Home Artists Posts Import Register

Content

 ──ゼロツーとイチゴが“そうなった”経緯には、フランクス博士ことヴェルナー・フランクという男の半生と反省が関わっている。

 神をも恐れぬマッドサイエンティストであった彼は、しかしゼロツーに非道な実験を繰り返しつつも、彼女を亡き妻との間の娘のようにも扱っていた。

 そんなアンビバレンツな感傷は、やがて一つの願望を彼の中に生み出す……子供が出来たその次に、多くの人間が希望すること。


「ゼロツーの子供が見たい」


 ……この時点では周囲に明かされていないが、ゼロツーは人類と敵対関係にある攻勢生物“叫竜”の姫のクローン体であり、残念ながら通常の妊娠機能を持ちえない可能性が高いことは分かっていた。

 だが娘を持つという叶わぬはずの願いが成就してしまった今、フランクス博士に可不可を理由に立ち止まる理由は無く……やがて彼は、当然ともいえる帰結に辿り着く。

 それは即ち……ゼロツーが産めないなら、ゼロツーが産ませればいいという結論であった。


「……早く済ませてよ。どんどん誤解が深まっている気がするわ」

「ちょっと待ちなって。経験を伴わない知識って、整理するのが大変なんだから」


 子供たちが隔離して暮らしている“鳥かご”、そこから更に少し離れた簡易式の防音施設。

 ゼロツーとイチゴは、ここで二人きり……真っ白なシーツの上に腰かけていた。

 イチゴの方は、本来の時間軸であればこの少し後に致命的な決裂が訪れ、ゼロツーに対する心証をかなり落とし込むことになってしまうのだが、今の段階だとゼロツーのパートナーであるヒロを巡って、可愛らしくも発展性のない小競り合いを仕掛けているだけの関係である。

 そのため急に与えられた特務への不安は強く、ゼロツーの手にそっと自分の手を重ねて、不安の解消を試みている。

 一方のゼロツーはというと、今回の実験の為にフランクス博士の手で必要な“器官”と“情報”を与えられたばかりであり、それらを整理するのに必死で、イチゴのフォローまでする余裕が無い。

 こと、子作りに挑もうとしている二人の事前としては、何とも色気のない空気が漂っていた。

 そう、子作り。種付け。セックス。繁殖行動。

 ゼロツーは元より、頭に角を備えた特異な容貌をしている女の子であるが、今は“三本目”とでも言うべきビキつくほどに勃起した雌チ〇ポを股間に備えており、あくまで知識の整理に邁進しているゼロツーに反して、びゅくっ……びゅくっ……と震えながら何度も先走りを放っている。

 これこそが、ゼロツーの遺伝子を人間相手に保全するため新たに“増設”された器官であり、血管の浮かんだ竿に加えて、ぼこぼこと肌が泡立つほどの勢いで精液を増産している睾丸までもが、愛らしいゼロツーに今は備わっている。

 イチゴには子作りに関する知識が与えられていない為、これほどの凶悪な雌チ〇ポを見ても畏怖や戦慄を覚える様子はない。

 強いて言えば……例えるなら顔に紙袋を被った人。そんな“変人”のカテゴリには入るかもしれないが、今は少なくとも「男子たちと同じものを股間に備えたゼロツー」以上の感想は無い。


「よし、完全にかみ砕いて理解完了! それじゃあ、子供作ろうか!」

「早く終わらせてね。本当に、なんで私が選ばれて……」


 ゼロツーにとさっと押し倒される形で、見下ろされるイチゴ。

 やはり、その顔には面倒くさそうな表情と、僅かな未知への恐怖、そしてヒロにあらぬ誤解を受けないかという不安が浮かんでいる。

 そんなイチゴの目をじっとゼロツーは見つめ……唐突に首筋に顔を寄せ、イチゴへと囁きかけてきた。


「ボクは、君のこと、嫌いじゃないよ」

「……っ! い、いきなり、何なの? くすぐったい……」

「いや、こういう風に、ピロートーク? お互いの本音をベッドの上で語り合うんだって、知識の中ではあったから。前も言ったけれど、ボクは君のこと嫌いじゃないし……選ばれたのがイチゴでよかったって、思ってるのを伝えた方が良いと思ったから」


