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いつもご支援ありがとうございます。しばらくは依頼で書いたものをこちらに投稿して食いつなぐの巻一作目です。体調も良くないので手短に……まあエリィさんだよ。この子なんでも適性あって困っちゃうけど困らないね!エロくてね!


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 大国に挟まれた混沌たる土地、クロスベル。様々な苦難を乗り越え、自らの力で進み続けると決断した市民の英雄・特務支援課。しかし、彼らの高潔な決断を他所に、圧倒的な軍事力による隷属を要求する帝国による占領は確定的なものとなった。

 特務支援課は事実上活動を凍結。各地に散らばった英雄たちの中には逮捕状――――最悪の場合、抹殺命令が下されるという噂まで立ち始めていた。

 未来へ希望を繋ぐため、それだけは阻止しなければならない。特務支援課の中で数少ない表の地位に就いた才女、議長の孫娘にして補佐官を務めるエリィ・マクダエルは、そのある程度は保証された権力を以て帝国内部と秘密裏の交渉を行った。

 無論、それは悪手にして捨て身だ。エリィの権力は占領済みのクロスベル内で帝国に有効な働きかけが可能なものではなく、秘密裏な交渉など彼らにとって都合の良い条件を突きつけやすいだけのもの。それでも彼女は最愛の仲間を守るため、身を差し出す思いで抹殺命令取り消しの嘆願を通した。

 エリィの身を呈した行いは帝国内部に認められた。が、予想通り彼女の身柄は交換条件として帝国に確保され、保養地ミシュラムの迎賓館へと移された。


「これより三日間、貴方にはここで過ごしてもらう」

「え?」


 豪華絢爛な持て成しの場に招かれた、という雰囲気でないのは分かっていた。予想外だったのは、自分を連行してきた帝国軍人が出した条件の方で、エリィは案内された部屋の前で面食らった表情を浮かべた。


「三日、というのは?」

「言葉通りの意味だ。施設は自由に使っていただいて構わない。しかし外出は禁ずる。他にも幾つか条件を守ってもらう」


 それ以外は自由だ。些かぶっきらぼうが過ぎる説明にエリィは困惑してしまう。てっきりもっと無理難題を強いられると思っていたところに、三日という短い期間を設けられた。外出こそ禁じられているが、身を縛ることさえないとは甘く見られていると感じても何らおかしくない。

 気になるのはその〝条件〟だ。エリィが問いかけるより早く、兵士はあるものを彼女に手渡した。


「これを肌身離さず付けてもらう」

「……このペンダントをどうして」

「理由は聞くな。機密事項だ」


 まるで要領を得ない、説明になっていない説明にエリィはさらに眉を顰めて困惑する。手渡されたのは毒々しい色合いの宝石が誂られたペンダントで、首にかけるとエリィの豊満な胸元に浮かぶ標準的なアクセサリーだ。

 こんなものを着けさせて何になるのか。まさか個人に古代遺物(アーティファクト)を使用する、なんて無駄な労力は帝国と言えどしないはず。ならこのアクセサリーは一体、とエリィの中で疑念が強まっていく。


「条件はもう一つ。自由にとは言ったが、夜二十一時以降は部屋で待機。その際、どのような衣類も纏わないように」

「っ……!!」


 ――――来るかもしれないとは思っていたが、実際に〝そう〟来られると身が竦んだ。

 国外の来客を持て成す迎賓館にエリィ一人を押し込んで終わり、なんてことはしないだろう。然るべき〝客〟が訪れると考えるべきだ。無論その客はクロスベルの民であるエリィではない。夜、部屋の中で一糸纏わぬ姿になり待っていろ、などという命令の意図は至極当然一つの想像に収束する。


「以上だ。三日を終えた時、帝国は貴方の希望を叶えることをお約束しよう」

「…………」


 首肯は返すが、せめて無言を貫くことだけはした。帝国軍人は気にした様子もなく、エリィに興味がないとばかりに無機質な歩みで立ち去っていった。

 迎賓館内であれば自由が許される。ここは来客を持て成すための備品が十全に備えられているため、日々を過ごす上で不便はない。当たり前のことだが、エリィの心境は施設の堪能を選ぶことはなく、夜が来るまで最低限の軽食を摂って休息を選んだ。それで荒れた心が落ち着くか、といえば全くの否だ。

