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親友ベッキーの無実の疑いを晴らす為、正々堂々一対一のプロレス勝負に臨んだセーラ。

しかし実際は、コンデションの面でも、ジャッジの面でも不公平な舞台での闘いだった。

審判を務めるミンチン学院長の介入や、それを計算に入れたラビニア・ハーバートの反則混じりの戦い方に痛めつけられるセーラ。

右膝に致命的なダメージを受けてしまった今、ここから勝機を見つけ、この逆境を覆す事は可能なのだろうか。






グイ

「ホラ立ちなさいなセーラ」


「うっ・・あぅっ・・!」




痛みのあまり、意識も朦朧としているセーラの髪を引っ張りリング中央に引きずっていくラビニア。


まるで抵抗できない状態のセーラ。

足を固められ、両腕を引っ張られながら吊り上げられる。


ロメロスペシャル 別名、吊り天井固め。

華奢なセーラの体が弓なりに反り返される。





ギッシィ!

セーラ 「はうっ! あぁあっ!」


背筋から腰までを無理やりに反り返され、身体中が軋みを上げる。

両手両足を拘束された体勢では、ラビニアが攻め疲れるまでその痛みに耐え続けるしかない。



「ふっ!   ふんっ!」

ギシィ   ミシミシ

「はぅっ!  ぁはあっ!」


リングが設置されている講堂には

二人の年若い娘の吐息の音が響く。


褐色の髪の娘の吐息は、痛みにさらされ苦悶に満ちて聞こえてくる。

金髪の娘の吐息は、息を弾ませながらも愉悦に満ちて聴こえてくる。

息遣いの音が、二人がどれぞれ置かれている立場を雄弁に語っていた。






「ハア・・・ハア・・!うああっ!!」





ドシャッ




どれだけ釣り上げられ続けたか。

ここまで徹底的に痛めつけられ続けたセーラ。

まさに息も絶え絶えだったところに加えられたロメロスペシャルによって、身動きすら取れずにリングに這いつくばっていた。

セーラ 「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ぁあぅ・・・」





ラビニア 「ふう・・もう限界なのかしら?

      ダイヤモンドプリンセスなんて派手な呼ばれ方してたのに随分もろいのね♪」









そんな弱り切ったセーラの体にラビニアの長い腕が巻き付く。

脱力してだらりと腕を落とすセーラを無理やりに抱え起こしていく。




セーラ 「ぁああぁっ!」






ズダアン!

ラビニア 「はうっ!」





しかし、虫の息と思われたセーラがここでリバーススープレックスで返す!

ラビニアをマットに叩きつける。


「はぁ・・・はぁ・・・ぜぇっ・・」




「・・・んぁああっ!」






ぶわぁっ






ズッダアアアン!

「・・がはぁっ!!」




息も絶え絶だったセーラが、ここで残された力を振り絞って、強烈な投げっぱなしのパワーボム!




全ての力を振り絞ったのか。

セーラがふらついた足取りで、よろめきながらもラビニアの元へ。





ずん

倒れこむようにラビニアの上に折り重なるセーラ。

フォールに入る。






・・・





・・・






バッ!








セーラ

「な、なんでカウントを取らないの!?」






ミンチン学長

「・・・あら、ここからでは両肩がマットに付いているかわかりませんからねえ・・・

これではカウントは取れませんねぇ。」





「そんな!そんなのって無いわ!」









ラビニア 「くっ!このぉ!」

ドッ!ガッ!ガッ!

セーラ 「うあっ!」


ここでラビニアが放心状態から目覚める。

上体を起こしてエルボーの連打でセーラを引きはがす。


時間にして十秒程度。しかし非常に重大な十秒をミンチン学長によって浪費されてしまったセーラ。

この試合最大の勝機をセーラは失ってしまったのだ。










ドカァ! 

「・・ぁがあっ!」





ズルズル・・・




ズドム!!



