誘惑☆デート #18 ~本屋で手を出してしまった仕置き(実践編)~ (Pixiv Fanbox)
Published:
2022-09-25 13:41:07
Edited:
2022-10-01 09:33:23
Imported:
2023-06
Content
#18
「ほ~ら、触りますよぉ? 準備はイイですかぁ?」
あなたの顔を下から見上げながら、子供っぽいニヒヒ笑いを見せる七穂。彼女の手はその言葉を表すかのようにあなたの無防備になっている“脇腹”のくびれに触れるか触れないかの位置で待機し、刺激を想像させようと空中でコチョコチョ指を動かしくすぐるフリを続けている。
あなたはその“いつ触られるか分からない”という緊張としなやかにくねる七穂の指の動きにまんまと刺激を想像させられ嫌がる様に手足をバタつかせようとしてしまう。しかし、当然ながら十字架に磔にされている格好で拘束されているあなたは、手を降ろす事も足を動かそうとする事も許されず……七穂の意地悪な焦らしに想像だけが膨らむ一方で、まだくすぐられてもいないのに笑いが込み上げてくる程にもどかしい気分を味合わされている。
「お腹がピクピク動いて嫌がってますねぇ~♥ フフフ……可愛い♥」
宙を掠る様に動き続ける七穂の指はあなたの敏感な脇腹の皮膚に触りそうで触らない。直接触ってはいないが、宙を切る時の空気の動きは感じてしまう為これから与えられるであろう刺激も容易に想像できてしまい脇腹の神経は意識せずとも警戒態勢を取ろうとする。
しかし、いくら警戒しようと脇腹を守る手段は皆無である為警戒心だけが膨らみ続け何の対策もとる事は出来ない。むしろ警戒してしまう事で肌の神経が過敏になってしまい余計に刺激に弱くなってしまっている。
そんな……意図せず敏感にさせられた脇腹の皮膚にいよいよ七穂の指先が刺激を送り込み始める。
――サワッ♥
たまたまなのか計画的だったのかは分からないが……緊張に緊張を強いられていたあなたの脇腹に、七穂の人差し指の爪が僅かに触れ掠っていってしまう。
その不意を突く様な刺激にあなたは思わず情けない悲鳴を発しながら身体全体をビクビクっと震わせる反応を返してしまう。
「アハ♥ 先輩ってば大袈裟ぁ~♪ そんなにビックリしちゃったんですかぁ? たったこれだけの刺激でぇ~?」
あなたの反応を見てクスクスと笑いを零し意地悪な言葉を返す七穂……
反応してしまった事を恥ずかしく思ってしまったあなたは首を横に振って彼女の言葉を必死に否定しようと勤めるが……
「フフフ……嘘ばっかりぃ~♥ 本当は想定以上に私の指がくすぐったくて……ビックリしちゃったんでしょ?」
と、そのように零すと七穂は、今度は触れた右脇腹とは逆の左の脇腹にも人差し指を掠らせあなたに新たな刺激を送り込み始める。
――ビクッ!? ビクビクビクッ!!
