互いのことが大大大大大好きな2周目の彼女たち~静と凪乃、互いを救い合う姫と騎士のラブラブイメージプレイ (Pixiv Fanbox)
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※こちらのお話の続編になります。基本設定もありますので、ぜひご覧ください。
(https://fallen02side.fanbox.cc/posts/7222557)
「実は秘密裏に投入された、AI搭載の人造人間なのではないか?」
栄逢凪乃という少女に対して、秘密裏に囁かれている噂である。
それほどまでに凪乃は、人間味というのがまるでない。すべての事象を「効率的」か「非効率的」かで判断し、効率的であることが良い悪い以前に“当然”と判断している為、非効率的なことは全て“無意義”や“時間の無駄”と切り捨てることもあって、友人どころか親しく話す相手すら居ない。
かつて手違いで美少女コンテストに参加した際には、準優勝者から差し出された握手すら断ったと言われている、正に血の通わない氷の女なのである。
今も凪乃は大量の本を机の上に並べて、それらを速読で次々と読み終えては重ねており、読んでいるのが有名作品かつ長期に渡って執筆されている『王冠恋物語』なのもあって、周囲からは「何かの模試に備えて丸暗記しているのだろう」「感想文でも書くのを教師から迫られたんじゃないか」と、誰も彼女がラブストーリーに興味を持った可能性を考慮したりはしない。
事実、凪乃はとても内容を楽しんでいるとは思えないような冷たい表情で本を読み進めており、その日の休み時間を昼休憩も使って読み終え、大量の本を抱えて図書館へと向かっていった。
「あれだけの数の本処理させられる、図書委員の子かわいそー」
「でも、最近入った図書委員の子って、変わり者らしいじゃん」
「ああ、全然喋らない子ね。意外と無駄なお喋りしない栄逢さんと気があったりして」
若干の嘲笑を含む空気が女子の間で流れるが、それは短期間で再び大量の本……恐らくは貸出上限一杯……を抱えて凪乃がモドッテキタことで、その空気も冷気によって断ち切られてしまう。
再び機械的な読書に入る凪乃に若干引きながら、クラスメイトたちは借りてきた本のタイトルに目をやった。
──『王冠恋物語』。先まで読んでいた分の続きを、上限一杯である。
「(あれ……? もしかして栄逢さん、結構気に入ってるの!?)」
「(表情に出てないだけで、イオ姫と騎士カマクルの物語に共感してたりする!?)」
自身のあずかり知らぬところで、ひっそりと好感度の上がっている凪乃だったが、本人はそれに構うことなく黙々と読書を続けるのだった。
※
「──借りた分は読み終えた。好本静、続きの貸出をお願い」
「……っ!」
どこか小動物を思い起こさせる愛らしい少女……図書委員の好本静は、凪乃が昼休みに借りていったばかりの『王冠恋物語』の続きを返却し、更に続きの巻も上限一杯の貸出を望む姿を見て、自身が手にしていた初版本の『王冠恋物語』を開いて『──疾いッ!』というセリフを指差す。無論、この本は自前のものだ。
静は自分の声で話すことを大の苦手としており、幼少の頃から何度も読み返し、内容を覚えている『王冠恋物語』を会話に用いているのだが、凪乃は少し珍奇に見えるこの会話方法を「人間の声帯は指よりも耐久力で劣る。消耗を考えれば効率的」と受け入れてくれていた。
テキパキと返却処理と貸出処理を行いながら、静はこっそりと、凪乃の精緻な機械人形を思わせる容貌を見やる。
最初は、とても怖い人だと思っていた。貸出上限以上の本を手にしてやって来て、罰則を受ける前提でこれだけ一度に借りるのが効率的だと迫られて。先輩たちも凪乃の冷徹ぶりを既に周知していたらしく、助けてくれなくて。
