《牝奴隷》シャロン・クルーガー (Pixiv Fanbox)
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いつもご支援ありがとうございます。本日は有償リクからこちらに投稿、軌跡のシャロンさんになります。
有能暗殺メイドを胸!無様!奴隷!って感じでよろしく、なものを書き上げてみました。大変楽しかったです。
募集箱の方もよろしくお願いします。書ける保証はないというか1個2個採用出来たらいいな、くらいですが。クレア少佐書きたいんだけど思い浮かばんかったという本音が見える人選。アニエスは趣味だから仕方ないね!!
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ラインフォルト社とその家族に仕える淑女、シャロン・クルーガー。彼女は今、とある会社の高層階に招かれていた。
高層階、それも社長室に通されたシャロンは給仕の衣服を身に纏うメイドの立場としては、一見してVIP待遇だ。が、実態はそんなものではないことをシャロンは知っているため、僅かながら緊張を孕んだ表情で彼女はとある男と対面した。
「オレの会社へようこそ、シャロンさん」
社長室の椅子に背を預けた彼は、その年がさほどシャロンと変わらない二十代初めほどの優男に見える東方系の青年だった。
しかし、それはあくまでも見た目の話だ。オレの会社と言って憚らない態度に、馴れ馴れしくシャロンを呼ぶその声。一目で彼の態度を察したシャロンは、男と〝対峙〟する形でスカートを摘んで優雅な礼を返した。
「わたくし如き一介のメイドをお招きいただいたこと、感謝を申し上げます――――ランキ・アフィン社長」
ランキ・アフィン。その名はラインフォルト社の中でもよく知られている――――警戒すべき危険人物として、だ。
東方系の出身のシンジゲートと言えば、恐らく黒月(ヘイユエ)を思い浮かべる人間が大半だろう。表向きは帝国でも名が知られた会社であり、その実態は裏の秩序を牛耳る巨大組織。
だがもう一つ、帝国では東方出身の者が作り上げた巨大な会社が存在する。それが、シャロンと相対するランキという男がたった一代で築き上げたものだと言えば、彼を脅威として考えるのも無理がない話だった。
黒月と同じく帝国に支社を作るのではなく、帝国で組織を束ね会社を作り、確固たる地位を築いた異質な立場の人間。たとえラインフォルトの人間であろうが、おいそれとコンタクトを取ることは叶わない。
ならば何故、表向きはラインフォルト家に仕えるメイドに過ぎないシャロンがランキと顔を合わせ、あまつさえ彼の社長室に招かれたのか。その理由は単純で、ランキ〝が〟シャロンに要件があったから呼び出したのだ。
「さて、早速だが本題に入ろうか……アリサ・ラインフォルト。かの令嬢をこちらで〝保護〟している」
シャロンの優雅な礼を歯牙にもかけず、机の上で偉ぶって手を組み要件を欲求に伝える。そんなランキにシャロンは負けじと超然とした微笑みを返した。
「保護、ですか。本当のことならば感謝いたしますが……誘拐、の間違いでは?」
「クク……まさか。保護だよ、保護。どこぞの猟兵崩れに襲われたアリサ嬢を、オレ直属の社員たちが救い出した、それだけの話だ」
そして、このことはまだ口外していない。そう付け足したランキにシャロンは眉根をピクリと動かす。
猟兵崩れに襲われたアリサを助けたと主張する彼らから招待され、シャロンはここにやってきた。 無論、その言葉が本当ならばシャロンは感謝だけを口にするだろう。
しかしながら、全く信用の置けない立場の男がメイドのシャロンを秘密裏に呼び出した、となれば話は全く変わってくる。さらに『事を明るみにして会社とアリサに傷をつける』手段をチラつかせていれば、シャロンでなくとも悪意を察するにあまりある。
「もちろん、我々もあくまでアリサ嬢を〝保護〟した立場だ。穏便に済ませるつもりだが……何とも不幸なことに、猟兵崩れの処理に相応の戦力を割いてしまってね。我が社の損害を考え〝万が一〟ということもある――――とだけはお伝えしておこう」
白々しい笑みを浮かべたランキをシャロンは目を細めて睨み返す。
彼の社員が本当に猟兵崩れを撃退したのか、それとも自作自演でそのような猟兵崩れは〝いなかった〟のか。真偽のほどは関係ない。肝心なことは、アリサ・ラインフォルトはランキの手の内にある、ということだ。
要するに、シャロン・クルーガーは脅されているのだ。ランキという男は、アリサを餌にしてシャロンに何かを要求している。
「ハッキリと申し上げます。わたくしに、何を求めているのでしょう?」
「おや、腹の探り合いは嫌いか? なら本当の本題に入ろう――――アリサ嬢を身の安全を保証して送り返して欲しいのなら、おまえは明日から三日間オレの性奴隷になれ。それが返還の条件だ、シャロン・クルーガー」
「……なるほど」
性奴隷に〝なれ〟と命令するものであることが、ランキの性根を何より表している。
納得するまでに一瞬の間を要したシャロンだが、特別驚きはしなかった。権力を得た人間がすることは、いつの時代も変わりない。過去に暗殺者の経験を持つシャロンからすれば、そういった方向の欲求はむしろ可愛いものだ。
(まあ、性奴隷というのは些か時代錯誤なやり方ですけれど)
返答の間はどちらかと言えば、そういった呆れの感情から来るものだ。ランキの欲望に忠実ながら古びた考えに直面し辟易しながらも、シャロンはコクリと頷きを返した。
「承りました。わたくしの身体とお嬢様の安全の交換……その条件が保証されるというのなら、この一時のみシャロンはランキ様に性奴隷としてお仕えいたしますわ」
