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 あ~よくわかんないけどいつの間にか緊急事態防止措置も明けてた! いつから? こないだ? わかりませんけどこの間からっぽいね

 しかし営業時間短縮が個人的にはやっぱりさみしくて,夜とかに急にご飯食べたくなった時に選択肢がコンビニか遅くまでやってるスーパーしかないのって地味にさみしくないですか? 段階的にやっていきましょうっていうのは全然わかるし,こういうのを文面通りに律儀に守ってきたから幸いにして身内にコロナの罹患者は出てないですし,解禁されたタイミングで堂々とお酒が飲めるしで。


 そう,お酒が飲めるようになったのが今回一番大きいんですかね。リバウンド防止云々とか緊急事態云々とかそもそも外出しないから全く無縁だったんですが,勤め人である知人から「久々に飲まない?」みたいなLINEが来て,おいおい緊急事態宣言はどうなったんだよと思ったら緊急事態ではなくなっていました。コロナの陽性患者数もめちゃくちゃ減ってるし僕だけが完全に時代に取り残されてるっぽくてバビったね。でもコロナワクチンはちゃんと2回打ちました。この話はしたかな。したかも。

 さて,今日はアキバにある「魚や藤海」の話をしていいですか? ぼく去年までアキバの端っこの方に住んでたんですが(どれくらい端っこかというと,「じんるいのみなさまへ」でギリギリ水没してるぐらい),そこからほど遠くない場所にあった,かつめちゃくちゃ料理と酒が美味い上にクオリティ比であまりにも安いのでアキバに住んでた当時は頻繁に通ってたお店なんですね。安いとか言っても食べ飲み放題サンキュッパ! みたいなタイプの安さではなく,おひとり様でしっかり飲み食いしたら1人あたり1万円行くかな~ぐらいの「値段としてはそれなりに掛かるけど,パフォーマンスはそれ以上のものが出ている」感じのお店です。

 両極端な話になりますが,とにかく安くて値段なりのものが得たい人は「おすすめ屋」がおすすめです。ここは料理がちゃんと美味いし酒も手抜きしてないので良いんですが客層が値段なりです。あと原価高そうなメニューからどんどん消えていくのがちょっと寂しい……(これはしょうがないか……)てかおすすめ屋の話はどうでもいいんで藤海の話に戻します。


 藤海はご夫婦と少数のスタッフで回されてる居酒屋なんですが,ワーホリを指摘されるぐらい料理が好きな板長と,日本酒が好きすぎていつも冷蔵庫をギチギチにする女将さんのバランスがまずめちゃくちゃ良くて,このお二人が厨房とフロアを回してる空気感の中にいるだけでまず楽しいんですよね(ちょっと全体的に元気元気なトーンなので,合わない人もいるかもしれないんですが)。

 そんでもって仕事が丁寧かつ誠実であり,プライドを持ってやっている(ただしそれは押しつけがましい意識の高さではなく,自分自身の襟を正す矜持である)のが食事を通して伝わってくるのが本当に良い。

 Twitterがときどきバズってるのですが,そのバズるときも大体↓みたいな感じのツイートだったりしますし。


 引っ越してからアキバに行く用事自体がなくなってしまったので,自然と藤海に行く足も遠のいていたのですが,そういう感じでインターネットを通じて藤海の存在を身近に思うことは多く,あとDiscordで藤海に行った人がレポしてくれるので「そろそろ僕も行こうかな……」と思ってたところで,先述の知人の飲みの誘いは渡りに船でした。

 来たぞ~! マジで1年ちょっとぶりぐらいに予約したんですが存在覚えられててちょっと嬉しかったなとかいうのがまずあったりはするんですけど……料理については僕はその質を語れる言葉を持ってないので写真の羅列でいいですか?

