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いつもご支援ありがとうございます。とりあえず考え倒して何も書けないってのはアカンよな、と書きたくなった拘束フェチとおすすめされた軌跡シリーズ、っていうか私って言ったら何か軌跡作品のイメージ強くない?まあヒロイン可愛いし書きやすいしな!とやってみた次第です。

最初は緊縛の予定でしたが拘束のみだと難しくない?となり、けど結局拘束しながら色々やってますね?となる。緊縛はまた別の機会にやりたいですね……どちらかと言えば監獄等の厳重過剰拘束が好みなので、形になるかは不明ですが。


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 クロスベルで新たな闇が生まれつつある。巷でまことしやかに囁かれ、抽象的な表現に初めは殆どの人間が気にも留めなかった。

 しかし、各地で女性をターゲットにした誘拐事件が多発し始めると、それはたちまちに曖昧な情報を確定的な犯罪行為へと変えた。

 内外問わず闇を撲滅するために動き出す英雄たち。ようやく大きな壁を乗り越え、道が開かれたクロスベルの地に悪しき闇を持ち込ませまいと必死に足掻く。けれど、そんな彼らの努力を嘲笑うように誘拐事件は加速度的に数を増していった。

 事態を重く見たある一人の女は、噂される闇の本拠地へ独断で潜入を試みた。『劇団アルカンシェル』トップアーティストの座に位置する女は、片時その名を隠して裏に身を踊らせる。

 リーシャ・マオ。またの名を伝説の凶手《銀》は、闇の本拠地に忍び込むことに成功した。


(……マズい。事態は想像以上に深刻なものになっている)


 それは、クロスベルを第二の故郷と思えるほど愛着を持ち、同時にあらゆる壁を乗り越えた彼らの仲間であるリーシャが焦りの水を頬に滴らせる光景だった。

 彼女を焦らせた要因は、偏に組織の規模だ。平和を得たとはいえ、未だ動乱の影響を受けるクロスベル。だが、二度と混乱を起こすまいと様々な勢力が目を光らせていたはずなのだ。

 しかし奴らはリーシャたちの包囲網を容易く掻い潜った。人員、陣地、そのどちらも信じられない規模だった。それはかつて、クロスベルにおいて裏の覇権を奪取せんとした《黒月》でさえ奴らに及ばないかもしれない、などと考えるだけでおぞましい規模をリーシャに想起させるほどだ。

 甘くみていたつもりはなかった。だがリーシャたちの考えは〝つもり〟であって、自分たちは未だ奴らを甘く見据え過ぎているのではないか。壁を乗り越えた今なら、問題なく片付けられると心のどこかで慢心があったのではないか。


(彼らの情報をもっと集めて、ロイドさんたちに知らせなければ)


 去来する後悔の念を振り切り、リーシャは潜入捜査で組織の奥へと手を伸ばした。自分が垣間見た大きさすら、まだ見誤ったものかもしれない。何より、奴ら組織の目的を見定められていなかったことが、リーシャの心に隙を生じさせた。もし誰かが彼女の行動を知っていれば、危険すぎると咎めることができたかもしれない。

 せめて敵組織の目的だけでも、と彼女は密かに足を進めた。厳重な警備網をくぐり抜け、巨大な施設の中枢へと向かう。

 闇の最も暗い部分に身を潜ませたリーシャは、後生大事に秘匿された部屋にダクト内から視線を落とした。

 そうして部屋を見下ろしたリーシャは、信じられないものを目撃した。


「っ!?」


 思わず息を飲んで目を見開く。彼女が目にしたものは、部屋の壁にズラリと並べ立てられた巨大なガラスケースだ。

 中に納められたモノを理解した時、どうしようもない嫌悪と憎悪が湧き上がる。ガラスケースの中身は『人』。モノとして扱われた『人』だったのだ。

 光沢がありながら澱んだ印象を抱かせる黒いラバーに全身を覆い、その上から女体のラインがより浮かぶように黒革のベルトが交差している。革のベルトは面にも結び付けられており、顔の判別を難しくしていた。

 だが、アレは間違いなく人間だ。恐らくは、各地で誘拐された女たちの成れの果て。拘束され、モノのように管理されている。声はガラスケースに遮られているが、キツく締め上げられた身体をしきりに動かしているのがリーシャの目で見て取れた。

