第一回　メカ系の絵描きから女の子系の絵描きへ方向転換。 (Pixiv Fanbox)

ヨシモトの絵についての考えやイラスト業界についての随想であり、独断と偏見で構成された駄文になります。 私一個人の考えであり、だいぶ偏った思想と思い込みが垂れ流しとなった内容です。 それを踏まえた上で読んでいただけると嬉しいです。 第一回　メカ系の絵描きから女の子系の絵描きへ方向転換。 ●●はじめに ●●女の子イラストの需要だけ異常に高く、他ジャンルの需要は不明。 第二回　メカ系の絵描きから女の子系の絵描きへ方向転換。 ●●メカ系のジャンルについての所感と総評 ●●足で稼ぐ時代ではない？ ●●はじめに 昔から私のことを知っている奇特な方はご存知かもしれまんが、私は元々メカやロボットばかり描くSF大好きなイラストレーターでした。 ですがここ数年で作家性を変えて女の子イラストを中心に描く方向にシフトしたのです。 メカ系の絵は封印気味で描くこと自体を少なくしました。 その理由や顛末をここでお話しできればなと思いましたので暇つぶしにでも読んでいただければと嬉しいです。 まず女の子系の絵描きになろうとしたきっかけからお話ししますと 「絵の仕事自体が少なくなってきている」ことと「売れるジャンルに強烈な偏りがある」という 二点をここ数年で感じたのがきっかけでした。 私は元々メカ・ロボットやのイラストを描くのが得意だったので お仕事も自然とそのジャンルに偏る傾向がありました。 ただ、ここ数年で私のメカ・ロボットのお仕事は減ってきており当然年収も徐々に下がっておりました。 そんな状況を改善しようと他作家様に相談したり、メカ系のコンペ等に参加したり、持ち込みとしたり、と試行錯誤していたのですが結果は良いものではありませんでいた。 そして結論として感じたのは 「そもそも論としてメカ・ロボット系のイラストは需要が少ないっぽい」 ということでした。 （「それはオメーだけで絵下手だからだろ！」、とか「他の作家は違うだろ」等感想を抱かれるかと思われますが その理由は第二回以降の記事で記載します。） そんなこんなでどうやったら絵の仕事をフリーランスで続けていけるだろうかと思案した結果 「メカ系のイラストは一旦お休みして、もっと売れるジャンルの絵を描こう」という結論に至りました。 では売れるジャンルとは何か。 それは 女の子のイラスト（オタク向け） です。 ●●女の子イラストの需要だけ異常に高く、他ジャンルの需要は不明。 女の子のイラストに焦点を絞ったのは主に下記の３つの理由がありました。 --------------------------------------------- □□硬派なイラスト自体が流行っていない疑惑□□ □□エロ系のジャンルとの親和性が高い。□□ □□他ジャンルと比べて女の子絵は描き易い□□ --------------------------------------------- □□硬派なイラスト自体が流行っていない疑惑□□ メカ系が厳しいかもしれないと感じ始めて自分なりに情報収集した結果 どうやら硬派（メカ、クリーチャー、戦国武将、背景など）なイラスト自体の需要が低い印象を受けました。 一例としてTCG（トレーディングカードゲーム）の商品の売り方が挙げられるとかと思います。 パッケージに描かれているイラストには女性キャラが採用されることが多く、TCGに詳しいイラストレータ様の話では、 パッケージを女性キャラにするとクリーチャー、メカや男性キャラにした時よりも売り上げが上がるそうです。 また広告やスリーブに使われるのも女性キャラであることが多いようです。 また取引先の大手クライアント様から実際に伺ったのですが 最近ではカッコイイ系のイラスト（メカ、クリーチャー、男性武将など）を描ける人が少ないので カッコイイ系のイラストの発注は同じ作家に偏ってしまうことが多い、というお話をよく耳にしていました。 そういった状況になっている理由は（あくまで私見ですが）”カッコイイ系のイラストの需要がないために書き手が少なくなっている”、もしくは”私のように違うジャンルに移ったから”だと思います。 硬派なイラストのお仕事自体は存在しているものの、その数や稿料というのは決して高くなく、どちらかといえば低い水準のままなので自然と携わるイラストレーターが減っている印象が拭えませんでした。 逆に軟派な女の子イラストは需要が高く、仕事の数、稿料も高い水準を維持しているので”売れるジャンルなのではないか”、という認識をもつようになりました。 □□エロ系のジャンルとの親和性が高い。□□ 女の子のイラストが上手に描ければ自然とエッチな絵も描けるようになります。 それに伴ってエロ系のお仕事にも繋がるだろうと考えました。 