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いつもご支援ありがとうございます。告知通りにストックから更新させていただきます。と言っても当初予定してたストックとは異なるデアラですが(デアラ自体はもう一作同じような長さのやつが控えてます)

実はこれ完成したの2ヶ月くらい前で、いやこれは理想のが出来たわ満足満足………………公開してないな?とちょっとした会話で私の時々あるとんでもない思い込みが発覚したやつです。

一応以前書いた『ネトラレ・ア・ライブ』のヤリチンにNTRされる令音さんの続編という体ですが、タイトル通り視点主はモブです。私の公開作品だとかなり珍しいBSS(僕の方が先に好きだったのに)ってやつです。いやぁ、書いてる時めちゃくちゃ楽しかったです。精霊たちがエロいことエロいこと。脳破壊の趣味は特にないですが、別視点で彼女たちのエロスを書けるのは貴重な興奮でした。いつも新規要素はデアラだなぁ。


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「ふぁ〜あ……ねっむ」


 学校の廊下で男子生徒が大きな欠伸をしながら、自身の教室へとノロノロと向かって行く。

 彼は都立来禅高校に通う学生だ。入試倍率の高い来禅に入学し、成績上位をキープしている秀才でもある。もっとも、この学園にはより目立つ存在が男女問わずいるため、教師以外からは目立たない学生だが。

 天宮市が頻繁に見舞われていた『空間震』の被害も、昨今はパッタリと止んで勉強に集中できる……はずなのだが、彼の睡眠不足は勉強とは何ら関係ないものだ。

 むしろ勉強が煩わしく思え始めて、遅刻ギリギリの時間での登校になってしまった。しかも鞄のチャックを締め損ねていたのか、大きな欠伸で姿勢を崩した拍子に中身が零れて少年は眉根を顰めた。


「たくっ……」


 せめて教室に入ってから落ちろよ、と苛立たしげに自身の過失を棚に上げて少年はしゃがむ。近くに散らばった物を鞄に詰め込み、少し離れた場所に落ちたものを移動しながら手に取ろうとして、不意に道具が少年の手元にやってきた。

 正確には、驚くほど白く華奢な手で運ばれてきて、少年は目を見開いた。


「わっ……や、夜刀神さん!?」

「ん? 落としたものはこれだろう?」

「あ、う、うん。ありがとう……」


 学校随一の美貌が驚く少年に向かっておかしそうに小首を傾げた。いや、この場合は少年のリアクションに何らおかしい部分はない。学校随一とは言うが、少女の美しい容貌はそれに留まらないのだ。

 夜刀神十香。その噂は別クラスの少年すら知っている。暴力的なまでの美貌と、それを鼻にかけない純真無垢な振る舞い。今だって、見ず知らずの少年が落としたものをわざわざ手渡しに来てくれる心優しい一面を覗かせている。

 物を受け取りながら改めて容姿を見ても、彼女の容貌は凄まじいの一言だ。作り物と言われても信じてしまう整いすぎた面に、小さな鼻孔、艶やかな唇。夏服のシャツに浮かぶ乳房は大きすぎず小さすぎず、青少年の心をくすぐる。何か香水を使っているわけでもないだろうに、彼女の腰に烟る夜色の髪が近づくだけで良い香りが鼻梁を刺激した。


(こんな子も、五河ってやつに……)


 十香は見惚れるほど綺麗だ。それだけに、手を伸ばせば届く距離にいる彼女が心を許す存在に少年は嫉妬心を燻らせた。

 この学校には十香を含めた転校生が何人もいて、全員が彼女に劣らぬ美貌の持ち主という奇跡的な巡り合わせがある。けれど、彼女たちの近くには必ず『五河』という男子生徒の影があり、専ら彼のハーレムだと言う噂が立っていた。

 噂の真相は別クラスの少年には分からない。が、こうして十香を眼下に収めると嫉妬心に火が点くのが手に取るように理解できた。


「や、夜刀神さん、あの……」

「ではな。おまえも早くしないと遅刻してしまうぞ」


 少しくらい言葉を交わしてもバチは当たらないと考えた少年の言葉は、カラッとして元気の良い十香の笑みに遮られる。


「士織、待たせたな」

「ううん。どうかしたの?」

「いや、困っている生徒を見かけて――――――」


 立ち上がり踵を返す十香を呆然と見送る少年の前で、彼女は他の女子生徒と合流して言葉を交わす。相手は件のハーレム男の従妹である五河士織だ。繋がりで二人の仲が良いのは自然なことであろう。

 そんなことより少年は密かに憧れていた十香と僅かでも言葉を交わし、その優しさに触れたことに心臓の音が高鳴っていた。

 さらに眼福なものが少年の目に飛び込む。士織の元へ走る十香のスカートが勢いよく翻り、ムッチリと健康的ながら目に毒な太ももと、あわよくば彼女の下着が。


「っ!」


 良心の呵責に耐えかねて目を伏せる。あんな純真な子を邪な目で見るのは止めた方がいいと、少年の理性が辛うじて勝った。

 しかしもう一人の彼はそうはいかないようで、ズボンにビキビキとテントを張っている。


「クソ、帰ったら思いっきりシコッてやる」


 まさか学校のトイレで処理するわけにもいかないし、そんな勿体ないことはしたくなかった。優等生らしからぬ物言いで自身の勃起したモノに文句を付けながら、彼はムラムラと立ち上る情欲を放課後まで堪えたのだった。



 待ち望んだ学校の終わりに少年は一目散に家へ帰った。今日はバイトも入れていない日で、やることは彼の中で一つしかない。

 部屋に鍵をかけて籠ると、勉強道具として与えられたノートパソコンの電源を入れた。表面上は平静に見えて、ところどころで忙しなさが隠せていない。鞄を放り投げ、着替えもせずに椅子に座って立ち上がりの遅いPCにトントンと指で音を鳴らす。

 少年の苛立ちにも似た焦りにゆっくりと起動したPC。彼は早速あるサイトにアクセスした。連日、このサイト以外の閲覧履歴が存在しないほど入り浸った彼の居場所へ。


『♥セフレ・ア・ライフ♥』


 何とも安っぽいフォントで飾られた成人向けサイトが画面に出る。もちろん、高校生の彼が閲覧していいものではないのだが、彼は軽度な違法性など気にも留めずイヤホンを耳につけた。

 昼間、スマホで隠れて見た時に見かけた新作動画をクリックする。


『んっ、おぉぉぉぉ♥♥ お゛ぅ゛♥ お゛ほお゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛♥♥♥』


