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C96で発行した憑依合同本「憑依ノキロク」に掲載した憑依小説です。

内容は頒布分・電子販売分と変わりませんので、(いるか分かりませんが)テキストで読みたいという方がいればどうぞ。

小説:憑依好きの人

挿絵:めた子(https://twitter.com/metako_metamon)

「ずっと前から好きでした!僕と付き合ってください!」

誰もいない大学のキャンパスビルディングの屋上テラスで、1人の男が勢いよく頭を下げて意中の相手に募りに募った想いをぶつけた。

突然呼び出され、恋情を打ち明けられた相手は目をまん丸と広げ、驚いた様子を見せたが、やがて口を小さく噤んで申し訳なさそうに俯いた。

しばらくの沈黙の後、彼女の口が開く。

「……ごめんなさい。あなたの気持ち、すごく嬉しい。だけど私にはもうお付き合いしてる人がいるの。だからその……あなたの気持ちには応えられないの……本当にごめんなさい。」

長い黒髪を垂れ下げながら同じように深々と頭を下げる目の前の女性――朝倉鈴華(あさくらすずか)。ゆっくりとその端正な顔を上げると彼女なりのケジメなのか、まっすぐとこちらの瞳を見つめてバツの悪そうな笑みを浮かべた。

「その、彼女になってあげることはできないけど、これからもお友達として仲良くさせてくれる?あなたさえよければだけど……」

突きつけられる完璧なNO。

真正面から気持ちを受け止めた上での真摯だが残酷な拒絶。それだけに引き下がることしかできない。

初めから土俵に立ててすらいなかったという現実を突きつけられた。

「分かった。これからも……よろしく。」

「ええこちらこそ、これからもいい友達でいましょ!」

当然この言葉がトドメとなり、米原博人(よねはらひろと)という男の、一世一代のつもりで挑んだ告白は大惨敗という無残な結果に終わった。

「やっぱりダメだった……!くそっ、くそぉ!」

悔しさから枕に拳を叩きつけ、顔を埋める。

真っ暗な自室で博人は己の不甲斐なさを嘆くことしかできなかった。

初めから鈴華には高校以来付き合っている彼氏がいることは分かっていた。

だがそれでもなお、僅かでもチャンスがあるのではないかと一縷の望みにかけたものの、蓋を開けてみれば結果は火を見るよりも明らかだった。

少しでも楽観的だった自分を殴りたいとさえ博人は思った。

入学からの3年間、ずっと溜め込んできた想いをぶつければ、彼女は応えてくれるのではないかと――。

「馬鹿か俺は!そんなことあるわけないだろ!高校からずっと付き合ってる2人が、他の誰かに告白されたからって別れるわけないじゃないか!」

玉砕するまで考えないようにしていた事実が、今になって博人を執拗に責め立てる。

諦めなければ報われる。

そんな綺麗事が例外なく通じるのは漫画やアニメの世界だけなのだ。

「あぁ、いっそのこと消えてしまいたい。」

明日からどんな顔をして彼女会えばいいのか。いい友達のまま?そんなことできるはずもない。秘めたる想いをぶつけた相手と、これまで通り接することなどできるわけがない。だからこその賭けだったのだ。

敗色濃厚だと分かった上で挑んだ分の悪い賭け。それに負けるべくして負けたのだ。

「……はあ~。」

鬱屈とした感情がのしかかったまま、不貞寝するべく枕に顔を埋めていると、静寂を打ち破るように扉のノック音が聞こえた。

「お兄ちゃん、ちょっといい?」

「……」

どうやら扉の向こうにいるのは2つ下の妹、優奈(ゆうな)のようだ。高校3年生になり、いよいよ大学受験を控えた妹の用件といえば、精々「勉強を教えて欲しい」あたりだろうか。

何であろうと今は取り合う気分になれない博人がそれを無視していると、返事がないのをいいことに無遠慮に兄の部屋へと足を踏み入れる。

「なんだ、いるんじゃん。返事くらいしてよね。って、なに1人でへこんでんの。」

「頼むから今は放っておいてくれないか優奈。今は誰とも話したくない。」

ドア口に立った優奈はそんな博人の様子を見て呆れたように肩をすくめた。

「はーん、どうせお兄ちゃんのことだから好きな人にでもフラれたんでしょ。いい加減現実を見れば?冴えないお兄ちゃんをわざわざ好きになる人なんてそうそういないって。」

「…ってるよ。」

「ん?今なんか言った?」

「言われなくても分かってるよ‼」

傷口を抉られた博人は我慢できなくなり、勢いよく顔を上げて優奈に吠えてしまう。

思わぬ反応に流石の優奈も少したじろいでしまったようだ。

「ご、ごめん…そこまで気にしてるって思わなかった…」

「…お前には分からないだろうな。失恋がどんな気分かなんて。」

優奈には同級生の彼氏がいる。高校のサッカー部マネージャーをしている優奈はその副部長である男子生徒に一目惚れをしたらしく、ある日意を決して告白。男の方も満更ではなかったようで、2人は部活仲間から見事カップルにグレードアップしたのであった。

だから妹には自分の気持ちなど理解できるはずもない。

返す言葉がなかなか見つからないのか、優奈は困ったように目を伏せた。

「お兄ちゃん…その、私は――ひうっ⁉」

「優奈…?」

突然目の前の妹が引き攣ったような声を上げ、全身を硬直させた。

目は天井を向き、口は歯を食いしばったまま「い」の字で固まってしまう。

手足が何かに犯されているかのように痙攣し、立っていられなくなった優奈はそのままストンと膝をついてしまう。

明らかに様子がおかしいと思った博人はベッドから飛び起き優奈へと駆け寄る。

「優奈どうした?おい、優奈!」

「あっ、あっ!あぁっ……ふぅ~、やっと入れたか。」

博人の両手の中で苦しそうに震えていた優奈だったが、やがてそれも収まると静かに落ち着きを取り戻した。それどころか今の光景がまるで嘘だったかのように今度は嬉しそうな笑みを浮かべている。

心配そうに見つめる博人をよそに優奈はゆっくりと立ち上がると、細い腕を持ち上げて観察し始めた。

「やっぱり生身はいいねぇ。それも瑞々しい女子高生のカラダときたもんだ。どこもかしこも柔らかいぜ。」

「ゆ、優奈…何を言ってるんだ?もう大丈夫なのか?」

状況を理解できない博人は目を丸めたまま優奈の顔を見上げる。

「ははっ、大丈夫さ。中身はともかく肉体の方は至って正常だぜ。ただこうでもしないと会話ができないからな。」

「言ってる意味が……」

さっきまで普通に会話していたじゃないか。

それに優奈の口調が本人とは思えないほど様変わりしていたりと、博人の頭の中で絶えず疑問符が浮かび続ける。

「鈍いなぁ……まあ、無理もないか。そっちの趣味があるわけじゃなさそうだし。」

やれやれ、と言いだけに首を横に振った優奈はひょいとベッドに腰掛けると、にっこりと可愛らしげな笑みを作ってみせた。

「お兄ちゃん、私のカラダは今乗っ取られてるんだよ?」

「……はぁ?」

あまりに突拍子のない話に思わず口が開いてしまう。テレビで心霊現象の類の番組でもやっていたのだろうか。そうとしか思えないほどに馬鹿げた話だと博人は思った。

「お前、からかってるのか?」

「うわぁ、全然信じてないね。さっきのが演技でできるなら私はとっくに女優になってると思うんだけど。」

「逆にどうやって信じろって言うんだよ、そんな漫画みたいな話。」

「ふふっ、じゃあ……こういうのはどう?」

その質問を待ってましたと言わんばかりに笑みを浮かべると、優奈は突然自分の部屋着用のTシャツをめくり上げた。

顔を出したのはそれなりに引き締まったお腹とグレーのスポーツブラに包まれた形の良い胸。勢い余ったのかシャツを持ち上げた手に当たった胸がぷるんっと柔らかそうに揺れた。

「なっ⁉」

それを見た博人は思わず顔を背ける。妹の下着姿など何年もまじまじとは見ていないのだ。その禁断とも言える光景に赤信号を発した彼の脳が半ば反射的に視線を外す指示を出すのは無理もないだろう。

「せっかくなんだからちゃんと見てくれればいいのに。」

「妹の裸なんて誰が好き好んで見るか!それより何やってるんだよ⁉」

「服を脱いでるんだけど?」

「そんなのは見れば分かる!俺が聞きたいのはそういうことじゃなくて……!」

そうこう言ってるうちに優奈はTシャツを脱ぎ去ってしまう。

目を逸らしていてもその白い肌の眩しさが分かる。

「どう?乗っ取られてるって信じてくれた?」

「お前!人をからかうのも大概にしろよ!それは冗談じゃ済まないぞ……!」

「えー、まだ信じてくれないの?鈍感通り過ぎてもう不感症じゃん。」

妹の口から不感症という言葉が飛び出したことに博人は目を剥いた。からかうためとはいえど冗談で性的な発言をするような性格ではなかったはずだ。

「本当に今日はどうしちまったんだよ!お前らしくないぞ!」

「だから中身は私じゃないって言ってるじゃん。ねえ、お兄ちゃんの知ってる私はこんなことをする娘だった?」

上半身を覆う布はブラのみというあられもない姿のまま優奈は博人に抱きついた。

必然的に柔らかい胸が腕に当たり、その感触が博人の脳を強く揺さぶる。

「ねえお兄ちゃん、触っていいんだよ?私が鈴華さんの代わりになってあげよっか?スタイルは負けるかもしれないけど私も十分可愛いと思うんだ。」

「っ!なんでお前、鈴華さんの名前を!」

その瞬間、揺れていた意識が平静を取り戻す。妹には自分の好きな人の名前を伝えたことなど一度もない。そんな優奈が鈴華の名前を知っているのはどう考えてもおかしかった。博人の表情が困惑から愕きに変わるのを見て優奈はニンマリと笑う。

「そりゃ知ってるよ。だって見てたんだから。あの屋上でお兄ちゃんがこっ酷くフラれてるところを。」

「……優奈がそこまで知ってるなんてありえない。あの場に他の人間なんて――お前は、誰なんだ?」

「ふふ、ほぼ答えみたいなヒントをあげちまったがようやく信じてもらえて嬉しいぜ。お兄ちゃん!」

「いいから答えろ!優奈の中にいるお前は何者だ!」

「俺は人によっていろんな呼ばれ方をされるがそうだな……ちょっとお節介な悪霊ってところだ、お前にとってはな。そしてそんなお前への用はただひとつ。その恋路、俺にも一枚噛ませてくれよ。」

現実によって砕かれたはずの博人の夢が、悪魔のような力で再び作り上げられようとしていた。それもとびきり歪な形に――

「お前がどういう存在なのかは分かった。頼むから妹に何をするつもりなのかを教えてくれ。」

「何もするつもりはないさ。言ったろ?こうやって他人のカラダを借りないと俺は現世の人間と会話すらできないんだ。まあ確かにお前の妹は思ったよりスタイルいいし顔も可愛いけどな。正直に言ってなかなかの上物だ。」

優奈に潜む何者かは嬉しそうにそのほっそりとしたお腹を撫で回した。

「人の妹の体で遊ぶのはやめてくれ。それで本当に害意はないというつもりなのか?」

「ああ、だって俺がその気ならとっくにこの娘は犯されてるからな……ってそんな怖い顔するなよ。悪かった、別に脅迫するつもりはないんだ。ただ本当に害を与える気があるならわざわざお前に俺の正体を明かすか?なんのメリットもないのによ。」

確かにこの悪霊?の言うことには一理ある。本当に妹に何かをするつもりならわざわざ誰かに存在を知られるようなリスクを犯さず、身体を乗っ取った時点で目的を実行に移せたはずなのだ。

