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原作:そらのおとしもの


キャラ:イカロス


シチュ:智樹の家で勉強会をすることになったメンバー。その準備のため買い出し班と掃除班で分かれることに。掃除を担当するイカロスと風音日和は智樹の部屋でエロ本を見つける。ほぼ掃除は終わっていたこともあり二人は本を開く。


 イカロスは淡々と日和はドギマギしながら読んでいるとエロゲの広告が載ったページを開いたところで、シナプスのカードが発動して二人はよくあるファンタジーエロゲの世界に飛ばされてしまう。


【イカロスルート】


 男爵の爵位を持つ歴とした貴族でも田舎の小領主程度では大した暮らしぶりでないらしい。袋から出した金貨を目を皿のようにして数えるコリアー男爵の姿を見るにつけジャレッドは心の中で侮蔑が止められない。


 自分の才覚でのし上がったわけでなく、ただ先祖伝来の領地を与えられそこから吸い上げた財だけで暮らす豚のような男。貴い血とやらが流れてなければこの男自身には何の価値もない人間。それなら俺のほうがマシじゃないかとジャレッドは思う。


 野盗の頭目というのは世間的に褒められた職業じゃないが、生まれも学もなく腕っぷししか自慢できる者のない人間が、それを活かしてのし上がることの何がいけないのか。これも立身出世というやつだろう。


 ジャレッドは少年時代に野盗の下働きから始め身体の成長とともに頭角を表し、やがて独立して己の子分を持った。現在では五十人近い大所帯に成長し近隣一帯を荒らし回る大規模な野盗に成長した。


「今月はこんなものか。最近ちぃっと収入が減ってるんじゃないか」


 金貨を数え終えたコリアー男爵は全て袋にしまうとテーブルの脇に置いた。傍らのグラスに手を伸ばし葡萄酒に口をつける。差し向かいで座るジャレッドには勧めてもこない。この葡萄酒だって俺が払ってる金で買ったものだろうに。そうでなければ一瓶で平民の月収半年分に相当するワインなど田舎男爵が水のように飲めるはずない。


「近ごろ頻繁に叩きすぎたな。ああいう連中は生かさず殺さず細く長く搾り取らにゃならんのに。今じゃ骨と皮ばかりで鼻血も出ない有様だ」


 ジャレッドたちは目をつけた村落に数ヶ月おきで襲撃を繰り返してきた。そのくらい間を空けるとボロボロにした村も復興の兆しが見え、また蓄えを始めるのである。それを再び奪う。農作業と一緒だ。土を酷使するばかりでは最初こそ実入りがよくても、やがて作物が育たなくなり収入は途絶えてしまう。安定した実入りには休ませる期間も必要になる。それを男爵は月一回のペースで回るようにしろと言う。無茶苦茶だ。何も分かってない。


「カラカラに乾いた雑巾だって絞れば水は出てくるもの。骨と皮ばかりに見えても血は残ってるかもしれないぞ。何せ平民という連中は学も教養もない癖に悪知恵ばかりは働くからな。特に金目の物を隠すことに関しては」


 自分では雑巾など絞ったことない男がよく言う、とジャレッドは鼻で笑いそうになるのを堪えた。ジャレッドは勉学というものとは無縁な育ちをした。そんなものが必要と感じたこともなかった。力さえあれば金は稼げるし、金が稼げれば無学なゴロツキでもこうして貴族と対等に話せるからだ。そんなジャレッドから見てもコリアー男爵の学や教養が、彼が自慢げに話す平民とは格が違う貴族の水準とやらに達してないことだけは分かる。


 野盗団にサイラスという男がいる。今から五年前、まだ少年の面影が残っていたころ山で行き倒れていたのをジャレッドが拾い、読み書きだけでなく帳簿も理解できると聞いて団に引き入れた。武器の仕入れや略奪品の換金でブラックマーケットの商人たちから金額を誤魔化されているような気配が以前からあったので、会計を任せることにしたのだ。


 サイラスの素性は本人が語らないので謎なままだ。上等な教育を受けた形跡やコリアー男爵よりも遥かに洗練された所作を見るに大店の息子か、ひょっとしたら貴族の子弟が跡目争いのゴタゴタで家から追い出されたのかもしれない。


 コリアー男爵との取り引きを提案したのもサイラスだ。団の略奪行為を黙認する代わりに一部をキックバックする。思慮分別のない男爵は簡単に応じた。ジャレッドたちは男爵領内でなら怖いものなしになった。


 今夜もジャレッド自ら男爵に換金済みの利益からキックバックを納めに来たのだ。


「まぁいいさ。少し長めに間隔を空けてやればすぐに回復するだろうよ」


 コリアー男爵は再び葡萄酒に口をつけると立ち上がった。テーブルに両手をつき、身を乗り出すようにしてジャレッドの顔を覗き込む。酒臭い息が顔にかかり不快だった。思わず顔を背けたくなるのを堪える。


「それでだな、実はお前にひとつ頼みたいことがあってなぁ」


「……何だよ」


 嫌な予感がしたが聞かないわけにもいくまい。ジャレッドはしぶしぶ答えた。


「ある村を潰して欲しいんだ。その村の連中がどうも侯爵に告げ口しようとしてるらしくてな。そうなればお前たちも何かとまずいことになるだろ」


 侯爵とは男爵の親分に位置する相手だ。男爵領も含めた広域を治めている貴族で、周辺の小領主たちから上納金を取る代わりに庇護を与える。日照りや水害などで作物が育たなかったときに備蓄を回してやったり、単独では解決できない問題が発生したとき侯爵の私兵を援軍に差し向けたりが庇護には含まれる。男爵と野盗が結託して領民に略奪行為を働いてるなどと知れたら乗り込んで来るかもしれない。