 瞬間、画面にえげつない顔をした女のセックスシーンが流れ始めた。唐突すぎるそれに少年はビクリと肩を跳ね上げ、慌ててズボンを脱ぐ。

 スレンダーな少女は裸で四つん這いになり、画面にその容貌を晒していた。目元こそ太い黒線で巧妙に隠されているが、一目で整った顔立ちであると分かる。そんな整った顔が、背後から突き立てられたペニスで信じられないほど下品によがっている。息も絶え絶えに、えげつない顔でえげつないオホ声を張り上げていた。


『おー、今日も――せんせーはえっぐい声出すなぁ。昔受けたってアレのせいで癖になって、本気でヤられると本性見せるってやつ?』

『んひゅ♥ おぉ……お、思い出させないで、い、今は♥』

『分かってるって。安心しな。俺が、全部忘れさせてやるからさ』

『〜〜〜〜〜〜っ♥♥♥♥』


 そんな整った顔が、下品なオホ声から目を見張る乙女の顔になる時がある。顔がモザイクで見えないが、身体や衣服に着けた装飾が見るからに〝チャラい〟男に言葉を囁かれた瞬間だ。

 動画の中で少女を抱く男は、何をどう見ても軽薄だ。けれど彼はモテた。でなければ、サイトの動画に出演する少女たち〝全員〟が、彼に安っぽい愛を囁かれて初心な赤面を見せて、彼のチンポに抱かれて素人から見ても本気の官能を感じるはずがない。

 チャラ男はモテる。黒線で隠しきれない美貌の少女たちを毎日毎日、毎日のように抱き回す。少年はそのお零れを貰って肉棒を扱いていた。仕方がない。動画がエロすぎる。まるで自分が彼女たちを好きに抱いている錯覚を味わう。この射精と共に、雌顔を晒した少女に射精をぶつけて――――――


「……あ」


 不意に画面がブラックアウトし、彼は射精寸前の肉棒を扱く手を止めてしまう。


「はぁ……最初から本番だから、いつもより短いのか……」


 勢いで射精せそうだとは思ったが、ため息を吐いて止めた。あんなにもエロい映像を見た後では、単に吐き出すなど虚しくて仕方がないのだ。

 中身に肩透かしをされたわけではないが、気持ちよく果てる瞬間を見失った虚脱感が彼を襲う。射精したわけではないのに、賢者の時間が始まった憂鬱な気分に陥った。


「2亜ちゃん、エロかったなぁ。俺もあんな子としたいよ」


 動画の子は『2亜』とサイトに明記がされている。無論、文字の組み合わせから本名ではないだろうと少年は察していたが、彼が閲覧できる動画内では規制音で徹底して名が伏せられているため、確認する術はない。

 顔にしてもそうだ。彼が見れる範囲の動画に出演する少女たちは、皆が何かしらの方法で目元を隠して全容を拝むことが叶わない。

 それらを解消する方法は明確だ。故に学生の少年は手の打ちようがなかった。


「お金、もっと貯めないと」


 課金だ。この『♥セフレ・ア・ライフ♥』は有料課金サイト。しかもだ、会員になるだけでも相当の課金額を強いられる見るからに危険なサイトなのだ。

 仕組みは単純だ。会員はサイトへの投資金額によってグレードが決まる。初期課金額では有料動画の開幕数分のみを閲覧可能で、上記の投資とは別途の追加課金で一本フルで見られる権利が与えられる。それらの動画内で女の子は必ず顔を手や黒線で目元を隠した姿で、名前も『2亜』のように誤魔化されてしまう。

 しかしグレードを上げさえすれば目線無し、本名公開、果ては本人のスリーサイズを大々的に公表したPVなどが閲覧できる……というのがサイト内の掲示板に書かれているのを少年は見かけた。彼は先の途切れた動画の通り初期課金のみの会員であるため、実際に確かめることは叶わない。

 これだけで不当、違法な課金制度だと分かるし、顔を隠すだけで肝心な部分にモザイクを掛けていない規制が緩すぎるサイトだとも思う。しかし、会員は加速度的に増えているようだ。

 かく言う少年もその一人。学校で噂を聞き、興味本位で探し当てて、僅かに見た美しい少女の姿をどうしても忘れられず課金会員になってしまった。

 それだけの魔力が少女たちにはあった。輪郭だけでも、男としてすべてを費やして手を伸ばす価値がある。そんな魔性とも言う魅力が彼女たちにはあり――――全員がチャラ男に惚れているという異常な現実。


 あんな安っぽい言葉を吐く軽薄な男に何故、と疑問を抱くが答えは出ない。考えたところで意味はないし、少年は先の没入感を味わえるだけで十分だった。

 というのも、サイトの正体を探ろうとした者、または少女たちの出自や居場所を特定して直接会おうとした人間は例外無く〝消される〟と掲示板に入り浸る会員の中では当たり前の認識であるらしい。当然、入ったばかりの少年が真相を知る術はない。こんなサイトを運用できる人間なら何ができてもおかしくないと納得し、やぶ蛇を突くこともしない。学生の彼にとってこのサイトは魅力的で手放し難いのだ。下らない詮索で万が一にでも失いたくはない。もちろん、下級の会員には降りてこない情報を知りたいとは思っているが。


「やっぱり上の動画が見たい……」


 ポツリと呟く。初めの頃こそ顔を隠した少女たちの背徳感が刺激になったが、今は彼女たちの顔や名前が知りたいと課金欲を刺激されるようになった。

 しかし、この会員制裏サイトは何度も言うように課金制度が酷く重い。学生の彼が普段使えるお金では、初期課金額でも相当な負担になった。今はバイトに精を出し、グレードをどうにかして上げようと必死なのだ。

 このサイトに入り浸りながらバイトを増やす。如何に若い身体であれど、限界はどうあっても見えてきていた。たかがエロ動画に少し熱が入りすぎている。今日だってくだらない失敗で彼女に迷惑をかけた。


「っ……夜刀神さん……!!」


 入り浸り過ぎるのは良くない。今日は妄想で抜く。彼は気づけば十香の笑みを頭に浮かべ、肉棒をシコシコと擦っていた。学校で出会った直後は純真な彼女を邪な目で見ることを忌諱していたのに、美しい少女が下品によがる姿を見て、思春期らしい気遣いをあっさり忘れて猿のようにシコる。

 十香の笑顔、十香の絶対領域、そして彼女を侍らす男への苛立ち。朝からの苛立ちのありったけを射精に込め、陰嚢から濃厚な精液が上り詰めようとしたその時、彼の手はまたしても止まらざるを得なくなる。