淡々と言葉を返すシャロン。若い娘、それこそアリサやその仲間の女であればこうはいかない。大人の魅力さえ武器とするシャロンだからこそ、大人のやり口で青少年じみた欲望を叶えようとするランキに毅然とした態度を返すことができる。
深々と頭を下げたシャロンの姿にランキは笑った――――その勝ち誇った笑みの意味をシャロンは見抜くことができなかった。
「ただし、かの《結社》が誇る執行者が本気で服従した、と言葉だけで信じるほどオレも楽天的じゃあない」
「っ……今は休業中の身でございますわ」
今は、ランキの底知れぬ闇の一端を垣間見ることしかできない。
シャロンの裏側、恐らくは忌み名をも知っていることに彼女は初めて驚愕を覚えながら言葉を返した。
「それが本当だと良いがな。ま、ここはお互いの契約書でも作ろうか」
彼女の秘密にさほど興味がないと見えるランキは、それ以上の追求をすることなくシャロンに契約書の作成を持ちかけた。
ランキが豪奢な机の上に置いたのは大きな空白がある紙の契約書と、何やら妖しげな色の水が浸された容器だ。
「そちらは?」
契約書はともかく、顔が余裕で浸かるようなものに視線が行くのは当然。触れてみないことには何とも言えないが、中身は恐らく塗料のようなものだろうとシャロンは読む。
血判の代わりにでもしようと言うのか。けれど、それなら過剰なサイズの容器は必要ないはずだ。
答えを出しあぐねた結果の問いかけ。困惑するシャロンの言葉に、ランキは悪童のようにいやらしい笑みで彼女の身体を指差した。
「拇印だよ。ただ、指でやっても面白くないからな……ちょうど立派な〝それ〟で押してくれ」
「…………はぁ」
――――急に小物に見えた男に大きなため息を吐き、シャロンは胸部の衣装を剥いだ。
どの道、明日には差し出す身体なのだ。今ここで恥ずかしがるのもおかしな話ではあるし、彼の子供以上にふざけている考えに真面目な問いかけをしたのか馬鹿らしくなった、というのもあるのだろう。
拇印、つまりは〝ボイン〟だ。彼は契約書に胸を押し付けてサインしろ、と示唆したのだ。アリサを盾にシャロンへ性奴隷になれと言い切った男の悪戯じみた行為に、シャロンは呆れ果てながらも従う。
「おぉ……良い形をしているな」
「…………」
大きすぎず小さすぎず、美巨乳という黄金比を貫くシャロンの乳房。乳輪と乳首は薄く淡いピンク色で、色香を武器にするとはいえ軽々しく身体を渡しはしなかったことが伺える。それをアリサのためとはいえ、このような小物に明け渡すことになるとは。
気が抜けかけた心に喝を入れ直し、シャロンが容器に胸を浸す。
「んッ」
生暖かい塗料に胸を浸し、僅かだが鼻息が零れた。前屈みで生乳を長く伸ばして容器に入れる姿はシャロンから見れば滑稽、ランキから見れば絶景であろうか。
乳房を塗料で濡らしたシャロンは、それを契約書の空欄に数秒押し付ける。身体を剥がすと、そこにはシャロンの乳首や乳輪を象った見事な〝拇印〟が刻まれていた。
「これで契約完了。では、明日から三日間よろしく……オレの性奴隷、シャロン・クルーガー」
ニヤついた顔で契約書を翳し、そう告げたランキにシャロンは乳房を拭いながら無言で頭を下げた。
少し気分を良くしてやれば気も済むだろう。ふざけた遊びを前にして、シャロンは彼への警戒度を無意識にそう下げていた――――この時は本当に、それだけで済むと彼女は慢心をしたのだ。
どれだけ優雅で美しく、強く気高き女であろうと。シャロン・クルーガーは一匹の牝でしかないことを、彼女自身でさえ知らなかった。
◆
翌日、会社内の専用宿泊所にシャロンは招き入れられた。高級ホテルもかくやというその場所で、ランキはシャロンを味わうつもりのようだ。
こういった手合いには慣れている。己の優れた色香を知る知識と経験から、ランキへの奉仕を考えていたシャロン。だが、性奴隷は黙って従っていればいいと言われ〝いくつかの指示〟を受け取ったことで、大人しく彼の手に抱かれることにした。
(その方が気が楽になる……と思うことにしましょう)
――――シャロンとて、こうした行為に何も感じないわけではない。
感じる嫌悪感を主への忠誠心で塗り潰しているに過ぎない。ランキのためではなくアリサのために身体を清め、リングが身体に絡みついたような卑猥なハーネスランジェリーも、アリサを助けるために着ていると考える。
心を殺し、ランキを満足させてアリサを救い出す。恥部が丸見えな夜伽の衣装に身を包んだシャロンは、天蓋付きのベッドに座ったランキの股座に挟まるように身体を抱かれた。
「さあ……たっぷり楽しもうじゃないか」
テンプレートな開始の合図を口にしたランキが、シャロンの腋下に手を滑り込ませた。
シャロンと違って彼は衣服を着ている。すぐに本番に及ぶかと思ったが、前戯を楽しむタイプのようだ。
性奴隷は黙って従っていればいい。そう傲慢な言葉を口にしたランキの手管はどれほどのものか。
やはりというべきか、彼の手はシャロンの乳房に向かった。男ならば嫌うものはそういない牝の象徴とも言える脂肪の塊。契約書のやり方からそうだろうと読んでいたシャロンは、さほど驚きもなくクスリと微笑みを零した。
「――――ッ!?」
だが、その微笑みは脆くも崩れ去る。自身に迫る異質な雰囲気に暗殺者としての勘が彼女に告げた。〝アレ〟はマズい。触れさせてはならない、と。
その直感はランキが美巨乳に〝何か〟を宿した指で触れる、秒間に満たない刹那の時。避けるにはあまりに遅すぎた。その指は、薄い色をした小さな蕾にピタリと触れた
「んんんッ♥」
瞬間、得も言えぬ感覚がシャロンの胸先から脳髄まで駆け抜け、思わず甘い吐息が口と鼻から溢れた。
それは間違いなく官能の色を宿していた。性的快感。絶頂に近づく信号。ゾクゾクと身体が震え、熱が背筋を通り抜ける。異常なのは明らかだった。ただ触れられているだけで気持ちがいい。あまつさえ、その指で乳首の先端を突かれようものなら。
