精霊ネイキッド (Pixiv Fanbox)
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いつもご支援ありがとうございます。今月最後の更新になります。
体調不良もあって更新感覚がかなり伸びたこと。上位プランが満足のいく回数の更新をできなかったこと。この場を借りて改めて謝罪させていただきます。
このペースは来月上旬が終わるまで続くことになります。それ以降は有償リクエストの期限と個数をかなり余裕を持たせたものに設定したので、元に戻せる見込みです。もうしばらくお待ちくださいませ。
さて今回は結構前に考えて書いた『全裸デバフ』を題材にした一作です。デバフと言うと戦闘中をイメージしますが、今作は日常で衣服が着れなくなったら、他にも身体の異常が起きたら……な妄想を具現化してみました。あ、今や懐かしの士道くんが竿役という珍しさがある以外はぶっちゃけいつもの無様エロだったりします、はい。
今回も最後にアンケートを置いておくのでよろしければ回答お願いします。
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「起きなさい士道! 起きて、起きてってば! 起きてよ、おにーちゃん!!」
「んあ……琴里、かぁ……」
我ながら間の抜けた声が出たと士道は思ったが、聞き慣れた声で起こされれば誰だってそうなるだろう。
彼は今朝、色々あっていつもより遅い時間に寝た。いつも通り実に暴力的な、小さな怪獣じみた妹の起こし方をされたならともかく、声だけでは微睡みから覚めるものも覚めない。
だが、僅かな違和感に士道の頭は稼働し始めた。朝から兄を呼び捨てにする強気な琴里、つまりは〈ラタトスク〉の司令官としての琴里が士道を起こしに来て、付け加えるならそんなマインドセットを掛けた彼女が最後には〝おにーちゃん〟と縋り付くように口にした。
何かあったのか。ハッと目を見開いた士道は、飛び起きながら声を発した。
「琴里!? 何かあった……の、か……?」
結論から言えば、そこには妹がいて何もなかった。赤いツインテールを黒いリボンで結い上げた可愛らしい琴里が、真っ赤な顔で涙目になりながら両手で胸元と下半身を必死に隠していた。
目を擦りながら妹の焦った声に起き上がった士道だが、なぜか琴里は肌色しか身に纏っていなかった――――ギョッと覚醒した頭が、琴里の肌色しか纏っていないのではなく、そもそも服を着ていないのだと気づく。
「ばっ……な、なんて格好してんだ! は、早く服着ろ、バカ!!」
妹を性的な目で見ているつもりはないが、そもそも年頃の女の子がはしたないと注意を叫ぶ。いくら幼少期に裸の付き合いがあったと言えど、もうすぐ高校生の妹の裸身を直視する趣味は士道にないし、そういったデリカシーの無さを精霊攻略で矯正させられ続けたばかりだ。もっとも、何も言わずとも直視せず恥ずかしがる純情な少年ではあるのだけれど。
兄の真っ当な怒りに琴里がな、と言葉に詰まった。遺憾だ、不本意で甚だしいと怒りを露にして言葉を返す。
「バカとは何よ! このスケベムシ! あなたこそ、いつまでもボケッとしてないで早く下を隠しなさいよ!」
「し、した? した、下って……」
恥ずかしがりながら言い返した琴里の導きによって、士道の視線が彼女の肌から自分の肌に落ちていく。
そういえば自分の裸に恥ずかしがっているならまだしも、なぜこちらを直視しないのか。士道は至極当然の疑問を浮かべて、下げた視界のド真ん中にその答えが立っていることを知る。
ぼろんっ♥ ぴゅる、びゅっ♥
「へ……え、あ、おぁぁぁぁっ!?」
それはそれは、愛する妹には到底見せられない男の醜さを塗り固めて出したような代物が、天を高く突き上げている光景だった。
着ていたはずのパジャマが消えて、局部が当然のように放り出されていた。しかも最悪なのが、朝勃ちというだけでは済まされないくらい硬く勃起し、剥き出しの亀頭から汁を垂らしていることだ。いいや、噴き出しているという方が正しいか。
女性との付き合いは必然的に多くなったとはいえ、肉体関係を結んだことは一度足りともない。 こんなにも興奮しきって、まして我慢汁を垂らすどころか噴き出すなど初めての経験だった。
その最悪の中でもより最悪なのが、妹に対してこんなグロテスクな性器を見せてしまったことだ。一秒でも見せていたくないと、彼は反射的に肉棒を押さえつけた。
「あ゛ぎっ、あぁぁ……っ!?」
ところが、抑えた拍子に士道は得も言えぬ感覚を味わって声を上げてしまった。近いのは自慰行為。だが、あまり大っぴらにできず事務的に済ませがちなものと違い、快楽の奔流が圧倒的だった。
大きさのあまり隠しきれない上、過敏な反応の肉棒に手が触れることで汚れが増えてしまう。ビクビクと跳ねる肉棒が危うく白い汁を思いっきり吐き出しかけた。
妹の前で肉棒を晒すのみならず、彼女の裸身で致して果てるところだった。痛いくらいの快感に揺らぐ頭を、自罰的な罪悪感で無理やりねじ伏せ、手が触れないくらいの位置で何とか覆うことだけはできた。
「だ、大丈夫、おにーちゃん?」
「……あ、ああ。大丈夫だ……っ!」
琴里も混乱の最中にあるのだろう。黒いリボンを結んでいるにも関わらず、顔色の悪い兄を純粋に心配する声色だ。
前屈みになった琴里の腕から小さな膨らみが零れかけている光景が目に入り、慌てて目を逸らす。それでようやく、彼は辛うじて冷静な考えを言葉にすることができた。
「そ、それで、何がどうなってるんだ? 誰かのイタズラとか、そういうレベルの話じゃないだろ、これ」
寝ている士道に何かおかしなことが起きるというのはそう珍しいことではない。平和的なものにしろ、攻略前の精霊による騒動にしろ、だ。
しかし、いくら何でもこれは行き過ぎていた。寝てる間に別の場所に移されていたとか、誰かが行方不明になっていたという方がまだ現実味がある。起きたら素っ裸で勃起した局部を妹に晒していました、など一体どこの誰が想像して実行できると言うのか。
「わ、私にも分からないわよ。でも……」
精霊は精神状態の均衡を保たねばならない。そのための訓練をよく仕掛ける〈ラタトスク〉の現場司令官である琴里すら、この事態は認知していないようだ。彼女まで一糸纏わぬ姿となり、死ぬほど恥ずかしいと顔に書いているのが何よりの証拠だ。
