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 ~あとがき~  この物語の背景にはくすぐり作品とはかけ離れた重々しい問題描写がいくつか入れ込んであります。  化石燃料の枯渇問題、そこから生じる国際緊張……軍の機械化、機械達による人の介入しない代理戦争……機械AIの高性能化……  特に化石燃料の枯渇問題は度々目にする事があるので、くすぐり物の小説にしては妙に現実的な話題が入っていると感じられた方もいるかとは思います。  実際、2022年現在で原油の可採年数は約50.2年、石炭の可採年数は残り約134年程であるとニュースで見たことが有ります。  化石燃料や資源は有限である事を心の隅に留めている方もいらっしゃるとは思いますが、自分は敢えてそれを世界の背景に入れ込んで“人間発電所”が出来る経緯の柱にしてみました。  ただのフェチ向けくすぐり小説で現実の問題を入れ込んで世界観にするのはやり過ぎではないか? と感じた方もいらっしゃったかもしれませんが、今回の話はディストピア物にしようと考えた段で「じゃあ設定もある程度リアル寄りにしよう」と考えたのでこのような作品になりました。  ディストピアを描く物語は、普通のファンタジー色の強い物語と違ってホラーに近い感情を覚える事が多いと自分は感じています。  「こんな未来になったら嫌だなぁ……」や「こんな世界になったら怖いな……」など、そいう不安が煽られ怖いと感じる事に繋がっているのではないかと思ってますが、その不安はどうやって構築されるのか? と考えると、そこはやはり設定や世界観のリアルさに起因するのではないかと解釈しています。  こうしてこうなったからこういう未来になった……と現実の問題を題材に説明されれば、確かにそういう風な世界になり得るかもしれない…… という気分になり、現実感が生まれ少なからずリアルな不安が生まれます。  ホラーが今その場に居る恐怖そのものと表現するなら、ディストピア物の恐怖は……現実感からくる予期不安的なものであり、ホラーとは違ったジワジワ来るような恐怖を感じると思っています。  こうした予期不安を生ませるには、現実の問題をいかに世界観に落とし込んで世界(未来)を壊していくか……が、ネックになると思っています。  映画のターミネーターやマイノリティレポート、アイランドなどのディストピアが設定にある作品はジャンルこそアクションだったりSFだったりしますが、自分はホラーに近い恐怖も盛り込まれていると感じていました。それはやはり設定や世界観がリアルで、将来本当にそういう未来になるかも……と不安を過らせながら見ていた経験があるからその様に思ったものです。  私もそれに倣い、ディストピア物を書くとなった時……まず基礎となる世界観から考え始めました。  なぜ発電所をロボットが支配しているのか? なぜロボットは人間に反旗を翻したのか? なぜ世界はロボットの反乱に屈してしまう事になるのか……  そのような背景を先に考え、発電所を声力発電所に設定し、そこにくすぐりを盛り込むことに決めようやく物語の肉付けを開始しました。  通常であればまずくすぐり描写をどうするかや、キャラ描写をどう設定するか等に重きを置くのが普通であるとは思いますが今回は敢えてその逆から取り組んだと言っても過言ではありません。自分的にはトライの意味で始めた書き方だったのでくすぐりへの結びつけが強引だったり、キャラの書き分けが甘かったり、世界観の説得力が薄らいだりといった弊害に見舞われたとは思いますが……そこは実験段階だという事でご容赦頂きたい部分ではあります。  しかし、ディストピア物でのくすぐりはいつか描きたかったテーマの一つでしたので、それが達成できたことは私の中では大きな経験になり得たと満足しております。  皆さんはこの作品を読んでどのような感想を持たれたでしょうか?   ディストピアの中でのくすぐりを楽しんで頂けたでしょうか?  表現や世界観に関してまだまだ爪の甘い箇所も散見していたかとは思いますが、自分で本編の最後に描いた通り……愚行から学習し未来の子供たち(次の作品)に繋げていきたいと今後思いますので、また次の作品でもお付き合いして下されば嬉しい限りです。  最後になりましたが、この作品を読んでくださってありがとうございました。  また次の作品でお会いいたしましょう。 ――2022年7月30日 ハルカナ――

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