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みなさんどうもです!さかいです!

今回も僕が最近読んだ本の感想を忖度なしに書いていこうと思います!

あくまで個人の感想として見ていただけたら幸いです!

それではどうぞ!



・か「」く「」し「」ご「」と「(住野よる)



青春小説。

住野よるさんといえば「君の膵臓を食べたい」が大ヒットした作家さん。

優しく暖かな文体が心地よく、僕の好きな作家さんの一人です。

そんな住野さんの今作は青春群像劇。

京、ヅカ、ミッキー、パラ、エルのクラスメイト5人はそれぞれが別々の形で人の心を観測できる特殊な能力を持っている。

そんな自分以外は誰も知らない「かくしごと」を持った5人のすこし不思議系青春ファンタジー。

なまじ半端に心が見えるから余計に入り組む人間模様と、青春らしい繊細な機微が瑞々しいタッチで描かれていて、ああ、高校時代の友人や恋愛っていいものだな、とほっこりした気持ちになった。

軽い気持ちで読めるタイプの明るい本。

ヤングアダルト系の本が読みたい人向け。



・こっそり楽しむうんこ化石の世界(土屋健)



うんち!!!!!

考古学の本。

太古の昔、恐竜や古代生物たちの化石やその排泄物、または体内に残っていた未消化物の化石などを手掛かりに、古生物の生態を推察する本。

うんちの化石からは当時、どんなものを食べていたのか、体調はどうだったのかに始まり、内容物の残り方から顎の力や生物としての文化(古代生物も同じ場所に排泄をする「トイレ」の習性を持っていた種がいる)などを知る一助になる。

ちなみに排泄されたうんちの化石を「コプロライト」、消化され排泄待ちだったが体内にある状態で化石化したものを「コロライト」と学術的に区別するらしい。

うんちの世界は奥深い…。

軽快な文章で子供でも楽しめるように書かれているけど、内容は割と専門的なことなので大人でも読み応えがある本だった。

古代生物の生態に興味がある人向け。

うんち!!!!!



・映画を早送りで観る人たち(稲田豊史)



ファストコンテンツの本。

動画配信サービスなどではもう当たり前についている「倍速再生」と「スキップ」機能。

サブスクや動画サイトで手軽で気軽、そして安価に映像作品を見ることが出来るようになった昨今では、こうした機能を駆使して映画やドラマを見る人が増えているという。

現代では娯楽があふれているため、時間効率を考え不要と判断したシーンをスキップ、場合によっては数話まるごと飛ばして視聴するという事も発生している。

サブスクは定額制で見放題という便利なシステムであるが、弊害として「一回一回をじっくり見る機会」を奪っていると指摘。

これは安価になると作品(または商品)そのものの価値が低いととらえ、ぞんざいに扱うようになる、といった心理による。

こうしたことから作品を大量に「つまみぐい」しやすくなり、そういったニーズに合わせるように近年の作品は「セリフですべて説明して、言外の余地や余白を汲み取らなくても大筋が分かる」ものが主流になりつつあるとのこと。

こういった視聴方法は「情報収集」という点においては効率的であるが、「作品鑑賞」では手段が目的化していると言わざるを得ず、物事への読解力や行間を読む能力、自ら思考する能力、そしてそういった楽しみを奪っているとも言える。

結果、「過剰なまでにすべてを説明する」「わかりやすい作品」が好まれるようになり、ハイコンテクストな作品は「視聴者層ではない消費者層」にも楽しめる多層構造にしないと時代の潮流からは外れていく事になる。

社会の変化や視聴層の幼稚化、咀嚼力の低下、時間とお金の制限、共感への圧や個性への焦り、快適主義など、様々な要因が複合的に作用し、現在の倍速視聴ニーズは存在する。

文化の変遷を歴史的に見れば易や楽に向かうのは当然の流れである。

しかしそれでも、現状の倍速消費に疑問を呈さずにはいられない、といったスタンスで本書は締められていた。

確かに最近のアニメ見てても「説明過剰だなぁ…」と思うし、いちクリエイターとしては身につまされる話で、正直自分もより強く意識していかなければな、と危機感を持つ話題だった。

というか自分でTwitterに4コマを上げてて本当に思う。

より分かりやすく、キャッチーで刺激的なもの。そして人の集まっているところにしか、人は集まらない。

ユーザーは人気で価値の担保された作品を消費したいのであって、無料であることは当たり前。クリエイターに敬意もお金も払うことは無い。

加速化するコンテンツ消費に対してどう立ち回っていくか、我々クリエイターは変化を求められ、試されているな、と感じた。

現代のコンテンツ消費を知りたい人向け。



・予想どおりに不合理(ダン・アリエリー)