こうなった以上、琴里を疑う理由は一切なくなった。士道と彼女は被害者同士だ。その上での情報交換がしたかった。
先に起きていた琴里曰く、目覚めたらこうなっていた。彼女も誰かのイタズラかと考えたら、家からも服が全て消え失せていたことに只ならぬ事態だと思い、兄の部屋に押しかけたところ、局部丸出しで呑気に眠る士道の姿があったのだという。
後半の説明は彼からすれば恥ずかしいことこの上ないが、彼女がいつものような物理的な起こし方を避けたのはこれで合点がいった。触りたくても、肉棒を硬くして全裸で眠る兄に触る胆力はなかった。年頃の乙女にあってたまるか、というところであろう。
にわかには信じがたい。妹への全幅の心配はあれど、状況が未だ信じられない士道は、部屋のクローゼットの中を探るが――――衣服どころか下着すらない。服と呼べるものはもぬけの殻になっていた。士織用の制服すら消えている念の入りように彼は面食らってしまう。
「信じられないかもしれないけど、服じゃないもので身体を隠すこともできないのよ……ほら、毛布もなくなってたでしょ?」
「あ……」
追い討ちのように受けた指摘に、士道が愕然とした表情になる。思えば、眠っている時に掛けていた毛布で身体を隠せれば一番だった。そうしなかったのは、手の内からなくなっていたからだ。
一体何が起こっているのか分からない。まさか一夜にして衣服が、身を隠すものが全て盗まれたとでも言うのか。彼女の言葉が曲解されたものでなければ、そもそも物で身を隠すという行為そのものができないのではないか。
疑心暗鬼に囚われ始めた士道は、心細さを隠しきれない妹の顔に唇を噛んだ。分からないが、分からないなりに出来ることをしなくてはと考えながら声を発する。
「……と、とにかく、誰かに相談……〈ラタトスク〉の、いや、令音さん。令音さんに連絡してみよう」
こんな格好じゃ琴里の頭を撫でて安心させてやることも叶わない。妹を第一に考えた結論は、彼女の友人であり空中艦〈フラクシナス〉の頼りになるクルーの一人、村雨令音に頼ることだ。
振る舞いはぼんやりとして年中寝不足な女性だが、その知識量と冷静な判断力は琴里すら舌を巻き尊敬の念を抱くほどだ。それは士道も例外でなく、令音には全幅とも呼べる信頼を置いている。
自分の羞恥心を思えば頼りたいのは男性クルーなのだが、琴里を思うならありえない選択肢だ。かと言って、同じ境遇の琴里から離れることもしたくない。羞恥を押し殺して頼ってくれたのは、他ならない可愛い妹なのだ。
「令音……そうね。ええ、私たちだけじゃ、きっとどうしようもないわ」
けど令音がいれば、と琴里は首を縦に振った。過剰な恥ずかしさから何かに縋りたい気持ちは二人とも同じだ。
こうして行動方針が決まった二人は、秘密裏に令音へと連絡を入れ、家の中とはいえ強制された全裸で動き回る背徳と罪悪感に苛まれつつも、何とか〈フラクシナス〉の転送装置に回収してもらうことができた。
「……なるほど。これは類を見ない超常現象だね。興味深くはあるが、厄介だ」
「って、冷静なふうに言ったところで素っ裸じゃ何にも格好がつかないわよ!!」
ところが、異常が起きているのは士道と琴里の二人だけ、などと甘く収まらなかった。目元に深い隈を作った銀髪の美女が、二人と同じ一糸纏わぬ姿でいることから事態の異常さが窺えるだろう。
無事に〈フラクシナス〉の医務室に招かれた二人は、解析官・村雨令音のキメ細やかな肌が押し出された格好にギョッと目を剥き、この事態の深刻さを察することになった。もっとも、美女自身は裸の自分をなんてこともないように振る舞っているため、二人は若干感覚が麻痺しかけてしまったのだけれど。
「……そういうわけではない。分析には冷静さが必要不可欠だ。君たちだって、そのくらいは分かっているだろう?」
「いや、その……令音さんは、落ち着きすぎだと、オモイマスケド」
「……ふむ?」
こてんと小首を傾げる様は、まるで少女のように愛らしい。見た目が目元の隈以外は若々しく見えるため、尚更目に毒だった。琴里と並んで医務室のベッドに座る士道は、下半身を隠す手をさり気なく大きくする。
「……話を戻そうか。現在、この衣服を纏うことができない、あるいは肌を物で隠すことができない異常な現象が確認されているのは、君たちと私を含めて十二名」
「十香たちも、こんなふうになってるってことですか……っ」
異常の広がりに不安を覚えながら、ブルリと震えた身体に士道は嫌悪感を募らせる。大事な少女たちまで同じ格好をしていると聞いた途端、性器が祭りを聞きつけた子供のように盛んな動きを見せた。陰嚢が彼女たちの裸体を想像し、精液をグツグツと煮詰めている。なまじ精霊たちの裸体を目にしたことがある分、頭に浮かぶ想像がリアルで罪悪感だけでは堪えようがない。
だが、説明を聞くために全裸の琴里を横に全裸の令音を直視するというのは、今の士道にとって想像以上に生き地獄に等しいものだった。
令音から羞恥がまるで感じられず、凄まじいボリュームの乳房と美しすぎる恥毛が生えた見事な女性器が目を逸らしたとしても易々と見えてしまうのも良くない。下着姿を事故で見てしまったことはあるが、もちろん裸を見たことはないと士道は断言する。だからこそ、傍目から見ても非常に魅力に溢れた美女のフルヌードに性器は妄想以上の反応をしてしまうし、令音のキメ細やかで減り張りのある極上の女体を彼の目は遂に凝視してしまう。
美しい。そう畏敬と神々しさを先に感じるべき裸体だ。しかし、今の士道は激しい劣情に駆られてしまった。
「っ……いでっ、いででで!」
「スケベッ……」
「こ、琴里……いや、その……すまん……」
それに気が付かれ、琴里に頬を抓られてしまう。いつもの叱責や実力行使よりずっと優しいのは、琴里なりに配慮しているということだ。妹にそんな気遣いをさせたことが不甲斐なく、士道はようやく令音を直視する眼球を止めることができた。
「令音さんも、すみません。本意じゃないのに、ジロジロ見てしまった」
「……いや、君なら構わないよ。この状況で見るな、というのは酷だ。これは単なる露出行為で済む話ではなさそうだしね」
だからといって寛容すぎるのはどうかと思います、という言葉はこれ以上話の腰を折らないためにも噤む。君なら構わない、などと令音にまで気を遣わせて士道はさらに気分が急降下した。対して、男性器は上昇を続けていたが。
「……今こちらで調べ、判っていることを君たちにも共有しておこう」
「お願いします」
