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 最近、変なことがすごく気になっている。 アニメやドラマとかで怪人に捕まる女の子や、犯人に人質にされる女の子とかがすっごくきになる。  見てるとなんだか胸のところが熱くなるっていうか、興奮するというか……。 よくわからない感覚に囚われてしまう。  この間の夜は親が寝静まったところでベルトを使って自分の足を拘束してみたりして、遊んだ。 心臓が飛び跳ねてるみたいに全身に脈の波打つ音が聞こえて、自分が何をしてるのかはっきり理解してなかったと思う。  後からネットで調べてみると、緊縛とか拘束って単語がちらほらヒットして、色々な縄での縛り方とか様々な種類の拘束具なるものがこの世界には存在していることを初めて知った。  私が初めて見つけた趣味は、世間一般ではあまり良く思われていないような夜の営みの一部だったことをその時知った。  それからは親にも友達にも隠して縄の縛り方とか拘束具の種類とかたくさん調べて、気がつけば縄で縛られた女の人の画像とか見ながらオナニーするようになってた。  上半身を固く締め付ける縄の食い込みとかを見ると酷く興奮したりしたし、自分が縛られたら……なんて、そんな想像をして自分で自分のことを画像と同じように縛ったりしようと試して見たけど、どう頑張ってもしっかり縛れなかった。  自分で自分を縛るのはすごく難しいのだ。  そんなある日のことだ。  いつものように学校を終えて自宅への帰路の途中。 既に夕暮れ時で日が沈むだけで外は暗くなる頃。 私の後ろから長方形の大きな車が狭い路地をゆっくりと走り抜け曲がり角を曲がっていった。 「……まっくろだ」  その車の窓は外から真っ黒に見えて中の様子は一切見えない。その黒い窓が私の妄想に一役噛んで、DIDファンなら一度は考えてしまう淡い期待を抱きながら後をつけていた。  外はすっかり日が暮れてしまい、街灯の明かりがないと周囲が見えなくなったころ。車は住宅街からさらに離れ、木々が生い茂る森の中へ向かっていく。  そこになぜかちょうどよく用意されたかのような一軒家でエンジンを止めた。こんな場所に家なんてあったんだとか思いながら、木々の木陰に隠れて車の様子を見る。  車の後部座席のドアが開くと中から出てきたのは体格のいい二人の男。どちらも顔にはお面を付けていて顔は見えない。お面のキャラさえも暗くてよく見えなかった。 「……んっん!」 「静かにしろ」  その二人の男の後から引っ張られるように出てきたのは両手を後ろに組んで縄で縛られたお面をつけられてる制服姿の女の子だった。 「――っ!?」  私はそれを見て咄嗟に口を塞いだ。だって、こんなことありえない。こんな……誘拐されているところに本当についてきてしまったなんて……信じられない。  どうしていいかわからず、見間違いだと嫌だから、もう一度木陰に隠れたまま顔だけ覗いて様子を確認してみる。  女の子は背後の男に後ろから無理やり頭を押さえつけられ、首から伸びるリードのようなものを前の男に引かれながら家の中へ連れていかれた。 「う、うわ。これ警察に電話しないと」  趣味としては私もそこに混ざりたい気持ちが溢れてしまっているが、それとこれとは話しが別で、事件性のある物事までも利用する気持ちはなかった。  それなのに―― 「――っ!?」  制服のスカートからスマホを取り出そうとポッケに手を入れた途端に、背後から首元に冷たく鋭い何かがあてがわれた。 「そのまま携帯を渡せ。声を出すな」 「……ぁ」  突然のことで反応できてない思考が、叫び声を出そうとする。でも、恐怖で声が出なくて、掠れた声が小さく溢れるだけだった。  