博人はまだ安心こそはできないものの、ひとまず妹の身体の中にいる彼?に害意はないものと判断した。

それを悪霊も悟ったのか会話を続けた。

「ひとまずは話を聞く気にはなったようだな。もう一度言うが俺はお前に協力したいんだ。もう分かると思うが今日のお前の惨状は霊体の俺も見ていた。あの女子大生、近くで観察させてもらったが確かに顔立ちはいいし性格もいい。何より男好きのするいいカラダをしている。お前が惚れ込むのも無理はないな。けどそういう女というのは大抵先約があるもんだ。お前だから失敗したわけじゃない。」

「慰めてるつもりなのか?カウンセラーになりたいだけならどこかに行ってくれ。そんな御託はどうでもいいんだ。そんなこと関係なしにただ俺は、鈴華さんのことが好きで彼女になって欲しかったんだ。そしてフラれた。もう俺が鈴華さんと一緒になる未来はない。俺だけにチャンスがなかったわけじゃないにしてもそこは変わらないんだよ。挫けて当然だろ?」

「ああそうだな。だから別に俺はお前の心の傷を癒しに来たわけじゃない。俺自身にメリットもないしな。けどお前はあの無残な大失敗の中で、ひとつだけ正しいことをしてたんだよ。」

「正しいことだと?」

あの光景のどこに正解などあったのだろうか。全てが間違いで、何もかもが無駄になったというのに。

心が暗くなる一方の博人に対して、乗っ取られた優奈は悪巧みをするような笑みを浮かべた。

「ああその通りだ。お前は、"美女を好きになった。"それが何よりも重要なのさ。」

「妹のドヤ顔を見せつけてくれてるところ悪いが全く理解できないぞ。鈴華さんみたいな美女を好きになったからなんだってんだよ。うまくいかなきゃ意味ないじゃないか……。」

「くくっ、お前はまだ自分の幸運に気付いてないだけさ。だってあの女のおかげで俺の目に止まったんだからな。なあ考えてみろ。もし俺があの鈴華って女に憑依してやるって言ったら、お前はどうする?」

「え……?」

言われて博人の頭の中がスパークする。

この悪霊は人の身体を乗っ取る力を持っている。それは間違いない。

現に今妹の身体を支配して自由に操ることができているのだ。

それならば当然同じように、鈴華の身体も――。

「鈴華さんに……」

邪な考えが渦巻く。

想像通りなら、この悪霊にかかればやりたくてもできなかったはずのことがいくらでも――。

思わず生唾を飲み込んでしまう。

「本当にできるのか……?」

「ああ、俺に奪えない肉体はない。中には霊感が強かったりやたらと抵抗する奴もいたりするが、最後にはどんな女も俺にカラダを明け渡す。あの女子大生も例外じゃない。」

嘘ではない。それは優奈の瞳の奥に宿る悪霊の確固たる自信から読み取れた。

だが、だからこそ。

「分からないことがひとつある……」

「ん?」

「お前に何のメリットがあるんだ?俺に旨味はあってもお前にはリターンがないように思えて仕方ない。お前はあくまで自分のために動く、そういうやつだというのは今までの態度でも分かった。だからこそお前のその"善意"が怖くて仕方ない。」

それを聞いた悪霊は一瞬驚いたように目を見開いたが、ゆっくりと口角を吊り上げた。今まで見たことのないような邪笑を優奈は浮かべる。

「ひひっ、よく分かってるじゃねえか。ああ、俺が100パーセント善意で動くことなんてのはまずありえない。でなけりゃこんな存在になんてなってなかっただろうよ。だが今のお前の言葉で俺は逆に安心したぜ?お前は人の欲望を知っている。俺たちは意外と似た者同士かもな。」

「な、ならやっぱり……」

「もちろん、俺にも旨味はあるぜ?女体の快楽は当然のことだが、お前の反応も楽しみのひとつだ。そして何より、俺の影響で変わっていく、狂っていく人間どもの関係を眺めるのが俺にとって最高のエンターテイメントなのさ。ああ、だからこれだけは先にはっきりさせておこうか。お前に協力したいとは言ったが、あれはお前を"助けたいと思ったから"じゃない。お前を"助けた方が面白いことになりそうだ"と思ったからだ。」

「だから人は、時に俺のことを悪魔と呼ぶのさ。」と優奈の口で怖ろしい告白をする。

だが意外にも博人はその言葉聞いて胸を撫で下ろしていた。

「俺が一番怖いのは動機の分からない行動なんだ。けどお前のそれは理解できる。俺がお前の立場なら、同じことしていたかもしれない。お前の言う通り俺たちは似た者同士なのかもな。正直に言って羨ましいよ……楽しいだろうな、人の身体を動かすのは。」

「まさか怖気付くどころか受け入れるとはな。お前、俺が思ったよりもこっち側だったのか。だったらもう遠慮はいらねえな。どうする?俺の話に乗る気はあるか?」

その問いに対する選択肢は、博人にとって初めからひとつしかなかった。

意を決した自分の表情に力が入っていくのがはっきりと分かった。

「くくっ、その顔を見れば答えを聞くまでもねえか。よろしくな、相棒。」

翌日の大学の大教室。

いつものように一番後ろの席に座った博人は同じ講義を取っている鈴華が現れるのを待ちわびていた。

(早く来ないかな……。)

待ちきれなくてつい昨日のあの後の悪霊との会話を反芻してしまう。

「それでズバリ聞くが、叶うのならあの女にはどれくらいお前のことを好きになって欲しいんだ?」

優奈の身体であぐらをかいているせいでスカートの中の白いパンツが丸見えになっている。

博人はなるべくそこに視線が行かないように気を付けつつ答えた。

「そりゃ、今の彼氏に負けないくらい好きになってほしい。いや、あいつの何倍も好きになってほしいと思うけどそれは鈴華さんの気持ち次第だろ?憑依ができるからってお前にどうこうできることでもないと思うんだが。」

「お前、俺のことを"ただ人に取り憑くだけ"しか能がない亡霊と一緒にしてないか?悪魔と呼ばれることもあるくらいなんだ。他にも力があって当然だろ?例えば、俗に言う洗脳……思考の改変とかさ。」

トントンと悪霊は頭の中身を指し示すように人差し指で自慢げに優奈の額を叩いて見せた。

「そ、そんなことまでできるのか……?」

冷や汗をかくほどに恐ろしさを感じる一方で、その言葉の響きに心の中では魅力を感じてしまっていることに博人は我ながら呆れてしまう。

そしてこのまま突き進めば、自分はこれから普通の人生を歩むことはないのだろうと悟った。

「意味のない嘘はつかねえよ。だからお前に聞いたんだ。どれくらい好きになってほしいんだってよ。だが大体分かった。お前の望みなら、3回だな。」

「3回って、何が?」

「憑依した状態でイカせる回数だよ。俺の思考改変は女が絶頂した時に生まれる空白の間に、好きなように頭の中を書き換えられる能力なんだ。そこらへんの女なら俺にかかれば1回で十分なんだがお前の場合、相手には彼氏がいるからそこら辺の感情操作含めて念入りにやって3回だ。そうすれば鈴華とかいう女の頭の中はお前だけに書き換わる。」

「は、ははっ……それはすげえや。こんなことを言うのもアレだがお前だけは絶対に敵に回したくないな。」

これは本心だ。

悪霊に言っていることが本当なら機嫌を損ねるようことがあれば自分なんかが無事で済むことはないだろう。

「安心しろ、俺はこう見えても優しいんだ。お前が自分の欲望に正直である限り、俺がお前に危害を加えることはねえよ。」

「まあ、確かに警戒するにことしたことはないがな。」と添えると、悪霊は優奈を使って横になった。

「それじゃ、俺はちょっくら下準備してくるわ。俺が抜けてちょっとしたらお前の妹の目も覚めるだろうから適当にフォローよろしくな。」

「おいちょっと待ってくれ。抜けるのはいいが下準備ってなんだよ?」

聞かれて悪霊が待ちきれないと言った様子で優奈の鼻息を荒くする。

「鈴華に俺の霊体を馴染ませるんだよ。絶対にやらなきゃいけねえわけじゃねえがその方が書き換えもスムーズに行くしな。というわけで一足先に楽しませてもらうぜ!」

と言って悪霊は優奈の体から抜け出したのだった。程なくして優奈は目を覚まし、適当に追い出してから博人は興奮冷めやらぬまま就寝。今日に至るのであった。

「あいつ、絶対鈴華さんの体でオナニーしてるだろ……」

そう考えながらイライラを募らせているとだんだんと教室に入ってくる学生が増えてきた。しばらく入り口から流れ込んでくる学生たちを眺めていると、ようやく待ちわびた鈴華の姿が見えた。

今のところ特に変わった様子もなくいつも通り前の方の席に座り、鞄からノートや筆記用具を取り出し始めた。しかし少しすると何かに気付いたのか手を止め、困ったように周囲を見渡し始めた。

そして振り向いた鈴華と博人の目が合う。

「――!」

知り合いを見つけた鈴華は安心したかのように表情が和らげると、席から立ち上がって博人のいる後ろの席へとやってきた。

博人は鈴華の意図が分からず緊張の面持ちで向かってくるのを見つめていた。

やがて彼女が目の前にやってきた。

「ごめん米原君。」

「な、なに……?」

何を言いだすか身構えていると予想外の言葉が飛び出した。

「消しゴム貸してもらってもいい?」

「……え?」

「持ってくるの忘れちゃったみたいなの。予備があればでいいんだけど、借りてもいい?」

「あ、ああ!もちろん!ほら、2つ持ってるから1個使っていいよ。」

「ありがとう!講義が終わったら返すね!」

なんだ、と博人は心の中で落胆してしまう。

早速あの悪霊が何かを仕掛けてきたと思ったのに期待を裏切られ体から力が抜けていくのを感じた。

「あ、それと……これ!好きな時に読んで欲しいな。」

手渡されたのは四つ折りにされた小さなメモだった。言われるがままにそれを受け取ると鈴華は「誰にも見せないでね!」とだけ言い残して自分の席へと戻ってしまう。

「何が書いてあるんだ、これ?」

好きな時に開けていいと言われたのだからすぐに開けてみることにした。

四つ折りを二つ折りに、そしてもう一度開いてその中身を確認する。

そこには可愛らしいピンク色の文字でこう書かれていた。

―昨日測ったらバスト84、ウエスト60、ヒップ86のEカップでした♡ 谷間のところに黒子があってすごくえっちなカラダだと思います♪―

とんでもない内容が飛び出てきたことに驚き博人は慌ててメモを閉じる。

周りに見えたら何を思われるか分からない。

(あいつ!何を考えてるんだ!)

抗議の意志を込めて鈴華の方に視線をやると、鈴華はずっとこちらの反応を観察していたようで目が合うや否や、胸を大きく張りながらにこやかに小さく手を振ってきた。

(自慢のつもりか!)

