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依頼したはいいものの使う機会が無かった漫画動画用のシナリオです。

ストレージの肥やしにするのも勿体ないのでここで公開します。

シナリオ:児玉みのる



※シナリオ内記号説明

【】…場面設定

*…ト書き

N:…ナレーション

SE:効果音

「」…セリフ

()…心の声

1.2.3.…コマ割り

登場人物

主人公:松村栄子

少年:石狩ワタル

ワタルの母


1.

【教室、黒板の前に立つ栄子】


栄子N「私の名前は松村栄子」

栄子N「新米の中学校教師です」

栄子N「今は二年生のクラスを受け持っています」

栄子N「慣れない事ばかりで大変だけれど、中でも一番大きい悩みは……」


2.

【プリントの束を手にして考え込む栄子。モブの学生の後ろ姿が数人】


栄子「石狩くんは……今日も欠席ね」

モブ1「俺さ、石狩って一度も見たこと無いんだけど」

モブ2「私は小学校が一緒だったんだけど、六年生の頃には来なくなっちゃった」

モブ1「なんかあったのか?」

モブ2「それは……」


3.

【猪狩ワタルの顔写真が貼り付けられている紙を見る栄子】


栄子N「私が受け持っているクラスには不登校の子がいます」

栄子N「前年度の担任の先生からの引継ぎ書によると、一年生の時は一度も学校に来ていないようです」

栄子N「また、石狩くんには生徒たちの間である噂が立っていて……」


4.

【教室、モブの学生が喋っている】


モブ1「え、狼人間!?どういうことだよ」

モブ2「しーっ、声大きいよ、先生に聞こえちゃう」


栄子N「生徒たちの話はしっかり聞こえています」

*コマの端っこに栄子の顔


5.

【外を歩く栄子】


栄子N「噂が気になった私は、家庭訪問の時にそれとなく尋ねてみる事にしました」


6.

【石狩ワタルの家、玄関ドアの前に立っている栄子】

SE:ピンポーン

母「はい、どちらさまでしょうか」

栄子「すみません、ワタルくんのクラス担任の松村です、家庭訪問に参りました」

母「少々お待ちください」


7

【母がドアを開けて出てくる】


母「あの、うちの子についてはもう少し時間を頂けますか」

母「去年の担任の先生にもお話したのですけど」

栄子「引継ぎの際に大まかな話は聞きました」

栄子「ですが、私としてはワタルくんと直接話をしたいのですが……」


8.

【ワタルの母、険しい顔に変わる】


母「ですから、しばらく放っておいて欲しいと言っているんです!」

母「失礼します」

栄子「あ、ちょっと……」


9.

【ワタルの母、玄関ドアを閉める。栄子はドアの前で立ち尽くす】


栄子(どうしよう、ドア閉められちゃった)

栄子(でもここで諦める訳にはいかない)

栄子「ワタルくんについて不思議な噂を聞いたんです、ワタルくんは狼人間だと」


10.

【ワタルの母、玄関ドアを勢いよく開ける】


母「変な事言わないでください!ワタルの気持ちも知らないで!」

*激怒する母

栄子「す、すみませ」

ワタル「母さんもういいよ、あんまり大声出すと近所の人に聞こえるよ」

*栄子が話している途中で、ワタルの声が部屋の奥から聞こえてくる

ワタル「とりあえず中に入ってもらって、僕が直接話すから」


11.

【栄子、家に入り玄関ドアを閉める。一段上がったところにワタルと母】


栄子「はじめまして、石狩ワタルくん。担任の松村栄子です」

ワタル「はじめまして、僕がなぜ狼人間だと言われるか知りたいんですよね」

ワタル「見せてあげますよ、これなら学校に行きたくなくなるのも分かってもらえるんじゃないでしょうか」


12.

【狼に変わったワタルの顔のアップ】


栄子「そんな……本当に……」

母「分かってもらえましたか」

母「ある日突然こうなってしまったんです」


13.

【回想シーン 小学生のワタルが家で叱られている】


母「ワタル、何時だと思ってるの!こんな時間まで外で遊んでいるなんて」

ワタル「友達が公園でケガしちゃってさ、友達んちまで連れていくのに時間かかっちゃったんだよー」


14.