「え………………」


 ふと、更新されたサイトに目がいった。管理側のサーバーと繋がっているため、閲覧側が何もせずにいても更新が入ってしまえば強制的にウェブのページの上に現れる。少年はそのことをおかしいとも危険とも思わない。今は、更新された動画のサムネイルに目と心を奪われた。

 動画のサムネイルには目元を手のひらで隠した少女の姿がある。その髪は黒い。単なる黒ではなく、穢れなき夜空の如く澄んだ紫紺に近い明るい黒髪。少なくとも、一度見たら忘れられない綺麗な髪の色合いだ――――そう、ちょうど今朝、彼が鼻腔をくすぐられる距離で垣間見た髪質にそっくりだ。


『見ろよこのサイト、すっげぇんだぜ! 実はな、来禅(ウチ)の生徒も出てるんじゃないかって』

「……………………」


 噂の元凶とも言える同級生を今になって思い出す。彼の顔は輪郭すら思い出せない。けれど、言った言葉は覚えていた。

 オナニーを半端に止めて痛いほど勃起した肉棒をそのままに、少年はマウスを握った。カーソルが吸い寄せられたように動画への課金画面に向かう。

 動画のフル視聴には課金が必要だ。ただし、視聴だけの課金は会員グレードの向上に繋がらない。目先の動画なんかより、上のランクで得られる価値の方が遥かに高い。

 そう正しい方を理解しているのに、彼は大事な投資金額を更新されたばかりの動画に使ってしまった――――――



【元気なエロ女、10香ちゃんのオナニーショー(笑)】


 理由は完全視聴用の動画タイトルで知れた。ベッドに座るチャラ男の膝に腰を落ち着け〝出演〟した少女は、目元を隠す手のひらでは抑えきれない暴力的な美貌と艶やかな夜色の髪をなびかせていた。

 見間違えるはずがない。目を隠すあの手で、少年の所持品を手渡してくれた。あの裏側には水晶の如き瞳が浮かんでいるはずだ。名前だって隠すつもりがない。

 夜刀神十香が、チャラ男に身体を預けている。頬を初心な乙女のように火照らせ、チャラ男に身体を無遠慮に撫で回されようと一切の抵抗はしない。

 密かな憧れを抱いていた少女がチャラ男の女だった。なら五河は、学校での姿は、と少年の頭に様々な混乱がもたらされた。


『はあぁんっ♥♥♥』


 全部、十香の甘い吐息で吹き飛んだ。シャツの上からチャラ男の手で揉まれた十香の乳房は、今朝見た以上に大きく見えた。恐らくブラジャーを付けていない。だから本来の大きさが露になっている。

 チャラ男はそれを遠慮なく揉みしだいた。『2亜』の時には感じなかった苛立ちは、手を伸ばして掴めるかもしれない距離にいた十香が好きにされているからだろうか。


『ん……っ♥』

「っっ!!」


 胸の愛撫に合わせたように十香がスカートを捲った。少年は、今朝覗き込むことを自ら戒めたその中身に、頭部を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。

 夜色の剛毛が透けるどころかはみ出てしまうほど小ぶりな下着。それだけでも十香への清楚なイメージが消え失せるほどの衝撃だと言うのに、下腹部には品性下劣な隠語の落書きが施されていた。

 『俺専用まんこ』『アナル貫通済み』『アイアム・セフレ♥』。動画としても注視するポイントなのか、カメラが彼女の身体に近づく。染み一つ見えない白磁の肌に卑猥な落書きは、ありとあらゆる意味で冒涜的で、十香がチャラ男の恋人(セフレ)であることをより一層視聴者に理解させた。


『うわえっぐ。これで学校行くとか――ちゃんド変態だねぇ〜』


 もしかしたらあのスカートの裏にはあったのかもしれない。今日、もう少し覗き込めば生で見られたかもしれない。そんな妄想を肯定するようにチャラ男が言葉を発した。


『これはっ♥ おまえがやれと言うからっ♥』

『俺はやってくれたら嬉しいな〜くらいしか言ってねぇし。ま、気持ちはもち嬉しいケド』

『うぅ……し、仕方のない男だ♥』


 男に頭を撫でられた十香の頬がデレッとした。酷く抽象的な表現だが、そうとしか言えないくらい緩んだ。チャラ男の手は十香を愛でるというより、自分のモノであることを楽しみ、機嫌を取ってやるかという傲慢な思いが何となくだが伝わってくる。しかし、十香はチャラ男が自身を撫でる手を愛おしげに、宝物を受け取るように応えた。

 あんな男のどこがいいのか。ほとんどの視聴者はそう思っている。だが十香の美貌が蓄えた至福の微笑みで、理屈ではない部分で理解を強いられた。夜刀神十香はチャラ男に心の底から惚れている、と。


『ほら――ちゃん。カメラの童貞くんに見せてあげないと』

『あ……う、うむ♥ 私のオナニー♥ しかと見届けてくれ♥』


 ドクンと少年の肉棒が鼓動した。明らかにチャラ男が言わせていると分かる対外的な言葉は、埋め難い隔絶を彼に与えた。同時にカメラがビクリと揺れたように見えたが、些細なことだ。手ブレを速やかに補正したカメラは、股を開いて薄い下着を取り払った十香の秘所を映し出した。

 予想通り太ももの内側には、何となく想像していた落書きが施されていた。それ以上に目を引いたのは、もちろんモザイクや修正のない生の秘部だ。それも、密かな憧れを抱く美しい同級生のモノと思えば得も言えぬ感情が沸き起こった。

 夜色の恥毛に囲まれた媚肉は、膣の奥から既に大量の愛液を滴らせていた。下着が濡れて透けていたのだから当然の光景なのだが、あの清楚で純真な十香が、という衝撃は未だ抜けきるものではない。


『あんっ♥ んっ、あっあっ♥♥ んん〜〜っ♥ ふ、んんっ♥』


 その秘部に指を挿入れ、掻き回す動きで少年の情緒は壊されていく。純粋だと思い込んでいた十香の手つきは、オナニーに慣れ親しんだ淫らなものに見えてならない。

 艶やかな唇が声を抑えるのは、最後に最も気持ちいい絶頂を迎えるために必要な我慢。膣の浅い部分を執拗に擦るのは、そこが一番気持ちいいと知っているから。

 カメラは、淫らな十香の魅力を知り尽くしているように、情欲を掻き立てられた少年が望むように彼女の艶姿をレンズに収めていく。


『――ちゃん、我慢ばっかしてないで、もっと元気にイこうぜ。そっちの方がキモチイイかもよ?』

『んっ♥ わかった♥ お、おまえがそう言うなら……あんっ♥ あっあっ、あ♥』

『可愛いね、――ちゃん♪』

『っ、んひぃぃいいぃんっ♥♥♥』


 だがそれもチャラ男の言葉で一変する、変わり果てる。単調に褒められただけで、十香は顔を覆う手が外れそうになるほど腰を勢いよく弾ませた。チャラ男に愛を囁かれたら、それだけでイッてしまうんじゃないか、なんて考えが脳裏をよぎった。