間違いない。あいつが憑いている。

昨日の晩からずっとか、さっき取り憑いたのかは分からないが今この瞬間、鈴華の肉体はあの悪霊に支配されているのだ。

その事実に博人は言い様のない興奮を覚える。

だが期待とは裏腹にそれ以降鈴華は特に変わった行動を起こすようなことはなく、講義はいつもように始まり、何も起こらぬまま終わってしまった。

強いて行動があった箇所を言うなら教授の質問に難なく答えていたくらいか。だがそれは普段の鈴華でも同じことだ。

チャイムが鳴り、学生たちがゾロゾロと教室から出て行く。

(結局授業中は何もおかしなことはしなかったな、あいつ)

生殺しにされた気分になりながらふと鈴華がいた席を見やるといつのまにか姿がなくなっていた。

どこに行ってしまったのかと周囲を見渡していると――。

「誰を探してるの?」

「うわあ⁉」

突然後ろから声をかけられ大きな声を出してしまう。慌てて振り返るとそこには鈴華が手を後ろに組んでこちらを覗き込んでいた。

「お前っ!いつのまに!」

「ふふ、びっくりさせちゃった?授業中ずっと背中に視線を感じてたよ。そんなに私のこと好きなの?」

「お前がこんなのを渡すからだろ!」

「私のスリーサイズを知れて嬉しかったくせにぃ。気になったから大学の授業というものを体験してみたけど、"私"の頭が良いのもあって思ってたより退屈だったわ。脳から知識を吸い上げちゃえば簡単なものね。もう飽きちゃったからとりあえず、残りはサボっちゃおっか♪このカラダに"俺"の魂を馴染ませることも出来たことだし……米原君ももっと楽しいこと、したいでしょ?」

普段の鈴華なら絶対にズル休みしようなどとは言い出さないだろう。だが今の彼女にとって大学など無価値に違いない。中身はとうにこの世のルールに縛られる存在ではないのだから。

大学をサボり2人は近くのカラオケにやってきた。部屋に監視カメラは設置されておらず、扉にのぞき窓もない上に遮音性も高いのでよっぽどのことがない限りは中で何をやっても外部に気付かれることはない密室。

一部の学生の間ではヤリ場としても有名な場所だった。

「昨日フラれたばかりなのにまさかここに鈴華さんと来ることになるとは……」

「記憶によると私もここに来るのは初めてみたい。前に一度彼氏に誘われたけどいまいちここの印象良くなくて断ったみたいね。」

「ということはようやく鈴華さんの中で一番目になれたものができたな。気分がいい。」

「私本人の意識はないのによく言うわね。あなたが会話してるのは"本当の私"じゃないことはちゃんと分かってる?」

「でも、これから"本当になる"んだろ?」

博人は鈴華の肩に手を回し、まるで恋人であるかのように抱き寄せた。鈴華も少し驚きはしたものの、それを受け入れた上でブラウスの首元の襟に指を引っ掛け、ニヤニヤと笑みを浮かべながら引っ張ってみせた。

ブラに押し上げられた豊満な胸の谷間が露わになる。

「私のこの大きなおっぱいの奥にある心を作り変えるのだもの。今までがどうであろうと、これから植え付けられる感情や思考が私にとっての"本当の気持ち"になるのよ。」

「くく、そうか。それにしてもいやらしい顔の鈴華さんもそそるな。」

博人の言葉に鈴華の表情ほんの一瞬だけ硬直した。彼女は少し考えるように間を置いた後、何かを掴んだのかこう答えた。

「その褒め方、今の私は嬉しくないみたい。」

「ん?なんでそんなこと分かるんだ?本人の意識がないんだろ?」

「脳を掌握してるから、意識がなくても反射的に拒絶信号が発せられればすぐに分かるの。あなたのことは嫌いではないようだけど、性的で見られるのは好きじゃないようね。そのあたりも矯正しないといけなさそう。」

鈴華はそう言ってブラウスの裾に手を掛け持ち上げてしまう。

その薄いベールの向こうから表れたのは黒のレースのブラジャーに包まれ、たぷんという音が聞こえてきそうなほど見事なボリュームを誇るおっぱいだった。

「おお、で、でけえ…服の上からでも結構あるのは分かってたけど、まさかここまでとは…鈴華さんは着痩せするタイプだったのか。それにお前、これ俗に言う勝負下着じゃねえか。ちょっと透けてるしエロすぎんだろ。あの鈴華さんがこんな下着を持ってるなんて…」

「へへ、すげえだろ?部屋をいろいろ探索してたら出てきたんだ。どうも友達に半ば無理やり買わされたものらしくてな。誰かに見られるのが恥ずかしいからって一度も使わないまま下着の引き出しの奥に隠すように入ってたんだ。ま、本人の記憶を覗いちまえばどこに隠したって意味はないんだけどよ。せっかくだから俺が代わりにこのカラダで試着することにした。」

腕を組み、その上に乗せた胸を自慢げに揺すってみせる。

ぷるぷると震える白い乳房と黒いブラジャーのコントラストがなんともいやらしい。

あまりのエロさに博人は堪らず生唾を飲み込んでしまう。

「な、なあ…触っていいか?こんなもの目の前でぶら下げられたら我慢なんて無理だ。」

「いいぜ?俺は昨日先に楽しませてもらったからな――ってうおいっ!いきなりがっつくなよ!別に逃げたりしねえって!あ、あんっ!」

許しを得るや否や博人の両手が鈴華の豊かな乳房に襲いかかる。

男の手にも収まりきらないほどたわわな果実は、博人の思うがままに形を変えながら、ぐにゅぐにゅと扇情的に踊り続ける。


「す、すげえ……なんだよこれ。手に吸い付いてくる……!これが女のおっぱいなのかよ!何時間でも触ってられる自信あるぞ。」

「はうっ!は、はは、童貞丸出しかよ、んんっ……!あ、でもやっぱり人に揉まれるのが一番気持ちいい、な……おっぱいの快感に集中できる……んふっ、んんっ!」

鈴華は目を瞑りながら胸から発せられる心地いい電機信号に身を任せている。

指を胸に沈みこませる度、鈴華から甘い吐息が漏れ出す。

「はっあ、きゃんっ!うっ、ふっ、ブラの上からでも、乳首に指が当たると気持ちいい……意外と愛撫がうまいじゃねえか。おかげで少し勃ってきちまったぞ。」

「余裕そうだな……こちとらたださえ必死なのに鈴華さんの口で『勃った』って言われるだけで勃起が止まんねえよ。」

「へえ……ふふっ、ホントだ。ズボンがはち切れそうになってるね。そんなに私のおっぱいが気持ちいいの?嬉しくないけど嬉しい。ほら、触ってあげる。」

そう言って鈴華は手を伸ばすとズボンの上から怒張したソレを優しく撫で上げた。

たったそれだけで博人は熱いものが込み上げてくる感覚に襲われる。

「ぐっ!それはやばい……!」

「にひひ、情けない顔だなあ。それで本来の私があなたを好きになると思ったの?いいことを教えてあげる。薄々分かってはいたと思うけど、私はもうとっくに処女じゃないのよ?初めては高校2年生の時に圭吾に告白された1週間後に体験してたし、今も2週間に1回はセックスしてる。私達は愛し合ってるの。あなたに入る隙なんてどこにもなかったのよ、お馬鹿さん。」

「ぐうっ!お前……!なんでそんなことを……!」

「別に、ただ現実を知って欲しかったの。それでどう?悔しいでしょ?圭吾が憎たらしいでしょ?私が誰かのモノになっていることが許せないでしょ?そのみっともない感情を、全部私にぶつけて。このカラダに覚え込ませて。じゃないと、私の心は永遠に圭吾に奪われたままよ?」

「うぅっ!そんなの認めるかよ!鈴華さん……いや、鈴華は俺のモノになるんだ!」

激情に駆られた博人が鈴華をソファへと押し倒し、その長い髪がクッションの上に広がる。

しかし、それに鈴華は驚く様子はなく、むしろ満足そうに目を細めていた。

(くくっ、挑発成功♪さあ、お前の欲望を思う存分この女にぶつけるんだ。その方がコイツの肉体も当てられて思考を弄りやすくなる。)

自らブラジャーを上にずらし、重力にも負けずその美しい形を保っている巨乳の頂きにある桜色の乳首を披露する。

それを目の前にした博人は盛りのついた犬のようにますます息を荒げていた。

「はぁ……はぁ……!そうやってエロい体で誘いやがって……お前が、悪いんだからな。どうなっても知らないぞ……」

わずかに残った博人の理性からの最終警告。

だが鈴華の体に乗り移った悪霊はそのわずかな理性すらも拭い去るように耳元で囁いた。

「いいよ……私の全部を――めちゃくちゃにして♡」

それ以上の言葉は不要だった。

博人の手が両胸を覆い、口は勢いよく片方の乳首にむしゃぶりつく。

たちまち鈴華の身体は全身にピンク色の信号を走らせた。

「ああんっ!あっ、あはっ♪すっげ、それ気持ちイイ!あっ、ンッ♪背中がゾクゾクして、勝手に浮いちまうッ!♪声が出ちゃう!はぁああんっ♪ふふっ、イイ、イイよぉ♪米原くんっ、私すっごく気持ちよくなっちゃってる!圭吾以外でこんなに感じるの初めてなの!♪ふぁああんっ♪」

されるがままに投げ出した両腕がびくっびくっ!と跳ねる。

誰の目から見ても、鈴華の身体が感じているのは明らかだった。

イヤイヤするように顔を振ってはいるが、顔は気持ち良さで蕩けてしまっており抵抗しているというよりは、全身で溢れ出す快感を表現しているかのようだった。

それを見てさらに昂ぶった博人は一旦胸を愛撫するのをやめ、腰周りのフレアスカートに手をかけた。

「ぁっ♪そこは――」

ダメ、と言う前にスカートは脱がされてしまう。

モデルのようにすらりとしているのに、付くべきところにはちゃんと女性らしく肉の付いた両脚が晒される。ブラジャーとお揃いの黒いレースの下着は、クロッチの部分がすっかり濡れそぼっており更に黒い染みを作っていた。

生地が吸収しきれなくなった愛液が、その艶かしい太ももを伝ってソファにも広がり始めていた。

「こんなに濡らしやがって。そんなにここを弄って欲しかったのか?」

博人の指がクロッチに触れ、くちゅりと音をたてる。

「ひぁっ!♪うんっ、うん!おっぱいを好きにされてたらソコもきゅんって切なくなっちゃって……♪自分で触らなくても分かるくらいに下着がぐしょぐしょになっちゃったの……♪こんなの初めて……カラダがもっと、もっとって悲鳴を上げてる。お願い米原くん、私のこの疼きを鎮めて……!」

「当たり前だ。お前は俺の女だからな。こっちも、気持ちよくしてやるよ!」

「あっ――あひぁああうっ⁉♡」

突然、びしょ濡れの下着の上からクリトリス摘まみ上げられ鈴華は堪らず嬌声上げた。

不意打ちだったこともあり全身を震わせた挙句、プシュッと少し潮を噴いてしまう。

「はひっ、ひあっ♪ああぁ〜♡ちょっ、ちょっと待ってくれ……これは想定外だ……今のだけで軽くイっちまった……♡お、おい、何脱がせてるんだ。待てって言ってるだろ、おぃひぃいいあああっ‼♡きゅっ、急に舐めるなぁ!♡ま、まれっ!ま――あひぃいいいんんんっ‼♡♡」

制止に聞く耳を持たなかった博人は股の間に顔を埋め、直接秘所を舐め始めたのだ。止めどなく溢れる愛液を舐め取るように、割れ目に沿って念入りに舌を這わせていく。

腰をガクガクと震わせ、鈴華は思わず舌を突き出しながら仰け反ってしまう。

「あー♡あー♡き、気持ちイイ!♡おかしいっ♡こんなのおかしいっ♡こんなに淫乱なカラダが、あるなんて……!♡ヤバっ!イッ!イクッ!♡よねはらく、んっ‼あっ!アッ!♡ひろとくぅん‼♡♡イクゥッ‼♡♡」

