終わりを迎えた軌跡〜帝国皇女アルフィン・ライゼ・アルノールの屈服放送〜 (Pixiv Fanbox)
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いつもご支援ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。
本日は有償リクエストで書いたアルフィンをお届けします。アルフィンもかなり好きなキャラだったのだな、と自覚するガッツリボリュームになりました。
個人的に後半の屈服シーン連打がお気に入り。ずっとやってみたかったんや……。
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「この私に不可能はございません。なぜなら、私は誰より美しいのだから」
美しく聡明な公女レティア。帝国貴族の娘として生まれ、花よ蝶よと育てられた彼女は優れた才と引き換えに苛烈なまでの自尊心を持ち、やがては己の両親すら踏み台にして貴族として成り上がった。
彼女とその家は、帝国貴族の中でも有数の権力を持つようになった。己に勝るものは何一つない――――――そう本気で信じていたレティアは、本物の高貴というものを思い知らされたのだ。
帝国の至宝。それは決して、帝国記の中で脚色された大言壮語の権化ではない。彼女は実在する。帝国の皇女という、レティアが如何に美しかろうと届かぬ地位を持つ者。そして、レティアの美しさが霞むほどの美貌を持つ者。
ある種、彼女が美しさで培ったモノたちの全てを上回り、否定する存在。
「――――貴族とは、民から都合よく搾取するための力ではございません。どうかそのことを思い出してくださいませ。あなたの心にまだ、民を思う気持ちがあるのなら」
ノブレス・オブリージュ。優れた者こそ真っ先に犠牲を払わねばならない。義務を果たさねばならない。
だからこそレティアは数多の犠牲を作り、己の地位を磐石のものとした。優れた自分が民を導くのだと。
そのための手法を彼女は否定した。レティアが嫉妬するほどの遙か彼方にある美貌と、下々の平民に対する圧政を暴き立て、謝罪をさせるという屈辱をもたらしながら。
「申し訳、ございませんでした」
レティアは、虐げた平民たちへ謝罪をした。それは、今生で初めて他者に頭を下げ、下に敷かれた時間。その時去来した感情はただ一つ。
――――――今に見ていろ。
アルフィン・ライゼ・アルノール。気品に満ち溢れながら爛漫で利発で、同じ金色の髪を靡かせながら全てにおいて〝勝ち得ない〟とレティアを一目で屈服させた少女。
平民への謝罪という屈辱を強いられた彼女は、不正を恥じて反省するどころか、辱められたとアルフィンに強い恨みを抱いた。
皇女の告発により立場を悪くしたレティアは、隣国である共和国へと逃れた。それは暗に、同じ土俵ではアルフィンに勝ち目がないと認める行為であった。
「そうよ、今のあなたは美しいわ。それは認めて差し上げる。けれど……」
その美しさは庶民に愛されてこそ、愛すればこそ。土俵が違うとレティアは認めた。今のままでは、アルフィンの美貌と権力には敵わない。
高貴なる皇女の言葉は届かず、レティアは己にまだ持たざる力があると考えた。帝国を支配するだけの地位、アルフィンから民からの愛慕を奪うだけの権力がいる。暴力的な美貌を上回るだけの暴力が必要なのだ。
そのために、レティアが共和国内で接触した組織の名は《アルマータ》。本来あるべき歴史の中では英雄たちの手で闇に葬り去られたマフィア組織にして、知られざる歴史の中では勝者として刻まれた支配者の名である――――――――
◆
「お久しぶりですわ、アルフィン皇女……いえ、今は皇太女であらせられるのでしたね。失礼、アルフィン皇太女様」
「……レティア公女。そこまで、堕ちていたのですね。残念です」
帝国が誇る概ね帝都ヘイムダル中心部の皇城《バルフレイム宮》。応接室で、二人の少女が因縁めいた関係を醸し出すように相対する。
片や悠々と、片や己の言葉が未熟故に届かず、闇に堕としてしまったと悔いるように。
「堕ちた? 何を仰られるかと思えば異なことを……私は、共和国の全政権を担うアルマータより遣わされた使者ですわ。口の利き方には、お気を付けくださいませ、皇太女様」
「貴様、無礼な!」
アルフィンが身内の裏切りに苦しみ、一度は民衆たちの怨嗟の声すら受けてでも皆を愛するが故に今の地位を引き受けたこと。皇太女という地位は、決して彼女が望んで手に入れた権力ではない。その痛みをわざとらしく言葉で詰るレティアに臣下や側近が憤りを露にするが、アルフィンは「お止めなさい」と凛とした声で混乱を制する。
「ではお聞きします。我らの領地、帝国に如何様な〝支配〟を求めるのですか」
マフィア組織《アルマータ》。彼らの悪名は、今や共和国や帝国だけでなくゼムリア大陸全土に広まっている。だが力によって制されていながら、政治的な姿勢を崩すことのない異国への干渉は不可能であり、裏側からの解決はそれこそ《アルマータ》の力によってねじ伏せられた。
もはや彼らが絶対的な〝力〟に酔い、支配を広げているのは火を見るより明らかであるというのに、アルフィンは毅然とした態度を維持し、僅かでも支配権を拒絶することしかできなかった。レティアに向けた言葉でさえ、皇太女とは名ばかりの見てくれでしかなく、レティアもそれが分かっているからこそ余裕の笑みを浮かべていた。彼女にとってアルフィンとは超えられなかった壁、ある意味では誰より意識し、彼女の在り方を理解しているのだ。
「ええ。本日、私が参ったのは他でもありません。支配のお話を、この国の支配者である皇太女様と是非にと……」
「っ……ぁ……!?」
レティアは一度ティーカップに手をつけ、白々しく言葉を切った。その時、アルフィンは彼女が指につけた宝石がキラリと輝き、己の裡に〝刻まれる〟感覚に苛まれ額を抱えてしまう。
「あら、どうされました。体調が優れないようですが」
「い、いえ。何でもございませんわ……」
アルノールの血族は常人より魔力が濃く、優れている。アルマータが生み出した人為的な古代遺物(アーティファクト)が与えた常人ならば無意識に操られる〝暗示〟に抵抗し、頭痛が警告のように現れたようだ。が、所詮は悪足掻きでしかないと鼻で笑ったレティアは言葉を重ねた。
「アルフィン・ライゼ・アルノール皇太女様に申し上げます。我々共和国政府アルマータは、帝国への全面的な降伏、及び従属による先の大戦における狼藉の清算を要求いたしますわ」
「な、何を馬鹿なことを……!」
「無礼な!!」
「お黙りなさい。私は、皇太女様と交渉していますのよ。下々の者が口を出して良いと思いまして?」
交渉ではなく恐喝の間違いであろう。事実上、帝国の貴族政権の解体と隷属を要求したレティアに、臣下が顔を真っ赤にして異を唱えた。
「っ……♥」
そんな中、アルフィンだけは違う意味で頬を染めた。祖国が、裏切りの貴族公女の手引きで悪辣な組織に支配されようというのに、彼女の中には異様な感情が生まれていた。
「……我が国は既に共和国の寛大なお心により、賠償金という形で過ちの清算をいたしました。よって、アルマータの要求は不当なものであると考えます」
一泊の呼吸を置いて未知の感情を鎮めたアルフィンが、帝国を預かる皇女として毅然とした態度を見せる。
確かに一方的な侵略戦争を仕掛けた帝国には、全面的な非がある。莫大なものとはいえ、ミラだけで不遜な行為が許されるとは思っていない。だがそれは共和国に対しての誠意であり、力でねじ伏せようとするアルマータへの屈服を意味するものではない。
隷属を許容せず、あくまで気丈な態度を貫かんとするアルフィン。けれど、レティアの中にかつてのような苛立ちはない。あるのは、絶対的な優越感と支配欲、彼女に対しての嗜虐的な思想。
「もうご存知かと思われますが、帝国にもアルマータの息はかかっていますわ」
それを知られたところで、今の帝国がアルマータを排除することはできない。レティアは力強く宣言した。今帝国を統治しているのはアルフィンではなく、裏から手を伸ばすアルマータの支配であると。ハッと目を見開いた聡明な皇女に、レティアはクスクスと微笑みを向ける。
「アルマータに禁忌はありません。クレイユ村の一件、あなた様ほどの方が知らないはずもないでしょう?」
「っ……あのような非道にまで関わっていらしたと!?」
クレイユ村が一夜にして消滅した事件は、共和国全土にアルマータの名を知らしめ、帝国にまで悪名をもたらすキッカケとなった。あの外道極まりない事件にまでレティアが関わっていたことを察し、アルフィンは彼女を止められなかった過去を悔やむ。
「私はスポンサーとして、彼らの支援を請け負っているだけの身ですが、多少は贔屓にもされていますのよ」
だが、レティアは大量虐殺すら誇らしげに語る。彼女の中では何百何千の愚民が死を迎えようと、己を辱めたアルフィンの気品と美貌を許容できない器量は〝構わない〟と告げる。あの日、あの時からレティアは何も変わっていない。民衆など、己の美しさと地位を引き立てるものでしかないと、今はそこにアルフィンを辱め、詰るだけの道具であるという価値を加えたものだと言っているのだ。