「仕方ねえな。確かに侯爵と事を構えるのは俺たちにもうまくねえ。村の連中は全員殺せばいいのか」


「ああ……いや、若い女だけは殺さずに連れてきてくれ」


 にたりと男爵は醜い顔に好色な笑みを浮かべた。


 やはり豚のような男だ、とジャレッドは思った。だがこの豚のおかげで危険なく野盗団としてやっていけてるのも事実だ。いつまでも下に就いてるつもりはないが、こんな男でも今はまだ利用価値がある。


「じゃあ明日にでも行ってくるぜ」


「頼むぞ。女は若い生娘が好みだが、あんな田舎村に生娘が残ってるか……まあ、熟れた人妻に平民の貧相な肉棒とは違う、本物のちんぽを味わわせてやるのも一興だがな」


 ガハハ! と男爵は野盗も真っ青の下品な笑い声を上げた。ジャレッドは顔に掛かった唾の飛沫を拭う。ブタ野郎の頭をかち割ってやりたい衝動と戦うのに苦労した。






     ***






 男爵の館を後にしたジャレッドは馬上の人になっていた。人通りがない夜の山道をアジトに向かって走る。夜空に浮かぶ月を見ながら、明日のことを考えた。男爵の指示に従って村人を殺して回ることになる。今回はジャレッドたちにも都合がいいことなので従うが、今後もこうした頼みごとが増えると面倒くさいことになりそうだ。良いように影の私兵として扱き使われ、いざというときは尻尾切りなどされてはたまらない。


「権力との付き合い方ってのを考えにゃならんな」


 前にサイラスが口にしていた言葉を真似てジャレッドは呟く。あと少しだ、あと少しだけ力があれば男爵と決別してもやっていける。


「まあ難しいことはサイラス大先生にでも任せるか。ゴチャゴチャ頭を使うのは俺の性分じゃねえ」


 人には向き不向きがある、俺が空っぽの頭を回してもろくなことにならないだろと考えることを放棄したときである、ジャレッドの目が空に二筋の光を見つけた。


「なんだぁ?」


 流れ星かと思ったが違う。光の中心に人型の影が見えた。


(もしかして魔物か?)


 何が現れても不思議ではない。警戒しながら接近する光を観察するジャレッドだったが、そのうちひとつがこちらに向かって急激に進路を変えた。とっさに手綱を引き馬の足を止めさせた。


 直後、光が地面に激突した。轟音とともに足下が激しく揺れる。馬は驚き前足を上げて暴れだす。ジャレッドは振り落とされないよう馬首に強くしがみついた。


 揺れが収まったところで恐る恐る目を開けてみる。すると目の前に少女が横たわっていた。少女は桃色の長い髪で肌が雪のように白い。着ているものはほとんど裸と言って差し支えない格好。肩から胸にかけて大きく開いているため乳房がほぼ丸見えだ。乳首だけ隠せれば恥ずかしくないとでも言いたげ。腹部に向かっても深い切れ込みが入っている。下はスカートだが、ジャレッドはこんなに短く、少し歩いたら尻が見え放題なスカートを知らない。娼館の女だってもう少し脚を隠している。


 どこをどう見ても怪しさしかない少女。だが単なる痴女と切って捨てられない理由は、彼女の背中に生えている大きな翼だ。まず人の身ではありえない。


「魔物か?」


 疑ったのはハーピーが何らかの理由で落ちてきたというもの。妥当な推論に思えたがハーピーは光らないし、少女の手足は人間と遜色ない。ハーピーならもっと鳥に近い格好をしているはずだ。


「だがよぉ。人間だって背が高いの低いの、頭がフサフサなのハゲ散らかしてるのといるんだ。ハーピーの中にだって個人差くらいあるかもしれないぞ」


 誰にともなく言いながらジャレッドは馬を降りた。気を失ってるらしい女に近づく。


「おい、起きろ。こんなところで寝てると風邪ひくぞ」


 軽く肩を揺すってみる。触れた肉体は人間の女と遜色ない柔らかさだった。


 ぱちりと少女の目が開く。現れた瞳は宝石のエメラルドを思わせる緑色。辺りの状況を確認するように探っていた目がジャレッドに照準を合わせた。


「インプリンティング開始」


 聞き慣れない言葉を少女が呟く。すると彼女の首輪についていた鎖が伸びてきてジャレッドの手に絡みついた。


「何をしやがる!」


 魔道具の一種かと身構えた彼の前で少女が三指をつく。それは服従を表すポーズ。


「初めまして。私は愛玩用エンジェロイド、タイプα。イカロスです。あなたが楽しめることをなんなりと……私の|鳥籠《マイ・マスター》」


 聞いたことない言葉ばかりの中でジャレッドにもかろうじて理解できた単語がある。少女は自らを愛玩用と名乗った。つまり自分の肉体は主人の好きにされて構わないということである。そして、どういう経緯か全く理解できないが、イカロスと名乗る少女はジャレッドをマスターに選んだようだ。


 少女の大きな胸は地面に手をついた前傾姿勢でより強調される。たわわに実った真っ白く柔らかい二房の果実から目を離せないのは男の性。さっき触れてみた感触どおりなら全身どこを撫で回しても抱き心地抜群だろう。白い肌は吸い付いて跡を残してやったら映えそうだ。


「だからってアジトに訳わからん魔物を連れ帰るわけにゃいかんよな」


 名残惜しいものを感じながらジャレッドは言った。


「おい魔物」


「イカロスとお呼びくださいマスター」


 少女は感情を感じさせない抑制の利いた声を出す。


「マスター、楽しめることをなんなりとご命令ください。欲しいものとかでもいいんです。私たちエンジェロイドはマスターを楽しませるためだけに作られたものですから」


「楽しめることねえ」


 だったらとイカロスの胸を揉んだ。大柄なジャレッドの手でも包みきれず肉がこぼれる大きさだった。指に力を入れるたびひしゃげた胸肉がぐにゅぅっと形を変える。男を触覚のみならず視覚でも楽しませる乳房は、なるほど愛玩用と名乗るだけあり数々の女を陵辱してきたジャレッドでも思わず夢中になる揉み心地だ。