『あぁっ、んはぁ♥♥ はぁ、い、イク♥ イッてしまう♥ おまんこ、イク、イクのだっ♥ イクッ、イクイクぅぅぅ……♥♥♥』

「っ、あ……!!」


 少年は慌てて肉棒を掴んで扱き直す。十香が、チャラ男に教えられたであろう低俗な淫語を叫び始めて、その絶頂に合わせて射精したいと手がチンポを反射的に握った。

 購入した動画なのだから見返せばいいだろうに、その時は画面の中にいる十香と一緒に果てることしか考えられなかった。最高に気持ちいい瞬間が味わえると本能で悟った。

 少年が肉棒を扱く、十香が女性器を掻き回す。どちらの動きも激しくなってシンクロして――――チャラ男が十香の唇にキスをした。


『っ〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥♥』

「あっ、あ……」


 びゅるっ♥ びゅるびゅるびゅるびゅるるるるるっ!♥


 気持ちいいのか悔しいのか、その射精はここ最近で一番の勢いを伴って周囲に飛び散った。十香の腰が跳ね上がって、指が挿入された膣穴からブシュブシュと本気汁が吹き出している。それに合わせてイケたのだから、気持ちいいに決まっている。けれど、チャラ男と十香のキスを見たことで苛立ちが不快感になって、その気持ちよさが阻害されたようにも思えた。


「……っ!!」


 少年は何も考えず肉棒を扱いた。何も考えなければ気持ちいいだけで済む。購入した動画を使い倒さなければ、衝動的な課金の意味がなくなってしまう。

 十香で射精することに抵抗はなくなっていた。淫乱な同級生。落ちぶれた少女を見て、勝手な優越感に浸りながら彼は興奮した己の逸物を慰め続けたのだった。





 少年はバイトから最高の機嫌で帰宅した。いつもは疲れて、裏サイトで抜いて寝ようとしか思わないのに、彼は優越感で有頂天になり身体の疲労さえ忘れた。

 会員料のためにバイトに励んでいた彼は、警備員の仕事中にある少女と出会うことができたのだ。

 誘宵美九。顔出しから今や世界に羽ばたくトップアイドル。天宮祭で遠巻きではあれど目撃したアイドルと、今日は間近で会うことができた。もちろん警備員として、偶然通りかかった彼女にお疲れ様です、応援していますと震えた声で声援を送っただけで、会話と呼べるものはしていない。


『いつも応援ありがとうございますー。……ふふ、同じ学生の方に応援してもらえて嬉しいですー』


 ただ、最近の誘宵美九はファンサービスに積極的だ、という噂は本当で、いきなり話しかけた警備員に彼女は鈴の音のように透明な声色で、微笑を向けて返してくれた。それは、少年の心を掴んで僅かでも特別な思いがあると錯覚させるほどの力を秘めていた。


「本物の美九ちゃん、すっごく綺麗で良い匂いだったなぁ……ああクソ」


 夢見心地に少年は美九の顔を、声を、匂いを思い出す。ズボンの隆起が今日ばかりは煩わしく感じた。

 さっさと抜いて気持ちよく寝てしまおう。儚い憧れから毎日のオナネタに落ちた十香の動画を開こうとした少年は、サイト内のとある記事に目がいった。

 それは男が書いた日記形式の記事、所謂『ブログ』だ。よく見ればオナ盛りの少年が十香で射精しまくってる間に、新着記事が何件も溜まっていた。

 チャラ男がいなければ少女たちの艶姿を見られない。けれど、チャラ男がいるから手が届かない。自分にもチャンスがあったかもしれない。そんな〝思い上がり〟を抱いていたら、男が書いた記事なんて見たくもなくなる。

 だから少年はブログをほとんど閲覧しなかった。だが今日はさっさと処理してしまおうとして、日記に添えられた画像だけでいいかと新着記事を何気なく開いた。


【現役アイドル・美9ちゃんのエロダンスライブ♥】


「…………あ?」


 見た瞬間、思考が停止した。記事を開けばタイトルが、添えられた一枚の写真が、チャラ男が書いたと分かる軽薄な文字列が映っていた。だから思考が理解を超え、喉が低く唸った。

 どれも動画に比べれば衝撃度は落ちるはずなのに、彼は十香の出演動画以上に脳を殴り付けられた。一瞬を切り取った静止画から目が離せず、チャラ男の声が脳内で勝手に再生されていく。


『アイドル失格のマン毛と腋毛振り回して腰ヘコダンスー。ライブのリハで遅刻した罰です(笑)

だーりんだーりん煩いからデカ乳揉んでチンポで黙らせた現役アイドルちゃん。今は俺がマイだーりんだってさ。低俗課金額に見せるのは初めてカモw』


 仮にも支援者を馬鹿にした物言いと、真実を映す一枚の写真で脳みそがシェイクされたように彼は視界が震えた。

 揺れる視界は、されど目の前の画像を見逃さない。グラビアアイドルさえ正面から打ち破れるグラマラスな身体に、長い紫紺の髪。その長さは何ら比喩表現ではない。引き締まりつつ程よい肉をつけた身体の〝あちこち〟に生い茂っている。

 それは下品な両脚開きの股間を鼠径部ごと覆い尽くすほど。それは仮に腋の下を締めたところでチョロリと飛び出すほど。

 全裸ガニ股腋見せポーズで見せつけ、一枚の写真であるのに躍動感を覚える腰振りで腋毛とマン毛の剛毛をなびかせた長身の少女。揺れた爆乳の先端は、銀色のピアスが彼女をチャラ男の所持品たらしめる輝きを放っていた。

 目元に黒線が引かれた顔は、逆に言えば輪郭がはっきりと見える。忘れるはずも見間違えるはずもない可愛らしい面の少女は、きっと心に直接染み渡るような美声をチャラ男だけの下品な嬌声に変えて。


