未来を託されたはずの少女は…(アシ○パ/ゴールデ○カムイ) (Pixiv Fanbox)
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Skeb依頼でした。
https://skeb.jp/@inokuma_yoga/works/67
「アイヌのお嬢さんは和人の歴史をご存知かな? 日本の公的な歴史で言えば北海道の土地は明治五年に一部を除いてほぼ全域が一度すべて官有地となっている。それから土地の所有権を確定させ売り渡されて現在の北海道があるわけだ」
「知っている。お前たちがアイヌから土地を奪った」
アシリパが答えると本多正章は「聡明なお嬢さんだ」と満足そうに頷く。
「和人がアイヌから土地を奪った。なるほど先住民族のアイヌ側から見ればその見方で間違いないだろう。しかし、時の明治政府が土地の所有権を確立させ開拓を後押ししたからこそ北海道は発展したと言えるし、政府が領有権を主張したから北海道はロシアに併呑されずに済んだ」
「それは全部お前たちの都合を並べているだけだ。いつアイヌがそれを望んだ」
アシリパが強い口調で反論すると本多はわざとらしく肩を竦める。
「確かに、これはあくまで和人の理屈であって君たちが望んだことではないかもしれない。だが、少なくとも明治新政府はそう考えて土地を扱ったのだよ。つまり……」
本多はそう言ってアシリパの身体を舐めるように見る。
その視線に不快感を覚えながらアシリパは言葉の続きを待つ。
本多は薄く笑うとゆっくりと口を開いた。
「今ごろ諸外国のお墨付きでアイヌに土地の所有権を主張されても困るわけだ。お嬢さん――確かアシリパさんだったかな――の権利書は、政府としては頭の痛い問題でね」
「なにが言いたい?」
「その権利書を譲って欲しいんだ。平和的に。そちらの言い値で買い取ってもいい」
「頷かなければ私を殺すのか」
とんでもないと本多は首を振る。
「そんなことはしないさ。この件は君たちを追って反乱分子が暴走した軍の管轄から、私たち事務方の人間にお鉢が回ってきてね、とにかく第7師団が目立ちすぎたから今度は穏便に話を進めろと言われている」
「そんなことを言って力づくで奪うつもりだろう。お前たちはいつもそうだ」
これに少しだけ本多は機嫌を損ねた様子だ。細面の神経質そうな顔で眉がピクリと動いた。
「忘れてはいけないよアシリパさん。君らは軍人を多数殺傷しているからね。そちらとしては降りかかる火の粉を放った、刺客を返り討ちにしただけの意識だろうけど彼らにだって家族はいたんだ」
本多が目の前のテーブルをトンと指で突く。
「君たちの所在を教えたらどうなるだろう。恨みを持つ家族が大挙して押し寄せてくるかもしれない」
「結局は脅すんじゃないか」
「可能性の話をしているだけだ。せっかく穏便に済ませようとしているのだから、大人しく権利を手放してくれ」
「そんな理屈で私が納得すると思っているのか」
「正直に言うと全然。ただ私も政府の役人なので国の利益を代弁しなければならない。そういう立場だとは理解してもらいたい」
だからどうしたという顔で睨みつけるアシリパを見て、本多は小さく息を吐いた。それから窓の外を見て呟く。
「降ってきたな。これからどんどん強くなるぞ」
本多の視線を追ってアシリパも窓外に目を向ける。どんよりとした空模様だ。窓ガラスには水滴がついていて外の景色を滲ませている。
窓を打つ雨粒の音は二人が窓に目を向けている間にも強くなる。あっという間に窓を滑り落ちる水の勢いは川のようになった。
ガラスを叩く音が部屋中に響き渡る。アシリパはその音を聞きながら本多を見た。彼は一切の感情が無になったような無表情をしている。急な切り替えをアシリパは不気味に思った。
ここ数日、この男はずっとアシリパと杉本を監視していた。身の回りに不快な視線が増えたことは感じていたが、それが何のためかは分からなかった。彼の目的は彼女が持つ土地の権利書だったのだ。
それは数十年前のアイヌが蝦夷共和国の榎本武揚と交わした約束を記したもので、アイヌの土地所有を認める内容になっている。もし所有権が有効と認められれば北海道の広大な土地の半分近くはアイヌのものになる。
条約締結には函館に常駐していた六カ国の公使も立ち会った。これを無視すれば一方的な国際条約破棄と見做されるため、政府としても頭の痛い問題である。
