その着せ替え人形はラブドールになる1「塩対応の代償は」 (Pixiv Fanbox)
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けたたましい音量で鳴り響いていた曲が終わると、カラオケボックスの一室で菅谷乃羽はギャラリーに向かって手を振る。
「いぇ~い、ありがとー」
それを受け止める人間はひとり。乃羽の友人・喜多川海夢だ。明るく染めた髪を腰の辺りまで伸ばし、耳にはいくつものピアスを開け、カラーコンタクトレンズで瞳を大きく見せている。強めのメイクも決まっている。三百六十度どこから見ても十人が十人とも典型的なギャルと認識するであろう少女だ。
バイトで読者モデルも務めるだけあり小顔、高等身、スタイル抜群。街を歩けばナンパは日常茶飯事。この前もサロンモデルを務めるヘアサロンで髪を切ってもらった帰りしなに声をかけられた。普段からナンパ野郎には塩対応で相手にもしない海夢だが、その日の男は特に彼女の神経を逆なでする言動があったため冷ややかに切り捨てた。
一緒にいた乃羽曰く「割とイケメン」の部類らしいが顔なんてどうでもいい。他人の好きな物を笑うところから入るのがコミュニケーションだと思ってるような、無神経で失礼な男とは口も利きたくない。
「やっぱ大きな声出すの楽しい。カラオケ最高! 今日は歌いまくるし」
連続で入れた曲を歌い終えたばかりだというのに、席に戻ってきた乃羽は休まず次の曲を選ぶ。小さい身体のどこにそんな体力がと思うほどパワフルな友人の姿に海夢は苦笑した。
「海夢も歌えし。うちばっか歌ってて不公平じゃん割り勘なのに」
はい、と乃羽が海夢にマイクを手渡す。
「せっかく久しぶりに海夢を独り占めできるんだから今日は完全燃焼するよ。半端じゃ返さないから」
「今夜は寝かさないぜって?」
「そうそう。うちの美声で酔わせてお持ち帰りしてやる」
「あっはっは。マジかよ。あたし、お嫁に行けなくなるじゃん」
友人との他愛もない会話に自然と笑みがあふれる。
学校では同じグループに所属して仲のいい二人だが、海夢が放課後に誰かと出かけるのは珍しい。友人たちによれば、彼女は「いつも放課後は消える」のだ。
もともと放課後はバイトで忙しかったが最近さらに趣味の時間が増えた。
学校の友人には教えてないが、実は海夢はコスプレイヤーでもある。ギャルギャルしい見た目に反して重度のガチオタである彼女は、推しキャラへの究極の愛情表現としてキャラになりきるコスプレを楽しんでいる。もともとはひとりで挑戦しようとしたのだが、手先が不器用で自分では衣装を作れなかった。いまはクラスメイトの五条新菜に手伝ってもらっている。家が雛人形屋さんの彼は人形用の服を作るのに慣れている。経験を生かして現在は海夢のコスプレ用衣装も手掛ける。
学校で海夢がコスプレイヤーであることを知ってるのは新菜だけ。秘密を共有する二人は放課後よく彼の家でコス活動をするようになった。
初めて二人が完成させたコスチュームは十八禁ゲーム『聖♡ヌルヌル女学園 〜お嬢様は恥辱倶楽部ハレンチミラクルライフ2〜』の黒江雫たん。慣れない作業に四苦八苦したもののコスチュームの完成度は海夢の理想どおり。全力で自分の夢を叶えてくれた新菜に海夢は、彼の真面目で誠実な人柄もあって惹かれた。
有り体に言えば初めてコスイベに参加した日から、新菜のことがしゅきしゅきだいしゅき♡ になったのだった。
いまも「お嫁に行けなくなる」という自分の言葉から、新菜と結婚して五条海夢になった己の姿を想像して身悶える。
(ごじょーくん大しゅきすぎりゅ♡♡♡ 思い出しただけでマジしんどい。無理すぎ。ほんとすき♡)
今日も放課後はコス衣装の相談名目でしゅきぴの家に上がり込む予定だったのだが、どうしても海夢と二人っきりで遊びたいと乃羽が食い下がって譲ってくれなかった。
その様子を見た新菜が「急ぎで喜多川さんに確認しないといけないこともないので、今日は友だちを優先してあげてください」と言ってきた。
(あ~~~~もう♡ 他の人のことまで思いやれるごじょーくん優しすぎ)
「なんか喉乾いちゃった。ドリンク取ってくるね。ついでに海夢の分も持ってくるけどお茶系でいい?」
乃羽が立ち上がりながら言う。
「気が利くじゃん。いい嫁になるぜ」
行ってきまーすと乃羽がドリンクバーに向かうと、すかさず海夢はスマホを手に取った。
『ごじょーくん!』
『はい なんですか』
送ったラインに即レスが返ってくる。たったそれだけのことで好感度ゲージ振り切った状態の海夢は、ごじょーくん女の子からの連絡で返事を待たせないなんて優しい♡ 全力で推せる♡ とさらに彼のことを想って心拍数が上がる。
『今日ごめんね
てか乃羽ずっとマイク握って放さないし
ほぼヒトカラ状態あたし来た意味なくてウケる』
『いえ。最近放課後は衣装作りに付き合わせてしまうことが多かったので逆にすみません。
今日は菅谷さんと楽しんでください』
『いやいやいや。あたしがお願いして作ってもらってるんだから手伝えることは手伝うの当然だし』
「は~、ごじょーくんやさしー♡♡ だけどもっとガツガツきてほしいってか、あたしに対して独占欲を持ってくんないかな。俺は海夢と毎日会いたいぜ、みたいなんないの?」
そんなことを軽々しく言えない真面目なところも好きなんだけど……。
「やばっ! 身体あっつくなってきた」
五条の顔や声を思い出し、彼のことを考えるだけで体温が三度は上がってしまう。手汗をおしぼりで拭き、ついでにとポテトへ手を伸ばしたところで乃羽が部屋に戻ってきた。
