うさぎ小屋再建計画(1) (Pixiv Fanbox)
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東風谷チノの父親である現マスターが不在になってから半年が立ち、カフェは経営難に陥っていた。
学校に通っている子どもたちだけで運営していくのには限界があり、客離れが進んでいる。天崎リゼを雇う余裕がなくなったためアルバイトをお休みしてもらい、今は実質無給に近い住み込みの本堂ココアと、東風谷チノの二人だけで運用している。
チノの父親が帰ってくるアテはなく、風の噂によると戦場で行方不明になったらしい。もし戦死ということなら国から特別弔慰金が出るが、未だ生死不明のためそれも受け取れない。
そんな窮状を知って、救済に入ったのがマスターの弟である自分、通称Yさんだ。
マスター代理としてこの傾いたバーとカフェを立て直し、再び盛況なお店とすると共に、チノとココアという二人の子どもたちを養う。それが使命である。
「それで、これから何をするんですか」
チノちゃんが感情の薄い視線をこちらに向けている。
手始めに改装したお風呂場にエアーマットを敷き、チノちゃんに座ってもらっている。一切の服を身に着けずに。
まだあまり恥ずかしいという気持ちが育っていないのか、申し訳程度に身体を隠すくらいで、あまり動じてはいない。チノは自分にとって姪っ子にあたる。昔いっしょにお風呂に入ったこともある仲だ。もっとも赤ん坊の頃だから、覚えていないだろうけれども。
「ラビットハウスを立て直すんだよ、チノちゃん」
「それはさっきも聞きました。だからこれから何をするんですか。
…こんな格好で…」
ほんのり羞恥が顔を陰らせる。そんな初々しさも可愛い。
胸はまだあまり膨らんでいない。14歳ならそんなものだろう。
「これからラビットハウスは、夜の営業もすることにしたんだ。」
まず手始めにチノとココアの二人を"接客"できる状態に持っていかなければならない。経営が軌道に乗ればリゼも雇い直そう。そうそう、彼女たちの同級生もなかなか可愛い子たちが揃ってるそうじゃないか。ゆくゆくはシャロや千夜、メグマヤも雇って……
この小さな兎小屋の再生計画は、これから始まる。