 決めたつもりの覚悟が揺らいだまま時計は約束の夜を指し示した。身体を清めたエリィは、一糸纏わぬ胸元にアクセサリーを身に着け、天蓋付きのベッドの上に腰を据えて歓迎されざる人を待つ。


「ロイド……」


 そう、覚悟はしていたのだ。エリィは己に驕らず生真面目な性格だが、自分がどう見られているかの自覚はある。客観的に見て自らの容姿が優れていることも、成長した身体が邪な目を集めることも知っていた。

 不安を掻き立てる心音を鳴らす胸元に手を当てれば、帝国による占領後も成長を続けた爆乳がいやらしく潰れる。彼女といえば、と不躾な評価が決して過言ではない過分なほど艶めかしい乳房が目的かもしれない。あるいはくびれた腰か、それを支える際立つ大きさの臀部か。はたまた並外れた美貌を含めたエリィの全てを求めてくるかもしれない。

 簡単に開け渡せるほどエリィは女を捨てていない。けれど、明け渡すことで愛しい人の危機を救えるなら。それしか手段がないのなら。

 心だけは渡さない、穢されない。予想される性接待への嫌悪感に渋面を作ったエリィは、確固たる意思で悪意に立ち向かう選択をした。これは諦めではなく、壁を超えるために選んだことなのだと。


 決して諦めることのない強い決断の意思は、しかし意外なことに肩透かしを喰らうこととなった。約束の時間が始まって待てど待てど、彼女の予想した来客は一向に訪れなかった。

 扉が音を立てることはなく、まして揺らぐこともない。帝国の軍人も貴族も、人の子一人部屋を訪れない。清めと緊張で火照った身体がすっかり冷め始めて、エリィの中で疑念だけが強まっていく。


(誰も来ない、なんてことはないわよね……来て欲しいわけじゃないけど、それならどうして)


 裸で待つように、などと羞恥的な命令を享受させたのか。現れぬなら何の意味もない。まさか裸で待つエリィを隠れて見て、嘲り笑っているわけではないだろう。

 抹殺命令の撤回を交換条件に三日間という短い期間を設けた。なのに短い時間を無為に帰する。こうなると、エリィが想定した敵の意図がどうしても読み切れなくなる。


 この時点で、エリィは様々な思い違いをしていた。彼女を求めるものは既に〝来て〟いた。否、初めから彼女と共にあったのだ。

 そしてもう一つ。三日間を短いと考えたその傲慢さ。自らの身体を客観視しきれなかった未熟さ。彼女はそのツケを支払うことになる――――――それは約束通り動き出した。


「……なっ!?」


 本当に一瞬の出来事だった。自ら発する微かな物音だけが響く部屋の中に、異なる音が鳴り響いた。生き物が蠢動し、身体に絡みつく音だ。ずりゅずりゅと粘液で湿らせながらエリィの身体を這う無数の〝何か〟。


(嘘、魔物!? 一体どこから入って)


 違う。入ってきたのではなく初めから居た。エリィがそれに気づいた時には手足を絡め取られ、ベッドの上に無理やり寝かせられていた。

 胸元で妖しく輝く宝石。彼女の全身に絡みつく〝触手〟は、初めからその中に潜んでいたのだ。


「くぅ!? ま、魔物をペンダントの中に潜ませるだなんて」

『私が低能な魔物と同列に扱われるとは、心外ですね』

「!?」


 今度は〝声〟が響いた。脳髄を直接揺らされ、相手の意思が直に伝わる声だ。人間同士が行う喉を鳴らして伝える声とまるで比較にならない高度な伝達速度の〝声〟を聞き、エリィの表情は驚嘆に染まった。


『初めまして、エリィ・マクダエル。ようこそ私の体内へ。歓迎させていただきます』

「あ、あなたは、意思疎通が……一体、何が」

『聡明な貴女が思い描いたものに間違いはないと思いますよ、エリィ』


 意思疎通が可能な異種生命体。世界には魔物以外に、神獣に属する人の言葉を理解する上位種が存在している。恐らく〝彼〟はそういった種に近い生き物なのだろう。

 混乱の最中、エリィは見事に触手と意思が同一であると看破し理解した。だからといって解決策がエリィの中で芽生えたわけではない。触手は人外の膂力でエリィの身体を縛りつけ、ベッドの上で彼女を磔にしている。