「あぁ~~良いですねぇ♥ その驚くと同時に身体が勝手に震えちゃう反応……先輩の身体がこの刺激を拒否してるんだなぁって感じられて……なんだか興奮をそそられます♥」
左の脇腹を触った後は次は右の脇腹を小指で掠る……その小指の刺激にも身体を震わせてしまったあなたを見て七穂は順番を守る様にまた左の脇腹を小指で触って刺激を加えていく。
そして、それらの刺激が引き金となり、今度は触れさせていなかった指達を次々に脇腹へと着地させていき、括れた脇腹の肌を撫でるように掠り始めていった。
その刺激たるや目の前に火花が散るのが見えてしまう程に強烈で、あなたはその脇腹の肌をムズ痒くさせる様な刺激に耐えられず開幕早々に口を大きく開いて笑いを吐き出し始めてしまう。
「あれぇ~? まだ始まったばかりですよぉ? もう笑っちゃうんですかぁ? だらしないなぁ~先輩は……」
焦らされた効果もあり刺激される事に敏感になっていたあなたの脇腹は、実際に想定していた刺激以上のくすぐったさを感じてしまい腹の底から笑いを搾り出されてしまう結果となった。
七穂の言う通り……始まったばかりで刺激もそんなに強いモノでもなく、七穂のくすぐり方もハードな責めではない前戯のような愛撫に過ぎない刺激である筈なのに……
あなたはそれでも彼女の指から放たれる優しい愛撫に耐えられず手枷をガシャガシャ鳴らせながら笑い悶えてしまう。
「そんなに暴れても手は下げられませんよ? ほら……手に巻かれている枷は頑丈に出来てますから、先輩が力いっぱい引っ張っても外れてくれないんです♥ 暴れても無駄だと分かったら……大人しく私のコチョコチョの刑を受けて真摯に反省してください? あの時手を出さなければよかったって……後悔してください?」
無防備に開かされた脇腹の肌に次々と七穂の細い指先が掠ってくすぐったい刺激を送り込んでいく。あなたはその刺激が送り込まれる度に甲高い悲鳴のような笑いを吐き出し手足をバタつかせようとする。
しかしどんなに力を込めて手足をバタつかせようと枷はビクともしない。あなたが出来る事は枷をガシャガシャと鳴らせてそのくすぐったさが堪え難いモノなのだと訴える事だけだ。
七穂はその激しい音を聞いてもくすぐる手を緩めてくれることはない。むしろ、その音を聞いて興奮してきているのか、音が激しくなればなるほどくすぐる指の動きが早くなっていく。
「ほらぁ! もっと笑い苦しんで反省してください? 私の怒りはこんなものでは収まりませんよぉ? 先輩が心の底から反省するまで今日はとことん笑わせ漬けにしてあげますから……そのつもりで覚悟してください?」
――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ
腰骨の部位から肋骨の下までのラインを、下から上に……上から下にと移動しながら指先を掠らせるくすぐりを行っていく七穂。指先の掠りは爪の先で僅かに触る程度であり、触られた瞬間に少しだけ“ゾワッ”っとムズ痒い刺激が送り込まれるだけで激しいくすぐり責めを行っているという訳でも無い。しかし、そのゾワッっとくる違和感が色んな箇所で連続すると、痒いだけだと思っていた刺激が明確に“くすぐったい”という刺激に格上げされあなたの脳に笑えと命令を下してくるようになる。更にその“くすぐったい”という感覚が持続し続けると、いくら気力で笑う事を我慢しようとしても刺激の蓄積が可笑しさを増幅してしまい笑わずにはいられなくなってしまう。
その蓄積しきった可笑しさの圧に耐え兼ね一度でも笑いを吐き出してしまうと……もう、元の様に平静を保つ事も笑いを我慢し直す事も出来なくなる。
笑う事が次の笑いを誘発し更なる笑いを吐き、その笑いも次の笑いを誘発してしまう為自分の意思ではもう笑う事を止められなくなる。
七穂のくすぐりに思わず笑いを零してしまったあなたは今まさにその笑いのループの中に身を落としてしまっている。
笑えば笑う程苦しくなることは目に見えている為、必死に笑うという行為を止めようと歯を食いしばろうとするけど……一度緩んだ口角筋はそんなあなたの意思など反映しようともせず、次々に押し出されてくる笑いをノータイムで吐き出させようと口をだらしなく広げてしまう。
笑っては駄目だと思っていても勝手に笑いが吐き出されていく……。あなたはその自分ではどうする事も出来ない笑わせの強制力にただただ七穂の思惑通り笑わされる事を余儀なくされる。
「こんな風に、指先だけで肌を掠る様にコショコショされるのはどうです? 先輩がいつも見ているエッチなヤツ程ハードではありませんけど……刺激がもどかし過ぎて思った以上にキツイでしょ?」
