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こんばんは、スタジオ真榊です。今日は学習モデルのライセンスをめぐって界隈がちょっとざわついた件をめぐる、「もう一回自分の使っているモデルのライセンスを確かめてみよう!」という注意喚起系の記事です。


このたび「ChilloutMIX」というフォトリアル系の人気モデルのライセンス表記が急に変更となったのですが、このモデルは先日レビュー記事でもご紹介したAbyssOrangeMix3にもマージ(混合)されており、派生モデルにも当然それが影響します。改めてそれぞれのモデルで何ができて、何ができないのかを確認したいと思います。


ライセンス規定を確認しよう


ウェブ上で配布されている学習モデルには、各々にパーミッション(ダウンロードしたユーザーにどのような使用が許されるか)を示すライセンス規定が記載されています。ChilloutMIXは2/22以降、「あらゆる商用利用」「使用したことを明記せずに生成画像を公開すること」「モデルの転売」さらに「マージしたモデルを配布する際、異なるパーミッションにすること」をいずれも禁止するとのアナウンスがなされました。





こうした対応は、マージ元であるモデル「Dreamlike」のライセンスが商用利用不可であったことを受けたものではないかという見方がなされています。


ところで、気になるのは最後にAIコミュニティの発展に悪影響を与える行動、個人の権利やプライバシーを侵害するような利用は禁止すると強調されているところ。以前も少し触れましたが、ウェブ上では実在人物の容姿を再現する追加学習モデルなど、名誉権や肖像権の侵害に繋がりかねないファイルが共有されており、そうした追加学習モデルを利用できるフォトリアル系モデルもまた高リスクと認識されつつあります。自身のPC内のみ(まさにローカル)で楽しむだけなら問題ありませんが、ひとたび実在人物と酷似した架空の画像(特にNSFW)がウェブ上に投稿されてしまうと、予想もしない結果を招きかねません。また、事情を知らない人が実在人物の児童ポルノと誤解するようなフォトリアルな画像を生成することは、たとえウェブ上に流出しなかったとしても、非常にハイリスクな行為であることもご理解いただけると思います。


実在人物LoRAのダウンロードや利用については特に注意を払う必要がある、ということを踏まえて、ChilloutMixなどの現在のパーミッションを確認していきましょう。



Civitaiでは、配布されているファイルについての画面右側の説明文の右下にこうしたアイコンがあり、マウスオンまたはクリックすることで、どういった利用用途がユーザーに許されているかが表示されます。


Chilloutmixのパーミッション

こちらがCivitaiで現在規定されているChilloutmixの使用用途になります(機械翻訳)。このモデルをマージに使用することのみ可能となっており、あらゆる商用利用が禁じられていることが分かります。また、ChilloutMixをマージして作った学習モデルを配布する際に、これと異なるパーミッションに変えること(例えば商用利用可にすること)も禁じられていることがポイント。派生モデルにもこうしたパーミッションが当てはまるということになります。



AbyssOrangeMix3のパーミッション

こちらがAbyssOrangeMix3のパーミッションです。さきほどと異なり原文ですが、ご覧の通りChilloutMixをマージしていることから、同様に商用利用不可、マージ配布時のパーミッション変更も不可との記載になっています。



AbyssOrangeMix2のパーミッション

こちらは前モデル、AbyssOrangeMix2-hardのパーミッションです。こちらは


・作者のクレジット表記なしでの利用

・生成イラストの販売

・有償画像生成サービスにおける利用

・マージ素材としての利用

・モデルの販売、またはAOM2の派生モデルの販売


これらがOKとなっていることが分かります。


ライセンス確認で自己防衛!


ここをご覧になっている方の多くは既にウェブ上で入手したさまざまな学習モデルでローカル生成を楽しんだり、NovelAIやHolaraといった有償サービスを利用されたりしていると思います。特に優れた学習モデルはマージに継ぐマージによってどんどん


二次、三次派生モデルが生まれていくわけですが、その流れの上流でこうしたパーミッションの変更が行われると、下流側でも連鎖的にライセンス変更が促されるケースがありえます。


AOM3については現状、生成イラストの販売が不許可となっていますので、当FANBOXでもAOM3を使った画像が経済的利益につながるような記事は、支援者限定記事から全体記事に変更することとします。ご了承くださいませ。


既にFANBOXやFANZAなどでの活動にAI生成画像を利用されている方もいらっしゃると思いますが、今回のように、モデルをダウンロードした時点のパーミッションから後日変更になるケースもあるので、商用利用されるモデルについては特にライセンス確認の徹底をおすすめします。「配布者の後天的なライセンス変更が、ユーザーのダウンロード時に遡及して効力を発揮するのだろうか?」というポイントは少し興味がありますが、基本的には配布者の意向を最大限遵守して使いたいところであります。




そんなわけで、このところ一歩進んでニ歩下がる感じでシュンとなってしまいますが、引き続き元気に活動していきたいと思います。週末だ~!!