この権利書を見つける過程でアシリパたちは陸軍の第7師団と激しく交戦した。敵にも味方にも多数の死傷者を出した末、やっと手にした重要な書類である。
アイヌの未来を託された者としてアシリパは絶対に権利書を手放したくない。
政府の代弁者たる本多が彼女に接触してくるまで慎重を極めたのは、少しでも自分の勝率を上げるために策を練っていたからだろう。
アシリパをどう説得するか、そして実際に交渉が始まった場合の条件や報酬について、頭を巡らせてきたに違いない。
「今夜は泊まっていくといい。この雨では宿へ戻るまでに風邪を引いてしまうよ。それに交渉もまだ途中だ。明日また来てもらうより一泊したほうが楽じゃないかね」
そう言うなり本多は交渉に使っていた部屋の外に呼びかけた。すぐに部下らしき男が入ってくるとアシリパの部屋を用意するよう告げる。
「私は泊まるなんて言ってないぞ」
「人の好意は素直に受けておくものだ。明日また話そう」
アシリパの抗議を無視して本多はさっさと部屋を出て行ってしまった。
「さあ、こちらへ」
後に残されたアシリパを本多の部下がエスコートする。彼は余計な口を利かず身振りだけで立ち上がってついてくるよう示した。交渉の不利になる情報を掴ませないため、無駄話はしないよう命じられてるのかもしれない。
こちらが何を言っても無視してあちらの都合で進めようとしてくる。
仕方なくアシリパは政府が所有しているという館の中を男について歩いて行く。
二階へ上がり更に廊下を進んで行くと、ようやく目的の部屋に辿り着いたようだ。ドアを開けると小さな個室だった。ベッドの他にテーブルが一つあるだけの簡素な作りで、そのテーブルの上に水差しが置いてある。
部屋に入ると男は役目を果たしたとばかりアシリパだけ残して去っていく。最後まで一言も発さなかった。
部屋ではベッドが綺麗に整えられており、その上に浴衣が用意されている。こうした事態のために予め用意しておいた部屋なのだろうか。
どうやらこの部屋に泊まる以外の選択肢はないらしい。
「……はぁ」
気詰まりする交渉を思い出し、アシリパは溜め息をついた。
本多と名乗る役人がアシリパのもとを訪ねてきたのは一昨日。土地の権利書の件でと言われた瞬間すべてを察した。
やはり北海道を実効支配してる日本政府としては、自分たちの泣き所になる権利書を放ってはおけないらしい。
今後も政府は、あの手この手で権利書の引き渡しを求めてくるだろう。だが、アシリパたちには渡すつもりなどない。たとえどんな条件を出されたとしても譲れない。これを手に入れる過程で流れた多くの血のためにも。
今日の交渉に杉本の同席は許されなかった。
「政府の代表である私とアイヌの代表である方と一対一で話し合いたい」
それが本多の言い分だった。もちろん杉本としては納得いかない話だが、アシリパの意思を尊重して今回は引き下がってくれた。
今後もやって来るであろう政府の役人との交渉に、アシリパは自分がアイヌの代表として出席するつもりだった。この程度の前哨戦を乗り切れなければ大役は務まらない。その覚悟を示すためにも今回は絶好の機会だ。
とはいえ心配なのは変わらない。
交渉の内容次第では再び戦わねばならない相手なのだ。杉本と一緒なら人殺しにでも地獄にでも落ちてやると覚悟を決めたが、あんな殺し合いは一生に一度でたくさんだというのが本音だ。
「とにかく考えることが多すぎる」
呟いてアシリパは水差しの手を伸ばす。コップに注いだ水を一口飲むと身体が内側からすぅっとした。自分で思っていたより喉が渇いていたらしい。一口飲むと止まらなくなり一杯、二杯と飲み干す。
「ふぅ……」
冷たい水が喉を潤し胃の中に落ちていくのが分かる。一息ついて落ち着いたところで今度は眠気を覚えた。そういえば今日は朝からろくに休んでいない。慣れない交渉に神経を使って疲れていたのだろう。
自覚すると急に瞼が重くなった。
眠くてもう目を開けていられそうにない。身体も鉛のように重い。重力に負けてシーツの上に沈むように全身が弛緩していく。
柔らかいベッドに身体を預けると、すぐに眠りの世界へと引き込まれていく。
意識を失う直前、誰かの声が遠く聞こえた気がした。けれどその声ははっきりと聞き取れず、何を言っているのかまでは分からない。
(誰だ?)