「なにひとりで笑ってんの」
「なんでもなーい。ドリンクありがとう」
海夢は飲み物を受け取ると一息で飲み干してしまう。
「イッキじゃん。そんなに喉乾いてたの。全然歌ってもないのに」
「もうカラッカラ。この部屋乾燥してんのかな」
五条のこと考えて火照った身体を鎮めましたなんて言えない。海夢は手を内輪代わりにパタパタと顔を仰ぐ。
「スマホ見てニヤニヤしてるし。さては男か! 男だな。うちにも見せろ」
「なんじゃねーし」
「海夢が選ぶ男だから芸能人並にイケメンなんだろうな」
「男は顔じゃないって」
まあ、ごじょーくんは世界一かっこいいけどねと海夢は心の中で付け足し、また頬が緩んでしまう。
海夢を見た人は誰もがモテそうと言う。異性から興味を持たれるという意味では確かにモテる。だが、これまで二次元全推しで趣味に没頭してきた彼女は、見た目で判断されるほど恋愛経験がない。三次元の存在を激推ししたのは五条が初めてだった。
「乃羽って彼氏とか欲しい系の人だっけ?」
「まあ高校生にもなったら男くらい作りたいよね」
ちんまりしてて可愛い乃羽なら焦らなくてもできそうなものだが。
「ぶっちゃけセフレはいるんだけどね」
「はぁぁぁあああああ!」
いつもの飄々とした感じそのまま、とんでもない爆弾を落としてきた。
「セフレってなに!」
「エッチするだけの関係の人。海夢そんなことも知らないの」
「知ってるし! じゃなくてエッチするだけ? 身体目当てってこと」
「そだよ。がっこー終わったら合流してホテル行ってエッチして解散」
「そんなんでいいの!」
ありえない。乃羽は大事な友だちだ。どこの馬の骨とも知れない男に都合よく身体だけ使われるなんて。そんなの、許せない。
勢い込んで立ち上がった海夢。だが乃羽の友人を見る目は冷ややかだった。
「なんで海夢がそんなに興奮してるの。うちにセフレいても海夢には関係なくない?」
「そうかもしれないけど……」
本人が納得して身体だけの関係を受け入れてるなら彼女の言うとおり海夢が口を出すことではないかもしれない。しかし感情的なしこりは残る。モヤモヤしたまま海夢はソファに座り直した。
「海夢は優しいなー。心配してくれてんでしょ。うちが変な男に引っ掛かって都合よく利用されてんじゃないか。安心してよ。うちも身体目当てだから」
あっけらかんとコーラに口を着けながら乃羽が言う。
「余計安心できないって!」
「イケメンだし、チンコ大きいし、エッチ上手いけど彼氏にはならないやつ。うち以外にもセフレキープしてるヤリチンにマジなるわけないじゃん。いろんなこと教えてくれっし気持ちいいからエッチはするけど付き合うのはないわー」
「そ、そんなものなの」
「海夢そんな|見た目《なり》してピュアすぎ。こんくらいの遊びみんな経験してるし。モテるんだから適当なチンコ捕まえれば」
「あたしはいいかな。そういうのよく分かんないし」
(好きでもない相手とエッチするなんて考えられない。そういうのは本気で好きになった人と結ばれてからするもんじゃん。だいたい好きでもない相手として気持ちいいもんなの?)
「このトーク終わり。あたしもなんか歌うか!」
海夢は明るく言って話題を変える。長々と続けたい話題ではなかった。同い年の友だちのエッチ事情は気になるが、興味本位で聞いていい話題とも思えない。
曲を選ぼうと海夢はリモコンに手を伸ばす。
――と、そのときだった。
「んっ……」
クラっときて彼女の身体が傾ぐ。手に力が入らずリモコンを握れない。貧血で具合が悪くなる前兆のような怠さが急に襲ってきた。
「なんか……急に眠く……あれ、なんで……?」
「やっと効いてきたんだ」
海夢の疑問に答えたのは乃羽だった。
「さっきのお茶、眠くなる薬入り。味でバレたら面倒だなーと思ってたけど、海夢イッキで飲み干すから分からなかったっしょ」
言われてみればいつもはない苦味があったような。
「マジ意味分かんない。友だちにクスリ盛るとかないから。冗談でもタチ悪すぎ」
瞼が重い。気を抜けば落ちてしまいそうな意識を繋ぎ止める。なけなしの力を振り絞り乃羽を睨んだ。
「こっわ~い。だけどなんもできないよね。うちも飲まされたけどマジやばい効き目だよね。お昼食べたあとの数学の授業くらい眠くなるじゃん」
ケラケラと乃羽は笑う。
そんな生易しいもんじゃない。自分の身体なのになにひとつ自由にならない。意志の力では太刀打ちできない眠気に支配される。
「寝てるうちに全部終わるから心配しないでね。いや始まるのか? まっ、どっちでもいいかー」
「……乃羽……」
うるさくて馬鹿っぽくて賑やかな少女。海夢の乃羽に対するイメージだ。今日で彼女への認識を改めねばならない。
寝落ちする海夢に向けられた乃羽の笑顔は歪だった。過去に彼女が見せたいかなる表情とも違う邪悪さを内包した顔。
「おやすみ海夢」
重く深く沈んでいた意識が、ゆっくり浮上する。水底で発生した気泡が水面を目指すように海夢は眠りから目覚めた。
(……ここ、どこ?)
未だ半覚醒状態の彼女は記憶にない天井を見上げる。
身体を包む布が気持ちいい。なにか柔らかいものに寝かされている。ベッド? 寝心地は悪くない。気になるのは周りの物を素肌で感じること。脱いだ? 脱がされた? いずれにしろ自分は裸のようだ。難点をあげるとしたら枕。頭に当たる面積が小さくて変に柔らかい部分と硬い部分とが混ざってる。使い勝手は最悪。よくこんなので眠れたものだ。
「お、起きた」
すぐ隣で男の声がした。聞き覚えあるような、ないような。
……男!