「皇太女様。あなたの決断に、帝国民の生命がかかっていましてよ」
支配を拒めば国民は、クレイユ村の悲劇と同じ末路を迎える。しかしアルフィンが屈すれば、アルマータの大陸支配は表と裏の両方で磐石なものとなるだろう。
世界への僅かな希望か、国民の生命か。十代の少女が背負うには、重すぎる決断を迫られたアルフィンの額に汗が浮かぶ。以前レティアに掛けた彼女の信念が心を苛む。
「わ、わたくしは……」
考えがまとまらぬまま口を開くのは、上に立ち命を下すものとして愚の骨頂。
「選べませんか? ふふふ、無様なものですわ……であれば、皇太女様のために、第三の選択肢をご用意して差し上げましょう」
気丈な振る舞いにも限界が訪れ、答えあぐねるアルフィンにレティアはあえて選択肢を増やす。それは、高貴なる皇女のままでは貶めたことにならないという絶対的な勝利を求めるレティアの自尊心。
「謝罪なさい。頭を垂れ、この私を過ちと断じた過去を悔いる謝罪をしていただけるというのなら、今この場における交渉は撤回して差し上げます」
それが満たされるのは〝アルフィンが自ら行う隷属〟をおいて、他にはない。
「ぶ、無礼な! アルマータの傀儡が!」
「この方を誰と心得るか! 帝国貴族の誇りすら忘れたと」
「お止めなさい!!」
国が誇る宝が侮辱されたとあらば臣下が黙っていられるはずもない。アルフィンは声を荒げて諌めた。彼らの思いやりを防がねば、それは独善となり民の生命を奪うだろう。
高貴なる者こそ真っ先に犠牲を払わねばならない。それこそ貴族の栄誉だ。
「皆、わたくしに同じことを言わせぬよう……レティア公女、いいえ、レティア様。わたくしがこの場で、あなたに謝罪をすれば……よろしいのですね?」
あえて公女ではなく様と呼ぶのは、彼女は既に帝国の貴族の枠組みにないこと、そしてアルフィンが立場を弁えたことを伝える意味もある。アルマータの使者へと堕ちた公女と帝国の皇太女、本来ならば明確な立場の差を弁えるべき者の逆転劇を、彼女は認めざるを得なくなった。それが世界と民の両方を守る術であるならば、アルフィンは自己を差し出すことを厭わない。
「ええ。今は、あの日の私への不躾な態度を謝罪していただければ、この場は引き下がって差し上げます。ただしそれは、皇太女様がアルマータの使者たる私に屈した、と見られてもおかしくはありませんわね?」
謝罪だけで済むと思わないことだ。二つの選択を避け、この場における最低限の解決策を選ぶ対価は、先々でアルフィンを戒めるだろう。レティアがそのためにやってきたのは、もはや語るまでもなく理解できる事実だ。
グッと唇を噛むアルフィンの頬は赤い。蒼白ではなく、羞恥色に染まった皇女の美しい顔を立ち上がって見下ろしたレティアは、言葉を重ねて問いかけた。
「私の足元に跪き謝罪なさい。帝国の至宝たるその身で、かつてのように民をお救いしてみせなさいな。アルフィン・ライゼ・アルノール」
アルフィンは、ドレスのスカートを握りしめる。品のないと言われても、生まれいずる苛烈な感情を抑えて立ち上がるにはそうするしかなかった。
「……っ♥」
「で、殿下!」
「お、お止め下さい! 殿下が、異国の侵略者に平伏するなどと!」
ゆっくりと膝をつく。皇女たる者が床に膝を置き、手を付き、そして頭を垂れて髪を落とす。
「申し訳、ございませんでした♥」
強いられて零れた謝罪は、無意識にレティアのものと全く同じ口振りだった。しかし、屈辱と屈服の意識はかつてのレティアとは比にならない。
抗うべき、正すべき相手に手も足も出せずに頭を垂れる。煌びやかなドレスを身に纏い、皇族の血族たる金の髪を地面に張り付け、アルフィンは平伏してしまった。
「……うふ、うふふふふふ。あはははははははは! いいわ、想像なんかよりとても素敵……! 最高よ、アルフィン殿下!」
「ひぐっ!?♥」
皇女殿下の地位を持ったまま土下座させたアルフィンの頭を、土足で踏みにじる。帝国を離れたあの日から幾星霜、どれだけ想像したかも分からないものを現実できたレティアは、筆舌に尽くし難い興奮を露にした。
「っ、ふーっ♥ ひぐっ♥ ん、ふー……っ♥ んんんんぅ……♥♥」
そしてアルフィンは、過ちを正すことなく現れた〝アルマータの〟レティアに頭を土足で踏みにじられながら、形容し難い吐息を床に向かって吐き出していた。
国民のためであれ、アルフィンはアルマータに屈した。その被虐が心を苛む。既に蝕まれていた心は、アルフィンにありえない快感を与えた。その快感に屈してしまうほど身体は弱々しくなった。
何よりも、公女ですらない敵国の女に皇女たる者が土下座するという絶大な羞恥が、複雑に絡み合った被虐によってマゾヒズムな快感を生み出したのだ。
「さあ、もう一度謝罪なさって? あの日に受けた私の心を癒せるよう誠心誠意、心を込めて、謝罪の言葉を私とアルマータへお送りくださいませ」
「ふぅ〜♥ ふぅぅぅぅ――――――大変、申し訳ございませんでしたっ♥ レティア様への御無礼を♥ 心より、お詫び申し上げますっ♥」
ブシュッ、と聞こえるはずのない水音が響き渡ったのは、応接室の外まで飛び出しかねないアルフィンの謝罪が響いた直後のこと。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ♥♥♥♥」
その時確かに、アルフィンの美貌は歪んだ。アルマータから与えられる嗜虐に対する被虐心。そして、レティアに屈するマゾヒスティックな羞恥心。それら全てを快楽に変えた肉体の絶頂にも、アルフィンは確かに伏したのだ――――――――
◆
翌日から、レティアは共和国からの使者として丁重にもてなされることになった。それは正式な客人というだけの意味とは、当然ながら異なるものだ。
彼女は帝国の支配を目論んでいると、自らの口から告げた。表向きの理由はどうあれ、レティアとアルマータの目論見を察せられないほど、帝国の重鎮は愚鈍ではなかった。
もちろん、彼らに出来ることなどない。英雄を失ったこの国の命運は、今や幼き皇女の双肩にかかっている――――――そんなアルフィンを狙うレティアが、これみよがしに生み出した機会を逃すはずがなかった。
「うふふ、と・て・も♥ よくお似合いですわ、殿下♥」
「あぅぅ……♥」
ありふれた賞賛の言葉を素直に受け取れる心境ではないアルフィンが、顔を真っ赤にして俯く。そうすると、レティアに詰られた己の装束が益々目に入って、頭がおかしくなりそうだった。
一晩立ち、失意の中で目を覚ましたアルフィンは愕然となった。彼女の侍女、世話係はアルマータの手の者に挿げ替えられ、全てが様変わりしてしまっていたのだ。
まず一番は着慣れた公務用のドレスだ。紅と白を基調とした露出が控えめながら華やかで気品のあるドレスは、歩くだけで下着が見え隠れするミニスカートに、身体のラインがくっきりと浮かぶぴっちりとした生地、さらには手を上げれば腋が大胆に露出する穴が開けられ、着ている方が恥ずかしいパンチラぴっちりドレスに変えられていた。
当然、皇女として肌を露出する行為を控えていたアルフィンからすれば、そのような羞恥ドレスなど正気の沙汰ではない。だが、部屋の衣服は学院の制服を含めて全て残らず取り替えられており、事実上の選択肢は失われた。レティアの周到さに舌を巻くと同時に、彼女が本気で自分への恨みを晴らそうと画策し、迷いなく実行したことへアルフィンは恐怖することしかできなかった。
(うぅ……♥ 足がすーすーして、恥ずかしい……身体にもぴっちりくい込んで、胸が苦しい……あぁ♥ 着ているだけで、頭がおかしくなってしまいそう……っ♥)
選択の余地がなければ、アルマータの手の者に命じる権力もない。皇族の宮殿でありながら、敵城の中に囚われたも同然のアルフィンは、恥じる心も虚しく羞恥ドレスを着せられた。
「あら殿下、どうされたのかしら。皇太女とあろう方が、賞賛の言葉に礼の一つも返さないなんて無礼なことは……いたしませんわね?」
「っ♥」
本心はどうあれ、表向きは共和国の使者がアルフィンの美しさを褒め讃えた。そのようなドレスでも着こなしてみせる殿下は流石だ、と。
ならばアルフィンは礼を以て返さなければならない。その羞恥ドレスのスカートを摘み、恭しくお辞儀をする。
「お……過分なお言葉、恐悦至極に存じます、レティア様……っ♥」
気品のある仕草であるそれが、今や下着を大胆に見せつける品性のない変態仕草になろうとは。暴力的なまでの美しさでも誤魔化しきれない下品さに、アルフィンは更なる羞恥に襲われる。
(だめ♥ 感じちゃう……恥ずかしいのに、身体がどんどん、熱くなって……っ♥)
アルマータのレティアへ頭を垂れることが、過度な羞恥心が苦しさの中に快感を生む。震える手でスカートを摘み、見せつけた薄い桃色のショーツにじわりと染みが浮かび上がるのにそう時間はかからず、レティアがそれを見つけるのも容易いことだった。
「あら、あら。殿下、下着が濡れておられますわ。もしや、恥ずかしさですの? 帝国の皇太女とあろうお方が、とんだマゾヒストでしたのねぇ♥」
「こ、これは、違います……わたくしは……♥」