 なんて惨たらしい仕打ちであろう。彼女たちの恐怖を慮る気持ちがリーシャの中に走る。けれど大局を見つめ直すという意味で最も重要なのは、彼女たちの〝行き先〟だ。

 あれほど大仰に管理された人間が辿り着く先は、想像に難くない――――人身売買。

 かつてクロスベルを騒がせた闇オークションの再来にして、彼らすら手を出すことを恐れた最低最悪の犯罪に奴らは手を染めている。その何よりの証拠をリーシャは目撃した。

 急ぎここから脱出し、奴らの蛮行を暴き立てる。リーシャは狭いダクトの中で身を翻す。正確には、翻そうとした。


 ダクト内に充満し始めた白い霧状のガスがなければ、彼女は軽やかに脱出できていたことであろう。


「っ――――――」


 咄嗟に息を止めるまでは的確だった。が、侵入経路にした場所が場所だ。ガスが充満するダクト内は、リーシャを察知してとっくに密閉されていた。彼女が覗き込んだ場所が最後の隙間であり、それもたった今閉じられた。

 奴らの所業に、深く沈めていた気を怒りに転じさせてしまった。ほんの一瞬、緩んだ気の隙を付かれた。

 闇は奴らの領域。伝説の凶手といえど、闇に潜むは愚策でしかなかったのだ。。己の未熟さを悔いたところで遅すぎる。リーシャの意識は抗えず、ゆっくりと奥底へと沈んでいった。





 目を覚ましたリーシャは、暗殺者として鍛えられた全ての神経を即座に研ぎ澄ませた。極限の状況下で、深い微睡みを振り払うという容易くはない妙技を披露したのだ――――それが全く無駄だと悟ったのは、己に施された〝完璧な〟拘束を瞬時に体感した時だった。


「んぐっ♥」


 惨めにも甘い吐息が零れた。口に噛まされたボールギャグから涎が滴る。身体に何かを投与された、と気づくまでさして時間は要さない。

 両腕は後ろ手に何重もの拘束具が取り付けられていた。凶手の技を警戒してか、指は広げた状態でその一本一本にバーが付いた指輪の枷を付けられ、閉じることはおろかそれ以上伸ばすこともできない。

 両脚で立つことは出来る。逆に言えば、立つことしかできなかった。太股、膝上、膝下、足首。左右をピタリと閉じるようにベルトの拘束具で締め上げられ、丁寧に棒まで通されていた。指と同じように、一定の位置で固める目的があるのだろう。リーシャがどれだけ力を込めようと、膝は直立したまま曲がることをしてくれない。

 そして衣服は全て剥ぎ取られ、代わりに卑猥なボンデージを着せられていた。局部の一切を隠すことなく、逆に彩る。目的を達成しているのは、リーシャのグラマラスな爆乳や巨尻が『むちむちっ♥』と肉を揺らして主張している光景からも明らかだ。

 動かせるのはせいぜいブーツに包まれた爪先と、巡らせる視線のみ。甘い感覚が走る身体を僅かに捩れば、胸や尻が卑猥に揺れる。厳重な拘束で動きを止められているにも関わらず、女の恥部は激しく乱れる。拘束の本質と辱め、どちらの実利をも取った見事な監禁と言えるだろう。


「お目覚めになられましたか?」

「ッ!」


 リーシャが目覚めたのは、人間を入れたガラスケースが展示された隔離部屋とはまた異なる場所だ。信じられないほど広大な組織の拠点は、彼女一人では到底把握しきれるものではなかった。つまりリーシャが監禁された部屋は、その探りきれなかった一室だ。

 決して広くはない個室内で声をかけられたリーシャは、驚愕した。不意に現れた男の気配を全く感じることができなかったのだ。

 中肉中背で、特筆すべき容姿ではない。格好も印象に残らない。だからこそ、リーシャは底知れぬ恐怖を覚えた。巨大な組織において、彼のように普通の人間という異常が恐ろしいものであるのは語るまでもない。まして、凶手であるリーシャが拘束で動揺していたとはいえ、気配を捉えられぬともなれば、だ。