「これがマスターの楽しいことですか……?」


 何をされてるか分からない様子でイカロスは首を傾げた。愛玩用と名乗っているのに性知識は皆無なのか。それとも彼女に仕込んだ人間が男は初心なほうが喜ぶと教えたのか。


「ああ楽しいね。アジトにゃ連れてけないがここでサクッとヤラせてもらうおうか」


 ジャレッドはイカロスが泣き叫ぶ姿を想像していた。いくら自分を愛玩用と名乗る頭のおかしい魔物でも山道で押し倒し、犯すと脅せば怯えて逃げると考えたのだ。


 しかし抵抗どころか彼女はむしろ自分から服を脱ぎ始める。


「分かりました。どうぞお楽しみください」


 相変わらず感情を表さない表情と声で言いながら淡々と手を進める。上を脱ぐと形のいい乳房が現れた。先端にあるピンク色の突起が触って欲しそうに誘っている。


「マジか。本当にヤラれてもいいって言うのか」


「それがマスターのお望みでしたら」


 そこに自分の意思など必要ないといった様子でイカロスはスカートにも手をかけた。


 そうなるとジャレッドも我慢できなくなる。もともと欲望に忠実な生き方こそ野盗の本望なのだ。あくせく働いてるだけでは縁がない美味い飯を食い、高い酒を飲み、抱きたい女を抱くために世の道理を外れた人間たち。ああだこうだとしち面倒臭いこと考えて据え膳を逃すなど悪党のすることではない。


 ジャレッドはズボンを脱いで下半身を露出させる。既に勃起していたペニスは赤黒く脈打っている。


 自慢の男根を前にしてもイカロスは眉ひとつ動かさない。ただじっと見ているだけだ。その澄ました顔が気に入らなくてジャレッドは「咥えろ」と命じた。


「はいマスター」


 イカロスは新たな主人の前に膝をつき、生臭い肉棒に顔を近づけた。


 あと少しで柔らかそうな唇が亀頭に触れる、その時だった。


 ――ぐるるるぅっ!


 辺りから獣の呻き声がした。数は一匹や二匹ではない。完全に囲まれていた。


「俺としたことが。この女に気を取られて気づくのに遅れたか」


 闇の中からこちらを光る目がいくつも睨んでいた。心なしか獣の臭気も立ちこめている。


「どうしますかマスター?」


 イカロスが尋ねる。僅かに唇が肉棒の先端に触れ、吐息も感じた。まだ何もしてないというのに先走り汁が溢れ出し、早くしゃぶってくれと言わんばかりにビクンビクン震える。こら鎮まらねえか。せっかちな相棒をジャレッドは窘める。近ごろ忙しくて女とはご無沙汰だった。それで久しぶりのセックスの気配にいきり立っているのだ。


 勃起したままでは格好がつかないし戦いにくい。だが収まってくれるのを待つ時間はないらしい。仕方なくジャレッドは顔だけ凛々しい表情を作って言った。


「決まってんだろ。かかってこい犬っころども!」


 ジャレッドが宣言すると敵意を感じてか四つ足の獣たちが森の中から出てきた。山中に捨てられたか何かした犬が野生化したあと瘴気に当てられて魔物化したらしい。狂気に釣り上がった目が赤い光を放つ。


 いくら魔物と言っても要は犬っころだ。数匹程度ならジャレッドも慌てない。しかし今、彼らを取り囲んでいる群れは二十匹……いや三十匹はいる。


 戦いは数の多いほうが有利。それはほとんどの戦況で揺るがない事実。これだけの数に囲まれて全方位を守ることは難しい。落ち着け、とジャレッドはズボンを上げながら己に言い聞かせた。


(この程度でビビってちゃ野盗なんざやってられんぜ)


 深呼吸を繰り返し心を落ち着かせる。そうしている間にも魔物たちは距離を詰めてくる。ジャレッドが腰の剣を抜き放つと両者は一触即発。緊張が高まり極限に達した。


 そして、リーダーと思しき魔物の合図で数匹の手下が動いた。


(来たか!)


 まずは飛びかかってきた奴の頭を剣で突き刺してやる。脳天を真っ二つに割られ足をピクピクさせながら絶命したそいつの死体を掴んで振り回し、他の連中を弾き飛ばす。倒れた仲間を見て怯んだ隙をついて一番手前にいたやつを斬り捨てる。次に襲いかかってくるやつは喉笛を掻き切ってやる。


「どうだ、人間様をなめるなよ」


 生温い返り血を浴びながらジャレッドは愉悦の笑みを浮かべた。やはり暴力。暴力こそが己の本質だと感じる。魔物の頭蓋を叩き割るとき手首にズシッとくる感触が心地よい。肉を切り裂く手応えは確かに命を奪ってるのだと感じさせてくれる。ガキの時分から人並み以上にできることはこれしかなかった。腕っ節を除いたら自分には何もない。だから戦うのが好きだし殺すことに躊躇いもない。他人から見ればただの狂人だと言われるだろう。けれど自分らしさを肯定してくれるのならなんだっていい。自分はこういう人間なのだと胸を張って言える特技なのだから。


 ジャレッドは最初の数匹が終わっても魔物を軽快に捌いていった。剣だけでなく水系統の魔法を使い、飛びかかろうとしてきた犬っころの機先を制して吹き飛ばす。さらに光系統の魔法と組み合わせ、水で作った像に自身の姿を投影させた。仲間を倒され怒り心頭の魔物たちは鏡像に飛びかかる。そしてお互いの喉笛を噛み千切り同士討ちで絶命した。


 もし魔物の群れが最初に姿を見せた連中で全員ならジャレッドの勝ちが見える頃合いだった。足下に転がる死体の増え方は彼の勝利が近いことを物語っているように見えた。だが現実は非情だ。