 イチゴはゼロツーからかけられた、正直なところ意外な言葉に、口をぱくぱくと開閉して見せる。

 頭の中はぐるぐると混乱していたが、何故か視界はゼロツーの顔に固定され、彼女のまつげが思ったよりも長いとか、関係の無いことを考えていた。


「も、もう話はいいから……やり方を分かっているのはゼロツーだけなんだから、きちんと主導してくれないと……」

「任せておきなって。軽く済ませてみせるよ」


 ……この時の二人は、知識だけ与えられたゼロツーですらも、まるでこれから行われる営みの意味を理解していなかったのだ。

 地球上の生物が行うもの中で、快楽に特化したという点では最高だとすら言われる……女同士の交尾の生み出す、うだるような快楽と魅力を。



「──あ゛お゛ぉぉぉっ♥ ん゛お゛っ♥ お゛っ♥ お゛ほぉぉっ♥ おぉ゛ぉんっ♥ あっ、あ゛っ……あ゛ぁぁぁぁぁぁぁっ♥ ひっ、ひうぅぅぅぅっ♥ ん゛ん゛ん゛っ♥ ぜ、ゼロツー……ぜろ、つ……ん゛ぅぅぅぅぅぅぅっ♥ い゛っ……ぐぅぅぅぅっ♥」

「あぁぁぁっ♥ あっ、あうぅぅぅぅっ♥ ご、ごめんねぇぇっ♥ 腰、止まらないぃぃぃっ♥ ひぉぉぉぉぉっ♥ 溶けちゃうっ♥ ボクのここ、おちんちん溶けちゃうぅぅぅぅっ♥ うひぃぃぃぃぃっ♥ イチゴに食べられちゃうよぉぉぉぉぉっ♥」


 セックスどころか、まともな性教育すらも受けていない、当然ながら自慰の類も知らないし、何なら股を触ると快感を得られるという知識すらもないような、二人。

 “イク”という行為の際の嬌声には、英語の“アイムカミング”が訳されたものだという説と、疑似的な死である“逝く”とかけているという説があるが……この世でもっとも気持ちいい、快楽物質が分泌される瞬間は“死”であるということは、全ての生物に共通することだ。

 生と死の狭間で、命を新たに生み出す行為を知らずに生きてきた二人に、舞い降りた甘き死の再現。

 耐えられるはずがない、我慢できるはずがない、正気を保てるはずがない……行為にハマらずになど、いられなかった。


「はっ、はっ、はぁぁぁっ♥ また出るっ♥ うぅぅっ♥ おちんちんから白いの出るよっ♥ 赤ちゃんっ♥ 赤ちゃんのもとぉっ♥ こ、これを沢山出したら、イチゴが妊娠するんだって教わったんだっ♥ だったらいっぱい出していいよねっ♥ ああ、イチゴのお腹が大きくなっていくの、なんでか興奮するよぉぉっ♥ あうぅぅぅっ♥ 止まらないっ♥ 全然止まらないぃぃぃぃっ♥」

「あ゛ぁぁぁぁぁっ♥ またゼロツーの熱いお汁に♥ 子宮の入り口びちびちって叩かれてるぅぅぅぅっ♥ お゛っ♥ お゛ぉぉぉぉっ♥ はぁー……♥ はぁー……♥ ぜろつぅ……わ、私、おかしい……頭、おかしくなってるのぉぉっ……♥ お゛へぇぇっ……♥ だ、だっこ♥ だっこしてぇぇ……ぜ、ゼロツーとくっつきたいのぉ……なんでぇぇ……♥ どうして、こんな気持ちになるのぉぉっ……♥」


 それは当然、行為を理解して精神がそれを解釈するよりも早く、体がゼロツーの雌チ〇ポに陥落して、お嫁さんモードに入ってしまっているからである。

 イチゴは確かに性の知識はまるで無いが、恋愛に関するうっすらとした知識や憧憬はある。ヒロに対して向けているのがそれであるのだが……そういった“異性への興味”は、本人も自覚しない内に、イチゴの体の中でホルモンなどのバランスと整え、じわじわと“男とセックスが出来る体”を作り上げてきた。

 繁殖の為ならば、男性を受け入れ、いい気にさせて、喜ばせて、次代に命を繋ぐ。そのために、少しくらいは性行為が乱暴に過ぎても、拙いものであっても受け入れてあげようとする、イチゴの本来の気性に近しい“優しい体”。

 だが、そこにゼロツーとふたなりチ〇ポという、不感症でもアヘり狂うレベルの快感をぶち込んでしまうと、どうなるか。

 まず挿入の時点で、イチゴの心の中からゼロツーとセックス以外の興味が消え果てかけた。

 事態を理解できず、恐怖に駈られてしまったイチゴは、慌てて愛しのヒロを思い浮かべようとして……表層にある意識を、ゼロツーが夢中になって腰を掴み、子宮をチン先でボコ殴って来ることで、念入りに押しつぶされてしまった。