一気に海夢の意識が覚醒する。慌てて起こした上半身から布団が落ちる。予想どおり海夢は裸だった。張りのあるバストが外気に触れて室温を素肌で感じた。
「――っ、ぅ」
めまいにも似たふらつきを覚えて海夢は再び倒れ込む。意識は戻ったがまだ完全な状態ではない。
「急に動かないほうがいいよ。まだクスリ抜けきってないから」
声のしたほうを見ると男が海夢の顔やおっぱいに視線を注いでいた。やけに寝心地悪い枕は彼の腕枕だった。年齢は二十代。明るい髪色で顔は整ってる。世間的に言えばイケメンの部類だろう。声に続いて顔にも覚えがあった。しかし思い出せない。どこで会ったのか。
男の正体より先に確かめねばならないことがあった。
「ここ、どこ」
「ラブホ」
男はいやらしいニヤつき顔で言う。せっかくのイケメンフェイスが台無しのスケベな本性丸出し顔だった。
「……は? ふざけんなし。ちょー意味分かんないんですけど。つまらない冗談言ってると本気でおこっから」
「冗談じゃないんだよな。海夢ちゃんは寝てる間にラブホ連れ込まれて、ないわ~なんて言ってた男にヤラれちゃったわけ。いまどんな気持ち」
その台詞で思い出した。コイツ前に乃羽といるとき声かけてきたナンパ男だ。
(シオンたんのグッズを「オタク、ないわ~」なんて頭の悪いイジり方してきたやつじゃん。おめーのほうがねーよと返したら固まってたっけ)
「逆恨み。バカじゃないの。くっだらねー。そんなんで犯罪者になって人生棒に振るとか性格だけじゃなく頭も悪いのかよ」
「好きに言ってろよ。この身体もう俺のもんだから」
男が海夢の胸に手を伸ばす。乱暴な手付きで乳房を揉まれ「んっ♡」と声が漏れる。
「一度抱いた女は自分の物とか思っちゃうタイプ? んっ♡ やっ♡ バカじゃ、ないのっ♡ 女はそんな単純じゃねーし」
海夢は男の手を振り払おうとするも力が入らない。まだクスリの影響が残っている。たとえ全快でも成人男性の本気に腕力で勝てるとは思えないが……。
「って言いながら乳首立っちゃってるじゃん。寝てる間にたっぷり弄ってやったから睡眠学習は完了してるんだよな」
言いながら男が海夢の乳房に顔を近づけ、自己主張し始めた突起を口に含む。
「ちゅばッ……んちゅ……れろ……ちゅっ……」
たっぷり唾液をまぶした舌で乳首を可愛がられ海夢は腰を跳ねさせた。
「ちゅ♡ れろッ♡ れろれろ♡ はむ……♡」
「やっ♡ ちょっと、胸そんなに吸っちゃ♡ あっ♡ んんっ!」
「どうよ上手いだろ。おっぱいだけでイケるまで調教してやるから。楽しみにしてろ」
「こんなの余裕だし。つか気持ち悪いだけ。ヤリチンのくせにヘタクソな」
「言ってろ、言ってろ。生意気オンナ」
男は咥えた乳首を舌で転がしたまま、反対側の乳首も指で弾く。ちくピン攻撃で生まれた快感は海夢の下腹部に貯まる。それを逃がすためモゾモゾ腰を揺らすと、まるでそっちも触って欲しくて誘ってるような動きになった。
「やあ……やだ……! あっ、ん……やだ……」
(やばい! コイツ本気で上手い)
「あっ♡ あっ♡ はっ、あっ……い、やだ……やめろよ……」
「そう言いながらよくなってきたろ。乃羽ちゃんも俺に乳首されるとイッちまうからな」
乃羽の名前が出てきたことで思い出す。海夢にクスリを持ったのが彼女だったと。あたしを乃羽が嵌めた。なんで。友だちじゃん。
「乃羽ちゃんから聞いてないの? 俺たちセフレなんだよ。あの日、海夢ちゃんはさっさと帰ったから知らないだろうけど、店を出る前に乃羽ちゃんに連作先を渡したんだよね。そしたら簡単に釣れちゃって。だけど初デートでエッチは嫌だとか面倒なこと言うから、海夢ちゃんと同じおクスリで眠ってる間にいただいちゃいました」
男は輝かしい戦績を誇るように述懐する。女を眠らせて無理やりヤッただけの話、なぜそんなにも誇らしげに語れるのか海夢には理解できない。
「一回ヤッたら乃羽ちゃん懐いちゃって。いくらエッチなことに興味津々の|女子高生《としごろ》っても|餌《チンポ》くれる男に靡いて、友だちを売っちゃうような友だち甲斐のない糞ビッチと連れだったのが不運だな」
「乃羽のことバカにすんな!」
「裏切られたのに庇うんだ。海夢ちゃんやさしー」
「許さない。ぜってー許さない。警察に行ってお前なんか犯罪者にしてやる」
「怖いな~。だけどやめたほうがいいよ。そんなことしたら海夢ちゃんの恥ずかしい動画が出回ることになる」
男は乳房から手を放し、ベッドサイドに置いたスマホを取る。
「眠ってる間になにされちゃったかよく見な」
動画は仰向けで眠る海夢の顔のアップから始まった。すやすやと寝息を立てる彼女は自分がなにをされてるか気がついてない。
「今日ゴチになるのは喜多川海夢ちゃん。このスタイルで高一はありえね~。この前まで中学生だったってマジかよ。こんなん同じクラスにいたら中学三年間オナペットだろ」
男がスマホを持った手とは反対の手で海夢の学生証をカメラに映す。学校名や顔写真、名前が画面に出る。個人情報は抑えられてしまった。
「読モしてるだけあって顔ちっさ。そこらの芸能人なんか目じゃないね。そんな極上JKのおまんこにいま、俺のチンポが入ってま~す」
カメラが海夢の顔から離れて全身を映す。彼女は全裸でベッドに寝ていた。大股開きにされた脚の間に男が身体を入れ下腹部をこすりつける。にちゃっという音をさせながら彼が腰を引くと、ピンク色のコンドームに包まれた陰茎が顔を覗かせた。
「んふっ、はぁ♡」
「|膣内《なか》でカリが引っ掛かって甘い声出ちゃったね。俺も海夢ちゃんのオマンコきもちぃ。初物でこれは結構な名器っしょ。そうそう、海夢ちゃん遊んでそうな見た目なのに処女で、入れたら血が出てきたんだよね。ちょっと意外。おクスリのおかげで大変なことは寝てるうちに済ませられたし、あとはエッチで気持ちよくなるだけだね。おめでとう」
男が再び根本まで陰茎を埋める。行き止まりをコンッと突かれて海夢の胸が揺れ、薄く開いた唇から「ひゃんっ♡」と声が漏れた。
「たまんねえ。俺のことバカにしたナマイキ女にチンポ突っ込んで処女喰ってやったのマジで達成感ぱないわ。ヤリまくって俺のチンポから離れられなくしてやるからな」
男は海夢の学生証を投げ捨てる。空いた手を彼女の下腹部に滑らせた。姫割れの結び目で存在感を放つ陰核に親指を添える。