 その目的が全く分からなかった。高度な意思疎通が可能な知的生命体。エリィを歓迎すると言った。しかし異種の言葉を素直に信じられるわけがない。対抗手段がない。裸で拘束され、触手の根城であろうペンダントは文字通り肌身離さず着けてしまっている。このまま命を奪われても何らおかしくない状況で。


『しかし、味わい深い身体だ。こうも芳醇で魅力的な人の雌は、この大陸中を探してもそう見つかるものではありません』


 ゾクリと悪寒がした。命を奪われるより残酷な、尊厳の蹂躙が始まる予感だ。

 剛腕と見紛う触手がエリィの眼前で振りかぶられた。エリィの細腕と比べ物にならない太ましさで、毒々しい紫紺の表皮は微細な毛が張り巡らされていた。その上で妖しい体液を滴らせている。エリィの身体を湿らせた正体がそれだ。

 叩きつけられる。反射的に瞼を閉じたエリィの耳を、ヒュンッと風を切った音が震わせた。


 ずぢゅうぅぅぅぅっ♥


「はぁぁぁぁぁんっ♥♥♥」


 声が溢れた。硬く閉じた瞼が跳ね上がり、手足を縛められた裸体が扇情的な曲線を描いた。ブルンッと激しく揺れた乳房に吸い付くように這いずった触手の刺激は、鮮烈な官能の声をエリィから引き出した。


『素晴らしい味わい……おや? 今日は身体を清めてしまったのですか。貴女の匂いが濃く残る身体を楽しみにしていたのですが、失敗しましたね。もう少し細やかな指示を下しておくべきでした』

「あ……か……あぁっ♥♥」


 余韻で言葉が出てこない。叩きつけられる、と錯覚していた分尚のこと不意を衝かれた。乳房を擦った毛が、その一撫でによって吸い上げられた乳首が熱い。中枢神経にこれまで感じた全ての快感を忘れるほどの熱が弾けた。それは電流となってエリィの全身を縛り上げた。言葉は出てこないが、間違いなく――――――


『気持ちいいですか? えぇ、貴女がそう感じることは、私の悦びです』

「っ!?」

『不思議に思うことでしょうか。貴女の脳に意思を伝える術を持つ。この時点で、私の権能を予測して然るべき。違いますか?』


 そして、対策はない。脳への干渉を防ぐのは、魔女の如き権能がなければ不可能だ。エリィはそれを持たない。彼女は言ってしまえば優秀な頭脳と見惚れる女体を持つただの人間だ。

 思考の読まれている。エリィがどれだけ隠し通そうと口を噤んだところで、彼はそれを暴くだろう。想像を絶する能力を持つ異種生命体に、エリィは戦慄した。幾つもの最悪を想像し、その行為すら読み切られた。


『ええ、ここは既に私の〝体内〟です。どこから、ですか? それも貴女が思い描いた通りですよ。無駄な意思を伝えずに済むに越したことはない。感謝します、エリィ』


 先へ先へと読まれ、エリィは言葉を失った。恐怖で顔が引き攣った。彼女の最悪が全て間違っていないと、合っているのだと断言されてしまった。


『おっと、恐怖で縛るのは私の描く趣向にそぐわない』


 ぬぢゅっ♥ ずぢゅずぢゅぢゅろぉぉぉぉぉ……♥


「あ゛っ♥♥♥ はぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁっ♥♥♥♥」


 未知を理解し始めた恐怖は、乳房から迸る刹那の快楽に思考が溺れたことで消えた。

 乳房を触手が這いずる。微細な毛先は見た目以上に細やかで、一粒一粒が一指となって乳肌を包み込み、吸い上げる。何かを考える余裕はなく、エリィの頭は快楽電流で真っ白になる。視界が明滅して閉じれない。呼吸が出来なくなるまで息を吐き出し、死にものぐるいで絶頂を表現する。


「くお゛っ♥♥ ふぅ゛っ、ぎあ゛ッ♥ ん゛っ、かはっ♥♥ ふお゛おおぉ゛おおぉおぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん゛ッ♥♥♥♥♥」