ビクンッ‼と限界まで鈴華の腰が持ち上がった。

そして――

「あああああアアンンンッ‼‼♡♡♡」

ダムが決壊するかのように背中から崩れ、先程とは比較にならないほど大量の潮を噴き出す。

そしてあまりの光景に呆気を取られていた博人の顔にその大半が掛かってしまう。

気が付けば、眼前に広がっていたのは服を肌蹴させたまま愛液に塗れたソファの上で虚ろに全身を痙攣させる鈴華と、ズボンの中でいつのまにか射精していた自分の下半身だった。

「俺が、これを……?」

ようやく頭に上っていた血が引き冷静さを取り戻した博人はベタベタになった顔でふやけてしまった両手の指を見つめる。

そして平静を取り戻した途端、全身の倦怠感とズボンの中の気持ち悪い感触が博人を襲った。

「うぅ、何やってるんだ俺は……こんなのみっともないじゃないか。」

羞恥心と虚しさに苛まれる博人。

だがそんな彼とは裏腹にこの結果を祝福するように力なく全身を投げ出している鈴華から耳に酷くまとわりつくような笑い声が漏れ始めた。

「くふっ、くふふふっ♪すごい、すごいよ博人くん。私をここまで気持ちよくするなんて……おかげで思ってたよりこのカラダと馴染んじゃった。」

ゆっくりと上半身を起こし、AV女優顔負けの妖艶な笑みを浮かべる。

「どういう、意味だ?」

「私の心はともかくカラダは俺に完全に隷属したってこと。普通はここまでしないんだけど、どう言えば分かりやすいかな。うん、そうね。こういう時に頭が良いと助かるわ。要するにその気になれば、このまま一生鈴華として生きていけるくらいにこの肉体が俺の魂を受け入れたってこと。誰にも俺の存在を気付かれず、鈴華としての人生を過ごす。あぁ……このカラダならそれも悪くないなあ♪私、すっかり気に入られちゃった。んっ♪」

未だに快楽の余韻が残っている胸と乳首を弄りながら鈴華は楽しそうに悶える。

「ちょっと待て!それは話が違うだろ!」

「くふふ、そんな必死な顔しなくても冗談だから大丈夫よ。悪霊もひとつの肉体に居座る気はないみたい。世の中にはまだまだ犯しがいのある女性がいるんですって。だから約束通り、ちゃんとあなたへの好意は私のなかで植え付けられていってる。」

「ほ、本当だろうな?」

「悪霊が言ったでしょ?意味のない嘘は付かないって。ふふっ、博人くんって本当にからかいがいがあるね。安心して、ここまで馴染んだなら、思考を書き換え終えるまでの間、あなたにもっと面白いことしてあげられるんだから。」

現状を説明し終えたのか、鈴華は立ち上がると「どこにしまったかな、あれ」と小さく呟きながら持ってきた替えの衣服をバッグから取り出し着替え始める。

博人は悪霊が何を企んでいるかは分からないまでも、それが途轍もなくぶっとんだことなのだろうというのは本能的に理解していた。

翌日。博人は鈴華、正確には鈴華に憑依している悪霊ととある駅で待ち合わせをしていた。例の「面白いこと」を見せる準備ができたのだと言う。

だが待ち合わせの時間になっても鈴華らしき人物が現れる様子はない。

呼び出された側の博人は訝しげに周りを見渡すもやはり周囲にいるのは数人のサラリーマンと可愛らしい女子高生だけだった。

「ん?」

よく見るとその女子高生がこちらを見つめてニコニコと笑みを浮かべているではないか。

勘違いを恐れた博人は再び自分の周りに他の人がいないか確認してしまう。しかし、彼女の視線の先にいる人物は自分しかいなかった。

(やっぱり俺を見てる……?)

学校帰りだろうか。

ブレザータイプの制服に身を包んでいる彼女の胸は程よく膨らんでおり、プリーツスカートから覗く白い太ももと膝上丈のロングソックスの食い込みがなんとも眩しい。手には学生鞄を持っており、肩の辺りで切り揃えられたミディアムヘアが太陽に照らされ美しい艶を放っている。

まさしく美少女と形容するのに相応しい容姿であった。

自分に用があるのか聞いた方がいいのか悩んでいると、こちら様子を見かねたのか女子高生の方からローファーをコツコツと鳴らしながら近付いてきた。

「お兄さんこんにちは!さっきからずっと見つめて待ってるのにどうして声をかけてくれないんですか?」

こちらを覗き込み上目遣いで見つめてきた女子高生。当然顔がぐっと近くなる。その幼いながらも端正な顔立ちに博人は見惚れてしまうのを恐れ咄嗟に目を逸らした。

「ひ、人違いじゃないかな?君みたいな女の子は知り合いにいないし……」

「本当に私のことを知らないんですか?よく顔を見てくださいよ博人先輩。誰かに似てないですか?」

「へ⁉」

教えてないはずの名前を呼ばれた博人は目を丸くしながら彼女の方を振り向く。

吸い込まれそうなくりっとした瞳を見つめていると記憶の中で似ている人物が1人だけ思い当たった。

しかし、それはありえないとすぐさま頭の中で否定する。その人に妹はいないはずだ。

「なんで名前を知ってるのかは分からないけど、僕には君みたいな後輩はいないよ。」

「でも心当たりがありそうな顔をしてますよね?」

「君に似ている人は知ってる。けどその人は僕と同い年なんだ。だから悪いけどどう考えても君のことは知らない。」

「まあ、この姿じゃあ分からないのも無理もないですね。大学生の私とじゃ化粧の仕方も違いますし。じゃあこれを見せてあげます。」

そう言ってバッグから妙に見覚えのあるスマホを取り出すと一枚の写真を見せてきた。

どうやら目の前の女子高生の卒アルを撮ったもののようで、バストアップの写真の下には彼女の名前が写っていた。

そしてそこに印字された名前に博人は驚愕した。

「嘘、だろ……っ⁉」

朝倉鈴華。

そこには紛れもなくそう書かれていた。

何度写真と本人を見比べても瓜二つ。信じられないことだが目の前に女子高生の鈴華が立っていた。

「お待たせしました、博人先輩。と言っても私は約束の5分前からここにいたんですけどね。どうですかこの姿?びっくりしたでしょう?」

鈴華はその場でくるりと一回転して見せた。

ひらりとスカートが翻ると一瞬だけ太ももの絶対領域が広がり再び隠れた。

「びっくりどころじゃ済まないぞ……どうやったらそんなことできるんだよ。身長まで変わってるじゃないか。」

「カラダが十分に馴染めばこんなこともできるんです。言ったじゃないですか、ただ取り憑くだけ亡霊と一緒にしないでって。それにしても"私"が高校の頃の制服を取っておいてくれてて良かったです。おかけで再現度100%のJKコスプレが完成しました。」

まさか肉体までも女子高生のものを再現するなど誰が思うだろうか。

博人はこのまま腰を抜かしてしまいたくなる気持ちをどうにか抑える。

「面白いこととは言ってたけど、まさかここまで飛ばしてくるとは……こんなの予想できないぞ。」

「驚いてもらえて何よりです、博人先輩。じゃあ、早速行きましょうか。」

「そう言えば聞かされてなかったな。一体どこに行くんだ?」

ここまで来ればもう聞かずにはいられない。

女子高生の鈴華の肉体を使ってどこに行こうというのか。

「え?そんな決まってるじゃないですか。――私の家ですよ。今日は家に誰もいないんです。だから今ならパコパコし放題なんです。今日は一日、女子高生の私と濃厚セックスの日です!」

「……そんなことだろうと思ってたよ。」

口では呆れた素振りを見せつつも、鈴華の清楚な雰囲気に似合わず卑猥な言葉を連呼された博人のムスコはジーンズの中で窮屈そうに膨らんでいた。

「うん、やっぱりこの頃の私も美味しそう。これはモテて当然って感じですね。」

鏡の前に立ち、制服でいろんなポーズを決めながら肉体の一人品評会を開いている鈴華をよそに博人は初めて鈴華の部屋に入れたことに感動していた。

「すげえ、これが女子大生の部屋、それも鈴華の部屋なのか……」

「今は女子高生ですけどね。我ながらシンプルな部屋ですけど清潔感は大事にしてます。昨日オナニーしたあと掃除するのが少し面倒でした。」

「お前あの後も鈴華の体で遊んでいたのか。」

「今は私が鈴華なので自分のカラダで何をしようと問題はないです。これもあなたのためなんですしね。今の私、頭の中の書き換えがだいぶ進んでてあなたのこと結構好きになっちゃってるんですよ?」

鈴華は後ろに手を組み、恋する乙女のように上目遣いで博人を見つめる。

「そうなのか?お前がずっと憑きっ放し正直だから分からないな。」

「そうですよね。でも今の私ならあなたを見かけただけでもドキッとするくらいには好感度が上がってます。彼氏がいるのにいけない女ですね私は。そう感じるようにされてるんですが。」

「ならもう憑依を解いても問題ないってことじゃないか?俺のことを好きになってくれてるんだろ?」

「流石に圭吾先輩を裏切るほどじゃないですよ。私だって良識のある人間ですし他の人が気になり始めたからといって浮気をするような性格じゃないのはあなたも分かってるんじゃないですか?」

「それもそうだな。」

でなければそもそも鈴華のことを好きになっていなかっただろう。

彼女の誠実さが博人にとって大きな魅力に感じられたからだ。

「だからまだ足りないんです。私を何回もめちゃくちゃにして、カラダだけじゃなくて心も完全に掌握しないと。でもあなたも大学生の私ばかりだと飽きるかと思ったので、今日は既に言いなりになってるカラダを少し弄って女子高生に戻って楽しませてあげようという結論に至りました。オトナの私もいいですけど、美少女の私もエロくないですか?」

言いながら鈴華はスカートをたくし上げ、その艶やかな太ももを見せつける。

「確かにエロい太ももをしてるな。女子高生の鈴華は。」

「やぁん、博人先輩のえっち♪私のスカートの中に釘付けじゃないですか。視線だけでアソコがぞわぞわしてます。」

「女子高生の鈴華はそんなことを言ってたのか。」

「いえ、言わせてるだけですよ?可愛い顔でこういうことを言えば博人先輩が喜ぶと思ったんです。」

鈴華はあっさりと答える。

清廉な性格は子供の頃から変わっていないらしい。だからこそ今の彼女の言動に興奮を覚えるというものだ。

「先輩、私、あなたのことを心の底から好きになりそうなんです。どうか私をもっと深くあなた色に染めてください。」

「ああ、任せろ。」

ゆっくりと彼女に近づき、制服の上から胸を揉み始める。

触られるや否や鈴華もぴくぴくと肩を震わせた。

「んふぁ……先輩……私のおっぱい気持ちいいですか?私はすごく気持ちいいです……大学生の私ほどは大きくないですけど、それでも揉み応えはあると思うんです。」

「ああ、少しだけ手から溢れる感じ最高だ。昨日触ったのと比べると少し弾力が強い感じだな。」

「んんっ、まだ大きくなる最中なので、張りはあると思います。んふぅ……やっぱり揉まれる感覚が堪りませんね……ホント、女のカラダはズルいですよ。男と比べて気持ちいいところが多いし快感も比べ物にならなくて、んあっ、人によって感じ方も違うんです。これだから、んんっ、憑依はやめられないんです。んはぁ……♪」

「それで、さっきから甘い吐息を漏らしてるけど女子高生の鈴華の体に入った感想はどうなんだ?」

手のひらいっぱいに広がる柔らかな感触を堪能しながら、試しに尋ねてみる。

「今までのトップ5に入るくらい感度がいいです……んうっ!あっ、それ、指でカリカリされるのいいです……ふぁん!ひゃわ……あぁ、カラダが興奮して乳首が固くなっていくのが分かります……」