行動経済学の本。

人間がなにを選ぶか、どうしてそれを買うのかなどの購買行動は、みんな自分の意志で決めていると思い込んでいる。

しかし私たちはときに理性的とは言い難い判断をし、それを正当なものだと思い込んでしまう。

このような不合理な行動原理を実験によって系統化し、紹介、解説するといった内容の書籍。

以下に、各章の要約を。

値段は相対的であり、比較して得であれば結果的な損を受け入れる。

需要と供給は恣意的に決定できる。

人間は無料というキーワードに抗えない。

社会規範は無料でもやる気を起こさせるが、そこに市場規範(お金)を介入させると途端にやる気を失う。

性的興奮している状態では、人間は冷静な判断はできない。

人は先延ばしにする。具体的なペナルティーがなければおそらく永遠に。

自分の所有しているものを過大評価する。これはモノだけでなく、好きなスポーツチームや政治に関するものでも言える。

人は常に複数の選択肢を残しておこうとする。しかし背水の陣にならなければ、結局全てを中途半端にしてしまう。

ステレオタイプによる価値予測。見た目がおいしそうな料理は美味しいと感じ、コカ・コーラのロゴが付いているコーラを美味しいと感じる。

価格が高いと価値を高く感じる。高い薬は効き目があると感じるように。

どんな誠実そうな人も、絶対にばれない状況でのちょっとしたごまかし程度なら不正を働く。しかし道徳心を想起させると、その確率は下がる。

直接お金が絡まない方が、人は不道徳な行いの重荷に耐えやすくなる。

周囲に自分の判断が分かる状況だと、独自性を示したい人は他者と違う判断を、協調性を示したい人は他者と同じ判断をしてしまう。

以上。

けっこうボリュームがあるので細かい紹介は省くけど、内容は非常に興味深く、実際の活動に紐づけて考えるとより実践的な知識として活用できそうで、勉強になった。

人間の行動を知りたい人向け。面白い本だった。



・かがみの孤城(辻村深月)



ジュブナイル小説。

何年か前に読もうとして途中で挫折したのを再読。

主人公の安西こころは不登校の中学一年生。

人間関係のゴタゴタから教室に居場所がなくなり、学校に行けずひたすら無為な日々に焦燥を募らせていたある日、「オオカミさま」と名乗る謎の少女に導かれ、鏡の中にあるファンタジーのようなお城へといざなわれる。

そのお城には「願いの部屋」というものがあり、そこの「鍵」を見つけた人は、どんな願いでも叶えてくれるという。

こころと同じように城へと集められた中学生たち。

マサムネ、スバル、ウレシノ、リオン、アキ、フウカ。

個性も価値観もまったく違う7人が、時に交流し、時に反目し合いながら、心の成長をしていく、といったストーリー。

辻村さんの本は「ツナグ」「凍りのくじら」「サクラ咲く」「島はぼくらと」を読んだことがあるけど、今作もめちゃくちゃ面白かった。

ストーリーのギミックには途中で気付いたけど、詳しく描くとネタバレになるので省略。

あえて言えば、乙一さんや入間人間さんなんかも使っていた手法で、僕の好きなモノの一つだった。

多分このギミックがあるから「ミステリー小説」って括られるんだと思うけど、個人的にはやはり「ジュブナイル小説」もしくは「ファンタジー小説」だな、と思う。

登場人物全員が困難を抱えていて、中学生という多感な時期の繊細な感性を持て余している。

そんな大人になったら忘れてしまうような、子供時代の心の柔らかい部分を丁寧に描いていて、まるで自分の幼き日の思い出に寄り添ってもらえているような、そんな気分にさせられた。

500ページ以上ある大作だけど、引き込まれるように読み進めて、あっという間に読破してしまった。

余韻も素晴らしく、とても素敵な読書体験ができた。

どうやら映画化するらしく、今年の12月23日に公開予定らしい。気になる方はこちらもどうぞ。

心に光を当てたい人向け。



以上になります!

今月は3回も読書感想文を投稿してしまった…。

ちなみにこの「最近の読書」、最初のもの以外は全記事5冊読んだらレビューを投稿するようにしています。

なので次はまた5冊なにか本を読んだら投稿しようと思いますので、その時またお付き合い頂けたら!


それでは!

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Anonymous

コンテンツ消費の本と行動経済の本が気になったので買ってみます

Anonymous

ソ連兵へ差し出された娘たち 平井美帆 著 集英社 殺人、略奪、暴行、強姦、放火……ありとあらゆる地獄が出現するのが戦争です。 1945年8月、日本の敗戦により満州国に取り残された人々は、難民生活を余儀なくされました。このドキュメントは、入植者の陶頼昭に留まった岐阜県送出の黒川開拓団において、ソ連兵の「接待」に出された“乙女たち”の証言です。18歳以上の未婚女性15名が人身御供になりました。年下を庇って多く接待に出された者。現地中国人相手に売春を強いられた者。団幹部の家族は優遇されていたと言います。引揚後は、ソ連兵に犯され純潔を失った娘と差別され続けています。 記憶の糸を手繰り寄せ、語り、写真を提供し、名前を公にすることで乙女たちは、肩の荷を下ろしたのでしょうか? この様な史実の上に、私達は生かされていると思わずにはいられません。 こんなのは戦争じゃないと言ったな。目を開けてよく見てみろ。こんなことが起こるのが戦争だ。主義も名誉も尊厳もない。殺す奴がいて、殺される奴が要るだけのことだ。怨念返しの何が悪い。俺たちの戦争はまだ終わっちゃいないんだ!         スベロア・ジンネマン    機動戦士ガンダムUC エビソード4       「重力の井戸の底で」より