 甲高い嬌声が獣じみた喘ぎ声に変わるのは一瞬だった。自由を許された腰がガクンガクンと荒々しく、股汁を撒き散らしながら呼吸をする。触手に包まれた乳房が淫らに踊り狂う。

 今生感じたことのない快楽を一気に叩きつけられて、エリィの脳髄は淡い色に染め上がる。快楽のことしか考えられなくなる。嫌だと。こんな異形に嬲られるのは嫌だ。快楽を得るならせめて愛しい人の手で。


『おやおや、この形はお気に召しませんでしたか。では、これなら如何です?』


 瞬間、触手はエリィが嫌悪した形を変質させた。現れた時と同じで、彼女が知覚し損ねる速度で影の形を自在に変えるように意図も容易く、人の手を模倣した。

 エリィはその手に見覚えがあった。感じたことがあった、というべきか。毒々しく人の色とは似ても似つかないが、大きさや形は間違いようがなく、快楽の隙間でエリィは顔を青くした。


『貴女の記憶から再現した〝人の手〟です。これなら忌諱なく快楽を味わえますね?』

「い、いやっ♥ いやぁぁぁぁぁぁぁ♥」


 よりにもよって彼の手を模したもので犯されるなど。そう思っていても、恋人のように手を握られたエリィの身体は嫌悪が薄れていく。そして、人の手になろうと乳房を熱する鮮烈な快楽は一切薄れることはなかった。


「あぁぁんッ♥♥ んはっ、ひぁぁぁぁぁ〜〜♥♥♥♥」


 それどころか、はしたない声をみっともなく張り上げて達する回数が増えた。片手で数え足りない量の絶頂を味わう。胸から膨大な快楽物質が脳の天を突き抜け、全身が悦びに打ち震える。

 なぜこんなことをするのか。その疑問の回答がないままエリィは愛撫される。乳房をより大きく卑猥に、乳首を太く硬く、全て彼の好みに近づけるように犯される。


『伝えたはずですよ。貴女がそれを感じることが、その姿が私の悦びであると』


 背を悪寒が貫いた。彼の目的がエリィそのものにあると、嘘偽りのない意思が脳を揺るがす。

 帝国からの利用価値で囚われた方が遥かにマシだった――――気持ちいいだけのモノ、気持ちよすぎるモノに耐えられるよう人は出来ていない。


 甘く愛おしげに胸を揉みしだく手のひらが、頂点を突いた。赤く充血した隆起は、指先で押された衝撃で全身に電流を放出した。


「いぐう゛ぅぅうぅぅぅううぅぅうぅぅぅーーーーーーーーッ♥♥♥♥♥」


 舌を出して仰け反ったエリィの口から汚らしいアクメ声が溢れ、媚肉が濁流の如き淫汁を吹き上げた――――――――――





「…………んひぃぃぃぃっ♥♥♥♥」


 エリィが目を見開き、無様極まりないイキ声を上げたのは早朝のことだ。迎賓館のVIPルームでそんな声を上げれば、人が一瞬で飛んでくることは間違いない。

 そうならないのは、昨夜のエリィが今より酷い声を上げ続けていたからだ。当たり前のものを気にする人間はいないだろう。だからエリィの目覚めは、たった一人でゆっくりと〝味わえる〟ものとなった。


「はっ♥ はっ……はぁ……ふぅ……」


 心臓が破裂しそうなまでに煩い。抑えるための呼吸まで荒い。何とか押さえ込んだエリィは、長い時間をかけて自らの状況を客観視することができた。


「夢………………じゃない、わよね」


 夢であって欲しかった。そんな願望が乗ったエリィの言葉を否定するのは容易かった。

 体液という体液が塗り固められて淫靡に輝く裸体と、ぐちゃぐちゃになった豪奢なベッド。特に乳房の余韻が酷い。心做しか重さを増している錯覚すら覚えた。

 昨夜、エリィ・マクダエルは異形に辱められた。長かった気もする、刹那の時間だったとも思える。気を失うまで陵辱された事実は揺るぎない。彼女は失神するまでイカされ続けた挙句、余韻の絶頂起床という恥ずかしくて気が狂う行為を経験してしまった。