 リーダー格の魔物が遠吠えすると新たな手下たちが現れたのだ。あくまでも最初に姿を見せた魔物は第一陣らしい。総勢では百頭近く潜んでいるのではないか。


「次から次にじゃれついて来やがって。人間に恨みがあるなら自分を捨てた奴のところに行けってんだ」


「マスター」


 忌々しげに叫んだジャレッドに背後から声を掛ける人物がいた。


「マスターは彼らの排除を望みますか」


 絶体絶命の窮地でもイカロスに慌てた様子はない。抑揚のない喋り方で淡々と言った。こいつには感情というものがないのか。さすがのジャレッドも不気味に感じたが、今は深く考え込んでいる余裕ない。溺れる者は藁をも掴む。彼はイカロスに命じた。


「できるもんなら犬っころどもを全部ぶっ殺せ! それが俺の楽しいことだ」


「分かりました」


 イカロスが頷くと、彼女を中心に熱い風が吹き抜けた。相変わらず表情は硬いままだが、今は全身から戦意のようなものが感じられた。


「マスターへの敵対行為と見なし、あなたたちを排除します」


 イカロスが言うと彼女の身体から何かが射出された。ジャレッドが初めて見るそれは、魔物の身体や地面に衝突すると激しい爆発を起こした。一発で数匹の魔物が爆散する。着弾した地面は溶けて溶岩のようにドロッとしている。直撃すれば間違いなく致命傷になる攻撃だ。火系統の上位魔法使いも裸足で逃げ出す威力。しかも逃げ惑う魔物たちを正確に追尾していく。


「私のそばにいてくださいマスター。ここが一番安全です」


 爆風に巻き込まれそうになったジャレッドはイカロスに引き寄せられた。言葉どおり彼女のそばは台風の中心地だった。周りが荒れ狂う暴風雨に痛めつけられている中そこだけは凪いでいる。おかげで人心地つけた。魔物の血で汚れた剣を拭いながら状況を確認する。


 イカロスの攻撃は一発だけで終わらない。続けて二発、三発と発射される攻撃によってあっという間に形勢逆転してしまった。敵の数は一気に減ったように見える。激しい爆発と音で犬っころどもは戦意を喪失していた。尻尾を巻いて逃げるというやつだ。統率された動きなどなく散り散りに闇の中を逃げ惑う。


(こいつは使えるな)


 もう危険は去ったと見てジャレッドが剣をしまう。


「もういいぞ、イカロス」


「はい、マスター」


 イカロスは返事とともに攻撃をやめた。その途端、吹き荒れていた風が止み、爆音も聞こえなくなった。辺りには静寂が戻って来た。


「おまえ、すごいんだな」


 ジャレッドの口から素直な感想が漏れた。


「ありがとうございます」


 イカロスは表情を変えず、淡々とした口調で言った。


「褒められたときくらい少しは嬉しそうな顔をするもんだ。褒め甲斐のない部下だな」


「嬉しい? 嬉しいとはどんな感情でしょうか」


「お前それ……」


 本気で言ってるのかと聞こうとしてジャレッドはやめた。出会ってからの短いやり取りだけでもイカロスが冗談や嘘をつけるタイプでないことは分かった。本当に一般的な感情が理解できないのだ。


(人間と同程度の知能はありそうなのに、一体どんな環境で育てばそうなるんだ)


 彼女の正体や生い立ちを訝しんだが正直それはもうどうでもよくなっていた。イカロスほど強力な戦力が自分をマスターと呼び傅くのだ。みすみす見逃す手はない。


 ジャレッドは前言を翻し、イカロスをアジトに連れ帰った。






     ***






 アジトに戻ると子分どもが外で何があったか説明しろとせっついてきた。ここまでイカロスの攻撃による爆発音は届いていたらしい。


「そういうわけで今日から俺らの仲間になったイカロスだ。よろしくしてやってくれ」


 ここまでの出来事を説明してやったが子分どもは半信半疑。それはそうだろう。外見だけならイカロスはエロい身体をした少女でしかない。摩訶不思議な術で魔物の群れを退ける強者には見えない。


「よろしくお願いします」


 イカロスが腰を折って挨拶すると子分からどよめきが起きた。たゆんと揺れた胸に彼らの視線は釘付け。じゅるるっと涎を啜り上げる音まで聞こえてくる。


「お前らなあ」


 ジャレッドは呆れつつも気持ちは分かるので叱ったりはしなかった。かくいう彼もイカロスの美しさやセックスアピールに溢れた肢体には目を奪われたのだから。


「口で言っても信じられないだろ。お前の力を見せてやるとしよう。何か食えそうな魔物を適当に捕まえてきてくれ」


「分かりました」


 短く答えたイカロスは翼を広げ外へ飛び出していく。大きく広げた羽を二度、三度羽ばたかせるうちに少女の姿は見えなくなる。短いスカートから覗いた美味そうな尻に口笛を吹く間もない展開に子分は呆気に取られていた。


「飛行速度は大したものですね」


 イカロスが飛び去った先を眺めていたジャレッドは、いつの間にかそばに近寄ってきたサイラスに声を掛けられた。黒髪を丁寧に撫でつけたサイラスは野盗より商会の番頭か何かに見える。エロい格好した女なら大歓迎とイカロスの加入を喜んだ団員の中で、彼だけは少女の素性を訝しんでいた。