士道たちを落ち着かせるため、令音はゆっくりと異常事態の把握を彼らに促した。
・露出現象は五河士道、五河琴里、村雨令音、そして精霊全員。夜刀神十香、四糸乃、八舞耶倶矢、八舞夕弦、誘宵美九、七罪、鳶一折紙、本条二亜、星宮六喰。以上の十二名がその渦中にいる。
なお、精霊マンション、それ以外に住む〈ラタトスク〉の庇護下にある精霊たちも〈フラクシナス〉に収容する根回しが済んでいる。
・衣服、またはそれに類するもので肌を隠すことができない。隠そうとした途端手にした衣服が消えてしまう。霊装、精霊の天使による変質などは〝着ているが見えない〟という対外的に何の意味もないものと化している。などの強制的な露出がこの現象の最たる特徴。
・原因は目下のところ不明。新たな精霊の影響か、それとも他の要因で世界の法則そのものが塗り替えられたのか。個人の身体に対する干渉なのか。そもそも、誰が何をしているのか、そういった介入があるのかさえ判っていない。
・精霊の精神状態への影響は未知数。本来なら個々で隔離しメンタルケアを行うのがセオリーだが、全員が同じ状態、かつ彼女たちの精神に多大な影響力を持つ士道まで現象の渦中にいるため、下手に引き離すより全員で顔を合わせた方が最終的には安定するだろうというのが暫定的な結論。
令音なりに短い時間で手を尽くしてくれたのだろう。彼女は詳細を分かりやすく伝えてくれた。話し終えた令音は、いつも身につけていたボロボロのぬいぐるみを手で撫でる。膝の上に置かれてこそいるが、少し寂しそうだ。どうやら彼女の身体を〝隠す〟という判定があるのか、身につけることができないという。しかしあくまで所持品であり、身体を完全に隠せるようなものでないため、消滅を免れたのが不幸中の幸いであろう。その辺りの線引きを確認するのも一苦労だ。
そういった無数の前提がある中で、士道は失礼だと理解していても、確認のために言葉を重ねた。
「今は何も判らない、ってことですか……?」
「……そういうことになるね。力になれず、すまない」
「れ、令音さんが謝る必要ないですよ!」
「そうよ。誰だって、こんな頭のおかしい現象を短期間で解明するのは無理よ。それに、あなただって同じ被害者じゃない」
彼女が謝罪する必要がどこにあると、共通の認識を五河兄妹は頭を下げる令音に向けた。士道は早く頭を上げてもらわないと、その実り過ぎている果実が卑猥に伸びてまた下半身が大変な目に遇う、大惨事になるという理由も含まれてはいたが。
今やるべきは誰かを責めることなどではない。当面の問題解決だ。
衣服を着れない、身体を隠せない。これは羞恥心の面だけでも十分にストレスを与える行為だが、事の本質は異なる観点にも存在している。裸のまま、一体どれだけの場所に行き、どれだけの人に顔を見せられるか、だ。士道は元より、今は精霊たちも人間社会に深く関わり始め、それを好意的に思っているものが大半なのだ。それを思わぬ形で邪魔されたようなものだ。
「……ありがとう。今できる手は欠かさず打ち続けるつもりだ……けれど、問題は山積みだね。まず精霊たちのメンタルを労る必要がある」
「ええ……私はともかく、他の子はかなり危なかったんでしょう?」
「……ああ。皆、今は落ち着いてくれているようだが」
事は急務だ、と令音に見据えられた士道が息を呑む。
さらに精霊たちは身体に秘めた莫大な力を封印することで、人間的な生活を送ることができている。だが、精神の変調や過剰なストレスから霊力の逆流が起き、最悪の場合封印が解放されてしまう危険性を孕んでいた。
今回の事態は霊力の完全解放までは至らずとも、何人かは霊力の逆流を引き起こしてしまったようだ。そのメンタルケアは急務だ。そのことに異論も不満もあるはずがない。彼女たちのためなら望むところだ――――と士道も言いたいことには言いたいのだが。
「…………この格好で会わないといけないんです、よね?」
「……これを格好と呼べるのかは疑問ではあるが、そうだね」
恥ずかしいが、全員が同じ状態なら顔を合わせ、少しでも異常状態に慣れた方が精神状態が安定するというのが現状の解答であることを疑う余地はない。
確かに、このままでは誰かの精神状態が悪化し、暴走してもおかしくないのだ。裸になっているだけと言うだけなら簡単だが、人なら誰しも感じる羞恥は言ってしまえばストレスだ。それに先にも挙げたように、親しい人と顔を合わせられないという大きな問題もある。それならば、同じ境遇の親しい者同士で近くにいた方が合理的だ。
問題は士道が唯一の男であるという点と、彼も少なからず精霊たちに好意を抱いているということだ。理屈はどうあれ、この状況下で生理的な反応を隠し切れるとは思えない。それこそ、恥ずかしながら妹の琴里とその友人である令音の傍にいるだけで、さっきから肉棒が興奮しっぱなしで我慢汁が止まらないのだ。二人はあえて触れずにいてくれているが、酷い匂いが立ち込めているのは言うまでもなかった。恥ずかしさで死にそうなのは、何も琴里だけではないのだ。
「……とにかく、収容した子たちにも今判っていることを説明する必要があるだろう。琴里、頼めるかい?」
「頼むも何も、私か令音しかできないでしょ。あなたはどうするの?」
「……ああ。シンともう少し話がしたい。何か新しく判ることがあるかもしれないからね」
先に行ってくれたまえ、と令音は琴里を誘導する。現象自体は同じだが、男女の違いが何かしら新たな発見を得る可能性もある。
最もな理由に納得した琴里はチラリと士道を見やる。お互い目が合うと自然と裸体が見えてしまうため、顔が勝手に紅潮してしまう。
「じゃ、じゃあ後で」
「お、おう」
色々と処理しなければならないこともある。琴里は身体を隠してそそくさと医務室を出ていく。艦内は管理AIのマリアによって例外的措置でほぼ無人のため、彼女一人でも問題はない。
しかし、両手で隠し切れる場所には限界がある。無意識に前だけを隠しているため、琴里の小ぶりな尻が退出時に丸見えになっていた。隠そうとして飛び出したそれは、なぜか妙にいやらしく揺れている気がして、士道はゴクリと息を呑む。
艶めかしい、などという言葉では足りない。露出羞恥の緊張で玉の汗を細身の太ももに滴らせ、硬そうな尻穴をヒクヒクを蠢かせている様は士道から見てご馳走だ。必死に隠している股部から時折聞こえていた水音を今になって思い出す。自身と同じなら、あれは間違いなくマンコの汁で――――――