私がポッケから出したスマホを背後の男にすんなり渡すと、地面に落とす音のあとにスマホを足で踏み砕いて壊している音が聞こえてきた。 「そのまま動くな」 「……っ」  両手をあげたまま、抵抗できない私の後ろで「ビリっ、びり」と音がすると目にテープを貼られる。口元にも同じように貼り付けられ、手を後ろ手に引っ張られ、まっすぐ伸ばした状態で手首にガムテープを巻かれた。 「言う通りにすれば痛いことはしない。少しでも変なことをすれば……わかるな?」  男の言葉に頷くことしかできない私は、頭を押さえつけられながら、家の中へ連れていかれるのだった。 ――――――――――――――  家の中へ入れられると、靴を脱がされた。学校指定のソックスで床を踏みしめながら奥へ奥へと歩かされる。鼻から吸う空気は埃っぽくて鼻がムズムズするけど我慢するしかなかった。  階段を登り、いくらか歩いたところで鍵を開ける音が聞こえてきた。 「入れ」 「んぅ!」  何も見えない状態なのにそのまま頭を後ろから無理やり押され、突き飛ばされたみたいに前のめりに転びそうになる。てか、転んだ。  ただ、床は柔らかいクッションマットが敷かれているみたいで転んでも怪我をするほど痛くはなかった。そして、すごく汗臭い。学校の体育館見たいな匂いだ。 「ここで大人しくしてろ」  男がドアの鍵を閉めると、扉越しからの音は全く聞こえなくなった。  転んだままの恰好でいるのも癪だからとりあえず身体を起こす。後ろ手にガムテープで纏められた手は不自由で使い難い。これが後ろ手拘束なんだ。  試しに手首に力を込めて無理やりガムテープを破こうと頑張って見る。手首だけじゃなく、肩も動かして本気で外しにかかった。 「あ、ほえあ」  すると、結構あっさり取れてしまった。 「ひはも、へっほうひゃへえる」  猿轡になってない顔に貼られたガムテープも剥がす。目のところのを剥がすときに眉毛が何本か抜けたのが少し痛かったけど難なく拘束から解放されてしまった。ちょっと残念な気持ちになる。車から連れて行かれた女の子みたいに厳重に拘束されたりしたらこんなに簡単には抜け出せなかったのに。 「って、今はそれどころじゃないない」  気を取り直して周囲を確認する。部屋の中は天井の薄白く輝くライトに若干照らされているだけでほとんど明かりが行き届いてない。窓にカーテンはなく、びっしり貼り付けられた銀色のテープのようなもので外と遮断されてしまっていた。これじゃ窓を開けるのは難しそうだ。 「……ドアから出るにしてもなぁ」  入ってきたと思われる方向の壁を見てみるけど、どう見てもドアノブが無い作りになっている。と言うことは、こちら側からじゃ開けることができない。 「……んぅ……ふぅ……」 「…………」  色々と観察している間もどこからか苦しそうな誰かの息づかいとジャリジャリと鉄の擦れる音が聞こえてくる事に気付いた。少し怖くて声をかけようか迷っていたけれど、一人じゃ逃げられそうもないので勇気を振り絞る事にする。 「だ、誰かいるの?」 「――ん!」  震えた声で確かめるとすぐにくぐもった返事が聞こえた。もしかしたらさっき車から連れて来られていた女の子かもしれない。  声のほうへ四つん這いで手探りしつつゆっくり近づくと右手に温もりを感じる柔らかい塊がフィットする。もしかすると壁もクッションで埋め尽くされているんじゃないか。とか思って、温もりを感じる柔らかい塊をモミモミして素材がなんなのか確かめてみる。 「んっ、んん、っんぅ!」 「いたっ」  どう考えても足だと思われるもので蹴られた。脇腹にクリーンヒットしたからか結構痛くて行動不能になる。 ごめんなさい余りにも大きかったのでワザとやりました。だって私よりも多きかったから仕方ないでしょ。 「んぅん?んん」 くぐもった声が何を言ってるのかわからないけど、多分謝ってるかなんかだと思う。