殿下、皇太女と事ある毎にアルフィンの敬称を口に出す意図は分かっている。彼女はアルフィン個人の屈服を認めさせた後、帝国の皇女としての屈服も引き出す。そうして、アルフィンと帝国の両方を掌中に収めるつもりなのだと。
許してしまえば、身を切った侮辱的な行為まで無に帰す。何より帝国民の生命を差し出すも同義である。羞恥で下ろしてしまいそうな手を必死に堰き止め、レティアの言葉にか細い声で反論する。だが、恥を見られているという感情が、アルフィンの快感をより激しく引き出した。
「ふふ、こんなにぐっしょりと濡らして♥」
「う、うぅ……違い、ます……本当に、違うのに……っ♥」
レティアの機嫌を損ねてはならないアルフィンは、微かな否定の言葉でしか快感を否定することが叶わない。そんなか弱い抵抗で止まるほど、彼女の中に根付き、彼女の中で芽生えた嗜好は生易しいとのではなかった。
羞恥と快感と屈辱でぐちゃぐちゃになった美貌を目にし、至極の優越感に浸るレティアが、指をグッとショーツに押し当てる。濡れた生地に割れ目が卑猥に浮かび『ぐちゅっ♥』と水音を響かせた。
「あぁんっ♥♥」
「いい声♥ 淫乱な女ですこと♥」
ぐちゅぐちゅぐちゅ♥ ぬちゅぬちゅぐちゅっぐちゅっ♥
「あんっ、あんっ、あんっ♥ んひっ、あひぃぃぃぃっ♥♥♥」
「御御足が崩れそうですわ♥ もっとしっかりなさってくださいませ♥」
指で股を擦られるだけで膣奥から洪水のように愛液が溢れ出し、瞼の裏から閃光が瞬く。レティアの指摘通り、アルフィンの両脚は立所を失ったようにガクガクと痙攣し、実にみっともない様子を見せてしまう。
「あっあっあ♥ だめっ、はぁぁぁぁんっ♥♥」
「あぁ、忌々しいほど綺麗なお声♥ それも今だけですわ♥」
言って、レティアは指の置き場を変えた。アルフィンの細いくびれへ腕をスルリと回り込ませたと思えば生地の隙間へ手を入れ、さらには小さく引き締まった美尻の谷間に滑り込ませる。
「さあ、汚らしい声で啼いて私を喜ばせてくださいませ♥」
そうして、谷間に入った手の指を突き立てた。谷間の内側には当然、皇族であれば人並み以上に他者に許してはならない穴がある。
「……う゛ぅぉ゛ォ゛!?♥♥♥」
排便に用いる不浄の穴を指で貫かれ、アルフィンは今生で初めて腹の底から出す下品な声というものを知った。
強烈な圧迫感に、皇族であり国の宝と神聖視されてきたアルフィンの無自覚な自尊心が打ち砕かれる。尻の穴に指を入れられているのだという言葉にできない途方もない羞恥心で、アルフィンの頭は真っ白になった。
「ふふ♥ 皇女殿下のお尻の穴は、どのようなお味かしら♥」
ぐりぐり♥ ぬちゅ、ぐちゅ、ぬちゅぐちゅっ♥
「ほぁ♥ おっ、お……ぅ……おぉっ♥♥♥」
自らが出した愛液を尻穴の粘膜に擦り付けられて、何も考えられないアルフィンは無意識のうちに声を漏らす。曲がりなりにも性交に使われる膣穴と違い、尻穴にモノを許すなどという発想が皇族のアルフィンにあるはずがない。常人以上の羞恥心に苛まれるアルフィンは、羞恥マゾの引き金を引いて緩んだ絶頂に秘部の快感をも引き連れて至る。
「お゛ぉ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ♥♥♥♥♥」
帝国で最も美しい皇女のケツアクメ声は、帝国で最も下品で卑猥なものだった。
◆
アルフィンに仕える臣下たちは、その光景に絶句し、一夜にして全てが変わったことを否が応でも思い知らされた。
普段なら公務に赴くアルフィンが中々姿を表さず、先日のことからも不安に駆られた彼らが目にしたものは――――――辱めの装束を纏い、レティアの尻に敷かれるアルフィンの姿だった。
「皆様、殿下は偉大なる私のお椅子になる公務がございます♥ 故に、皆様はお下がりくださって結構……殿下のお姿を拝見されたいというのなら、お止めいたしませんが♥」
「ふーっ♥ ふーっ♥ ふーっ♥」
主賓室で来客をもてなすことも皇女の公務。四つん這いになって背中と髪をレティアの尻置きにされ、息の荒い顔面にはずぶ濡れのショーツを被せられているアルフィン。クロッチ部分の足を入れる穴から垣間見える蒼色の瞳は、言葉では言い表しきれない羞恥に焦点を失ったようで、己の家臣を誰一人として目に入れようとはしない。もし見られていると自覚を強くすれば最後、アルフィンの羞恥心は取り返しのつかないことになるのは明白だ。
真に主を想うのなら退室すべきところを、主をこのような女と二人きりにしてはならないという間違った大義名分から、誰一人出ていこうとはしない。そんな見え透いた〝浅ましさ〟にレティアは冷笑を浮かべた。
「では公務の時間ですわ。殿下♥ お言葉をお聞かせくださいませ♥」
「っ……♥」
プルプルと震えているのはレティアの重みか、言葉にしたくないものへの恐怖か。だが、今のアルフィンはレティアに逆らえない。それは帝国民を人質にされているから、と言うだけではなくなった。
言葉を躊躇うアルフィンに、レティアは手に持ったリモコンのボタンを回す。
ブィィィィィィィィィィィッ♥
「ん゛う゛っ!?♥♥ うぅぅぅぅぅっ♥♥♥ ん゛ひぃ゛い゛〜〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥」
仕込まれたリモコン式のバイブによって、アルフィンの尻穴はレティアの好きなタイミングで快楽に堕ちる。快感に弱い身体は尻穴で感じ、尻穴で感じる羞恥が快楽を増幅させる。
「わ、わたくし、はぁ♥ お、お尻の穴で感じて♥ おパンティを汚しながら、イッてしまいました♥ ごめんなさい♥ ケツ穴♥ 雑魚皇女で♥ 申し訳ございません♥ わたくしはっ♥ け、けつあな、ケツアクメ♥ してしましたぁっっ♥♥」
そして、レティアというアルマータの使者に屈する言葉を吐き出すことで、増幅された快楽が何十倍にも膨れ上がる。
「つ・づ・け・て♥」
「……け、ケツアクメして濡らしたおパンティを被って♥ レティア様のお椅子になることで♥ 贖罪をさせて、いただいて……う、うぅぅぅ♥ ひぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥」
人として生きていて恥ずかしくなるほどの屈辱に耐える皇女に同情、そして屈辱の怒りがレティアへと向けられる。しかし突出した力を持たず、主の痴態を黙って見ているだけの無力な男たちからの視線など、レティアは歯牙にもかけず、アルフィンをより追い詰めるだけだ。
帝国の支配を撤回したとはいえ、アルマータの脅威が去ったわけではない。アルフィンですら例外ではない以上、我が物顔で皇女を調教するレティアに表立って意見できる人間などいるはずもなく、彼らはアルフィンが受ける恥辱を黙って見過ごすという最悪の決断を共通して下してしまう。
「うふふ、本当に愉快なこと……無力な人間が醜悪な本性を取り繕う姿ほど、愚かしいものはありませんわ」
結局、彼らはレティアの仕組んだ公務をアルフィンが必死に行う様を黙って見ていることしかできなかった。レティアに冷笑を向けられようが、慕う皇女を置いて逃げることなどできない。そんな取り繕った姿が浅ましい、愚かしいと笑わずにはいられない。
やはりこの国は存続するに値しない。レティアを見限ったのではなく、レティアが帝国を見限った。歴史の勝利者側に立った今の彼女、その誤った思想を正しいものとしてしまっていた。
だが、アルフィンは別だ。一度はレティアが認めた女。たとえ羞恥マゾに目覚めていたとしても、レティアが認めざるを得なかった輝きは保たれたままだ。事実、臣下を嘲笑したレティアにアルフィンはキッと鋭い視線を向けた。下着が取り払われたことで、彼女らしい気品のある表情が露になっている。
「彼らへの中傷は許しません……!」
彼らが退出して、もう庇う必要などないはずなのに。相も変わらずお美しい心の持ち主だとかつては羨望し、今や蔑む対象でしかないものにレティアは言葉を返した。
「おや、あのように浅ましい獣でも己の民だと。なんてお優しい殿下。その美しさには感服いたしますわ」
無論、一度はという前提でのこと。あの時だけは敗北を認めたアルフィンの美しさ。容姿だけではなく心までも美しい、帝国の至宝と呼ばれるに足る彼女。
だからこそ、レティアは完全な勝利が欲しい。皇女の美しさの源を汚し尽くす。入れた力と権力でアルフィン以上の立場を手に入れたレティアの調教の手は、まだまだ始まったばかりだ。
「ですが、すぐに殿下にも理解していただけますわ。あの者たちの浅ましさが、あなたが身を捧げる価値などない者ということが」
「そのようなことは……ぁっ♥」
話の途中、アルフィンがぶるりと身を震わせた。ぴっちりとした露出ドレスを着ているせいで寒気に見舞われたかとも思えるが、昼間から公務に殉じる姿を見てきたレティアは〝そろそろ〟かと即座に勘づいた。
「如何なされたのです? お身体が優れないご様子ですが」
「い、いえ、なんでも、ありません」
そう強がる割には、頼りないミニスカから零れでる太ももを露骨に擦り合わせている。臣下に痴態を見られ聞かれる状況下から抜け出して、極度の緊張から中途半端に解放されたせいで、我慢するにしきれない心境なのだろう。