がはあっ!






ろくな準備も出来なかったための最悪のコンデション


スタミナを浪費しすぎ、朦朧とした意識


痛みを通り越して感覚も無くなってきた右足


そして、最後の力を振り絞った反撃も水泡に帰した






折れそうになる心をぎりぎりで支えているセーラ









ラビニア

「あら?・・ふふ。

 ねえ、セーラ。お客さんが来てるみたいよ?」





「?・・なに・・言ってるの?」




ベッキー 「・・・セーラ」


セーラ 「・・・ベッキー?

    どうしてここへ?

     ?・・・その服は?



ベッキー 「この服はね・・・ラビニア様にいただいたの。」



セーラ 「・・え・?」

ベッキー

「ごめんなさいセーラ。わたしが盗みで疑われてるっていうのね・・・あれ、嘘なの。


貴方を試合に誘い出せたら、ラビニア様が専属の侍女にしてくれるっていうから。


貴方が怒って抗議に行くように仕向けたのよ。」



セーラ

「・・・! な・・・なんで・・そんな事・・・」



ベッキー

「私はもう・・・奪われる側は嫌なの。


 だからこれから奪う側に回るの。


  貴方が学園長とラビニア様の奴隷になれば


   私は侍女になれる! 召使じゃない! 


    侍女よ。レディースメイド!


だからお願いセーラ。負けてちょうだい。」






「ああ・・・・ベッキー・・・嘘でしょ・・

・・・じゃあ・・わたしは

 何のためにこんな試合を・・・」







バコッ!

「がはぁ!」





セーラの意識が場外に向いているところへ顔面への前蹴り。

崩れ落ちるセーラの髪を掴んで立たせるラビニア。






ドスウッ!





ドス!ドス!ドス!

「がふっ!ふうっ!ぐふうっ!」



そこに見舞われる強烈なニーキック

繰り返し突き込まれる膝蹴りが

セーラの内臓を突き上げる

ドス!ドス!

「ふん!ふっ! お友達に見捨てられて悲しいわねセーラ?」




もはや満身創痍の上、戦意も折れてしまったセーラに対し、ラビニアの追い討ちは止まらない。



「えぼぉっ・・!」 


えずくセーラを起こして前から抱き抱える



そこから





ドゴ!

「んふぅっ⁉︎」

マンハッタンドロップ!


「んあああっ!!」



股の間は両脚からの神経が集まる急所である。


神経の束がある部分を膝に打ち付けられればどうなるか。


激痛が走るとともに膝は笑い、体を支えるので精一杯になるセーラ。



そんな抵抗すら出来ないセーラの頭を掴み、ラビニアは狙いを澄ます。




バキ!



ラビニアの強烈な右の蹴りが、正確にセーラの顎下にヒット。

その場に崩れ落ちるセーラ。



力なく横たわるセーラ。

今、フォールに入れば容易く試合は終わる。


しかし、それにも関わらず、ラビニアはコーナーポストへ向かう。









ズドン

「がはあっ!」



「・・あ」





ズン

「・・・え?」







「さてと・・・続きはどうしようかしら?」




「やだ・・・や・・・もう・・やめて!」






「いい顔よセーラ!そうゆう顔がずっと見たかったの!」









「はっ! はっ!アハ ふっ! ふっ!フフ」

ドカ! バキ! ゴッ! ドガ!

「ぁあっ! ぐっ!  ぁが・・・ごふっ!」


ラビニアは息を弾ませながらセーラの無防備な顔面を殴り続ける。

その吐息には暗い悦びすら宿っているように見える。


ドカ! バキッ! バコ!


ため込んでいた暗い衝動を容赦なくセーラに叩きつけ続けるラビニア。


闘志が折れたセーラに対する蹂躙はたっぷりと続いた。



そして






ドグシャアッ!