「まずは挨拶から。私はプロス。あなたは《銀》。そして過日の再事変において活躍された《月の舞姫》リーシャ・マオ。あなたには近々ご挨拶を、と考えていたところに、こうして御足労いただけたことに感謝を申し上げます」


 目を付けられていた。プロスと名乗った男は、十中八九この組織の重役であろう。となれば、彼の言葉を虚言とするのは危険すぎる。即ち彼らは、戦えない市民だけでなくリーシャたちのような武力を持つ人間すら誘拐の対象としていた。


「ええ、お察しの通りです。そしてさようなら、リーシャ・マオ。これからあなたは【商品】となります。あなたが見たモノたちと同じく、全ての人権を剥奪した加工をさせていただきます」

「っ!?」


 思考を読まれた以前に、彼の語る内容があまりにも荒唐無稽でリーシャは目眩がした。

 人をモノとして扱っている。それ自体は、あの光景から確かに予想できたことだ。だが、こう面と向かって【商品】と呼ばれて人権を剥奪するなどと言われ、感情的に納得など出来はしないし、怒りしか込み上げてこない。

 完全に拘束されて身動ぎしかできない。それが分かっていても、リーシャはプロスを睨みつけた。

 絶体絶命の状況下で彼女が見出した希望は、加工に耐えて脱出の糸口を探し出すこと。そして淡く儚く、申し訳なさすら募る希望はもう一つある。万が一のためにリーシャの痕跡を残してきた。この場所には決定的な証拠がある。多少強引でも、味方を引き入れる理由さえ作り出せれば或いは。


「加工の時間は一晩です」

「ふぉっ!?」


 リーシャらしからぬ声を上げたのは、彼女が狙った時間稼ぎが全く意味をなさないリミットが告げられたからだ。

 一晩で〝加工〟を終える。荒唐無稽な語りは三度目にも引き継がれた。


「〝元〟伝説の凶手ともなれば、本来もう少し時間を要したいと考えていたのですが、こちらにも予定があります。御足労の返礼と考えていただければ幸いです」


 どこまでも自分勝手に完結した物言いを皮切りに、部屋の中に人がゾロゾロと入ってくる。彼らは拘束されて一人で動けないリーシャを運び出す。もちろん行く先は〝加工〟場であると想像できた。

 モノのように運び出されていく屈辱感にリーシャは視線を鋭くし、プロスを睨みつける。彼は暗殺者の眼光を何とも思っていない――――リーシャは既に伝説の凶手などではないと、穏やかな目で彼女を見つめ返した。


「商品番号『00271』。リーシャ・マオとして、《銀》としての最後の日を、どうか楽しみなさい」






 何を馬鹿なことを。何があっても名は手放さない。父から受け継いだ自分だけの《銀》と大切な居場所となったリーシャ・マオの名と別れを告げるなどありえない。

 仮にどのような責め苦を受けようと、己が苦痛に屈することはありえない――――――


「ん゛お゛ぉぉぉぉぉーーーーッ♥♥♥」


 などと、思い上がった雌豚風情が喘ぎ始めたのは加工の開始から十数分と待たずしてのことだった。もし彼女が自分を客観視できていたのなら、あまりの無様に言葉を失い唖然としたに違いない。


「ん゛んっ、う゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ゛♥♥♥」


 一撫で、一筆書き。たった今、リーシャの身体を擽った刷毛をそう表そう。刷毛は大小あり、リーシャのへそ穴ほど細い毛から手のひらほど横に広いものまで様々だ。しかし欠かせない共通項もある。それらの刷毛は全て、人の肌を撫でることに特化されていた。傷つけず、されど擽ったいだけで終わらない。肌の神経を黄金比で刺激するためだけに生み出された人加工専用の刷毛が、リーシャの肌を撫でるモノの正体だ。

 それだけならばリーシャは耐えられたかもしれない。常人なら触れられるだけでぞわりと総毛立ち、悲鳴を上げる代物に伝説の凶手ならば。実際、彼女は初めの数分は堪えた。ボールギャグでポタポタと涎を垂らし、くぐもった声を零すという最低限の反応で済ませていた。

