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予定してた時間にスポーツクラブに到着すると、会員カードをエントランスでタッチして館内に入る。

誰もいないロッカールームでウェアに着替えて、水筒とタオルを持ってジムのフロアに向かうと、奥の方からガチャンという金属が触れ合う音が響いた。重量上げ等でバーベルを上げ下げしていた誰かが、ラックに置いた時の音だ。

その音を聞いてガッカリした。この時間は他に誰もいなくてバーベルのエリアも一人で使えると思っていたのに。


バーベルを上げ下げしているのは巨体の象獣人で、宗像重蔵(むなかたじゅうぞう) という名前だ。

名前を知っているのは、リフティングの試合にも出たという記事をどこかで見たときに、

『象でこの名前だと、周りの人からはゾウさんとか呼ばれたりしてるのだろうか』

と浮かんだ疑問が印象的だったからだ。

しかし俺は今までに宗像さんと接点を持つことはなく、それを訪ねる機会もなかった。


今日バーベルのエリアにいるのは宗像さん一人だけのようだけど、大体の時間は複数のマッチョが和気あいあいと話しながら譲り合って器具を使っている。

別にそのグループに独占されているわけではないのだけれど、身体のできていない俺にとっては、どうにも場違いに感じる雰囲気が漂っていた。

そして、どうしてもその雰囲気に馴染めない俺は、最近はこのスポーツクラブを退会することを考えている。

俺だって、初めから苦手だったわけではない。

入会した当初は、俺自身もトレーニングで筋肉を増やして、その内同じように鍛えている人達と仲良く…と考えていた。

予想外だったのは、俺自身の身体が大きくならなかったことだった。


仲間外れにされているという感覚はない。俺自身が、そのグループに入って行きたいという気にならないのだから。

自宅から近いし設備も気に入ってるスポーツクラブだったので、どうしようかなと迷いつつも、すでに退会届の用紙に記入までは済ませて、あとは受付に提出する準備まではしていたのだった。




ともかく、今バーベルのエリアには宗像さんがいる。

人が居るときにバーベルのエリアに入りたくない俺は、いつものようにバーベルのエリアからは離れた入口近くのウォーキングマシンで軽い有酸素運動をしながら、人がいなくなるのを待つ。


そうしてしばらくすると、奥のバーベルのエリアから宗像さんが離れた。

俺はそれを見て入れ代わりにバーベルのエリアに向かう。

バーベルのエリアから出てきた宗像さんと、そこに入ろうとする俺がすれ違う形になる。

面識があればここで軽い挨拶でもするところだけど、そのまま無言で通り過ぎる。

と、通り過ぎたところで、ふと二人だけしかいない今のような環境なら、会釈くらいした方が良かったのかなと思う。

例えるなら、山登りで会った他人通しが、山道ですれ違う時に挨拶をするような…そんな挨拶をしなければいけないような義務感が急にわいてきた。


気になって、宗像さんの方を振り返ろうとしたその時、突然頭を揺さぶられる感覚に襲われた。


直後俺は床に転がっていた。


「わっ、ごめん!大丈夫か?」

宗像さんが心配そうに俺を覗き込んでいる。

「えっ…あ…大丈夫ですけど…何が…?」

「あー、その…俺の鼻が…」

そう話す宗像さんの口元に太くて長い鼻が揺れている。

そうか、俺が振り向いた時、宗像さんも振り向いて、スイングされた鼻が俺の横っ面にヒットしたみたいだ。



宗像さんも俺の方を振り向いた?