「彼は……」


 それを成したモノの姿はなかった。あるのは、エリィの胸元で妖しい光を放つペンダント。どこか満足気で煌びやかなそれは、沈黙を保っていた。だが、今晩になればまた、とエリィはゴクリと息を呑んだ。


 起床したエリィは、昨日とは異なる行動を選択した。ここがあの異形に支配されているという前提を知った上での情報収集だ。

 それによって得られたものは、エリィの予測と彼の肯定を裏付けるものだ。確かにこの地は、彼の体内と呼べるほど完全に掌握されていた。

 答えを知った後、少し言葉を交わせば察せられた。エリィを監禁する帝国軍人たちは、無機質で事務的な受け答えしかしない。どうやら、全員が彼の操り人形であることを隠す素振りもないらしい。

 この迎賓館だけでなく、エリィと交渉した人間全てが彼の支配を受けている可能性。想起するだけでおぞましい。そして恐ろしい力を秘めている。


 その上で新たな疑問が生まれた――――彼はなぜ、エリィの脳を支配しないのか。




『それは安易でつまらない選択だからです。必要ないとも言いますがね』

「んッひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ♥♥♥♥♥」


 返答は情報収集を終えた夜、規定時刻通りに現れた彼の思念によってエリィのはしたない絶頂と共になされた。

 手足を縛られるまでは同じだが、今日は寝ることを許されず、ベッドの上に腰を据えて股座を下品に開いた姿勢で胸を弄ばれた。

 なぜ必要ないのかの答えも、彼の行動とエリィの絶頂によって提示されたと言っていいだろう。


(ごれぇ゛♥♥♥ じぬっ♥ なにも♥ かんがえられなくなるぅーーーーッ♥♥♥♥ おっぱいだけでッ♥♥ 全部投げ出したくなりゅうぅぅぅぅぅぅぅっっ♥♥♥♥♥)


 気持ちよすぎて耐えられない。人間は無限に続く絶頂に耐えられるようにできていない。雌はアクメの瞬間、どうしようもなく無防備だ。自らを鼓舞する強い決意、心を奮い立たせる記憶。そういった人の中で高尚とされるものは、快楽という絶対不変の悦によって霧散する。

 耐えられるだろうか、ではなく耐えられない。雌はこの快楽を絶対に堪えることができない。


『もう降参しますか? あと二日、貴女のために用意した期限は十分に残っていますよ』

「ん゛ぐお゛お゛ぉ゛ぉおぉぉぉぉ♥♥♥♥」

『そうですか。まだ努力してくれそうですね』


 触手を『こすっこすっ♥』と軽く擦られるだけで達する雑魚乳首。赤く腫れて、なのに気持ちいいだけの弱点に今すぐ泣き喚いてしまいたい。ともすれば、泣き喚くよりマヌケな声を上げている。

 彼の前で嘘は言えない。だからエリィが耐える努力を続けているのは本当のこと。耐えられないと知りながら、期限という希望を頼りに心を保つ。彼が嘘を見抜くように、エリィも彼の意思に嘘がないと知っているから。己の惨めで無様なアクメを嘲笑っているのが理解できていながら、彼女はそうせざるを得ないのだ。

 爆乳アクメをキメるエリィに触手は再び変質を迎える。紫紺の円形に姿を変えて、彼女の大きな乳輪ごと先端を『きゅぽっ♥』と覆った。


「ほおぉ゛♥♥ な、なにっ、にゃにぃぃっ♥♥」

『もちろん、貴女が気持ちいいことですよ』


 形を変えたなら責め方も変わる。文字通りにエリィの乳房を搾り取るは、搾乳器。


「ほに゛ゃあ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ♥♥♥♥」


 先端をギュッギュッと強く搾られただけで一息にアクメをキメたエリィが限界まで仰け反った。それを限界だと思わない搾乳器は、本気の吸引を以てエリィの乳首を急速に刺激する。

 母乳が溢れ出た。過剰な絶頂による肉体の誤認が、乳腺にありえない行為をもたらした。


「い、い゛ぃぃいいいぃぃいぃぃッ!?♥♥♥♥ へっ、あ゛♥ アァ゛♥♥♥ う゛お゛っ、ん゛ほお゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ♥♥♥♥♥」




