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  高校最初の一学期が終わって、夏休みに入ったころ。親のコネでとあるマンションの一室に一人暮らしするハルカは時計の針も気にせず、コスプレ写真集を眺めては、自分も着てみたいなぁ。と妄想に歯車を掛けてパソコンの画面とにらめっこしていた。 「うぉ、やっぱこの服可愛い。私も着てみたいなぁ。いいなぁ」   田舎の農家暮らしだったハルカは、インターネットが家に普及されてからは毎日のようにパソコンを使ってはアニメを無料視聴できる会員登録サイトで好きなアニメを見るのが趣味になっていた。   中学生後半の時にはアニメのキャラクターが着ている衣装が可愛くて、実際に着てみたいと思うようになり、高校受験の時に親に無理を言って都会の学校に行きたい、一人暮らししたい、とお願いした。実際はいつでもコスプレ会場に行けるようにという思惑だったのは親には秘密だ。  結果、学校の試験に無事に受かることに成功したハルカは親からの許しもあり、夜に外出しないという事で一人暮らしを始められることになった。 「おーこの衣装結構きわどい」    ただ、思った以上に学校でやることが多くて未だにコスプレ会場なんかに行ったりしたことがないハルカは日々こうやって趣味のコスプレ写真集を眺めては妄想にふけっている。  マンションの室内はエアコンが効いて涼しく暑くもないし、なに不自由ない暮らしをしてるけど、唯一コスプレ会場に行けてないことだけが心残りだった。  けど、それも近いうちに解決される。同じく、アニメキャラクターが好きな女子友と巡り会えたハルカはあと五日後に開催されるコスプレ会場に一緒に行く約束をしたのだ。  実はそれが待ちきれなくて、こうやって夜更かししてしまったりしているのは女子友には内緒の話し。 「あぁ、たのしみだなぁ〜。って、もうこんな時間じゃん。寝ようかな」  半袖一枚にパンティ一丁の姿で、ブラもつけずにラフに過ごしていたのもあって寝ようと思えばこのまま寝れる。  ハルカは寝る前にお手洗いを済ませて、ベッドへ向かう。  ピンポーン 「……こんな時間に、だれだろ」  不意に鳴る玄関コールの音に若干ビビりながら玄関前を映し出すモニターを見ると、変な格好をしている女の子がそこにいた。 「なんという、格好してんだ……」  どこからどうみても怪しい服装をしている。アニメで見たことがあるその衣装は明らかに拘束衣と呼んでも間違いないものだった。    それに、マンションに入るためには先に一階入り口のオートロック式の自動ドアをくぐり抜けないとここまで来れない筈なのに、どうやって入ってきたのかわからない。  もしかしたら、マンションに住んでいる人で着たのはいいけど脱げなくなったから、助けを求めてる。なんて……。そんなうまい話しあるだろうか。 「……ナイナイ」  ピンポーン  ハルカが迷っている間も、拘束衣を着た女の子は何度も玄関コールを鳴らし続けている。様子からして帰るつもりはないらしい。 「……むぅ。仕方ない」  ハルカは意を決して玄関のドアを開ける。チェーンを掛けるのを忘れずに、少しだけ開いた。 「んぐぅ!!  ンッ、ンゥッ!」 「ちょ、ちょっと」  ドアの開いた隙間から顔をこっちに向けて涙を流して何か必死に訴えかけてくる。でも、口を覆う黒い革のマスクが言葉を抑えつけているみたいで何を言っているのか全然わからない。 「ま、まってて今開けるから!」  明らかにただ事に感じなくて、咄嗟に女の子を部屋の中にあげてしまい、玄関外の廊下には女の子以外いない事を確認して、ドアの鍵を閉めた。 「んぅ……ん、ふぅッ、ン」 「えっと、その……だいじょうぶ?」  とりあえず、こんなに泣いてるとは思ってなくて長い事放置したことにハルカはちょっと罪悪感が溢れた。 「……ん」  女の子はハルカの言葉に小さくうなづいて、お辞儀をした。 「それにしても……なんかすごいの着てるね」  改めて女の子を見て見る。顔は黒い革のマスクが覆っていて詳しい年齢はわからないけど、どこからどう見ても女の子で間違いはなかった。  ハルカの身長(154)よりも若干低いし、顔のマスクからはみ出る表情も明らかに幼い印象が見て取れる。  着ている拘束衣は両腕を胸を抱くように組んでいて、長い袖の先から伸びたベルトで背中に固定されていた。  