 だが刷毛に塗られた女殺しの媚薬が許さない。リーシャの知る媚薬の何百倍という果てしない快感を味わわせる淫汁が、肌の細かな穴を的確に突く毛先を通して侵入してきた途端、彼女の矜恃は崩壊した。今までの学びなど、彼らの技術で無いも同然となる。


 一本の横に太い刷毛がリーシャの下腹を撫でた。


「ふッぶぅ゛うぅううぅぅ♥♥♥」


 口枷の穴から涎を散らし豚の如き悲鳴を上げる。瞼の奥をチカチカと明滅させた女は、裸体より卑猥に彩られた身体を仰け反らせようとして、腹と手と脚に新しく結び付けられた床と繋がる鎖に動きを止められる。

 哀れにも動けない女は、惨めにも腹を凹ませて刷毛を避けようとした。あまりにみっともない行動だった。まだ諦めていないと言えば聞こえはいいが、実態は刷毛がもたらす絶頂快感に耐えきれないだけ。

 彼女を囲んだ男たちの刷毛遣いは的確だった。拷問でも尋問でもなく、女を商品にするための加工。身のこなしではリーシャに遠く及ばない男たちは、徹底した拘束という手段と全身を媚肉とする手管を以て彼女を制圧していた。


 大きめの乳輪が細い刷毛に擽られ、光の反射も相まって淫靡な色を灯す。ムクムクと膨らんだ蕾を大きな刷毛で圧迫するように撫でると、突起が折れ曲がると同時にリーシャの腰が『ビクゥッ♥』と分かりやすく跳ねた。

 その下半身に筆が伸びていく。多くは必要ない。一本が相応に的確であればいい。陰毛に隠れてしまえるほど小さな豆の皮を剥き、細い刷毛で包むように擦る。リーシャの尿道から『ブジュッ♥』と鈍い音の水が吹き出した。

 水が吹き出すほど開いた尿道にさらに細い刷毛が忍び込む。甲高い声を上げたリーシャに、男の一人が「出した方が後々楽になる」と言う。淡々とした助言に当然リーシャは従わない。膀胱を必死に締めて失禁を免れた。

 艶めかしい生尻は太い毛に一筆、二筆、三筆と縦横執拗に撫で上げられた。その隙間を縫って細い刷毛が放射状に広がった皺を撫でる。中心がヒクヒクと蠢いた時にリーシャが「んおっ♥」と他の部位と異なる反応を示した。途端、細い刷毛は反応を見逃すことなく菊門へと殺到した。


「んおぉぉぉぉぉぉっっ♥♥♥」


 屈辱ではなく歓喜を吠える。腰を僅かばかり浮かせたリーシャは、尻穴を毛先で穿られてオホ声を上げる醜態を晒した。月の舞姫がデカケツを捩り、アナルを入口に変えられる快感で絶頂する。

 弱い部分をより弱く。強い部分を同じくない弱く。

 リーシャへの刷毛責めは数時間にわたって続けられた。数時間〝も〟と見るか、僅か数時間〝で〟と見るかは視点による。


「ふひゅー♥ ほぼっ、ぶひゅ……ん゛ぶぅ゛……っ♥」


 英雄に劣らぬ力量を持つ女の身体が、発汗どころか涙と鼻水と涎と愛液、全身からありとあらゆる汁を垂れ流すことを止められないほど堕落するまで、僅か数時間。あるいは一般人なら数分で根をあげる媚薬刷毛で、数時間も撫で回された。

 視点を変えれば解釈はどちらでも一致する。リーシャが焦点の合わない目を彷徨わせ、呼吸の仕方さえ忘れるほどに調教されたことは、どれだけ視点を変えようと変わらない。

 拘束がなければ立っていることさえままならなくなったリーシャだが、加工からまだ数時間しか経っていない事実に戦慄した。これ以上のモノがあるのか、と堪えきった膀胱が破裂しそうな恐怖を覚えた。抵抗心と恐怖は相反すれど両立もする。雌殺しの媚薬は、リーシャの心を衰弱させるには十分だった。