彼女が言うように強く引っ掻かれている訳でもなければ、ハードなプレイの様に激しく脇腹を揉まれている訳でもない。ただ指先が肌を薄く掠って触っているだけなのだから見た目にはそのハードさは伝わっては来ないだろう……
しかし、指に力を込めてくすぐっていないからこそ指の動きは素早くできるし、力を込めていないからこそ色んな箇所を素早く移動しながらくすぐる事も出来ている。
力強いくすぐりも……さぞかし狂おしい程のくすぐったさを生むに違いないだろうが、この様に素早く動き回って色んな箇所を刺激されるくすぐり方も耐え難い。
まるで無数の虫が這い回っているかのような嫌悪感に寄ったくすぐったさが感じられる種為、身体はその刺激に拒否感までも感じ取って嫌がってしまう。
くすぐったいし、痒いし、気色悪いし……
と、色んな感情がその刺激には植え付けられているのだが、それら全ての感情は“くすぐったい”という言葉に纏められ結局笑う事を強制される事になるのだ。
あなたはその“くすぐったい”と知覚した刺激に素直に笑いと身体を嫌がらせる身振りで七穂に反応を返している。
「コチョ~♥ コチョ~♥ コチョ~♥ コチョ♥ こちょ、こちょこちょ♥ フフフ……先輩の身体がビクビク嫌がってて可愛い♥ コレを見てると……もっと意地悪したくなっちゃいますねぇ~♪」
七穂はくすぐる事を楽しむように擬音を口から出しながら指を動かしているが、あなたの反応や表情を見る時の眼差しは真剣そのものだ。あなたが何処のどういう刺激に弱いのかを反応の大きさや嫌がり具合で判断しデータを集めながらあの手この手で攻め手を変えてきている。
その真剣な表情を見るに、七穂がいかにこの“くすぐり”という行為を勉強したいと思っているのかが分かってくる。
素人のおふざけな仕置き程度だろうと高を括っていたあなたは、昨日までの何も知らない彼女とのギャップに大いに驚かされ油断していた自分の考えを悔いるようになっていた。
まさか、あなたをくすぐる為にあなたから取り上げたくすぐりAVを鑑賞して勉強してくるとは思いもよらなかった。
あのAVの中には愛撫程度の優しいモノから拷問とも言える激しいモノまでシチュだけでも幅広い種類のフェチ作品が掲載されていた筈だ。しかも、その拷問めいたくすぐりAVには……くすぐりのプロによる“くすぐり方講座”の様なコーナーも設けられており、初心者から上級者に至るまでどのようにすればくすぐりで人を笑わせる事が出来るのかなどを懇切丁寧に教えてくれている。
七穂はそこを見て勉強してきたと考えて間違いないだろう。この的確なツボの触り方しかり……思わず笑わずにはいられない刺激の仕方をしてきている事もしかり……言葉での煽り方しかり……七穂は、そのAVを見て確実にくすぐり方のコツを掴んできている。
何せ……彼女の指遣いは……既に素人の域を越えた動きをして見せている。何処をどんな風にくすぐれば人間は笑ってしまうのか……そういうものを把握したうえで責めを繰り広げて来ているとさえ思える。
あの大人しい七穂が……ここまで積極的にくすぐりの事を勉強してこのデートに挑んできていたなんて……
そんな事など露知らずあなたは欲望のままに振る舞ってしまい、今のこの状況に追い込まれてしまっている。
せいぜい、イチャイチャするだけの……仕置きとは名ばかりの甘い時間を過ごすだけだろうと思っていたあなたは、今現状彼女の手によって笑い苦しめられている事に考え自体が甘かったのだと思い知らされる。
やめてと言っても手を止めて貰えず、そこは触らないでと言った箇所を遠慮なく触り犯してくる七穂の指達。
笑いたくないと思っても勝手に笑いの衝動が腹の底から込み上げてきてその衝動を我慢できずに口からそれを大いに吐き出してしまう。
笑えば笑う程酸素が吐き出され苦しくなることは分かっているけど、七穂の意地悪で的確なくすぐりがあなたを強制的に笑わせ酸素は吐き出される一方になる。
酸素を吸いたいけど……笑ってしまっていては思うように吸えない。吸えないから息苦しさを感じるが、くすぐったさが笑いを誘発してしまいどう足搔いても笑ってしまう。
どんなに暴れても七穂はくすぐる事を止めてくれない。手や足を動かせないから七穂のくすぐりから逃れる事も出来ない。
笑いたくなくても笑わされる……くすぐったいと思う箇所をこれでもかと指先で弄ってあなたを無理やり笑わせてくる。
あなたはその……自分ではどうする事も出来ない笑いのループに苦しさと不安と恐ろしさを同時に味わう。
笑み一つ零さず真剣な表情であなたの顔を見上げている彼女に狂気じみた何かを感じ取ってしまい不安と恐怖を増幅させてしまう。
一体この笑わせ地獄はいつになったら終わってくれるのか?