【ワタルの顔が狼に変わり驚く母】


母「きゃあ!お、おおかみ……」

ワタル「オオカミ?」

母「鏡、鏡はどこにあったかしら……あった、自分の顔を見てみなさい」


15.

【手鏡に映った自分の顔を見て驚くワタル】


ワタル「うわっ、あたまがオオカミになってる!」

母「その後も何度か狼に変わってしまう事がありました」

母「色々と考えてみて、どうやら嘘を付くと狼に変身してしまうらしい事がわかりました」


16.

【教室で狼頭になっているワタルと、それを遠巻きで見ている同級生のモブ数人】


母「家ではまだしも、学校生活の中でまったく嘘をつかないというのは難しいです」

母「ワタルは自分なりに気を付けていたようですが、ふとした時に変身してしまいました」

ワタル「そのときにね、笑われたり、怖がられたりして凄く悲しかったんですよ」


17.

【回想終了。いつのまにか元の顔に戻っているワタルと栄子が向かい合っている】


ワタル「先生には分からないでしょ、僕の気持ちなんて」

ワタル「とにかく、そういうことなので。もう家庭訪問は終わりで良いんじゃない」

栄子「……ちょっと待って、もう少しだけ話を聞いて」


18.

【優しく親身にワタルに語りかける栄子のアップ】


栄子「さっき狼に変身したのは、学校に行きたくないというのが嘘だったからでしょう」

栄子「きっとワタルくんはその力をコントロールできるはずよ」

栄子「小学校の頃の嘘だって、相手を傷付けようとしたものではなかったんじゃないかしら」


19.

【切れるワタル。感情が不安定になり、狼に変わる】


ワタル「勝手に分かった気になってんじゃねえよ!」

ワタル「そんな簡単にいくかよ、何が嘘で何がホントなのか自分でも分からなくなるのに!」


20.

【目を閉じて精神統一をする栄子】


栄子(このままじゃワタルくんに分かってもらえないわね……)

栄子N「私は覚悟を決めました」

栄子「そうね、あなたの気持ちなんて私には全然わからない」


21.

【煙とともに、栄子の顔が狼に変わる】


ワタル「先生も狼人間だったの!?」

栄子「黙っていてごめんなさい」


22.

【顔を戻した栄子が再びワタルと話す】


栄子「嘘にも色々とあるわ、相手を思いやる嘘ならいいのではないかしら」

栄子「大切なのは自分の気持ちよ」

栄子「そうやって私はこの力をコントロールしてきた」

ワタル「僕にも出来るかな?」


23.

【栄子とワタル、握手をする】


栄子「私が手助けするわ」

栄子「私はあなたの先生だから」




―――終―――





獣化プロットその2



・主人公は新米の中学校教師。受け持ったクラスの中に不登校の少年がいる。

・クラスの他の子との会話で、不登校の少年が狼人間らしいという情報を得る。

・どうも信じられないまま不登校の少年の家に家庭訪問へ行くと、玄関で母親に門前払いされてしまう。それでもしつこく交渉を続けると、家の奥から少年が出てくる。

・少年は主人公に学校には行きたくないと言う。すると少年の頭が狼に変わった。

・驚く主人公。母親に詳しく話を聞くと、ある時から少年は嘘を付くと狼に変わってしまうようになったという。

・初めのうちは嘘をつかないように気を付けながら学校生活を送っていたが、

いつまでも続くはずは無く、学校で狼に変わってしまった。それ以来怖くて学校に行けなくなったとのことだった。

・しかし主人公は気付く。少年にとって学校に行きたくないというのは本心ではないのだと。

・主人公は少年に話をする。嘘にはいろいろなものがある。相手を思いやる嘘ならいいのではないか。

大切なのは自分の気持ちだ。私には君の事を理解してあげられないけれど。

・そう言うと、主人公の姿が狼に変わる。実は主人公も狼人間だった。

・主人公に勇気づけられた少年は学校に行く第一歩を踏み出す。



─────────────



セリフ主体のシナリオでした。

嘘をつくと狼になってしまう人の話。

現代で生きる狼人間は大変そうですね。



テスト(2022/04/30 23:27:47)

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