それでも本を愛する者として、きちんとルールを守ってもらわなくてはと奮起し、静は真っすぐに凪乃の目を見上げたのだ。
──紅玉のような美しい瞳と視線があった瞬間、背中に“ビビーンッ!”と電気が走ったような衝撃が流れた。
何が起きたか理解できずに困惑する静だったが、凪乃の方も「早くして、非効率的」などと言って静を追い詰めたりはせず、それどころか静は凪乃が同年代の女の子たちのように……静を見つめて、顔を赤らめるのを目撃したのだ。
「……あ、あの、の……かし、かしだっ……」
「……思えばまだ四月なのに、図書委員と軋轢を引き起こすのは非効率的。借りる本を減らしてくる」
静が説得の言葉を言い終える前に、凪乃は決して走らず、しかしターミネーターの歩行時のBGMが鳴りそうなほど精緻な動きで、次々に本を元の場所へと返していき、かつ途中で静の元へ戻ってきた。
静はこの時には、凪乃の一挙手一投足をじっと見つめてしまっていたので、自然な動きで『如何なご用命でしょう』という文章を指差すことができた。
「……あなたは、好本静。1年4組、記憶した。好本静、あなたが手にしている、その本のタイトルを教えてほしい──」
それから静は“栄逢さん係”を任されることとなり、ものすごいスピードで『王冠恋物語』を借りていく凪乃の担当として、貸出と返却を行うことになった。
ほとんど会話は無い……というか、静の会話が独特なのに加えて凪乃も最低限しかしゃべらない為、コミュニケーションが成り立っているかは微妙なラインだ。
けれど自分の好きな本を読んで貰えるだけで静としては嬉しいし、この、短いやり取りがなんだか、心地よく感じても居た。
「(でも、少しだけ……もう少しだけ、踏み込んでみたい気持ちも……ある)」
クラスメイトたちから「変だよ」とか「気持ち悪い」と言われたことがあり、母に叩かれながら「どうしてあなたは普通にできないの」と泣かれたこともあった。
自分が普通にできないことへの憤りや不安は、当然ながら静の中にもある。高校までは何とか進学できたが、大学や就職に関しては今のままでは限界があることも分かっている。
それでもまだ勇気を以て踏み出せない静にとって、凪乃はその契機になってくれるのではないかと……そんなうっすらとした期待があったのだ。
今回の貸出で、最新刊までの貸与が終わる。普段は貸出処理を終えてすぐに凪乃は教室に戻ってしまうが、静は彼女に本を手渡したその瞬間「あ、の……」と声を上げた。
凪乃も、静が何かを言いたいのだと察したようで、本を受け取った姿勢のままで微動だにせず固まる。
「ど、どう……どう、ですか……本、ほんの……ない、よう……」
精一杯の勇気を出して、静はそう問いかける。
来ない時を待ち続けてきた静にとって、初めて他者に自分から手を伸ばした。
凪乃は一切の表情を変えず、自分の側に『王冠恋物語』を寄せると、特に口調を揺るがすことなく答えた。
「理解不能。登場人物の半数以上が、非効率的な行動ばかり取る。共感できる対象が、一切出てこない」
AI少女の言葉はあまりにも鋭利で、静の小さな期待をずたずたに切り裂いた。
凪乃は本を手にさっさと図書室を出て行ってしまい……自分を泣き虫だと思っていた静は、凪乃の形質が移ったのかと思う程、無感情な表情で締められた扉を見ていた。
「(──ああ、揶揄われていたんだ)」
こんな下らない本を読んでいるなんて、非効率的で無意義な女の子だと、そう思われていたのだろう。
心の中の隅々まで冷たくなっていくのを感じながらも、静は凪乃を恨まなかった。
この数日間、本当にうれしかった。楽しかった。ドキドキした。
そのほんの僅かな記憶だけでも、とても幸せなもので、これからの学園生活の宝になるだろう。
もう二度と、誰かとのふれあいの中でそれを感じることは無いだろうけれど。