「……というかお前、これ明らかにブラしてないよな。手のひらの中に突起が直に伝わってくるぞ。」

「ふふっ、この張りの良さならいらないと思ったので♪実際形は崩れてないんですよ?ほら。」

ブラウスのボタンを3つ4つ外し胸元を開いてみせると、淡いピンク色の乳首がぷっくりと膨らんだ見事な張りと形の胸が登場した。

「すごい……こんなに綺麗なのか。」

「見てるだけでいいんですか?目の前に女子高生のおっぱいがあるんですよ?」

悪霊は挑発するように鈴華の胸を下から持ち上げて揺らす。桜色の突起が線を描きその軌道を博人の視線がつられるように追う。

唾を飲み込む音が聞こえると手が震えながら近づいていき、さも誘蛾灯に誘われるがごとくそのふたつの膨らみに触れると、大きく指を広げた両手で包み込んだ。

「あっ♪手のひらに先っぽが当たって気持ちいいです……♪」

「うおぉっ、信じられない。まるで手に吸い付いてくるみたいだ。」

鼓動が早くなるのを感じながらも昨日の経験を経て少し余裕が出てきた博人は胸を優しく揉み始めた。むにむにと指を押し込んでみたり下からたぷたぷと揺すってみたり、指の間に乳首を挟んで転がしてみたりと様々な方法で刺激を試みる。

すると目に見えて分かるほど鈴華の表情が蕩け、瞳が潤んでいくのが分かった。

「はぁ……はぁ……んぁ、あぁん……昨日はあんなにがっついてたのに……んあっ、なんで今日はそんなに優しく揉むんですかぁ。冗談抜きでもうだいぶ気持ちよくなってきちゃいました……はあっ、んっ♪」

気持ちよさに顔を歪ませながら首を反る鈴華。

そのうっとりとした顔に気を良くした博人は右手では胸と乳首を同時に刺激したまま、物欲しそうに勃起しているもう片方の乳首に口を近づけ啄ばみ始めた。

「ひゃあっ♪あ、ちょっと、それ、ずるいっ!同時っ、甘噛み、気持ちいいっ!♡はぁあ゛っ♡ダメですっ……それ以上おっぱいを気持ちよくされると♪演技どころじゃなくなりますっ♪あんっ!♪こらっ、ここぞとばかりに舌で転がすなぁっ♪あっ、やばっ、軽くイ……クッ‼♡んんん゛っ‼♡♡」

小刻みに跳ねる全身につられようにぷるぷると震える胸を直に感じ取った博人はゆっくりと口を乳首から離し鈴華の顔を見上げた。

口から涎を垂らし、甘い吐息を漏らしながら潤みきった瞳で熱っぽくこちらを見つめている。

「んぅ♪……胸だけでイっちまったじゃねえか……お前のおかげで口の周りもおっぱいも下もびしょ濡れだぞ……完全にカラダのスイッチ入っちまって……ふぅっ、ぅン♪」

よほど気持ちよかったのか垂れた唾液がブラウスにまで滴り落ち染みを作ってしまっている。無論、下着もとうに大洪水状態となっていて生地が受け止めきれず溢れ出した蜜がベッドシーツを濃く染め始めていた。

「今のお前の格好、エロすぎるな……完全にアダルトビデオのパッケージだ。」

「あんな偽物と一緒にするなよ……こちとら興奮しすぎて本気汁漏らしてるんだぞ……あぁもう我慢できねえ。挿れてくれ、アソコが疼いて仕方ない……」

その桃尻を持ち上げ、使い物にならなくなった下着に指をかけると、太ももからずり下ろし足を抜いて脱ぎ去ってしまう。そしてスカートをも脱いでしまうと見せつけるように脚を広げてアソコを露わにした。

分かっていたことだが、そのヒクついた秘裂からは大量の愛液が止めどなく漏れ出していた。

「こんなの見せられて、放っておくわけにはいかないな……。」

応えるようにズボンとパンツを脱ぎ、博人は己の怒張した肉棒を披露した。

「入れるぞ。いいか?」

鈴華の体に負担をかけたくないという気遣いからか、あるいはその行いを正当化するためか、博人はその華奢な肉体に覆い被さりながら確認する。

だがそれもあくまで形式的なもの。挿れるつもりで構えていた博人だったが、そんな彼に予想外の答えが返ってきた。

「え?私は嫌に決まってるじゃないですか。圭吾先輩以外のものを受け入れるなんて。」

「……え?」

突然梯子を外された気分に陥る。

ここまできてそれはないだろうと博人は眉をひそめた。

「でも――。」

鈴華は博人の背中に手を回しながら続けた。

「何度もイカせられ続ければ、そんな考えも私の中でちっぽけなものに変わるかも知れませんね、ふふふ。」

暗に入れろと言われたと理解した博人は胸が軽くなったような笑みを浮かべると、ゆっくりと鈴華の濡れそぼった秘裂に肉棒を挿入した。

抵抗は、なかった。

「はぁあああっ♡」

背中を持ち上げながら鈴華が身悶えた。

満たされる感覚がよほどお好みのようだ。博人の方も中の絡みつくようなヒダにこれまで感じたことのないような締め付けを与えられていた。

「うっ、これはオナホとはワケが違うな。」

「うっひ♡んんっ♡やっば、これだけでイケそう、だ♡あ、あんっ⁉♡お、おい、動くなら動くって言え♡」

「だってこんなの動かないわけにはいかないだろ。気持ち良すぎて腰が止まらねえ。」

鈴華の抗議を無視して腰を振り続ける。

最初こそ不服そうだった鈴華も快感に負け、次第に身を任せていった。

「あっ、あっ、あっ♡ああっ!♡ああ゛っ!♡や、やっぱりだ♡彼氏のより大きいっ!♡奥までズンズンくるぅ♡!はあああっ!♡」

「ほらな!あいつより俺の方がいいに決まってる!俺がお前の想い人に相応しいんだ!」

教え込むように博人は何度も腰を打ち付ける。

その度に鈴華が嬌声を上げ、交わった性器からばちゅばちゅと卑猥な水音をたてる。

「あっ♡あっ♡ああんっ♡はああんっ♡ああ堪まらねえ♡こんなに感度のいいカラダは久しぶりだっ!んはああっ!♡♡今のところ、もっと突いてくれっ。多分Gスポットだ♪」

「ん?ここか?」

言われるがままに腰のアングルを変えながら思い当たる箇所を探っていると、奥の方にコリっと感触が違うところを見つけた。

その箇所をばつっと突いた瞬間、鈴華の腰が勢いよく持ち上がった。

「かはっ……っ♡っ!♡」

腰が持ち上がったまま、お尻がぷるぷると震えている。

どうやら目当ての場所が見つかったようだ。

「ここがアタリのようだな。」

「はひっ、はひっ♡やっ、ばい♡一瞬目の前が真っ白になった……♡」

あまりに強烈な快感に気をやっていた鈴華だったが、しばらくすると息を上げながらもどうにか返事できるくらいに思考能力を取り戻したようだ。

「ほら、休んでる暇はないぞ。」

「っ♡ちょっ、ま゛っ♡これはまずいっ♡んん゛ン゛ンぃいっ♡」

目の前で乱れる鈴華の姿に気を大きくした博人は息を吐く暇すら与えず、再び責め立てるようにGスポット目掛けて抽送を繰り返す。

コツ、コツ、コツと弱いところ突き上げられ鈴華は両手を投げ出し、打ち上げられた魚のようにひたすら全身を跳ねさせるだけの存在になりつつあった。

喘ぎ声も快感が積み上がっていくにつれて鬼気迫ったものへと音色を変えていく。

「んおっ、おっ、おおっ♡おおおっ♡」

「くくっ、獣みたいに鳴きやがって。せっかくの美少女が台無しだな。ほら、さっきから構って欲しそうに一生懸命揺れてる胸も弄ってやるよ。」

そう言って左手では腰を押さえたまま、右手で鈴華の胸を鷲掴みにした。

ぐにっぐにっと乳房をこね回しながら、指の間で尖った乳首を転がすことも忘れない。

「んほおおおっ♡おっ、おっ♡んんんおおおっ♡もうむりっ……もうむりれすぅ♡これ以上きもちよくされたら……このカラダ、もどれなくなるっ♡圭吾とのセックスで満足できなくなるぅっ♡あなたのおちんちんを覚えちゃうのぉ♡」

「なんだ、急に怖気付いたのか?」

腰を止めることはないものの、悪霊のらしくない反応に眉をひそめた。

「ちがうっ♡そうじゃなくてっ、わたひと同調しすぎて、心が屈服しそうになってるのがわかるのぉ♡怖いっ!怖いけど気持ちよすぎてわけがわからにゃいの♡ああ、気持ちいい!♡きもちいいきもちイイキモチイイッ‼♡♡圭吾のことが好きなはずらのにぃ♡あなたのことがそれよりももっと好きになっていっれる♡たすけて!お願いゆるひて!♡わたひがっ、わたしの心に入ってこないでっ!♡あ、ああアあ゛あ゛ッ♡はいられた♡入ったッ!♡ダメっ!そこはっ!♡わたしのっ‼ンアあアアあ゛ッ‼♡♡」

鈴華の心の侵略は順調に進んでおり、大きな壁を乗り越えつつあるようだった。

その証拠に彼女のカラダは大粒の汗を浮かべながら危険と思えるほど激しく痙攣を続けており、涙を浮かべる顔の口元からは涎を垂れ流していた。

「はっ!はっ!すげえ、すげえ!こんなに乱れる女の子なんて見たことない!オラッ、さっさとイケッ!早く俺のモノになれ!」

角度を変え体位を変え、鈴華の精神を崩落させるべく激しく責め続ける。

パン!パン!パン!と延々と腰を打ち付ける音は止むことなく、鈴華の喘ぎと淫靡なデュエットを奏でる。

「くうっ!すげえ締まりだっ!も、もう出るっ!」 


「んおおお゛っ!♡♡お、おほおお゛っ‼♡♡けいごっ!たすけてっ!♡♡わたし、わたしわたしわたしぃいい゛っ‼♡♡ンハァアあ゛あ゛ーーッ‼♡♡ひろとのことが大好きになっちゃぅうう‼あなたよりもずっと!♡あなたなんかよりもずっとぉ!♡♡イッ、あ゛ッ‼♡♡ダ、メ――♡」

イキたくない――

鈴華がそう叫ぶことはなかった。白濁したものが、彼女の思考を覆い尽くしたからだ。

ズドンッ!と子宮が熱い何かに貫かれたように錯覚する。

「あ゛ッ――♡」

一瞬の思考の空白。そのすぐ後を途方もない絶頂の波が襲った。

「んんン゛ああああアアアアあ゛あ゛あ゛ーーーーーッ♡♡♡‼」

身体が痺れる。キモチイイの奔流が全身を駆け巡る。それ以外に知覚できるものは今の鈴華になかった。

堪らず潮を噴き、大量のラブジュースが昨日洗濯したばかりのベッドシーツに掛かる。

だがそんなことはもはやどうでもよかった。

彼女の心は、別の何かに浸食されこの状況にすら幸福を見出していたのだから。

「ひろとぉ……すきぃ……♡」

うわ言のように呟いた鈴華はそのまま意識を手放した。

「これは、どうしたものか……」

目の前に広がる惨状。自分が作ったものと分かっていてもさすがにやり過ぎたと引いてしまう。

ぐちゃぐちゃの制服。ベッドの上には汗と涎と愛液に塗れ、アソコから精液を溢れさせながら放心してしまっている鈴華。この場を誰かが目撃すれば完全にレイプ現場と勘違いするだろう。