「あッ♥」
鋭い声が零れた。メイドとしての温和な声でも、暗殺者としての冷たい声でもない。それは牝の本性が暴かれた嬌声だった。
「あっ……はっ、あぁっ♥♥」
ランキはシャロンの声を耳にし、身体が震える様子を目にしているはずだ。しかし、その一時が来るまで何も語らず彼女の乳房を嬲る。
ムクムクと勃ち上がり始めた乳首を指で触る。たったそれだけの行為で、シャロンは声を堪えることしかできない。やがてそれが難しくなると、シャロンは無我夢中で手を口に当てて嬌声を耐え忍ぶ。
「んふっ、んんん……ッッ♥」
しかし、その行動で防ぐことが出来るのは甲高い嬌声だけで、たちどころにシャロンを気持ちよくする快楽物質の発生は止まらない。乳房の先をむにゅりと潰すランキの指先は、シャロンの視界を激しく明滅させる快楽をもたらした。
「ん、ンンッ!?♥♥ んぶっ、ンンンンーッ!!♥♥♥♥」
シャロンはイッた。口を塞いだ顔を思いっきり反らし、見開いた目に火花のような快楽を散らして、シーツにびちゃりと大量の愛液を滴らせながら、胸の先を刺激されただけで大きく達してしまった。
「イッたな、シャロン」
「っ……♥」
そこでようやくランキが口を開いた。ただシャロンの乳首に指で触れていただけの男は、確信をもって言った。
それもそのはずだ。彼が股座に挟んだシャロンの身体は、シャワーで清めたとは思えない汗を滲ませている。整った恥毛は淫汁で湿り気を強め、微笑が消えた顔はその問いかけにギクリと頬を硬直させる。いいや、問いかけではない。彼は確認をしただけだった。
「イッた時に必要な言葉は教えたはずだが?」
「……はい。申し訳、ございません」
震えた声でシャロンが応える。それは悠然としたメイドの顔ではなく、何かに怯えたものだ。感じ取った〝力の差〟に、自らの愚かな選択に理屈ではなく本能で彼女は恐怖した。
強者だからこそ覆せないものを感じられた。武力を封じられた彼女が纏う女の色香――――それを牝のモノに変えてしまおうというランキの指が剥ぎ取る。
「覚えるまで何度でもイカせてやる」
「あっ、待ってくださ――――んふぅぅぅぅぅッ♥♥」
乳輪に触れられ、制止の言葉を途切れさせたシャロンが大きく喘ぐ。
「ンンッ、んあッ♥♥ あっあっあ、んんあっ♥♥」
そのままスリスリと乳輪を擦られると、シャロンは口をだらしなく開いて余裕のない官能の息を発する。もっとも、余裕がないのは初めての絶頂に両手を使って声を耐えた時からだが。
今度はそれが出来ない。絶頂の瞬間、言わなければならないことがあるからだ。乳輪を擦られるだけで目に見えてしまう到達地点。そこに思考が達する間際、頭が真っ白になる直前にシャロンは恥も外聞もなく叫んだ。
「ッ〜〜〜〜〜、イキますっ、イクッ!!♥♥♥♥」
性奴隷に必要な絶頂宣言。それを聞いた時、シャロンは鼻で笑ってしまった。だが今は、品性なく首を反らして全力で叫びを上げる。
身体がイッている。乳輪を指で擦られただけで、恥ずかしげもなく身体が達した。股から『ブシャッ♥』と勢いのある水流が走った。
「もう一度だ。どこでイッたかが足りてねぇ」
「あッ、んんあっ♥ そんな、の、見れば……ひゃぁぁぁぁっ♥♥♥」
それでも足りていないと乳房を撫で回される。まるで全身を愛撫されているような強烈な快楽。耐え難い情動に突き動かされ、腰が浮いて足指を『ピピンッ♥』と立たせてしまう。
全身を走り抜ける快楽が身体の動きを封じる。鉄線を手足のように操る指先がワナワナと蠢き、両脚が下品に広がって足先を曲げて伸ばしを繰り返す。みっともないとしか言えない動きを胸を揉まれるだけでしてしまうシャロンは、三度目の絶頂に声を上げた。
「イぎまずっ♥♥ おっぱい、イグッ!!♥♥♥♥」
プシャァァァァァァッ♥
今度こそ恥も外聞もなく全力で叫んだ。たった数分足らずで三度の絶頂を迎えたシャロンの秘部は、遂にイキ潮を激しく吹き上げる。腰がガクンガクンと上下に揺れ、胸が天を突くように背骨がしなる。
「はぁっ♥ ハーッ♥ はっはっはっ、ふぅぅ……っ♥♥」
どんな相手にもここまで荒い息を吐くことはなかった。犬のように舌を出し、売女のように目を蕩けさせる。鼻水が流れてヨダレが口の端から零れて光る。
人はそういう蕩けた表情をアヘ顔と呼ぶ。シャロンの顎に手を当て、じっくりと観察するランキのような男が、その名称を好むのだろう。
「いい顔になったな。もう性奴隷らしいじゃないか、んん?」
「っ、あ……」
見下していた相手に見下されるシャロン。ランキと彼女の〝力の差〟は歴然だった。
戦力というのならシャロンが上だろう。しかし、この手の色事においてシャロンがランキに勝つことはできない。それは論より証拠。ベッドで肌を交わらせて数分、無様なイキ方をしたシャロンが誰より証明していた。
「い、今の、力は……」
「如何に死線の名を持つおまえでも、この〝死〟を感じたことはあるまい。これがオレの鍛え上げた術――――【淫気術】だ」
《告死戦域》の渾名を持つシャロンの知らない死に様。女としての死を迎え、牝として生まれ変わらせる力【淫気術】をランキは語り始めた。
万物に流れる〝気〟。相手の体内にある気の流れを操り、そして外部から気を流し込むことができる術。その流れ、流される気とは術の名の通り〝淫気〟だ。人間であれば必ず存在する気持ちいいという感覚。その快楽を狂わせ、絶頂させるモノ。
彼は続けた。この力の素晴らしい部分は、効果が一時的な物ではなく〝永続〟すること。単にその瞬間だけイッて気持ちよくなるだけではない。執拗に責め立てれば責め立てるほど、その箇所は性感帯として育っていく。淫気術無しでも常人を遥かに上回る感度を相手は手に入れる。
その気になれば腋の下、果ては鼻の穴でイカせる無様で下品な性感帯を作ることもできる。