静はごく普通に下校時間まで図書委員の仕事をこなし、最低限のやり取りしかない母と夕食を共にした後、お風呂に入って……そこで声を殺して泣いた。
「(私が変な子だから、これからもずっとずっと、誰も傍にいてくれないんだ)」
そう確信して、泣いた。
※
──翌日。
一睡も出来なかった静は授業中に気分が悪くなってしまい、懸命に主張するも相手がおじいちゃんの先生だった為に気付いてもらえず、自分の机で昏倒してしまった。
気付けば保健室のベッドで寝かされており、枕元には保健の先生からの『ゆっくり休んでください』というメッセージと、司書の先生の『今日は図書委員はお休みでいいです』というメッセージがあった。
「(みんな、いい人ばかり……私が、いじわるをされてる訳じゃない。歩み寄れない、私が悪い)」
今はそんな優しさですらも、心を苛む。母親に連絡がいったら、また怒られるんだろうかと思うと、お腹がきゅっとなった。
けれど同じくらい、今日は凪乃の顔を見なくていいと思うとホッとした。ホッとした自分に、自己嫌悪もした。
それなのに──。
「好本静、眠っている?」
どうして、あんな風に突き放したのに、お見舞いになんて来てくれるのだろう。
咄嗟に寝たふりをする静だが、時間をつぶす為に『王冠恋物語』に目を通していたせいで、ファラオみたいに本を胸に抱いて寝ている格好になってしまう。
ゆっくりとカーテンをのぞき込む衣擦れの音がして、凪乃の声で「……個性的」と聞こえた。
「早く元気になってくれないと、困る。あなた以外に本を返すのは、非効率的でしょうがない。それに……」
ごそごそと何かを凪乃が取り出す音がした。なんだろうと思っていると、ピポッ! という電子音が響く。
『──てめぇらの主様を失望させる事になっても構わねぇんだな? あぁ~ん?』
「(──それは『王冠恋物語』一巻の!?)」
突然聞こえた電子音声に、思わず目を開いてしまう静。凪乃はその勢いに少し驚いた様子を見せており、ギンギンになっている静に「……申し訳ない、起こしてしまった?」と少し目を伏せた。
「お、お、おき、起きて、ました……そ、そ、それ……それ、は……?」
静が指差した先、そこには凪乃のスマートホンがある。
凪乃はとても珍しい反応をした。一度見たことがある、あの赤面顔を見せて、そして少しだけ言いよどんでみせたのだ。
「……あなたの喋り方は効率的だけれど、もっと効率的に出来る。読み上げのアプリの中に、あなたの愛読書──『王冠恋物語』の、刊行分全ての文章を打ち込んできた」
「えっ!?」
「……私には、あの本の内容はとても理解できない。恋愛というものに意義があるとも思えないし、時間を浪費するだけで将来の役に立つかも分からない。けれど、けれど……あなたが好んで、覚え込むほど読み込んで、会話に役立てているのを見ると、私が無意義と切り捨てた物の中にも有意義は生れ得るのだと思った」
凪乃はそっと静が手にしている『王冠恋物語』の表紙を撫でる。優しい手つきだった。物語にリスペクトの無い人間の手つきではなかった。
それと同時に、静は凪乃の無表情の中にも、必ずしも無感情ではないものが潜んでいて……この物語に共感を抱けない自分への、憤りのようなものが感じ取れた。それは不思議と、静の内心と似た色をしている。
「私は……私は、あなたと違って、無意義の中に有意義を見いだせない。好本静は、すごいと……そう、思う。私は、あなたともっと話したいと思っている……効率的だからではなくて、その、私の知らない世界を、あなたは見せてくれる気がする。何より、あなたは小さくて可愛い……大きくて、不気味な容貌の私が傍にいていいか、迷うほどに」
「そ、そ、そんな……そんな、こと……」