「……シン」
「ひゃいっ!? あ、はい、すみません!」
令音に声をかけられ、士道の中で途切れた理性の糸が結び直される。
琴里が退席した後も彼女の生尻を妄想し、取り返しがつかない考えに至りそうだった。否、至っていた。
(な、何考えてんだ俺は。相手は琴里だぞ? 妹にあんな、最低なこと……最低だけど、止められねぇ)
士道は間違いなく、あの瞬間だけはどうしようもなく琴里を性的な目で見ていた。今朝に見た時は気恥ずかしさや琴里への気遣いが大きかったのに、退出の際に彼女の臀部を目で追った途端、何もかも忘れてしゃぶりつきたくなってしまった。
琴里のことを愛している。世界で一番と言っても過言ではないほどに。ただそれは、血の繋がりがないとはいえ家族としてのものであって、間違っても劣情を向ける対象ではない〝はず〟だ。
自分の中にある境界線が曖昧になっていく。罪悪感が高揚感に塗り潰されていくような感覚に、士道は目眩を感じた。
「……君にはもう一つ、先に伝えておくことがある。他の子に伝えるのはもちろんだが、事情が事情なだけに、シンには優先して伝えるべきだと思ってね」
「ああ、はい。だから琴里を先に行かせたんですね」
高揚感に包まれているのに頭はやけに冷静だ。罪悪感が消えて、むしろ落ち着いて物事を考えられてさえいる。
客観的に見た問題点は、令音の素晴らしい女体をじっくりと舐めまわすように見て、自分の陰部を隠す手をいつの間にか退けていること。
令音の表情は相変わらず変化と無縁だ。よく見れば感情の僅かな機微が感じられる程度で、露出による羞恥は皆無と言っていいほど表に出ていない。だが、身体の表面には少なくない汗が滲んでおり、状態自体は琴里とさして差はないと士道は思った。
そうして自分の身体をじっと見る、とても配慮に長けているとは言えない士道の様子に、令音は半ば確信した様子で頷いた。
「……やはり、君にもしっかりと症状が現れている」
「え?」
「……先に言っておくと、これは君自身の問題というわけではない。感情は君に由来するものであっても、それが表……露出する原因は他にある。君以外の子も同様だね」
念を押す令音はいつになく饒舌だ。それだけ士道と精霊たちを気にかけ、彼らが傷つかないやり方を選んでくれている。彼女自身が騒動の渦中にあるというのに、士道たちが頼りきってしまうくらい令音は聡明だ。
「……実のところ、シンも気づいているんだろう? 露出行為への興奮。おちんぽ……んっ♥ その立派な男性器が先ほどから私の目に見えているのも、そうだ♥」
「っ!!」
身に覚えしかないことを指摘され、ようやく我に返った士道が己の逸物を隠す。が、彼の逸物は少年の手のひらでは到底隠しきれない剛直と成り果てている。それに、数分は令音の眼下に完全に丸見えになっていたことを考えれば、あまりに無駄な行為だ。
そして、彼女にじっくりと見られていたという事実に逸物が過剰な反応をする。我慢汁がドクドクと流れ、令音に向かって白い白濁の液をぶちまけかねない勢いだ。既に限界まで勃起していたはずの竿が、暴力的なまでの突起を反り返す。ハッキリ言って、ありえない。男性器は確かに勃起機能を有しているが、いくら何でもここまでの変化はない。肉体そのものが変わりつつある証拠だった。
「……露出による性的な興奮の異常促進。裸体を見る、見られることへの興奮。羞恥心と共に得る高揚感。安心したまえ。それは君の嗜好だけでなく、外部からの促進の効果が大きい」
「えっと、少なからずはあるんですね」
「……考え方によっては誰でも持ち得る。ただそれは極わずかで、実行に移せる人間はそういない。小さな喜びより、大きな危険を犯さない理性が働くからだ」
万人が露出欲求を持っていると言うのは間違いだ。が、ほんの僅かでも考えたことはあるだろう。たとえば着替えの途中、この格好で外に出たらどうなるか、と。
普通の人間ならそこで止まる上、考えたことも次の思考に上書きされる。無意味な行為を理性が処理するからだ。興奮より危険性が常識の危機回避が何百、何千倍と上なら実行しようと言う気にはならない。
「つまり、今の俺たちはその理性が薄れて、極小さな欲求が凄く大きくなってる、ってことですか?」
「……厳密に言えばもう少し複雑だろうが、君の認識で概ね間違いない。これは、単に人を露出させる類の異常現象ではない。肉体、精神的な変質を兼ね備えた厄介な事象だ」
対象者が全裸になる、とだけ聞けば何とも馬鹿げた異常現象という考えに留められるかもしれない。けれど、事態は想像以上に深刻だ。
令音の言う通り、今朝から興奮が一向に収まらないどころか気分が膨れ上がり、精霊たちまで騒動に巻き込まれていると聞いて興奮を禁じ得ず罪悪感に見舞われていた。それが精神的な異常によるものだと判明し、ホッと一息をつく一面は士道の中にもある。しかし、決して安心はできない。それどころか警戒心が増したくらいだ。
異常が全て判明したわけではないし、士道の性的興奮は特に問題だ。何度も言うが、男は士道一人で、全員少なくない好意を抱いている。彼は精霊をデレさせてきた少年なのだから、逆もまた然りだ。
もし仮に、この性欲に身を任せて相手を襲ったりしたらどうなるか。先の混乱を想像するのも難しく、考えれば考えるだけ彼の顔が真っ青になる。普段なら抑えられるものも、理性や罪悪感が薄れている今は忍耐力など絵に描いた餅も同然だった。
「……とにかく、この現象は女性より男性の方が早く、わかりやすく症状が出てしまう。そんな状態では皆との話し合いも難しいだろう。正直なところ精霊たちより、君のメンタルケアが最優先だ……本当にすまない」
「あ、いえ。むしろ俺なんかのために色々配慮してもらって、ありがとうございます」
令音に謝られた士道が反応に困った様子で曖昧に笑う。
男の自分の方がマシだと考えているが、大切にしている少女たちに曲がりなりにも性欲をぶつけてしまいかねない現状は、彼にとっても大きすぎる爆弾だ。他人を優先して抱え込んでしまうことが少なからずある彼のことだ。罪悪感が薄れている今はいいが、それが終わった後のことは想像に難くない。令音はその未来を丁寧に潰しているのだ。
「……差し当たって、膨らんだ性的興奮を少しでも吐き出していこう」
「え」
だが、緊急時でも配慮ができるのに妙な部分で直球なのが村雨令音という女性の性質でもある。
性的興奮の解消。この文言から想像するモノは多くても二つだ。