「ふ……っ♡ ん、ぐ、んッ、ぅ♡ ぅ゛ッ♡ んん……♡」
剥き出しの陰核を指で転がすと海夢が身をくねらせた。快感から逃げるための動きだが膣内に楔をうちこまれてる状態では、自分から絡めにいく動きになってしまう。海夢が腰を揺するたび、ぬちゃっ、にちゃっと湿り気を帯びた粘膜のささやき声が聞こえる。
海夢が動くに任せていた男も彼女の扇情的な姿に我慢できなくなる。腰を動かして処女膜が破れたばかりの膣内を我が物顔に突き上げる。
「ひッ♡ い゛ッ♡ い゛ッ♡ ッ♡ ぁ、あ゛ッ♡」
数ヶ月前まで中学生だったとは思えないサイズのバストが、男の動きに合わせてリズミカルに弾む。白い肌が上気してじっとり汗が浮かぶ。起きる気配がないと見て男は腰の動きを強める。ぶるんぶるんと律動に合わせてたわわな果実の揺れも激しくなった。
「あ゛ッ♡ ぁ゛あ゛ッ♡ お゛ッ♡ ぎッ♡ ぃぐ♡」
おっきい。
イク。
息苦しそうな喘ぎ声の中で確かに海夢はそう言った。聞きようによっては男の逸物のサイズを称賛してる風にも取れる。
「い、っき、きもちいっ……もっとっ、もっと♡」
ひょっとして起きてるのでは。見る者にそう感じさせるほどはっきりとした寝言で、海夢は性行為の快感を口にする。
意識があればナンパ男相手に口にしなかっただろう台詞。眠りに落ちた状態だからこそ無防備になる。
「初めてなのに|膣奥《おく》突かれて感じるなんて見た目通りのスケベマンコちゃんだな。もっと気持ちよくしてやるぞ」
気をよくした男が本腰を入れて海夢を責める。律動は回転数を上げ、クリトリスも親指と人差指で根本から先っぽに向かい、男根を扱くように擦られる。
「んっんっー! んっ♡ あっ♡ きもち、よすぎ……ふぅーふぅー♡ ふぅー♡」
「口開けばナマイキでも寝てれば可愛いもんじゃねえか。そんなに俺のチンポいいかよ」
ナンパ男は根本まで入れた状態から腰をしゃくり、上に向かってもうひと押しする。カリが子宮口に引っ掛かってコリコリっと快い感触がした。
「あーっ♡ これっ♡ これすきっ♡ すきぃ♡ おくぅ♡ そこっ♡ これすきぃぃっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡ はっはーっ♡ いやっ♡ くるっ♡ はっ♡ はあっ♡ はっ♡ はっ♡ きちゃううう♡」
もう誰がどう見ても完全にセックスだ。海夢は男に貫かれ感じさせられてしまってる。興奮で乳首はビンビンに勃起し、ぷっくり乳輪も膨らんでくる。指で愛撫されるクリトリスも限界まで充血して膨らむ。
なにより声。
理性が後退して本能が剥き出しになる睡眠状態で海夢は嬌声をあげる。蕩けきった雌声はナンパ男のセックスで感じてることをこれでもかとカメラに伝えてくる。
「あん♡ あっ♡ んあっ! そこ♡ だめっ♡ それっ♡ だめえっ♡ ごじょーくん♡ ごじょーくん♡」
想い人の名前を連呼する海夢をナンパ男が鼻で笑った。
「彼氏に抱かれてる夢でも見てるのか? マン汁溢れさせながら腰動かしやがって。その調子で締めろ!」
「はぁああっああぁああっ! だめえっ♡ それだめっ♡ ああぁああっ♡ だめぇ! そんなされたら……ああぁああっ♡ んっんっんっ♡ おまんこ火傷する♡ ごじょーくんのおちんちんでおくゴシゴシされて……っ♡ あたしのおまんこ火傷しちゃう♡ んあああぁああっ♡ あっ♡ あっ♡」
五条に抱かれる夢で海夢の肉体は悦んでしまう。粒立った膣肉をきゅぅっと締め付け、チンポに肉襞を絡ませながら狭道がうねる。イク寸前の膣は全体が痙攣し細かいバイブレーターのよう。
海夢の肉体は大好きな五条に気持ちよく射精してもらうため準備してるつもりだが、現実にその恩恵を授かるのは名前も知らないナンパ男。
かの喜劇王チャールズ・チャップリンは「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」と言い残した。
この言葉は様々に解釈されているが、中でもメジャーな解釈が二種類ある。
『なにか失敗したとき、その瞬間は立ち直れないくらい落ち込んで自分を悲劇の主人公に思うかもしれないが、長い時間を経て振り返ってみると「あのときは、そんなこともあったな」「あれがあったから成功できたな」と笑い飛ばせる喜劇になるかもしれないよ』
『失敗した当人からは悲劇的な状況に見えても、離れた場所で見てる人間には滑稽な喜劇と映る』
まさに現在の海夢が後者だった。
五条に抱かれる夢を見て、彼の名前を呼びながら肉体がセックスに順応していく様子は、海夢に寄ったアップで見れば悲劇だが、離れた視点では喜劇でしかない。
滑稽な姿を晒しながら海夢はナンパ男とのセックスで登り詰める。
「あっ♡ あっ♡ い、い、イイ、イイ、イ、イイイッ――!」
整った顔が悦楽に歪む。眉間に皺を寄せ、頬を引き攣らせ、これ以上は開かない大口を開けて如何に男のチンポが気持ちいいか絶叫する。
「ああ、ああああああっ♡ イイ、イイッ♡ イクっ♡ イクのっ♡♡ ああっ♡ イッちゃうっ♡」
「イケっ! 昏睡レイプでイケっ!」
男が一段と強く腰を叩きつける。海夢の背が弓なりに反ってベッドから浮き上がる。
ブリッジした状態で全身を震わせ海夢はエクスタシーに達した。
「しゅきッ! しゅきッ! ごじょーくんしゅきーッ! あぁッ! あぁぁぁーーーーーーッ!」
一部始終を見終えた海夢は顔面蒼白でカタカタと震える。
「あたしじゃない」
「どう見たって海夢ちゃんだから。俺のチンポ美味しそうに咥えてイッた姿バッチリ映ってるだろ」
「こんなんあたしじゃないし! 寝てるとき何されたかなんて責任持てないから。つか、あんたのやったことはごーかんだよね。警察に――」
「海夢ちゃん頭はよくないんだね。さっき言われたこともう忘れてら。警察に行ったら捕まる前にこの動画、インターネットに流すから。動画編集が趣味の|友だち《ダチ》に頼んで俺の声だけ消してもらおっかな。したら海夢ちゃんと、ごじょーくんのラブラブエッチ記録に見えるよね。俺の姿はチンポしか映ってないから。ごじょーくんが何者か知らないけど彼も迷惑するんじゃないの?」
「……ざけんなよ。ごじょーくん関係ないだろが! 巻き込むなよ」
「それは海夢ちゃんの出方と態度しだいかな」
男はヘラヘラと軽薄な笑みを浮かべて海夢をいたぶる。