そんな感じのイントネーションぽく聞こえた。 「……大丈夫」  うっすらと見える女の子のシルエットから様子を見るに、やっぱり拘束されているみたいだった。  手探りで身体を触りつつ、何とか拘束されてる箇所を探し出そうとする。 「ん、ンン!」 「ま、まって拘束を解きたいだけだから」  その度にくすぐったいのか変な声出したりしてるけど、我慢してほしい。こっちは一応真面目なのだ。 「うわ、これ見えてても解くのキツイかも……」  なんとなく両手の位置を見つけたはいい。ただ、拘束のされ方が私の時は偉く違う。  両手は背中で腕組みした状態で両手首から腕に掛けて空気が触れられないほどに縄が何重にも巻かれていた。巻かれた縄のところどころの間には何度も何度も縄が絡まっていて四方八方へその身を伸ばしていた。胸の上下を締め上げている縄は二の腕ごと身体を一つに縛り付け、脇の下には縄留めの閂が施されてる。  後ろ手から肩を通り、胸の前で複雑に絡まり合う縄たちはそのまま女の子の股の間にまでその身を忍ばせていて背中の縄に合流している。深く身体を戒め、扇情的なほどに無理やり肌に食い込まされた縄には解ける余地など残っていないように見える。  さらに壁から飛び出した杭に分厚い革質の首輪から伸びる鎖のリードが南京錠でつなぎ留められてしまっていた。足が自由なのはきっとこの拘束があるからだと思われた。  女の子の顔のほうを見てみると車から降りた時についてたお面が無くなってて、代わりに布の猿轡が鼻からアゴまで覆っている。両目の所にも分厚い革質のアイマスクっぽいものでガッチリ目隠しされていて、南京錠で施錠されている。いますぐに簡単に外せそうなのは猿轡くらいしかなかった。  正直に言うと顔くらい見えると思ってたのに顔さえ誰なのかわからないほどに拘束されていて尚のこと羨ましいと思ってしまった。嫉妬心が芽生える。 「ごめん、口の猿轡だけとるね」 「んんぅ」  暗闇の中で、何とかして猿轡の布だけでも外そうと頑張る。布は結び目を解いて仕舞えばあっさり外すことはできたけれど、その後が問題だった。  前も後ろもビニールテープでぐるぐるに巻かれた状態で、しかも一つに繋がってるもので巻けばいいのに何度も何度も千切っては巻いて、を繰り返したみたいで切り目がバラバラだった。ガムテーブなら破けるのにビニールテープじゃ破けない……。 「うわ、外せるかな……やって見る」 「……ん、ん」  何度も何度も手探りで切り目を探しながら剥がしていく。すると、何だか目隠しの物と似たような肌ざわりの物に行き当たる。  テープを全部剥がしてそれが何なのか解った時に彼女がどれだけ厳重に言葉も封じられてるかを思い知る。  彼女の口には無慈悲に口の表面を覆う大きさの革質の口枷がされていた。顎にはベタベタと涎が溢れてしまっている。ということは口の中に何かを押し込められている可能性が高い。後頭部へ伸びるベルトは南京錠で施錠されていないため、ベルトのバックルを緩めれば外せそうだった。 「……こんなに厳重に塞がれて……ズルい」 「んん、ンッん!」  つい本音が出て手を休めていると外してと言ってるのかいまいちわからないけど、急かされた気がする。そんな感じのイントネーションだったと思う。仕方ない外してあげよう。  それにしても、ここまで厳重に拘束されているなんてこの子は一体何者なんだろう? もしかしてどこかの令嬢とか、お金持ちの娘さんなんだろうか?   ……私もこれくらい拘束されてたら、どう見ても自力じゃ絶対解けないし、泣いて叫んで助けを求めてたのかな……なんて、変なこと考えてるし。 「いま、外すから待ってね」  とりあえず、後頭部で止められているベルトを外してみる。こればっかりはベルトを夜な夜な使っていただけあって結構簡単に外すことができた。