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 ──普段は眠っているような時間なのだが、コウサカ・チナは真ん丸な月を時おり見上げながら、愛機でありガンプラ世界大会の準決勝を勝ち抜いたベアッガイⅢの修復作業を、旅館のロビーで行っていた。

 部屋にはチナの応援であるイオリ・リン子と、ガンプラアイドル・キララことミホシが寝ている為、起こさないようにとの気遣いである。

 旅館側も、流石は世界大会の会場近くに居を構えるだけあって、快く使用を許可してくれていた。


「……随分、派手にやられちゃったね」


 ぬいぐるみからガンプラになったという設定に従い、ベアッガイⅢの体の中には綿が内蔵されているのだが、高い防御力と緊急時の妨害兵器となるそれは、ほとんどが放出されて痩せてしまったような見た目になっている。

 可愛らしい頭部はなんとか無事なままだが、手足はひどく損傷しており、チナは裁縫と美術のセンスを以てこれを再生中だった。

 一見するとガンプラを直しているというより、何某かのモニュメントを作っているかのように見える風景だが……そんな光景へ興味を持ったにしては、随分と速足で近づいてくる影があった。


「あ……アイナちゃ、じゃなくて、アイラちゃん」

「……」


 ぽすりと前の席に座ったのは、北欧系と思わしい銀髪碧眼と、チナに比べると随分と発育した体つきの少女だった。

 アイラ・ユルキアイネン。フィンランドのガンプラチーム“ネメシス”のトップファイターであり、チナの準決勝の対戦相手。

 チナも彼女がガンプラファイターだと知ったのは準決勝の直前でのことで、それまでは「友達の大会出場を応援しに日本に来た」という言い訳を信じ、名前も出場選手であるアイラではなくアイナと名乗ったのを信用していたのだった。

 アイラは少しずつ痛々しい損傷を修復されていく、ベアッガイⅢをしばらく無言で見つめていたが、やがて「……ごめん」と小さく呟いた。


「謝らなくても、いいから。ほら、試合だったんだし」

「でも、途中までは私、正気じゃなくて……チナにも、ひどいことしたし、ひどいことも言ったし……」

「本当に、気にしてないから、ね? キャロちゃんとか、もっとすごいこと言われたりもしたよ」

「ヤジマ商事の娘……私より口が悪いとか、どれだけチナのこと好きなのよ」


 ヤジマ・キャロラインの態度が単なる照れ隠しだと、既に二人とも看破している為、チナは「あはは……」と苦笑気味に首を傾げただけで、そこを追及したりはしない。

 ……不幸なすれ違いもあって、アイラの準決勝におけるコンディションは最悪であり、それを見限ったネメシスの出資団体“フラナ機関”による介入で、身に着けていた特殊なスーツ・エンボディが暴走。

 苦痛に苛まれながら無理やりガンプラバトルを続けさせられるアイラを救うべく、チナが行ったのは……ベアッガイⅢによる、アイラの機体キュベレイパピヨンへのハグであった。

 エンボディはアイラの「プラフスキー粒子の動きを察知し、ガンプラの動きを先読みできる」という特異な能力を増幅するものだったのだが、元より体積の何割かがプラフスキー粒子の作用しない綿であるベアッガイⅢは、先読み不能の謂わばアイラの天敵であり、そこにバトル中にハグという理外の行動が加わったことで、システムをオーバーヒートさせてアイラを開放するのに成功したのだ。

 もっとも、その代償としてベアッガイⅢは多大な負傷を受けることになったのだが……大会中に“アイナ”と深めたものも含めて、友情を守りきった名誉の傷だとチナは考えていた。


「アイラちゃんは、しばらくはリン子さんのところでお世話になるんだよね」

「そうよ。まったく、あんなに親しいからチナはリン子さんの娘だと思って同棲を申し込んだのに、ただの店のお手伝いさんって聞いてずっこけるかと思ったわ……今からでも、チナの家に移れない?」

