裏の仕事(2) (Pixiv Fanbox)
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ヴィンセントの経営する遊郭でアルバイトすることになったミレイユは、まず手始めに水揚げの儀式を行うことになった。
水揚げとは遊女見習いがデビューするに際し、処女を喪失させる行程のことだ。
通常、経験豊富なベテランの常連客が行い、できるだけ嬢に負担にならないように優しく扱うことが求められる。
一人の男によって晴れて処女を散らされたミレイユは、火照る身体をシャワーで冷やしながら、ぼーっと考え事をしていた。
― 思ったよりは辛くはなかった。
最初の瞬間は引き裂かれるような激痛があったけれど、塗ってもらった痛みを軽減する作用のあるローションのおかげで、鋭い痛みは無くなった。
身体の内側をえぐられるような違和感に耐えているうちに、味わったことのない感覚がお腹の底から湧き上がってきた。
それは一突きされるたびにどんどんと大きくなっていって、胸が一杯になった。
無我夢中でそれを受け止めているうちに、気がついたら終わっていた。
思っていたよりはつらくはない、むしろこんなものでお金をもらっていいのかというほどだった。
今日はこの水揚げだけで5万G貰える約束になっている。身体はくたくたなので今日はこれでお終いにしたいが、また明日やってもいいと思った。
明日からは一人相手するたびに2万G貰えるらしい。1日3人くらいのペースでいけば、10日で60万G。
この調子なら、未払いの家賃を払うどころか、借金を全部返済して、それでも余るくらい稼げそうな気がする。そうしたらお兄ちゃんのお小遣いも増やせるし、一帳羅の服だって新調できる。それからカティア様を探す旅に出ることもできるかもしれない。
一気に夢が拡がっていく。
― そういえば。
そういえば一つ気がかりなことがある。
シャワーを浴びながら股間に手を当てると、そこからどろりと白いものが零れ落ちてきた。
随分たくさん出されてしまった。しかもこんなに濃いものを。
授業で習ったことがある。保健の授業だっただろうか。子供が欲しいわけではないときは、きちんと避妊をしなさいと教わった。
でも避妊っていうのはどうすればいいんだろう。避妊具の使い方も、それがどこで手に入るのかもわからない。
― ヴィンセントさんに聞いてみようかな…
でも。それで機嫌を悪くされたりしたらどうしよう。そんなこととんでもないと言われたら。そうしたらここで働けなくなってしまう。それに、そういうことを聞くのはなんだか恥ずかしい…
お客さんが何も言っていなかったのだから、きっと大丈夫なはず……。
― それよりも。
そうだ、今日のお金をもらったら、帰りにちょっと高いお肉を買って、お兄ちゃんに久しぶりに美味しいものを作ってあげよう。
シャワーで顔を洗って気持ちを切り替えると、自然と笑みがこぼれてきた。