこう考えていると繭の脈打つ音が早くなり始めた。 「あら、思ったより早かったわね。はじめまして、坊や。」 繭がゆっくりと中からビリビリと裂かれていく。そして中から出てきた彼は目の前の彼女とほぼ変わりのない蚕の化け物になっていた。 一つ違うところと言えば股間の生殖器だけは元々のまま、根本に瘤のある形だったがそれ以外はもうどこにも狼としての姿はなかった。 「……何も、思い出せ、ない。母さん、どうなってるんだ…?」 声は彼のままだった。しかし、その言葉は獅子の心をゆっくりと砕いていく。 「あなたは生まれ変わったのよ。今日生まれ直したの、これから私と沢山思い出を作りましょうね?」 彼は小さく頷くが、何か引っ掛かりを覚えつつも彼女の言葉に従う。そして森の奥へと消えていってしまった。 「さて、それじゃぁ…決まったかしら?」 彼女は首を傾げ顔を近づけてくる。 獅子は希望を失った瞳で見つめ、手で1と示した。 どうせどれを選んでも助からないがせめて、友達といたいと考えた結果だった。 「いいわよ、じゃああなたも息子にしてあげる。今回は繭じゃなくてここで呑んで中で変えてあげるわ。」 そういうと彼女は臀部に尻尾のようについた大きな蚕本来の腹部の形状をした器官を指差す。そして獅子の拘束を解き、口元に貼り付けた糸の膜も外していくと、服を脱がし全裸にさせた。 「それじゃあ、呑むわよ。すぐ中に入れてあげるから最後に獅子としての時間を大切に過ごしなさい?」 くるりと後ろを向くとその器官を高くあげ先端の口を拡げていく。中はピンク色をしており、中は粘液が糸を引いている。獅子は呆然と立ち尽くしその口を見つめていると、頭目掛け蛇のように迫る。 ブチュンッ、と音を立てると獅子の姿はなくなりその代わり器官の形がぼっこり膨らみ中に彼が呑まれたのが分かる。 「くさ…。」 中は生臭い牝の匂いと、牡の匂いが混ざっていた。恐らく色んな人がここに呑まれ子どもに変えられていったのだろう。そんな事をぼんやり考えながら自身の腕を動かし肉棒を掴む。 きっと、自分の精液を出せるのはこれが最後。生存本能を刺激され勃起した肉棒はぬるぬるとした体内の影響もあってこれでもかと固くなっていた。 手を上下に動かす。ニチュニチュと音を立てながら人生最後のオナニーをしていると少しずつ体に糸が絡み付いてくるのが分かった。 この白く濁った粘液は、彼女の吐き出す糸の元だと理解する。ネトネトと絡み付き体を覆い始めるのを感じれば、扱き上げる速度を上げ必死に最後の快楽を貪る。 そして、体を強ばらせブビュルルルルっと射精をしていく。獅子らしく力強く量も多い、精液も濃く牝に注げば子も簡単にできたはずだった。 しかしその精液が遺伝子を残すことはもうない。獅子は射精しながらも必死に扱き、精液を噴き出していく。どんどん糸が体を覆い、意識も蕩けていく。 自分のこと、両親のこと、大切な友達のこと、それらがゆっくり消えていくのを感じながら最後まで手を動かし射精を続ける。 数分後、彼は彼女の体内で繭に包まれ意識を失うとその手を止めた。 ドクン、ドクン。 脈打つ音が響く、彼女は体内で必死に射精していた彼が繭に包まれた事を感じニタァと笑えば上機嫌に獅子を飲み込んだ器官を揺らしながら森の奥へと消えていった。

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