「うちはまだ、小さな弟も居て部屋に余裕が無いから……」


 確かに子供のいないリン子からは本当の娘のようによくしてもらっているし、そもそもガンプラを始めたのも、最初は画材を買うお金が欲しくてイオリ模型店で秘密のバイトを始めたことだったのだが……思えばチナは勿論リン子もほとんどガンプラに詳しくないのに、よくも決勝進出まで来たものだと思う。 

 イオリ模型店でバイトを始めたことを契機に弟のユウマがガンプラに興味を持ち、彼の質問などに姉として答える為にキャロを頼り、初めてのガンプラバトルでキャロのナイトガンダムを撃退して……そこからヤジマ商事がいつの間にやらスポンサーに付き、気付けばベアッガイⅢと共にガンプラ全国大会に出場することになり……そして、アイラを救うことができた。

 自然と友を守れたことに笑みを漏らしていたら、思った以上に近くまでアイラが顔を寄せてきて、ちょっと驚いてしまう。


「きゃっ! な、なに……?」

「……チナは、ヤジマ商事の娘と付き合ってるの?」

「えぇっ!? な、なんでそういう話になるの!? 付き合ってない、無いよ! キャロちゃんはお友達で……」

「じゃあ、他に好きな女はいるの?」

「い、いないけど……なんで、女の子限定?」


 戸惑うチナの前で、アイラが豊満な胸をチナの顔にくっつけてくる。

 あまりにも急な行動で、チナは後ろにひっくり返りそうになったが、そこはアイラにしっかりと頭を抱え込まれてしまう。


「あ、アイラちゃん……ちょっと、急すぎない……? んっ……アイラちゃんの胸、甘い匂いする……♥」

「急じゃない。ヤジマの娘は当然として、あのキララとかいうアイドル女も怪しいし、リン子さんだって母娘じゃないって分かった今は、絶対チナ狙いだと思う。私は後発組なんだから、これくらいしないと追いつけない」


 しっかりと自分の豊満な胸に顔を挟み込んで、チナが苦しそうに胸の合間から顔を出すと、アイラは「ふぅぅ……♥」と甘い吐息を吹きかけてくる。

 女同士でも、フェロモンというのは効果をはっきするのだろうか。鼻腔に張り付くような甘い香りに、チナの喉からは「んきゅっ♥」と声が漏れてしまった。


「こんなことが出来るのも、チナが私のことを救い出してくれたから……だから、この体はチナのものなんだよ……♥ チナが望むなら、なんだってしてあげる……セックスだって……♥」

「ちょっ……ちょっと待って……んー……♥ た、確かに好きな男の子はいないけど……んっ、んくっ……♥ 私はレズビアンじゃ……あっ……♥」

「本当に? 私のこと好きになるか、試してみようよ……本当に嫌だったら、突き飛ばしていいから……♥」


 胸の合間で悶えるチナの顔に、ゆっくりとアイラが唇を寄せてくる。

 突き飛ばしていいと言われたが、チナの手は修復中のベアッガイⅢを手にしたままであり、これではアイラに触れることすらままならない。

 ちゅっ……と唇に軽くアイラのそれが触れて、すぐに激しめのキスが来た。

 チナはベアッガイⅢをとにかく落とさないようにと、そう考えながら耐えることしかできない……それくらい、アイラからの口づけは気持ちが良すぎた。


「(お、女の子同士のキスって、こんなに気持ちいいの……? アイラちゃん、こういうの慣れてるのかな……あっ……舌、入って来る……♥)」

「んちゅっ……れるっ、れりゅっ……ちゅっ、じゅずずっ……♥ はっ……はぁっ……♥ 女同士って、すごいのね……全身どこも、いい匂いがする……♥」

「えぇ……アイラちゃんも、初めてだったの……?」

「当然、故郷に居た頃はお腹がすいて、それどころじゃなかったし」


 多分アイラは笑って欲しかったのだろうけれど、チナは少しだけ悼むような表情をしてしまった。

 アイラは「その顔、いいわ」と囁いて、もう一度チナに口づけしてくる。

 その短い間隔で、チナはベアッガイⅢをテーブルの上に避難させるのに苦労した。



「アイラちゃん……アイラちゃん……♥」

「あっ……チナ、落ち着いて……んんっ♥ 火をつけたのは私だけどぉ……もっと、ゆっくり……あっ……♥」


 流石に人気のない深夜、受付さえもベルを押さないと出てこない時間とは言え、ロビーで行為にも及ぶわけにもいかず、チナはアイラに導かれるようにして、彼女の客室へとやって来た。