「そう気丈に振る舞う必要もありませんことよ。誰でもあることですわ。最も美しい皇太女であるアルフィン様であろうと、生理現象からは逃れられませんわ♥」
「〜〜〜〜っ♥♥♥」
トイレに行きたい。そんな当たり前のことが、今やこうも恥ずべきことになっている。昨日までのアルフィンなら、それを悟らせず自然にこなせていたことが、レティアに平伏した彼女では何も出来ない。
今朝からイキ潮ばかり吹いていようと、そう都合よく全てが出せたわけではない。皇女の黄金水は、膀胱へと溜まりに溜まって尿道をせっついている。
「我慢は身体に毒。さあ、着いてきてくださいまし」
「で、ですが」
「それとも、この場で漏らす方がお好みですの?」
「そっ、んな、ことはっ♥♥」
一瞬答えを窮したのは想像し、興奮したからに違いない。レティアとアルマータに屈することが気持ちいい。恥ずかしい思いをするのが心地いい。いくら否定しようが心を蝕んでいくマゾ精神が、レティアの望む調教をあまりにも易々と後押しする。
では問題ありませんわね、とレティアはアルフィンを一方的に引き連れる。常に背筋を伸ばして歩くことを強いられる立場のアルフィンからすれば、逆に慣れない内股で歩かなければならないのは苦痛で滑稽だ。
レティアとしては、内股皇女をゆっくり楽しみたい腹積もりなのだが、それで漏らされても興醒めだ。漏らしたという事実は確かにアルフィンの恥辱にはなるだろうが、自分の意思で解放したという状況には劣ると思っている。
「さあ殿下、こちらです。あなただけ、あなたのための、特別製のモノですわ♥」
「…………は?」
当然、場によって優劣はある。国民の前で行う失禁に比べれば、密室でレティア一人の前で行う失禁は恥に劣り味気ない、という話だ。
ならば自室の立派なテラスで実に解放的な放尿して貰えたならば、単に間に合わず漏らしてしまった時よりも味わい深いだろう。なぜならアルフィンは放尿の許可を貰い、間に合うのだから――――――たとえそれが、テラスに設置された〝立ち便器〟だとしてもである。
「ご、ご冗談……を……♥」
「私はいつでも本気ですわ、殿下。これは我が国の技術者が開発した最新型の排泄器具。帝国のものよりも遥かに優れた解消をお約束いたします♥」
最新型と言うが、見た目は完全に男子用の小便器だ。
最悪それもいい。人に放尿排泄の権利を握られている、という根本の羞恥はともあれ便器は便器である。臣下の前で彼女の椅子となり尻穴を弄られることに比べれば耐えられる。だがそれを、帝国の民たちを見下ろせるテラスに設置するのはおかしい。
「ご安心なさって。この高さでは、殿下のお恥を目にできる愚民などいませんことよ……今はまだ、ね」
しかしレティアはどこまでも本気だった。アルフィンが恥を晒し、尊厳を失墜させるためならば元公女として不浄を疎ましく思う感性さえないのか。あるいはアルフィンへの復讐に全てを賭す覚悟があるのか。
「それにしても、あんなにみっともなく脚を擦り合わせて来たというのに、私と歓談する余裕がお在りになるなんて……♥」
「っっ!!♥」
またアレをされると、アルフィンは思わずお尻を両手で隠す仕草を取った。一国の皇女が無意味にも尻肉を手で覆うのは情けなく、咄嗟のことでも恥ずかしい。
「冗談ですわ♥ まあ、私としてはここで出してしまうのも一つの手ではあるとは思っていますわ♥ ご自分のお部屋は、それはそれはリラックスしてしまうものでしょう♥」
己の部屋に一生の恥を残すか、彼女が用意した野外に等しい小便器で用を足すか。
どちらにしろ恥は変わらないということ。だとすればアルフィンの選択は。
「……お心遣い、感謝申し上げます♥」
せめて強がり、心から屈することはないと宣言する。
その結果が、ミニスカートを摘んでたくし上げ、小便器に股間を向ける下品な姿だったとしても、アルフィンは愛すべき罪なき者たちのためにその身を捧げる。
失禁を想像してしまうほど限界が近かったアルフィンの恥部は、宮殿上層の冷たい風を受けてあっさりと堰を切る。ぶるりと全身が鋭く震えた瞬間、皇女の股間部から黄金の水がアーチを描いて噴出した。
ぢょろろろろろろろ……っっ♥♥
「はぁっ、あぁぁぁぁぁぁぁんっ♥♥♥」
風に煽られてもしっかりと小便器の中へと放り込まれるほど勢いのある放尿の音は汚く、それでいて興奮した甲高い声は聞いていて気持ちいいくらいだった。
出してしまった。我慢ができない、漏らすよりはマシだと強がったアルフィンだが、激しい後悔の念が心を挫くように襲いかかる。
ぢょろろろろろろろ゛っ゛♥♥
「ふっ、う゛ぅ゛ぅ゛……ん゛ふう゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っっ♥♥♥♥」
悔しさが、屈辱が、どうあろうと脳天を突く快感になることでアルフィンの心を打ち砕く。気品のある仕草など無意味だとばかりに、腰が揺れて脚が震えて、濃厚な小水が溢れ出て、堪えるよう喘ぎ声と、相反する緩みきった恥知らずな美貌が顕になる。
「――――予行には丁度いい的よね、ふふふ♥」
悦びと、何より成功への確信に満ちた微笑みをレティアが浮かべている。予行があるならば披露もされるだろう。そんなことにもアルフィンは気がつくことができぬまま、毎日欠かさず露出小便排泄を強いられた。
◆
アルフィンはいつ終わるとも知れぬ孤独な戦いに心をすり減らしていく。
己の心変わりが恐ろしい。羞恥心が心地いい。共和国、アルマータに屈してしまえと脳を蕩けさせる未知の感覚にいつしか疑問を感じなくなるのではないか。反抗できなくなるのではないかと、夜も眠れなくなる。
「共和国……アルマータ様。不躾な行いをお許しください」
もっとも、アルフィンが目を閉じることの出来ない理由は他にあるのだが。
技術発展を遂げた共和国から輸入された導力カメラの前で、アルフィンは語る。
「この映像は、わたくしアルフィン・ライゼ・アルノール個人の言葉を綴るものであり、アルマータ様への公的なご意見、意思表示ではございません。それだけは、ご容赦ください……」
詭弁だと知りつつ、あの日と同じ逃げ道を必ず初めに用意する。この映像に映る全ては『アルフィン』という一個人の意思であり、皇女や帝国の意見ではないことを示す。
まだ屈してはいない。そう〝言い訳〟を並べ立てる見苦しさに苦渋を覚えたのは一度や二度ではなかった。それでも夜が更ける度に、アルフィンはカメラの前に立ち――――――己の裸体をさらけ出す。
「はぁ、はぁぁぁ……♥♥」
アルフィンは、感嘆の吐息が零れることを止められなくなっていた。露出行為をしている自覚があるのに、羞恥心が激しい抵抗の意思を押し流すくらい強い。頭がおかしくなるような羞恥が快楽となる。その意味を羞恥マゾに目覚めたアルフィンは知ってしまった。
「ご覧ください……そして、気高きアルマータ様の前で、このように汚らわしい身体をお見せすることわたくしを、今一度お許しください♥」
アルフィンの裸体が穢れているというのなら、一体ゼムリア大陸の誰が美しいと言えるのか。
しかし、彼女の絶美の美貌を以てしても賄うことのできない不浄はある。たとえばそれは、人であれば誰しもにある体毛。好いた者には綺麗な自分を見せていたいと思う、年頃の乙女の感性で言えば〝汚らしい〟と考えるあの体毛だ。
恥じらいがちに開かれた股部から広がり、下腹部を覆い隠すような剛毛。腰に烟る金色は美しいというのに、鼠径部を覆う金色は何故こうも不浄に見えてしまうのか。
「ですがわたくしの体毛は、アルマータ様の思し召しのままに♥ このボーボーと生い茂るおまんこの毛が、アルマータ様への忠誠の証……であります、わ……っ♥ どうか、この汚らしい腋の毛と共に、お納め下さい……っ♥♥」
一国の皇女が、他国へ向けて不潔な毛並みを晒して媚びへつらう。彼女だけにしかわからない屈辱だ。
性臭が溢れ出しそうな剛毛は、アルフィンの年頃では到底見られないもの。レティアが善意で送った塗り薬が、もしかしたら関係しているのかもしれない。けれどそれは推測の域に過ぎない。たとえアルフィンの陰毛と腋毛が、処理をした数時間後には元通りフサフサと生い茂るとしても、レティアが口を閉ざせば因果関係はわからないままだ。
それに都合がいいだろう。己を穢した姿でこそ媚びる形に確かな説得力が生まれる。自分はこんなにも惨めな姿で淫らなことができますと、最低限の努力で許されるのなら歓迎すべきことのはずだ。
「今宵はもう一つ、お納めさせていただきます……わたくしのダンスを♥ い、淫乱ドスケベなわたくしが描く♥ 腰振りおまんこ媚び媚びダンスを、お送りしますっ♥♥」
屁理屈でもアルフィンは許容しなければならない立場にある。ヒールを履いた両脚を限界まで外に広げ、腋の下をさらけ出して腰を振り乱す。
「はっはっはっ♥ ほっほっほっ♥ わたくしのおまんこダンス♥ お納め、ください……っ♥♥」
そんな下品なパフォーマンスさえ行わなければならないアルフィンの心は、不条理な理屈すら盾としなければ壊れてしまう。