「今から試してやろうか? クク、鼻で息をするだけでイくことができるようになるぞ」
「ッ、ッッ!!」
妖しげな気を纏う二本指を鼻に突きつけられ、シャロンは本能的な恐ろしさから必死に首を振る。凶器を突きつけられても顔色一つ変えないだろう女が、鼻に指を突きつけられたくらいで頬を引き攣らせて首を激しく振る。
ウェーブのかかった髪が乱れて汗ばんだ額に張り付く様は、優雅さの欠けらも見受けられ無い。シャロンの懇願があまりに滑稽だったのか、ランキはくつくつと笑って指を引っ込めた。
「冗談だ。オレはまともなところだけをイカせてやる――――おまえの理性、明日にはこの胸だけで失わせてやろう」
結局、シャロンは一日中胸だけを責め立てられ、本番をされることはなかった。
しかしそれはつまり、初日だけで胸を弄られると理性が飛ぶほどの弱点にしてやる、というランキの言葉に嘘偽りがないことを意味していた。
「ふぐっ、ひぃ!♥ む、胸、イきます!♥♥ あふ、ち、乳首、しびれて……また、胸イきますぅ!♥♥♥♥」
「お、おっぱいぃぃ、おっぱい行きます!♥♥ イグッ!♥♥♥♥ おっぱいイグ、やめ、お願い、休憩をっほおおぉぉぉッ!♥♥♥」
「いぐ!♥ 胸イグ!♥ 乳首イく!♥ 乳首イきます!♥ 乳首いぎまず!♥ あだまおがじくなるうぅぅぅぅぅぅッ!♥♥」
シャロンはイキ果てた。胸だけを責め立てられ、体液という体液をベッドの上に吹き散らしたシャロンは、その日の夜は何も考えられず泥のように眠ることしかできなかった。
◆
「はぁ、ハァ♥ んん、はぁっ……♥」
二日目。シャロンは何も無い部屋で息を荒くしていた。
正確にはシャロンから見て何もない部屋だ。目覚めてすぐ、何かを考える暇もなく汚れたランジェリーを捨てられて目隠しで視界を奪われた彼女は、後ろ手に嵌められた枷とキツく締め付ける首輪を鎖で結ばれ、硬い開脚バーを膝に取り付けられた脚は爪先立ちのガニ股を強要されている。
囚人や死刑囚でもまだマシなポーズを選べるだろう。ガニ股で後ろ手を縛られ視界を奪われたシャロン。だが、鍛えた暗殺者の身体はどんなに恥ずかしく辛い姿勢でも耐えられた。このまま立っているだけなら、シャロンは数時間優に堪えることができる。
ぬぷっ♥
「お゛ッ♥♥」
それは何事もなければの話であり、何かがあったシャロンが野太い悲鳴を上げる。
透き通る儚げな声色の持ち主であるシャロンの口から発せられた濁り汚い嬌声。突如として不浄の穴に侵入した無骨な指。尻穴を穿った指先には当然のように淫気が絡みついており、その気はたちまちにシャロンの直腸を擦るように鋭く尖った。
「ンホーッ!!?♥♥♥♥」
指は動かず、淫気が尻穴の中を掻き毟る。何もされていないのに感じた直腸が強く蠢き、シャロンは鼻の下を伸ばして素っ頓狂な嬌声を上げた。もし目隠しがなければ、寄り目になった瞳が見えていただろうマヌケなケツアクメ顔を晒す。
「ケツ穴が緩んでいたぞ? 相手がどこから来るかを読むのは暗殺者の十八番だろうに、ここを緩めたのは失策だな」
「は、はひっ♥ しゅみましぇんっ♥」
「今回はサービスだ。もう一度イカせてやるから、しっかり言えよ」
迸る淫気を追うように指が唸り、直腸の奥をズルリと擦る。
「ん゛ほぉぉぉっ♥ け、ケツ穴、イグッ!♥♥ ケツ穴イクッ!!♥♥♥♥」
性奴隷の絶頂宣言。それをお尻の穴で、しかもランキに釣られて非常に下品な言い方でしてしまう。
腹の底から張り上げる声が自然なモノになりつつある。まだ二日目が始まったばかりだと言うのに、シャロンは封じられた視界で絶頂とその宣言のことしか考えられなかった。
実のところ、封じられているのはシャロンの視界だけではない。彼女は背中に貼られた札、東方由来の【符術】によって外界との気配を断ち切られている。
その術は本来なら他者から気配を感じ取らせないためのものだが、ランキはそれをシャロン自身にも適応、つまり彼女が感じられる気配をも殺した。
これでシャロンは視界だけでなく暗殺者としての気配察知能力を喪失。残る五感は嗅覚と聴覚と触覚。このうち嗅覚は自身の淫臭で完全に潰され、聴覚は追加の符術で足音を断ち切られている。
そして要の触覚がどうなるかと言えば、単純明快――――シャロンは【淫気術】を纏ったランキの指をどこから襲ってくるかもわからぬまま、受け止める。
「うっひぃっ!?♥ お、おまんこ、イク♥ おまんこイクーッ!♥♥♥♥」
それは女性器を掻き毟るかもしれない。
「おひょおぉぉぉぉっ!♥♥ クリトリス、イクっ、イクイクイクゥッ!!♥♥♥♥」
それは陰核を潰して弄ぶかもしれない。
符術で五感のほとんどを殺したランキの指が、シャロンの性感帯をことごとく弄ぶ。宣言通り性行為に用いられる場所を重点的に責め立てられた。
彼の求める性奴隷に必要なこと。一つは触れて過剰な反応をする身体。一つは従順な態度。さらにもう一つは、自らの惨めさをひけらかす絶頂宣言。
この調教は主に三つ目を鍛えるもの。触覚だけを頼りにすることで、触れた瞬間にどこに触られたか、どこでイッたかを即座に考えられるようにするためのもの。
「ククク。胸と同じくらい卑猥なケツだ……ここも育ててやろうか? スカートが擦れるだけでイけるようになる程度だ。鼻と違って我慢をすればメイドを続けられかもしれないぞ、んん?」
「おぉ゛ぅ♥♥ お、お戯れは、おやめくださいっ……♥」
尻臀が指で掬くわれ、ムチムチといやらしい尻肉の表面をゆっくりと撫で上げられて震えるシャロン――――優雅だった彼女のマヌケな表情と下品な嬌声を見て聞きたいだけ、というのがランキの本音なのかもしれないが。
どうであれシャロンは耐えるしかない。小馬鹿にした契約書に従うだけでなく、このような男の手にアリサが在るなど許していいわけがない。
「フゥー♥ フゥー♥ フゥーッ♥」
