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「形」と「構造」の違いって区別できているでしょうか。

私は美術解剖学を勉強するまで違いがよくわかっていませんでした。


簡単に言うと「形」は表面的に観察できる起伏のことです。

「構造」には機能などの仕組みが伴っていて、「形」は「構造」の結果とも言えます。


例えば人体で言うと、「上腕筋」は肘の関節を曲げる筋です。

どうやって曲げているかというと、上腕筋の筋線維が収縮して上腕骨に尺骨を近づけるからです。

筋線維はどうやって収縮しているかと言うと、神経(上腕筋の場合は筋皮神経)からの指令によって、アクチンとミオシンという交互にやや重なるように並んだ筋のフィラメントが滑走して近づくから、と言う滑走説が有力です。


自然物は「なんで?」を調べてみると、どんどん仕組みが現れる。

大きく観察しても、小さく観察しても、なんらかの構造があります。

人体も自然物なので、構造を見出すことができます。


静物などをデッサンする時には「形」を観察します。

全身骨格などほとんど変化がないモチーフを表現する場合には形を再現すればOK。

(*今回の画像は、私が昔描いた形を追った鉛筆デッサンの作例になってます)

一方で、生命感や躍動感を再現しようとする時には、構造体を意識した方がより生き生きした表現になると思います。


美術解剖学で言うと、この筋肉はこの骨とこの骨につながっていて、さらにその周辺にはこの筋があって、この動きの時にはこうなっているかな、などなど。

作っている時にはいちいち言語化していませんが、知っていることを瞬時に判断しています。

その結果、中身(構造)が詰まったかのような作品が作れるようになります。

これは、形を取捨選択したデフォルメ表現でも同様です。


ポーズや印象、ライティング、パース、運動など作品を生き生きさせる要素はたくさんありますが、その中の一つとして人体の構造も頭の片隅に入れておくと、作品を生き生き見せてくれる要素の一つになってくれると思います。

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