さらに、背中から伸びる何本ものベルトが両腕の二の腕を胴体ごと一纏めに固定し、そのベルトの下から忍びでる胸から股へ向かって縦に伸びるベルトが胸を抱くように組む腕を抑えつけて、白いパンティを穿いた股に、ギッチリとその身を食い込ませていた。  首には頑丈そうな首輪が巻かれていて、ものすごく不自由そうだ。 「すごいなぁ……」 「……ん?」  なんだか、ちょっと羨ましい。とハルカは少しだけ思っていた。  だって、一応アニメのキャラクターが着ていた衣装の一つにこんな衣装があったのは確かだし、一度着て見たいなぁ。なんて思ったこともある。  女の子から脱がしたあとに貰えないかなぁ。とかハルカの脳裏で甘い考えが浮かんでいた。 「えーっと、とりあえず脱がした方がいい?」 「……ン」 ハ ルカが戸惑いながら女の子へ質問すると、女の子はハルカに背中を向ける。 「うわ、すごっ」  何重にもバックルで止められた拘束衣の後ろ姿は、見るだけでどれだけ酷く拘束されているのかがわかる。  正面から見た時は簡単に抜け出せそうとか、ハルカは思っていたが。背中の複雑に絡むベルトを見て、考えを改めた。 「……外してくね」  一つ一つベルトを緩めてはバックルから引き抜く作業を繰り返す。少しずつ女の子の身体の自由が戻っていくのが外している側からもハッキリわかる。 「んぅーっ、ン」  腕組みのまま固定されていた長い袖のベルトを外すと、女の子は背伸びをして自由に伸ばせる自分身体にくぐもってるけど、嬉しそうな声を漏らしていた。 「脱がしちゃうよ?」 「ん、ん」  首元で止まる頑丈な首輪を外すと、うなじのところでさらに拘束衣のベルトが止まっていた。それも外して緩めると、背中を縦に走るジッパーが姿を現した。  ハルカはそのジッパーを迷わず引き下げて、女の子の拘束衣を脱がしてあげた。  拘束衣の中はモワモワと汗の匂いがして、女の子は無地のシャツ一枚だけを身につけていた。それも汗でビショビショだ。 「あとは、口のやつかな」 「ぅん」  すでに両手も自由の女の子は自分で口を覆う革のマスクを外そうとする。首の後ろの二本の細いベルトを外すだけであとは、口を覆うマスクを取るだけになった。 「……ぅ、ぶ、ぅあ」 「……そんなの、入ってたんだ」   女の子が革のマスクを外すと、マスクの内側には歪な形をした太い棒が付いていて、女の子のヨダレを糸のように伸ばしながら、もの寂しげに口の中から引き抜かれた。 「……あ、ありがと。おかげで自由になれた」 「ど、どういたしまして?って、それよりも警察呼んだほうがいい?」 「あ、いや、それは……その……」 「……うん。いいんだ、事件じゃないなら安心できるし」  女の子を改めてまた見るとハルカよりも少し歳下に見える。どこからどう見ても高校生には見えなかった。高校生のハルカさえも高校生に見えないのだから尚のことだ。 「……あの、実は」  女の子の話しを整理する。女の子ことシズクはマンションに住む友達の家に泊まりに来ていて、その友達のイタズラで拘束衣を着せられてマンションの部屋の外に無理やり放り出されてしまったとのことだ。  最近の子どもの遊びにしては少しばかり強烈で危ない遊びな気がするハルカだったが、シズクの話しを聞いて誘拐事件とかじゃないことに安心する。  ただ、拘束衣を返さないといけない事になりそうで、ちょっと残念だった。  先ほどから何度もハルカは何を思ってか羨ましそうに拘束衣を触って見ている。 「……そ、そっかぁ〜。そしたらあとは友達の部屋に帰るだけだね」 「はい、そうなんです……けど、その前に着てみます?」 「……へ?」  シズクはハルカの動きを見て、少し迷いはしたけれど、言葉にして伝えてみる。ハルカが拘束衣を気にしているから、もしかしたら着てみたいのではないかと思っての言葉だが、ハルカはシズクの言葉に思考が止まっていた。 「あ、その……なんかその拘束衣のこと気にしてるので、着てみたいのかなと」 「……あ、あは、あははは。ないないないない。そんなわけあるはずないじゃん!」  顔を真っ赤にして全身を使って否定するハルカの姿は、シズクの言葉に動揺しすぎていてどこからどうみても肯定している事に、代わりなかった。 「でも、いまだけですよ? 私が持って帰ってしまったら、持ち出すことなんてできないですし」 「……そ、それはたしかに、一理ある。って、なんであたしが着たいっていう前提の話なの?」 「違うんですか?」 「……ち、ちがっ、うと思う」  シズクの問い掛けに、ハルカに迷いが生じる。