ベッドサイドに腰掛け、頭を抱える。

「このタイミングで親が帰って来たりしたら……」

そんな心配をしていると隣鈴華の身体がピクリと動いた。

どうやら意識を取り戻したらしい。

動いた反動からか秘裂から精液を零しながらゆっくりと起き上がる。

「んぅう……あ〜、カラダが重い……徹底的に犯してくれたなちくしょう。」

すっかり乱れてしまった制服とミディアムヘアを特に気にする様子もなく、鈴華はだるそうに目を擦る。

「起きたか。あまりの状態だったから目を覚まさないかと思ったぞ。」

「いやあ、気持ちよすぎて本当に逝くかと思った。危うく成仏するところだったぞ。」

「お前に限ってそんなことありえないだろ。俺はむしろこの部屋の状態の方が心配だ。これはさすがに家族にバレるだろ。匂いとか尋常じゃないぞ。」

「んー、それは心配ねえよ。」

思っていた以上にあっけらかんとしている悪霊。

何か気付かれない策でもあるのだろうか。

「だっていざとなったら俺が憑依して頭を弄ればいいだろ?俺たちが今この女にしているみたいに。」

「……そういえばお前は、そういうやつだったな。悩んで損した。」

安心か虚無感からか、博人はがっくりと肩を下ろした博人。気を取り直すように鈴華に尋ねた。

「で、進捗は?」

「うーん!85%ってところか。お前に夢中にはなっているけど元彼に対する愛情もちゃんと残ってる。どっち付き合うかと迫られたら相当困るだろうな。私、博人先輩のこと好きですけど彼氏がもういるので……でも、でも!って感じです♪」

「じゃあ次で最後か。」

「はい♪さっきすっごく気持ちよくしてもらえたおかげで心の中心には侵入できました♪後もう一回ドギツくイカせてもらえれば……私はあなたの色に染まります。ふふっ、楽しみですねえ♡」

嬉しそうに胸に手を添える鈴華。

もはや彼女の心が悪霊の手中に堕ちつつあることを表現しているかのようだった。

「博人先輩への愛情は私に奥底に根付きました。ならば元々あったものは、もういらないですよねえ?」

意味深な笑みを浮かべる鈴華の言葉をすぐさま理解した博人は、これまでにないほどの黒い感情に襲われた。だが、もう抗おうとする理性などどこにも存在しない。鈴華を手に入れるためなら悪魔にでも魂を売る覚悟はできていた。

「ああ、“余分な物”はさっさと捨てるに限る。」

「う、うぅん……」

朝倉鈴華は全身に気怠さを覚えながら薄暗い部屋で目を覚ました。

「ここは……?」

シーツがぐちゃぐちゃになったベッドから起き上がり、辺りを見回すとここが自分の部屋だということは分かったが、一体どれほど寝ていたのか、どのような経緯でここに寝付いたのかが思い出せなかった。

意識を失う前の記憶がおぼろげで、何をしていたのかが判然としない。

「今何時……」

とりあえず時刻だけでも確認しようと壁掛けの時計を見やると、夜9時を過ぎようとしていることが分かった。

「え⁉」

ふと視線を下ろすと自分が何も身につけていないことに気付く。まさか全裸のまま寝てしまったというのか。よく見るとベッドの周りには高校時代の制服や下着が散乱しており、どうも汚れているようにも見える。いくらなんでも自分の行動の結果とは思えない状況に鈴華は背筋を強張らせた。

「目が覚めた?」

追い討ちをかけるように後ろから声をかけられた鈴華は反射的にシーツを掴んで全身を包み、声がした部屋の隅を振り返った。するとそこには見知った人間が暗がりの中で静かに立っていた。

「博人、くん……⁉」

これには流石の鈴華も驚嘆せざるを得なかった。こんな夜中にどうして大学の同級生が自分の部屋にいるのだろうか。

もしや何かされたのか。記憶が飛んでいることに関係あるのだろうか。

そんな疑問が頭の中で浮かぶ。

「その様子だと、ちゃんと鈴華さんみたいだね、安心した。」

「……どういう意味?」

この現場にこの男。

本当なら今すぐにでも110番通報するべきなのかもしれない。だがなぜか不審者でしかないはずの彼に対して、そんな行動を取る気にはなれなかった鈴華は素直にその言葉の意味を問う。

本人も夢にも思わないだろう。自分の身体が数日もの間自分ではない何かに操られていたなどとは。

「すぐには理解できないと思うけど鈴鹿さんの意識は今まで眠らされてたんだ。君の意識にとっては数日ぶりの目覚めのはずだよ。」

「数日……?私数日もここで寝てたの?」

彼の言葉が真実なら身体が気怠いのは説明が付くものの、人間というのは一度も目を覚ますこともなく数日も眠ることなどできるのだろうか。困惑する鈴華の表情を読み取った博人は説明を続けた。

「鈴華さんの意識だけはね。身体の方はいつものように学校に行ってたし食事もしていた。今お腹が空いてないのはそのせいだよ。」

「言ってる意味が分からない。それじゃまるで私の身体だけが勝手に動いてたみたいじゃない。」

「理解が早くて助かるよ。だってその通りなんだから。鈴華さんの身体は悪霊に乗っ取られて好き放題使われてんだ。僕もいい思いをさせてもらったよ。」

「っ‼」

鈴華は背中が震え上がるのを感じた。やはり想像は間違ってなかったのだ。

鈴華は怒りと恐怖で声を上げる。

「私に、何をしたの……‼」

「君の身体を奪ったのは僕じゃないよ。鈴華さんの身体の中にいる、そいつだ。」

「え?……はいはい、ようやくご指名もらえたか。何もしないのは退屈だったぞ……っ⁉っっ⁉⁉」

突然ひとりでに動き始めた口を手で押さえ目を白黒させる鈴華。まるで自分の身体がハッキングを受けたかのようだった。

「今の、なに……?」

「君の中の悪霊だよ。わざわざ鈴華さんの意識を起こしてもらった上で大人しくしてもらってたんだ。どう?これで信じてくれた?それとももっと証拠いる?」

まだまだネタはあるといった様子で博人は投げかける。鈴華は認めたくないという拒絶反応を必死に抑えながら渋々この状況を現実のものと受け入れた。

認めた上で今できるのは、この状況を打破する糸口を見つけ助けを呼ぶことだけだと理解した。

「あなたたちの目的は何?私を、どうしたいの?」

「期待通り鈴華さんは聡明だね。怖いはずなのにその感情に支配されることなく冷静に現状を飲み込もうとしてる。そんな君だから僕は好きになったんだ。他の女とは

違う、美しさと高い知性を兼ね備えた僕の理想の女性(ひと)。

やっぱり僕は君が欲しい。」

鈴華は思い出した。あの屋上でのことを。

そして理解した。

この男は自分との恋を諦めきれなかったのだと。

鈴華は思っていたよりも悪い気はしなかったが、博人のためにも言わなければならなかった。

「……こんな風に無理強いしても人の心は動かないよ。」

「くふっ、あはははっ‼」

しかし返ってきたのはどこか虚しくも聞こえる嘲笑だった。

「ははっ、自分で気付いてないのか。可愛いね。」

「な、なにが言いたいの……?」

「目つきが情熱的だし、顔が紅いってことだよ。もしかして僕の事、気になってる?」

「っ‼」

鈴華の身体を完全に掌握した悪霊が、数日間博人と彼女の身体を味わうことで体内に堆積された記録。

鈴華の意識が目覚めてしまった以上、それらは確実に所有者である彼女の意識に流れ込み、混じり合う。

混じり合ったそれは鈴華の中へ植え付けられた博人への好意として形成されようとしていた。

目が離せない。そんなはずはないのに胸がうるさいほど高鳴って、身体が熱くなっているのが分かってしまう。

「いいんだよ、素直になっても?女が男を好きになる。何も変なことないじゃないか」

「そんな、ちがっ、違うの……!」

耳から入る博人の言葉。その音を、響きを、何もかもを心地よく受け止めてしまう。身体が勝手に博人という存在を受け入れようとしているのが分かる。そしてその感覚が、徐々に自分の意識そのものにも影響を及ぼそうとしていることも。

このままではいけない。

早くこの場を離れないと自分が自分でなくなってしまいそうだ。

「逃げ場なんてないよ。例えこの部屋から出られたとしても君は自分の足で戻ってくることになる。悪霊が君を連れ戻してくれるのさ。」

「こんな……こんな監禁紛いのことをして恥ずかしくないの⁉どうしてこんなことを平気でできるの⁉」

目に涙を浮かべ、少しでも博人から離れようとベッド上で後ずさる。

怒りと嫌悪感でいっぱいのはずなのに、彼への好意が心にこびり付いたかのように消えない。

それがたまらなく恐ろしかった。

恐怖に怯え震える鈴華に博人は微笑みかける。

「鈴華さん、僕は君のことが好きなんだ。君のためならどんなことだってするし悪魔にだって魂を売るよ。僕は君と一緒になれればそれでいいんだ。」

「や、やめて……」

嬉しいと思ってしまった。ときめいてしまった。憎たらしいはずの男の顔を見ているだけで思考が鈍化してしまうのだ。

偽物の、植えつけられた感情だ。それが分かってるはずなのに鈴華は拭い去ることができない。

それを理解してか博人は鈴華へと近づき、その柔らかな頬を撫でながら耳元で囁いた。

「綺麗だ。」

「あっ……。」

怒りと嫌悪が一瞬で消し飛ぶ。今の鈴華にとってそれほどに破壊力のある言葉だった。

瞳を覗き込まれその奥の何かをがっちりと掴まれている気がした。

「鈴華さん、君は僕の全てだ。だから教えて、君にとって大事な人は誰?」

心が蕩ける。

嬉しい。好き。もっと触って欲しい。抱きしめて欲しい。甘い思考が鈴華の脳を埋め尽くす。この人となら添い遂げてもいいとさえ思えてしまう。

「……圭、吾」

頭の中が博人だけで埋まろうとしたその時、別の誰かの顔が浮かんだ。

長いこと忘れていた。いや、忘れさせられていた大切な人の顔が。

その愛しい笑顔が鈴華の理性を繋ぎ止める。

「やっぱり、まだそいつが君の中にいるんだね。最後まで邪魔しやがって。」

不快感を露わにした博人は鈴華を包むシーツを剥ぎ、彼女を押し倒すと胸を乱暴に鷲掴みにした。

「けどそれももう終わりだ!鈴華は今日から俺の物なんだからな!はははっ、あいつの悔しそうな顔が目に浮かぶなぁ!」

「きゃっ、やめて!博人くん‼」

「とっくに心は許してるくせに抵抗するフリをしないでくれると嬉しいなぁ。さっきから下の名前で呼んでくれてるくらいなんだしもっと乗り気になっても良いんじゃないか?」

「えっ?あっ……!」

言われるまで気付きすらしなかった。そう、つい先日まで彼のことは名字で呼んでいたのだ。それがいつのまにか、自然に下の名前で呼んでいた。そのあまりの違和感のなさに鈴華は更に震える。ますます自分が自分でなくなっていくのを実感する。

「お願い……これ以上私を変えないで……あなたの言うことを聞くから……彼女にでも何でもなってあげるから……これ以上『私』を取り上げないで……!」

「鈴華、ダメなんだよそれじゃ。君の心にはまだあいつが巣食ってるじゃないか。あの害虫を取り除かない限り、僕は君の1番にはなれない。それじゃ意味がないんだよ。だから、君の心は『僕一色にする』んだ。」