お互い立ち止まったから思ったより距離が離れておらず、鼻のスイング圏内に入ったらしい。


「気をつけてはいるんだけどうっかりして…ごめんよ」


宗像さんが申し訳なさそうに大きな身体を縮めて謝ってくる。こんな人だったのか。

「大きいから仕方ないですよ。その…めっちゃ鍛えて筋肉もりもりですもんね」

申し訳なさそうにしている宗像さんのフォローをしたつもりだったけれど、僻みも入ってしまった気がする。


「そんな…君だって、最近は良い感じに絞れてきたんじゃない?」

「えっ、俺ですか? 俺はそんなに筋肉つかなくって…」


「そうかな…時々見かけて思ったんだけど。有酸素運動、頑張ってるよね」

好きで有酸素運動を頑張っているわけではなかったんだけど、そういう風に見えていたらしい。

確かに俺は身体を大きくすることはできなかったけれど、脂肪の方は落ちて以前よりメリハリのついた身体にはなったのかもしれない。

「俺も細マッチョに憧れて初めたんだけど、骨太なのは変わらないし上手くいかなくてねえ…絞るのは諦めてしまった」

ははは、と笑って頭をかく。


確かに、絞れたとしても宗像さんが細マッチョになるのは似合わない気がする。まあそれは俺の好みの問題かもしれない。

いずれにしても、本心かどうかはともかく、俺がなりたくてもなれない巨体の宗像さんから、逆にそんな風に絞りたかったと言われるのは、意外と嫌な気はしなかった。




「そうそう、これ落としてたよ」

「えっ?」


俺のタオルを掴んで俺の前に持ってきてくれた。首からかけてたのが落ちたらしい。

「あー、ありがとうございます」

礼を言って受け取り、そこで気づく。

タオルを掴んでいたのは手ではなくて鼻だった。

「あっ、ごめん!いつもの癖で失礼したね」

「いえいえ!」

象獣人が鼻使うのってマナー違反なのだろうか?

「前はそうでもなかったんだけど、最近は象獣人同士以外では鼻を使わないのがマナーっていう声もあってね…」

「あー、その…鼻が長くないとできないからですかね…」

「まあ、鼻の先はたまに湿ったりしてるし、衛生的なところもあるのかなあ」


新しいマナーが出てきて気を遣うのは、どこも同じらしい。

「そんなもんですか、俺は象の人が鼻使うところほとんど見たことがなかったので、便利そうだなあって」

「まあ普段気にしないで使ってたけど…それだけに使えなくなると不便に感じるだろうね、手みたいなものだから」

「あっ…それだと俺と鼻がぶつかったの痛くなかったですか、突き指したみたいになったんじゃ?」

「大丈夫大丈夫!鼻はね~、先っちょは柔らかくて敏感だけど…他の所は結構硬いんだよ…ほら触ってみる? 」

そう言って宗像さんが鼻の先を俺の前に伸ばしてくる。本当に手のように自由に動かせるようだ。

折角だし、その鼻に手を伸ばした…確かに鼻の先は湿っていて敏感そうなので、俺の顔にぶつかったであろう、側面に触れる。

「…本当だ…厚い皮で覆われてるような…」

「結構丈夫そうでしょ?」

「ですね。それでいて自由に曲がるんですね…凄いなあ」

話の流れで触れた宗像さんの鼻だったけれど、初めて触れるそれが純粋に興味深くて、我を忘れて弾力や温度などを手で確かめ続けてしまった。

「え…えーっと…そろそろ…」


「わっ、すいません。こんな風になってるんだと、つい」

「ははは、楽しんで貰えたんなら良かったよ」




「あー、プロテインはね…飲みやすいにこしたことはないよね」

「ですよねー」


その後は軽い雑談をしたあと、分かれてお互いのトレーニングに戻って行った。

初めて話した宗像さんは、普段筋トレ仲間と楽しくやっているように、俺と話すときも明るく社交的な人だった。

でもその明るさは、いわゆる陽キャというより、単純に気さくな良い人だった。

あれだけ恵まれた体格をしていると、筋トレしていても楽しくて心にも余裕が出るのだろうか、気は優しくて力持ちとは、良く言ったものだと思う。


しかし、宗像さんが普通に良い人だったことが解ると、改めて自分という人間の小ささを思い知ってしまった。

距離が縮まったのを嬉しく感じていたけれど、失敗だったかもしれない。

これからまたジムで顔を合わせたら挨拶くらいはするだろうし、気さくな人なのでまた今日みたいに話しかけてくれるかもしれない。

そして、その度に自分が卑屈になってしまうのは目に見えている。

やっぱりこのスポーツクラブは退会しよう。

運動を終えて、そんなことを考えながらロッカールームに戻る。

手早く汗を流したら、気持ちが変わらないうちに受付に寄って退会届を出そう。



ロッカールームは俺が来た時と同じく誰もいないと思っていたら、俺が荷物をしまったロッカーの近くに宗像さんがいた。

俺より先にトレーニングを終えた宗像さんは、シャワーを浴びて戻って来たところらしい。

宗像さんが使っていたのは、俺の向かいのロッカーだった。

今日俺が来る前から宗像さんはこのロッカーを使っていただろうから、ロッカーの場所が近くなったのはたまたまだろう。

「ああ、おつかれさん」


どうも、と会釈をして、全裸の宗像さんに背中を向けて自分のロッカーを開ける。

ベンチに腰掛けて靴下を脱ぎながら、背後の宗像さんの方にチラッと視線を送る。

位置的に俺に背を向けて服を着ているだろう宗像さんの臀部が見えた。


あー、お尻もどっしりと肉が詰まってる感じだなあ…

と、その時、突然頭を揺さぶられる感覚に襲われた。

直後俺は床に転がっていた。

「うわっ、また、大丈夫?」

宗像さんが心配そうに俺を覗き込んでいる。

転倒して混乱しているのか、似たようなことがあったような気がする…確かその時は…

「あっ…また鼻がぶつかって…?」

「えっと…ぶつかったのは鼻ではなくて…」

そうバツが悪そうに話す宗像さんの口元に太くて長い鼻が揺れていて、さらに股間には太くて長いチンポが揺れている。

そうか、位置関係的に宗像さんが振り向いて、スイングされたチンポが俺の横っ面にヒットしたみたいだ。

チンポが?!