「あんな速度で飛ぶ魔物は見たことありません。神話の世界の住人ですよ」


 サイラスは腕組みしながら言った。あらゆる魔物の姿、名前、弱点を暗記している彼の脳内図鑑でもイカロスに該当するものはないようだ。


「だからと言って人間とはなおのこと考えづらい。羽が生えた人間なんていませんからね。彼女が魔物だとするならなぜ人間に味方し、お頭を助けたのか実に興味深いです」


 それはジャレッドも気になっていた。自分にはマスターと呼ばれる覚えなどひとつもない。


「魔物は強い者に従う習性があります。通常であれば人間に従うとは考えられません。なのに彼女はお頭に従っている」


「その言い方だと俺が弱いみたいじゃねえか」


 ジャレッドは不愉快そうに言った。本気で腹を立てたわけではない。からかってやるだけだ。


「失礼しました。魔物が人間に従順なのは珍しいと言いたかったのです」


 サイラスは表情を変えない。本当に申し訳ないと思ってるのか怪しいところだが、無意味な挑発や失言をする男ではないので馬鹿にする意味はないのだろう。


「まあいいさ」


 ジャレッドは余裕あるところを見せようと鷹揚に頷いてみせた。


「あいつは確かに規格外の強さだが俺に従ってるうちは頼もしい味方だ。あいつを使えば男爵の野郎にヒツヨーケイヒを払う必要もなくなる」


 それに、とジャレッドは先刻のコリアー男爵にも劣らない邪悪で下卑た笑いを浮かべる。


「男と女の強さは腕っ節だけで比べるものじゃねえ。女の身体じゃ絶対に勝てない男の強さってもんがあるからな。そっちで俺から離れられないようにしてやる」


 ジャレッドの欲望まみれの言葉にもサイラスの表情は変わらない。


「それも彼女をそばに置いておく理由ですか」


 ジャレッドは自信満々で頷く。イカロスは美しいだけでなく、胸や尻、太もも、腰、身体のありとあらゆる部分が素晴らしい。特に巨乳は歩くたびにぷるん、ぷるんと揺れ動くほどたわわだ。それでいて戦士のように引き締まった身体を持つ。さぞかしアソコの締まりもいいんだろうと期待してしまう。


 自慢のイチモツを根本まで捻じ込んで膣内射精する妄想に浸っていると地面が揺れた。


「地震か!」


「敵襲かもしれんぞ」


 子分たちが思い思いの武器を手にアジトの外に飛び出してく。その背中を見ながらジャレッドは最後尾を歩いた。


「これは驚いた」


 外に出ると珍しくサイラスが動揺した声を出す。無理からぬことだった。アジトの前に小山のような魔物が寝ている。ピクリともしない身体は所々が焦げていた。肉の焼き焦げるにおいでまだ倒されてからそう時間が経ってないと分かる。


「マスター」


 魔物の影からイカロスが顔を出す。彼女の身体には傷ひとつなく表情も無感動なままだ。これほどの大物を倒したとなれば、どんな人間でも多少の興奮は見せるものだが彼女にその気配はない。


「これはオークキングですよ。一国の騎士団が総出で討伐に当たる駆除対象です。それを単独で討伐するなんて」


 信じられない、こんなことってと呟きながらサイラスはオークキングの死体をあらゆる角度から検分していく。


 オークは豚のような醜い顔をした魔物の一種だ。大柄な体格から繰り出される強烈な一撃は正規の訓練を受けた騎士でも軽々吹き飛ばす。通常オークは集落単位で暮らしているが、複数の集落を束ねるジェネラルという地位のオークがおり、さらに複数のジェネラルを統括して地域一帯を支配下に置くキングがいる。普通オークキングは人前に姿を現さない。王は玉座を動かないものだからだ。しかし、ひとたび何らかの衝突が発生するとキング討伐は、国の命運を懸けた大事業になる。


 イカロスが成し遂げたことは本来なら国から表彰される英雄的行為だ。本人はマスターの命令を履行できた以上には捉えていないようだが。


「それにその鎖、どこまでも自由に伸び縮みするのですね」


 サイラスはジャレッドの手とイカロスの首輪を結ぶ鎖に興味津々だ。ここら近辺でオークキングが出たという話は聞いたことないので相当遠くまで遠征してきたはずだが、それでも鎖がジャレッドの邪魔になることはなかった。


「そのうえ鎖自体を隠せるらしいぞ」


 アジトまでの道中にジャレッドはイカロスにいくつか質問した。彼女がどこから来たのか、何が目的で自分に近づいたのか。ほとんどの質問は回答が得られなかった。イカロス本人も分かってないらしい。明瞭な答えが返ってきた中には彼とイカロスを結ぶ鎖に関するものがあった。繋がれっぱなしでは不便だと漏らすジャレッドに、イカロスは鎖を外すことはできない、その代わり伸縮自在で他人から見えないようにすることは可能だと言った。


「なんと。トラップを隠すための魔法と同じ系統でしょうか」


「知らん。試しに鎖を隠してみてくれイカロス」


「はい、マスター」


 ジャレッドが命じると鎖は跡形もなく消えた。だが見えなくなっただけで繋がり自体が途切れたわけではない。


「本当に興味深いですね。……おや?」


 イカロスの首輪に顔を近づけ、ジロジロ見ていたサイラスが何かに目を留めた。


「この左胸の紋様どこかで見た記憶がありますね」


 そう言って指さしたのは鎖骨から指四本分ほど下った場所。イカロスの白い肌に赤い入れ墨のようなものが入っている。何かで引っ掻いた痕のように薄いのでバタバタしてるうちは気がつかなかったようだ。


「イカロスさんの正体を突き止める手がかりになるかもしれません。少し調べてみてもいいでしょうか」


「好きにしろ。どうせ俺には分からん」


 ジャレッドが投げやりに言い放つとサイラスは静かに頷いた。


 入れ墨のことなどどうでもいい。今、ジャレッドの頭を占めているのは、早いとこイカロスを抱きたいという肉欲だった。






     ***






「服を脱いだらここに寝ろ」


 アジト内に戻ったジャレッドが指さしたのは、団員が食卓を囲む大広間のテーブルだった。まだ食べ物が残っていた食器を手で払い除け場所を空ける。


「これでいいでしょうか」


 イカロスは言われるがままに全裸で寝そべる。やはり美しい肉体だ。服の上から想像した以上に均整の取れたプロポーション。眩く輝かんばかりに白い肌も目に鮮やか。


 前に襲った村で豪農の娘を手籠めにしたことがある。近隣では一番の資産家で贅沢な生活をさせてもらってるらしく、そんじょそこいらの貧乏貴族の娘よりも身体の手入れには金と時間をかけていた。久しぶりの上玉に我を忘れたジャレッドは処女だという娘の膣に捩じ込み、泣き叫ぶ彼女の身体をたっぷり堪能させてもらった。


