Home Artists Posts Import Register

Content

 ──人で無い存在の跋扈する世界には、多くの場合、様々な“規範”や“法則”を司る者が存在している。

 彼女たちは“女神”と称されることもあるし、“天使”と呼ばれることもある。特定の信仰や伝承に根差す存在では無い為、これらの呼称は正しくもあり、また間違ってもいる。

 どちらにしても、彼女たちは己の担当している領分を粛々と守り、世界の運行が正しく進むようにと尽力をしているのが常だ。

 例えば、今回“彼女”が訪れた世界には“叛逆の女神”と呼ばれる存在がおり、世界も運航に極めて大きな影響を与えている。

 そんなこととはまるで関係なく──異世界からの侵略者ヴォイドと聖剣を携えた若者たちが死闘を繰り広げる世界に降臨した女神は、年若い上にある種の情熱に憑かれており……要するに、いつも通り“やらかす”前振りはあったのだった。



 ──顔の砕かれてしまった女神像の前で、第〇七戦術都市の第十八小隊長、リーセリア・レイ・クリスタリア……セリアは祈りを捧げていた。

 古代の遺跡から……少年の姿で……復活した魔王レオニス・マグナスの眷属として、一度死した後“吸血鬼の女王”として蘇生したセリは、いわゆる歩く屍・アンデッドの類であるが、結果的に身体能力を始めとした力が増量したことで、異界からの侵略者ヴォイドに対応する聖剣使いとして名を挙げることになっていた。

 そんな彼女の目下の悩みは、かわいらしい少年の姿で以てセリアの心を捕まえて離さない、レオニスこと「レオ君」のことであり、彼がどんどん評価を挙げて人気者になるなかで、自分が独占する時間が減っているという不満であった。

 勿論、彼女は眷属という特別な立場にあるのだが、それはそれとして普段のコミュニケーションが減っても平気という意味ではない。


「(最初に出会った時は、レギーナと一緒に聖廟の調査に向かった時だったっけ……たまには独り占めしたいなぁ)」


 そんなことを心の中に思い浮かべた瞬間……セリアの耳を、涼やかながら大音量の声が叩いた。


「ぱんぱかぱーん! おめでとうございます!」

「きゃあっ!? だ、誰……!?」


 ──そこには、あまりにも神々しい気配と、ヴォイドたちの持つ害意とは対極にある神聖なオーラを放つ、金色の髪と純白の装束を備える美女が立っていた。

 先まで祈りを捧げていた女神像とは造詣は異なっているが……天上の女神だと説明されなければ、納得がいかないレベルの麗しい存在である。


「かむあすーん! あなたは私こと、百合の女神リリーティアによって選別されました! あなたの恋心、私が見事に叶えて差し上げましょう!」

「こ、恋心!? いや、確かに可愛いとは思ってるけど……そ、そういう方向で独占しちゃうの!?」

「お任せください! 女神としてはまだまだ新人ですが、私は理想に燃えております!」


 百合の女神という「何で毒草の名前を?」と文化の違いから思いつつ、超常の存在の慈悲に感銘を受けるセリア。

 しかし、そこでふと思い至る。


「ま、待って、待ってください、女神様! あの……私、まだお相手のことを一言も説明していないんですが、大丈夫でしょうか?」

「ご安心ください! 先ほど心の中を読み取らせていただきました! 何故か最近、きちんと確認を行っているのに文句を言われるパターンが多かったので、そこは抜かりなしです! あなたの想い人は聖廟で……」

「わっ、わっ、わっ! 間違いないです! それで全部あってますからぁっ!」


 自分の心を言語化されかけて、慌ててストップをかけるセリア。

 リリーティアはニコニコとした笑みを浮かべながら、セリアに向かって「確かに承認の言葉、いただきました!」と宣告した。

 直後、セリアの体は祈りの空間からいきなりベッドの上へと放り出されていた。元は貴族子女であるセリアをしても、かなり材質が良いと感じる。

 そこは、寝台以外は何もないのに、不思議と殺風景な印象を受けず、穏やかで満たされたような気持ちが湧いてくる、奇妙な空間だった

 音も何もしないのに、心臓の音だけが聞こえて不安になるということもなく、何かの快い音律は耳に響いているような気さえする。

 こんな広大な空間を作り出すことは、恐らくはレオニスにも不可能であり、リリーティアが女神であることを逆説的に証明していた。


「ここは私が産み出した“百合空間”! この場でセックスを一発キメれば、たちまちに運命の恋へと昇華! 即座にカップル成立! ウェディングまでまっしぐらという、素敵で無敵な空間なのです!」