もし人質に取られてるのが自分だけなら意地の張りようもあった。絶対こんなやつに負けて言いなりになりたくない気持ちが湧いたかもしれない。しかしナンパ男は五条まで巻き込もうとしている。警察なら映像に細工された痕跡あることを突き止められるだろう。だがネット上に流出し、大量のコピーを取られた動画ひとつずつに注釈を付けて回るのは不可能だ。どこかの名も知れない男たちの間では、ギャルとごじょーくんのセックス動画として出回る。
なまじっか読モなんてしてるから海夢の素性に気づく人間も出てくるはずだ。名前や学校が割られたら芋づる式に『同級生の五条くん』も特定されてしまう。
ネットのおもちゃにされたら悲惨だ。彼らに事の真偽は関係ない。飽きるまで海夢と五条は面白おかしく、あることないこと言われ続ける。
「俺も鬼じゃないから、海夢ちゃんにもチャンスあげようか」
ナンパ男はスマホを手の中で弄びながら言う。「エッチ我慢勝負で海夢ちゃんが勝ったら動画消してあげる。制限時間以内に俺が海夢ちゃんをイカせたらチンポ入れる。これでどう?」
「どう? じゃねーし。なんだその頭悪いゲーム」
「だけど海夢ちゃん受けるしかなくない。ごじょーくんに迷惑掛けたくないんだろ。ちょっと俺に触られるの我慢すれば終わるんだから」
自信満々な男の態度がムカつく。一度ヤッたから簡単にイカせられると思ってるのだ。
(寝てる間に触られて相手をごじょーくんと勘違いしたから気持ちよくなっただけで、コイツだって分かってればイクはずない。こんなやつに触られても気持ち悪いだけのはず)
問題は時間だ。最初に制限時間をハッキリさせておかず、あとで一晩中などと言われてはたまったもんじゃない。
「何分我慢すれば、あたしの勝ちになるの」
男はそうだな、とスマホを操作する。
「いつもは三十分でやってるけど、海夢ちゃんイキやすいから二十分にサービスしてあげる。二十分頑張ってイクの我慢できたら動画消すよ」
そう言って男は二十分にタイマーがセットされた画面を見せる。
二十分。寝てる間に勝手にされたことを除けば性経験のない海夢には、二十分間の愛撫が長いものか短いものか分からない。いつもは三十分という彼の言葉だって嘘か真か。
だけど……。
「やる。二十分くらい楽勝だし。そんかわし、あたしが勝ったら動画ちゃんと消せよ。コピーも全部」
「わーってるって。信用ないな」
「どの面下げて」
この男は信用という言葉の意味を辞書で引いてみるべきだ。
「ルールは俺が海夢ちゃんの身体を触って二十分以内にイカせられたら勝ち。その間、海夢ちゃんは俺のエッチを拒めない。ただし挿入はしない。それは俺が勝ったときの賞品ってことで」
賞品。自分の身体が物扱いされてるようで嫌な言い方だ。
「あとで『やっぱなし』て言い出さないため証拠の動画撮るからカメラ見ろ。俺が言ったとおり繰り返せ」
まだクスリの影響で気怠い身体を重たげに起こす。ぼんやりする頭でカメラのレンズを直視した。
「わたし、喜多川海夢は」
「わたし、喜多川海夢は」
言われたとおり男の言葉を繰り返す。
「間瀬友幸さんとの……あ、これ俺の名前ね……エッチ我慢対決に承諾しました」
「間瀬友幸さんとのエッチ我慢対決に承諾しました」
「わたしは二十分間、友幸さんとのエッチな行為を拒否しません」
「わたしは二十分間、友幸さんとのエッチな行為を拒否しません」
「わたしが二十分間我慢できたら、友幸さんは動画を消します」
「わたしが二十分間我慢できたら、友幸さんは動画を消します」
「その代わり、我慢できなかったら友幸さんにチンポ入れられても文句言いません」
「その代わり、我慢できなかったら友幸さんに、チ……チンポ……入れられても、文句言いません」
「よしオッケー。それじゃ始めようか」
海夢は後ろから抱えられ、彼の胸板を背もたれにする格好になった。両脚に友幸の脚が絡んできて閉じれないようロックされる。
はしたなく開かれた脚の付け根を撫でられる。手が中心に寄ってきて花弁を指先でクニクニ弄ばれた。首筋を舐められる。不快な感触に背中が泡立つ。なのに背筋をぞくぞくっと正体不明の感覚が駆け抜ける。嫌悪感だ。そうに違いない。それ以外なにがあるというのだ。
彼に触られてるうち海夢の陰唇は秘蜜に濡れ始める。異物の挿入で膣が傷つかないよう保護してるのだ。肉体の防衛本能だからある程度は仕方ない。
友幸の指は入ってきそうで入らない。入り口を撫で、ビラビラをつまみ、たまにクリトリスを軽くタッチするが膣内には手をつけない。
焦らされている。二十分と時間を決めてるのに友幸は焦った様子ひとつ見せない。いつでもイカせられるから時間いっぱい愉しむ。彼の手は口より雄弁に物語っていた。
ふざけやがってと思うが彼のタッチは巧みで、愛撫に反応して蕩けた膣が物欲しそうに蠢く。硬いモノを入れて欲しい。身体が頭を裏切りかけてる気配に彼は敏感だ。指先で膣口に触れる。中指の第一関節まで埋められると甘やかな声が漏れた。
「んんっ……んっんっ」
「さっきチンポ入れてやったのにキツキツ。指一本でも食いちぎられそうなほど締め付けてくる」
耳元で囁かれながら浅く出し入れされる。
恋人同士が話し合う距離で男を感じ、海夢の子宮がキュンと疼いた。
丁寧に隘路を揉みほぐされ、くちゅくちゅと卑猥な水音がし始める。明らかに濡れ方が激しくなった。自分の股ぐらから聞こえる音が海夢の脳みそを犯す。
「ほーら、こっちも触ってやる」
反対側の手が割れ目の上部にあてがわれる。折り重なった花びらに隠れていた肉芽を探り当てられ、指先で擦られる。
「ひっあ……ぅ、だめ、あぁッ……!」
衝撃が背骨を突き抜けた。
友幸の腕の中で海夢は飛び跳ねる。暴れる身体を押さえつけられた。クリトリスを指先でトントントントンとノックされる。振動で生じた快感が下腹部全体に浸透する。膣を締めつける動きが止められない。
「んぁッ、あっ♡ んひいッ♡」
友幸の手がクリトリスから離れる。助かった。素直に安堵した海夢だが、彼は太もも全体を濡らすまでになった海夢の愛液を親指と人差し指ですくい、潤滑剤を塗布した指でクリトリスを根本からつまんだ。
敏感な蕾を他人の手で扱かれる悦楽は強烈だ。海夢は背中を反らせ、彼の手を両手で押す。
(やばいっ……これ、やばいっ! イッちゃう。イカされる。一人エッチで最高に気持ちよくなるときの感じそっくり。ううん、それよりキツい!)