「ごめん!汚いのが当たってごめんね」

「いえいえ、別に汚いだなんて…それすごいですね」

鼻の時と同じようにフォローでチンコを褒める…フォローになってる?

「大きくって鼻かと思いました、凄いですね」

鼻との大きさのサイズ比較って、やっぱりフォローになっていないような気がするけれど、正直何と言えばいいのかまったく考える余裕はなかった。


「あーでもね、勃ってはいないんだよ?いかがわしいものでは…」

確かに勃起しているチンポは同じチンポでも、ボッキしていないチンポよりいかがわしい気がする。

というか宗像さんも混乱しているのか支離滅裂なことを言っているような…

「勃ってなくてそんなにあるんですか?」

「俺とは大違いだなと思って」

「えっ…君の?」

「俺のなんてこんなですよ」

自分の股間を指さす。下着の上からからといってもサイズの差は歴然だ。

「……」

自分自身の股間を指さしている指先を見て、この辺りでちょっと冷静になってきた。

「…ごめんね、変な雰囲気になってしまって」

「いえいえ…別に全然嫌ではないので…」

やはり転倒をして混乱をしたのか、似たようなやり取りをした気がする。


「その…宗像さんこそ敏感な所をぶつけてしまって痛くなかったですか?」

「えっ!?大丈夫…大丈夫だよ…こっちもねえ…先っちょは敏感だけど…他は…」

「あ…他の部分は…違うんですか?」

やっぱりこのやり取りは前にもやったような…となるとこの続きは…

「…触ってみる?」

「……じゃあ…」



「…すごいですね…鼻よりは柔らかいけどこっちも皮が厚いような…」

「う…うん…どうかな…結構丈夫そうでしょ…あっ…」

「あっ…だんだん硬くなってきて…」

鼻と比べて柔らかかった宗像さんのチンポは、触っている間に少しずつ硬くなってきたと思ったら、あっという間に体積も増してヘソに届くほどに反り返った。

フル勃起したそれは大人の腕が生えているみたいで、今となっては長い鼻よりも存在感がある。

「…えーっと…鼻よりも硬くなっちゃいましたね…」

「なんか…雰囲気というか…まあ触ってもらうと…こうなっちゃうよね」

宗像さんがバツが悪そうに照れ笑いをする。

「こうなると一回出さないと収まらないかも…良いかな?」


「ふう…うん…」

片手では到底つかみきれない宗像さんの巨根を、両手でしごき上げる度に、宗像さんが声を漏らす。

俺と話していた時は穏やかな雰囲気だった宗像さんだけど、快感に耐えている表情を見ると、重量挙げで力を込めている時のような雄々しさを感じる。

俺よりもずっと身体の大きな宗像さんが、俺に弱いところを刺激されて反応してくれるのが嬉しくて、もっと感じて欲しくて、亀頭を撫でてみたり、カリの溝をなぞったり、竿全体を撫でまわしたり、色んなことを試してみる。

「あっ…そこ…良いっ…」

片手で亀頭を撫でつつ、下にぶら下がっている玉袋を撫でると反応が強くなった。

「ここ?この玉が感じるんですか?」

下から持ち上げるように撫でている宗像さんの玉は、やはり規格外の大きさで、撫でるとぬるい水風船の中にリンゴがゴロゴロと詰まっているような感触が手のひらに伝わってくる。