「せ、セックス!? こ、婚前交渉ってこと!? 待って、待って!流石にそれが気が早すぎると思う!」

「言い訳無用! このリリーティアの加護を受けたからには、強制的にでも幸せになっていただきます! 高まって来ましたよ、百合パゥワーが! さあ、お相手を召喚致しましょう!」


 リリーティアのハイテンションを留める手段はなく、何なら聖剣を起動させたとことで傷一つ付くことは無さそうだ。

 こうなってしまっては最早セリアに出来る制止の手段はなく、ただ顔を赤らめて「……こんな、はしたないかも……♥」と照れることしかできない。

 そんな風に半瞬の時が過ぎると、リリーティアが謎の発光を放ち、それに照らされるように新たな人影が召喚され、寝台の上で体を跳ねさせた。


「きゃあっ!」


 可愛らしい声……それは如何に彼の少年魔王が変声期前だとしても、あまりにも女の子らしい悲鳴であった。


「え……? れ、レギーナ……?」

「いたたっ……訓練中だったんですけど、ここ、どこですか? セリアお嬢様? 何故このような場所に?」


 召喚されたのはレオニスではなく、セリアの専属メイド兼幼馴染であるレギーナ・メルセデスその人であった。

 彼女は寝台の傍らに立つリリーティアに驚いている様子で、セリアは慌てて何が起きているのかを必死に考察する。

 そうして……恐らくはリリーティアが読み取ったであろう、直前の己の思考について、セリアは回想する。


『最初に出会った時は、レギーナと一緒に聖廟の調査に向かった時だったっけ……たまには独り占めしたいなぁ』


 ……確かに、誰を独占したいかの名前をあげていない。何なら、レギーナの方の名前が挙がっている。

 

「(待って!こういうのってある程度、文脈を読んでくれるものじゃないの!?)」


 女性同士の恋愛を“百合”と称する文化の無い、人類統合歴に生きるセリアには、まさかリリーティアがありとあらゆる屁理屈・こじつけを用いて少女同士を結び合わせようとする存在だなどと、理解できようはずもない。

 そのせいで、ニコニコのリリーティアに抗議をする間も無いままに、話はどんどん進行してしまう。


「それでは、後は若い二人にお任せして、存分にレズセックス! 同性同士の激しいセックス! 交わして愛情深めてくださいね! 触れあえば触れ合うだけ、体は気持ちよく、心は惹かれ合うように設定してあります! 最低でも一回はしないと部屋から出しませんから」

