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12:処刑の始まり ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ! 「ぃっっぎゃあぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁははははははははははははははははははははははははははははははははは、ヒギャアァァアァハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、いひぃっっひっ! へぎゃはははははははははははははははははははははははははは」  そのくすぐりは……想像を絶した。 ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ 「ハギャッッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、だはははははははははははははははははははははははははは、ぃひぃっっひひひひひひひひひひひひひひ、うへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、えへへへ、げひひひひひひひひひひ、ぎひぃ、いっひひぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、わはははははははははははははははははは、へひぇひぃぃぃぃぃ!」  体中を一斉にこしょぐり回す羽根の刺激が、敏感になり過ぎた私の神経をこれでもかと刺激し尽くし私の意思とは無関係の激しい笑いを絞り出させていく。 「ぃっっぎゃ~~はははははははははははははははははははは、ウハヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、えひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、や、やめっっへへへへへへへへへへへへへへへへへ、うぎ、ひへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、えげへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、ひゃめへっっへへへへへへへへへへへへへへ、ひぃひぃっ!!」  ワキの窪みを掃き掃除でもするかのようにシャカシャカと素早くくすぐる羽根達…… 「ハニャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、わ、ワ、ワギぃィひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! ワギこしょばいぃぃひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  足の裏を細い毛先の先端だけで嫌らしくなぞってくすぐってくる羽根達…… 「ギャハ~~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハ、うはははははははははははははは!! アジィィィィひひひひひひひ、あじの裏無理ぃぃっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、やめて、やめでぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」  腹全体に絵でも書いているかのように大きくゆっくりとなぞり上げていく羽根達…… 「は、はひぃぃ!? あひぃぃっっ! くひひひひ、くるひぃ! くるひぃぃっっひっひっひっひっひっひっひ、お腹が捩れちゃうぅぅふふふふふふふふ!! 笑い過ぎてお腹が捩れちゃうぅぅ!!」  大胆に撫でつつも性的な刺激は決して与えないようワザとらしく敏感な箇所だけを避けて胸を触って来るもどかしい羽根達…… 「あひゃはっ! はひゃあぁあぁああぁぁぁっはははははははははははははははははは、もどかしくて可笑しくなるぅぅふふふふふふふ!! 頭おかしくなるぅぅぅぅ!! くはははははははははははははははははは!!」  太腿から内太腿にかけて走る敏感な神経の通り道を熟知しているかのように的確に羽根達が撫で回し…… 「ぇひっっひひひひ、いぃひひひひひひひひひひひひ!? ウヘヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、にゃめでぇぇへへへへへへへへへへ!! 内太腿はビクビクしちゃうぅぅがらぁぁはははははははははははははははは、ホント駄目だってばぁぁ!!」  恥ずかしいお尻の穴の周囲や、そこへと至る溝の窪み……そして無防備に晒された尻肉全体にも羽根は多数這い回り、腋や足裏に負けずとも劣らないむず痒い刺激を与え回っている。 「あは~~~っはははははははははははははははははは、おじりぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、おじりの穴に入ってぎでるぅぅふふふふふふ!! そんなの反則ぅぅふふふふふふふふふふふふふ、そんなトコ触られたら耐えらんないぃィぃひひひひひひひひひひ!!」  