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※こちらは手直し前&ラストシーン未執筆の早読verとなります。 完成verがpixivに公開されます。ご了承ください── (さ、最低だ……っ)  あまりの恥辱に、アテナの脳内のシナプスが一瞬焼き切れた。 ──眠るように目を閉じ、ふたたび開けたときアテナの眼前には青空が広がっていた。とても爽やかな空色だ。ピクニックにでも来ていたのだっけ……  少しだけ眩しい。 「うぅん……」  小さく伸びをして、体を起こそうとした。  しかし、手も足も動かすこができない。  おかしいなと思って、首だけを回す。白い布が見える。 (ああ、私のパンツか)  え? パンツ……? なんで自分の視界に自らのパンツが見えているのだろう。なんで冷や汗が噴き出てくるんだろう。なんでこんなに顔が火照ってくるのだろう。少しずつ頭がはっきりしてきた。 「──っ、きゃああぁぁッ!!」  アテナは叫びを上げながら、ようやく我に返った。 「お目覚めかな? お姫様」  股間の向こう側から大門(偽)の声がする。アテナの両足は彼の両足で未だにしっかりとロックされていた。 「いい加減、離して!!」  アテナは必死にもがくが、大門(偽)の体はビクともしない。テレポートやサイコパワーを使おうと思っても、焦りと恥ずかしさから全く集中できない。 「さぁ、アテナ選手!! この窮地をどう乗り切る!? このままではパンツが放送され続けてしまうぞぉぉぉッ!!」 「くっ……」  アテナは唇を強く噛む。その瞬間── 「ふんっ」  大門(偽)がため息交じりにそう言い、拘束する力を弱めていった。アテナの両足は大門(偽)の両足から解放され、重力に従ってゆっくりと落ちていく。 「おおっと、ここで大門選手の恥ずかし固めが解かれる! いったいどういうことだぁぁぁッ!?」  アテナはゴロンと転がって間合いを広げると、呆然としたまま大門(偽)を見つめた。何が起きたのか分からなかったが、スカート押さえる手は忘れなかった。  大門(偽)はアテナの解放後、すっくと立ち上がる。  そして、腕を組み仁王立ちのまま、 不敵に笑みを浮かべて、アテナを見下ろす。 「一方的なのはエンターテイメントじゃないよなぁ!?」  周囲に向かってそんなことを叫んだ。  その言葉に呼応するように、だが反目するように観客席からは、ブーイングや「なにやってんだ!」 との怒号が飛んだ。  いやいやブーイングって。アテナは不快感を露わにする。  アイドルをやっている以上、そういう男性のそういう視線や感情は覚悟していたつもりだったが、いざこんな場で複数と言えるそれに晒されることで思い知った。 (男のひとって……みんなエッチなんだ……)  アテナはゆっくりと立ち上がった。大門(偽)はニヤリと笑う。 「さぁぁぁ、こい! アテーナー!!」  掴まれてはいけない。攻撃を避けなければいけない。わかっていても──  脳裏に浮かぶのは、先ほどの光景だった。  太陽の光を受けて白く輝く白パンツ。それが自分の股間で大開脚しているところを見られた。  思い出しただけで顔が熱くなる。  なんて屈辱的なシーンだろう。 アテナはその光景を振り払うように、首を振った。 「サイコボール!!」  とにかく遠距離戦しか活路はない。アテナは必殺技を放ち続ける。しかし、大門(偽)はそれを正面で受け止めながら、のっしのっしとこちらへと歩を進めてくる。  放ち続けては、距離を詰められる。 「こんなものなのか……?」  大門(偽)は肩をすくめた。 「こんなものなのか、アーテーナー!!?」  アテナのサイコボールをついには片手で弾き飛ばしながら、大門(偽)は叫んだ。オーラーをはじくってどういう原理なのかわからない。恐怖心が背筋を伝う。  アテナは後方にステップを踏もうとするが、ダメージの蓄積が大きい足では思うようにいかない。生まれたての子鹿のようにガクついているのだ。 