「……シン、私とセックスしてくれるかい?」
「ぶっ!?」
もう一度言うが、村雨令音という女性は凄まじいところで恥じらいを知らない。
「ちょ、はぁ!? な、なんでそうなるんですか! や、やるなら、その、オナニーとか……」
士道の中で興奮が溜まり、理性の糸が限りなく細くなった今だからこそ彼は言えるが、決してしたくないわけではない。したいくらいだ。見て欲しい、見たいという欲求の発露は先の無意識な行動から明らかである。
けれど、それは理性の糸が緩んでいる前提での話で、今がおかしい思考だと分かった上では彼も否定せざるを得ない。
強い憧れの感情を抱く尊敬できる相手ではあるが、それが恋慕であるかと言われれば少々毛色が異なる気がする。そんな感情で、性処理のためという不誠実な理由で関係を結ぶのは憚られた。
「……では聞くけれど、君はオナニーで症状が抑え込めると思っているのかい?」
「ぐ……」
「……暴走状態にあるとはいえ、自分の感情であることに変わりはない。そうだな……シン、君の本音を教えてくれたまえ」
感情論を正論で返され言葉に詰まった士道に対し、令音は言葉だけでなく物理的な距離を詰め始めた。
身体に汗が滲み出ているからか、いつもより匂いが強い。不思議なことに不快感は全くなく、鼻梁をくすぐる密度が高い甘い香りに彼の思考は鈍った。
「れ、令音さん?」
令音は無言で士道の両手を退け、三度男性器を露出させる。凄まじい長さ、大きさ、硬さを伴った男性器は、座ったベッドに染みができるほど濃厚な本気汁を鈴口から垂らし続けている。今なら、士道の上の口が割らないこともあっさりと答えてしまいそうだ。
「……シン♥ 君はオナニーがしたいのかな♥」
ぴゅっ♥
鈴口が液体を噴き出した。白色が混じっており、溜になった精液の一部が尿道にまで溜まっているようだ。
初めて聞く令音の蕩けるような囁き声に、身体がビクリと跳ねて士道は何も出来なかった。
「……それとも♥ 私とセックスしたいのかな♥」
びくっ♥ びくびくびくっ♥ ぶぴゅるるるるっ♥
今度はチンポが激しく脈打ち、令音のムッチリと肉のある太ももに白濁の汁をぶっかけてしまった。射精と見紛う勢いの興奮液は、どちらが好きかを士道が口で語るよりハッキリと露にしてしまう。
「……ふむ♥ 答えは出たようだ♥ ちんぽは正直だよ、シン♥」
「っ……卑怯ですよ」
「……難しく考えることはないさ。同じ状態のもの同士、効率的に性衝動を抑える方が理に叶っている♥」
すりっ♥ すりすりすりっ♥
令音が勃起した男性器を優しく撫で、グツグツと精子が煮えたぎる睾丸を指でくすぐる。得も言えぬ快感に、士道は硬直した身体で吐息を零すことしかできない。露出した女から誘われている事実に、理性がドロドロに溶けていくのを感じた。
「令音、さんっ」
「……セックスは、相手にすべてを見せる究極的な露出、という解釈もできる♥ もっとも、興奮が物理的な露出に固定されるとは限らない……♥」
つまり、令音は士道とのセックスで、極限の興奮下で他に何か嗜好が芽生えるのではないか、と考えている。要するに自分の身体を使った実験か、と士道は身悶えするような快感の中で令音の考えを察した。
「……それに、これは君(男性)側の興奮点を探るだけではない。私たち(女性)側のデータも、まるで足りていないんだ♥」
比較的冷静に見える令音だが、それは表情が変わらないからそう錯覚していただけだ。見る、見られるの興奮は同じだ。
よくよく見れば令音の頬は紅潮し、股座から滴る透明な糸は目に見えるほど粘度を増して彼女の〝その気〟を表している。
恋慕とは異なるとはいえ、令音への強い信頼と好意。そして素晴らしい裸体と雌の香りに自制心が緩む。
「シン♥」
抱きしめられる。以前は温かな胸元の感触に気が行ってしまったが、今は令音の発する雌の香りと蕩けそうな柔らかさに、肉棒の我慢が限界点を超えた。
「……お願いだ、シン♥」
そう何度も、奇妙だが身に馴染む呼び名を甘く可愛らしくおねだりするのはズルい。そう文句を零した士道の中で、理性の糸が途切れた。
理性の糸を一度断ち切ると、よく分かることがある。士道の中にある興奮と、令音を含めた精霊たちの中にある興奮の種類は少し違う。確かに露出に興奮する嗜好は同じだが、士道は見られる側より見る側になる方が好みのようだ。元来の体質なのか、それとも嗜好の誘導がされているのかまでは分からないが、好みはハッキリと理解できた。
何故なら士道は〝判る〟からだ。令音の検証でセックスの方が好みなのは、見たい相手の嗜好を理解しやすいから。そして、彼女たちの弱い部分が手に取るように判るから。
「あおっ♥♥ く、ふぅぅぅぅ♥ んんっ♥ あぁっ♥ ふかい♥ シン、シン♥ シンのチンポ♥ 深いところ♥ 突いて♥ そこ♥ すごくよわい♥ だめ♥ きもちよく、なってしまう♥」
たとえばそう、士道が自らの腕に抱いた絶世の美女。前戯要らずで挿入し、抱き合いながら深く深く秘部に陰茎を突き刺す。令音は、このセックスにとても弱い。自らの全てをさらけ出し、差し出し、身を任せてしまうことに絶大な快感を覚えている。
「おぉぉぉぉ♥♥ ちんぽ♥ ちんぽだめ♥ おまんこのおくっ♥ くっつけて♥ コリコリ♥ とんとんされるのよわひっ♥♥ おっほ♥♥♥ イク♥♥ んんんんんんんんっっ♥♥♥♥」
抱きとめた令音の全身が酷く震えている。それが苦痛によるものでないことは、挿入し、子宮にキスをした亀頭から過剰なくらい伝わってきていた。対面座位で抱き合い交尾をしていると、本当に全てが判る。
令音がどこを突いて、どう抱けば欲求が解消されるのか。互いの欲を効率よく発散する方法。性欲の効率とは、どれだけ相手の欲を解消しながら自分を満たせるかだ。その点、あの令音が野太く下品な嬌声を上げ、髪を振り乱しながらアクメをキメる姿はどんな妄想より筆舌に尽くし難い絶景だ。
「令音さんって何でも出来ちゃうイメージでしたけど、セックスは凄く弱いんですね。こんなエロい声で啼いちゃって」
「っ……ちがうんだ♥ これは♥ 君のおちんぽが強い♥ 強すぎるっ♥ こんなの、誰だって勝てない……♥」
「へぇ。じゃあ他にもっと弱い部分があるってことですよね?」
令音の耳元で彼がわざとらしく呟く。彼女のは悲鳴の代わりにビクリと肩を震わせた。あの令音が激しく動揺しているところを見られただけで、セックスを受け入れた価値は十二分にある。