疑問に思った時にはすでに深い眠りに落ちていた――……。
※※※
急激な眠気に襲われたアシリパが目を覚ましたのは、意識を手放してから小一時間ほど経ったころだった。
重く、持ち上がらない瞼の向こうで風の音、窓ガラスを打つ水の音が聞こえる。まだ雨は降り続いているようだ。
アシリパは夢うつつの中で、ゆっくりと覚醒に向けて意識が浮上していった。
「ん……」
目を開けるとまず最初に薄暗い天井が見えた。それからゆっくりと首を動かして室内を見渡す。
明かりは点いておらず、光源となるものは何もない。それでも窓から入る外の光で部屋の中の様子は分かる。
「なにをしている!」
自分の足元へ首を巡らしたアシリパの目に飛び込んできたのは、裸で自分と同じベッドに上がっている本多の姿だった。一糸まとわぬ彼の身体の中心では、未成熟な少女に欲情してる証に男根が勃ち上がっていた。
「よく眠っていたからね。起こすのも悪いと思ってそのままにしていたんだ」
悪びれずに答える本多を見てアシリパは自分の置かれた状況を理解した。理解せざるを得ないだろう。寝ている間に自分も裸に剥かれ、彼の前に見せたくもない裸体を晒しているのだから。
警戒しながら本多を睨む。そんな視線をものともせず彼は平然としたままだ。子猫が毛を逆立てているような可愛いものとしか彼の目には映ってないのだろう。
「少し眠りが浅かったな。身体の大きさに合わせてクスリの量を調整したつもりだったが減らしすぎたようだ」
「なに?」
クスリという言葉で咄嗟に水差しのほうを向いた。あの水を飲んでから急に眠くなったことと、今の状況を無関係と考えるほど愚鈍な娘ではない。
「痛いことは寝ているうちに済ませてあげたかったんだがねえ。起きてしまったら仕方ないか。自分の初めてが失われる瞬間をとくと目に焼き付けるがいい」
そう言って彼は無造作に手を伸ばし、少女の胸を鷲掴みにした。アシリパの身体がビクリと震えるのを見て嬉しそうに笑う。
「んっ……!」
思わず甘い吐息を漏らしてしまうアシリパ。身体の芯にまで染み込むような疼きが生まれていた。全身に火がついたかのように火照り、皮膚の表面だけでなく体の内側まで熱い。特に下腹部の奥深くにある子宮が燃えるような熱を持ってジクジクと疼くのだ。
「くぅっ! 私に何をしたっ!?」
「少し眠くなるクスリを飲んでもらっただけさ。その間に挿れるための準備はたっぷりさせてもらったがね」
本多は乳房をもてあそぶ手を休めようとしない。それどころかますます強く揉んでくる。膨らみかけのなだらかな丘陵を慣れた手つきで弄られる。そのたびに少女は小さく身体を震わせた。
「あっ! ああっ!」
切なげに喘ぐアシリパの反応を楽しむように、本多は彼女の胸に顔を寄せると舌で乳首を舐め上げた。舌先で転がすように刺激してされると、幼い乳首はたちまちピンと勃起する。それを前歯で甘噛みされれば、痺れるような快感が背筋を駆け抜け大きく仰け反った。
「うっ……くっ……! やめろぉ……やめてくれぇ……」
弱々しく拒絶の言葉を口にしながらも、身体は快楽を受け入れ始めているようだ。その証拠に小さな割れ目からは透明な蜜が溢れ出している。粘ついた体液が内股を伝って滴っていくのが分かった。
そんな自分の身体の変化を認めたくなくて、アシリパは涙ぐみながら哀願するように訴えかける。
「やめて、くれ……いやだ……」
しかし本多には通じない。むしろ嗜虐心をそそられたようで舌なめずりさえしてみせた。
「その反応を見る限り、ずいぶんと感じやすい身体のようだね」
言いながら彼は完全にいきり勃っている己のイチモツを手で持ち上げる。アシリパの身体を膝立ちで跨ぐと、見せつけるように少女の顔前に突きつけた。
「ひっ……」
男のモノを見たことはある。だがそれを使われるところはまだ想像してなかった。あと数年したら杉本と……そんな風には己の未来を考えていた。
「これが今から君のナカに入る。君を大人の女にしてくれるモノだ。よく見なさい。とても卑猥で気持ち良さそうな形をしているだろう」
顔を青ざめさせ、いやいやするように首を振るアシリパ。逃げたいのに身体が上手く動かない。本多に飲まされたクスリの効果が残っているためだろうか。首から上の目覚めに身体の反応がついてこない。
「アシリパを見て、こんなに固くなってしまっているよ」
彼の勃起は今にも破裂しそうなほどに膨張し、女を求めてビクビクと震えていた。
「嘘だ……そんなの入らない……」