 そうして、寝台の上で重なり合っているのだが……先まではアイラにされるがままだったチナも、今は逆にたわわなアイラの体を堪能するように手を這わせており、積極的にアイラに愛撫を行っていた。


「あんなことをされて……アイラちゃんの可愛いところ見せられたら♥ わたしだって、我慢できないよ……アイラちゃんのこと、素敵な女の子だって思ってたんだもの……まるで、雪の妖精みたいだって……♥」

「ほ、ほめ過ぎよ……雪の妖精は、肉まんを貪ったりしないわ……♥」

「そういうところも、すごく可愛い……これからは、どんどん私に見せて欲しい♥」


 チナはアイラの首筋に吸い付くようにキスをして、くにっ……くにっ……と股間で指を動かす。

 少し過激な少女漫画に載っていたのを真似ているだけだが、チナにはどうやら女性同士のセックスにおける才能があるらしく、振られるアイラは真っ白な喉を見せて何度も仰け反っており、艶っぽい喘ぎ声を漏らしていた。


「チナ……チナぁ……♥ こんなに激しくされたら、私……♥ んっ、んはぁぁ……♥ 私、これでチナの恋人でいいのよね……♥ チナの一番好きな人に、なれたんだよね……♥」

「アイラちゃん……うん♥ アイラちゃんが一番好き♥」

「……♥ ありがとう♥」


 二人は抱き合いながら互いの体を愛撫しあっていたが、やがてアイラの方がぐっしょりと濡れた下着をおろして、チナのそこへと押し付けてくる。

 貝合わせという行為の知識はどちらにもないが、これはもう女同士で愛し合う少女たちの、本能といってもよい行動だった。

 チナはアイラの肉付きのいい足をしっかりと掴み、アイラはぱちゅっ♥ ぱちゅっ♥ と腰が触れ合う度に、口元を押さえて喘ぎをなんとか弱める。


「もっと喘いで♥ 気持ちいいって言って、アイラちゃん♥ アイラちゃん、あの悪い人たちに好きなように振る舞えないくらい、いじめられてたんでしょう? もう、あんな怖い人たちのこと、気にしなくていいから♥ ううん、これからは私が守るから、安心して気持ちよくなって♥ エッチな声、聞かせてぇ♥」

「あんっ♥ あぁぁっ♥ チナ、チナぁぁ……積極的、過ぎるよぉ……♥ チナ、気持ちいい……♥ もっと、もっとチナのこと感じたい……♥ ガンプラも、エッチも♥ これからもチナと一緒に楽しみたいのぉっ♥ チナぁぁっ♥」


 二人の体が、秘所を擦り合わせたままで同時に仰け反る。

 互いの秘所の中へと、とぷとぷと愛液が流れ込んでいく感覚……まるで射精のような温かさに、二人は改めて互いの感情を確認し合い、カップルとして強く抱きしめ合うのだった。

 ……しかし、この時のアイラの先行によって、まさかチナがガンプラ世界大会で優勝後、彼女を巡った真の決勝戦と言ってもよいような争奪戦が起こることに、まだ若い恋人たちは気付いていなかった……。

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Comments

邪バレンスタイン

ダブル主人公のヒロイン同士をくっつかせる展開、普通に好きです。 あとこの世界二人の役割委員長が担ってるって話だったけど出ないとかじゃなくてマジで居ないんだ……

屋根が高い

この事態に、キャロちゃんがアップを始めたようです…w セイはまだレイジと出会わなかったからガンプラ好きの少年で済みますけれど、レイジは本当に悲惨なことになってしまう(国辱受けたのに犯人のしっぽすら掴めない)ので、こういう形にしました