「もはやエンターテイメントにもならないな! アテーナー!! やはりお前はその白色を晒すしか道は無いのだぁぁぁッ!!」 「きゃあ!?」  大門(偽)が飛び掛かってきた。  一瞬のうちにアテナは大門(偽)により抱えあげられてしまう。しかし、それは先程までとは違い、なにやら優しげな所謂── 「おおっとぉぉッ!? これは一体どういうことだぁぁッ!? アテナ選手が大門選手にお姫様だっこされているぅぅぅぅぅぅッ!!」  解説が実況席で絶叫する。 (え? え? なんで私、いまお姫様抱だっこ……されてるの?)  あまりに唐突なこと過ぎてアテナの頭は追いつかない。ハッと恰好に気づき、垂れ下がるスカートだけはしっかりと押さえた。大門(偽)はアテナを抱えたまま、リング中央まで歩く。  そのあとアテナを足からゆっくりと大事なものでも扱うように地面に降ろした。  アテナはまだ理解できなくて困惑をしている。  だが、次の瞬間体に衝撃が走った。柔軟でもするように上体が足に向かって前屈させられた。 「な……?」  正直体が柔らかいアテナにとってそれは苦ではない。それにポーズ的にもパンツが見られるといった格好でもない。 「なにをするつ、も……」  アテナが疑問を言おうとしたときだった。  むぐ!?  アテナの口を何かがふさぐ。それは布の感触で── (なに、これ……?)  果たしてそれは自分の左腕だった。大門(偽)は背後から覆いかぶさっている状態で、アテナの左腕を取り、足と上体の間、ちょうど口元部分に来るように差し入れたのだ。  汗の臭いと、そしてかすかに香水の香りがする。 「んー、んー!?」  大門(偽)はほぼ同時にアテナの右手を後ろ側にまわしてロックする。そのまま伸びる左足に腕を絡めまわしたうえで、ロックしたアテナの手を掴んだ。 「んー、んー!?」  アテナが必死に抵抗を始めたが後の祭り。大門(偽)はビクともしない。大門(偽)は自分の右腕でアテナの右足を挟み込み、より口元に腕を押し付ける形にする。  アテナの体は前屈状態で大門(偽)によって完全に拘束された。 ちょっとずつ大門(偽)の腕に力が込めらると、アテナの両足はどんどんと開かれていく。 (なにこれぇ……っ!?)  まだ柔軟体操の延長の形。しかし、自分の右手と右足を器用に使われ、見事な拘束を果たされている。アテナ自身の体の柔らかさが災いした形だった。 「おおっとぉぉ! これは一体どうしたことでしょうか!? アテナ選手の手足が大門選手に捕まってしまったぁぁッ! ! しかしこれでは我々にパンツは見えないぞ!! どういうことだぁ大門選手ぅぅぅ!!!」  解説の絶叫が響き渡る。観客も興奮した様子で叫んでいるのが見える。  アテナ的にはそんなことを思ってくれなくても良いというのに、 (ホントなんで皆んなそんなにパンツ見たがるの……ッ!!? 最低……ッ!!)  アテナは心の中で叫んだ。声に出して抗議したかったが、今ではそれも出来ない。 「アーテーナー……覚悟はいいか?」  柔軟の補助のように体を重ねていた大門(偽)がアテナの耳元でささやいてきた。  吐息がかかり、アテナの背筋にゾクリと悪寒が走る。  嫌な予感しかしない。アテナの胸の奥がざわついた。  その瞬間、アテナの体は一気に引き起こされた。視界がグルンと180度回転する。地面を見ていたはずが、今は空を見上げている。 「んんん〜〜〜ッ!?」  アテナの口から声にならないくぐもった悲鳴が上がる。   結局またこれだ。幼児が用を足すようなポーズ。もちろんパンツは丸見えである。 (また、こんな恥ずかしい格好……ッ!?)  アテナの顔が真っ赤に染まった。  両腕はそれぞれロックされ、足は左右に広げられたまま、膝が脇に付くほど折り曲げられている。特筆すべきほど体が柔らかいアテナだから出来る芸当であった。 「おおおっと、これは、恥ずかし固め? なのかぁぁぁッ!?」  若干の困惑を交えたアナウンサーの声が響く。  実際アテナも不思議に思った。