そう言って博人は鈴華の胸を優しく刺激し始めた。手のひらいっぱいでその溢れんばかりの巨乳をぐにぐにと揉みしだき、指の間で乳首を転がす。

「あんっ!や、やぁん……!♪やめて……ゆるし、て……あっ!ふあっ!♪なんで……こんな……んんっ♪」

少し弄られただけであっという間に身体のスイッチが入ってしまう。博人に触られているというだけで自動的に発情してしまうほどに鈴華の肉体は彼に溺れてしまっていたのだ。

自慰や圭吾とのセックスでもなかなか感じることのない快感を前戯、しかも胸だけで味わってしまっていることに鈴華は驚きを隠せない。

「鈴華、気持ちいいだろ?今までこの綺麗な胸を何度もめちゃくちゃにしてきたからな。どこを触れば気持ちよくなるかは手に取るように分かるさ。」

両方の乳首を摘み上げられ、絞るように指先でコリコリと抓ったり押しつぶされる。それだけで腰が勝手に跳ねる。

「あっ!ああ゛っ‼♡ひゃっ、アッ‼ひょれ、ダメっ!あはァ!♡」

「くくっ、ほらね。君のカラダは喜んでくれてる。でもまだまださ。僕ならもっと気持ちよくしてあげられるんだ。」

博人は右手で鈴華の胸を弄んだまま、左では脇腹やへその周り、太ももを指先でそっとなぞっていく。

もはや乳首やアソコだけでなく、全てが性感帯と化していた肉体が刺激への返礼のごとく末端から中枢へ、ゾゾゾゾ!とピンク色の電気信号を脳へと送る。

「ふぁあああ゛あ゛あ゛っっ‼♡♡ひぁっ!はひっ、はひっ!♡ひょれ、だめ、クセになっひゃう……♡」

「何でダメなんだ?こんなに気持ちいいのに。」

聞くと同時にきゅっと乳首を強めに摘まむ。応えるように鈴華のアソコからプシッと愛液が漏れ出す。

「ひあ゛っ‼♡これ以上は、これ以上はぁ……好きになっちゃう……頭のなかが好きでいっぱいになっちゃうのぉ……♡それはだけはダメなの……それだけはぁ……」

「さっきも似たようなことを言ったけど好きになるのがいけないこと?この世界で一番美しい感情じゃないか。」

蕩けきった鈴華の表情を見てすかさず左手をびしょ濡れのアソコに滑り込ませ、上と下の特に敏感な性感帯を刺激しながら籠絡するように囁く。

「んあああっ!♡な、なんで?そんなの決まっれ……あ、れ……?なんで、だっけ……?ひゃ、あっ、あああああっ‼♡股のあいだっ!入り口をなぞっちゃ……!んはぁあああんっ‼♡」

「僕のこと、好きって言ってほしいな。」

「んあっ!あっあっあっ!♡ひろとくんっ、ひろとくんっ!♡あぁ、ああっ‼♡」

「ほら、言って(イッて)。」

タイミングを見計らい、くちゅりくちゅりとアソコの入り口を弄っていた指先でその上にあるクリトリスの皮を剥いて押し潰した。

ビクンッ‼

鈴華の全身が落雷に打たれたかのように大きく持ち上がった。

仰け反る首。爪先立ちになる足。

肉体の至るところが歓喜に打ち震えているのが目に見えて分かった。

「あひぃっ⁉♡ひぃあああああ゛あ゛あ゛っ‼♡♡♡すきっ!しゅきぃ‼♡♡ひろとくんっ‼しゅきぃいいい‼♡♡」

ブシッブシッと先程よりも多い量の愛液が溢れでる。それを左手で受け止めた博人はゆっくりと口角を吊り上げた。

遂に突破したのだ。彼女の最後の心の障壁、その薄皮一枚を。

とうとう彼女は植え付けられた自分への好意を認め、心の中へと受け入れたのだ。

ならば残るは最後の工程のみ。

息を乱しながら肩を上下させる鈴華に微笑みかけながら博人は告げた。

「ありがとう鈴華、すごく嬉しいよ。お礼にこれまでに感じたことないほどの快楽を感じさせてあげる。元彼のことなんて綺麗さっぱり忘(わす)れるくらいにね。だから今はお休み……次に目覚めるときには、君は僕だけのものだ。」

「えっ……ぁ……」

その言葉を聞いた瞬間、鈴鹿はすっと全身の力が抜け意識を失いゆっくり目を閉じた。

だが、すぐに目を覚ます。先ほどまでの可憐な雰囲気は消え失せ代わりに悪だくみをするようににやりと笑みを浮かべた。

「へへっ、うまくいったな。これでお前への好意は本物としてこの女の心に定着した。もうこいつには何が自分本来の感情で何が偽物かさえも分からない。もう一度このカラダをイカせてくれたら、この女にとって一番大事な感情でさえも俺の思いひとつで180度反転させることだってできる。」

「そうすればようやく俺の願いが叶うわけだな。」

「ああ、今この女の脳内は今の男への感情とお前への感情でせめぎ合っている。その天秤のように拮抗した状態を一気にお前の方へと傾ければ……私はもうあなたのことしか考えられない雌に生まれ変わるの♪ねえ、もういいでしょ?あなたがねちっこく愛撫してくれたせいでここが疼いて仕方ないの。」

仰向けの状態から起き上がり膝立ちになると、とろりと無色の液体が溢れ出ているソコを指さした。

「エロいなその恰好。なら最後はお前が上になってくれ。俺は下からお前がよがり狂う姿を見ててやるからよ。」

言って鈴華と同じように全裸になった博人は己の男根を大きくそそり立たせ、その濡れそぼった秘裂に照準を合わせた。それに応えるように潤滑油を塗るがごとく亀頭にくちゅくちゅと準備万端の女性器を擦り付けて滑りをよくしていく。

「んぁ、あっ♪あぁ、こうやって……自分で自分をとことん焦らすのも悪くないな……あぁ~、おマンコがきゅんきゅんって欲しがってるのがよくわかるぜ……」

「鈴華の口からおマンコなんて言葉が聞ける日が来るなんてな。この間の俺なら想像も付かなかった。」

「へへ、これも憑依の醍醐味ってやつさ……んっ♪これくらい愛液まみれにしたら十分だろ……入れるぞ、うっ……んんんん゛ん゛っ‼♡」

抵抗など全く感じられなかった。

いとも簡単に鈴華のナカに入り込んだ男根は一瞬にして熱い肉襞に飲み込まれた。

ぱつん、と鈴華の大きめのお尻が博人の下腹部の上に乗る。

「ふっ、ううんんっ♪見ろよ、全部入っちまったぞ?この腹の中を満たされる感覚は何回経験しても堪んねえ、なあんっ♪こらっ、いきなり小突くなっ♪んっ、んっ、んっ♡」

「ちょっと動いてるだけなのにずいぶん気持ちよさそうだな。」

「んはっ♪ただでさえこっちは乳首と同じように感覚もビンビンなんだ……ちょっとの刺激でも目の前がちらつくくらいに気持ちよくなっちまうんだよ。」

「そうか。なら強めに突いたらどうなるんだ?」

そう言って鈴華の腰を掴み、勢いよく突き上げた。

パンッ!と小気味のいい音とともに鈴華が鳴く。

「おふっ!♡やべっ、初めて突かれたぞそんなところっ!こんな奥まで……届くなんて、んあっ♪」

「へえ、あの男のブツじゃ一番奥まではいけなかったのか。くくっ、やっぱり俺の方があいつより相性いいじゃないか。」

気を良くした博人は同じところ何度も何度も突き上げる。その度に表情が快感で歪む。

「んあっ、あっ、あっ、ああっ♡ああんっ♡ははっ、子宮がお前にノックされて喜んでるぞ博人♪ああ、本気でこのカラダはお前のことが好きになったみたいだ。記憶の中のセックスでもこんなに気持ちよかったことなんて一度も……んぃいいっ‼♡」

鈴華から甘い悲鳴が漏れる。

力強く一番奥を突くものからGスポットを様々な角度から執拗に擦るものへと博人の抽送の仕方が変化したのだ。

「あっっ、ああッ!♡ あっあっ、あっッ♡、ああっ!♡そこッ、一番弱い、ところッ♡あはアッ♡ちゃんと当たるように、腰が勝手に動くぅ♡あッあッあアァアアアッ♡♡」

弱点を突かれてもう声を抑えることのできなくなった鈴華は口の端から涎を垂らしながら悶える。

幾度となく繰り返される上下運動に大きな胸は意思を持ったかのようにばるんばるんと揺れ博人を視覚的に楽しませる。

「ははっ、これこそが絶景だな。乱れる美女ほど美しいものはない。」

「あぁ~っ♡はぁ~♡ハァ゛~っ♡このカラダがスケベすぎるんだよッ!こんなに快感が深い女久しぶりすぎて、あぁっ!堪んねえ‼」

鈴華の肉体のあまりの感度の良さに歓喜した悪霊は、自ら目の前の豊満な胸を揉みしだき始めた。

「この巨乳もエロすぎるんだよっ!はあんっ!♡脂肪の塊のくせに神経はちゃんと張り巡らされてて、触ればちゃんと気持ちよくなるようにできてやがるッ!あああんっ♡くそっ、手に収まらねえッ!」

邪悪な笑みを浮かべながら鈴華は自分の胸を激しく弄ぶ。手で大きく円を描いたり、下からぎゅっと絞り上げたりと普段の彼女ならまずしないような愛撫を続ける。

「はうぅううんっ♡く、くふうっ!♡♡ひ、ひひっ、女のおっぱいってやっぱりいいよなァ♪柔らかくて揉んでるだけで興奮出来て……おまけにてっぺんには、んひゃあうっ‼♡♡快感スイッチがふたつも付いてるぅっ♪これだから憑依はやめられねえんだ!」  

「お前を見てると、俺よりも生き生きしてるように思えて仕方ないな。生きてる人間が死者を羨むなんて変な話だ。」

「ははっ!死んでからの方が実際生きてる頃と比べ物にならないくらい楽しい思いをしてるからなっ!ありがとよぉ!この鈴華ちゃんその中でもトップクラスにいい女だ!お礼にしっかりとお前色に染め上げてやるぜ、んあああああアアアっ‼♡♡」

突如として鈴華がこれまでで一番大きな嬌声を上げて背中を反った。博人が今までの攻めに加えてクリトリスを片手で刺激し始めたのだ。

「ア゛ッ‼♡ああア゛ア゛ア゛ア゛ッッ‼♡♡おっぱいもっ!乳首もクリトリスもおマンコもっ!全部ッ!きもぢぃいいい゛い゛ッッ‼♡♡あ゛ッア゛ッア゛、ア゛ア゛ッ‼♡♡あたまのなかが、まっしろになるぅ!すずかの脳がっ、むぼうびにっ!い、いまッ、いまなら、入れッ!ア゛ガッ‼‼」

明らかに鈴華の様子が変わった。

ただただ快楽に貪っていた彼女の全身がガクガクと震え始め、半ば白目を剥きながらビクンッ!ビクンッ!と腰が跳ねている。

まるで脳そのものを犯されているかのように。

「ア゛ー、ア゛ー、ア゛ッ‼ふ、ふふふ……掴んだ。私の中心、私の心とその中身……全部俺の手のひらの上……くふ、ふふふっ♡」

「鈴華……?」

一瞬、鈴鹿の意識が戻ったのかと思った。

それほどまでに彼女の雰囲気が変わったのである。

「なぁに?博人くん。」

「本当に、鈴華なのか?」

「くふっ、そうね……鈴華だけど鈴華じゃないわ。なんて言ったらいいのかしら。私の心は今悪霊とひとつになってるの。まさに一心同体。私の意思は彼の意思だし、彼の思考は私の思考。もっと分かりやすく言うと、人格を丸ごと乗っ取られちゃってるってこと♪あぁ、私の心の中ってこんなに澄んでるのね。今時珍しいくらいに清くて誠実な心……これを今からあなただけで塗りつぶすんだけどね♪」

