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美術解剖学や解剖学は、知識の伝達を必要とします。文章だけでなく、解剖図のコピーがなされることも少なくありません。


私も結構な頻度でポール・リシェ先生の図を説明に合わせてアレンジしています。リシェ先生は1933年に亡くなっていますから没後90年が経過していて、すでに著作権が切れています。


ポール・リシェ先生の図をなぜ使用するかと言うと、美術でしばしば表現される西洋人の体型をクセなく描いているのと、解剖図では骨・筋・体表の図が同一の輪郭の中にぴったりとおさまり、部位の形や位置関係にほぼズレがないからです。これを自分で作図しようと思うと、自分が気が付かないズレが結構出てしまい、不確かな形になるのと、数ヶ月〜一年くらいの準備期間が必要になります。締め切りも短く、考えて止まっている暇がありません。読者やフォロワーさんに不確かな図を提供するくらいなら、リシェ先生の図で自分が気がついているところをアップデートする、という形で図が描けないか、と今のスタイルに落ち着いたのです。将来的にはゼロから作図したオリジナルの人体図を用意したいと思っていますが、現状の私の知識レベルでは「標準形」を選ぶだけでも結構時間がかかります。


リシェ先生の図は出版後にいろんな書籍に使われてきました。現代では『スカルプターのための美術解剖学』や『アーティストのための美術解剖学』が有名でしょうか。それぞれの本でも、一つの解説に一つの図という感じで、アレンジされています。


他にも私は著作権が切れていない図やネット上で拾った画像を使用しないというルールを設定しています。もちろん完璧に履行するのは難しく、全体のイラストのうち数パーセントは使用することになりますが、著作物を使用した場合で書籍に使用する際にはクレジットをイラストの近くか巻末に付記しています。


使用するのは海外の美術館などで自分で撮ってきた写真と、19世紀末から20世紀初頭に出版、印刷された海外の古書や古写真です。そんな古い時代の本が現代に通用するのか?と思われるかもしれませんが、実は美術解剖学も解剖学も当時の内容の方が詳細であるケースが多いです。現代の書籍だと入門者向けにコンサイスな調整がなされていますが、当時の書籍には込み入った内容や細部まで描かれた図が結構あります。


美術解剖学では「いったん情報を知ると、次からは観察できるようになる」という学習効果があります。私が美術解剖学に詳しくなったのもこうした過去の詳細な観察眼によるものかもしれません。


資料はどこで入手しているかというと、書籍はabebooks(https://www.abebooks.com)や、viaLibri(https://www.vialibri.net)です。古写真は、hippostcard(https://www.hippostcard.com)などでsculptureとか検索して探しています。必要な資料に巡り合うには根気強い検索能力を要しますが、地道に調べていると必要な情報にアクセスできます。お金がいくらあっても足りませんが、、、

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