静が自分のスマホを取り出す。効率主義者の凪乃は、すぐに読み聞かせアプリを超しに通信して、ここ数日勉強なども後回しにして収録してきた、文章データを静かに譲渡した。
静はほとんど会話と変わらない速度で、必要なセリフにアクセスしてみせる。本当に……内容をすべて覚えているのだ。詰め込んだだけの凪乃とは違う。
『──その肌の色は白雪の如し。唇は咲き誇る大輪の花弁のよう。立ち振る舞いは清風の如く、あなたの纏う空気を見ただけで、ひび割れた人の心は希望を取り戻し潤う。四季を渡る、美しき人。我が騎士……!』
的確なセリフだとは思ったが、それはもう完璧に告白も同然であった。
凪乃の顔が、みるみる討ちに真っ赤になり、その整った顔が少しだけ羞恥で歪む。
「好本静、もしも対応が間違っていれば謝罪する、私に二度と近寄ってくれなくていい……私は、あなたに、好かれたいと思っている。明らかに私は、おかしくなっている。頭が異常を起こしている……あなたは、私をどう思う? 表情でいい。喋らなくても、いい。分かる自身が何故かある。あなたの顔で、知らせて欲しい」
静は思い切り泣いてしまいそうになるのをこらえ、懸命に表情を笑顔にする。読み上げアプリが『高らかに笑った』と人工音声で伝えた。
──待ち人は、ここにいた。
※
「──ところで好本静、先ほどのセリフは確か主人公のイオ姫のものであったはず。あなたは私を、騎士カマクルに重ねているということ?」
『──アニキぃ~、そいつは言わぬが華ですぜぇ~?』
静はごまかそうとするが、王子と姫のなりきりプレイの妄想をしていることに、凪乃は気付いている様子だった。
ギシリと凪乃の体が保健室の寝台に乗る。
「……二人は十九巻で体を重ねた。思いを察したのが一巻の終盤、確認し合ったのが三巻冒頭なので、とてつもなく非効率的。私たちは妄想に留めず、ヤリたいときにヤルのが効率的だと思う」
「え? あっ? う?」
「……我が姫、剣はあなたを貫かぬと誓ったのに、このような形で、あなたを傷つけるやも知れぬことをお許しください……」
それは、騎士カマクルの台詞。
その言葉を口にする凪乃はあまりにも凛々しく、静の理想の王子様そのものだった。
強気な美人、しかも想いを交わしたばかりという凪乃に静が抵抗できるはずもなく、すっぽんすっぽんとあっという間に裸に剥かれてしまい、胸を手で隠している以外は生れたままの姿になってしまった。
無論、静は既に自分の体調不良が誤解からの寝不足で、ここで休んで回復しているのは伝えており、凪乃が静の体力を気遣ってストップすることはあり得ない。
「可愛いという感情を、私は好本静を相手に初めて感じた。遊園地のマスコットも“人”としか思えないような私が……あなたのか弱い姿に、胸を高鳴らせている。私が触れたら、どんな反応をしてくれるのだろうと、期待をしてしまう……ふぅ」
「んっ……♥ く、あぁっ……♥」
大切なところに息を吹きかけられ、静は思わずシーツを逆手で握ってしまう。
『王冠恋物語』に限らず、読書家である静は様々な本を読み漁っており、TLロマンスや昔の名作などにも触れている為、性的な知識に関しては見た目に反してそこそこの持ち合わせがある。
その仕草がとてつもなくエッチなものであるということに静は気づき、凪乃はそのAIじみた美貌を赤く染めて、はっ……はっ……息を小さく荒げていた。
「姫、なんと艶やかな……私の吐息を感じてくれているのですか……」
『王冠恋物語』のセリフを引用されて、静は真っ赤になりつつコクコクと頷く。イオ姫とカマクルの初夜は、イオ姫視点で書かれており、彼女のセリフはほとんどがモノローグである為、静が台詞を言う必要はほぼない。
だが、完璧に物語を把握している静は、完璧なタイミングでシーツからを手を離し、乱れたシーツに横たわりながら、懸命な笑みと共に腕を伸ばしてみせた。