腰を『ヘコヘコッ♥』『カクカクッ♥』とリズムも何もない情動に任せて振る。全裸ヒールというマヌケな格好でガニ股腋見せポージングという下品な姿勢で、無様な裸体をこれでもかと見せつける。
死ぬほど、人として恥ずかしすぎる。あなた方には敵いませんと恥辱の屈服を言葉もなしに宣言する。
「お゛っお゛っっ、ほお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ♥♥♥♥♥」
鼻の下を伸ばしたアルフィンの表情は、その快楽を顕著に表す。ブジュッと鈍い水音を立てて吹き出した水柱は、アルフィンが羞恥ダンスでアクメをキメたことを如実に語っていた。
さらにアルフィンは両手を下げ、股間の前後に押し当てた。膣穴と尻穴、レティアに毎日のように弄られたそこは過敏な感覚で脳天を突き上げた。
「ん゛ッほお゛お゛お゛お゛っ゛♥♥♥♥ イグッ♥ イグッ♥ 媚び売りオナニー♥♥ き、気持ちよすぎますのお゛ぉ〜〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥♥」
命令の演技も入っているであろう。けれど、命令だけでは決してないのは、そのだらしのないマジイキ顔が、白目を剥きかけた目が、涎を垂らした舌が示していた。
どれだけ私人であることを強調しようと、彼女がアルフィン・ライゼ・アルノールである限りアルマータへの屈服である事実は明白。公的な事実を否定しようが帝国の恥、国辱に変わりはない。他国に媚びを売る姿は――――――その真意がどうであれ売国奴に映るだろう。
「健気なものですわね。このような姿を晒してまで、何も知らぬ民を守ろうとは」
そして、真実と真意を知る者がアルフィンの売国行為を仕向けた者である事実は誰にも知られず、彼女の行いに虚しさと屈辱の悔恨を味わわせる。
「うふふ。こんなお顔をしていらしたのに、まだ〝悔しい〟だなんてお考えなのかしら? 強情ですわねぇ、アルフィン皇太女様は♥」
「誰も、好き好んで……じ、自慰行為を晒したりは、しないでしょうっ♥」
我が物顔で執務室の椅子に腰をかけたレティアは、真っ赤な顔で反論するアルフィンに自身の導力端末Xiphaの画面を向けた。
『――――ん゛ッほォ゛ォ゛!♥♥♥♥ ケツ穴イグゥ゛ゥ゛ゥ゛ッ゛!!♥♥♥♥』
「っ〜〜〜〜! お、お止め下さい! このような場所で、卑猥な……!」
尤もな言葉だ。画面に映る女はといえば、ケツの穴をカメラに向けて突き出しながら指で貪るように掻き回し、淫ら下品な低音ボイスを響かせている。
「卑猥? まあまあ、ご自分の国辱オナニーが卑猥なご自覚があるのですわねぇ♥」
ただし尤もと言えるのは、アルフィンが当事者でなければの話だ。
肩口からカメラに映り込むその顔は、紛れもなく一国の皇女だ。彼女の美しさを見紛うはずがない。その美しい顔が、眉を八の字に曲げて鼻の下を伸ばした色ボケ顔に変わり果てていたとしても、間違わない。
毎日、アルマータへと媚びを売るオナニーをしろ。それをレティアへ提出しろ。そこまで屈辱的なことをさせられているというのに、アルフィンの表情はだらしなく蕩けきっている。カメラという他人の目を意識できるようで出来ていないものだから、というのは苦しい言い訳だ。
「わ、わたくしはただ、この国と民を守るため、あなた方に従っているだけです……っ♥」
股の濡れを秘めるように内股を描き、遂には国と民を守る大義名分を自ら掲げてしまうほど追い詰められている。
「あら、そうですの。でしたらもっと……御体を張っていただくとしましょう♥」
「ひっ♥」
もっと追い詰めて差し上げますわ。醜悪だが美しい微笑みのレティアに、アルフィンは美しくも情けない表情でか細い悲鳴を上げる。僅かでも、少しでも、期待を滲ませているその貌で――――――
◆
アルマータの特使が帝国を訪れてから早数ヶ月の時が経つ。日に日に、国を裏側から染め上げられる。着実にレティアの、アルマータの国となっていくことを肌感覚で感じる。
それは何よりもこの国の皇太女であればこそ、彼女無くして国はないからこそ感じる。民を導く皇族という存在が歪みを持てば、民衆たちもまた崩れていく。
「ん゛お゛っ、お゛ぉぉぉぉぉ♥♥ む゛う゛っお゛ぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜♥♥♥♥」
失墜への道を、時間を奏でるは自らの汚声。豪奢な皇城の道行に響き渡る濁声と飛び散る淫汁。
自らが穢して堕ちるのならば、アルフィンが崩壊の序章を感じ取るのは必然だった。
もはや皇女という体裁すら損なう真紅のボンデージに身を包まされた。手足を覆い、女体を大きな網目で明け透けにする。
極上の女体、玉の肌に相応しい黄金比と他者が認めたアルフィンの裸体はボンデージに締め上げられ、視界を閉ざされ――――――鼻梁を品性下劣に歪められたその本性を露にする。
理想的な膨らみだった胸と臀部は、まさに駄肉と呼ぶべき塊となった。憚ることなく言うならば、男がこぞって喜びそうなだらしのない肉付きだ。胸はHカップの垂れ爆乳になり、尻肉は『ムチィ♥』と卑猥な音を響かせそうなデカケツへと変わり果てた。
美しいと称されるに値しない駄肉付きの娼婦。そんな身体でアルフィンは四つん這いになり、自らの皇城を闊歩させられる。何よりも目立つ、
「ほら、もっと早く歩きなさい。でないと、いつまで経っても辿り着かなくてよ♥」
「ぶぐう゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛……っ♥♥♥」
その〝鼻〟のリードを引かれ、アルフィンは引きずられる。
気品のあるドレスに身を包んだレティアが、家畜のような皇太女のリードを引き上げると、美貌がブサイクなまでに歪む。何しろアルフィンの小さな鼻梁には、二股のフックが引っ掛けられているのだ。鼻孔の上部へとガッチリとハマったそれを引けば、アルフィンの恥ずかしい繊毛が見えてしまうほど鼻の穴がこじ開けられるのは避けられない。
引っ張られる度に金属が鼻息で一気に熱くなる。奥の奥までくい込んで開いているのに息苦しく、それで息を必死に吸ってしまおうものなら鼻水が『ぶぴっ♥』とみっともなく飛び散る。この鼻フックを付けられてからというもの、アルフィンは今生十数年と相手取っても比較にならないほど鼻水を垂れ流したことを自覚させられた。
それがあまりにも惨めで、恥ずかしくて、気持ちがいい。
「ん゛う゛ぅ゛ぅ゛っ゛♥♥♥♥ イグッ、イグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!♥♥♥♥♥」
鼻の穴をこじ開けられながら、剛毛のマンコで鈍い水飛沫の音を響かせる。見事なマゾ絶頂を笑うレティアの声に、アルフィンは耳まで真っ赤に染めた。彼女の両目を覆う黒く分厚い帯が、せめてもの慈悲にすら思える。
「ふふ、すっかり〝癖〟がついてしまわれましたわねぇ、殿下。そのご様子、お鼻のアクセサリーをとてもお気に召してくださっているとお見受けします……とっても素敵な、ブサイク顔ですわ♥」
「はァん゛♥♥ い、言わないでぇ♥ お゛ぉひぃぃぃぃぃぃッ♥♥♥♥」
イッてしまう。無様ブサイク面を晒して絶頂してしまう。彼女に媚びるのが、羞恥が気持ちよくて、皇女として終わっている立場で絶頂に行き辿り着くまで、数秒とかからない。
その目元を隠すものがなければ、本当に見るに堪えない貌をしていると自分でもわかっている。けれど止められない。堕ちていく自分が気持ちいい。
己の身に刻まれた呪印に、目覚めてしまった嗜好に気づいたところで手遅れだ。先の通り、アルフィンの身体は見惚れるものではなく、見られて蔑まれる娼婦以下の駄肉へと変貌しているのだから。
〝言わないで〟と哀願できる程度の反抗心は残している。だがそれはあくまで、レティアだけに対してのものだった。
「き、貴様は……!」
「あら、このような場所でお会いするとは……アルフィン殿下との〝交渉〟以来でしょうか」
「……っ!!?」
考えれば当たり前のことなのだが、羞恥で茹でったアルフィンの頭はその当然を忘れていた。バルフレイム宮はアルフィンだけの城というわけではない。皇族や家臣も顔を出す。
そんな当たり前のことを忘れていたアルフィンは、己の家臣がこの痴態を目撃する可能性をも忘れていた。いや、それこそ当たり前になっていて、麻痺していたのかもしれない。公務と称する恥辱は、次第にアルフィンからレティア以外の視線を奪っていったのだ。
それが今、目隠しをされ、敵意を向けられながら悠々と会話を試みるレティアが生み出した時間が、アルフィンに冷水をかけた。羞恥が快楽になるほどマゾになった女は、ゾクゾクと背筋が震える〝知人の目による羞恥〟を事ここに至って深く味わう。
(いやっ、見ないで♥ こんなだらしのない身体を、わたくしの醜態を、見ないでください……♥)
いっそ複数人で見られていたら。偶然ではなく、公務という建前の中だったら。鼻フックなどというブサイク顔に変貌させられる道具を身につけていなければ。
今のこの状況は、アルフィンにとって何ら精神的な防御がないのと同義だった。