「……し、シン、聞いて、あぁっ♥ き、聞いてくれ♥ 少しだけ、判ったことが、んお゛っ♥ あるから♥ 頼む、ほんのちょっとでいいから、ちんぽよわくしてっ♥♥」
涙ながらの蕩け顔で懇願され、士道はより激しく攻め立ててやりたいという欲求を抑えた。無理にではなく、そうした方が面白い話が聞けそうだという興奮思考の無駄に冷静な判断でだ。
望み通りピストンを抑え、亀頭のキスだけに注力することで〝弱く〟してやる。それでも今の令音には強すぎる快感かもしれないが、彼女から言葉を奪うほどではない。
「……ありがとう、シン♥ こ、この露出願望は、やはり肉体面に限った話ではない、のおっ♥ へ、変な声出る♥ ふぅ、ふぅ……秘めたる感情を♥ 曲解して吐き出させるっ♥ ことがっ♥ 特徴のようだ♥」
曰く、矛盾した願望が綯い交ぜになった結果だと。相手に見せたくないという感情と、見せて分かり合いたいという感情の融合。全てをさらけ出し、隠せなくなり、心身ともに秘密を無くす。それがよりにもよって性欲という形で露出することが問題だと。
その〝曲解〟という点が、どれくらいの比重であるのかは実際に味わった今となっては、語るまでもないことであろう。
「……それからっ♥ 知能指数……思考が、性欲解消のために著しく偏るっ♥♥ お゛ッほ♥ さっき♥ 君が私や琴里の身体を見て♥ 自制心が働かなかった♥ クッソエロい目で見ていたのも、それだっ♥ おっほ、おぉぉぉぉぉ♥♥」
言われてみれば、互いにらしくない言葉を使っている気がする。特に今子宮をグリグリと刺激してやった令音は、理知的な彼女に似合わない低俗な言葉を使い始めていた。士道の嗜好からは実に好ましい態度だったため、彼は言われるまで違和感を覚えなかった。
「なるほど。じゃあ令音さんが秘めてたって言うのは、俺のことが大好きだって気持ちなんです?」
「……はへっ?♥ やっ♥ ちが……くは、ないが……♥」
「そうですよね。じゃなかったら、データが欲しいとか言っても、いきなりセックスしようなんて変態の誘い文句、できないでしょうし」
ともすれば傲慢な思い上がりに等しい考えだが、士道は令音の赤面から的を射る予想だと確信をした。そして、彼の嗜好は令音の欲求を効率よく解消しながら、自らの性欲も満たす手段を至極冷静に選ぶ。
それを止める理性の糸はとっくに断ち切られている。令音がどのような秘密を持っていて、それがどうして士道への好意に曲解、ないし結び付けられたかに彼は興味はない。重要なのは、互いが互いを愛している間柄で、最大限に気持ちよくなる手段だ。
「令音さんは俺のこと好き、そうですよね? 違うって言い訳しても令音さんの子宮に聞くんで、無駄ですよ。あれの恥ずかしさは分かりますよね?」
普通ではない状態は羞恥を強めて口を噤ませることもあるが、異なるやり方で本音を引き出すこともできる。先ほど肉棒に問いかけられた辱めを根に持っているのか、士道はいつでもセックスを再開できる状態で言った。
彼に抱きついた令音は物憂げな瞳を気恥ずかしげに潤ませたが、子宮を人質に取られ、さらに身を焦がす情動に耐え兼ねたのか、へにゃりと表情を緩ませて応えた。
「……ん、好き♥ シン♥ だぁ〜いすき♥」
折紙ほどではないにしろ表情筋が死んでいるんじゃないか、と他者から本気で思わせる面を一変させた令音は、へにゃりふにゃりとデレた笑みになる。大人びた女性が見せるクールな一面を捨て去り、欲望のみに頼った感情の表現の発露を披露した。
「……好きだ♥ 初めて会った時から、君のことが大好き♥ シンのためなら何でもできる♥ なんでもする♥ シンが考えること♥ 私が何でも叶えたい♥ それが私の、願望だ♥」
――――初めに関係を結んだ相手が、恐ろしい願望の持ち主だった。
それは、はっきり言って破滅願望に等しい。相手のため、愛する者のためなら何でもする。冷静な美女の内面に、こんな恐ろしい欲が紛れていたとは誰も思わない。源流の大小を測るのは無意味だ。もうとっくに大きくなった後なのだから。何より、その破滅願望を拾い上げてしまったのが、同じく己の嗜好を発露させた士道というのがいただけない。
心身の露出願望の肥大化。理性の糸が途切れた二人の行為は、もはやセックスだけでは収まらない。令音の言う通り、願望の解消は必ずしもセックスだけで済むとは限らない上、未知数な点が多く万事上手くいくとも言えない。一体どれだけの性的欲求を発散すれば元に戻れるかさえ、危うい。
「なんでもですか?」
「……ああ♥ シンのためなら、何でもする♥」
そんな中で令音は、欲望の解消方法を相手に求めた。生殺与奪の権利を士道に握らせた。願望発散を望むことは同じであれど、相手に行為を要求する嗜好を持つ士道に、令音は全てを明け渡してしまったのだ。
「なら、俺に謝ってください」
「……え?」
「だってそうでしょう? 令音さんは俺が好きだからセックスしたかったんですよね。それなのに、まるで俺がしなきゃ我慢できないみたいに誘導した」
雄に従うべき雌として、非常に恥ずべき行いだ。士道の嗜虐的な欲求は事実の曲解を生み出す。
相手を大事にしたい。皆を大切にしたい。またも曲解。彼の欲望、大切な相手への強い好意は、相手のどんな姿でも〝見て〟しまいたいという支配欲にも似た性欲へと変質した。
「……そう、だね♥ 君に謝らなければならない、な♥」
厄介、と今は言えるほどの理性はないが、令音の破滅的な願望は士道の支配欲を相性が最高だ。全てさらけ出してやりたいという欲が、相手への究極的な好意によって捻じ曲げられた事実すら難なく受け止める。今の令音は、士道が発する全ての言葉を肯定する。何か不都合があっても、全て自分が悪いと思い込むことで気持ちよくなる。
それにより何が引き起こされるかと言えば、必要としなかった前戯の擬似的な再現。セックスを始める前に戻って――――村雨令音が、床に身体を畳んで全裸土下座をする光景だ。
「……大変、申し訳なかった♥ 自分がセックスしたいスケベ女の癖に♥ シンに責任を押し付けた♥ シン♥ 私は君とセックスしたい♥ セックスさせてください♥ ドスケベ変態マゾの私と、チンポでマンコをハメ倒すセックスしてくださいっ♥」
肉棒の白濁液が止まらない絶景だ。惜しげも無く晒された白い肌が、生々しく熱を帯びた裸体が平伏する。あなたに全てを捧げますと、その身を以て全力で表現する全裸土下座。