 そのころにはコリアー男爵との話もついていたので領主軍が駆けつける心配はなかった。ジャレッドは一晩中その村に留まり娘を犯し抜いた。初めは泣き叫んでいた女も明け方には声に甘ったるいものが混じり始めた。そして、最後のほうになると自ら進んで腰を振り出すようになった。


 そのときの娘と比べてもイカロスの身体は格段に素晴らしかった。肌に触れれば指を弾き返すほど張りがありながら、指に吸い付くような感触は水気をたっぷりと含んでいる。腰のラインや尻の膨らみ具合などまるで彫刻のようだ。まさに芸術品と呼ぶにふさわしい美しさである。


 この女が自分の言うことならなんでも聞くのだと思うと興奮が収まらない。


 まずは乳首を口に含み舌で転がすように舐め回す。軽く歯を立てコリッと音がするまで甘噛みしてやった。やや乱暴に左右の乳房を揉んでいく。少女の肌は無骨な男の手のひらに吸い付くようだった。


 ジャレッドは夢中になってイカロスの胸を弄んだ。自分たちを取り囲む子分どものことは気にならなくなっていた。周りで囃し立てるギャラリーのことは無視して出るはずのない母乳を吸い出そうとする。


 おかしいと感じたのは唾液でテカテカ光る乳首から顔を上げ、イカロスの表情を窺ったときだ。彼女は自分が何をされてるかも分からない様子でジャレッドの頭を見下ろしていた。表情を形作る筋肉が冷たく、硬く、死んだように動かない。


「何も感じないのか」


 そんなはずはないと思いながら聞いた。女を抱くことにかけては自信があった。嫌がる女たちを押し倒し、最後には天国を見せてやってきたのだ。自分にされて何も感じない女がいるとは信じられなかった。


 だがイカロスは僅かに首を傾げた。


「マスターは楽しいですか」


「くそっ!」


 きっと胸は不感症なんだ。デカい女にはたまにいる。ジャレッドはイカロスの秘部を弄った。狭い入り口を見つけると指を挿し入れる。まだ濡れ方が足りない膣内で指を曲げ伸ばしし、入り口付近の女が悦ぶ部分を探ってやる。ここだけで啼いて叫びながら絶頂する女もいる敏感なポイントを責めてるのに、少女の仮面のように固まった無表情は壊れない。


「イカロス、お前は俺の女だ。俺を楽しませるために生きてるんだよな」


「はい、マスター」


「それなら命令だ。ここを濡らせ」


 濡れてない穴に挿れるのは女だけでなく男も気持ちよくない。ヌルヌルをたっぷり擦りつけながら腰を動かすからセックスは好いのだ。それができないとなるとただ苦痛なだけだ。


 しかし、イカロスの肉穴はジャレッドの愛撫に反応を示さない。半ばヤケクソであるがイカロス自身にどうにかして濡らしてもらわないことには先に進めない。


「分かりました」


 無茶な要求にもイカロスは応じる。どうなるのかと注視しながら膣洞を指の腹で撫でていると、次第にくちゅくちゅ濡れた音が出始めた。井戸の底から水が染み出してくるようにイカロスの膣内が濡れる。


「さすがは愛玩用。愛液も自分でコントロールできるってか」


「これでいいでしょうかマスター」


「上等も上等だ」


 ようやく濡れて弄りやすくなった肉ビラを一枚、一枚めくるように指先で弄り倒す。イカロスの反応は相変わらず無感動で冷たいままだ。それでも滑りがよくなった指を出し入れしていると濡れ方が酷くなってくる。クチュクチュと卑猥な水音が立つように手首のスナップも利用して擦り立てた。


「んっ……あぁ……」


 やがて吐息に色っぽい声が混じるようになった。囁くような小さい喘ぎ声。か細い声が逆に男を誘っているように感じた。この声をもっと堪能したい、派手に啼かせてみたいと男の嗜虐心を煽る。


「いい声が出てきたじゃないか。そのまま素直に喘いでいろよ」


自分の行為で相手が感じている姿に征服欲が高まる。手管を駆使して相手を悦ばせる楽しみを知ったとき男は一歩階段を上る。自分の快感だけでなく相手の様子も見る余裕が生まれたということだ。


「ああん……あっ……ふぁ……あん」


 嬌声を響かせながらもイカロスは表情を変えなかった。快楽に浸っているというより初めての感覚に戸惑っている様子。まだ不安や心細さのほうが大きくて、おまんこの気持ちよさに素直になれない経験不足な少女の姿だ。


(まだ前戯でイケるほどじゃないか)


 時間をかけて開発してやる必要がある。同じアジトで寝泊まりするんだ。時間はたっぷりあるさ。


「そろそろ挿れるぞ。だがその前に」


 ジャレッドはズボンを下ろした。カチカチに勃起したちんぽが飛び出すと、お頭の巨根に子分どもが歓声を上げる。


「頭ヤッちゃってください!」


「犯されたがりの変態女なんかヒィヒィ言わせちまえ!」


 声援を聞きながらジャレッドはイカロスの口元にイチモツを持って行った。


「しゃぶれ。さっきは途中で犬っころどもに邪魔されたからな」


 おずおずとイカロスが口を開くと、少女の瑞々しい唇に中年男が男根を突き入れた。


「じゅぽ……んちゅ……ちゅっ……はぁ……んっ……ぴちゃ……んんっ……ぷはっ……ちゅうっ……れろ……」


 イカロスが小さな口をいっぱいに開いてグロテスクな肉棒を咥えこむ。彼女の頭を抑えてジャレッドが腰を振った。


「まるっきり経験がない処女のフェラチオだな。愛玩用が聞いて呆れるぜ。俺好みのやり方を教えてやるから覚えろよ」


「……はい、マスター……あぶぅっ、ぶっ、うぅ……」


「その一、舌を使って亀頭を包み込むように舐め回せ」


「ふぁぁい……あむぅ……れるっ、れろっ、んぅ……」


 教えたとおりイカロスは口中で舌を亀頭に絡めてくる。亀の頭を磨くようにレロレロと舐め回してきた。最初こそぎこちなかったが徐々に要領を掴んできたようだ。裏筋を舐め上げカリ首を舌先でなぞっていく。鈴口から滲み出た先走り汁の味を覚えたのか先端を口に含むとチュウッと吸い上げる。未経験だが物覚えは悪くない。何よりジャレッドの言うことなら少しも疑わず全力で応えようとする従順なところが気に入った。これだけいい女を一から完璧に自分好みに育てられる機会などなかなかない。