 少年は慌てて記事を切り替えた。


【元・生意気女狂3の変態ケツ穴をイかせてみた(笑)】


 その努力に意味はあったのだろうか。彼の目には、以前十香のクラスに転入してきた蠱惑的な少女の、遠目からでも分かる射干玉の髪が、緩んで焦げた色をした間違っても綺麗と言えない尻穴の周りに生え広がっている写真が映った。


『10香ちゃんの同級生完堕ちカンリョー記念(笑)

初めてやった時はキャンキャンうるさかったけど、何回かケツ穴で遊んでやったら、今じゃチンポ入ってないと狂っちまうアナルジャンキーになっちゃった。ザーメン排便が趣味だなんて終わってるよなw

今はセルフでケツ穴拡張やらせてるから、その内スイカをねじ込んだ動画アップする予定デス!』


 ――――気づいたら嫌悪を超えて肉棒を扱いていた。

 前に戻って美九の剛毛で、その後は転校生の穢れた尻穴で。どちらも白磁の肌との対比が、信じられない量の精液を陰嚢から尿道へ吐き出させた。何か得体の知れない興奮が芽生えたのか、少年は一心不乱にチャラ男のブログを読み漁る。


【デカパイロリの6喰クッション】

『馬鹿でけえ胸を足で踏みつけたら牛みたいな声で鳴いてクッソ笑える。まだ中〇生なのに、デカくなりすぎて垂れ始めて乳首もデカくてめっちゃ下品(笑)

その内孕ませて母乳出させる予定。産地直送、メス牛ミルクお届けで~すw』


【カワイ子ちゃん4糸乃、ション便マニアだなんて終わってるだろ(笑)】

『尿道ゆるゆるの4糸乃ちゃんはおしっこでイっちゃうマジ変態ロリ!

散歩で外の電柱にやらせたら、その時に野外立ちション癖に目覚めたらしいっす。実はこのサイトのロリコンどもの一番人気(笑)』


【エセクールOR紙ちゃんのイキ声汚ったなw】

『クールだったOR紙ちゃん。好きな男がいたみたいだけど、今じゃ俺の上で腰振るのが大好き!

ちょっとマンコ触っただけで即イきざこマンコ(笑)

命令されるのが好きみたいで、色々無茶させてまーす!

「イキます!♥ イグッ!♥ ありがとうございます!♥ ありがとうございます!♥」だってさw』


【マゾ女K倶矢の、学校生活!】

『MのK倶矢は縛られるのが大好き! 手錠にロープ、目隠し! お願いしたら自分でキッコー縛りしてきたときは笑った。

こないだ学校のロッカーに裸で縛って閉じ込めた時は興奮しすぎてマン汁ぐしょ濡れで掃除が大変そうだったw

U弦とセットで抱くと張り合って楽しいわw』


【7罪&琴Lの露出万引き中〇生】

『メスガキだった二人に、裸コートで散歩させてみた! 貧乳の乳首ビンビンでウケル!

やりたくなったけどコンドーム忘れたんで、二人に万引きさせたったわ(笑)

まじ涙目でビビりまくってチンポ勃った。ご褒美で中出しでーす♡』


 見れば見るほどに陰茎が脈を打ち精液を垂れ流し、読めば読むほどチャラ男への憎悪が増す。

 彼女たちにこんな酷い、人権を無視した行為を強いるなんて。などと、だから童貞なんだと小馬鹿にされる思考が我に返ったのは、ブログの動画リンクに気づき、クリックした後のことだった。


『えへっ、えへっ♥ どうですかぁ、私のダンスゥ♥ もじゃもじゃ腋毛から汗とフェロモンぷんぷんですぅ♥ お仕置きぃ♥ もっとしてくださーい♥ ドスケベお下品アイドル――にぃ♥ おちんぽじゅっぽじゅっぽしゃぶらせてくださぁい♥』


『そこぉ、良いですわぁ!♥ あなた様の逞しいおチンポで、わたくしのアヌス、ケツ穴ぁ、もっと突いてくださいましぃ♥ あっあっ、出ますわ♥ 汚ったないケツ毛アナルからザーメンぶりぶり漏らしますわぁ♥』


『むぎゅぉぉぉぉ!!♥♥♥ もっと、もっと踏んで欲しいのじゃぁ♥ むくの大きく、だらしない垂れ乳を♥ 主様の望む通り、もっともっと大きくするのじゃ♥』


『外で裸になるの、スース―して、恥ずかしくて、気持ちいいです……♥ 私の、壊れた尿道から、いっぱいおしっこ出るところ、あなたに見て欲しいです♥』


『イく、イクゥゥゥ!♥ イきます!♥ セフレNo.1、マンコ弄られてイきます!♥ もっと、もっと言って♥ なんでも、何でもします♥ あなたの為なら、何でもできる♥ おまんこ絶頂、ありがとうございますッ♥』


『ひぃ、ひぃぃぃ♥ きつい、苦しいの、いい♥ 縛られてると、愛されてるの感じて、子宮、キュンキュンしちゃうのぉ♥』


『ただいま、戻りました♥ 言われた通り、これ、コンドーム♥ レジに通さないで、万引きしてきたわ♥ 悪いことなのに、簡単にやれちゃった……もう、あなたが命令したんでしょ!♥ いじわる♥』


『アンタに言われればなんだってするわよ……ねえ、言う通りにしたから、早くセックスしてぇ♥ 万引きした悪い子たちに、正義ちんぽのお仕置きの、ちょうだい♥ もう我慢できないのぉ♥』


 誰も、チャラ男に無理を強いられてなどいなかった。少年の憤りは余計な気遣い、お節介以下の馬鹿な八つ当たりでしかなかった。

 美九からの流れで出しに出し尽くした後、少年はある記事に目を向けざるを得なくなった。


【男失格(笑) メス堕ちS織ちゃんのオネダリww】

『いつもカメラマンごくろーさまです(笑)

外で10香ちゃんとやってたら我慢できなくなって全裸土下座してきたw

試しに「首輪を着けて全裸で犬のチンチンポーズのままアヘ顔ダブルピースでハメ請いしたらチンポくれてやる」って言ったらマジそっこーでしてやんのww

かわいそーだからたっぷりメスイキさせてやった、10香ちゃんも優しーって言ってくれたわ。

たまにセフレの玩具にしてやることにして、それと変態にエンコーさせて、たっぷり稼いでもらわないとな!

頑張れ、S織ちゃん(笑)』


 五河士織。間違いなく、あの士織だ。股間の逸物を蓋状の貞操帯で押し潰され、陰嚢は子供のように収縮している。けれど彼女は男だ。そこらの少女より何倍も可愛くて愛らしいのに、男だった。正直、あれだけ調教された身体と可愛い容姿なら十分に興奮できてしまうほどに。


(アイツが男なら……ま、まさか……嘘だろ……?)