結局開脚させてパンツを晒すことが目的なら──もちろん今すぐにでもやめて欲しいが──わざわざ先程の恥ずかし固めを解く必要はあったのだろうか。  こんな複雑なロックをするなんて、ただアテナの口を塞ぐだけにしてはやりすぎな気がする。まるで何か別の目的があるような気がしてならない。  自らをエンタテナーと言い張る彼のことだ。きっと何かあるに違いない。 などと考えていると、少しずつ自分の視界が持ち上がるのがわかった。アテナの体が徐々に引き上げられていく。 「んー、んー!」 (なにこれ!? まさか、このまま私を持ち上げるつもり……!?)  アテナは必死に足をバタつかせようとするが、その拘束はびくともしない。このホールドを作り上げているのは、大門(偽)の二つの腕のみ。足がまったく自由になっていることをアテナは失念していた。 「おおっとぉぉ! 大門選手、持ち上げていくぞぉぉ! これは、もの凄い体幹だぁぁぁッ!!」 「んーーーーーーーーー!!!!!」  大門(偽)が完全に立ち上がった。アテナを開脚状態で拘束したままだ。当然、足が地面に着かないため、アテナの体は宙ぶらりんの状態となる。  アテナは必死で体を揺すり抵抗するが、やはり全く動けない。むしろ激しく動くことで、逆に自分の股間を見せつける結果になっていることに気づいていない。  会場からは歓喜の声が沸きあがる。 「大門! こっち来てくれぇ!」 「いや、こっちだ! アテナちゃんのパンツをもっと見せてくれ!!」 「そうだ! 俺にも見えるようにしろぉぉぉ!!!」 観客からの要求に応えるかのように、大門(偽)はゆっくりと動き出した。アテナの全身がプルプルと震えている。  アテナの目には涙が浮かんでいた。 (もう……いやっ……)  羞恥心で死にそうだった。 「さぁ、アテナ! アピールタイムだぞ!!」   大門(偽)が声を上げた。 「おらぁ! 中継カメラはどっちだぁ!? さぁ、これが人気アイドルさまの生パンツだ! 拝みやがれぇぇぇッ!!」」 「んー!? んん〜〜ッ!」  完全に開脚させられたアテナの下半身が、テレビの中継画面に映し出されていた。それは大門(偽)が滲みよることで、少しずつ、ゆっくりとアップになっていく。  その瞬間、歓声が爆発し、地鳴りのような振動が伝わってくる。 「これは凄い映像ですよぉ!! おへそが見えそうなほどスカートはまくれあがって、パンツは赤いリボンまで拡大されるぅぅぅッ ど迫力だぁぁぁッ!!」  興奮したアナウンサーの声が響く。 (恥ずかしい格好の解説しないでぇぇぇ!)  アテナは心の中で叫ぶことしかできない。アナウンサーの語気はますます強くなり、ほとんど絶叫のように聞こえる。 「しかし、これは! もっと見てほしいと言ってるような挑発的なおパンツじゃないですか!?」 (このひと、何言ってるの!?) 「これは! 大門選手のさらなる追撃を期待してもいいということでしょうか!!」 (そんなわけないでしょ!!)  アテナが心の中だけで反論している間にも、どんどんとパンツはさまざまな角度から中継され、世界中に晒されていく。もはやアテナの顔は真っ赤に染まり、目の焦点が合わなくなっていた。 (恥ずかしすぎて……おかしくなりそう……ッ) 「なんだぁ、不服そうな顔だなぁ。もっと見て欲しいってことかぁ!?」  喋れないことを良いことに、なんて無茶苦茶な理論。 「んー、んーんんッ!?」 「それじゃぁ、リクエストに応えてやろうかぁぁぁ!!」  大門(偽)が吠える。勢いを付けてブンとアテナの体を上方へ放り投げるようにして、自らは体を捻る。ようやっとセルフ猿轡状態から解放されたアテナは、慌てて叫んだ。 「ちょっと待って、もう無理! ダメなのぉ!!」  もちろん受け入れられず、大門(偽)の肩に、逆さまになった状態で担がれるアテナ。その小さな体は、まるで荷物のように扱われる。ただ普通と違うのは、しっかりと両足を掴まれていいように開脚させられている点だ。 「もう負け! 私の負けですから! パンツ撮らないでぇぇぇッ!!」  アテナは涙目になり訴えかける。  