そのままゆっくりと口枷を女の子の口から放していく。 「ん……ぅぶ、あぇ」  革のカバーの内側には口内を埋め尽くす歪で大きな縦長の造型物が女の子の唾液を淫らに絡ませて白い透明な糸を伸ばしながらその身を現した。 「うわ、なにこれすご」  明らかに誰が口に咥えさせられたとしても吐き気を催してしまうだろうと思われるその大きさに、つい気持ちが引いてしまう。こんなものを口の中に入れられていたなんて想像できない。目の当たりにはしたけど……。 「……けほっ、けほっ、あ、あいがと」 「あ、いやそのっど、どういたしまして?」  それなのに普通にお礼を述べてくる女の子に少し動揺してしまう。 「……あたし、ユズリっていうの。あなたは?」 そして、口が自由になったらすぐに自己紹介できることに驚く。私だったら、そんなことできない。 「えっと。私はカザリ」 なんとなく名乗ってしまう。 「カザリちゃんかぁ。さっきは蹴っちゃってごめん。いきなりだったから身体が咄嗟に動いちゃってたの。許してね」  縄に戒められてギシギシ音を鳴らして、さらには鎖の音をジャラジャラと響かせて、余裕な佇まいで微笑むユズリという女の子に少し疑念が湧いてくる。 「いいよ。私もやられてたら蹴ってたと思うし」  だから、ユズリに話を合わせて振舞う事にする。驚いて動揺してるし、色々と聞きたいことも突っ込みたいことあるけれど、今はそういう空気に感じない。 「これ、どうしよう……?」 「……あぁー。……うん」  とりあえず無知な振りをしてなんとか縄を解こうと頑張って見せる。でも本当に全然縄の尻がわからない。この縄の結び目、どこで終わってるんだろう。あまりにも縄が複雑すぎて見つけれたとしても解けるのかさえわからない。焦りからか自然と縄から手が離れて、温もりのある柔らかい塊をモミモミと触って確かめてしまう。 「え、えっとね。……カザリちゃん。お願いがあるんだけど、胸触るのはやめて顔の目隠しを取ってほしい」 「あ、いや、それが……その」  なんて説明したらいいんだろう。無知な振りも疲れる。若干思い悩んでしまう……。 「もしかして、鍵とかついてる?」 「う、うん。ついてる」  察しのよさに驚きながらも、とりあえず正直に答えてしまう。私の場合だと目隠しに鍵がついてるなんて想像でき……で、でき……できる……。 「そしたら、私のスカートのポケットに鍵とか入ってないかな?」 「ポケットに?」  ユズリに言われてスカートの中へ手を入れて確かめると確かに何か入ってた。取り出して見ると、南京錠用なのか小さな鍵だ。 「あったかな?」 「うん、小さい鍵だけど」 「それ使って外して、お願い」 「う、うん。わかった」  ユズリに言われた通りに目隠しの南京錠を外して、目隠しもバックルを緩めて外した。ついでに首輪の南京錠も外せないか試してみるとあっさり外せた。鍵は一緒のものだったらしい。  「あ、ありがと! あとはこの縄だけなんだけど……」  「その、その縄なんだけど……わたしも解けない……と思う……ごめん」  ユズリの顔を見てみると私よりも童顔な佇まいで一つ一つのパーツに個性のない端麗な面立ちをしていた。一重に言えば可愛いのに綺麗な顔。テレビに出てるアイドルとかのそんな感じ。髪の毛は私と同じセミロングで背丈も変わらないみたい。今は汗とヨダレでベトベトになってるけれど、メイクしたらどうなることやら。  「うん、さっきから何度か解こうとしてくれたの知ってるよ。首輪も目隠しも口枷も外してくれたし、でも急がないとヤバイかも……」  ユズリは何とかして身体を縛る縄から抜け出そうと身体をもがき始めた。その度にギシッギチッと縄の擦れる音が聞こえて同時にユズリの力を込めるか細い声が漏れて、それがなんだが凄く女の子っぽい艶がでてエッチだった。 