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新春姫初め

クジョウの島の遊郭が一番賑やかになるのが元旦である。 厄を落として新しい一年をスッキリと迎えてもらうために、それぞれの楼閣がこぞって「新春姫初め」のキャンペーンを実施するからだ。 普段所属している姫だけでは到底回らないので、この日は臨時のバイトを雇って接客にあたる。 トワも今日だけ働くことになった臨...


遊郭の姫初めに、カスミも動員されていた。


カスミは基本的に男嫌いである。

恋愛というのも書物の中でしか読んだことがない。

小説の中では美しく素敵な存在として男性が描かれている。

現実はその逆で、粗野で無骨でデリカシーがない。


よく読む恋愛小説には二人の素敵な夜の時間についても描かれているが、現実のセックスはそんな美しく華やかなものではなかった。

もっと肉欲的で生々しく、五感にダイレクトに訴えかけてくる。


ごつごつした男の腕に抱かれ、繊細さの欠片もない指で身体を弄られると、嫌悪感が先にくる。

だがひとたび閉じた蕾を押し開かれて、そこに挿入されると、どうしようもないほどの多幸感に襲われてしまうので困ってしまう。

これを気持ちいいと感じてしまう自分の身体に嫌気が差す。

花弁を拡げられて、その奥にある普段は閉ざしている本能が悦びを感じてしまう。


なので男にベタベタされるのは嫌いだが、性行為そのものは嫌いではなかった。

ときどき遊郭でアルバイトをすることになったのはそのせいで、ここなら合法的に恋愛感情を伴わないえっちができる。

お互い、肉欲を満たすという目的だけで一晩を共にするのは理に適っていた。

だがそんな淫らな行為にふけってしまう自分が好きではないので、これを生業にするつもりはない。あくまでも一時的な、その場しのぎのアルバイトだった。

この島では若い女性が遊郭で働くのはごく普通のことで、それほど珍しいことではない。


カスミは相手の顔を見なくても良い後背位の体位が一番好きだが、このポーズはどうしてもお尻を晒してしまうことになる。

「そ……そこは…!」

客に後ろから突かれていると、お尻の穴を弄られ始めた。

「いい反応するねぇ。こっちで楽しんでみたい気もするけど……でも今日はせっかくの生プランだからやめとくか。」

「そんな……」

思わず本音が出る。

いつでも後ろでされていいように、予め綺麗にしてあった。

お尻の方に挿入されると、前の穴とは違って神経にダイレクトに刺激が来るので、苦しさとはまた別の感触があった。

それにお尻ならいくら精液を出されても安全である。えっちは好きだが膣内射精されるのは怖い。


カスミには親同士が勝手に決めた許婚者がいる。

もし夜遊びが高じて孕んでしまったら、破談になることは間違いないだろう。

でも相手のことが好きではないし、結婚するつもりも毛頭なかった。

いっそ破談になってしまうのも悪くはないか…


そうぼんやり考えているうちに熱い液体がドクドクと膣内に注ぎ込まれるのを感じた。

やっぱりこんな名前も知らないおじさんに孕まされるのは嫌だ。

どうせなら飛行島の……


カスミは初体験の相手の顔をふと思い浮かべていた。

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