 もう、三度目以降のピストンで、残っているのはゼロツーへの生物的な行為と、セックスの快楽を全面的に受容する雌の本能だけ……今のイチゴは、感情が追い付かないままにゼロツーしゅきしゅきのおマ〇コ嫁、もっとも妊娠に適したゼロツー専用赤ちゃん揺籃フランクスと化しているのである。


「ぜろつぅぅ……♥ あっ、好きっ……♥ ぎゅっとされるのいいのぉぉ……♥ 好き、好きぃぃぃっ♥」

「(うあぁぁっ……♥ そ、そんな好き好き言われたら♥ ぼ、ボクの頭の中も、お゛っ♥ 気持ちいいイチゴのおマ〇コ♥ エッチに歪むイチゴの顔♥ 柔らかくてクソ甘い匂いがするイチゴの体♥ い、いや、ボクのダーリンは……ダーリンは、誰だっけ……? あっ♥ イチゴ気持ちいいっ♥ イチゴ好き、好きぃぃぃっ♥)」


 一方のお猿のように腰を振りたくるゼロツーも、チ〇ポの快感に完璧に取り込まれているのは事実だが……彼女の方は、もう少し特異な事情がある。

 彼女はイチゴやヒロたちの元にやって来るまで、非常に刺激の少ない生活を送ってきた。痛みを伴う実験も、光を知らない生活も、過去の約束に縋る日々すらも、繰り返される中では刺激を弱め、感情では忌避や憧憬といった分類は出来ても、まとめて“退屈”のカテゴリに普段は放り込まれることになる。

 実にゼロツーにとって災難だったのは、鳥かごで起こる出来事が、ある種の連続性と反復性を持つものだったということだ。

 初めての他者との自由な接触、ダーリンと呼ぶヒロとの日々……しかし、そこで繰り返されるのは、成長や進化をいちいちリセットするような、代わり映えの無い小競り合いと、その中で更に“優等生”として小ぢんまりとまとまっていく己……。

 先にも触れたが、本来の時間軸であれば、この後でそんなことを言っていられないレベルの激震が鳥かごを襲い、彼女は一度完膚なきまでにイチゴによって精神を破壊され、その後は感情の激流の中に突入していくことになるのだが……実はこの時点で、ゼロツーの深層心理はすべてに“飽きていた”。感情は楽しい、幸せだと出力しているのに、だ。

 そんな中、イチゴと迎えたセックス。自分が何かを入力すれば、それが何倍にも返って来る、快楽のリレー。

 実はこの“打てば大きく響く”というのは、ゼロツーにとっては初めてといってもよい経験であり……彼女は今、セックスが気持ちいい以上に、イチゴで満たされてしまっているのであった。


「イチゴ♥ イチゴっ♥ 好きだよ、ボクもっ♥ こんなに気持ちよくしてくれるの、イチゴだけだよっ♥ んっ……こうやって、おっぱいの先端を口に含むと♥ ますますきゅうきゅうってボクのおちんちんを締めあげてくるね♥ イチゴ、もっとしようっ♥ 飽きるくらい、エッチしよう♥ セックス♥ もっとイチゴと子作りするぅぅぅっ♥ イチゴもボクのことだけ考えてっ♥ ボクだけ見ろ、ダーリンっ♥」

「ひゃうぅぅぅっ♥ お゛へぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ♥ ぜ、ぜろつぅ、はげしっ……んぎゅぅぅぅぅぅぅっ♥ お腹、破裂しちゃうぅぅぅっ……♥ こ、これ、絶対にもう、赤ちゃん、中に宿ってるよねぇっ♥ け、結婚♥ 赤ちゃん作ったんだから、私、ゼロツーと結婚しないと♥ して♥ 結婚して♥ ゼロツー、好きだからぁっ♥ 私のことお嫁さんにして、ダーリンっ♥」


 ただの交配実験だったはずが、互いに最愛へと呼びかける言葉を吐き、溶け合うように性行為に耽り続ける二人。

 ……この時に生まれた絆と愛情が、人類の真の敵・VIRMの幸福の檻を撃ち貫く、星の剣と化すのだが──今の二人は涎を零すほどに互いの唇を重ねあわせ、乳首がこすれ合う快感に酔っている為、それを自覚するのは運命と対峙するその時までお預けとなる……。

Files

Comments

クロウ

やはり、この二人は相性いいですよね! 書いていただきありがとうございます!

屋根が高い

リクエストありがとうございました! 12話までは意図的にお話のペースを落としてたのは分かるんですが、ゼロツーとイチゴの絆の方がなんか納得いくんですよね…w

なめ助

一番ダメージくらいそうなのはヒロでもゴローでもなくイクノという・・・ イクノも嫁にすれば万事解決さ!

屋根が高い

この時点だと、間違いなく最大ダメージはイクノですね…やるか、一婦多妻制!