 お通しのバイ貝(季節によって変わります,僕は貝好きなのでメチャウマ~と思って食いましたが,苦手な人は違う料理に変えてもらえると思う)

 刺し盛り7種です,板長は数が数えられないので毎回8種盛られています。あらゆる魚が酒のアテとして絶品で,まずは北海道直送のエビと水蛸食うために毎回この7種盛り頼んでるといっても過言ではありません。

 季節の料理,鮭の天ぷらです。魚のフライはよく見ますけど天ぷらってあんま見ないですよね。さくりと口の中で弾けるように歯切れのよい衣,旬の味わいを容赦なく楽しめるシャケ,超美味しかったです。

 シイタケの丸焼きです。傘の部分に露が溜まっていて,まずそれをすするだけでも絶品だったのですが,シイタケ自体も肉厚でぶりぶりとした歯ごたえが気持ちよく,シイタケの常識を覆されてしまいました。この料理何? シイタケの丸焼きって聞いてこのビジュアルで出てくることをまず想像できなかったんで何?? ってなったんですけど今写真見ても何? って感じだな

 痛風鍋です。白子,牡蠣,アンキモが入っています。

 そこに裏ごしされた追いアンキモが放り込まれることでカオスが到来して,全部終わってしまいました。旨味の暴力,炭水化物の津波,プリン体および尿酸値は各自調節してください。ぼくは昔10くらいありましたが今は5とか6とかで平穏なので全力で行きました。

 全力鍋は雑炊になり,そして我々は一滴も余すところなく鍋を楽しんだという事実だけが残るのでした。

 サンマの炙り握りとノドグロの握りです。美味すぎて1個食うごとに気絶しながら食ってたので時間の経過が早すぎてやばかった

 ここで隠れキャラのハラコ飯が登場しました。これはメニューに書かれておらず,板長が気まぐれで土鍋で炊いた分が任意で回ってくるので,行った日の在庫の具合によって出たり出なかったりする奴です。この日はラッキーなことにありつけた日でした。

 長い人生,様々な食のジャンルと接すると思うのですが,「炊き込みご飯」というジャンルにおいて「人生で一番美味いな……」という感想が素直に出るほどの絶品で,なんだろうな,炊き込みご飯を1000回作って1回でもこの味が再現できたら専門店開こうかな? ってぐらい美味しかったです,伝わるかな? 伝わらないですよね,すみません,感動を的確に言葉で表す方法がないんです,ただとにかく……美味かった


 で,お酒もめちゃくちゃ飲んじゃったんですよね。エヘヘ頭のお薬飲みながらお酒飲むなってあれほど言われてるのに(まあいいか)(あんまりよくない)(でもまあいいか)。単に料理をアテにお酒飲んでもめちゃくちゃ美味いというか,藤海は日本酒を本当に美味しく飲ませてくれるんですよ。この日本酒を美味しく飲ませてくれるっていうところが藤海の本質だと僕は思ってて,「おいしい日本酒がある」のと「日本酒がおいしく飲める」の差,たとえばちょっと気取った居酒屋だと,十四代だの而今だの黒龍の凄い奴だの花陽浴だ飛露喜だの新政だのまあ名の通ったを雁首そろえて並べて,さあ日本酒専門でござい,みたいな態度をとると思うんですが,藤海はそういう感じが全然なくて。環境がもうお酒をゆるやかに,楽しく楽しめるように出来ている。

 まず日本中から集めてきたなんだかよくわからん日本酒が何十種類,下手したら百何十種類とか? 事実上無限に冷蔵庫に並べてあって,他のお店ではちょっと見れないぞという女将セレクションを楽しませてくれるんです。そんでそんなに種類があったら自分じゃ選びきれないじゃないですか。そこで女将さんに日本酒ソムリエをやってもらうんです。「こういう日本酒が飲みたくて~」とか「今ある料理に合わせたくて~」とかは序の口で,何なら「日本酒はあんまり飲まなくて……」とか「日本酒が苦手で……」とかですら対応する日本酒が出てくる。何? 楽しすぎる……手が空いてる時はノリノリで対応してくれますし,忙しい時でもなんとか合わせたい!! という強い意志があって,ここもプライドの仕事だな~~と思います。ちなみに前述したようないわゆる「レアな有名酒」もしっかり揃えていて,タイミングが合えば飲むことが出来ます。お値段は相応ですが,市価から逸脱していないので凄いです。