旅の途中で男たちのモノを茶化したことはあったが、平常時と性交時ではこんなにも違うのか。欲望を纏った肉棒は、あまりにもグロテスクで恐怖を感じるものだった。赤黒く腫れ上がった亀頭は大きく傘を広げており、カリ首も太い竿も何もかもが大きく逞しい形状をしている。こんな凶悪なものを女性器に挿入するなんて信じられなかった。
(こんなの絶対に無理だ。裂けてしまう)
犯されまいと両脚を閉じようとするアシリパだったが、男の手が膝に触れると簡単に開かれてしまう。クスリどうのこうの以前に少女と成人男性では力の差がありすぎた。
「どうして、どうしてこんなことをするんだ!?」
理解できない。分かりたくない。頭の中を渦巻く感情も言葉も形にならないまま消えていく。ただ漠然とこの男が怖いと思った。それは野生の獣やヒグマに対するものとは異質な感覚だった。もっとおぞましく恐ろしいものが目の前に立っているかのような――。
そうこうしているうちに本多に両脚を抱え上げられる。腰を僅かに浮かせて挿れやすい格好を取らされた。
「どうしてか。それは君が美しいからさアシリパ。初めて君を見た瞬間に心奪われた。初恋を知った瞬間の少年のような気分で胸が高鳴った。そして思ったんだ『この子が欲しい』と」
恍惚とした表情で語る男にゾクリとする。これは嫌悪? それとも恐れ? あるいは両方かもしれない。
「この私を欲しいだと? 冗談にしては笑えないぞ」
強がってみせるものの自分でも声が震えているのが分かった。本当は怖くてたまらなかった。これからされることを想像して泣き叫びたくなる衝動に駆られる。それでも目の前の現実から目を背けたくて必死に虚勢を張るしかなかった。
「私が本気だということを教えてあげよう」
言うが早いか、男は自らの剛直の先端をあてがい一気に貫いた。狭い肉壁を強引に押し広げながら、凶暴なまでに反り返った逸物が奥へと侵入してくる。
強烈な異物感と共に下腹部から鈍い痛みが走った。未成熟な肉体に成人男性の男根を捩じ込まれているのだから当然である。
あまりの痛みに呼吸すらできない。酸素を求めて口をパクつかせていると、男が覆い被さるようにして唇を奪った。彼の舌がアシリパの唇や口内を撫でるように舐めてくる。
「少しこのままでいようか。アシリパの膣内が馴染むまで無理はしないでおこう」
こんなモノに、こんなことに馴染むなどあるか! 叫びたい気持ちはあった。しかし激痛で喉が塞がり声も出せない。
苦悶の表情を浮かべる少女を見下ろしながら、本多は満足そうに笑っていた。獲物を前にした肉食獣のような目を向けてくる。
(私はここでこいつに喰われるのか)
獰猛なヒグマにも、金塊を狙う第7師団にも立ち向かい、生き延びてきたアシリパだったが、そのいずれとも別種の恐怖に身がすくんだ。目の前にいるこの男は人間じゃない。人の皮を被った化け物なのだと思い知らされた気分だった。
「そろそろ動くよ。少しでも痛ければ言いなさい」
少女の緊張を解きほぐすつもりか、優しく語りかけながら腰の動きを開始する本多。最初はゆっくりと前後させていたのだが、次第にその動きが速くなっていった。パンパンと肉のぶつかり合う音が室内に響く。
「いっ、ぎっ!」
激しい抽送に結合部から血が滲み出た。破瓜の血だ。それを見ても本多は動きを止めない。それどころかさらに激しく攻め立てていく。少女の膣壁に自身の分身を擦りつけ、何度も突き上げていく。
「美しい顔が苦悶に歪む様も美しい。綺麗なものを汚したくなるのは人の業というやつだよ」
「ふざけるなっ!」
「いいねいいねぇ、その表情たまらないなぁ!」
喜色を浮かべてピストン運動を続ける本多。そんな彼を睨み付けるのは逆効果らしい。
苦痛に耐えながらも気丈に振る舞う姿は、むしろ男の嗜虐的な興奮を煽り立てる。彼はいっそう興奮した様子で腰の振りを強めていった。アシリパの胎内で怒張したイチモツが激しく暴れ回る。子宮を押し潰し、内臓を突き破る勢いで突かれるたびに、彼女はくぐもった呻き声を漏らしていた。
苦しいだけの行為ならどれほど良かっただろうか。けれど彼女には分かり始めていた。下腹部の奥深くから湧き起こる感覚に覚えがあることに。
それは排尿時の開放感に似ていて、それでいてどこか異なる感覚だった。正体を確かめようと思考を巡らせるが、すぐに押し寄せる快感に邪魔されてしまう。
「んっ! んぐっ! んんっ!!」
嬌声を上げないよう必死に我慢しながら耐え続けるアシリパ。そんな彼女の様子に気付きつつ、本多は容赦なく責め立ててくる。
ストロークの長さを変え緩急をつけ、時には小刻みに揺らしながら悦ぶ場所を探られる。するとある一点を通過したとき、アシリパの肉体は大きく反応してしまう。
「ひぅっ!? なんだ今のはっ!」
戸惑いの声を上げると、本多はさらに同じ場所を責めてきた。ぐりぐりと亀頭を押し付けるように刺激される。
