【描き方】第1回 黒光沢の描き方【全体公開】 (Pixiv Fanbox)
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黒い光沢の描き方について自分なりの考え方とか描き方を残していこうと思い、書いてみることにしました。
ということで、タイトルにある通り黒光沢について書いて行こうと思います。
ボンデージやラバースーツなど、えっちな衣装には欠かせない黒光沢ですが、描いてみると意外と難しいんですよね
自分もかれこれ2,3年ぐらいほぼ毎日黒い光沢を描いていますが、いまだに難しいなと思うことがよくあります。
今回の記事ではそんな描くのにコツがいる黒光沢の描き方について、自分がどういうふうに考えながら描いてるか講座っぽく紹介していこうと思います。
めっちゃ長いので記事を何回かに分けて説明していきます。
初回はまず物理的な話からしていきます。
【そもそも光沢とは】
まずはこちらを見てください。 こちら、光源がない状態の絵です。
真っ黒ですね
明かりをつけてみます。
こちら、光源がある状態の絵です。地面に球体が置かれています。
表面がテカテカしているため光が反射して光沢が生まれています。
このように、光沢というのはまず光源がなければ発生しません。
めっちゃ当たり前のことなんですけど、この光源を意識するということが光沢を描くうえで最も重要なことになります。
光沢は「物体の色」、「ハイライト」、「反射光」の3つの要素で構成されていて、これらが発生する箇所は必ず決まっています。
そのため、決まった発生箇所に光沢が存在しない、もしくは発生してはいけない場所に光沢があると物理的におかしい不自然な表現になってしまいます。
例えば、ハイライトの位置だけをそのまま左下に持ってくるとこうなります。
右側から光が当たって左下に影ができているのに、光源であるはずのハイライトが右上にないし、左下のこのハイライト(光源)っぽいものは一体…?
みたいな
光沢を描いているのになんか光沢っぽく見えない…という理由はこの物理法則に反した表現が主な原因です。
正しく光が当たった表現をした場合、その物体にある光沢の表現は理論上すべて説明することができます。
正しく光が当たった場合の物体の光をざっくり説明するとこんな感じです。
ハイライトは光源の発した光をそのまま反射したものです。
反射光は光源の光が当たった地面や壁が反射した光が写り込んだものです。
黒い部分にも光源や反射光が物体に当たって光が反射してるんですが、人間の目にその光が入らないので黒く見えます。
このように理屈で説明できる箇所があるのとないのとでは、絵の説得力が違います。
光沢を描く際は何故そこが光るのか?何故ここは光らないのか?ということを意識してみてください。
【光沢表現の難しいとこ】
Q:光沢表現がおかしいと絵が変に見えるというのは分かった
でも、ボンデージとかラバースーツみたいな衣装って普段見ることなんてないし、絵を見る大多数の人にはそんな細かいことバレないんじゃ…
A:バレます。
黒光沢って車だったりカバンだったり、靴だったりと我々の身の回りに結構溢れているので、ボンデージみたいな普段見ない服でも「あっ不自然だ!」って一発でバレます。
光源があればそれに反射した全ての物体にハイライト、反射光、影ができるので人間こういうものを判別するのに凄い目が肥えてます。
加えて人間は明暗の差がはっきりしてるとそこに目を向ける習性があります。
黒光沢はそうした特性から人の目を引きやすいので女性が衣装としてそうした素材の服を着てるとめっちゃ目ひくのですが、その目を引いた箇所が不自然な状態だと悪目立ちしてしまい、頑張って絵を描いても悪目立ちした箇所が絵のクオリティを下げてしまいます。
特にラバースーツなんかは普通の服と違ってボディライン丸見えで隠したり誤魔化しようがないので、描くのがムズい光沢+誤魔化せない人体という組み合わせによってぶっちゃけ全裸とか普通にキャラクター描くより難易度高いです。
【不自然な箇所の直し方】
で、さっきの不自然なハイライトの入った球体のイラストを自然な状態に戻すにはどうすればいいか? というと、物理法則に反しているのが原因で不自然に見えているため、物理法則に則った絵に戻します。
具体的には
ハイライトの位置を右上に持ってくる。
もしくは影を消して反射光の位置を右上に持っていく。
などが案としてあげられます。
さっきのイラストでいうと、
左下に影があるのに左下にハイライトがある。右上にハイライトがない。
という状態ゆえにハイライトの光の説明ができません。なので、
左下にあった影を消し、地面からの反射光を右上に持ってきます。
こうすると、「この球体の下のほうから光があたっています」と説明できるため、さっきよりは物理法則に則った状態になります。
空中に球体というのもなんか変なので紐をつけてみます。
こうすると吊り下げられてる感じになって、重力を得た感じになりますね
この不自然な箇所を見つける方法としては「その光がどこから来ているか?」を考えて、説明してみるのが有効かなと思ってます。
さきほども書きましたが、光沢というのは物理的に発生する箇所が全て決まっていて、理論上全て説明できるので、説明できない箇所は不自然に見える箇所の可能性が高いです。
【まとめ】
黒光沢を描くにあたって、最も重要なポイントは光源を意識することです。
具体的に意識する方法として「その光はどこから来てるのか説明する」という方法があります。
このハイライトはここに光源があるので、ここに映ります。
この反射光はここに壁があるので、このように映ります。 みたいな
ハイライトや反射光を描くか迷ったら「その光はどこから?」と考えてみてください。
不自然な光の表現を減らすだけでも光沢の表現としてはかなり良くなると思います。
「黒光沢を描くときは光源の意識をすることは分かった!でも、具体的にどこに反射を入れればいいんだ…?」みたいな話は次回以降書きます。
以上、第1回黒光沢講座でした。