 結果が透けて見えているものを語る必要はないが、だとしても結果の前の過程に愉悦の遊びがあるのであれば、それは語るべき価値のある事象となる。


「は、ひぃ♥♥ んっ♥ あっ♥ あっ♥ はぁぁぁ……♥」


 三日目の朝、エリィは何もしなかった。出来なかったというのが本当の意味であるのは、彼女の唇から零れる切ない嬌声が表していた。

 寝転がり扇情的によがる女の身体には、二日目までの朝にはなかったモノが絡みついていた。衣服と呼ぶには足りていない。エリィの乳房を横から潰して乳輪と乳首を押し、股間を隠すだけの平たい触手。ただ、どちらも刺激にはならない。乳房は真横から押し潰すようにされて、母乳生成の肥大化によって卑猥な形を描き、秘部は隠す意味を見いだせない淫汁をダラダラと滴らせている。


「ふぅ♥ ふぅぅぅぅぅっ♥♥ あっ、あぁんっ♥」

『そんなにも切ないのなら、言葉にすれば楽になるかもしれませんよ。もしくは不浄の穴を指で慰めれば、少しは楽になるかもしれませんね』

「っ〜〜〜〜♥ ふ、ふざけないで♥ こんなことをしても、貴方を求めたり、なんかぁ♥ したくない、のにぃぃぃっ♥♥」


 スリスリッ♥


「はぁぁぁぁ〜んっ♥ それっ、お尻止めて♥ なでなでやめてぇぇ♥♥ がまん、がまんできなくなるぅぅぅぅぅ♥」

『でしょうね。代わりにさすって差し上げただけで、腰が動き出しました。ふふ、手が伸びてきましたね』


 どこからともなく現れた手のひらに尻臀を撫でられ、エリィは腰をいやらしくくねらせる。それだけでなく、彼の言う通りに不浄の穴を指先で求めてしまう。

 尻が撫でられ震えるだけで子宮へ刺激がいった。なら、尻穴を穿り裏側から直に近く刺激すればイケるかもしれない。たとえそれが下手な愛撫で、焦らされる苦しさが増すものだとしても。

 二日でついた致命的な癖。それは、触手の権限に伴う激しい疼きだ。母乳を吐くまで成長した爆乳勃起乳首と、雌を従える強い雄の存在を察知した子宮――――が、どういうことか弄られるどころか封じられていた。

 彼の嗜好は理解しやすい。読み取れる癖に、嘘がないと分かっている癖に、最後の〝言葉〟を言わせるつもりなのだと。それを口に出したら言い訳できない。自分から屈したと認めることになる。羞恥を押し切る屈服の証を打ち立てさせたい。人の形を持たないというのに、どうしようもなく人間臭い支配欲が滲み出ている。


「へっ♥ ほぉ゛♥♥ ごんにゃ゛♥ いづまへっ♥ ッくふぅぅぅぅぅぅぅっ♥♥♥」

『さあ、どのくらいがご希望です? 約束通り貴女を解放するまで、こうして摩って差し上げましょうか。ふふ、フフフフフフ』

「ひぎっ、しょんな♥♥ あっ♥ ちがう♥ ちがうのろいろ♥ わたひ♥ こんな気持ちいいこと♥ 求めたりしな、したくな♥ しないのに♥ お゛ぉ♥ もお゛♥ がまんでき……んふぅぅぅぅぅ♥♥」


 エリィは声を我慢する理由すら己の心情から逸しているようだ。尻を撫でられ、否が応でも分からされる。身体の本音を。そして、彼女は本音を我慢しようと唇を噛み締める。

 その本音をとっくに理解されていようと、エリィは決して言うわけにはいかないと耐え忍んだ。

 人間でありながら驚くべき精神力だ――――――もっとも、耐えられたとして何があるわけでも、次に耐えられるわけでもないのだけれど。


「んッおほぉ゛おぉぉぉぉぉ♥♥♥♥ い゛ッぎゅう゛ぅぅぅううぅぅっっ♥♥♥♥♥」


 夜。その口から、雌汗と母乳を弾き飛ばす極上の肢体からアクメの雄叫びが上がった。苛烈な一刺しはエリィの秘部を貫いた。

 愛しい男以外のモノを受け入れた。そんなショックは露ほどもなく、エリィはただ一日ぶりに感じた絶頂にシーツを引き千切らんばかりの勢いで掴み、仰け反り、天井に届くのではないかと錯覚するイキ潮柱を吹き上げた。つまるところ、何も考えずにイッた。