 だが彼女の懸念は的外れだ。この媚薬が振り込まれた時点で、目的の大半は既に達成されている。後は媚薬が完全に浸透するのを待つだけで、男たちが手を下すまでもない。


 ――――リーシャの身柄は加工部屋に寝かされた。ただし、単に眠ることが彼女の役目ではない。身体に媚薬を馴染ませるのが、売りに出される奴隷の大事な仕事だ。


「ン゛ぶオ゛お゛ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ♥♥♥」


 豚が吠えている。三度では済まされないリーシャの嬌声は、十分に品性下劣だった刷毛責めすら上回る下品な代物と化していた。

 さながら、弛んだ媚肉を寝かせる冷蔵庫。リーシャの身体は、吊るされた〝板〟に挟まれていた。ただの板ではなく、淡い紅色の薄膜が張り巡らされた板の中へだ。額縁に飾られた絵画のように、リーシャの全身は〝バキュームベッド〟の中へ投じられていた。

 バキュームベッドは読んで字の如く、対象を圧縮し真空に閉じ込める。パツパツに張った半透明の生地は、リーシャの類稀な爆乳をも平たく押し込んでしまう。肌肉に激しく張り詰めて、先ほど塗られたばかりの媚薬を一滴足りとも逃さず浸透させる。毛がない分はバキュームの圧迫感が補う。外側に残った汁を内側へじっくりと浸透させ、リーシャ・マオという気高い女を娼婦に熟成させる。

 馴染ませ、動かさないための拘束は加速する。ただでさえベルトで雁字搦めにされて身動ぎで精一杯だったリーシャの身体は、もはや身動ぎすら叶わない。


 ギチギチギチギチギチギチッ♥


「ぶん゛ッも゛ぎゅう゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛♥♥♥♥」


 その身動ぎすら叶わない裸体より卑猥なボンデージを、真空はまだ詰めれると圧迫する。獣の雄叫びすら及ばぬ雌豚の悲鳴が広い部屋に響き渡る。部屋に響く悲鳴はリーシャ一人で生み出しているものではなかった。

 まるで肉屋に吊るされた巨大な肉を彷彿とさせた。たわわな膨らみを持った多くの媚肉は、吊るされながらも揺れることはない。一部の隙間も与えずパック詰めされた彼女たちは、媚薬による蕩け顔で美貌を歪めて浮かべることしか許されずにいる。

 蕩けた美貌にも真空は容赦なく襲いかかった。乙女たちの顔面を容赦なくすり潰す薄膜は、ミント髪の少女の蠱惑的な笑みを支える高い鼻を開かせ、豚のように平たく醜く辱める。金髪碧眼の乙女は、薄紅の唇を鱈子を思わせる分厚く惨めなものへと変えられた。

 無論、リーシャが迫り来る顔面ブサイク化の波から逃れられる謂れはなく、彼女の隣に吊るされた薄赤の髪を三つ編みにした爆乳の魔女ごと顔面をパック詰めされ、直立不動で豚鼻鱈子唇のブサイク顔を晒してしまう。乙女どころか人としての尊厳、自尊心が粉々に踏み砕かれる責め苦だ。


『ぶも゛オ゛ほ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぅ゛!♥♥♥♥♥』


 もっとも、リーシャたちからすればそんなブサイクアヘ顔を晒していながら絶頂が止まらない自分たちの身体が、一番恥ずべきものだったのかもしれないけれど。


 リーシャの身体はそのまま一晩中バキュームベッドの中で媚薬を浸透させられた。やがては叫ぶ声すら圧迫され、僅かに身を捩ることも出来ずに夜を明かした。リーシャの人生の中で、最も長く感じる夜だったのは言うまでもないことであろう。




「商品の皆さん、展示の準備が整いました。これより最終加工を始めさせていただきます」


 ハッと目を開いたのは、数ヶ月ぶりに聞いたと感じられるプロスの平然とした声音だった。もちろんリーシャは一晩を乗り越えただけで、しかもプロスの声はほんの少ししか耳にしていなかった。

 だが、凄絶な調教の一晩は、彼の声が恐怖の対象に昇華されるには十分だった。リーシャの横に並び立つ商品(おんな)たちもそうなのか、中には恐怖で失禁している者までいた。