一日中イカされて、息をつく間もなくガニ股爪先立ちを強要され、シャロンは汗を洗い流す余裕さえなかった。
いつもなら鼻腔をくすぐる香りを発するシャロンの身体は絶頂で汁を垂れ流したことで、減り張りのある裸身が淫靡な輝きを放っている。ヌラヌラと張り付いて照りつける汗が、恥毛の先から光沢のある液が滴り落ちて淫臭を醸し出す。
腋の下から足の裏まで『むわぁ♥』と立ち上るその香りは、男を魅了ではなく興奮させる牝臭いモノ。それほど卑猥な汗を纏ってまで歯を食いしばり、指先に耐えようとするシャロンだが、そのいやらしい裸の中で最も匂い立つ果実を弄ばれて堪らず声を張り上げた。
「オォ゛ッ♥♥ ん゛お゛ぉぉぉぉぉッ!♥♥♥♥」
乳首の先っぽを掠めるように『カリッ♥ カリカリッ♥』を引っ掻かれる。それだけでシャロンは腕の鎖を引いて首を仰け反らせ、酷く汚い喜悦の声を響かせる。一日中嬲られたシャロンの胸は風が吹くだけで勃起し、まともな下着を着ようものなら擦られるだけでイキ果てるクソザコ乳首を化している。
遊び半分で乳首を刺激されるだけで全身がビチビチ跳ね、愛液とイキ潮を吹き散らす股がガクガクと腰を揺らすことで卑猥に揺れた。
「お゛っお゛っお゛ッッ♥♥♥ やめっ、んんひィ♥♥ ヒィィお゛ォ゛♥♥」
「何を言いたいかわからんなぁ? 止めて欲しいならもっとハッキリ言葉にしろ」
その時、シャロンはランキの言葉を鵜呑みにした。裏を読むこともせず、アリサを気にかけることもしなかった。彼女はただ、乳首から来る強すぎる刺激に脳が耐えられず考え無しに言葉を発した。
「ち、乳首イキます♥ だから、カリカリはもうお許しくださいませッ♥♥ カリカリ許してくださいィッ!!♥♥♥」
ラインフォルト家のメイドのシャロンではなく、執行者のクルーガーでもなく、彼女は自らの意思で性奴隷のシャロン・クルーガーであることを選んでしまった。
心が折れた無様な懇願だ。止めて欲しい、もう堪忍して、許して。イカされ続けた牝の弱音がシャロンの美しい声色で紡ぎ出された。
ランキは――――無論、シャロンの懇願を無視して乳首を弄り続けた。
「ヒィぐぅ゛ぅうぅうぅゥッッ!♥♥♥♥」
――――性奴隷の言葉をいちいち聞く必要はない。
服従する牝の言うことをなぜ聞く必要がある。優れた女体を差し出すことしか価値のない牝の懇願など、求めたもの以外は必要ない。
ランキは〝必要〟だと思わない性奴隷の言葉に聞き耳を持たない。《性奴隷》シャロン・クルーガーとして言葉を発した時点で、彼女は発言権を事実上失っている。
「イクッ♥ イクイクイク、イクゥッッ!!♥♥♥♥ 乳首イキますっ、おっぱいイキますっ、イクーーーーッッッ!!♥♥♥♥」
いつ来るかもわからない快感に神経をすり減らしながら、シャロンは絶頂宣言を続けた。それが性奴隷としての自分に出来ることだと、唯一無二の存在意義だと、牝の身体に在る骨の髄まで教えられたのだ。
◆
三日目。あえて変えていないのか、初日の淫臭が未だ立ち込める部屋に同じ臭いが纏わりついた身体で押し込まれたシャロンは、遂にその身一つでの性行為を求められた。
初日のように扇情的に着飾った装いではなく、二日目のように下品な格好を強要される拘束具を嵌められるのでもなく、体液に塗れた淫臭が立ち上る下品な裸で獣の如きセックスを要求されたのだ。
シャロンは祈った。一日目二日目と本番行為がなく、もしや使えない状態なのか、と。さもなくば矮小なものであれ、と。
儚い希望に哀れにも縋るシャロン。しかし、彼女の願いは虚しく散った。彼は性奴隷に相応しく育て上げたシャロンの身体を――――その巨根で穿ち貫いた。
「お゛ッほお゛ぉお゛お゛ぉぉぉぉぉッ!♥♥♥♥」
マンコを串刺しにされ、正常位でブリッジアクメをキメる。シャロンの技術など何の役にも立たず、ピストンでひたすら責め立てられた。色香を武器にしていた身体は性臭を放ち、汗を弾きながら下品に乱れてイキ狂う。
「う゛お゛ッ♥♥ お゛っお゛っお゛っお゛っお゛お゛っ、ん゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ゛♥♥♥♥」
馬鹿の一つ覚えとはこのことを言うのだろう。両手の爪を立ててシーツを掴み、背を折る勢いで反り返す。鼻の下を伸ばして舌を突き出したガチイキ顔で、彼女は腹の底から嬌声をひり出す。三日目前、毅然とした言葉を柔らかい声色で紡いだ喉は、今や絶頂の汚声を吐き出し続ける品性下劣な牝喉に変わり果てている。
「クハハハ! いい色になったじゃないか、えぇ?」
【淫気術】はペニスで使うことも出来る。三日目という短い時間は、こうなれば永遠に思える淫獄の時間だった。
初めから女のシャロンに勝ち目などなかった。つい数十時間前まで淡い色の小さな蕾だったシャロンの乳首が、ピストンで突かれた裸体の上で揺れている。
赤く大きく咲き誇る。赤みを帯びた淫猥な薔薇が人の親指ほど硬くそそり勃つ。ランキは腰を振ってセックスを楽しみながら、シャロンのフル勃起デカ乳首を指で抓り上げた。
「ぶぎひィィィィィィッ!!♥♥♥♥」
まるで豚のようにイク。白目を剥いて鼻水を吹き出しながらシャロンは絶頂した。変わり果てた乳首を抓られた彼女は、在るべきはずの自分と忠誠心を性奴隷としてイクことに捧げる。
彼女はイク。イキ続けた。
「おまんこイクッ♥♥ おまんごぉ゛、イグゥッ!♥♥♥♥ あ゛ッ、ぢぐびッ、乳首イクっ、イグイグゥッ!!♥♥♥♥」
果てることが性奴隷の仕事。牝はそれだけを感じて、雄の偉大さにひれ伏せばいい。
「シャロン、イキます!♥♥ シャロン、イグゥゥゥゥゥゥッ゛!♥♥♥♥」
あれだけの調教を受けたというのに、あまりの快楽でどこでイッているのかわからなくなった。
「乳首奴隷、イぎま゛ずゥ゛!♥♥♥♥」