いつになったら七穂の機嫌は直ってくれるのか?
あなたは笑い苦しみながらもその様に不安を募らせ顔を青ざめさせていく。
いつもは画面越しに“見る側”の立場でいたから興奮できたという側面もあったが……いざこうして“受ける”立場に置かれたら今更ながら受け手の辛さを嫌という程実感させられる。
抵抗出来ない身体をくすぐられ笑わされる事がいかに肉体的にも精神的にも辛い思いをさせられるかを身をもって思い知らされる。
辛い……苦しい……身体が痛い……怖い……
様々な感情があなたの脳内を支配し絶望を植え付けていく。
その絶望を与えているのは他でもない……愛する彼女である七穂……
このような無慈悲な事をやってのけるイメージなど一切なかった七穂が、今……現在進行形であなたの脇腹をくすぐって責めている。
そのギャップを見れたのは本体嬉しい事である筈なのだけど……今はそれを素直には喜べない。
彼女の新たな一面が見れたのをラッキーだと思いたいのだけど……あなたの脳は、くすぐりによって自制できない笑いが絞られる事に対して恐怖心が植え付けられていて、それを幸運だとは思い込む事が出来ない。
くすぐりがこんなに苦しく辛いものだとは思ってもいなかった。
映像を見る限りでは……可愛い女優さんが顔がグシャグシャになるまで笑わされている姿を見て興奮の一つでも覚える事が出来た筈なのに……今は興奮を覚える余裕すらない。
彼女からくすぐって貰えるというある種くすぐりフェチからすれば念願のご褒美プレイになるだろうと思っていたあなたの考えは甘かった。
ここまで苦しい思いをするのだったら……まだAVを見て興奮していた方がマシだったとすら思える……
七穂を怒らせるのは間違いだった……
七穂にくすぐりフェチである事を打ち明けるのも……間違いだった……かも?
あなたの後悔は、彼女への節操ない行いを致した事に留まらず、七穂自体にバレた事も後悔の一端に含まれ始めた。
こんなに辛い思いをするのであれば……いっそ、七穂に知られなかった方が幸せだったのではないか? 元の恋人同士のままイチャイチャ出来ればそれで良かったのではないか?
と、あなたの後悔がそのような部分まで膨れていったのを、心を見透かすように七穂が見計らうと……
「はぁ~い♥ いったん休憩させてあげまぁ~す♥ ほら……くすぐるの止めてあげますから、今のうちに肺に酸素をしっかり取り込んでください?」
彼女は脇腹から手を離し、あなたを笑いのループ地獄からようやく解放してくれた。
くすぐりが止まったことによって笑わずに済む事となったあなたはここぞとばかりに口を大きく開き、肩を大きく上下させて大袈裟にも見える程の呼吸を繰り返す。
酸欠で苦しい思いをしていた肺は、その呼吸によってようやく新鮮な酸素が満たされていく……
薄くクーラーの利いた少し清涼感のある涼しい空気……それを集めるように取り込んだ肺は、酸欠の苦しさを裏返すかのように酸素が満たされる快感を感じてしまい、あなたの頭は不安と恐怖から一変して何とも言いようのない多幸感に包まれてしまう。
薄くなっていっていた意識が一気に清涼感に満たされ覚醒させられていくかのような快感……
こんな快感を……今まで味わった事など一度もない。
いや、そもそも……意識が混濁しそうになるまで苦しめられる経験など無かったのだから、このような快感を感じる機会など皆無だったのだ。
苦しめられた後に吸わせて貰える酸素が……こんなにも気持ちの良いモノになるなんて……
あなたは、普段当たり前にしていた呼吸という行為にさえありがたみを感じ、呼吸をさせてくれた七穂に感謝の思いすら持つようになってしまった。
「どうでしたか? 私の勉強したてのくすぐり……案外さまになっていたでしょう?」
必死に呼吸をしながらも謎の多幸感に戸惑いと快感の狭間に立たされているあなたの顔に、七穂が手を伸ばし頬を優しく撫でてあなたを労ってくれている。