 悶絶のブサイク顔から解放されたというのに、誰一人として喜ぶ者はいない。商品として展示される未来を目の前で示唆され、喜ぶのは真性のマゾヒストくらいだ。

 そしてリーシャを含めた商品たちはマゾになる調教は受けていない。快感と恐怖で打ち震える拘束された身体で、ガラスケースの前に立つ。そう、リーシャが目撃した人を入れる管理ケースだ。怯えて震える女を展示する悪辣なショーケース。呼び名は何でも構わない。これからリーシャたちが納められることが内定した〝居場所〟に、どのような呼び方であれ違いはないのだから。


「商品はこちらを着用し、買い手が見つかるまで管理〝されて〟ください。例外は認めません」


 プロスが示した先を追うと、男たちが黒色の光沢を要したゴム製のスーツを手に持っているのが分かった。それもガラスケース同様、リーシャが見たモノと統一の規格だ。

 例外は認めない、と断言した通りになる。媚薬漬けで身動きができないリーシャたちに抵抗などできるはずもなく、ボンデージと拘束具を外された直後にラバースーツを爪先から通される。


「ふお゛お゛っ゛♥♥♥」


 リーシャが諦めず抵抗しようとした矢先に、ラバーの内側が『ビチビチビチッ♥』と肌に喰らいついた。感覚としては、未だ抜けてくれないバキュームベッドの吸引に近い。アレはベッドを満遍なくバキュームしていたが、ラバースーツはリーシャの濡れて蒸れた肌だけを狙ってピッタリと吸い付く。指の一本一本に枝分かれし、喰らいつく。包み込むなんて生易しい表現が必要ないのは、野太い嬌声を上げる雌豚共で証明される。

 均等な圧迫感は、さながら本物の肌を思わせるほどピタリと張り付く。リーシャの乳首どころか乳輪の形まで分かる。陰裂が、巨尻の割れ目が、菊門の皺が、ともすれば裸体より分かりやすく浮かび上がる。

 首の下から脚先まで隙間なく、ちょうどよく張り付いた黒いラバースーツ。それだけでも身悶えしてしまう締め付けがあるのに、上から革ベルトが結ばれていった。大きな網目で局部を強調する。それこそ、ボンデージを思わせる結び目でだ。

 その革ベルトは顔面にも及び、縦横に締め上げてリーシャたちの顔を歪める。ブサイクとまでは行かない。だが〝品のない鑑賞〟に足る顔なのは、身動ぎするだけで快感を貪る身体が保証する。

 全体の拘束感は減ったと見た目だけなら思える。しかし、肌の一粒を逃すことなく締め付けるラバースーツは、見た目より遥かに拘束が厳しかった。少なくとも、媚薬が浸透した娼婦ではまともに動くことすらままならない。


「気をつけ」

『っっ♥』


 しかもラバースーツ自体に仕掛けが施されているのか、リーシャたちはプロスの指示に従ってしまう。なまじ身体は命令に気持ちよく動くものだから、思考との乖離で吐き気を催した。きっと自分たちは、吐瀉しようと絶頂するのだと惨めな思いを抱きながら。


「皆さん、準備が出来たようで何よりです。では今から一人ずつに数秒間、自由な発言権を与えます。あなた方商品を購入するかもしれない〝ご主人様〟に向けて、メッセージをどうぞ」


 商品番号『00237』。リーシャより幾分か若い〝名〟で呼ばれた金髪の少女の口枷が、男の手で取り外された。リーシャより若い数字は、彼女より調教の時間が長いことを意味する。

 彼女は幾らか咳き込むと、いつぶりに得たかも分からない人らしい言葉を発した。


「たしゅ、たしゅけへっ♥ たすけてください♥ だれでもいいから、たすけてぇ♥ だれか、だれかっ、だれ――――――」


 既に正気ではなかった。助けを求める〝誰か〟の顔さえ思い出せず、ただこんな商品になるのは嫌だと叫んだ。数秒後、彼女の舌足らずな言葉は約束通り閉じられた。

 続いた他の二人も似たようなものだった。聡明で、軌跡を紡ぐ前に終わってしまった金髪の少女と違い、場数を踏んでいたからか、救いを求める対象は忘れていなかった。〝教官〟や〝お祖母ちゃん〟と明確に相手を選ぶものの、結局中身は金髪の少女とさして変わらない。救ってもらえる相手に決して届かないメッセージに、救いの言葉を乗せる無様で惨めな時間だ。