 肝心なのは士織が男であった事実ではなく、そうであったとしたら〝元々〟は誰なのか。少女たちがチャラ男に調教を強請ってまで傍に置きたかった〝元男〟など、たった一人しか思い浮かばない。

 少年は布団を被って眠りについた。恐ろしいものを覗いている。チャラ男は、テクニックが秀でているだけではない〝何か〟を持っている。そのことを今さらながらに知って彼は恐ろしくなった。

 けれど課金を止めるつもりはなかった。もっと見たい、見たいのだ。少女たちと、五河の落ちぶれた姿――――あんなモノたちよりは、自分はずっとマシだと言い聞かせて。





 オナニーとバイトに精を出し続けていれば、自然と学業に支障が出るのは分かりきっていた。それを誰かに指摘されることもだ。

 小テストで今までにない点数を取った彼は、教師に呼び出されて面談と指導を受けることになった。


「……君の成績は文句の付け所がほとんどなかった。しかし、だからこそここ最近の結果は気にかかると君のクラス担任から相談を受けた」

「え、あ……えっと……」

「……何か悩み事でもあるのかい?」


 あるにはある。が、言えるはずもない。高校生の身分であることを差し引いても、裏サイトに入り浸って勉学に支障をきたすなど人としての恥だ。


 それを、よりにもよって憧れの村雨令音に告げるわけにはいかないと、少年は彼女の前で口を噤んだ。


「……ふむ。やはり、担任でない私には言い辛いことかね?」

「い、いえ、そんなことありません。む、村雨先生に、相談に乗ってもらえて、嬉しいです。ただ今はその、欲しいものがあって、アルバイトをしてて……」


 令音はちょうど十香が転校してくる前に赴任した物理教師で、少年はその美貌とスタイルに以前から心惹かれていた。

 確かに目元に浮かんだ深い隈は不健康そうに見えるし、よく倒れかけるところも目にしている。けれど特徴を差し引いても滲み出る気品と、白衣の下に浮かぶ青少年の憧れである豊満な色香に彼はどうしようもなく恋焦がれた。十香を即オナネタに切り替えられたのも、一番は令音という思いがあればこそだ。

 きっと、この人の魅力に気づいているのは自分だけだ。彼は本気で考えていた。生徒が教師に憧れるだけでなく、自分だから魅力に気づけたのだと。


「……そう、か。たしかにここは学生のバイトを禁止してはいないが、学業に支障をきたすようなら……んっ♥ 注意せざるを得ない……ふぅ……♥」

「っ……」


 令音が生脚を組み換え、熱っぽい吐息を発した姿に少年は息を呑んだ。

 彼女の色気が増してきたと気づいたのは、やはり自分が最初だろうと彼は思う。タイツを履かず、代わりに薄くだが化粧をするようになった。白衣からボロボロのぬいぐるみがいなくなり、髪を丁寧に結い上げるようになった。

 そして、自分の前で甘い吐息を発し、頬を紅潮させている。今までなら、令音が絶対にしなかったことだ。


(もしかして、お、俺に……)


 これは自分の視線に気づいてくれたから、自分といるから――――などと自惚れを覚えたのは、彼が裏サイトに入り浸ったせいなのかもしれない。


「村雨先生、お、俺、どっちも頑張りますから……!」

「……君には期待しているよ……ぁんっ♥」

「は、はい!」


 少女たちを見下し、チャラ男を嫌悪しながら自己投影して肉棒を握り続ける。その虚しさと傲りの一線は令音への憧れで遮られて少年に届くことは無い。


 令音から励ましを受けたその日、彼の気分は勉強を放り出してまたもや高揚を禁じ得なかった。


「やった! やっと貯まったぞ!」


 バイトの給付で課金を増やせる、つまり会員のグレードを上のものにできるようになった。十香の動画に費やした分、予定より遅くなったグレードアップがようやく今日から叶うのだ。

 無論、上級会員の維持費問題と学業が疎かになった現実の問題は解決していない。だが気にしない。後のことは気持ちよく出してから考えればいい。彼の目先の欲のリスクを考えず喜ぶ癖は、少女たちを開き直るように見下し始めてからより酷くなっていた。

 傍から見れば醜くとも、当人からすれば素晴らしいことだ。落ちぶれた少女たちで己を慰める哀れな少年は、椅子に座ってありったけの給付を課金に注ぎ込んだ。


「これで課金完了…………!!?」


 これでグレードが上がる。その喜びを遮るようにPCの画面が極光を放った。

 何事かと手で顔を庇って数秒後、少年の前には一人の少女が佇んでいた。


「へ?」

『……起動完了。初めまして。私は『セフレ・ア・ライフ』の管理者を務める人格プログラム、MARIA(マリア)です』

「ま、まりあ?」


 ええ、と少女は画面の中で首肯した。色素の薄い長髪の、歳は中学生くらいだろう。兎にも角にも幼い印象だが、理知的な雰囲気を醸し出す不思議な語り口だ。


『もう少し分かりやすく言うのなら、私はAIです。思考と感情を持つ機械と思ってください』


 その理由が機械だからというのは、納得が行くようでいかない。ありえない。AIを動かせるスペックを、安物のPCが持ち合わせているものか。


『こんな最低限のスペックで私を動かせることができると思われるのは心外です、――――さん』

「え、なん」

『来禅高校〇学年、一組。出席番号は19。友人関係は希薄ですね。――さん、――――さんも心配していらっしゃいますよ?』


 自分の名前、学校、友人関係に親の名前。マリアに次々と言い当てられて、それが全て完璧に的中していることに少年は言葉を失い戦慄した。


『どうです? その気になれば、あなたの幼少期からの経歴も』

「や、やめてくれ! 何なんだよ! 何なんだおまえ! ……くそ、なんで落ちないんだ……!?」


 得体の知れない恐怖が身体を突き動かし、PCをシャットダウンしようと動いた。が、無駄だった。PCは彼の操作を受け付けず、電源を落とすことができない。焦ってコンセントを引き抜くが、バッテリーに切り替わるだけでマリアに操作権を握られていては何の意味もない。


『安心してください。私はあなたに害を成す存在ではありません。その逆です。負け犬のあなたに効率の良いオナニーサポートを提供します』

「ま、負け犬って」


 やっとの思いで上級会員になれたのに、意味不明な理由で押しかけられた挙句『負け犬』と罵倒され、彼の中で恐怖が憤りに変わった――――憤りが性欲に変わり果てた時と変わらず、彼には思慮というものが足りていなかった。