「是非ご歓談を、と仰りたいのですが、見ての通り私は〝散歩〟の途中ですの。失礼いたしますわ」
「ああ……」
最低限の建前すらない〝趣味〟の時間と言いきられた。立ち去る中、臣下は確かに目にしただろう。股を淫猥に濡らす皇女の下半身を。
「……売国奴が」
「っっ♥♥♥♥」
そのだらしない尻肉が跳ね上がり、言葉に脳天を揺さぶられた絶頂の走りを吹き出した瞬間も、見てしまったかもしれない。
思わぬことで言葉もなかった。ともすれば、求めていた以上のことで、マゾヒスティックな皇女の身体でも反応しきれなかったのかもしれない。それだけショックが大きく、けれど絶大な快楽であったことに間違いはない。
「あらあら、酷いお方ね。売国奴、だなんて――――――アルフィン殿下は、こんなにも頑張っていらっしゃるのに♥」
「〜〜〜〜〜〜〜っ♥♥」
違う。彼はレティアを指して言ったのだ。彼はアルフィンの想いをわかっている〝はず〟なのだ。
確信できない時点で、アルフィンの被虐心は留まることを知らずに溢れ出した。彼がもし、本当にそう思っていたら。
もし皇太女たるアルフィンが、敵国の使者に調教され、下々の民が用いる下劣な性欲解消の道具で虐げられ、悦んでいるなどと妄想でさえ国辱に値することを〝信じて〟いたとしたら。
「はぁっ、はぁっ♥ こんな、いけない、こと……っ♥」
私人として屈することさえ快楽で、臣下の前ならば尚のこと絶大だった。声すら出せないアクメを味わった。ならば公人として、愛すべき者たちの前で屈する味は如何なるものなのか――――――悔しいのに、無視できない絶頂の〝味〟を想像してしまったら、皇女は止まれない。
「ねぇ、アルフィン殿下♥」
アルフィン・ライゼ・アルノール。この国で最も優れた高貴なる至宝。唯一無二の価値を持つ女が、マゾヒスティックな嗜好を持った時に何を思うのか。
価値があればあるほど、想いが大きければ大きいほど――――――それを手放した時の屈辱は、倒錯的で、背徳的で、果てしない快感だ。
◆
『等しく愚かな帝国の民よ。御機嫌よう』
その日、帝国民たちは暗雲に染まった空を見上げた。正しくは、暗雲の如き巨大な映像を見せつけられた。
『ご覧の通り、帝都より映像をお送りさせていただいておりますわ』
ご覧の通り、と映像越しで豪奢な真紅のドレスを身に纏った女が見せつけたのは自らが腰を置く荘厳な玉座と、周囲の光景。即位、戴冠等に用いると庶民でも理解が及ぶ、バルフレイム宮の中でも最奥に位置する『玉座の間』。
帝都の中心地より、歴代の皇帝のみが座ることを許される金獅子の象徴に若い娘が不敬にも座っている。上空に映像を投写する技術もさることながら、その光景は何よりも国民の神経を逆撫でした。
そこに座っていいのは、座るべきはこの帝国においてただ一人。先の大戦で一度は手のひらを返した彼らは、その不安を紛らわす象徴を身勝手にも皇太女へ押し付けた。
英雄が倒れ、レティアが蔑むような愚民しか残されていない国。だからそれを存分に利用してやる。己に勝るものはないと、今こそ証明してみせよう。
『ご存知の方もいらっしゃるでしょう。帝国から莫大なミラをせしめたかの国が、アルマータなる者たちの支配を受けたことを』
民にとって、それは眉唾の噂だった。もし仮に本当だとしたら、あの大虐殺に関わったマフィアが国を支配したとしたら、帝国とて黙ってなどいないと。
自分たちは平和を取り戻したと思い上がった民たちは、自分たちの無知と無力を棚に上げ、迫る支配から目を逸らした。その代償をレティアは見せつけた。
『ええ、全て事実ですわ。この私、アルマータの特使であるレティアが真実を保証いたします。ですが、愚民のあなた方には言葉では理解し難いことでしょう――――――この者たちを見れば、少しは疑念を払うこともできまして?』
尽くを否定する。共和国がテロリストに支配されるはずがない。その魔の手が帝国に伸びてなどいるはずがない。
だが玉座の間に並んでいたのは、背中に『A』の刻印と、極上の美尻に『負け犬』の烙印を刻まれた、文字通りの敗者たちだった。
裸体をガニ股腋見せポージングで淫らに晒し、そうして敗者の証を見せつける。特殊な器具で焼き入れられた刻印は、アルマータからの被虐を受けることで煌々と光を放つ。背中に隷属の証である『A』の刻印と、尻肉に屈服の烙印である『負け犬』の文字を輝かせる彼女たちは、正しくマヌケとしか言いようがない。
ましてそれが帝国において名の知れた貴族たちであるならば。皇太女と親しき仲であるオーレリア・ルグィン、ミルディーヌ・ユーゼリス・ド・カイエンともなれば、信じたくなかろうと信頼し得るものであるに違いない。
そして思うのだ。ミルディーヌたちが〝そう〟であるならば。
『それでも信じられないという方がいらっしゃる。ええ、それでこそ愚民であらせられる。故に、あなた方の〝ご期待〟にお応えいたしましょう』
◆
久方ぶりに身に纏う真紅のドレスは、アルフィンに一時足りとて安らぎをもたらすことはなかった。
身体が訴えていた。これは身を守るためのドレスではなく、立場を思い起こさせ被虐に堕とすためのものだと、悦びを以て訴えていたのだ。
そうして歩く。玉座へと続く道。歴史の敗者となった者たちの背中に出迎えられ、勝者たる売国奴が見下ろす道をゆっくりと。自らの居城で尊厳が死罪に処される瞬間を愛する民たちに見せつけるために。
「ようこそ、アルフィン・ライゼ・アルノール様。さあ、さあ。あなたの過ちを、今ここで皇太女としての矜恃を以て、お伝えくださいませ」
「は、……い……♥」
映像を見せつけられている民衆は驚いただろう。アルフィンが、玉座に座るレティアの前に現れたことに。身に着けた真紅のドレスを脱ぎ始めたことに。
勝者と色のドレスを身に纏うのは不敬であると、アルフィンの裸体は自らの手で暴かれていく。
ドレスは丁寧に畳まれ、滴ると言わず溢れ出る愛液が染み付いた下着の置き場にされた。紅いヒールも差し出すように置かれた。美しい髪の飾りさえ置き去られた。高貴なる身分の証としたサファイアのブローチを置いたカーペットの上で――――――アルフィン・ライゼ・アルノールが平伏する。
「申し訳、ございませんでした♥」
己を皇太女とする証の全てを傍らに、アルフィンは頭を垂れた。最上位の敬意と感謝、謝罪と服従の心。それらを表す上で最も最適で、最も理解がしやすく、最も屈辱的な『全裸土下座』という赦しを乞う姿勢と共に謝罪を行った。
全国民が見守る前で、アルフィンは無防備無抵抗の裸体土下座を晒したのだ。美しかった身体の駄肉、不浄の穴、剛毛の恥部。帝国の大空に、それら全てを晒した。ドクドクと滴るマゾ興奮の愛液を吹き出す淫乱痴女の証拠を、アルフィンは差し出してしまった。
「わたくしは、レティア様に誤った指摘をして、己の地位を利用し不当な追放を行いました。あまつさえ、愚……民の前で公開謝罪をさせるなどという大罪♥ ここに、過去の過ちを謝罪いたします♥ 大変、申し訳ございませんでしたッ!!♥♥♥♥」
帝国民の前で、レティアに対しての過去を謝罪する。そんな提案を呑んだ姿が今のアルフィン。公女を追放した正しき因果が、歪んだ形で皇太女を辱める光景。
頭と髪を擦り付けて、誠心誠意の謝罪を行うアルフィン。ブジュッと耳に残る汚い水音が秘部と尻穴から吹き出す。過去を過ちと断ずる愚かな謝罪と、興奮汁を吹き散らかすみっともない身体が国民の前でひけらかす。
もういいだろうと、アルフィンは僅かに頭を上げた。土下座をしながらレティアを見上げる姿は、まるで相手の機嫌を伺う奴隷のようで本当に惨めだ。
「アルフィン殿下、どうか〝後悔〟は無きご采配を願っていますわ♥」
「っ……♥」
だがレティアは敢えて、アルフィンにそう告げた。終わらせるも、そして始めるもおまえの自由だと、ここにきて生殺与奪の権利を返したのだ。アルフィン・ライゼ・アルノールが、国民の前で帝国の敗北と自らの没落を決定付けるこの場で。
一世一代。二度とはない羞恥屈辱の場。アルフィン・ライゼ・アルノールが民から愛される帝国の至高、エレボニアの誇りである時のみ、皇太女として皆の前に立つからこそ得られるモノを〝後悔するな〟と命じられる。
レティアはただそれだけを言って、足を組み替えた。その仕草にビクッと肩を上げ、無意識のうちに四つん這いになり、彼女の足元へと這い蹲る。
「……んちゅっ♥ れろっ♥ れろっ♥ ちゅる……っ♥♥」
そして、靴を舐めた。下々の者でも躊躇うだろう。いくら清潔に保たれた皇宮の中であろうと、床を踏んで歩いた靴をアルフィンは舌根で舐めた。ぺちゃぺちゃ、ぴちゃぴちゃとたっぷり涎が滴る口を開き、屈辱と興奮が綯い交ぜになったおかしな顔でレティアの靴底に唇を付け、ヒールに舌を絡ませる。
足を差し出したら舐める。その動作が、目隠しをしていてもできるくらい癖が付いているとでも言わんばかりだ。
「あら、躾た通りにちゃんとやれていますわ。お利口さん」
「あ……っ♥ ご、ごめんなさい、ごめんなさい……ちゅ、れろれろっ、ちゅぱっ……♥♥」
「恍惚として、恥ずかしくありませんの? この場所は今、あなたの愛する民の目が届いていますのよ」