「っん、っ……くっ……っん……んぁっ、もう!」  けれど、やっぱり縄は解けるはずがなく、後ろ手に固定された両腕は組んだままビクともしていなかった。ユズリは身体を背中の壁に預けて女の子座りしながら息を整えている。 「はぁ……こんなの解けるわけない……どうしよう……」  力任せに抜け出そうとしたせいで縄がさっきより身体に食い込んでしまって、息が苦しいんだと思う。  どうすれば、縄を解けるのか考えようとして天井を見上げた。薄白い光が室内を照らしている。埃っぽくて汗臭いこの部屋を照らしてる。窓にはテープ、ドアにはノブがない。ユズリは身体を縄で縛られていて上半身は不自由で拘束は一向に解けない。自由なのは私だけ。  すぐ近くにはユズリが着けていた歪な形状を模した口枷と視界を塞ぎ込む目隠し、鎖のない首輪と南京錠が置いてある。  口枷だけでも着けて見たい……。 「……か、カザリちゃん?」  ユズリに呼ばれて我に返る。明らかに視覚の方向を見られているからバレバレなのかもしれないけれど、ワザとらしく「なんでもない」なんて言っていた。 「縄が解けないかもう一回試してみる」 「ごめんね、私何にも手伝えなくて……」 「いいよ。二人で一緒にここから抜け出そう」 「う、うん」  ユズリは私の近くに来ていて、背中をこっちに向けてくる。複雑な縛り方は相変わらずで、少し身じろぎするだけで縄の擦れる音が聞こえてくる。  もし、ここでユズリに口枷を咥えさせたらユズリはどんな反応するんだろう?  驚いて声を上げて抵抗するのかな……。  なんて、変なことばっかり考えちゃう。 「……あれ?」 「どうしたの?」  突然ユズリが不思議そうに声を上げるから、少し驚いてユズリの見てる方向に視界を向ける。 「いや、その……床にあった口枷がなくなってる気がして……」 「そんなは——っぅぶ!?」    口の中に何かが入り込むと勢いが消えないまま舌を押し潰して喉の奥まで突き上げてきた。驚いた身体はただ、たじろいでいるだけで抵抗という抵抗もしないまま口の中を無理やり蹂躙される。 「ゔぅっ!? んっんぶ、ぐっぶ……ンンっーー!」 「カザリちゃん?  大丈夫?」  喉の奥に突き当たる物で窒息しないように自然と顎が上を向いて鼻で目一杯息をする。  手を使って口の中に入り込むソレを外そうと抵抗しても、力強く口に張り付く革のカバーのベルトが後頭部で引き絞られると『カチッ』と錠の掛かる音が聞こえたと思えば、指で何度も引っ掻いてもピクリともズレる気配もなく口の自由を奪われてしまっていた。 「ンンっ!  ぶふぅっ……! んぐっう!」 「あ、ちょっ……と、やめっ離して!」  それでも諦めずに口枷を外そうとした私の両手を何者かが背後に捻りあげると、強引に前のめりに身体を倒され、逃げられなくされた。そこに『シュルル』と擦れながら縄のような物が巻きついてきた。 「んんっンぅー!」 「そっち、行きたくなっ——」  バタバタ足を動かして身体を揺すって抵抗する私を問答無用で縄が縛りつけてくる。背中で交差する手首がグイッと肩の方へ引き上げられると二の腕ごと胸の上を通って縄が二回巻かれてしまった。 「ぶふーっ……んっ!んぐぅう!」  一度背中で縄が縛り付けられると、今度は別の縄が二の腕ごと胸の下を通って下からおっぱいを掬い上げて二回巻きつけると腕と胸の間から飛び出してきた縄でギチリと胸下の縄が閂で締め上げられていく。  余った縄は無造作に背中の手首に巻き付けられ、適当なところで結び目を作られた。 「……んっ……んん……んふぅ」  その頃にはもう抵抗する気持ちも無くなってしまった。背中で纏められた手首は殆ど動かせる余地がなくて、二の腕を締め上げる縄は上半身の自由をほぼ奪い去っていたし、何より喉の奥を蹂躙する口枷が呼吸を乱して私の意志も言葉も蔑ろに奪っていく。  