そしてエロは時代が変わっても需要が一定数確保されているジャンルなので 安定した人気を維持できるのではないかと思いつきました。 余談ですが最近の私のお仕事（ソーシャル、TCG、書籍など）でも１８禁ではないのですが、 エロい格好をしたキャラクターを描くことが多く、 また他作家様の描かれる女の子イラストでも露出度が高かったり、性を強く主張する絵を描くケースが多い印象があります。 現実に存在したら間違いなく痴女であろうキャラクターは二次元の表現では一般的な表現として認知されており、 多少エッチな恰好をしても違和感を持たれなくなってきているのだと感じています。 □□他ジャンル（メカ、クリーチャー、背景）と比べて女の子絵は描き易い□□ ◇顔が兎に角重要 何故女の子イラストが描き易いと考えるているのかというと 女の子イラストでは”顔さえ可愛く描けていれば評価が得られる”からです。 もちろん最低限の身体の描き方や服装、背景など他の技術も必要なのですがそれよりもまず”顔”が整っていなければユーザに見てもらうことすらかないません。 おそらく多くの人はキャラクターを見る場合、まず最初に顔を探すかと思います。 そして顔が好みでなければそこで絵の魅力はガクっと下がってしまいます。 魅力の低い絵はそれ以降ユーザの目に留まることはなく、服装のデザインや背景の描き込みなど他の部分の努力に気付かれることもありません。逆に顔を可愛く描けてさえいれば注力した箇所にも目が留まり、さらに絵の評価を上げることになります。 少し補足しますが”顔が重要”、という考えは私一個人の考えだけではなく、他のイラストレーター様も同じような意見を持たれている方が沢山いらっしゃいました。 女の子の絵は”兎に角可愛い顔面”が優先されており、次点で”最低限バランスが崩れていない身体”があればよい、という状況なので自然と学習しなければならい箇所が絞られ、他ジャンルと比べて早く習得ができるのだと考えました ◇逆に他ジャンル（メカ、クリーチャー、背景）は難しい ※※補足※※ ここでいう他ジャンルとは主にメカ・ロボット、クリーチャー（ドラゴンなど）、背景（コンセプトアートも含む）となります。 なぜこの３つを比較対象にしたかというと、女の子イラストの次に需要があるジャンルだからです。 人気も比較的高く、書き手も多いので比較対象としてわかりやすいかと思いました。 （SF系の作品では必ずメカやロボットが登場しますし、ファンタジー系の作品であればドラゴンやゴブリンなど架空の生命体が 登場することが多いでしょう。そしてそれらのジャンルをより印象深く演出する装置として背景の技術がつかわれていると思います。） ※※※※※※ ３つのジャンルはどれもセンスと、正しい知識が必要です。 それに伴い、習得するには多くの勉強をしなければなりません。 特に難儀する箇所は”デザイン”になります。 デザインには方程式がなく、流行や自身の感性、”閃き”で起こすケースが多いです。 要は曖昧な状態で学習することになるので確実な評価に繋がるデザインの方法論は習得が難しいです。 またメカ、クリーチャーは全身を描く仕事が多く、頭の先から爪の先までデザインを考えなければなりません。 これが女の子と比べた場合、制作時間に大きな差が生まれます。 女の子イラストはあくまで人間の形をしていることが条件になるので自然とデザインの幅が狭くなります。 ですがメカ、クリーチャーになるとデザインの自由度が増してしまうので制作に擁する時間が自然と増えます。 （自由度について例を挙げればロボットがわかりやすいかと思います。例えば腕が仮に４本であってもデザインとして問題ないですし、そもそも論として頭部が無かったり足が無かったりしてもデザインとして受け入れられます。） 背景に至ってはデザインだけでなく、パースのなどの空間的知識が正しく表現されていなければならず、純粋な画力がさらに必要とされてしまうかと思います。 制作に擁する時間が増えればその分習得のための学習も増えることになるので 結果的に女の子イラストと比べてメカ、クリーチャー、背景は難易度が高く、描きにくいと言わざるを得ません。 □□まとめ□□ 先に挙げた三つの要点を考え付いた時、”自分の描くべき方向性はメカではなく女の子イラストである”、と強く感じました。 最初は方向転換そのものを受け入れられず、ブライドや矜持が邪魔することが多かったですが 長く女の子イラストを学習することで自分の作家性を受け入れられるようになりました。 結果的には仕事もある程度増えたので方向転換自体は悪くなかったと思います。 取り敢えず第一回の記事はここまでになります。 第二回は別途記載していきますので興味があれば読んでいただけると嬉しです。