『なるほど、これが貴女の秘所ですか。メインディッシュに相応しい名器ですね。こちらも貴女が一番感じる形で、感じる場所を突き上げてあげます』

「あ゛っ♥♥♥ やだ、やだやだやだやだっ♥ やめで♥ ひどい♥ ぞんなの゛♥ むり゛ぃ゛ぃいぃぃいぃいぃいぃぃいぃいいいいっっ゛♥♥♥♥」

『異なことを仰る。貴女はそうしているだけでいいのですよ? 私は貴女に嘘を告げません。本当に、このまま美しく絶頂する貴女を味わわせていただければ、貴女の願いを叶えましょう。必ずです』


 それは、何より残酷な仕打ちだ。今仮にエリィが絶頂を取り上げられたとしよう。彼女は間違いなく耐えられない。今もう一度焦らされたとしよう。彼女は間違いなく屈服を口にする。

 しかし彼は敢えて、大仰に、わざとらしいほどにエリィへ希望をチラつかせる。このままイキ続けてさえいれば、帝国内部に支配権を伸ばした彼が望みを叶える。仲間のために身体を差し出す高潔で気高く、艶めかしく美しいエリィ・マクダエルの望みを叶えてやると言った。

 本当に残酷なことだ。残忍だ。無慈悲でもあろう。


「お゛っ♥♥♥♥ お゛おぉぉぉ、う゛おほぉぉぉぉぉぉぉッ♥♥♥♥ もう゛む゛り゛ッ゛♥♥♥♥ イグのむり゛♥♥ じぬ゛♥ イがないのもぢぬ゛ッ゛♥♥♥♥ ほぉ゛ッ゛♥♥♥ ぜんぶむりぃィィィィィィィィーーーーーーーッッ♥♥♥♥♥」


 根底に在るモノを確実に突き崩して、堕ちた雌の言葉で従わせる。

 初めから掌握できる術を持っているというのに、彼はどこまでも自分本意だ。女が楽に堕ちる術など選ばない。徹底的に快楽を味わわせ、その姿さえ楽しみ、心を挫いて手に入れる。


『――――よく出来ました』


 だが、まだ足りていない。


「お゛ほぉ゛ッ♥♥♥ す、すきぃ♥♥ ご主人様が、ずぎぃ゛♥♥ ご、ごれで、ゆるじで♥♥ 好きだから♥♥ 好きだから許してくださいっ♥♥♥ 頭おかしくなるっ♥ なってるっ♥ イグッ♥♥♥♥ 全部イッでりゅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♥♥♥♥♥」

『私も、降るべき相手を間違えない聡明な貴女を愛していますよ。ああ、証を刻んで差し上げなければ……その子宮、どれだけ飲み干すことができますか?』

「へぁ゛ッ゛♥♥♥♥ うぞ♥♥ やべッ――――――お゛ッぎゅう゛ぅ゛ぅうぅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ♥♥♥♥♥」


 もっと、もっと、より深みへと。


 たとえばそう。この女が他者を差し出すくらい堕ちてしまう姿は、筆舌に尽くし難いものではないだろうか。


『ふむ、なるほど……ふふ、育てば貴女と同じか、それ以上の味わいが得られそうな人間が何人かいるようですね。この月の舞姫など、元の貴女に負けない豊満さだ』


 彼はペロリとエリィの生肌を舐めて、取り入れた雌の情景に思いを馳せた。

 だが今は手に入れたばかりの女体を楽しもう。彼は触手を一本差し出した。堕ちた美女の艶めかしい唇の前に、誓いを立てろと。


『さ、貴女にはこれから存分に働いていただきますよ。四日目の是非は必要ありませんよね? 分かっているなら、行動で示しなさい』

「……う、あ……は、はいっ♥」


 んちゅっ♥


「ご主人様ぁ♥♥♥♥」


 真に従順であろうがフリであろうが構わない――――――彼は快楽に堕ちる雌が見たいだけなのだから。





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