そのゴロゴロとした塊を手で包むように揉むと、その度に宗像さんが巨体を震わせた。

うっ…と声を上げて身体と一緒に巨竿が震えて、その亀頭を包んでいる俺の手の平が、べっとりと濡れてヌルヌルと滑るようになっていた。

「あっ…すごい濡れて来てる…先から…」

先端から溢れだした先走りが、亀頭をべったりと濡らすだけでなく、竿が震える度に雫の筋を竿に走らせていく。



「…俺…感じると先走り多く出ちゃうから…うん…」

宗像さんが反応を抑えられない自身のモノを見つめて恥ずかしそうに答えた。

目に見えて解るその光景を、改めて自分の言葉にすることで、より興奮しているようにも見える。

そんなふうに宗像さんの反応が激しくなっていくのを見て、俺も一緒にムラムラとしたものがこれ以上ないくらいにこみ上げてきた。


「あっ…そこも…?」

手はそのままに、宗像さんの胸に顔を埋めて、胸になんとか舌を這わせると、新しく増えた刺激に宗像さんが驚いて俺を見る。

しかし、宗像さんは俺が乳首を舐めるのを咎めることはなく、俺が刺激を加えるたびに、切なそうな喘ぎ声を漏らしながら耐えている。

「う…も…もう…そろそろ…」


俺を見ていた宗像さんの目が、切なそうな表情に変わる。限界が近づいているのだろう。

「い…イキそうですか?」

「う…うん…もう少し強めに…」

希望に合わせて、愛撫のテンポを上げていくと、宗像さんも呼吸も荒げていく。

俺も我武者羅に両手両腕でヌルヌルの巨根を抱くようにしごき上げていると、目の前に赤く腫れあがった大きな亀頭と向かい合う形になって、たまらず溢れる先走りをすくうように舌を這わせてしまう。

「えっ…!ダメだよ…そんなことしたら…我慢できなく…っ…ううっ…!!」

予想外の行為に一気に昇りつめてしまった宗像さんが、何かをこらえるように全身を硬直させると、ぶるぶると震えて巨根の先端から精液を噴き出させた。


「ああっ…ううっ…うわ…飛び散っちゃって…ごめ…んっ…」

俺と宗像さんの間ではじけた精液が、お互いをべったりと濡らしてしまった。


「ふう……」

宗像さんが少し落ち着いて、息を漏らした。

「すごい飛びましたね…やっぱり量も多いんだなあ…」

「そ…そうかな…あっ…俺ばっかり出して…君のも…」

宗像さんがそう言って俺の方に手を伸ばす。

その手が俺に触れそうなまさにその時に、入口の方で音がした。

誰かがこのロッカールームに入ろうとしているのだった。

「「!」」

俺と宗像さんは、顔を見合わせて急いであたりに散った精液をふき取ると、身体についた分を落とすために二人でシャワールームに逃げ込んだのだった。


後日


予定してた時間にスポーツクラブに到着すると、会員カードをエントランスでタッチして館内に入る。

先日誰もいないと予想していたロッカールームに、前回より少し早めに入ると、宗像さんがちょうどウェアに着替えようとしていたところだった。



「あれ?今日はちょっと早いね」

「今まではわざとちょっと遅めの時間に来るようにしてたんですよ、人がいない時間が良いなって」

「あー、それであの時間に来てたんだね……それで、今は人が居ても良いの?」

「まあ…この時間だと宗像さんと同じくらいの時間になるかなと…」

「えっ…俺に合わせて…?俺も元々来てたのは別の時間で君の…あ…いや…」

「宗像さん普段は別の時間でした?」

あれ?もともとは宗像さんも普段は別の時間に来てたのか?

だとすると、この間一緒になったのは…ロッカーの場所近かったのとかは…ん?…鼻が当たったのは…ん?


「いやいや、色んな時間に来てるんだけどね!そう言えば俺の名前知ってたんだ」

宗像さんがなぜか慌てたように、急に話を変えてきた。どうしたんだろう。

「はい、宗像さん前に試合出てた時の記事をどこかで読んで、その時に…」

「そうかそうか…記事を読んで…君も俺のことを知ってくれていたんだねー」

君も?また何か引っかかるような…でも、名前の話が話題に上がったことで、前から気になっていた疑問が頭の中に浮かび上がってきた。


「そうです。記事に宗像重蔵さんって名前が載ってて…で、その時思ったんですけど、宗像さんって象だから周りの人からは…」

「うん、周りの人はゾウさんなんて呼んでくれてるかな?」

やっぱり宗像さんはゾウさんらしい。俺の頭の中で微妙に引っかかっていた疑問が溶けた瞬間だった。


「じゃあ、俺もゾウさんって呼んでいいですか?」

「そうだね、ジムの中だともうそれで慣れっこかな~」



「…でも、二人の時はまた別の呼び方でもいいかな…」





そうですね。じゃあどんな呼び方で…と話しながら、俺もバッグからウェアを取り出す。

バッグの底には記入を済ませた退会届が入ったままだった。


ふいにゴミ箱に何かを捨てる俺を見て、宗像さんが…ゾウさんが鼻を丸めて不思議そうな顔をする。

その丸まった鼻を見て、俺はなんだか可笑しく感じてしまった。


おしまい



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