「ちょっ、女神様……女神様ぁーっ!?」


 リリーティアは虚空に解け消えるように姿を消してしまい、後にはセリアとレギーナだけが、真っ白なシーツの上で残される。

 レギーナが困ったような口調で「お嬢様、説明をいただけますか?」と問いかける……。



「……なるほど、そんなことがあったのですね」

「うん、だから誤解なの。けれど、この空間はどうしようもないみたい……」


 セリアが説明を行う間、互いの聖剣で床を攻撃してみたりもしたが、傷一つ付く様子が無い。

 本当にレズセックスを交わさないと出られない、トンチキ空間であると悟って申し訳なさげなセリア。

 彼女は説明を聞かされる間、レギーナがどんな表情をしていたかに、焦燥から気付いていなかった。


「理解しました、それなら何も問題はありません。お嬢様、私に脱出の秘策があります」

「そうなの!? 流石はレギーナね! それで、どうすれば……」

「百合の女神に聞かれているかもしれません。耳打ちしますので、どうぞこちらに」


 セリアは完全にレギーナを信用している為、彼女の口元へ自らの耳を寄せる。

 レギーナの唇が、微笑みに彩られた。


「──お嬢様が、本当に私の恋人になってくださればいいのです」

「え……ひぁぁっ♥」


 ぬろっ……と真っ赤な舌がセリアの耳に挿入されて、ぬちっ……♥ くちっ……♥ と淫らな水音を立てる。

 耳を舐めまわされて力が抜けた隙を狙い、レギーナの指はセリアの股間に素早く滑り込み、くちっ……くちっ……と入り口を軽くつま弾いて見せる。


「いっ……ひうぅぅっ……♥ な、なに、してるのぉぉっ……♥」

「何をしてると言われましても、お嬢様を……抱いているのです♥ レズセックスでしか出られないのなら、肌を重ねるのがもっとも論理的でしょう……♥ もっとも、ただ脱出するのではなく……お嬢様には、私の恋人になっていただき、レオ様よりも私を優先するようになってもらいますが♥」


 かりっ……かりっ……と爪弾く前戯を終えて、指先が濡れた秘所の中に入り込む。

 舌は耳から外れ、首筋をちろちろと這いまわっており、時どき明確に痕をつけるために、何度も口づけが行われた。


「あぁぁぁっ♥ や、やめっ……♥ レギーナ、おかしくなって……んんっ♥」

「まさか、この部屋に召喚された時から、変わらず私は正気です、お嬢様……最初から、私が王位継承権を失ってお嬢様の元へと流れついたその時から、一時も変わらず……♥ 私は、お嬢様をお慕いしている、同性愛者です……♥」


 衝撃的な告白に、思わず快楽に蕩けながら正面からレギーナを見つめてしまったが、当のレギーナはニッコリとほほ笑んで正面から口づけし、セリアの舌をくちゅくちゅと搦め取って弄ぶ。

 レギーナの巧みな愛撫、そして元よりセリアがレギーナに対して好意的であったこと……これらに加えて、更にこの空間のもたらす奇妙な効果……触れ合うだけで加速度的に好感度が増していく状況に、ビクビクと体を痙攣させながら、セリアの頭の中もどろどろの好意に侵食されていく。


「ま、待って……待ってぇぇ……♥ んおぉっ……♥ ダメ、ダメぇぇ……♥ あ、頭の中が、レギーナでいっぱいになってぇ……♥ レオくんのこと、忘れちゃっ……んんっ♥」

「私とシている時に、他の誰かの名前を出さないでください……♥ 今のあなたに必要なのは、私だけです……♥」

「あぁあぁぁっ♥ レギーナ、激しっ……好きに、なっちゃっ……♥ あはぁぁぁぁっ♥」


 陰核を指で優しく摘ままれ、ちゅこちゅこと擦り上げられることで、腰を情けなく打ち上げるようにヘコつかせながら、セリは絶頂を迎えてしまう。

 そうやってトロトロに準備が整った秘所に、レギーナは自分の秘所を押し付けると、激しく腰をヘコつかせ始めた。


「あぁぁぁぁっ♥ こ、これ、すごっ……んんっ♥ ひあぁぁぁぁっ♥」

「お嬢様っ……お嬢様っ……♥ この不思議な空間ならば、どのような奇跡でも起きるやもしれません……♥ わたくしの子供産んでくださいますか、お嬢様♥ わたくしと結婚してください♥」

「あぁぁぁっ♥ ズルいよぉっ♥ こんな、お股を擦り付けられてる時にぃぃぃっ♥ いろいろ聞かれても、ちゃんと考えれ応えるなんて無理……んんんっ♥ あぁぁぁっ……も、もう、何にもわからないっ……♥ レギーナが好きなことしか分からないのぉぉぉっ♥ あっ、あっ、イクぅぅぅぅぅぅっ♥」


 互いの秘所を口づけの如く強く擦り付けながら、二人はほぼ同時に絶頂し……そして、まるで男性と女性のセックスにおける射精のように、秘所の中へととぷとぷと愛液が注ぎ込まれていく。

 それは、女神リリーティアの強大な力によって因果を成立させ、セリアの胎内に“ぷちゅんっ♥”と卵子同士の結合を引き起こした。


「あぁぁぁっ……レギーナぁ……あい、してるのぉ……♥」

「セリアお嬢様……永遠に、共にありましょう……次は、あなたのを子を私が孕みますから……♥」


 交わされる偽りの愛の棄却と、真実の愛の契約。

 またも百合の女神は、奇跡を成就させてみせたのであった……。 

Files

Comments

No comments found for this post.