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美術解剖学の解説やTIPSではしばしば間違った解説を見かけます。誰しも騙されたくないので間違った情報は仕入れたくないと思います。ですが、おそらく間違った情報はなくなりません。


間違いは、構造を誤解している、頭の中と別のことを喋っていたりする、よく知らないことを想像で補ったりすることなどで生じます。


美術解剖学に限ったことではないですが、大学教員はある日突然、任命されて人に教えるようになります。5000語を超える専門用語がある人体構造では、一生かけてもマスターするのが難しいので、みなさん勉強途中で教員になるのです。勉強の途中なので、間違ったことを言ってしまうこともあります。


学ぶ側では「あの先生、間違ってるじゃん」で普通は終わりですが、たまにいつまでも根に持つ方もおられます。先ほども言いましたが、間違ってもしょうがないことを根に持ってもしょうがありません。教員側も成長するので、間違っていた状態でストップすることはありません。新しい情報をアップデートしたら次にいきましょう。どれが正しい情報かわからないうちは保留にしておいてください。


教員側では間違ったことを言ったと気がついたら冷や汗ものです。人前で大恥をかくことになるので、印象に強く残り、次からは間違えないようになります。また、よく知らないことを想像で言うのは良くないなとなって、知らないことは知らないといえるようになります。知っているふりをしているうちは教員として未熟で、知らないといえる教員の方が成熟していると言えます。


私も、よく知らない構造を想像で答えて、後から調べたら違ったという経験が何回もあります。「いやぁ、さっきの授業で間違ったことを言っちゃいました」とその時近くにいたベテランの技術員さんにいうと、「そりゃぁ、良い教育をされましたね」と返されて驚いたのを覚えています。技術員さんによれば、教員は恥をかいたら成長するし、学生も間違いに気がついたら、印象に強く残るので正しい答えを忘れないというのです。


なんでも東京美術学校(現東京藝術大学)で美術解剖学を教えていた森鴎外も授業で学生さんから間違いを指摘されて答えられず、冷や汗をかいたことがあるそうですよ。


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