 リーシャは彼女たちを哀れみこそすれど、侮蔑はしない。一歩早ければ、リーシャも同じことをしていただろう。彼女は既に、情けなく救いを求めている者が共に戦った相手だと分からないほど媚薬で酩酊しているのだ。


「――――あなたたちを逮捕する人が、必ず現れます」


 だけどリーシャは、酩酊しきらぬ思考を動員することで希望を言い放った。こんなふざけた仕組みを生み出そうとしたところで、全て無為に帰すと。たとえ自分が倒れても〝彼〟とその仲間が、組織を含めた全てを壊滅すると。

 予言めいた希望を放ったせいか、リーシャは頭の後ろで手を組んで品のない大開脚をキメたガニ股腋見せ屈服ポーズを取らされ、念を入れた開脚バーを取り付けられてガラスケースに押し込まれた。

 否が応でも羞恥を覚えるポーズで【商品】になる。後悔はなかった。リーシャがここで倒れようと、彼らは必ず――――――


「ぶッぼお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ゛ッ゛!!?♥♥♥♥♥」


 という表に染まりすぎた小娘の思考は、ぶちまけられた野太いアクメ声と激しく淫らな腰ヘコダンスによって押し流された。流麗で鮮やかな舞を披露する身体が、イキ潮を噴射しながら腰を振る品性を自ら手放す腰振りの淫舞をキメる。


(うひっ、きゅひぃぃぃぃぃぃんつ♥♥♥ なにこへっ、こへっ、うっひょおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥♥)


 ガラスケースの中は媚薬ガスが充満している、というのは当然の前提だ。

 リーシャを包むラバースーツは適切に〝歪み〟を生む。胸を揉みしだき、尻を鷲掴みにし、陰裂を擦りクリトリスを抓りアナルを穿り、ついでに彼女が我慢しきってしまった膀胱を封鎖して尿意の限界を力づくで引き伸ばす。

 と、彼女たち娼婦にして【商品】以外には想像し難い苦痛の時間がガラスケースの中で始まっていた。


 商品たちは別に苦痛だから身を捩っていたのではない。どうしようもなく身を焦がす快楽に耐え兼ねて、自らの意思がどこにもない絶頂と焦らしの拘束にその身を以て懇願していたのだ。

 リーシャの羞恥を煽る拘束ポーズは、単に舞姫の腰振りダンスが顧客の販売意欲を高めるからと言うだけで、その雌豚の遠吠えはむしろ上客を滾らせるものだった。


 商品番号『00271』が真実に気づくのはもう少し後になってのこと。けれど一晩で生まれ変わった女が事実を察するのに、さしたる時間は必要ない。


「いッぎゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛〜〜〜〜〜ッッッ♥♥♥♥♥」


 商品になった彼女には、一晩と言わず無限の時間がある。元伝説の凶手にして元月の舞姫の買い手が決まるまでの時間は長くかかるだろう。


「さて、次の商品を加工しましょうか。エリィ・マクダエル、アルティナ・オライオン、ローゼリア・ミルスティン、レン・ブライト……どれも良い買い手が付く商品ですね」


 もう一つリーシャが知り得ぬことがあった。ガラスケースは外部と内部の音を完全に遮断する。商品たちの心が完全にへし折れようと、買い手がつくまで開かれることもない。

 故にプロスは淡々と仕事をこなした。これ以上目を向けたところで結果に関わりないモノに、彼は興味を向ける意味を見つけられなかったから。おぞましさすら覚える淡々した声色が告げた希望の一欠片が【商品】として並ぶ日も、そう遠くはなかった――――――――



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字数の調節って難しいね……と。シンプルに仕上がったことを喜ぶことにします。もちっと世界観とか竿役詰めて見ても良かったんですが、即興なのでね。

こういうのはアニエスが似合いそうとか思ってます。心が強いけどフィジカルは並以下。拘束に抗えないけど中々堕ちない。これほどプレイを積み込みやすい子もそういない。単純にアニエスがめちゃくちゃ好きなんだろうってのはそうだよ!!

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