「ルール忘れたの。海夢ちゃんは俺のエッチを拒めない。この手どけないと反則負けにするよ」
「そんなこと♡ あぁっ♡ 言って、も……んっ♡ あ、あんっ♡」
投げ出した足の爪先が、快感に悶えてぐっぱ、ぐっぱと開閉する。彼の手を放した両手はシーツを握る。固く握りしめた手のひらに爪が食い込む。痛いと感じる余裕さえ彼は与えてくれない。
優しく、激しく、悪戯にクリトリスを扱いていた彼の指が、爪を立てて引っ掻いた。それまでと違う種類の一撃に海夢の肉体は呆気なく陥落する。
「あっ! あっ! んっ♡ あっ♡ あ゛あ゛っ♡ あっ♡ あっ♡」
太ももが電気を流したように震える。額に大量の汗を浮かべながら海夢は淫蜜を大量に吐き出しながら達してしまう。
「いまのイッたよね。俺の勝ちってことでいいかな」
「はっ? えっ、んなわけ……イッてない……」
「ほんとに?」
「お前なんかでイクわけない」
ヘタな嘘を友幸が嘲笑う。勝ち誇る気配を背後に感じて海夢は気合を入れ直した。男の射精と違い女のイク、イカないは分かりにくい。バレバレでも虚勢を張り続けて誤魔化せば勝ちだ。
「そういうことにしておいてあげる。続けるぞ」
イッたばかりで激しく痙攣する膣を両手で、くぱぁと開かれる。膣内で留まっていた華蜜が出口に殺到する。粘液が垂れてアヌスまで濡らした。
ぷんと漂う己の雌臭いにおいに海夢は顔を赤らめる。
「次は膣内でイク感覚も教えてやるからな」
|女《じぶん》とは違う、男の節くれだった指が、ぬるにゅるっと濡れた小径を入ってくる。
友幸の言うとおり海夢の膣内は指一本でキツキツで、ぴたりと一分の隙もなく内壁に触れた。
海夢の膣洞は緊張と弛緩を繰り返す。友幸の指を食いしめては放し、また食いしめては放す。美味しい、美味しいと頬張る。膣内の蠕動運動はもっと奥まで来てくれと淫らに誘う。
「ははっ、海夢ちゃんのオマンコ、俺に触ってもらいたいってさ」
はしたない動きを揶揄されても自分の意志で止めることができない。
「あっ、んぅっ、はっ、あんんっ」
友幸が膣内で指を前後に動かす。浅い部分の締め付けを楽しみ、つぶつぶを撫で擦る。
「や、やめ――ひぁぁあっ、あっ♡ あっ♡ ぅあぁあっ♡」
やがて指は膣洞の誘いに応じて奥に潜り込む。
(やばやばやばやばのやばっ! これまたイク。すぐイッちゃう。逃げなきゃ)
海夢は指から遠ざかろうとベッドの上を背中のほうに移動しようとする。だが友幸に背中を預け、退路が断たれてる状態でどこへ行こうというのか。行き止まりで身体を波打たせることしかできない。
指が根本まで突き入れられる。入り口から指の届く限界ギリギリの奥まで長いストロークで掻き混ぜられる。距離を取って逃げられない海夢は動きで誤魔化そうと、快感の逃げ道を作るため尻を左右に振った。そうすると腰の辺りに硬い棒状のモノが当たる。
腰に当たった棒は海夢が尻を振ると摩擦による刺激で大きく、硬く成長する。海夢は必死に堪えてるつもりでも、男からすれば尻コキしてもらってるようなもの。腰に当たる怒張はビキビキ音がしそうなくらい硬くなった。
「ほぐれてきたから指、増やしてるよ」
膣内に埋まる指の数が二本に増やされる。一本でもキツかった場所に二本めが入ってきて拡張される。ギチギチと内側から押し広げられ、卑怯な強姦魔に自分の身体が造り変えられてる絶望感が込み上げてきた。
加勢を得た指は膣内で鍵状に曲げられる。入り口の天井側にあるざらついた箇所。女の敏感なスイートスポットに指先が触れる。激しく擦る必要はない。軽く触れて押し込まれるだけで海夢はお尻を浮かせた。
「海夢ちゃんのGスポットはっけ~ん」
男が愉快そうな笑いを漏らす。
「いっぱい気持ちよくしちゃうぞ」
そう言って男の指がGスポットを責め立てる。
「あっ、ひあぁああぁぁ、ひっぐぅ、ひぐぅうぅう! あ゛っ♡ あ゛あ゛あぁあああぁぁ! 指っ、指がぁぁぁっ! あ゛ぁぁっ♡ だ、めぇっ♡」
下腹部で生まれた熱が全身に広がる。穴という穴が開き、ぶわっと汗が吹き出す。浮いたお尻がベッドの上に戻ってこない。もっと触れて欲しいとでも言うように前後左右に揺れる。
「諦めてたくさん気持ちよくなっちゃえ。イッていいぞ」
「まけっ、負けにゃいぃいぃいぃいいぃぃ!」
「頑張るじゃん。だから負けましたって言わせたくなるんだけどね~」
入り口の浅い場所を責めていた友幸の指が膣奥に入ってくる。
「こっちのよさも感じな」
ずぶずぶ指がめり込むと奥から溢れてきた愛液がシーツに垂れた。
すっかり準備万端で待ち構えていた膣奥は、きゅぅきゅぅと彼の指をキツく締め上げる。
指が届く限界の深さを撫でられる。海夢は足をバタつかせ、爪先でシーツを引っ掻き、いやいやと首を振りながら次々に襲いくる快感を耐える。
「と見せかけて不意打ち」
膣内を掻き混ぜているのとは別の手がクリトリスに触れる。一度そこでイカされ勃起したままになっていたクリトリスを弾かれ、海夢の肉体は絶頂へのカウントダウンを始める。
「ひぁぁーーっ! んああぁっ! や、やぁっ、いっしょ、だめっ!」
駄目だ。今度イッたら誤魔化せない。嘘がつけないくらい特大の檄やばいやつがくる。
「んあああぁっ♡ だめ、だめ、だめだめっ! イキたくない♡ イキたくないよっ♡ ああああぁっ♡」
「へ~。海夢ちゃんイキそうなんだ」
「イク! こんなことされてイキたくないのにイッちゃう! やだっ♡ やだぁっ♡ こんなはずじゃっ!」
「イッたらチンポだからな。いっちばん奥までガンガン突いて引っ掻き回してやる」
「いやあぁっ! イッちゃう! イキたくないのに♡ あぐっ いやああぁぁあぁっ!」
二回目の絶頂は一回目よりも強烈で長引いた。がむしゃらに掻き毟ったシーツが手の中でぐしゃぐしゃになる。体力も精神力も根こそぎ奪われ、なぜこんなことをしてたのかさえ思い出せない。許容量を超えた快楽に海夢の身体は登り詰めっぱなしで一向に降りてこない。
「そんじゃヤルか」