たわわな乳房がはみ出して、ケツ肉が緊張と興奮からか揺れている。村雨令音が見せる渾身のセックス懇願土下座は、セックスにも勝る下品なまでに無様な光景だ。
「本当に反省してます?」
簡単に許してはならない。雌を付け上がらせてはならないという大義名分を掲げ、士道は自分たちの悦びを行動で表す。
無造作に結ばれ、激しいセックスで解けかけた髪を足裏で踏みつける。普段ならできない高圧的な態度は、性格の反転現象とさえ思えた。
「……し、している♥ しています♥ この度は♥ クソ浅ましい雌の分際で♥ 雄様のチンポを煽って思い通りにイカせようとした♥ 短慮な自分を深く反省しています♥ バカマンコの癖にチンポ様を謀ろうとして、本当に申し訳ございませんでしたっ♥」
理知的な一面が手のひらに収まるほど小さくなり、雄に馬鹿の真似をして媚びる浅はかな雌豚になる。頭を足で踏まれようと、士道に尽くして気持ちよくなるためなら本望だと言わんばかりに彼女はひれ伏す。
「じゃあ、本気で反省してるところをもっと見せてください。ほら、令音さんが大好きなチンポに向かって謝ってください」
「……あ、うぅ♥」
美女の土下座は実に映えるものだが、美女が全裸で正座をし、肉棒を直視させられている絵も、表現し難い興奮を生む。令音にこのような醜態を晒させられるのは、自分だけしかいないという自尊心が心地よい。
ピタリと気持ちいいくらい背筋を伸ばし、足揃えで正座した令音が真っ赤な顔で、潤んだ目に肉棒を映し出す。先ほどまで彼女の膣内で絡み合い、勃起状態が続く肉棒に令音は子宮を熱くした。
「……い、五河士道様♥ そしておちんぽ様♥ この度は、村雨令音メス豚マゾマンコが大変なご迷惑をおかけし、本当に申し訳ございおまんこ♥ お許しくだちんぽこ♥」
ぶびゅっ、びゅるるるるぶびゅっっ♥♥
白色がさらに濃く混じった汁が鈴口から噴き出して、あられもない言葉で謝罪した変態マゾ女の顔面をぐちゃりと濡らした。
興奮する点はいくらでもある。令音が士道の名を、肉棒の名をしっかりと敬意を払って口にした。なのに知性ゼロ品性マイナスの語彙を使って謝罪した。
ただの女なら下品だとしか感じないが、絶美の美貌と心を持つ令音が発したとなれば、それはどんな歌声より心地よい言葉になる。
今の村雨令音は本気で士道に媚びへつらい、何でも行う貢ぎマゾ女だ。果たしてこの状態が互いにいつまで続くのか。どれほど発散が必要なのかは分からない。だが分からないなら、分かるまで気持ちよくなればいい。
「はぁ、マゾなら仕方ないですね。令音さんが言葉もろくに使えないド変態ってことは分かりました。じゃあ次、弱い部分を教えてください。俺のチンポが強いって言いましたよね? だから、俺の強いモノに突かれて、一番弱いと思う部分を晒せ。分かったら立て、マゾ豚」
「はいっ♥」
それは、どこまで尊厳を破壊できるかということでもある。人が当たり前に持つ権利を、快楽のためにどれだけ差し出せるか。言わば尊厳の陵辱と破壊。
白濁混じりのチンポ汁で顔面を汚した令音が大仰に立ち上がる。左右の爆乳を上下にばるんぶるんと揺らしたかと思えば、今度は真横に振り乱す。ちぎれんばかりに乳房を暴れさせた令音は、背中を向けて腰を低くする。股座を広げて愛液の滴りを分かりやすく伝えられる姿勢を取った。
爆乳に負けず劣らずなデカケツを突き出した令音は、尻臀に指を食い込ませて左右に広げる。鮮やかな色の秘部だけではなく、色素の薄いピンク色の皺が放射状に広がった美しくも卑猥な穴が露出した。
肛門。尻の穴。アナル。排泄器官として当たり前に存在するモノを士道へ向けて差し出したということは、様々な呼び名から令音はあえて〝それ〟を選ぶほど、その穴が貧弱ということになる。
「ふーん、令音さんが一番弱いのって、お尻の穴なんですね」
尻穴を晒した令音を蔑むように士道は言葉を発する。令音は臀部を赤らめて尻穴をヒクつかせたが、それは恥ずかしさだけでなく被虐の快感も兼ね備えた動きだ。
士道が相手をどう責れば良いか分かるように、貢ぎマゾの令音は自分がどうされたら一番弱いかを知っている。あるいは破滅的な願望を叶えるため、弱い部分を〝わざと生み出した〟のかもしれない。
「……ああ♥ そうだ、私はケツ穴が弱い、と思う♥ 今も、シンに見られてお尻の中が熱くなって、入口が腫れ上がりそうなんだ♥ ケツの穴見られて恥ずかしい♥ のに♥ チンポぶち込まれたくてウズウズしてる♥ 直腸の中、シンの立派なチンポ様で引っ掻き回して欲しくて♥ 今にもケツ汁ぶちまけそうだっ♥♥」
激しいまでの告白が嘘ではないことは、ジワジワと開いた穴から下の皺に微量の汁が零れる様から感じられる。
「へぇ……なら、いいんですね、令音さん」
「ひぃっ♥♥」
むぎゅうと彼女のデカケツを鷲掴みしてやり、揉みしだきながら告げる。冷静な頭に浮かぶ薄汚い言葉の数々を、村雨令音という支配すべきマゾに互いの望み通りぶちまける。
「今からこの穴は俺のモノです。チンポを受け入れるんだから当然ですよね? 令音さんのケツマンコは俺のモノ、ね?」
「……はい♥ 私のケツマンコはシン♥ あなた専用のチンポケースです♥」
「本当にいいんですか? こんな綺麗な未使用アナルが、マンコよりマンコらしいケツ穴になるんですよ。ずっとチンポを欲しがって、この状況が解決しても、この穴だけは二度と隠さず歩きたくなる。変態露出ケツマンコに開発しちゃいますよ……うわ、穴の肉めちゃくちゃ喜んでるじゃないですか。ホント、とんだド変態ですね」
管理されるのは大歓迎と腸汁を垂れ流し、ヒクヒクと蠢いて言葉より雄弁に歓喜を語っている。士道に徹底的な支配をされるのが、余程好ましいと見える。
「……フーッ♥ フーッ♥ ふぅぅぅ♥」
「すっごいブッサイクな顔。令音さんらしくない、発情期の猿みたいな顔してますよ。そんなにケツマンコ管理されるのが嬉しいんですか? ケツの穴吹き曝して、いつでもチンポハメてもらえるケース扱いされるのが、そんなに好きなんですか?」
「……す、すきぃ♥♥ ケツマンコ♥ シンのチンポ穴にされるの♥ 想像するだけで♥ い、イきそう♥ だ♥ おぉっ♥♥ ケツ穴チンハメ妄想でイクッイクッ♥♥♥」
このまま放っておいても想像で嬉し恥ずかし幸せアクメをキメそうだ。しかし、それで発散されては士道が面白くない。マゾ女でも恥ずかしいものを露出させてこそ、彼は真に欲望を発散したと言えるのだ。
「わかりました。なら、これから令音さんのお尻は俺の所有物ってことで……おいケツマンコ、返事」