『それ以外に何か呼び名が必要ですか? ご主人様のお零れに預かろうと、はした金を注ぎ込んだお射精はさぞ気持ちよかったでしょう♥ ぴゅっぴゅっぴゅっぴゅっとティッシュに包んで捨てられる精子たち♥ その哀れさ、負け犬以外で表すことがあなたにできると?』

「あ、ぐ……」

『早く諦めて負け犬童貞チンポ丸出しにして、しこしこ準備してください♥ 腐れ童貞チンポが最高に惨めな射精を行える動画を検索してあげますから……ああ。ほら、たった今から始まりますよ。ご主人様と恋人(セフレ)の♥ ナ・マ・ハ・メ♥ 受精セックスが♥』


 画面が問答無用で切り替わり、動画が再生される。今までと違い、ちょうど始まる生ライブの配信のようだが――――――


「ぁ」


 三度、少年は声を漏らした。十香へのほのかな憧れ。美九へのファンとしての想い。何度も何度もチャラ男に打ち砕かれては、オナニーの餌に変えた。正しく負け犬以外の何者でもない。カメラを持つ少女の姿をした彼のように土俵にすら立てていない。部外者、モブ、苦痛の映像で射精するマゾヒスト。


【激エロ年増オナホ0音と孕ませ生Live】


 新たに始まるはずだった最高のオナニー生活の幕開け。記念すべき上級会員初の視聴動画の〝出演者〟は。


『……待ちかねたよ、ご主人様♥』


 その美貌を見紛うはずがない。隙さえあれば視線を向けていた美女の面が、その蕩けた微笑みが、初めて見る隠されていない顔が、『セフレ・ア・ライフ』の出演者が――――チャラ男をご主人様と呼ぶ村雨先生その人であると、彼の思い上がった考えを粉々にしながら叫んでいた。


『おーおー、もうサカってるとか。相変わらずドスケベな年増だこって』

『……あなたこそ、相変わらず酷い』


 美しい面を相応しく飾った令音を捕まえて年増などと口にしたチャラ男に殺意が沸いた。

 しかし、令音の怒りは少年の殺意とは何ら関わりがないものだ。否、関わり自体はあるだろう。彼は〝それ〟の目撃者であるのだから。

 令音がおもむろにスカートをたくし上げた。凍り付く少年を他所に、カメラはしっかりと美女の股座を映し出す。


『……こんなものを挿入れさせて、私があなたを欲しがらないとでも?♥ 狡い人だ……私のマンコがあなたのモノに弱いことを知っているだろうに♥』


 少年の逸物が子供のモノにしか見えないほどえげつないバイブが、令音の秘部に突き刺さっていた。処女のように美しいのに、巨大な魔羅を模した淫具を咥え込みダラダラとヨダレを滴らせる。

 ノーパンバイブのマンコは、映像越しでも十数分では到達し得ないほど濡れぼそっていた。それこそ数時間、下手をすれば一日――――面談中紅潮していた理由が、鈍い彼でも理解できたことだろう。


『知らないわけないだろ? 何なら、ケツの穴にもぶっ刺して教え子の前でんほんほ言わせても良かったんだぜ』

『やぁ♥ 意地悪しないで、ください♥ 優しくしてくれるって言ったのにぃ……♥』


 さらに衝撃を受けたのは、あの令音が、あのクールで気品のある村雨令音がチャラ男に媚びたこと。甘えきった口調はチャラ男の機嫌を伺い、くねらせたくびれの腰はチャラ男の肉棒を反り立たせる淫乱な仕草。

 カメラを向けられていること、引いては画面の向こうで見ている負け犬たちのことなど一切眼中にない。少女たちと同じ、チャラ男の恋人(セフレ)。


『クク……可愛いねぇ、俺の恋人(セフレ)ちゃんは。愛してるぜ、令音』

『あ♥』


 歓喜の声。何度も何度も、令音がチャラ男の雌であることを執拗に確認させられる。

 チャラ男が手ずから令音の衣服を脱ぎ落とした。顕になるのは、憧れの美人教師の裸身だ。美姫の如く美しい。信じられないくらい減り張りがある。在り来りだ。視点を支えるカメラの持ち主なら、もっと令音の裸を鮮明に表現することができるのだろうか。

 実際に触れるのはチャラ男、令音の神々しい裸身をいやらしい手つきで撫で回す不躾な男だ。彼女に釣り合うはずのない最低な男の愛撫を、けれど令音は甘い吐息を零し、豊満な女体を自ら押し付け享受した。

 男の手が触れる場所をカメラは映し出す。張りがありながら大きさも主張する乳房。艶かしいという表現は彼女のためにあるのだろう腰。中でもアナルの接写は、排泄の穴であると分かっているのに興奮せざるを得ないくらいに煌びやかだった。雄の猛々しいチンポのために用意された縦割れピンクアナルは、今まで見た少女たちの誰より綺麗だった。その穴を穿ったら令音はどんな反応をするのか、雄である彼はどうしても気になってしまう。


『ちゅっ♥ ちゅっ♥ ちゅっ♥ んちゅ、れろちゅぱっ♥ ちゅっちゅっんちゅる♥♥』


 もちろんチャラ男は自分の願望だけを叶える。カメラの向こうでチンポを扱く負け犬に構う理由はなく、仮に思考を読むことができたとしても同じことをしたであろう。

 チャラ男と令音がキスをした。キスとは、もっと大事に大切にするものだと思っていた。二人はそれをあっさりと、けれど苛烈で鮮烈で熱烈に行為の餌にした。

 唇を啄むように、バード。唇同士が触れ合う、ソフト。舌根を結び合い唾液ごと絡まる、ディープ。

 およそ考えられる全てのキスを令音はチャラ男と何度も何度も行う。カメラは、唇に薄ら塗られたリップがいやらしく舐め取られる様を、令音が艶美な雌の貌をした姿を収め続ける。画面が切り替えられないから、少年は目を背けられない。

 そんなものは言い訳だ。彼は令音の艶姿を見たいと思って目を背けないだけだ。自分だけが魅力に気づいているという思い上がりが、チャラ男に令音が媚びる度にすり減っていく。そんなものは初めからなかった。彼女は最初からチャラ男の虜で、自分はマヌケな想いを抱いていたのだと。