私があこがれていた囚われのお姫様はいつもこんなに苦しいことを無理に強いられていたと思うと、助けを求めるのは当たり前なんだと今更になってわかった。  ただの好奇心で求めるような生易しい娯楽ではなかった。友だちと遊び半分で縛って拘束するのとは違う。本気で逃げられないように抵抗する意志を奪う為の拘束を私はされているんだ。 「……んんっ……ひぐっ……んぅ」  そう思うと涙が出てきた。このまま身体の自由を奪われてずっと家に帰れないまま過ごすなんて……嫌だ。 「……んぅ? ……んんっ!?」  うつ伏せのまま抵抗しなくなった私のお腹に縄が一巻きされるとお尻から前の方へ向かって縄が股を横断した。そのままお腹の縄に一度引っ掛けると強く股に縄を食い込ませてから、今度は股を通ってお尻のほうへ戻った。 「んんっ!! んぅーっ! ぶふっ……! ん、んんっ……ぅぐっ……んぐっ!」  何度も何度も縄を引っ張られてその度に下着越しに食い込む縄が容赦なく大事なところを刺激してきてる。  私を縛り付けた犯人はそれを何度も何度も繰り返し行い、抵抗しない私を嘲笑うみたいにして、オモチャのように遊んで弄る。  縄を引かれる度に腰が持ち上がり、お尻を突き上げるみたいな姿勢になる。けれど、大事なところを刺激されると身体の力が自然と抜けてしまって、腰を床に下ろしてしまう。  自分の身体が別の誰かの手でコントロールされている事が酷く怖くて、犯人の顔を見ようとすることさえ怖くてできなかった。    すると、私の気持ちを悟ったからか股縄の動きが止まり、腰の後ろで縄が結ばれると目元に柔らかい感触が触れた。  グミみたいにモチモチした冷んやりと冷たいソレは私の目元を覆い尽くすと口枷と同じ要領で頭の後ろでベルトを止められると『カチッ』と音がした。  これで私もユズリみたいに顔さえ見えないほど拘束されてしまったのだ。と思うと身体中がなんだか火照っている気がしてすごく恥ずかしい気持ちになってきた。 「……んっ」  けれど、まだ終わりじゃなかった。  私の首に強引に巻かれたのは金具の音をカチャカチャとならす首輪。革質の首輪は私の首を適度に締め付け、口枷と相まって更に呼吸を苦しくして私の抵抗の意志を奪い取る。  最後に鎖が着けられたのかジャラジャラと音を鳴らす重たいモノが『カチッ』と音と同時に首にぶら下がる。 「……んんっ!?」  歩け、と言わんばかりに首輪の鎖……もといリードを引かれる。起き上がることも億劫な状態の私に立ち上がる気力なんて残っていない。 「——っぅぐ!?」  なのに、リードは無理やり引き上げられ、喉が締まり息がつまる。苦しさから逃れようとした身体は私の意志とは関係なく強引に立ち上がらされて何処かへと歩かされる。 「……んふっ……んっ……ぶふっ……ん」  歩く度に擦れる股縄は私の身体を刺激して足腰の力を不安定にさせるし、鼻からしか呼吸ができないせいで息もままならない。目隠しのせいで視界は不良で暗闇だけが広がっていて、足場のわからないところを少し前に進むだけでも転びそうで怖くて一歩が前に出ない。 「んぅ!」  だからといって不安がっているとリードを突然引かれて首が前のめりになるとバランスを崩して変に身体に力が入っては『ギシッ』と身体を縛る縄が擦れる音を響かして火照った私の身体を締め付ける。  ただ、ソレだけのことで私の意識は精一杯で他の事なんか考えることもいつのまにかできなくなっていた。  集中して考えるのは身体を締めつける縄と引かれるリードの方向だけ、呼吸が乱れないように必死になって前に進むしか私にはできなかった。  

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