より惨めな宣言をすることで許してもらった。
【淫気術】だけではない。術を鍛えて知り尽くしている彼は、それを効果的に操る術を知っている。術を抜きにした性行為という点だけ見ても、シャロンは勝ち目がないと思い知らされた。
思い上がりを打ち砕かれ、女のプライドを踏み躙られ、牝の持つ全ての淫猥を暴かれたシャロン・クルーガーは、一匹の獣として生きる。弱肉強食の理論。自分より優れた雄に本能が従う。
「イキ続ける気分はどうだ? ずっとイッてると頭がおかしくなりそうだろ。牝はな、そうやって馬鹿になってオレに従ってりゃいいんだよ」
「ふぐっ、お゛っ、う゛ぅ゛ッ♥♥ ォオ゛オ゛オ゛オ゛ッ゛♥♥♥」
「さあ言え。一生オレの性奴隷になるとな」
シャロンなら言えない。ラインフォルト家のメイドとして彼に抱かれたシャロンなら、そのような宣言は嘘偽りでも決して口にできない。
「せ、せいどへいっ♥ せいどれいになりましゅ♥ いっしょう、せいどへいにひへくらひゃいっ♥♥」
《性奴隷》のシャロン・クルーガーは、涙を流して無様に蕩けた顔であっさりと服従を口にする。
「馬鹿が。舌が回ってねぇんだよ!!」
「ぢぐびイグーーッ!!?♥♥♥♥」
舌足らずだと叱責され、親指で難なく挟めるほど太くなった乳首を抓られてイキ潮を吹く。
乳首を抓られ、子宮を亀頭で詰られ続ける。神経が官能に喰い破られる。脳髄が快感に焼き尽くされる。きっとランキはシャロンが言い切るまで同じことをする。たとえシャロンが白目を剥いて達し、鼻血を垂らして果てようと、彼は言わせるまで行う。支配者が性奴隷の都合など伺う必要はないからだ。
シャロンに出来ることは三日目が終わるまで耐えること――――涙と鼻水を垂らして、歯を食いしばった口からヨダレを零したおかしな顔の牝は、そんな簡単な選択肢すら頭に残していない。
「性奴隷にして欲しいですッ!!♥♥ ずっとランキ様の性奴隷でいさせてくださいッッッ!!♥♥♥♥」
渾身の宣言を無様極まる涙顔で。名実ともに牝であり性奴隷となったシャロン。その乳首と子宮に淫気を流し込みながら抓り上げて突き穿つ。
「イ゛ぐッ!!♥♥♥♥ 乳首イぎま゛ず♥ しきゅーイ゛ぎゅっ♥ イグゥウ゛ゥゥウ゛ウ゛ゥウ゛ゥーーーーーーッ゛!!♥♥♥♥♥」
◆
シャロンは自由の身になった。
至極当然の結実だ。どれだけイキ狂って《性奴隷》のシャロン・クルーガーになろうが、それは契約の三日間のみのこと。あくまでシャロンは初めから性奴隷としてランキに従い、身体を差し出したに過ぎない。
事が終われば彼女はラインフォルトのメイドに帰り、アリサも正式な手続きを伴って元の生活に戻された。
仮に変わったことがあるとするなら、仕えるべき主の態度や様子が変化した場合であろうが……シャロンにそれを察する余裕はなかった。
そして、シャロンは再びランキと顔を合わせることになる。
あの日と同じ場所、同じ格好、同じ立ち位置。明確に違うのは、もはやお互いに会う理由がないことだ。
「オレの会社へようこそ。……なんて、以前と同じくらい気の利いた挨拶で無くて悪いが、オレたちの仲だ。許してくれるよな、シャロン?」
「…………」
まだ違うことがあった。ランキの態度が馴れ馴れしいのは相変わらずだが、シャロンの態度は以前と違う。
優雅で穏やかながらランキを寄せ付けなかった雰囲気と言葉。今はそのどちらもシャロンにはない。
雰囲気は温厚というより荒々しい。それは押さえつけるように繰り返される吐息と、今にも倒れてしまいそうな身体の震えから見て取れるものだ。
「さて。オレたちの契約は切れている。ラインフォルトの令嬢もそちらへ〝怪我なく〟お返ししたはずだが……オレに何のようかな?」
ランキは笑いながらそう言った。性奴隷としてシャロンを徹頭徹尾で見下し、傲慢な命令を下していた時とは違う。優男な見た目通り、社長という立場通りに丁重な態度でシャロンを迎えた。
これも以前と異なる反応。シャロンが彼と真逆の態度を取ったように、だ。
「……本日は、ランキ様へお願いに参りましたわ」
挨拶を無しに〝願い〟を先行させる。一介のメイドが大企業の社長に向けるものとしては、些か礼儀が足りなすぎるものだ。
もっともランキがシャロンの無礼を指摘することはない。女の過ちを笑って許すのは男の役目であり、牝の告白を下卑た笑みで嘲笑うのは主人の役目だ。
シャロンがスカートをたくし上げた。淑女らしからぬ品のない仕草の下から性臭が一気に広がった――――そこにはガーターベルトの上に〝オムツ〟を穿いたみっともない恥部がある。
「なるほど。メイドに戻るには少し苦労が多すぎたか。オレへの恨み言を伝えに来たか?」
ガーターベルトにオムツというアンバランスな無様と、そうまでして元のメイドに戻ろうとした甲斐甲斐しい努力。マンコとアナルは常にズブ濡れで、人間らしい生活が送れない彼女がメイドとして主に仕えようと信念を貫く強さは認めるところではある。
それを理解していながら、シャロンがそれ以上に伝えたいことまで読み取りながら、ランキは敢えて言葉を待った。
人として終わっているスカートの中身を見せつけるだけでは足りないと見るや、シャロンは胸部を曝け出す。そこには三日前と同じ形の良い美巨乳と――――先端のクソザコデカ乳首を戒める〝札〟が貼り付けられていた。
「ああ、それか。他はともかく、それは封じてやらねばまともに動けないと思ってくれてやったが……中々どうして似合っているじゃないか」
「ッ……♥」
恥ずかしさのあまりシャロンは視線を逸らした。見ていられないほど卑猥になった身体は、幾つもの補助がなければ一人で生きていけない。
そのうちの一つが乳首の札だ。縦にペタリと貼られ、太ましい乳首を隠した札は二日目の調教に用いられた【符術】と同じものだ。