皇宮の奥、玉座の間で売国奴の靴底を一心不乱に舐める。デカケツを『フリフリッ♥』と媚びるように揺らして、卑猥な汁を汚されるべき場所に撒き散らす。
皇太女たる女が謝罪に留まらず、飼い犬にされた姿を見せる。常軌を逸した行動を取る。それだけで帝国という国の価値が、共和国とのヒエラルキーが、急速に落ちぶれていく。
「わ、わかって、いますっ♥ ああ、ああ♥ ごめんなさい、ごめんなさい皆様……わたくしは、んっ、わたくしはぁ……♥」
わかっているのに、民を守るべきなのに、悔しいのに、そう思うのにアルフィンの舌根は止まってくれなかった。
「見せて差しあげなさいな。あなたが積み上げたものの全てを」
言って、レティアは指を鳴らしてミルディーヌとオーレリアにあるものを用意させた。
それは旗だ。人をくるめるほど大きな旗がアルフィンの背後に敷かれた。レティアはその旗を指し示し、言葉を重ねた。
「皆様、これは帝国の旗ですわ。当然ですわね。如何に愚鈍な頭であろうとわからぬはずがないもの――――――これを今、アルフィン皇太女がアルマータへの忠節の象徴へと変えてご覧にいれますわ」
「え!?」
「できますこと? アルフィン殿下♥」
できるだろうと、そう言っている。アルフィンならばできるはず。そのための癖はあれだけ付けてやっただろう。事実としてアルフィンは、無意識のうちに立ち上がって、その旗を見下ろし、己の役目を果たす素振りを見せているのだから。
愛する国の象徴を忠誠の証へと変える。即ち国への侮辱、国辱という行為にアルフィンは悦びを感じるようになってしまった。それはこの場でも変わらない。むしろ、国民の目があれば強くなる一方だ。
「さあ、早くなさいな!」
旗を見下ろし戸惑うアルフィンへ、レティアが臀部を軽く殴打した。
「ひぃんっ♥♥♥」
上擦った声を上げて、アルフィンの股から信じられないものが零れた。いいや、尻を叩かれたという言い訳が欲しかったのかもしれない。
ちょろろろろろろ……♥
「ほっ、お゛ほお゛ぉっ♥♥♥」
でなければ、尻を叩かれた程度で人が失禁をするはずがない。気品のある行為、仕草が身体に染み付いた皇女が、帝国民が見守る前でおしっこを漏らしてしまうわけがないのだ。
濃厚な陰毛を縫って滑り落ちた小水は、始めは太ももを少しづつ滴る程度の量だった。しかし、アルフィンの興奮声を皮切りに勢いよく溢れ、そして帝国旗へと美しいまでの放物線を描いて降り注いだ。
じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ♥
「はお゛お゛ぉ゛っ゛♥♥♥♥ お゛っほ♥♥ あひぃぃぃぃぃっ♥♥♥ 御前で、皆様の前でっ♥ お、おしっこ♥ だめぇぇぇ〜♥ いやあぁぁぁぁぁぁ♥ とまって、とまってくださいぃぃぃぃぃぃぃぃっ♥♥♥♥」
風に煽られようと素晴らしいアーチを描く小便は、アルフィンが如何に後悔と悔しさを滲ませようと見事な勢いで国辱の雨を振らせた。止まってくれと嘯きながら股を開き、裸体をいやらしく震わせ、鼻の下を伸ばしてイキ狂う。
国辱小便で絶頂する変態皇女の姿を目の当たりにして、帝国民のアルフィンを慕う気持ちがどれほど残るだろう。
「ちが、ちがいますぅ♥ これは♥ アルマータ様にみっともない皇太女として、品のないおしっこを捧げるものではありませんわ♥ これは、これはぁ♥ はぁぁぁぁぁんっ♥♥」
止まって欲しいのに、悔しいと思うのに、身体は勝手に動いてしまう。そしてアルフィンの悔しさが、国民へと伝わることはもう二度とない。
『うるせぇ、この売国奴が!』
「ひぃ!?♥」
突如として届いた声は、アルフィンを帝国の宝だともてはやしていた民の一人だった。
『何が帝国の皇女よ! 信じてたのに!』
その声は帝国皇族が苦境に立たされてもなお、彼女の声に耳を傾けてくれた主婦のものだった。
『恥さらしが! 皇女なんて名乗るんじゃねえ!』『あなたに仕えていた己が愚かだった!』『英雄様負けちゃったぁぁぁ!』『帝国の輝かしい歴史が……こんな奴に!』『国旗を汚すなんて……何をしているのかわかってるの!?』『裏切者!』『最っ低! くたばってよね……!』
民が皇女を蔑む。兵士が、騎士が、淑女が。雑貨屋の息子が、服屋の娘が、食堂の店主が。もはや誰であろうと何者であろうとどの立場にあろうと、帝国を売った愚かな皇女とアルフィンを蔑んだ。
かの大戦から真摯に向き合ってきた国民からの信頼を、アルフィンはマゾヒスティックな嗜好から零れたもので台無しにした。それ以前にレティアへ屈したことが、頭を垂れたことが、彼女のモノになった無様な裸体が、裏切りの証左となった。
アルフィンは民を必死に守ろうとしているのに、民は彼女を信じようとしない。
民が信じ支える皇族制度は、アルマータの支配によって歪になった。かつての憧れは、身勝手な憤慨に変わった。思い通りにいかなければわかりやすい敵に怒りを向ける。それが愚民共だ。
民たちは落ちぶれた彼女の姿に失望を――――――アルフィンは民たちの視線で被虐を。
「違うのぉ♥ 違うのにぃぃぃぃぃっ♥ わたくしは、皆様を♥ 民を♥ 守るために♥ いひっ、うひぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥」
心はどれだけ悔しがろうと、身体は自然と屈服を選ぶ。国民へとメッセージを送る仕草が、毎日欠かさず続けられた国辱の芸を想起させた。
そうなったら、アルフィンがどれだけ屈辱を声高に叫ぼうが無駄だった。国民の罵声に身体は悦び、腋の汚らしい、股の穢らわしい金色の毛を見せつけるポーズで踊り始める。
へこっへこっへこっ♥ かくっかくっかくっ♥
「おほぉぉぉ〜♥♥ わたくしは♥ 共和国とアルマータ様の♥ 栄光と繁栄をっ♥ い、祈り♥ ちがっ♥ わたくし、皇女としてっ♥ 無様な♥ 帝国は♥ はぁぁぁんっ♥♥ アルマータ様に媚びを♥ うぅ、うぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥」
脳髄が焼け付いて熱い。脳天が溶けそうになる。蕩けた意識は朦朧として、何を口にしているかもわからない。自分が何を言って腰を振っているのか、歯を食いしばり悔しげな顔をしていると思い込んで、鼻の下を伸ばして目を潤ませた情けのない面を恥塗り腰振りドスケベダンスで見せつけていることに、気が付かない。
『こんな女に仕えるくらいならアルマータに股開いた方がマシよ!』『帝国は終わった……これからは共和国の時代か……』『アルマータへの服従……なんで、こんな事に』『明日からどう生きていけばいいんだ』『犯されるくらいなら、死んだほうがましよ!』『お前が、皇女が帝国をっ! 責任取りなさいよ!』
声は激しくなる一方だ。アルフィンが私人としてではなく、公人として屈服することで得られる。言葉にするまでもなく、誰もがアルフィン・ライゼ・アルノール皇太女としての帝国への裏切り、アルマータへの忠誠を信じてしまった。
言葉にしなければと、私人として身を捧げればと思っていた。それは裏切られた。自らの身体に、アルマータへと忠誠を誓いたいと考えた被虐心に、マゾヒスティックな羞恥心に。
民はアルフィンを見限った。民がアルフィンの庇護を拒んだ以上、この国はアルマータの支配下となる事実からは逃れられない――――――この瞬間、アルフィンの敗北は決定的なものとなった。
高貴なる者として下々の者を率先して導き、守るべき皇太女は被虐と快楽の渦に身を投じる。愛すべき民の罵詈雑言と、アルマータへの敗北感。それらを受け止めて為すべきことは、ただの一つだ。
「イ゛ッ゛――――ぐう゛う゛う゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ゛っ゛!!♥♥♥♥♥♥」
人生最大の絶頂。ただ一度きりしか味わえないものに全ての癖を費やした。
ガニ股腋見せポーズで腰を突き出し、ケツの穴まで見せつけて。上擦り寄り目で、鼻の下を伸ばしながら鼻水を品性下劣に噴き出し、口を大きく開いて舌根でだらしなく天を突く。とびっきりのオホ顔。鼻フックを頼りに描いていた面が、今ハッキリと形になった。
「ん゛ほお゛お゛お゛お゛お゛お゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥ アルマータ様への忠誠アクメぇ゛♥♥♥♥♥ イグイグイグウ゛ウ゛ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!!!!!♥♥♥♥♥♥♥」
アルフィン・ライゼ・アルノールはガニ股腋毛見せ低音ブサイク無様アクメをキメた。
「――――あはぁ♥ 最高♥」
アルフィン・ライゼ・アルノールのブサイク無様顔は、全裸土下座の映像は、ゼムリア大陸全土に広められた。
ある者は絶望し、ある者は失望し、ある者は羨望し、ある者は――――――帝国の実質的な完全敗北は世界へと周知され、大国の信用失落は不動となった。
◆
「お゛お゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ゛♥♥♥♥♥」