友幸は海夢をベッドに寝かせて自分は彼女の足側に回る。膝を折り曲げて両脚を大きく開かせた。サイドボードに伸ばした手がお菓子の個包装くらいの包を取る。当然こんなタイミングでエネルギー補給するはずなく、ビリっと包を破った中から出てきたのは動画にも映っていたピンク色のコンドーム。
避妊はしてくれるんだ、なんて本当に最後の最後の一線だけは守れたことに安堵してしまうくらい、海夢は精神的に弱っていた。
じぐじぐと疼く傷口のようなクレバスに友幸の剛直が触れる。先刻まで誰も触れたことがなかった処女地へ、領有権を主張する国旗かの如く肉の楔が打ち込まれる。厳密に言えば二度めの挿入なのだが寝ていた一回めはノーカウント。これが海夢の認識では処女喪失の瞬間だ。
「あっ、や、ちょっと、まって」
怖じ気づいた海夢が少しでも決定的な瞬間を先延ばそうとする。しかし肉欲に鼻息を荒くする友幸は止まらない。懇願する声を無視して一気に根本まで突き進んだ。
「ひぅっ、ああっ、いっ、やぁ、だめ、こんなっ、ひぎィ、いっ、ひぃぅっ!」
意識の上では初めて受け入れた男性器。
指では届かない奥まで入ってくる長さ。
あんなにキツく感じた指二本が可愛く思える太さ。
女の膣内を引っ掻くことに特化した凹凸。
生物の一部だと主張する生暖かさ。
どれもが海夢を内側から支配して狂わせる。早くも肉体は屈服して彼のチンポに媚びを売る。ビクンビクンと波打つ膣壁が主人を迎える使用人かの如く甲斐甲斐しい世話を焼く。
「あ゛っ、はぁ゛~~~~っ♡ い゛ぐっ♡ いぐっ♡」
入れられただけで! と自分でも驚きながら、海夢は軽く達してしまう。イキ方自体は浅いが、一擦りもしてないうちからイカされ、友幸が本気を出したらどうなってしまうのだと胸がざわついた。
「これだけでイッちゃったんだ。海夢ちゃんの身体マジ気持ちいいことには正直な」
からかうように突き上げられ腰が浮く。
(あ~~~~~っ! もっ、だめぇ! 膣奥コンコンされると♡ あたしの身体、自分のじゃなくなる♡ コイツのチンポ……ッ♡ あたしのこと操作する♡)
海夢は僅かに残るクスリの効果と連続絶頂のイキ疲れで疲労困憊。くったりする身体を友幸はダッチワイフでも使うように突き回した。
もう意味のある言葉なんか出てこなくて、海夢は自分でもなにを言ってるか分からないまま喘がされる。
「ひっ♡ やっ♡ イヤっ♡ あひっ♡ ア゛♡ アッ♡ アァッ♡ アッ♡」
「あ゛ッ゛♡ ひぃ゛ィいいいいっ♡ ン゛んぁあああ゛あああっ♡♡」
突き入れられるときは侵入を拒むように窄まり、反対に出て行くときは離れないでと縋り付いて甘える。海夢の膣内はツンとデレを使い分けながら友幸のチンポに媚びる。亀頭と幹の間に深く刻まれた溝で襞を掻き毟られる快感に、ヘコヘコ情けなく腰を動かしてしまう。
「ひぃッ♡♡ ひぐうッ♡♡ もおッ、やめてッ♡♡」
「海夢ちゃん完全に堕ちてるじゃん。俺のチンポそんなに気持ちいいかよ。頼めばセフレに加えてやってもいいぞ。まずは俺のセフレになりたかったら、この前のことを詫びるところからだな。あのときはナマイキな口利いてすみませんでした。もう逆らわないのでセフレにして海夢のオマンコ使ってくださいって言えよ」
「んっ! ふっ、ふぅっ♡ だ、だれが、そんな……んくぅっ♡ こと、はっ、はっ、はぁ♡ あぁっ♡ ぜってー言わない。だいたい堕ちてないし」
「そんなに気持ちいい声出してるのに無駄無駄」
友幸が腰を大きく回す。円運動でそれまでと違う刺激を与えられ海夢の肉壁が悦ぶ。
「きゅってした。海夢ちゃんのオマンコ、気持ちよくしてくれてありがとーってハグしてきた」
「うぜぇ。キメぇ。ありえない。やっぱお前ないわ。絶対お前だけはない。てめーのセフレなるくらいなら近所の野良犬とヤッてたほうが億倍マシだわ」
ありったけの気力を振り絞り罵倒する。最奥まで性器の結合を許し、認めたくないが身体はトロトロに蕩かされてしまってる状態で、まだなんとか彼に対抗できるとしたら口だけが武器だった。
「ふーん。そうかよ」
自分のチンポで悶える海夢を愉快そうに見ていた友幸の顔から表情が消える。リズミカルに動いていた腰が止まり、海夢から性器が引き抜かれた。
(なに? これで終わり。キツく言われすぎて萎えたとか? そんなデリケートそうに見えないけど)
本当に終わってくれるなら助かるのに、と願望混じりに見ている海夢の目の前で、友幸は彼女の愛蜜に濡れたコンドームを外す。
「いつまでも人が下手に出ると思うなよ」
ぽいっと友幸は用済みになった避妊具を投げ捨てる。
その行動で海夢は相手の狙いを察した。
「バカ。やめろ。生はやばいって。デキたらどうすんだよ」
「お前みたいな女にはこれくらいして躾けてやらないとな! 優しく言われてるうちに言うこと聞いてりゃよかったのに」
ベッドの上を這いずって逃げようと四つん這いになる。それが悪手だと気づいたのは背中にのしかかられ、背後から怒張を押し当てられたときだ。
「確かに野良犬のほうがマシかも知れないな。犬相手ならガキはできないからよ!」
「ばかっ。マジふざけんな。じゅーろくで妊娠なんて」
切っ先が入り口に触れるたび尻を左右に振ってズラす。入れられまいとする必死の抵抗だが友幸は、くつくつと喉を揺らして笑う。
「かわい~くお尻フリフリしてどうしたよ。早く入れて欲しいのか?」
「逆だよアホ!」
海夢の手首を二つまとめて左手で押さえつけ、右手はチンポの根本を掴んで固定。逃げ惑う海夢を嘲笑いながら肉棒を膣口に触れさせる。
「ほら亀頭が入った。そんで亀頭が入っちまえば……」
コンドームをしていない生のチンポが海夢の肉を掻き分ける。友幸の下腹部が、ぴたりと海夢の臀部に押し付けられる。密着した状態で彼女は尻肉を震わせ生挿入の衝撃に唇を噛み締めた。
「あぁっ、あ゛っ」
コンドームを着けてさえ存在感抜群だった友幸の性器。いまは薄皮一枚さえ纏わず直接肌と肌が触れ合う。