「やめっ、やっ――んんぅっ! はっ、あぁ! ああぁあっっ!」
今まで感じたことのない強い快感にアシリパの意識は翻弄されてしまう。
したくもないのに腰が浮き上がり、自分から求めるように本多に合わせて動き出してしまう。それに気付いた少女は慌てて動きを止めようとした。
(だめだ……こんなやつの言いなりになっては……でも、これ……おかしくなる……)
嫌だと思うのに止められない。理性では分かっていても身体が言うことを聞いてくれない。
そんな葛藤を見透かした本多が愉快そうに呟いた。
「そうか、ここがいいのか」
楽しげに笑う本多は狙いを定めて執拗に責め立てた。先ほど見つけたスポットを中心に擦り上げれば、アシリパの身体は面白いように跳ねるのだ。責めれば責めるだけ少女は背中を仰け反らせて悶え、苦しみ、不本意な雌悦に踊る。捕食者側からすれば楽しくてたまらない遊びだろう。
「うぁっ! あぅ! んんんぅぅ~~ッ!」
声を出さないように両手で口を押さえているものの、溢れる吐息までは隠せない。指の隙間から漏れ出る甘い鳴き声を男は聞き逃さない。声を我慢しようとすればするほど、弱点を集中的に狙ってくるようになった。
「ひぃぃっ! だめだっ! そこばっかりされたらぁぁ~ッッ」
限界が近づく。それまで何とか堪え続けていた喘ぎ声も大きくなってしまう。それでもなお歯を食いしばって耐えるアシリパだったが、今度は両胸の頂を摘まれたことで力が抜けてしまった。
「あぁぁ~~~ッッッ」
少女が絶叫するのと同時に男が最奥を穿つ。
「あぐぅぅぅうう~~~~ッッッ!」
たまらず絶叫するが、その声は男の口内へと吸い込まれていった。再び唇を塞がれてしまうと息苦しさから自然と口を開いてしまう。
「ふぐぅうぅっ?」
そこにすかさず舌が捩じ込まれた。口腔内を蹂躙する男の舌から逃れようと抵抗するも、逆に絡め取られてしまう。舌同士を擦り合わせられ唾液を流し込まれると、否応なしに嚥下させられてしまう。
「ふぅっ、んっ、ちゅくっ……」
濃厚な口付けを交わしながら男の両手がアシリパの身体を撫で回す。小さな乳房の感触を楽しむように揉み回し、硬く尖った乳首を指先で転がすように弄った。そのたびに彼女の身体はビクビクと震える。抵抗しようにも身体に力が入らないせいでされるがままになってしまう。
望まぬ性交で身体が反応してしまうのは、思っていた以上に屈辱的なことだった。
こんなやつにされて感じたくないのに、私の初めては杉本のためにあったのに。悔しさのあまり目尻に涙が滲んだ。だがどれだけ心が拒絶しても肉体は抵抗力を失い始めている。
下半身では血液以外の液体が分泌されていた。ぬるぬるとしたそれが纏わりつくと男の肉棒はますます滑らかにピストンする。
肉体を異物の挿入から守るための生理反応は確かに役目を果たした。この場面では誠に要らぬお節介だったが。
「分かるかアシリパ。君の股からセックスのための潤滑油が染み出してるぞ。そんなに俺の子種が欲しいのか」
意地悪な言葉で責められると、アシリパは顔を背けて小さく首を振るだけだった。だが否定しながらも肉体は素直に反応している。愛液によって滑りが良くなっているおかげで、挿入時よりも痛みは和らぎ快感が増してきている。
もう声を抑えることはできなくなっていた。
「あっ……はぁ……んぅ……」
甘ったるい喘ぎ声が漏れ出る。男はそれを聞くと満足げに笑い、ひときわ強く腰を打ち付けた。ぱんっぱんっと肉同士がぶつかる乾いた音が響く。
「あんっ、あぁっ」
奥深くまで突き入れられるたびに、思わず声が溢れてしまう。
(気持ちいいなんて思いたくないのに)
意思に反して快楽を覚えてしまっている自分が嫌だった。心だけは屈しまいと必死に抗うものの、身体はとっくに堕ちてきている。処女を奪われてからさほど時間は経っていないはずなのに。
膣内で蠢く剛直を締め付けるたび、痺れるような感覚が背筋を駆け上がる。
こんな身体は自分のものではないと思いたかった。男に組み敷かれ貫かれ犯されているというのに、嫌悪感と共に快感を得てしまっていることは恐怖でしかない。
「そろそろ出すぞ」
膣内で脈打つ剛直の動きが速くなる。射精が近いのだろう。いよいよその時が来たかと身構えたとき、男が耳元に唇を寄せてきた。
「――好きだぞアシリパ」
囁かれた瞬間、胸の奥で何かが弾けた気がした。
(好き? 誰が誰を?)
小さな身体に不釣り合いな刺激の連続で朦朧とした頭では、咄嗟に言葉の意味を理解することができなかった。ただ何となく『私も』と答えた方がいいような気がして、回らない頭で考えてみる。
私も?