「はいっ♥」
さっきと同じ、令音らしからぬ機敏な反応だ。尻をクイッと跳ねて踊らせる。けれど、それは令音の臀部の返事であって、ケツマンコの返事ではない。
「ケツマンコ、返事」
「……? はい♥」
バチィィィンッッ♥♥
「ほぎょおぉぉぉっっ♥♥♥」
珍しく察しの悪い令音のために一度は許したが、二度目はない。悪い子におしりペンペンするように、手のひらに余るデカケツを思いっきり引っぱたく。尻肉の振動が子宮に伝わったのか、令音は白目を剥きながら愛液を『ぶじゅっ♥』と鈍い音を立て噴射した。軽くイッているかもしれない。
「ケツマンコ、返事」
「……ま、待ってくれ、シン、それは、いくら何でもそれは……ひぎゃあっ♥ んおぉぉっ♥♥」
今度はパンパンッと短いスパンでビンタを往復させる。察しが付いたなら早く〝返事〟をしろと急かすように。
「……し、シン♥ お願いだからやめて♥ やめてくれ♥ はぎゃっ♥♥ ほ、他のことならなんでもするから、やめてぇ♥♥ ほぎょっ、んお゛おぉぉぉお♥」
知らない誰かを思い出しそうになる、なんて奇妙な表現が士道の脳裏を過ぎった。好意に甘えようとする可愛らしい姿は、記憶に刻まれた誰かに似ている。
だが、今はそれ以上にケツマンコの〝返事〟が欲しい。彼女の尻が真っ赤に腫れても士道はスパンキングを止めない。可哀想という感情より、悶える彼女への興奮と支配欲が遥かに勝る。痛みより快感に呻くマゾ女に加減は不要だ。
「ひぐっ、いぎっ、おぉぉぉぉぉんっっ♥♥♥ わ、わかっ、わがっだ♥ やる♥ やります♥ ケツマンコ、返事しますっ♥♥」
遠吠えのように野太い嬌声と共に令音が根を上げる。
それは女として、人間として恥ずべき行為だ。意識して出せる、というものでもない。しかしながら、士道のチンポが射精真顔の我慢汁を出し続けているのと同様の変化が、令音に起こっているという確信がある。
「ケツマンコ、返事」
最後のダメ押しで士道は真っ赤に腫れたデカケツ目掛けて手のひらを落とした。
「ん゛お゛ぉぉぉっ♥♥♥♥」
ブピィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!♥
耳を疑う野太い喘ぎ声。床に濁流じみた勢いで降り注ぐ潮吹き。そして轟音を掻き鳴らした水気混じりの甲高い音色。
それは喘ぎ声と違って疑う余地がない。村雨令音のケツマンコが最大の声量で〝返事〟をした証。絶世の美女がその媚肉並に美しい排泄穴を窄めて吹いたオナラだ。
ぶびっ♥ ぶぼぼっ、ぼぼぉ!♥ ぼぶぅ、ブッビー!♥
「おっほーっ♥♥ へんじ♥ けつまんこへんじしへりゅ♥♥♥ クソデカオナラで♥ きったねぇ返事して♥♥ おほ♥ 恥ずかしすぎる♥ シンに♥ 好きな人にオナラ返事聴かれて♥♥ ヤバいっ♥♥♥ イグッ♥♥♥♥ ケツマンコ触られる前にっ♥♥ 自分のオナラでイグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ♥♥♥♥ ケツマンコから返事しながらケツ汁出るうぅぅぅぅぅッ♥♥♥♥♥」
人前で放屁をするというまともな感性の人間であれば恥じるべき行為。まして、曲がりなりにも好意的に見て欲しいと願う相手に酷く汚い音を立て、普通ではあり得ない腸汁を大量に吹き出し、潮吹きのように放屁アクメをキメる。
士道の前で爆音放屁をぶちまける醜態に頭がおかしくなりそうな快感と羞恥を覚えた令音が、その顔を歪ませて叫びを上げる。
「はは、令音さんくらい綺麗な人でもオナラの音はデカくて汚いんですね。この汚い音、これから俺がケツマンコって呼びかけたら、どこだろうと絶対にしてください? あなたを尊敬してる人の前でも、知らない人の前でもね? 判ったら返事しろ、ケツマンコ」
「ひゃあい♥」
ぶっぶぅぅぅぅぅぅぅっ♥
「ケツマンコ」
ぶぼびゅっ♥
「ふぐぅぅぅぅ〜〜〜〜〜♥♥♥」
「早い。ケツマンコ、返事」
ぶっ♥ ぶぶ、ぶぼぉぉぉぉ♥
「ごめん♥ なさいっ♥ おほぉっ♥♥ ケツ穴ぶり屁きんもちいい〜♥♥♥ おほぉ゛〜〜〜〜〜♥♥♥♥」
普通ではない放屁の連打と快感に喘ぐ姿は、令音の体内にも少なくない変質が引き起こされている証左だ。
という考察はどうでもよくなり、士道はケツ穴を言葉で躾られて放屁でイキそうになる美女の品性下劣な醜態にやみつきなりそうだった。
後どれくらいで露出欲求が一時的に収まるか。琴里たちにその間怪しまれたりはしないか。頭の中で時間の冷静な計算が組み立てられる。
ぶびゅりゅっ♥ びゅっびゅっびゅっ♥
「お゛ぉう゛っ♥♥♥ ちんぽ汁かかった♥ ちんぽ汁ケツマンコにっ♥♥ お゛っ♥ ヤバい♥♥ ちんぽ♥ ちんちんっ♥♥ クソザコケツマンコに♥ ち゛ん゛ち゛ん゛じる゛っ♥♥♥♥ キてッ♥♥ ん゛お゛ぉ゛〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥♥」
――――が、ケツ穴にチンポ汁をぶっかけられ、ハメられる想像だけで上擦り寄り目の仰け反り舌出しアクメをキメた村雨令音(貢ぎマゾのケツマンコ)に、時間の管理などどうでも良くなった。
令音でこれなのだ。きっと誰が相手でも上手くいく。否、上手くいかせなければこの異常で淫猥な事象から抜け出すことはできないという確信があった。
露出から連なる欲求。五河士道は支配願望。村雨令音は破滅願望。果たしてこれが異なる欲望を孕むのか、あるいは伝染するのか。
「令音さん、今からチンポでこのケツ穴引っぱたきます。気持ちよかったら外に聞こえるくらいのオナラでイけ」
まあ、それも露出欲求と付き合っていけば分かることだと彼は考えを切り捨てる。士道は早く早くと放屁アクメでドロドロに濡れた卑猥なケツ穴目掛けて、自分も人のことを言えないくらいズブ濡れにした肉棒を振りかぶって尻穴に叩きつけた。
パチィンッ♥ ぶっぼおおおおおおおおおおおおおおっ♥
「ん゛ほお゛〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥♥ ケツマンコにチンポビンタきくっ♥♥♥ イグぅうぅうぅうぅぅうぅぅうぅ〜〜〜〜♥♥♥♥♥♥」
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書いてたらいつものお下品になってた。ケツマンコ返事は我ながら冒涜すぎて楽しかった。