それは、姫からの騎士への抱擁……すべてを受け入れるという宣言だった。
「……好本静、あなたはとても危険。私がしっかりと抱きとめていなければ、何人があなたの魅力に気づき、己のモノにしようとするか分からない……あなたは私のモノ。私の、恋人……まだ恋の意義は分からないけれど、あなたを独占できるというだけで、きっと特別な意味に変わる」
「あっ、あっ……んっ……んー……♥」
くち、くちゅっ……と大切なところに指が這わされ、泡立っていくのが分かる。
静は凪乃の首に手を回し、耳元で「はぁー……♥ はぁー……♥」と必死に息づいているのを伝える。
それだけで、静はほとんど触れていないのに、とろっ……と凪乃の下着が濡れそぼるのが分かった。
「まるで、魔性……あなたは私を惑わせる……けれど、それが──たまらなく、心地よい。あなたに会えて、よかった」
「わ、わ、わたし……んっ、くぅ……もぉ……♥」
「はっ……ふぅっ……情けないけれど、あなたを愛撫しているだけで、体が蕩けてしまいそう……きっと、共に達してしまうのを許してほしい……んっ」
「くぅ、あぁっ……♥」
小さな乳首を口の中に含み、ちゅぱっ……ちゅぷっ……と口の中で転がす凪乃。
静もあまりの快楽でぱたぱたと小さく足を動かしてしまい、その膝がとんっ……と凪乃の秘所を刺激する。
「ふっ、くぅぅぅっ……静……静……私の、姫……」
「な……凪、乃……さん……♥ わた、しの……騎士……♥」
ゆっくりと凪乃が腰を下ろし、彼女の大切な場所と、静の秘所がキスを交わす。
同時に二人は口づけを交わし、静が身を震わせる感触だけで、何度も凪乃は官能の果てに至る。
「(なぜ、私がこんな性格で生まれたのか、その答が見えた気がする。私はきっと、彼女を幸せにする為、守り抜く為に……生まれてきた)」
凪乃は静の体をそっと抱きしめ、己の胸の合間に埋める。
静はまるで母親に甘えるように、その乳房をそっと咥えた。
※
「──院田唐音、花園羽香里。少し時間が欲しい」
院田唐音と花園羽香里は、クラスメイトの栄逢凪乃から、入学以来はじめて話しかけられた。
最近の凪乃は一時期に比べて冷淡な印象がかなり薄まり、時にはクラスメイトに自分から話しかけるまでになっている。
昼ご飯だといってサプリメント持ってきたりするので、まだまだ打ち解けるまでは時間がかかりそうだが……。
「何よ、栄逢さん。あなたが人に話しかけるなんて珍しいわね」
「はっ! まさか、私の唐音さんを狙って!?」
「誰もが誰も、あんたみたいな脳内ピンクの陰謀キャラだと思うんじゃないわよ」
「それはない。あなたたちはクラスでもかなり好ましい方……不思議なくらいに……ではあっても、私は先約済」
見れば凪乃の陰に隠れて、小動物のようにかわいらしい少女が顔をひょっこり出していた。
自分たち以外の同性カップルを初めてみたことで、羽香里は「まあ、なんて愛らしい♥」と上機嫌になる。
なお、前回母親の顛末を見たやろという意見もあるかもだが、羽香里はその件を脳内から消し去っている。
「私は好本静と付き合っている。けれど、私はこれまで効率的に生きることだけを志向してきたので、恋愛に関する引き出しが無い。私が観測する限り、もっとも幸福で満たされたカップルがあなたたち。可能なら、いろいろと話を聞かせてほしい」
「ふ、ふん、そんなことを言われたからって、嬉しくなんてないんだからねっ!」
「見事なツンデレです。あなたも、それで異論無いですか? 好本さん」
『──我自身追加戦士の身故、異論などない』
表情に反した騎士道然とした読み上げに、最初だけ面食らった唐音と羽香里だが、あっという間にその会話は弾み始める。
まるでかつて家族であったかのように……少女たちの纏う空気は穏やかで、恋愛の素晴らしさを伝えているかのように清らかだった──。