なにが?
なにを?
この男のことを?
誰が?
私が?
私が、この男のことを?
私が、この男のことを、好き……分からない。頭の中は真っ白だった。何も考えられない。
下腹部の奥がきゅうっと疼き、切なさが込み上げてくる。欲しいと思った。今この瞬間だけでも構わないから、この逞しいモノで滅茶苦茶に掻き回して欲しいと願った。
だから言った。
「わ、たしも――」
瞬間、熱い奔流が胎内に注ぎ込まれるのを感じた。
ドクッドクッと脈打ちながら子宮口をこじ開けて直接注がれる白濁液。その熱さに意識が飛びそうになる。
「んああぁああぁ~~~~ッッッ!」
全身を痙攣させながら絶頂を迎える。脳内で火花が飛び散り視界がチカチカと明滅した。今まで経験したことのない強烈なオーガズムに意識を持っていかれそうになりつつも、必死で自我を保つために歯を食い縛る。
「くふっ、んうっ……!」
まだ足りないとばかりに子宮口が亀頭に吸い付き、膣壁が収縮して精液を一滴残らず搾り取ろうとする。その動きはアシリパのほうが男を求めているようだった。
ようやく吐精を終えた男根が引き抜かれていくのを名残惜しそうに締め付ける様は、まさに雄を誘い込むための雌穴そのもの。
「ふぅ……」
全て出し切ったところで一息つく本多。彼は満足げな表情で乱れた髪を後ろに撫でつけた。
一方のアシリパはまだ夢見心地といった様子でぼんやりと宙を見つめている。強制的に登り詰めさせられた状態から降りてくるのに時間がかかった。ぐわんぐわんと耳鳴りがする。頭を強く打ったように意識が揺れた。
そんな彼女の様子を見て男は笑った。
「初めてなのに良かったみたいだね。私も気持ちよかったよ」
「うるさい……黙れ……」
精一杯強がってみせるが本多は少しも恐れ入った様子がない。
(こんな無様な格好では無駄か)
慣れない運動で全身がギシギシ言っている。特に腰回りには鈍痛が残っていて、少しでも身体を動かそうとするとズキズキと痛んだ。
(これが性交というものなのか)
知識としては知っていたが、実際に体験してみると想像とは全く違った。獣の交尾の方がよっぽどマシだと思えるくらい酷い有り様である。
「終わったらどいてくれないか。私はもう帰りたいんだ」
「まだ雨が降っている。悪天候の中を帰らせるわけにはいかないよ」
「ここにいるよりくらいなら砲弾の雨が降る空の下のほうがまだマシだ。いいからどけっ!」
突き放そうと本多の胸に置いた手は役目を果たさない。少女の腕力で押されて大人の男がどうにかなるはずもないのだ。それが分かっていてもアシリパは抵抗を続ける。こんなことは本意ではない、先ほど自分が口走ったことも本心ではない、あのとき私の中にいたのはお前じゃなかった、あのとき私が好きだと言った相手は……。
「あまり聞き分けがないことを言うなら私にも考えがある。私は穏便に話を進めろと言われたが、実力行使の一切を禁ずるとまでは言われてない。聡明なアシリパなら私の言わんとする意味が分かるだろ」
「お前も他の連中と変わらない。話の通じるふりしてるが結局、最後は脅しと力づくで自分たちの都合を押し通すだけじゃないか」
「話し合いで済むならそれに越したことはないさ。だがお互いの利害が衝突して話し合いになったとき、発言力は必ずしも平等じゃない。使える手札をより多く揃えているほうが交渉を有利に進められるのは世の習いだよ」
「私は絶対に屈しないぞ。何があってもお前たちの思い通りになんかなるものか」
「その意気や良し。実に好ましい態度だ」
本多は満足げに笑う。そしてアシリパの両頬を手で挟むと、じっと見つめてきた。
「しかし孫や孫の恩人が官憲に捕まって、アシリパの家族は平気かな。お祖母さんはさぞかし心を痛めるだろう。あのくらいの老人に心労は大敵だ。歳がいってからの心労は死期を早める」
「……っ!」
「心配しなくても良い。君が黙っていれば誰も気付かない。君は何食わぬ顔で集落に戻り、いつも通りの生活を続けていれば良いんだ。そうすれば家族は無事だし、自分も無事に過ごせる。権利書のことはまた後日話し合おう」
卑怯者め、と罵ろうとしたができなかった。なにを言っても負け惜しみになってしまう。この男を喜ばせるだけだと分かってしまった。
(杉元……助けてくれ……)
大切な人の顔を思い浮かべながら心の内で助けを求めた。だがいくら待っても彼が現れる気配はない。当然だ。この場にいるのは自分とこの男だけなのだから。