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Comments

ケン

難しい話が分からないワイ「要するに、個人で楽しんだりピクシブに公開するくらいならOKなんやろ?」って解釈してますが・・・そんな感じですかね?

エクスリック(砂越) リク×

自分のマージモデルAOM3入ってるから、 pixiv投稿する時はキャプションとかで明記した方が安全かー。

スタジオ真榊

その場合、どこまでのクレジット表記が求められるかも気になりますよね。モデル配布者によって感覚が違いそうですし。

スタジオ真榊

厳密にはそのモデルを使って画像投稿する場合は配布者のクレジット表記が必要になるんですよねー。chilloutmixは割と守られているみたいですが、aom3はそのあたり気を使っているユーザーが少なそう(パーミッションに気づいてないのかも…)

ケン

返信ありがとうございます。最近ピクシブに投稿始めたから他人事じゃないからなぁ。例えば、投稿した画像の説明文に「stablediffusion+anything-4.0で生成しました。」っていうような感じでいいんですかね?

スタジオ真榊

クレジット表記がどこまで求められるのか判然としないんですよね。どこに表記すればいいのか、またここで言う「使用」とは画像生成の都度を言うのか。毎回書き添えずとも、プロフ欄とかにまとめて書いておけばよいような気もしますが…

Anonymous

各モデルの対応について大変勉強になりました!そこで気になったのですが、そもそもAIで生成したこと自体はどこかに表記しないといけないんでしょうか(表記の記載が必要の場合は除く)。いろんなサイトでAI作品かどうかをすみ分けられていますが、なにが根拠でAI作品を分けているのか気になりました。

スタジオ真榊

「利用サービスの規約や学習モデル等のライセンスによって特に必要とはされていない場合も、投稿時にAI生成物だと記載しないといけない義務はあるだろうか?」というご質問と理解しました。fanzaやpixivなどいろんなプラットフォームで棲み分けがされていますが、その場合は規約やガイドラインで「何がAI生成物に当たるか」「該当時はどんな義務があるか」が明確にされていると思いますので、それに従えばOKですね。Twitterなど、そうした定めがない場合に投稿したイラストがAI生成物だと記載しないといけない義務は思いつきませんが、例えば「これはAIイラストだろう、手書きと偽っていいね集めをしたいのか?」といった予想外の批判を避けるため、マナーや自己防衛策として#aiart などと明記する人が多いようです。

Anonymous

的確な回答ありがとうございます!まさしくTwitterとかをイメージしました!自分が認識していた内容と同じだったのですごく安心しました☺

Anonymous

LoRAのライセンスに関しては、現状、どのような状況なのでしょうか。LoRAのデータとかもネット上に転がっていて、その扱いについてよくわからないでいます。

Anonymous

確かにクレジット表記に関して、Pixivではほとんど守られていないように思いますね。ただし、CreativeML Open RAIL-M では、「You are accountable for the Output you generate and its subsequent uses.」とあります。 クレジット表記を忘れた時に訴えられる場合は、モデル・クリエータからのみに限定されますが、実際にはそのリスクよりも、モデル自身が内包する問題の方が圧倒的に大きいものです。表記してしまうと、派生元のモデルファイルに1つでも大きな権利問題を抱えていえれば、生成物にもその責任が波及します。なので、あざといPixiv AI絵師は、より大きなリスクを避けるために、あえて表記を避けているのだと思います。

Anonymous

初めてコメントさせていただきます。 Hugging FaceでLicenceを読んで、AbyssOrangeMix3 (AOM3)の項目を見ると、 ⛔Only this model (AOM3A1) includes ChilloutMix. The curse of the DreamLike license. In other words, only AOM3A1 is not available for commercial use. I recommend AOM3A1B instead.⛔ このモデル(AOM3A1)のみChilloutMixを搭載しています⛔。DreamLikeライセンスの呪い。つまり、AOM3A1のみ商用利用ができないのです。代わりにAOM3A1Bをお勧めします とあるので、AOM3A2や3のモデルであれば「現状」は生成イラストの販売目的として使っても大丈夫という解釈でしょうか? それとも、販売目的として使いたいのであれば公式のNovelAIに月額課金するといった感じでしょうか? コメントいただけたら幸いです。

スタジオ真榊

正確に言えば、「AOM3A2や3のモデルであれば現状は生成イラストの販売目的として使っても大丈夫と配布者が言っている」ということで、その通り受け止めるかどうかは自分で考えなくてはならないということですわ。つまり商用利用した場合にこの配布者が権利行使をしてくることはないわけですが、間接関係にある権利者から権利行使されないという保証にはならないということです。ですので、直接関係のない私が「大丈夫」と太鼓判を押すことはなおさらできない、というのが一番正しい表現かと思います。

Anonymous

早速のご回答ありがとうございます。 あとで大変なことになってはまずいので、状況が好転するまでは(しないと思いますが)販売目的としては止めておきます。 引き続き、スタジオ真榊さんの投稿からAIイラストを勉強させていただきます。