ニップレスのように貼られた札の効果は〝感覚遮断〟。育ちすぎたシャロンの乳首は息を吹きかけるだけで勃起し、指で軽く触れるだけでイク、感度が数千倍に膨れ上がったクソザコデカ乳首と化している。もし解放時の土産にランキがそれを渡していなければ、シャロンは快楽で発狂していただろう。
「それで? 符術を解いて欲しくて来た、ということでいいか、シャロン」
――――あるいは彼ならば発狂せず、シャロンの乳首を手懐けることが出来るかもしれない。
牝を知り尽くしながら牝を辱めることを止めないランキは、尚もシャロンの言葉を引き出そうとする。
「…………」
「言いたいことがあるならハッキリ言った方が身のためだ。生憎オレも暇ではない……おまえだから時間を割いてやっている――――そして〝シャロン・クルーガー〟でなければ、オレが時間を割く理由はない」
「ッ!!」
シャロン・クルーガーでなければ時間を割かない。
極限の決断を迫るものだ。彼女はランキの言葉を大きな唾と共にしっかりと飲み込む。あの三日間を経験した彼女はランキの言いたいことを理解できた。何より〝シャロン〟と〝クルーガー〟の二つの名に意味を持つ彼女だからこそ、その選択が絶対に間違っていることをわかっている。
しかし――――
「わたくしは……浅ましくも、お願いいたします♥」
過ちと認めて諦めるなら、初めから会いに来なければ良い話だ。
「わたくしを、本物の性奴隷……いいえ、牝奴隷として飼ってくださいませ♥」
諦めたからシャロンはランキの前に現れた。それを今さら躊躇うことこそ、浅ましいというものではないか。
シャロンは頭を垂れた。身体を丸めて膝を突き、全てを差し出す土下座をした。ラインフォルトに仕えるメイドとしてのシャロン。忌み名を持つ執行者としてのクルーガー。彼にその全てを差し出すこと。
「あなた様とその快楽が忘れられません♥ あなた様の淫指が♥ 逞しいペニスが♥ わたくしの身体に刻まれ……全て、変えてしまいましたわ♥」
いいや、それだけではない。身体は淫極に堕ち、もはやメイドとしても執行者としても失格な淫乱牝豚。しかし彼の牝奴隷として生きるのならば、唯一その身体を〝活かす〟ことができる。
寝ても覚めても慰めることを止められない品性下劣な牝豚の身体。躾られるのはランキ・アフィンをおいて他にない。
「ですからどうか、この卑しく、下品で、みっともない♥ 女としての価値を失くしたわたくしをあなた様の牝奴隷としてくださいませッ!♥」
そう信じたから、シャロン・クルーガーは彼に向かって全てを投げ打ち土下座をした。考え得る限りの屈服服従の言葉を以て己の人生の全てを終わらせた。
愛すべき主のことも。忠誠心も。契約も。事ここに至っては〝どうでもいいこと〟だと排除し、罪悪感すら持たず尊厳を捨て去り人権を踏み躙り、ランキ・アフィンのシャロン・クルーガー(一匹の牝豚)として、平伏した。
「浅ましい願いか……ふっ、クク、牝に必要なものをよくわかってるじゃないか」
「ッ♥」
ランキが立ち上がり、喜悦を含んだ笑い声を上げた。先ほどまで隠していた獰猛な欲求を孕んだそれに、思わずシャロンの頭が口角と共に上がりそうになる。
だが彼女は抑えた。牝が雄の命令なしに頭を上げるなどあってはならない。シャロンは獣の〝牝〟でランキは人間の〝雄〟。絶対的で決定的な権利の差というものがある以上、もはやシャロンに人間の判断は不要とまで言えた。
「だが理解しているんだろうな。オレの奴隷になるということは、二度と他の名を名乗ることはできんぞ」
「はい、構いません♥」
「迷いがない……良い牝豚になったじゃないか」
だが、とランキはシャロンの堕落を褒めながら言葉を重ねた。
「オレは服従の言葉一つで信じるほど楽天的じゃない」
「はい、ランキ様のお言葉は一語一句違わず覚えています。ですからどうか、この卑しい牝豚が牝奴隷であることを証明する方法を、我が身にお授けくださいませ♥」
言葉一つで信じてもらえないなら、言葉を尽くして信じてもらえばいい。それで足りないのなら態度で。それでも足りないのなら言葉と態度を合わせる。
信じられない雄が悪いのではなく、信じさせることが出来ない牝がだらしない。牝奴隷を志願したばかりでありながら、シャロンの頭にはその関係性が見えていた。何が起ころうと覆ることのない力の差を、彼女は心と身体で実感をしていた。
「良いだろう。言ったからには耐えてもらおうか――――人を捨てて牝になることが一体どういうことなのか、最期に教えてやる」
◆
ランキ・アフィンの会社は表向きは大企業であり、共和国出身ながら帝国に本社を置く特殊なシンジゲートだ。あの黒月に並ぶということは、裏世界の組織であることも当然だ。方針はランキのワンマンとして広く知られている会社ではあるが、彼を慕う社員は数多くいる。彼の本性を知らぬ人間から、彼の本性を知りながら慕うことで信用を得た人間たち、つまりは幹部。
そんな組織の幹部たちを会社の会議室に集めたランキは、円卓を囲む彼らの前で粛々と言葉を紡いだ。
「ではこれより、私の左腕となる新たな社員を紹介しよう」
部下の手前で態度を飾るランキだが、彼の部下は既にニヤついた笑いを止めることが出来ていない。
それもそのはずで、仰々しい演技をするランキの隣には〝裸の美女〟が立っている。美女を見て驚く人間はこの場にいないが、美女を見て興奮する人間がここにいる幹部たちなのだ。
「皆様、お初にお目にかかりますわ。わたくしはシャロン・クルーガー――――ランキ・アフィン社長の奴隷に志願させていただいた牝でございます♥」
裸身の美女が頭を下げる。否、会議室の床に頭を擦り付け、ケツを掲げて全裸で土下座をした。
ランキ専属の牝奴隷を目指しているとはいえ、他の雄様に失礼があってはならない。そんな忠節が感じられるシャロンの態度に幹部たちは盛り上がる。