「返事は言葉にしなくていい。ただ私がすることを黙認するんだ」
そう言って本多の腰がゆるゆると動き出す。射精直後は少し萎えていた彼のイチモツが、今は元どおり硬さを取り戻していた。
「あっ、はぅぅ、んんッ!」
彼の律動に合わせ膣内射精された膣から、にちゃにちゃと粘っこい水音が立つ。
愛液と精液と破瓜の血をブレンドした混合液がカリ首によって掻き出される。肉棒が動くたびに膣口から泡立ったそれが溢れ出てきた。
「一度したから少しは慣れただろう。ここからが本番だ。今夜は眠れるなんて思わぬほうがいい」
言うや否や本多は腰の動きを速めた。
「激しっ……あぁっ!」
初体験とは比べものにならない激しいピストンにアシリパの小さい身体は、ベッドの上で跳ね回る。
パンッパチュッグチャグチャといやらしい音が結合部から響いた。
突かれるたびに子宮口に先端が当たる。少女の身体は膣奥が浅く、簡単に届いてしまうのだ。
「奥ぅ……当たってるぅ……」
子宮を蹂躙され、思考が再び快楽に染まっていく。本多が言うとおり一度セックスを経験した膣は解れ、膣壁全体が絡み付くように男根にしゃぶりついていた。
「ふぁ……あん……」
幼い声音に色気を纏った嬌声が止まらない。
膣内を擦られるだけで甘い痺れが走り、反射的に腰をくねらせてしまう。まるで男を誘っているかのようだ。もちろん本人にそんなつもりはないのだが、傍目から見るとアシリパも本多との行為に悦びを見いだしてるように映る。
(違う! 私は、そんなことは、断じてない!)
必死に否定するも肉体の反応は止められない。本多の律動が続くと、またもアシリパの身体は登り詰め始める。さっきよりも早いペースで何度もイカされる。
(達したくない、達したくない、達したくない、これもう嫌だ)
気をやらない程度の小さな絶頂は無数にやって来る。そのたびにアシリパは悔しそうに眉根を寄せ、表情を歪める。
本多は邪悪な愉悦に染まった顔で見下ろしていた。
細かな絶頂を何度も数えながらアシリパに再び限界が訪れる。
「ふああぁあぁぁ~~ッッ!」
大きな喜悦を迎えた肉壷がキュウゥっと強く締まる。男の射精を促す動きだったが、本多は出さなかった。彼女の反応を楽しむかのように小刻みに抽送を繰り返し、肉襞の感触を楽しむ。
「イキながら許してもらえずナカで動かれるのは、つらくも愉しくも甘美だろう。じっくり味わうがいい」
「んっんっんっ!」
敏感な場所を擦られるたび、電流のような快感が走る。一方的に蹂躙されるだけのみでは耐えるしかできない。
「んっ、はぁんっ」
あんなにあった嫌悪感は男根が一往復するたび擦り減っていき、次第に快感の割合が増えていく。ついには完全に嫌悪感が性欲へと塗り潰された。
「う、ぐ……うぅ……や、やだ……や、だぁ……うぁ……あ……」
自分の意思ではどうにもならない変化に戸惑う。身体が内側から作り替えられていく。そうとしか表現できない感覚だった。
恐ろしい体験なのに、どうしてかもっとして欲しいと思ってしまう自分がいた。
「あんっ、はっ、んぅううぅ~」
「どれ体位を変えようか」
正常位で犯されていたアシリパの身体が抱き上げられる。対面座位の体勢になるとアシリパの顔は相手の胸の辺りにきた。男の胸板に顔を埋めるとまだ父親が生きていたころ、彼の膝の上に座らされた記憶が蘇る。
そのときもこうやって、あやすように上下に揺さぶられたものだった。しかし実父の膝の上とは違い、本多の対面座位はアシリパに安らぐ時を許さない。
深々と男根を突合したまま本多は「とんとこ、とんとこ」と楽しそうに歌う。そのリズムに合わせて本多の肉棒が急所を責めてくる。
自重により深くまで剛直を突き入れられ、アシリパは甲高い悲鳴をあげた。
「い、やっ、ふかいっ、あっ、ああ! ああっ! お、奥……そんなっ、場所まで……はあっ、はあっ! はあっ……!」
「私はなにもしない。アシリパが好きなように動くといい」
背中に回されていた手が離れたかと思うと、本多は完全にベッドの上で寝そべってしまう。仰向けになった男の目がこちらを向いている。
「自分で動くんだ」
またしても女の側から腰を振れと要求される。そんなことはするものか、こんなこと私は望んでない、無理やりするならすればいい、腕力では敵わないと諦めた。だからといって私が自分から動くことなど――。
「ふっ、ふっ、ふっ、ふうぅっ!」