「口でしながら空いた手で竿をしごくことも忘れるな」


 フェラチオは口奉仕だけに非ずと教えると、すぐさまイカロスの細くしなやかな指が肉筒に纏わり付いてきた。亀頭を咥えたまま根本は手で刺激される。柔らかな唇の感触に加えて絶妙の力加減で扱かれるとたまらないものがある。


「その二、唇でカリを刺激して射精を促せ。ちんぽの窪みに唇を引っ掛けるようにして刺激するんだ」


 指示どおり唇がカリ首の周りを這う。同時に舌が割れ目に沿って這わされ尿道口にねじ込まれた。


(くぅ……そこまでは教えてないのに、こいつ勝手に応用技を……)


 巧みな性技に思わず腰が引けてしまうほどの快感が走る。まだイカロスの肉体を堪能したいのでイってしまうわけにはいかない。歯を食いしばり耐えながら次の指示を出す。次は喉奥を使ったディープスロートを教え込むことにする。


「その三、喉の奥まで咥え込んで吸い付きながら頭を前後に動かせ」


「んぅぅ……ぢゅぽっ、ぐぷっ、ちゅぱぁ……」


 イカロスの頭を両手で掴み股間に押し付ける。すると彼女は自分から頭を前後に動かし始めたではないか。これには驚いた。てっきり嫌がるかと思ったが、彼女は自ら進んでしゃぶりついてきたのだ。喉を突かれているというのに苦しげな素振りも見せず、むしろ恍惚とした表情で一心不乱に舐め続けている。どうやら彼女は喉奥が感じるらしい。とんでもないド変態の全身性感帯女だ。


 しかも喉奥まで咥えるディープスロートしたまま、裏筋やカリ首の敏感な部分を舌で的確に責めることも忘れない。さっきまでフェラチオの存在も知らない生娘だったとは信じられない熟練の手管である。


(こりゃ凄い! こんなのは初めてだぜ)


 今まで何人もの女を相手にしたがここまでツボを押さえたテクニシャンはいなかった。まるで娼婦のような熟達ぶりである。いや、それ以上のものだ。愛玩用の愛玩用たるゆえんを見せつけられた思いだ。


(こいつはとんでもない掘り出し物だ)


 どんなプレイでも喜んで受け入れてくれる従順な性格。そして丈夫な魔物の身体は男が飽きるまで壊れることなく使い続けられるはずだ。最高の玩具を手に入れた喜びに興奮しながらジャレッドは腰を振る。


 あっと言う間に精液が登ってきた。このまま予告なしの不意打ちでドバッと口に出してやったら、さしもの鉄仮面も表情が崩れるのか試してやりたい衝動に駆られた。だが一番濃いやつはナカに注いでこそというジャレッドなりのこだわりが直前でブレーキを掛けさせる。


「もうフェラはいいぞ。おまんこにぶち込んでやる」


 イカロスの口から男根を抜くと、ジャレッドは彼女を四つん這いにした。やはり女を征服してやった気分に浸るにはバックからハメ回すに限る。背中を向けるという本人は完全に無防備な体勢で性器の結合を許し、自分では為す術なくただ男の気分で腰を使われ喘ぐ女の後ろ姿ほど色っぽいものはない。


 ジャレッドは己の分身の先端を宛がい狙いを定める。そのまま荒々しく強引なインサートでイカロスの初めてを奪った。


(なんだこの穴は! 名器すぎるだろ!)


 突っ込んだイカロスの膣内は複雑な肉の機巧が幾重にも絡みつき、ちんぽを貪欲に求めてきた。人形のような少女の表の顔とは大違い。もうひとつの口には性獣が潜んでいた。一瞬でも気を抜けばすぐに搾り取られてしまう。


 早くも腰が重怠くなり始めた。込み上げる射精感を押し殺し、女の背中に覆い被さると耳元で囁いた。


「どうだ? 俺のちんぽは?」


「……とても……大きいです……」


 抑揚のない声で答えるイカロスの声は相変わらず無機質だったが、それでも僅かに感情が籠もっていたように感じたのは気のせいだろうか。


 挿入を果たした男は次に征服欲を満たすために動き出す。お前の身体が誰のものになったか教え込むためのピストン運動を開始するのだ。


 まずはゆっくりと抽送を繰り返す。膣肉の締まり具合を確かめながら少しずつ速度を上げていく。やがてストロークが長くなっていくにつれ膣内も馴染んでくる。愛液も分泌されて滑りもよくなってきた。


 ズチュッ、ヌチャッ、グチョッ、ジュプゥ、パンパンパン……!