「着てみたい」と言ってしまえば話しは簡単だけど、自分より歳下の女の子の前で、それもまだ初対面の女の子に「拘束衣を着たい」なんて恥ずかしい言葉を言えるほど、ハルカに勇気はない。だけど、着てみたい気持ちはたしかにあるのだ。 「……はい。手を通してください」  そのハルカの気持ちを悟ったのかシズクが拘束衣をハルカの目の前で広げ、着用を促してくる。 「……い、いや、あたしは別に何も言ってないし」  それでもハルカは最後まで理屈を並べて抵抗する。 「いいですよ。私がハルカさんに着せたいだけです。なので手を通してください」 「……むぅ。……それなら、別に……着せられてもいいよ?」  ハルカは別に拘束衣を着てみたいだけで、着たい訳じゃないけれど、シズクがどうしても着せたいと言うのなら、仕方なく着せられてもいいと思った。 「ハルカさん、意地っ張りですね」 「……うるさい」  ハルカはシズクが広げている拘束衣の袖の中へ両手を入れる。袖の先は腕の部位より若干硬い物で覆われていて拘束衣を着たまま指で作業ができないようになっていた。これだと、もし、手が自由に動かせたとしても背中のジッパーを止められてしまえば自力で拘束衣を脱ぐことはできそうになかった。 「……締めますよ」 「ンっ、ふぅ」  そのジッパーを背中側へいつの間にか移動していたシズクによって引き上げられる。金具が擦れる音を響かせて首のうなじまでしっかりと、締め上げると、カツンっと変な音が聞こえた。 「……いま、変な音しなかった?」 「首のベルトに手が当たっただけです」 「そ、それの音か……」 「首のベルト締めますよ?」 「う、うん」  先ほどの音は、うなじのところで閉まりきったジッパーの金具が取れた音なのだが、シズクはそんなことハルカに知らせる事もなく、手際良く拘束衣のベルトを次々と締めていく。 「ハルカさん、両手を前に組んでください」 「……こ、こうかな?」 「そのままですよ」 「……ぁ、ぃっ、んぁ」  シズクは背中で袖の先から伸びるベルトをグイグイと、何度も引っ張って限界までベルト同士を近づけて背中で固定する。何度も引っ張られて自分の腕で胸を圧迫されることでハルカは小さく声を漏らしてしまう。 「苦しくないですか?」  それを聞いているシズクはハルカに確認を取りながら、背中で固定したベルトにどこからか取り出した南京錠を取り付ける。 「ちょ、ちょっと、苦しいかも」 「大丈夫そうですね」  気づかれないようにハルカの返答を軽く流すと次は胸から縦に垂れるベルトを締めはじめた。 「あぁ、ちょ、そこは少し緩くして」 「ダメです。着せてあげてるんだから、ハルカさんの意見は聞きません」 「ち、ちがっ、あたしが着てあげてるのっ!」 「締めますよー」 「ーーひぃあっ!?」  両腕を縦に抑えつけて、股の下を通るベルトをシズクは力の限り引っ張る。反射でハルカの身体が飛び跳ねるも、構わずに引っ張って、ハルカの股に深くベルトを食い込ませた。 「……あ、ぁっ、き、っつぅ」  あまりにも強く食い込んでくるベルトに思わず両手を使って抵抗しようとハルカは動こうとするが、背中で固定されたベルトはハルカの両手の自由を許すことはせず、ガッチリと拘束していた。  その間にシズクは股に食い込むベルトを背中のベルトと連結して固定し、南京錠を施錠すると、次は、背中から何本も垂れ下がるベルトをハルカの二の腕ごと身体に巻きつけては絞めあげようと巻いていく。 「い、……ちょ、ま、まって! やっぱ脱ぐ! もう、十分堪能したから!」  思っていたよりも厳しい拘束にハルカは今すぐに拘束衣を脱ぎたくて仕方がなかった。 「ダメですってば、あと少しで終わりますし、もう少しの辛抱です」 「……っぐぅ、き、きつぃい!」  しかし、ハルカの訴えなど意に返さず、シズクは二の腕を巻き込んでハルカの身体をベルトできつく締めあげ、胸の前で固定する。 「ほら、できましたよ」 「……ふぇ?」  部屋にあった等身大の鏡の前まで連れてこられ、無理やり自分の身体を見せられる。 「拘束衣、着せられて嬉しいですか?」 「……はぁ、あぁ。はぁ」  そこに映るのは、先ほどまでハルカが見ていたシズクと同じようにベルトを身体に食い込ませたハルカ自身だった。    違うのは、口に革のマスクを付けていないのと、首輪を付けていないことだけだ。 「こんな、変態な格好して喜ぶのなんてハルカさんだけですからね」 「ち、ちがっ、喜んでなんか!」 