「今日はこのシャロンが、君たちの目から見て牝奴隷に相応しいかどうかを判断してもらいたい。シャロンの誓いをその目で見て、牝豚である彼女が牝奴隷に足るかどうかを見届けてやってくれたまえ」
「社長〜。直タッチは無しっすか?」
幹部の一人がヘラヘラと笑って問いかけた。ランキは肩を竦めて言葉を返す。
「無しだ。この前〝一匹〟育ててやっただろう。エプスタインの研究主任で足りないなら次はなんだ? 氷の乙女でも欲しいのか?」
「冗談っすよ〜。まだ飽きてないし、次の楽しみはとっとくっすわ」
女を一匹の牝と見て、奴隷として管理をする。その考え方は社長と幹部で共通している。無論、力関係はこうしてランキが圧倒的に上ではあるが、慕う部下たちを可愛がって〝牝を与える〟のも社長の役目だろうと考えていた。
しかし、シャロンは彼らにやれない。精々とラインフォルトの娘を誰かが引き取ればいい。牝ならいくらでもいるが、お気に入りというものには中々巡り会えない。
「さあシャロン、言われた通りにやって見せろ」
「はい、ランキ様♥」
故に彼は削ぎ落とす。シャロン・クルーガーが牝である上で必要なものを全て、信頼する証人が見守るここで排除する。
裸のまま一枚の紙を手にしたシャロン。彼女はそこにビッシリと書かれている文字に目を向けると、ゆっくりと内容を読み上げ始めた。
「わたくしはここに誓います――――全ての権利を放棄し、ランキ様と御社に尽くすことをお約束します」
その契約書には様々なことが書き記されている。たとえば今シャロンが読み上げたように〝人間の権利〟を捨てることで、人身売買ではないことの証明となる記載。
「わたくしはいつ如何なる時も雄様に平伏し、奴隷に相応しい牝になることを誓います♥」
「セックス、排泄、オナニー、食事、睡眠、歩行。その全てを雄であるランキ様に管理していただきます♥」
「牝奴隷として必要のない衣服を纏う権利を返上します♥」
「過去を捨て去り、ランキ様が与えて下さる今と未来を享受いたします♥」
「ランキ様が仰るのなら、どこの誰とも知らない男に股を開くことを躊躇いません♥ その場で犬のように漏らすことも平気でできます♥ 尊厳も品性もわたくしにはありません♥」
《人間》シャロン・クルーガーには必要であり、そして必要でないもの。
《牝奴隷》シャロン・クルーガーには必要なくなり、そして必要となるもの。
考えられるありとあらゆる人間の尊厳を事細かに破却し、考えられるありとあらゆる牝奴隷の尊厳を構築する。
見ず知らずの人間の前で裸でいることが尊厳否定であるにも関わらず、言葉でも人としての尊厳を否定する。
「――――以上の全てを、《牝奴隷》シャロン・クルーガーの名において誓います♥」
しかし、シャロンは誇らしげだった。イッてしまいそうだった。
ランキに育ててもらった淫猥な身体を見せつけながら、心地の良い誓いを口にして証明する――――彼女はもう十分に狂っているというのに、まだ足りていないと快楽を貪った。
「そして、わたくしの〝おっぱい拇印〟を署名いたし、牝奴隷であることを証明いたしますわ♥」
――――ランキに与えられるものなら、何だって気持ちがいい。
「んぁひィィィィィッ♥♥♥♥」
塗料に浸かるだけでイク超敏感な乳房で、契約書の空欄に拇印を押し付ける。
シャロン・クルーガーの拇印はこの世で二つ。人間の頃に刻んだ慎ましやかだった乳首と、牝であることに誇りを持つ今のこの時に刻んだ卑猥なデカ乳首。
「いい感じに写ったじゃないか」
それを唯一両方持ち合わせるランキだけが、シャロンの全てを握っている。人に戻す権利も、牝として生かす権利も。
無論、彼がどちらを選ぶかは言うまでもない。ランキはおもむろにシャロンの乳首にあるものを取り付けた。
「ひぐっ!?♥♥♥」
「まずは一つ目の関門を突破したな――――褒めてやる。これでおまえは、オレの牝奴隷により相応しくなった」
充血した横太の乳首に揺れる銀色のアクセサリー。隷属の証である乳首ピアスが煌めく。
「これから一つ、おまえが牝奴隷に近づく度にオレからプレゼントをしてやる。それが全て揃った時、おまえは完璧な牝奴隷になれるんだ」
ピアスを指で揺らしながらランキは語った。それはシャロンが人間性を不可逆に捨て去るという意味でもあり、牝奴隷への儀式はまだ先があるということでもあった。
「――――あぁ♥ ありがとうございます、ランキ様ぁ♥」
ぷしゃぷしゃぷしゃ♥ ちょろっ♥ ちょろろ♥ ちょろろろろろろっ♥
そのことにシャロンは歓喜した。歓喜のあまり、その股間から失禁をした。それほど彼に物を与えられたことが嬉しかったのか、これから与えられる物を想像して感極まったのか。
「あぁっ♥ も、申し訳ございません……っ♥」
しかし、さっそく牝奴隷の誓いを破ってしまったシャロンは恥ずかしがって謝罪をした。漏らしたことに対してではなく、許可なく放尿したことへの謝罪。
「漏らしたか……まあいい、許そう。牝は漏らすのも仕事のうちだからな」
その態度に満足したランキはシャロンの粗相を笑って許した――――これから先、この程度の恥を恥と思えない儀式が待ち受けている。その時シャロンの身に降りかかるものを考えれば、許してやっていい範囲だ。
それに牝奴隷は漏らすことも仕事のうち、というのもあながち嘘ではなかった。その場で漏らすことが真っ当に思えるような排泄行為も、当然のように待ち受けている。
ランキはそれを想像して愉悦に浸り、シャロンはそれを体験して絶頂する。
「さあ、続けようぜシャロン。おまえの牝奴隷としての覚悟ってもん、オレに見せつけてみろ」
最高の関係だ――――やはり牝は、従えるに限る。
「はい♥ 牝として、奴隷として♥ あなた様に全てを――――わたくしのご主人様♥」
それが美しく気高いモノであったのなら、堕ちた絶頂も一入なのだ。