バルフレイム宮に響き渡る野太く下品な声。街の喧騒に劣らぬ低音ブサイク声を響かせたアルフィンが、ベッドの上で股を擦りながら絶頂する。
「イグッ♥♥♥♥ アルマータに媚び売りオナニー♥♥ ん゛ぎも゛ぢい゛い゛〜〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥♥ 国辱マンズリイグイグイグゥッ!!♥♥♥♥♥」
水柱が天蓋を濡らすほど飛び散る。そんなにも気持ちのいい国辱オナニーからは逃れられない。否、気持ちよさから逃れるために彼女は自慰行為に逃げているのか。
あの決定的敗北から、現実から目を背けるためにアルマータに対する被虐へと心酔する。そうすれば何も考えずに済む。下界のことなど、自らが止められなかった混乱のことなど、何も考えずに皇女として終わることができるのだと。
「あらぁ♥ いけない子ですわね♥」
「っ、きゃあぁぁぁぁ!?♥」
声が聞こえて、アルフィンはシーツを引き寄せ裸体を隠した。自身の体液でずぶ濡れの布を引き寄せたところで、下品なまでに豊満な身体のラインが透けて見えて恥ずかしいだけだ。それとも、恥ずかしいからしているのかと勘繰ってしまうマヌケな皇女に、レティアはクスリと嘲笑をした。
「そんなにも身体の火照りが抑え切れなかったのですねぇ♥ 今やあなたの臣下が、友人たちが〝その身を賭して〟愚民共を鎮めているというのに、皇太女ともあろう女が国辱の自慰行為に耽るだなんて……無様♥ ああ、無様ですわ♥ すっかりブサイクなお顔も身について、素敵ですわ♥」
アルフィンの痴態によって暴徒と化した愚民を鎮めるために、女貴族や有志の〝ボランティア〟たちがその身を費やしている。アルマータに屈し、未来が閉ざされた帝国。いずれ没落という底無しの沼に堕ちる不安を解消するのなら、彼女たちを〝使わせる〟のが一番早い。男はそれでいいし、使えそうな女は既に〝運ばせて〟いる。
帝国はレティアの、アルマータの手に堕ちた。残るは搾り取るだけだ。
「……わ、わたくしは」
わたくしも、とも言いたいのだろう。あの場でアルマータに屈した自分は、もう皇太女と呼ばれる資格はない。ならば仲間たちと、その身を穢れし者へと堕とすことが守れなかった民へのせめてもの償いだ。
そのような〝美しさ〟をレティアは認めはしない。
「いいえ、あなただけは逃がしませんわ。帝国最後の皇太女、アルフィン・ライゼ・アルノール」
「え……ん゛ひぃッ!?♥♥♥」
ベッドの上でアルフィンを押し倒したレティアは、その股座に素足を擦り押し付けた。
「ん゛ッお゛ォ゛ッ゛♥♥♥♥」
「私に唯一の敗北を味わわせたアルフィン。あなたは逃がさない。私の汚点を、なかったことになどさせない」
あれで皇太女で無くなると本気で思っていたのか。アルフィンは皇太女だ。帝国で最も無様で、最も恥を晒した変態皇太女。
そうでなくてはならない。アルフィンの美しさに羨望を抱いた女は、それ故にアルフィンがその座から退くことを許さない。逃げることは許さなかった。
帝国の皇太女、エレボニアの至宝。アルフィンには最後の時まで、皇女として意地汚く生きてもらう。
民に愛されることで得られた美しさを失い、誰もが認めるブサイク絶頂を手に入れ、彼女は償いなどに堕ちてはならない。高潔な精神、美しさの一欠片も認めない――――――レティアとアルマータに被虐欲しさに屈服する穢れし皇女。帝国の恥を背負って生きてイケ。
「さあさあさあ♥ 誓って、いただきましょう♥」
「あ、あのっ♥ レティア様、何を……♥」
「あなたは黙っていなさい。もう少しで完成ですわ」
反抗心は失っても、快楽のための羞恥心は残っているのだろう。床に仰向けに寝転び、ガニ股腋見せポーズで品のない身体を見せつけたアルフィンは真っ赤な顔で恥ずかしげだ。
レティアはそんなアルフィンの周囲に丁寧に、丹念に〝物〟を置く。一つとしてレティアの物はあらず、全てが〝アルフィンの物〟だ。
公務用のドレス、靴、下着、学校の制服、ニーソやイヤリング、果ては導力ステッキに至るまで。彼女の無様な姿の周りに『アルフィン・ライゼ・アルノール』のあらゆる物を置く。
それは全裸土下座の時よりわかりやすい。武器や装備をズラリと並べるウェポンロードディスプレイという概念。それよりもわかりやすく言うなれば〝展示〟だ。
アルフィンの全てを展示する。全裸でありながら所持品を持つ。彼女の〝全て〟をあますことなく見せつける。この中で屈することで真なる意味での屈服になる。
「これで完成……うふふ、なんですのそのお顔♥ 添えているだけだというのに、本当にひっどいブサイク顔♥ もうそんなに期待しているだなんて♥ 本当に最低で惨めな国の宝ですこと♥」
「はぁ、はぁっ♥ はぁぁぁぁ……♥♥♥」
期待と興奮と、抑えきれない高揚感で総毛立つ。股間には学生証が置かれ、鼻の上には愛用のものとなりながら、それ無くして下品なオホ顔絶頂へと辿り着いた鼻フックが添えられて、アルフィンの〝全て〟が展示された。
服も下着も、所持品である宝石すらも。己は身一つ、腋毛とマン毛を見せつけるガニ股腋見せポーズだというのに、全てを晒す。全てを差し出す。アルフィン・ライゼ・アルノールの人生と心を全て――――――
「わたくしは♥」
言葉は自然と紡がれた。見られている、撮られている、恥ずかしい苦しい、屈辱的で悲劇的で。
「アルフィン・ライゼ・アルノール♥ 帝国の皇太女は、アルマータ様とレティア様に♥」
だからこそ――――――気持ちがいい。
「絶対の忠誠を、誓いますッ♥♥♥♥」
倒錯的で背徳的で破滅的で暴力的な被虐とマゾヒスティックな羞恥が、イクくらい気持ちいい。
「忠誠を誓います♥ 屈服を誓います♥ あなた様に♥ わたくしの全てを懸けて誓います♥ 代償も対価もなく、レティア様とアルマータ様にわたくしを捧げます♥ 誓いを捧げさせてください♥ 誓います誓います誓いますぅぅぅぅぅぅ♥♥♥♥」
誓いをバカみたいに、マヌケに、ブザマに捧げることが気持ちいい。羞恥を浴びることに知能を費やし行う世界で一番の本気屈服が。
「ん゛ほお゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ゛♥♥♥♥ 屈服アクメ♥♥♥♥ イグーーーーーーーーーーッッッ♥♥♥♥♥」
皇太女アルフィン・ライゼ・アルノールの〝全て〟を賭した隷属服従アクメが、そのブサイクな美貌をレティアへと捧げられた――――――
◆
屈服したアルフィンを帝国から連れ出すのは容易いことだった。
今やアルマータの烙印を刻まれた貴族やボランティアたちより、レティア個人へも本気の服従隷属を誓ったアルフィンの方が信用に足る。皇族制度が事実上崩壊し、高貴な女たちが愚民の性処理便器へと変わり果てる凄惨な光景を尻目に、レティアはアルマータの特使としての使命を果たしていく。
使者を受け入れた国の対応は、そのほとんどが単純でつまらないものだった。それ以外だろうと、ゼムリア中に名の知れた帝国皇太女のブサイク無様絶頂顔を見せてやれば、すぐに意見を翻した。落ちぶれ、美しいレティアのブサイクな性玩具となったアルフィンの醜態を眺められて一石二鳥な旅だ。
そして今レティアは、闘技大会が開かれる共和国コロッセオの来賓室にいた。呑気に武勇を観覧に来たわけではない。
「共和国の皆様、お初にお目にかかります。そして帝国民の皆様は存じ上げていらっしゃるかと思われますが……わたくしこそが敗戦姫、アルフィン・ライゼ・アルノールですわ♥」
洗脳されたヒロインたちに、英雄の無様な伴侶となった負け犬たちにささやかな祝辞を送りにやってきた。そんな可愛らしく下品な皇太女を観覧するためにいる。
「共和国の繁栄をここに宣言いたします♥ 帝国は、皇太女アルフィン・ライゼ・アルノールの名に於いて、かの栄光国への隷属を誓います♥ 忠誠の国辱放尿、発射いたしますわ♥」
帝国皇太女の名のもとに恥を晒すアルフィンを、レティアは彼女の横という特等席で勝ち誇った顔で観覧する。
「ん゛お゛ぉ゛ぉ゛お゛♥♥ お゛ッほ♥ 愛国の旗におしっこ♥ 頭がおかしくなりそうなくらい恥ずかしいのに、アルマータ様に媚びを売るの♥ 気持ちよすぎますわぁぁぁぁ〜〜〜〜♥♥♥♥」
品性もへったくれもない言葉遣いで、皇女として恥を晒すアルフィン。鼻の下を伸ばしてあらぬ方向を向いた目で作り出したブサイクアヘ顔を共和国の地に知らしめる。
国辱の国旗放尿アクメをキメたアルフィンは、流れるようにドレスを脱いで畳む。靴を脱いで傍らに置く。さらけ出したドスケベな裸体を畳み、髪を放尿国旗に乗せて。
「見てくださいませ♥ 恥ずかしいのに止められない♥ 浅ましくて下品でスケベで変態の――――――皇太女アルフィン・ライゼ・アルノールの♥ 国辱無様アクメッ♥♥♥♥ イ゛グゥ゛ッ゛♥♥♥♥♥」
全裸土下座アクメをキメる。
名画となり語り継がれるはずだった美貌は、醜悪なる自尊心の前に崩れ落ちた。
皇太女の名は刻まれる。かつての帝国の至宝から、帝国の恥・史上最悪の変態女として。それはアルマータへの隷属を刻まれるよりも無様で、世界で一番の恥知らずで――――――気持ちのいいことだったと、アルフィンはそのブサイクなイキ顔で告げた。