首の裏や肘の裏……膝の裏など普段気にするような事もない箇所も、こうして拘束されて嬲られれば否応なしにこそばく感じるようになってしまう。 「うひ~~~っひひひひひひひひひひひひひひひ!! だはははははははははははははははははははははは、こしょばぁ~~っははははははははははははははははは、ひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! こしょばひぃっっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、いひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  身体の至る所がこそばゆい。  手の指先から足の指先まで全ての肌が羽根によってくすぐり尽くされていて……どれに意識を向けてもこそばくて仕方がない!  足裏がこそばい! と思えば次の瞬間にはワキが耐えられない程こそばく感じ……  腋がこそばい! と感じれば、また次の瞬間には脇腹や背中がゾクゾクする程こそばく感じて来る……  背中の次はお尻が……お尻の次は太腿付近が……それから胸に戻って首筋もキツくなって……脛やらふくらはぎやら足首やらもこそばくなり始めて……そしてまた足裏に強烈なくすぐったさを感じるようになり同じ事をまた繰り返し始める……  それが延々と繰り返される。  刺激に慣れる事もなく……常に高水準の大笑いを搾り取られながら、延々と……    笑いが止まらなければ、常に噴射され続けているあのガスを吸う事にも繋がってしまう。  ガスを吸えば吸う程身体の感覚は異常なほど鋭敏にさせられ続け……それが羽根の刺激を耐え難いものに仕上げてしまう。  笑ったらガスを吸ってしまう……ガスを吸ってしまったら身体が敏感になってしまいまた笑わされてしまう……そのループからは決して抜け出すことが出来ない。  一度でもそのガスを吸ってしまえば……きっと誰でもそうなってしまうのだ。 「アハッッハハハハハハハハハハハハ、だはははははははははははははははははは、ひぃひぃ! やめひぇ~~へへへへへへへへへへへへへへへ、くしゅぐらないでぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、いやぁ~~~っはははははははははははははははははははははは!!」  笑いたくなくても笑わされてしまう……どんなに笑うまいと心の中で意思を固めようと、機械に操られた羽根は正確無比に私の弱点をこそばして回り、私の意思を無視して無理やり笑わせようとしてくる。  この強制笑わせシステムに……私には抗えない。  抗う事も逃げる事も許されない。 「ギャ~~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、くるひっっひひひひひひひひひひひひひひ、ゆるじでぇぇへへへへへへへへへへへへへへ、もうゆるじでぇぇぇぇぇぇぇぇ!! 死んじゃう!! 私死んじゃうぅぅぅぅ!!」  腕を降ろしたくても手首の拘束がしっかりしている為降ろす事はおろかピクリとも動かすことも叶わない。  どんな辛くてもどんなに苦しくても腕を降ろす事は枷が許してくれない。  機械達は、そんな万歳の格好を強いられている私の無防備な腋を、一切の容赦なく羽根でくすぐってくる。  私がどんなに笑い悶えようと、酸欠で苦しんでいようと……腕を降ろせない哀れなワキに羽根先を沢山這わせて私を小馬鹿にするかのようにくすぐり続けていく。 「あがはははははははははははははははははは、ゲホゲホゲホ! はぎひひひひひひひひひひひ~~~~っひひひひひひひひひひひひひひひひひ、エホッ、ゲホ! くしししししししししししししししししし、ぃひひひひひひひひひひひひひひひひひ、んひっっひひひひひひひひひひひひ……」  腕を降ろせないのだから胸や脇腹やお腹をくすぐられても勿論抵抗できない。  出来る事なら手で機械の羽根達を払い除けてしまいたいとずっと思い続けているが……それは決して叶わない夢に成り果てるよりほかにない。  動かしたくても動かせない……払い除けたいのに払い除ける事も出来ない……そんなもどかしさも、私の精神をすり減らす原因となっていて……私はもう……自分でも気付かないうちに機械に対して「やめて」だの「許して」だのの屈服の言葉を吐き散らせてしまっている。  苦しくて辛くてもう限界だ……  と、思っても……機械は私を笑わす事をやめてはくれない。  責めを行っているのが人間であれば……この悲惨さを見せつければ“中断”などという判断を引き出す事もあろうが……相手は感情も良心も持ち合わせていない機械である。  計算機にボタンを押しながら「計算をやめろ」と理不尽な事を言って……言う事を聞くだろうか? 聞くわけがない。だって……機械なのだから……  機械はプログラム通りに行動を行い、そのプログラムが完遂されるまで同じ行動を繰り返し続ける……  それが機械であり……人間と違う所だ……。  