 激しい水音が立ち始めた。最初は単調なリズムを奏でていたが、次第に変化をつける。手前から奥に目がけて膣内をいくつかのエリアに分けた。手前ばかり、奥ばかりの繰り返しにならないよう挿入の深さや角度を変え、リズミカルな肉打ち音を響かせながら各エリアの反応を見ていく。


「腹のほうをゾリゾリされるのはどうだ。Gスポットをグリグリされるとたまらんだろう」


「ぁ……♡ あっ……♡」


「子宮口がコンコン叩かれるのはどうよ」


「くふっ……ふっ……♡ ふっ♡ ふっ♡」


「初めての癖にもう膣奥でも感じてるのか。愛玩用の看板は伊達じゃないな」


 イカロスが感じていることを確認しながら腰の振り方を変える。


「奥のポルチオを責められるとイキそうになるだろ」


「入口のところを擦られるのも好きなようだな」


 イカロスの肉体が反応してしまうたび、一箇所ずつ言葉で確認する。お前はここで感じるんだぞ、自分が気持ちよくなれる場所くらい覚えておけよと念押しした。


「深いところは亀頭に吸い付くような感触があるぞ」


 根元まで肉棒を埋め込んだままぐりぐり押し付けるように腰を回転させた。スカートが翻るたび男心を誘惑してきた尻に腰を押しつけ、円を描くように動かす。子宮頸部のコリコリした感触を亀頭に受けながら、自分の形にフィットするように開発していく。


「ふぁ……んっ……ふぅっ……んっ……んくっ……ふぁっ……」


「相変わらず表情は硬いが、まんこはほぐれてきたようだな。気持ちいい声が少しずつ抑えられなくなってるぞ」


「ふぁっ……あんっ……ふぁっ……ふぁっ……」


「そんなに可愛い声を出すと知ったら、男はもっと聞きたくなって弱い場所ばかり責めてくるぞ。そら派手に啼け、ほら、ほら、おらっ!」


 無表情の仮面が剥がれ落ちかけてるイカロスの様子に気をよくしたジャレッドは、さらに大胆な腰使いで膣奥を抉った。凶悪なカリ首の返しで膣内の肉を削ぎ落とそうとするかのような動きの繰り返し。普通の女なら泣き叫んで助けてくれ、気持ちよすぎて死んでしまうと発狂寸前で暴れ出すジャレッド得意の責めパターン。だがイカロスは快感で僅かに眉根を寄せながらも実に抑制の利いた上品な喘ぎ方しかしない。


「ふぁっ……んっ……ふぁっ……んっ……んっ……んっ……んっ……」


「そうやって我慢されるほど突き崩してやりたくなるのが男の性だと教えてやる」


 ヌメるイカロスの穴は絶品だった。長年の勘と経験でジャレッドは自分が長く保ちそうにないことを悟る。どうせイクなら女も道連れだとペース配分など無視して腰を振りたくった。


「っう――う、あっ……はァ……ぐッ!」


 ジャレッドは目覚めたばかりの快感に悶え、小刻みに揺れる白い尻を軽く叩いた。暴力が本職の彼からしてみれば撫でたようなもの。ぺちんと情けない音しか立たない軽い接触だったが、その効果は凄まじかった。


「はぁあっ♡ く、くぅぅぅううんっ♡♡ ふっ♡ ふっ♡」


 ビクンッと身体を跳ねさせ、イカロスは大きく仰け反った。同時に肉襞がうねり、ペニスを締め付ける。その心地良さに思わず吐精しそうになったもののなんとか堪える。


(くぅ……ちょろっと精子漏れちまったぜ)


 肉壺の凄まじいまでの食いつきの良さだった。まるで別の生き物のように蠢き、奥へ奥へと引きずり込もうとしてくるのだ。


「うっ……おぉぉ……」


 あまりの気持ち良さに思わず声が漏れる。


(こいつはすげぇ!)


 今まで抱いてきたどの女よりも気持ちいいかもしれない。ただ締まりがいいだけではない。まるで意思を持っているかのように挿れるとき抜くとき、手前にいるとき奥にいるときで絶妙に加減しながら常に適切な力で締めつけてくる。無数の舌を持つ軟体生物に包まれているような錯覚すら覚えるほどだ。


「この淫乱め! そんなに俺のちんぽが好きか! だったらたっぷりくれてやる! 一滴残らず飲み干せ!」


 言葉責めしながらガンガン腰を打ちつける。男根に穿たれた秘穴から止めどなく女のとろみ液が溢れてくる。絶頂が近いのか、イカロスの極上まんこは痙攣しながら吸い付いてくる。その気持ちよさを体感しているとジャレッドの忍耐も呆気なく限界を迎えた。


「イクぞっ! ナカ出しで種付けしてやる!」


 宣言すると同時に渾身の力を込めて突き上げた。亀頭が子宮を押し潰した次の瞬間、大量の精液を吐き出す。ジャレッドは腰を密着させて一滴残らずイカロスの膣内に注ぎ込んだ。


 熱い奔流を受けてもなお、イカロスの表情に変化はなかった。だが身体は正直に反応する。絶頂を迎えたらしく膣内が激しく収縮して精液を一滴残さず絞り取ろうとしてきた。


「孕め! 孕め! 孕め!」


 背後からイカロスの身体に手を回したジャレッドは、精液だけでなく呪詛も吐き出す。男が女の身体を支配する最も分かりやすい方法。女の身体のみに搭載された機能を悪用する手段。自分の種で彼女の胎に子供を仕込む。そのために射精が終わってもしばらくは肉槍を抜かず、子宮口にガッチリ蓋したまま離れなかった。


(こいつの身体は最高だぜ。一度このまんこを経験したら他の女は抱けないな)


 最高の射精体験で朦朧としながらジャレッドは考えた。


(もうこいつは俺のものだ。なぜ俺のところに来たとか、正体とか関係ない。俺のモノにして一生可愛がってやろう)


 たまには子分どもに褒美がてら抱かせてやるのもいいか、親分ってのは気前がいいところも見せないとなと周りで羨ましそうにしてる連中の目を意識しながら、ジャレッドはちんぽを引き抜く。


 膣穴から白濁液が垂れてくるよりも早くイカロスの身体を仰向けに引っ繰り返すと、彼女の足首を掴んだ。両脚を大きくVの字に開かせ子分に見せつけながら再挿入。休まず二回戦を開始した。


「ンぁ、あぁ、あ……っ」


あとがき


ここまでがイカロス前半戦。

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