「そういうのは自分の顔を見てからにしてください」 「……か、かお?」  鏡に映るハルカの顔は赤く火照って、嬉しそうに口許にヨダレを貯めていた。上気した瞳は、物欲しげに何か訴えかけているように見える。 「……う、うそっ。ちがっ、だってシズクが無理やり」 「本当は、無理やり着せて欲しかったんですよね?」 「そ、そんなつっ――ンぐっ!?ンン!!」 「ほら、喜んでる」 「ぅっ、ングッ! ンンゥ、んンッ!」  先ほどから繰り返し、抗議するハルカの口にシズクは黒く歪な太い棒がついた革のマスクを強引に咥えこませる。後頭部へ伸びる細いベルトをしっかりと締め合わせ、何度も口許のマスクの感触を確かめては、ベルトを締めあげ、ハルカの口を完全に革のマスクで抑えつける。  その度にハルカは口の中で動く太い棒に何度も喉奥を突かれては苦しそうにえずくように声をこぼした。 「忘れないように、首輪もつけてあげますね」 「……ンッ」  シズクはハルカの首に黒く頑丈な首輪をしっかり巻きつけ、固定する。 「あとこれ、何かわかります?」  何を思ったのかシズクは最初に外したジッパーの金具をハルカに見せる。  それがなんなのか思考を巡らしてたどり着いたのに、どれくらい時間が経ったのかわからない。 「ちなみに背中のベルトは南京錠でいくつか施錠してるので、鍵がないとハルカさんは拘束衣を脱げません」 「……ふぅ、ンぅ。んグッ、ゥン」 「南京錠、わかります? これですよ」  シズクはハルカに最後の一つの南京錠を見せて、微笑む。  ハルカの思考はすっかり止まってしまっていて、何がなんなのか理解しきれていない。    それも仕方のないことだった。  喉の奥を無理やり突いてくるほど歪な黒い棒は口の中を完全に犯し、ただ呼吸をするだけでも気持ち悪いのに、全身を締め付けるベルトが身体のいたるところをキツく戒め、特に股を割くように食い込むベルトが身じろぎするたび深く奥へ割り込んできて、なんとも言えない感覚が全身に電気を走らせ、足の力を弱々しくさせる。  鼻で唯一呼吸をしたとしても、胸を締め付けるベルトが深い呼吸を許すはずもなく、小刻みに短い呼吸ただ繰り返す。  ハルカは自分が着せられた拘束衣の執拗な責めに耐えるだけで精一杯だった。  シズクがみたかったのは、今の現状に絶望するハルカの表情を見たかったのだが、ハルカにはそんな余裕さえも残ってなかった。 「……ふ〜ん。なんだ、つまんないの」  シズクはそんなハルカの様子を見て退屈そうに首輪のベルトを南京錠で施錠してしまう。 「ハルカさんは、つまらないので帰ることにします」 「ングッ!? んン!んぐぅ!」  シズクは無地のシャツにパンティ一丁の姿のまま玄関へ向かう。苦しそうに声を上げるハルカもシズクの後を追って玄関へ向かう。  もし、このままシズクに帰られてしまったらハルカの拘束衣を誰が脱がしてくれるというのか。  付いていくことしかハルカに選択肢はなった。 「付いてこないでください。ハルカさんが着てみたくて着せてあげたんですから、ひとりで楽しんでいいですよ」 「ンンッ!!」  玄関を素足で外に出ていくシズクにハルカは拘束衣に包まれた姿で同じく素足で後を追う。歩くたびに擦れる股のベルトが身体を身じろぎさせて、全身のベルトがギチギチと、音を鳴らす。口許の革のマスクの隙間からヨダレが顎を伝って足下に落ちる。でも、そんなこと気にしてられない。 「……もう、仕方ないですね。そこまでして付いてくるなら、サービスですよ? わたしのこと捕まえられたら南京錠の鍵は外してあげます」  悪魔のように微笑む顔には最初に出会った時の泣いていた面影など一つも感じられない。 「あ、でもですよ。ハルカさんを捕まえる鬼もちゃんと準備してるのでわたしのこと捕まえる前に捕まったりしたらダメですよ?」  ハルカは最初からシズクに騙されていたのだ。 「それでは、始めます。よーい、ドン!」  シズクは掛け声とともに走り出すとハルカを置いてエレベーターに乗り込んだ。すると、マンションの部屋のドアから人が数人でてきた。 「ングッーー!!」  それら全ての視線が集中した時にハルカはくぐもった悲鳴をあげて駆け出した。  いつか鬼に捕まるその瞬間まで、ハルカは不自由な身体に悶えながら、シズクのことさえ忘れて走り続けた。

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