先程まであなたの脇腹に死ぬほど苦しい刺激を送り込んでいた凶器ともいうべき彼女の指……それが今度はあなたの頬を優しく撫でて労ってくれているのだ……
その指に警戒心を持ってしまっている事は言うまでもない。今は撫でて労ってくれているのは確かだが、その指がいつまたあなたを笑わせる凶器に姿を変えてもおかしくはないのだから……
あなたは七穂の手のひらの感触にそのような不安を抱えつつも労いの撫で上げには不思議な安堵感を感じつつ、彼女の問い掛けに大きく何度も頭を頷かせて彼女のくすぐりの上手さに驚かされた事を素直に認めていった。
その頷きを見た七穂はパッと弾ける様な笑顔をあなたに向けなおし、頬を赤らめながら無邪気に喜び始めた。
「アハハ♥ くすぐりフェチの先輩にそう言って貰えるんでしたら、私も勉強した甲斐があったというものですね♪」
あなたの頬を撫でながら無邪気に喜んで見せる七穂……それは普段よくあなたに見せる表情である為見慣れている筈なのに、先程までの真剣な表情が頭に過ってしまいそのギャップが大きく……逆にドキリとさせられてしまう。
こちらの表情の方が可愛くて好きだ……とあなたは改めて七穂に対する想いを強めるが、七穂はそんな油断しそうになっているあなたに釘を刺すように顔の表情を真顔に戻し声を低く抑えて脅しの言葉を零し始める。
「でも……あのビデオを愛してやまない先輩でしたら……くすぐり責めの“本番”があの程度で終わりだなんて……まさか思ってはいませんよね?」
表情のトーンを落とした真顔はその言葉を皮切りに影を帯び妖しい笑みへと変貌していく……
そしてあなたを労わる様に頬に触れていた彼女の手はいつの間にか爪を立て、何かを暗示するかのようにあなたの右頬をコチョコチョと掠る刺激を送り込み始める。
あなたはその刺激にドクンと大きく心臓を高鳴らせ額に冷や汗を垂らせていく。
やがて頬から手を離した七穂は、妖しい笑みを浮かべたままあなたの顔を覗き込みつつゆっくりとあなたの背後へと回り込み十字架の裏へと歩みを進めていく。
目の前から姿を完全に消し、あなたの背後に寄り添うように立ち直した七穂は……まるで背後から機械の手を這い出せるかのようにゆっくりと真っ直ぐに両手を背後から付き出し、あなたが少し下を向けば突き出した手が言えるくらいの位置を保って手の動きを止めた。
そして暫く自分の動かない手をあなたに見せつけた七穂は、今度は突然全ての指を同時にコチョコチョと動かし始めあなたにこれから行うくすぐりのデモンストレーションを目の前で行い始めた。
まだ腹部の遥か上空の宙をくすぐるように指を動かしているだけなのだが、つい先ほどまで味わった七穂のこそばゆいあの指の刺激を脳が鮮明に覚えており、その指のデモンストレーションだけで脇腹がムズ痒くなる程の不快感を感じてしまう。
その動きを見たあなたの脳は先程まで与えられていたあのおぞましい刺激を鮮明に思い起こしてしまい、まだ触られてもいないのに脇腹に与えられたくすぐったい感触を蘇られせてしまう。
細くしなやかな指が順番に折れては伸び折れては伸びを繰り返す妖しい動き……その動きを見てあなたは増々血の気が引くほどの寒気を全身に感じ取ってしまう。
「先輩が悪いんですからね? 私の事……あんな公衆の面前でくすぐって笑わせて……恥ずかしい思いをさせたんですから。その恨みはさっきの様な“生温い”くすぐりじゃ晴らせません♥ もっともっと先輩の事笑い苦しめて反省させないと……私の気が収まらないんです♥」
七穂の顔は背後にいるため見れないが、彼女がどのような顔を今浮かべているかはその口調のいやらしさで思い浮かべる事が出来る。
彼女はきっと片方の口角を上げ八重歯を見せながら笑っているに違いない。
あなたの顔の方ではなく……あなたの脇腹を見つめながら……妖しく……。
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