女を犯したくてパンパンに膨れ上がった勃起。大きく張り出したエラの部分に襞が吸い付く。きのこの傘を思わせる部分を海夢の膣内はふしだらに締め上げた。
根本まで埋めたまま動かず、海夢の生膣を味わっていた友幸の腰が前後に動き出す。
「やだっ♡ まって♡ 硬いの、奥に刺さる♡ あっ♡ いぃ♡ それ、すごっ♡ あっあっあっ♡ いいっ♡ いいっ♡」
動き始めた腰はすぐにリズミカルな律動を取り戻す。パンパンパンパンと若い肌と若い肌の打ち合う音がラブホテルの一室に響いた。
海夢は額をベッドに押し付け、シーツを噛んで喘ぎ声を押し殺そうとする。儚い抵抗は友幸の腰使いが生み出す暴力的な快楽の前には無力だった。何度も最奥を抉られ、咥えていたシーツを放してしまう。
「ああっ♡ はあんッ♡ くひっ♡ あっ、あ、あっ、ンァ!」
テンポよく繰り出される連打から、一撃、一撃が急所を狙う必殺の打撃へと腰の動きが変わる。
「あっ、あんっ♡ あんっ♡ う、くあ、ぁっ♡ は、ふっ!」
さっきまで悪態をついていた口は嬌声をあげるのに忙しい。如何に友幸のチンポが気持ちいいかを高らかに歌い上げる。
熱い楔が最奥を虐める。生チンポが子宮にタッチする。そこに射精されたら子供がデキてしまうかもしれない場所と、子供を作るため精液の出てくる場所がゼロ距離で触れ合うのだ。コンドームを着けていたときにはなかった緊張が走る。
一番奥を押し上げられるのも、触れ合わせたまま腰だけ回してグリグリされるのも、内蔵を圧迫されて息苦しいのに気持ちいい。背中を仰け反らせて啼くことしかできない。
「んっ♡ はぁっ♡ 生チンポ、強すぎっ♡ ひぅん! ゴムしてたときより段差がハッキリしてて……オマンコの中で引っ掛かる……はっ♡ はあっ♡ んっ♡ それに、あっつい♡」
「ゴム付きチンポと生チンポどっちが気持ちいい?」
「なん、そのバカ丸出しな質問」
「答えないと|膣内《なか》で|射精《だす》ぞ」
海夢はシーツを握りしめる手に力を込める。言葉にならない怒りを物言えぬ道具にぶつけた。卑劣な脅迫。それに従うしかない己の境遇。全てが恨めしい。
「生チンポ」
呟いた瞬間に海夢の目から涙が一滴シーツに落ちた。それだけだ。弱いところは見せたくない。友幸を喜ばせてなるものか。だけど涙の一滴だけは許して欲しい。なにもなしでは耐えられない。この状況、心には重すぎる。
「生チンポのほうが、ゴム付きチンポより、気持ちいい」
「そっか、そっか。それじゃ海夢ちゃんの大好きな生チンポで啼かせて、最後は思いっきり子宮にザーメンぶっかけてやるよ」
「や、やめ、やめ! 言ったら、射精しないって」
「答えないと|膣内射精《なかだし》とは言ったが、答えたら許してやるとは一言も言ってないだろ。海夢ちゃん本当おバカさん。顔と乳とケツに栄養全振りして頭スッカスカなんじゃないの」
「あぁっ♡ やっ♡ はげしっ♡ あっあっあっ♡ おっきぃチンポ♡ だめっ♡ そこ、すごいっ♡」
「海夢ちゃんは大きいチンポ好きだよな」
「好きじゃない♡ やばっ、マジ届く♡ やんっ♡ あんっ♡ あんっ♡ すごいっ♡ 奥っ♡ 当たってる♡」
「短文の中で矛盾しすぎだろ。頭と身体は別物ってか」
友幸は両手で海夢の柳腰を掴み、ゆ~っくり腰を引き、形や長さを味わわせてから一気に突き上げる。その連続で子宮を揺さぶられ海夢は一突きごとに目の前でバチバチ火花が散った。
「奥まで届くチンポ好きだろ」
「好きじゃない! んっ、ひぎっ! ひぐっ! おめーのチンポなんか好きになるか! ひあっ! あ、あっ! やっ、あっ!」
海夢は口元から垂れる涎を啜り上げながら答える。
「――っとに強情な女。普通こんだけやれば堕ちるのによ」
友幸は再び腰の動きを変える。動き自体は単調だが速い回転数で粘膜同士を擦り合わせる。
「そろそろ出すぞ。諦めてセフレ宣言しろよ。いまなら最後のチャンスで外に出してやってもいいぜ」
「あっ♡ だ、だれがっ! そんなことっ♡ あっ♡ あっ♡ どうせ、また嘘ついて出すんだろ」
「おー。ちょっとは学んだじゃん。分かってるなら早いよな。このまま出すから受け止めろ」
激しく腰を打ち付ける音が部屋に響く。
抜き差しのたびに追いすがる秘裂。好き勝手に陰茎を扱くための道具にされても、逞しい雄の象徴に媚びてしまう。
正常位よりも奥まで入っていくる後背位。ぐーっと押し込まれれば急所まで切っ先が届く。いくら声を我慢しようとしても、ぐちりと奥の窄まりを穿たれれば、いままで誰にも許したことない場所で感じる悦楽に啼き喚いてしまう。
全身が、頭が、穿たれた場所が熱い。燃え上がって、溶けて、消えてなくなってしまいそうだ。中でも一番熱いのは友幸の亀頭で虐められる子宮だった。まだ十六。されど十六。海夢の肉体は子供を産もうと思えば産める状態で、発情した雌の本能は繁殖欲を滾らせる。
ダメ押しのように友幸の腰が打ち付けられる。快楽に蕩けてグズグズになった奥壁を突かれ、これでもかと腰を尻に押し付けたまま、グリグリと子宮口を押し広げるように抉られる。
歯を食いしばって耐えるなんてこともできず、海夢は絶叫めいた嬌声をあげる。
「あーッ、あッ、い、い、ぐ、いくうう、いぐううう!」
絶頂中の肉壷は繁殖の本能で持ち主の意思とは無関係に男を悦ばせる。粒立った肉壁で雄の性器を締め付け、蠕動する媚肉が牛の乳を絞るように陰茎から子種を奪い取る。
「あーっ♡ ひッ♡ いってる、いってるうぅ♡」
「そのまま最後まで絞って」
「誰が、お前の精子なんか、あっ♡ 搾るかよ」
「て言いながら、オマンコは素直にゴクゴク俺の精子飲んでるけど」
「んぅ♡ んんっ♡ んんっ♡♡ んっ♡ んっ♡」
「まあ動画は俺の手元にあるわけだし、これからもよろしくね、海夢ちゃん」
全身を震わせ、声にならない声で啼く海夢の尻に下腹部を二度、三度と擦り付け、射精したザーメンを彼女の膣内に塗り拡げながら友幸が性器を抜く。
子宮で飲みきれなかった白濁液が海夢の穴から垂れ、粘液の糸がシーツとオマンコを結んだ。