だから、この責めはきっと私がどれだけ命乞いをしても止まる事はない。  このプログラムの“最終目的”を完遂するまで……私を責め続ける事だろう……  最終目的……。それはすなわち、廃棄完了……であり、私の死……である。  機械達はそれをやり遂げるまでプログラムを終了する事はない。  これは……そういう物だ。そういう無慈悲なモノなのだ。  それは分かっている。分かっているけど……私は人間であり機械ではない。  だから……無駄だと分かっていても命乞いをしてしまう。  そこに希望が無いと分かっていても…… 「はひ、はひ、あひひひひひひひひひひ、たしゅけ……て……へへへへへへへへへへへへへへへへへ、も、もう……笑いたぐ……ないぃっっひひひひひひひひひひひひひひ!! おでがい……たしゅけでぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへ……」  体中の神経という神経が同時に羽根のくすぐりに刺激され、もはや“くすぐったい”という感覚さえも脳が理解出来ないままに笑わされ続けている。  くすぐったいとは……どういう刺激だったのか? 頭で考えようとしても脳はその答えに辿り着く前に私のカラダに“笑え”と命令を下してくる。  もう……自分が何に対して笑っているのか……分からなくなってきた。  ガスを繰り返し吸ってきたことで身体中の神経が敏感になり過ぎてしまって……羽根の刺激に対して反射的に笑うという行動を私の身体は繰り返してしまっている。  触られたから笑う……触られたから笑う……それを繰り返していくうちに、私は自分の身体全体が何者かに支配されているかのような錯覚を感じる事となる。  こんなに苦しんでいても笑ってしまう……  横腹が軋むように痛んでいるのにそれでも笑ってしまう……  自分の意思は何一つとして通る事はない。ただただ……強烈な刺激によって笑う事だけを強要されている。  可笑しなことなど何もないのに笑う事を繰り返してしまっている自分の身体は……もしかしたらもう……私のモノではなくなっているのではないか? とさえ思えて来る。  いつの間にか……他の誰かに身体を乗っ取られて勝手に笑わされているような感覚……  自分の身体が自分の物でなくなっているかのような不可思議な感覚……  混乱を極めている私の脳は、いよいよそのような末期的な考え方を起こすようになってきてしまった。  コレはまずい……きっとこんな風に考え始めたら……終わりが近い……  そう思った瞬間、背筋が震える程の恐怖を私は感じた。  これが……死に近づくという事じゃないだろうか?  あまりに酸欠が酷過ぎて……死の一歩手前まで引き摺り出されたからこのように感じるようになったのではないだろうか?  自分が自分で無くなる……自分のカラダが……自分の物でないように思えて来る……  それは死が近づいてきているからそう思うのではないだろうか?  それを感じた瞬間、私は恐怖と不安で更なる命乞いを機械に対して行った。  もう形振り構ってはいられない……怖いものは怖いのだ……  だから、必死に許しを乞いた。  どうせ……この想いは伝わらない……。  きっと機械は無慈悲に私の事を死に追いやる筈だ……と、心の何処かでは思っていたけど……それでも私は命乞いを続けた。  自分でも情けないと思える程必死に…… ――ピィィィ! ガタン! ゴウンゴウン……ゴウン……ゴウン……  すると……どういう訳か機械達の羽根は徐々にくすぐるスピードを落としていき、その稼働音を低く小さく収め始めた。   ――プシュゥゥゥ……  やがて、完全に羽根の動きは止まり私の身体に久方ぶりの安寧が与えられる事となった。 「はっはっはっ、かひひ……はひぃ……はぁ、はぁ、はぁ……ひぃ、はひ……はぁはぁ、はぁはぁ……ゲホゲホゲホ!!」  願いが……通じたのだろうか?  それとも……ミシャさんが何か手を加えてくれて機械を止めてくれたのだろうか?  私は突然訪れた無刺激の時間に戸惑いつつも、その様な希望を心の中に持ち始めた。  しかし……私はこの安寧が何のために訪れたのか……知らない訳ではなかった。  なにせ……先程見たマリア博士の処刑映像にもこの瞬間は訪れていたのだから…… 「はぁはぁはぁ……はぁ、はひ……はぁはぁ……」 ――ズ……ズズ……ズズズ…………ゴゴ……ゴ……  ひとしきり呼吸を整え終えた私に……機械が再始動を始める駆動音が少しずつ地響きの様に聞こえ始める。  私は……その音が聞こえ始めた事により、博士が責められたあの場面を……鮮明に思い出してしまう。 「はぁはぁ……や、やだ……もう……嫌です……やめ……て……。もう……やめ……」  そう……博士も一瞬の安寧の後に……地獄に落とされたのだ……。 「い、いや!! もう嫌っっ!! 誰かっっ! 助けて……」  機械の音声は確か……あの時博士にこう告げていた…… 『第二段階……』 『……消耗責メ……』 『……開始』と。  そして私に向けられたスピーカーからも同様の機械音で同じようにその言葉が告げられる。 『第二段階……消耗責め……開始』と……。

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