 通ってた頃は「よく来てくれるお客さんは好みが見えてくるから,何も言わなくても好きそうなお酒を出せる」とか言ってましたし,「休業中,いろんな酒蔵を日本中回ったけど,思い浮かぶのは『あのお客さんにこのお酒飲ませたいな~』とかだった」とか言ってましたし,急に涙もろい話になってきちゃったな。あんまり僕がこういうの書いても仕方ないですよね。いいお店なんですよ。今回の記事も,ぼくが食べた良いもの自慢というよりかは,アキバに行く用事があって,ちょっとだけ豪華な食事と,素敵な時間を楽しみたい人がいたらぜひ行ってみてくださいね。っていう話がしたかったんです。


 てか,話少し戻っていいですか? 緊急事態防止宣言とか蔓延防止措置とか出てる時,僕はぶっちゃけ面白がる側で,インターネットで「路上 飲酒」とか「居酒屋 闇営業」とかで検索して出てくる,終わった日本の風景を見て楽しんでたんですよ。秩序が崩壊してる状態を遠目で見るの面白いなーって。対岸の火事状態。

 そんで自分は単純に感染リスクというか,わざわざ危険を冒したりデジタルに自らの愚かさを刻み込む必要がないのでそういうところに出向いたり,そういうわけわからんアホみたいな行動をしなかっただけだったんですが,結構知り合いの作家さんとかインターネットで発信してる身近な人とかでも「実は闇営業の店に行ってて……」とか「路上で酒飲んだりしてて……」とかボソボソこっそり喋ってたりしてなんかご時世難しいな~とか思ってたんですが。ですがですよ。

 1年ぶりとかに藤海行って,当然われわれ全員似たような価値観の人間なので,ごくふつうに「なんか外食でお酒飲むの半年とか1年ぶりかも」みたいな話をするわけじゃないですか。そしたら女将さんも板長もすごいそれを褒めてくれる。おおっ,と一瞬ひるんだものの,ここにわざわざ書くほどの事ではない(PVやバズがぼくの勝利条件ではないので)お話として,みんながルールをちゃんと守ってくれたから,藤海は藤海のまま再開できたみたいなことを仰るんですよ。

 それで,あ,となるわけじゃないですか。

 コロナ以前,以後で業態が変わったお店,潰れちゃったお店,潰れてないけど客層が大きく入れ替わったお店,そしてそれらの多くは大体われわれから縁遠い存在になっていることをわれわれは十分に知ってるな,と。

 そんでもし藤海がそういうお店の一つになってたらどんな気持ちでそれを迎えてたかなと。実際,1年前まではちょくちょく行ってたのに,今候補に上げようとしても「あそこはもういいかな」ってなったお店はかなり増えたんですよね。そう考えたら,緊急事態宣言とかを守らない,終わってる世界を俯瞰で眺めた気分で悦に入ってた自分がちょっと恥ずかしくなったりとかしたんですよ。

 たぶん1年前のぼくは,FANBOXで「コロナが終息するころ,今までと同じ生活が戻ってきたとしても,今までと同じ風景はほとんど戻ってこないか,それを維持するのには大変なコストが支払われている」みたいなことを言ってたはずなのに。

 のんきにお客さんとして藤海になーんも考えないで来て。1年前当たり前だったことが今当たり前じゃないのなんて十分に理解してるはずだったのに。とかそういうしょうもない内省をしていました。


 藤海はほんとうにいいお店で,出来るなら季節の単位ぐらいで行きたいのですが,前述の通りお安くはないので,たらふく飲んだり食ったりしてすっかり気分を良くしつつも,気付けばあっというまに3時間が経っており,次のお客さんも待ち構えてるので,今度行けるのはいつになるやら……(むしろまた来れるのやら……(主にお金の問題で))という感じでお店を後にしました。という週末の記事でした。いや競馬やってなかったら毎週末行くぐらいのことは全然できたと思うんですけどね。競馬についてはマジで反省してます。


 ほんとは直近のこと色々書こうと思ってたんですけど,藤海のこと書き始めたら気持ちがあふれてしまって気色悪い長文になってしまったな。フルスロットルで駆ける荒野。駆ける荒野。人生も同じです。ワイヤイヤ。記事書くパワー使い果たしたのでそれ以外の話とかエイプリルの話はまた今度! ではまた!

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