「・・ごっ・・はあっ・・!」





リングマット頭から突き立てられた体勢のセーラ


ラビニア

「まるで潰れたカエルみたい♪

これがプリンセスの成れの果てなんて・・

まったくひどいメルヘンね♪」


ガッ

ミンチン

「ワン!」


「ツー!」



「スリー!」

カンカンカーン!





ミンチン

「お疲れ様でした。ラビニアさん♪

素晴らしい勝利ですこと♪」


「ありがとうございます学院長。

ご満足頂けたかしら?」


「あら?わたくしは公正な試合を見届けただけですよ?」


「ふふ・・そうでしたわね♪」



試合開始から35分。

公正な勝負を謳われて始まった試合は

こうして幕を閉じた。


逆境を覆すための最後の頼みの一戦は

実際にはセーラのさらに貶めようと望む者達が、周到に仕組んだ罠だったのだ。

かつて小公女と呼ばれたあるひとりの少女が、こうして全てを失ったのである。

産業革命からの勢いが続く華やかなりし時代の片隅で起きた、はかない小公女の悲劇であった。




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Comments

Anonymous

酷いわ、、、。人間って怖いね。

f.k

信じていた者に裏切られて、無残に敗北したセイラ。 壮絶なBADエンドですね。 後日談とかで 「奴隷になったセイラ、ラビリア達にドミされ続ける」 とか見てみたいですね。 他にも単発シチュとかで 「ラビリアの首4の字で締め落とされるセイラ」 など、今回使われなかった技でのセイラ受けなども。 (ラビリア、脚も綺麗なので、それで締めるシチュも見てみたかったり)

たこやきちゃん

境遇の面でも精神的な面でも、どん底に突き落とされるBADエンドとなってしまいましたね。 せめて親友が買収されてなければ、最後にもうひと頑張り出来たかもしれませんね!

sonya

卑劣さと裏切りの前には正直な人は惨めになるだけですね

Anonymous

花の似に無垢なセーラはこのまま凋んで落まいました......胸が痛い悲劇です......忘れられない物語

たこやきちゃん

はかりごと多きは勝ち少なきは負けるというやつですね。 セーラさんはこれから大変苦しい日々が待っているのでしょうね。かなしい・・

Anonymous

とても重い話でしたけど面白かったです。セーラにはどん底からなんとか這い上がって欲しいです。

たこやきちゃん

ありがとうございます!逆転劇の爽快さとは真逆のきつい終わり方でしたがこうゆうのも楽しんでいただければ嬉しく思いますっ!今後ともよろしくでございます!

ぼまいえ

えげつなすぎるラビニアちゃんの追い込みにゾクゾクが止まらんかったッす! 執拗に続く蹂躙の果てに無様な失神姿をさらす麗しの小公女。 そのほの暗く、残酷なエロティックは文学的ですらあるッ!

たこやきちゃん

あざますっ! ラビニア嬢の陰湿かつ執拗な痛ぶりはなにがしかのコンプレックスの裏返しかもしれませんねっ。世界の名作文学のバックボーンが物語に文学感を醸し出していたなら我が意を得たりでございますっ。

カン

悪徳レフリーを思い出しますね。ヒール対ベビーフェイスの試合でベビーフェイスが負けてしまう展開とかね。 屈辱的な態勢からの踏みつけフォールも良かった!

たこやきちゃん

悪徳レフェリーは公平な戦いが出来ないやるせなさとかを出せて非常に素敵な設定ですね!シングルマッチで悪徳レフェリーにするとハンデが非常に重くのしかかりますね。 ヒール側の卑怯要素は今後も色々考えてまいりたいところですっ。

Anonymous

(審判が)いい仕事してますねぇ・・・  可憐な花が散るさまは春らしく大変見ごたえがありますね!

たこやきちゃん

花が散るとは趣のある言い方でございますねっ。春先の爽やかさとは全然逆な重めの話になりましたがこんなお話も楽しんでいただけたなら嬉しいです!