 負け犬の視線など意に介さず、チャラ男と令音はセックスに繋がる濃密な一時を過ごす。キスで繋がったままベッドに倒れ込んだ。令音がチャラ男の胸板に撓垂れ掛かる。そうだ、彼女はこれからセックスするんだ――――なんて負け犬童貞がハッと目を見開く暇もなく、令音はバイブが抜けて空いた穴に肉棒を迎え入れた。


『くっ、ふぅ♥ あぁぁぁぁぁぁぁんっ♥♥♥♥』


 挿入れただけでイッた。そう感じさせるには十分な声と、背中から卑猥に踊る様が見える爆乳の動きと、深く結合した逸物。

 令音からすれば挿入など通過点に過ぎない。チャラ男からすれば女の絶頂など片手間で与えられるものに過ぎない。少年の考えていたセックスが、子供の児戯にしか思えなくなる。


『あんっ、あんっ、あぁぁんっ♥♥ ひゃんっ♥ 気持ちいい♥ 気持ちいいのぉ♥ おちんぽいい、セックス気持ちいいっ、すきぃ♥』

『自分で動いてるのにヤられてるみたいに喘ぐねぇ。好きなのはチンポだけ?』

『あ、違うの♥ 違いますぅ♥ あなたが、好き、好きですっ♥ 愛してます♥ あっあっ、んあっ、はぁっ♥ くっ、いァ♥♥ あぁン♥♥♥』


 それは散々見て、理解してきたはずだ。チャラ男とセックスする少女がどうなるか。まさか令音が例外だとでも思っていたのか。

 そんなはずはない。あの大人びた美女ですら、チャラ男のチンポに跨って腰を振るだけで生娘のように身悶えする。令音とは思えない甲高い嬌声と、はっきりと伝わるように愛を叫ぶ語り口。だが跳ねてピストンする度に見える臀部のたわわな揺れ、乳房の豊満さ、面の深い隈が村雨令音その人である証拠だ。

 何度目を疑っても無駄なこと。令音はチャラ男のチンポに跨り腰を振り、幾度となくイッている。その間、チャラ男は寝転び令音の痴態を悠々と眺めているだけ――――少年は射精を惨めに垂れ流すだけ。


『ん゛ぢゅ♥♥ ぢゅうぅぅぅ♥♥ ぢゅっ、ぢゅっ、ぢゅっ、ずちゅぅぅ……♥』


 女のデカケツが目一杯に映し出された。タンタンと豊満な尻が卑猥に波打ち、その向こうから下品なリップ音が流れてくる。両手を握り合い、品性のない獣のキスをして、その時を待つ。

 その時は、やはり易々と訪れた。セフレに中出しの許可を得る必要はないし、セフレ側も欲しがっている。


 ドプッ、ドプドプドプ♥ ビュル、ブピュルルルル、ブピュッ、プピュッ♥ ドピュドピュドピュ♥ ドピュブビュブビュルルルルル♥


『あぁっ♥♥ ふぁぁぁっ♥♥♥ いくっ、いくぅぅぅぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜♥♥♥♥』


 令音のマンコに溢れ出る精液は負け犬の出涸らしとは違う、雌をイカせる激しい奔流だ。令音は、安っぽいAVのようにイッた。両手を繋いだまま仰け反りアヘ顔を見せた。それは一瞬で、男に引き寄せられてキスをした。


『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ♥♥♥♥♥』


 至福。瞳の憂いが取り払われ、愛しい者とキスをする喜び、子宮に子種を受け取る悦び。雌として最高の幸せを掴み取った、長い長い絶頂と射精。


『ん……愛してる♥』


 令音はお腹をゆっくりと撫でた。もう二度と、この幸せを手放さない。そんな想いを一方的で構わないと、告げた。



『ふふ、令音の猫被りは大したものです。……おや、このままアナルで二回戦ですか。そろそろ令音の本性が見れますよ、準備は――――ああ、聞くまでもなさそうですね♥』


 少年は両手を投げ出し、物言わぬ負け犬となっていた。言葉より饒舌に、萎えた負けチンポが射精をダラダラと滴らせる。何もかも敗北した、土俵にすら立てなかったマゾチンポ。彼の落ちぶれを誰が気に留めようか。管理AIは、ただ業務に従い嘲笑うだけ――――――




 結局彼は地獄と知った裏サイトから抜け出すことができなくなった。

 筒抜けになった個人情報。人生の全てを否定された負け犬の快感。悔しいのに射精のことを考えてしまう。自己投影を止めた彼に待っていたのは、惨め極まりない敗北マゾ射精。

 それだけを生き甲斐にした少年は、それ以外の全てを蔑ろにした。


『おかえりなさい、負け犬チンポ♥ さあ、今日はどの動画でちんぽシコシコします?♥ ああ、もうシコらなくても射精できますよね♥ ノーハンド射精、なんて惨めなんでしょう♥』


 管理AIに嘲笑われながら、彼は剥き出しの萎えチンポをビクビクと震わせる。もう何でも良かった。負け犬射精。これからもずっと敗北感を以って、このサイトの虜になるだろう。


『今日はみんなでご主人様とデート♥ その後ラブホに直行でーす♥』

『おまんこの毛、ご主人様のためにみんなでハート型にしてみました♥ ちょっと恥ずいけど、きっと喜んでくれるよね♥』

『そして実は……うふふ、わたくしたち、妊娠いたしましたの!♥』

『お腹がおっきくなったら、ボテ腹セックス動画……投稿予定、です♥』


 彼女たちはチャラ男のことしか見ていない。どれだけ無様に射精しようと、彼女たちは一瞥もくれない――――ああ、負け犬という表現ですら足りないかもしれない。

 彼女たちが幸せを享受する裏で、金を貢いで射精する哀れなマゾ男たち。彼はそのうちの一人で、二度と語る必要のない者なのだ。


『……これから、たくましいおちんぽ様に、誓いのキスをしていくよ♥ みんなで……、メス堕ち――も一緒にね♥ ……ご主人様、何よりも、誰よりも……大好きだよ♥』



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冷静に考えてNTRからのBSSって何か凄いことしてるなと感じるこの時である。デアラのイチャラブは昔死ぬほど書いたので今書くなら無様特化になるんですよねぇ。脳破壊趣味もないので純粋なBSSにならないというお話。

で、その純愛風味無様エロが前書きで話したやつです。もしかしたらシリーズ物になるやもしれないのでお楽しみに。

Comments

kannagi1209

まさかの続編!めちゃくちゃ良かったです、ありがとうございます!

タコよっちゃん

エロい、これは鬱勃起して止まらない 手が届かない所で憧れが汚され、惚れている 最高でした