しかし大門(偽)にその声は届いていないようだ。実際ルール上、完全ダウン以外の決着はないのは頭の奥では理解していた。 「おいお前らぁ、アテナのパンチラなんてなかなか拝めるもんじゃないんだぞ!よく目に焼き付けとけっ!」  担いだアテナをゆっさゆっさと揺らしながら、大門(偽)が観客に呼びかける。  当然のことと言わんばかりに、歓声が巻き起こった。  大門(偽)がアテナをホールドしたままステージの中央にゆっくりと時間をかけてと戻ると、会場のボルテージは最高潮だ。 「お願い、もう下ろしてぇ!!」 「まさかアイドルがパンチラ状態でホールドされるとは! この時代になんと挑戦的なのでしょう!! アテナ選手が身をよじる度に、白い布地がゆらりゆらりと揺らめいて、時に少し食い込んで…… まさに神秘の光景だあぁー!!」  アナウンサーのノリノリ加減が憎らしい。  一方、アテナはすでに全身は汗まみれになっており、呼吸が荒い。なにより、自分の股間に注目が集まる状況に耐えられない。  なのに── (なんで、このひとは煽ることをやめてくれないの!?)  大門(偽)は止まらない。 「おら!どうだアテナァ!俺は本気なんだ!わかったか!ほら、見てみな!これがアテナのパンツだぁ!!おぉー!白いなぁ!!今日は特に真っ白だぜ!!」 「色ばっかり連呼しないで!」 「こんなにくっきり見せてるってことは、よっぽど今日のパンツに自信があるってことだなぁ? そうだろ、え?」 「違いますぅぅぅっ!」  もはや濁点がつきそうな叫びにしかならない。 (私だって好きでパンツ見せるような真似してないのにぃぃ!!)  だが、その抗議も虚しく、大画面で中継されるアテナのパンツ。  パンツがズームアップされている映像では、クロッチ部分の恥丘の膨らみまでしっかり見えてしまっている。  大門(偽)は担いだアテナを激しく揺さぶりつつ、カメラに向かってアピールを続ける。 「それにしても……ちょっと透けてないか? やだやだとか言いながら期待してたんじゃないのかー!? アテーナ!! お前が望むなら!俺の必殺奥義を見せようじゃねえか!!」 「もう、なんでもいいから! パンツばっか見せるのやめてくださいぃぃぃっ!!!」 「オラァ、いくぞおおぉぉぉッ!!!」  大門(偽)が雄たけびを上げ、アテナを担いでいる状態で跳躍を始めた。 「えっ? ええっ?」  アテナの視界が一気に上昇する。それは飛翔とも呼べるような、人間離れした高さだった。 「おおっと、これはまさか!!いや、担いだ時からなんとなくわかってましたが、これが! かの名高いぃ……」  一瞬、アナウンサーが言葉をためて── 「キン肉バスターだぁぁぁッ!! パンツと合わせて拝みやがれぇぇぇえぇッ!!!!!」 「きゃあああああっ!!」  アテナは急激に訪れた落下の感覚に悲鳴を上げる。  続いて、ズドンという衝撃音。自分の体に訪れる激痛を覚悟する、が── 「あれ?」  アテナは自分の体がまったく痛んでいないことに気付いた。股関節は確かに少しだけ痛みを訴えているが、耐え切れないほどではない。柔軟さは取り柄なのだ。そして着地のあと、するりと拘束が解けたこと不思議だ。  大門(偽)を見るとお尻を押さえて悶絶している。 「高く……飛びすぎた……」  そう呟く大門(偽)。どうやらアテナの体は無事であり、むしろ反動で大門(偽)がダメージを負ってしまったようだ。 (バカ……なの……?)  冷静さを取り戻すと共に、怒りとサイコパワーが湧き上がってくる。  大門(偽)は床の上でうずくまりながら、いまだにお尻をさすっている。  アテナはステージ上で仁王立ちになると、息を大きく吸い込んだ。  アイドルは、観客の前では常に笑顔を絶やすなかれ。それがこの業界のルールだ。例えそれが、パンツばっかり見てくるような輩でも──  アテナは大きく口角を上げて、満面の笑みを浮かべた。あまりにも殺意を込められた笑みを。

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