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「よ…よろしくお願いします……」



エマは小さな浴室で客を迎え入れる。

そのたどたどしくて垢抜けない仕草が、たまらなく客の加虐心に火を付けてしまい、豊満な胸はたちまち揉みしだかれた。


エマは男の人が苦手だ。

それはこうして毎日のように店で抱かれるようになっても変わらない。

それでもこの仕事を続けているのは、どこか幻獣様に仕えていた頃に似ているような気がしたからだ。


魔幻獣に使える巫女の一族だったエマは、幼い頃からいつも幻獣様のそばにいた。

それは粗暴で荒々しく、直接心を通わせる事はできない存在だったものの、孤高で、頼もしく、そして力強くもあった。幻獣様に仕えるのが全てだと思っていたエマにとって、使えるべき主を失ってしまったことは、自分の存在意義すらぐらつかせるもので、どこかぽっかりと心に穴があいてしまったかのようだった。

アンジェラやエレノア、キャトラなどの友人たちと交友することで、少しは和らいだものの、やはりどこか空虚感が拭えない。

そんなエマを見かねてキャトラが紹介したのがこの店だった。


はじめはびっくりした。どうして自分がこんなことをしなければいけないのかと。

破瓜の夜は痛みと羞恥で枕を濡らすほどだった。

でもこうして毎日男の人と向き合っているうちに、自分がなぜこの仕事をするのか考えるようになってきた。


客は皆、欲望に忠実で、エマの身体を貪り、性欲をぶちまけることしか考えていない。その思考はあまりにも愚直でシンプルなものだった。

その荒々しい精神を、自分は優しく包み込むことができる。欲望を身体全体で受け止めると、まるで赤子のように甘えてくる。


自分が幻獣様との間に感じていたコミュニケーションも、これに似ていたような気がした。たしかに”あれ”の知能は低く、文字通り獣のような存在だったけれども、たしかに愛に飢え、巫女であるエマの奉仕を受け入れていたのだ。


「そ、そんなにがっつかないでください…」


眼の前の男が考えていることはただ一つ。エマの中に入り込み、その一番奥で果てたい。

それを優しく受けとめてあげるのが、自身の役割だと、エマは思うようになっていた。

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