心の声とは裏腹に、少女は美貌を歪め、獣のように息を吐きながら一心不乱に上下運動を繰り返す。男に跨り、尻を浮かせて落とすだけの単純な運動。たったそれだけの繰り返しが生み出す無限の幸福感にアシリパの脳髄は痺れている。
いつしかその表情から苦悶の色は消え去り、恍惚としたものに変わっていた。蕩けきった顔で、舌を出して喘ぐ姿は淫売婦のようですらある。自ら快楽を求め、貪り食う浅ましい雌の姿だ。
「んおっ、おぉおおぉぉ~ッ!」
ひときわ大きな絶頂を迎えた瞬間、少女の全身から力が抜ける。脱力した拍子に身体のバランスが崩れ、前のめりになって倒れ込む。そのまま男の胸に顔から倒れ込む形で覆い被さった。
しかしそこで終わりではない。なおも彼女は腰を振っている。力尽きてもなお貪欲に快楽を求める姿に本多は笑った。
「私のチンポで自慰でもしているのか? そんなに私のモノが気に入ったのなら好きなだけ使うといい」
その言葉を受けてアシリパはさらに激しく腰を振る。
「はぁあぁああぁっ! ああぁっ!」
もはや自分がなにをしているのか理解していないのだろう。ヘコヘコと腰を動かす様は発情期の動物さながらである。
「そろそろ私も動こうかな」
そう言って男が下から突き上げるようにして腰を打ち付ける。今までよりもさらに深いところまで届く。自分の身体を貫通した亀頭が口から出てくるのではと見当外れな恐怖を本気で抱く。
ゴリッと奥を抉られた瞬間「ひうっ?」と情けない悲鳴が喉から漏れた。たった一撃で意識が飛びそうになるほどの快感が走った。
尻を両手で鷲掴みにされて、まるで玩具みたいに身体を上下させられる。
「あっ、あっ、あっ、あっ」
リズミカルな嬌声が口から漏れる。すでに痛みはなかった。あるのはただ圧倒的な快感のみ。
「いいっ、きもちいいっ、おく、すごいっ、おっ! あっあっあっあっ」
理性が崩壊したアシリパの口から、本多とのセックスが気持ちいいと認める台詞が飛び出した。それはクスリを盛られ、力づくで犯され、脅迫を受けているこの状況で絶対に口にしてはならない、認めてはならないことだったはずなのに。
快楽で脳みそを焼かれたアシリパはそのことに気付かない。普段の聡明さは微塵も残ってなかった。
「好きだ、愛してる、アシリパ、お前は私のものだ!」
本多がキツく抱きしめてくる。肺腑から酸素が絞り出されて息苦しい。彼が腰の動きを速めた。
仕上げに取り掛かっているのだと思った。分かったから何ができるものでもない。
子宮口と鈴口が触れ合い、濃厚な白濁液が膣奥に注ぎ込まれる光景を想像して備えた。あまり待たずに現実のものとなる。
ブビュルルルッと音を立てて精液が流れ込んでくる。
子宮内に熱い粘液が大量に流れ込む感触があった。三発目だというのに量、濃度とも一発目と遜色ない特濃精液が少女の胎内を焼き尽くす。
「これでお前の子宮は私の精液でいっぱいだ。こんな小さなお腹の中によく入ったものだよ」
本多の手がアシリパの下腹部に添えられる。そうされると、まだ萎えない剛直が元気いっぱい跳ね回り、精液を吐き出してる気配がよく分かる。
己の身に起きている重大事を彼女は遠い国の出来事のように呆然と眺めていた。
※※※
結局あの日は夜通し本多と交わった。
アシリパは最後まで、これは無理やりされてるんだ、本意じゃないんだと心の声で拒否したが、身体は途中から積極的に腰を振っていた。
どちらが本心かは彼女自身にも分からなかった。
あれから数日後。
アシリパのもとに再び権利書のことで話し合いたいと本多の遣いがやって来た。
「アシリパさん、やっぱ今度は俺も一緒に行こうか」
心配した杉本が声をかけてくる。あの日、一泊して帰ったアシリパの様子がおかしいことに彼は気づいたようで、直接質問する代わりに一日中様子を窺ってくる。平気なつもりだが顔に不安が出てしまっているのかもしれない。
「平気だ杉本。これは私の役目だ」
本当は同行してもらいたかったけれど、彼を連れて行って本多の前で不審な反応を見せたくなかった。大丈夫。今度はもし向こうが妙なことをしてきたら即座に対応してみせる。あのときのような失態はしないし、させない。
(これは私が一人で乗り切らなければならない試練なんだと考えよう)
決意を固めたアシリパ。だがどうしてだろう。あの男にまた会うと決めた途端、武者震いとは違う震え方を身体がする。それに下っ腹がウズウズして妙に切ない。そこにあるべきはずのものが欠けている、そんな物足りなさを感じた。