「鈴華を完全に支配したってことか?」

博人の問いに鈴華はただただ笑みを深めるだけだった。もうこれ以上の言葉は不要ということだろう。

鈴華が再び腰を上下し始める。

「あっ♡あっ♡あっ♡博人くんっ!博人くんっ!好きっ!大好きぃ!世界中の誰よりも、圭吾みたいなどうしようもない男なんかよりも!ずっとずぅ~っと!」

「ッ!す、鈴華ッ!俺も君のことが大好きだ!君さえいれば他の何もいらないっ!」

「本当?嬉しいっ!私、こんなに幸せを感じるのは初めてっ!あんっ!♡あっ、あっ、んひゃあああんっ!♡ひろとくっ!またクリをっ!♡んああああッ!♡」

鈴華は自分に言い聞かせるように博人への愛の言葉を叫ぶ。博人もそれに応える。

何も事情を知らない人から見れば、幸せいっぱいの大学生カップルに映るだろう。だが、現実は身勝手な男と、その欲望によって歪められ、作り変えられようとしている女がいるだけだ。

ばちゅばちゅと水音がさらに大きくなる。

「んおお゛っ!♡博人くん、ひろとくんひろとくぅんっ!♡私、わたひぃ、イキそ、うっ♪背中がゾクゾクって♪でっかいアクメの準備をしてるのが分かるのぉ♡」

「ああ、イケっ!俺の目の前で盛大に!俺の女に生まれ変われぇ‼」

両手で腰を掴み、欲望を最後の一滴まで注ぐかのように腰を打ち付ける。

ふたりを繋ぐ結合部はとっくに大洪水になっており、溢れた愛液はベッドの上に新しい染みを大きく作っていた。

「あひぃ♡えぁ♡あっ♡ああぁ♡ぉあ、あ゛♡あっ!ひもひっ♡ぁぉ…あああ゛あ゛あ゛ァ゛ア゛ッ‼♡」

「くうっ‼鈴華っ、俺、もう……っ!」

「あっっ、ああッ!わたひもっ、イッグッ♡あっあっ、あっッ、こころのなかをおかざれでッ!けいごへのきもちが消え……あ゛あ゛っ!♡あッあッあアァアア゛ア゛ッ!!♡♡きて、来てぇえええッ‼♡♡」

鈴華がお尻を大きく持ち上げたのを見計らい、博人も腰を引く。そして、全く同じタイミングでお互いの性器を打ち付け合った。

ズプンッ‼

阿吽の呼吸というべきか、同時にふたりがぴったりと重なる。そしてその直後、ふたりの世界が真っ白になった。


「んはぁおおっ⁉ああアアッ♡あぐっ、んはあああああああああぁ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ‼♡♡」

舌を突き出しながらアヘ顔をキメ、はしたないアクメを晒す。彼女が生きてきた中で出したことも無いであろう獣の咆哮。それが合図となり大量の潮を吹く。

「うううっ‼」

同様に強い絶頂感に包まれた博人が彼女の中へと白濁液を放出する。ドビューッドビューッと自分でも信じられないほどの量の精液が鈴華の子宮を満タンにする勢いで注ぎ込まれた。

「んおっ、おうッ♡ふぅッ、ふぅううッ♡ひぅううんッ‼♡♡」

それを一滴残らず取り込むように彼女の膣内が脈動する。

その状態から1分が経とうとしていたにも関わらず絶頂の快楽は引くことなく、脳からの停止指示を受けていない秘唇からは止めどなく愛液が溢れ出し続けていた。まるで彼女の快楽中枢のリミッターが壊れてしまっていたかのようだった。

永遠とも思える絶頂の後、途方もない倦怠感が全身を襲うも、彼女の気分は今までにないほど晴れ晴れしていた。

「あっ、あぁ~♡はぁ~♡寝取られ完了ぉ♡」

その言葉を最後に、鈴華は糸の切れた人形のように博人の胸へと倒れこんだ。

鈴華の柔らかい胸が博人の胸板をふにゅうと包み込むように覆いかぶさる。その心地のいい感触を楽しみながら、博人も疲労からゆっくりと意識を手放した。

「……くん……ろとくん」

誰かの声が聞こえる。

その澄み渡るような女性の声と柔らかい何かに包まれているような感覚を覚えながら博人はゆっくりと目を開く。目の前に飛び込んできたのは、見事な大きさのおっぱいだった。

「博人君!よかった!目が覚めた?」

その白いおっぱいの先にあったのは先ほどまで犯しに犯していた女性、鈴華の顔だった。

すっかり髪は乱れていて、口元には垂らした涎の跡が残っている。視線が合ったことに気付くと彼女はにこりと人懐っこい笑みを浮かべた。

「ふふっ、どうしたの?ずっと見つめて。」

「鈴華……なのか?」

「うん、そうだよ。今はちゃんと自分だけの意思で話してる。あの悪霊はもう私の中から出て行ったみたい。数日も居座ってたんだから本当なら家賃を取りたいくらいなんだけどね。」

鈴華は少しだけ恨めしそうにため息をついた。だが心の底から怒りを感じているわけではないようだ。まるで始末の悪い友人に呆れているときのような、親愛の情すら感じられた。博人は不思議に思いながら顔を動かすと、ようやく自分が膝枕をされていることに気付いた。人生初めての経験に思わず反射的に起き上がってしまう。

「おわっ!いつのまに俺⁉」

「もしかして嫌だった?そうだよね、私いま汗と……その、えっちなおつゆまみれだし……」

「全然嫌じゃない!むしろ嬉しい!けど鈴華、なんで俺に膝枕なんか……」

「……?一番好きな人に膝枕くらいするものじゃないの?」

鈴華は首をかしげながら二重瞼でぱちぱちと瞬きをする。

彼女にとって当然の行為を問われて逆に驚いているようだ。

「一番、好き……?僕のことが?」

「他に誰がいるの?」

「け、圭吾のやつと付き合ってるじゃないか。」

「圭吾……?ああ、彼ね。もういいの。もう彼のことを考えても何も感じなくなっちゃったから。というかあなたがそう仕向けたんじゃないの?私の心を変えてまで。」

予想に反して鈴華はあれほど愛していたはずの圭吾のことをあっさりと自分の中から切り捨てていた。

それどころか事情を知っているのかニヤニヤと笑みを浮かべている。

「ぜ、全部知ってるのか?」

「うん、さっきイッたときに悪霊(かれ)が教えてくれたの。

その上で私は何の迷いもなくあなたのことが大好きだと言えるんだけど、どういう意味か分かる?」

分からないはずもない。これまで自分が悪霊の力を借りてでも成し遂げたかった願いが、今目の前で形を持って現れてくれている。脳がそれを理解してから数秒経って、ようやく実感として認識することができた。

手が震える。ありえなかったはずの夢が叶った瞬間だった。

「鈴華っ!」

「きゃっ!ちょっと、いきなり抱きつかなくても!もう、さっきはあんなに強気で私のことを犯してたのにまるで別人みたい。」

「本当に、本当に俺のものになったんだな!あいつじゃなくて、俺だけのものになったんだな!」

震える声で確認する。

鈴華はフッと笑みを零すと優しく博人の背中に手を回した。彼女の柔らかい胸がふんわりと博人に当たる。

「うん、私の心はあなた一色に染まったよ。すごいね、悪霊の力って。本当にあなたのことしか見えなくなっちゃった。まるで圭吾に向けていたはずの気持ちを全部博人君に持っていかれちゃったみたい。ねえ博人君、あの時の返事……もう一回させてもらってもいい?」

この時を待っていた。あの屋上で止まった博人の時間が再び動き出す。

「……ああ、いいよ。むしろお願いします。」

「ふふっ、ありがとう。それじゃあいくね。……博人君、私のことを好きになってくれてありがとう。あなたの気持ち、すごく嬉しい。そして遅くなっちゃったけど、私もあなたのことが好きです、世界中の誰よりも。だから……こちらこそよろしくお願いします。」

言い終わった鈴華はそのぷるりとした唇で博人に口づけをした。

「順番、おかしくなっちゃったね。キスがセックスよりも後なんて……」

鈴華は少しバツが悪そうにはにかんだ。

そういえばそうだった。

彼女を自分のものにすることに夢中で犯すことしか考えていなかった。

思わず博人も苦笑いを浮かべる。

「これから恋人らしいことひとつずつやっていけばいいさ。やっと一緒になれたんだから。」

「うん、そうだね。」

鈴華は頬を上気させながら、ただただ博人を愛おしそうに見つめていた。

あれから数週間が過ぎた。

鈴華はあの翌日に元の彼氏に別れを告げ、晴れて博人と恋人関係になった。その際に相手も多少は食い下がったようだが決意の固い鈴華に言い負かされたのか、最終的には折れるしかなかったようだ。

おとなしく引き下がるあたり、彼も善人なのだろう。だが博人にはそんなことはどうでもよかった。

気になることがあるとすれば、あの後から悪霊が一度も姿を現していないことだろうか。もしかしたら約束を果たし満足した彼は次のターゲットを求めて他の街に行ってしまったのかもしれない。いずれにせよ、博人は彼に感謝する他なかった。せめて最後に一言だけでも礼を言いたかったとさえ思うほどであった。

(結局魂も何も取られなかったしな。)

そんなことを考えながら博人はスマホを眺める。

今日は日曜日。

鈴華と遊園地に行くと約束したデートの日だ。

運よく今日は快晴。楽しい一日を過ごせそうだ。

期待に胸を弾ませながら駅で待っていると待ち合わせの時間を10分ほどに過ぎたころに鈴華がやってきた。

いつもは時間をきっちり守る彼女にしては珍しい遅刻だ。

白いブラウスにスキニージーンズ姿で現れた彼女は息を切らせながら頭を下げた。

「遅れてごめんね!来る途中でハプニングがあって……」

「大丈夫だよ。でも、何があったの?」

「うん、それがね……歩いてたら急に意識を失ってその後の記憶がないの。というか、今も私自身の意識は眠ってるままで……。」

「え⁉それってどういう……」

「本当に分からないの?」

顔を上げた鈴華がにんまりといやらしい笑みを浮かべていた。それはよく見知った鈴華のものであって鈴華ではない者の表情。その正体に博人はすぐに気付いた。

「お前っ!いなくなったと思ったらまた鈴華のカラダに!何しに来たんだよ⁉」

「へへっ、久しぶりだな相棒。また会えて嬉しいぜ。いやあ、あの後他の女のカラダで遊ぼうと思って何人かに憑依したんだけどよ、どいつもこいつもこのエロボディに比べたら見劣りしちまってよぉ。満足できなくなってまた鈴華ちゃんのカラダに入っちまった。おうおう、相変わらずスケベな乳してるぜえ♪」

ブラウスの上から悪霊は鈴華の胸をぐにぐにと弄ぶ。

そそる光景ではあるが周囲の目がある中では鈴華の名誉のためにも一刻も早く止めなければいけなかった。

「おいっ、ここではやめろ!周りに見られたらどうするんだっ。」

「ああ、わりぃわりぃ。ついついテンションが上がっちまった。これからデートなんだろ?いいねいいねぇ、お熱いねぇ。これは恋のキューピッドになった甲斐があったってもんだ。このこのぉ♪」

悪霊は鈴華の顔でオヤジみたいな笑みを浮かべて博人を肘で小突く。鈴華の整った顔でさえも、その笑みが鬱陶しくて仕方ない。まるで悪霊の本当の姿透けて見えているかのようだった。

「それは感謝してるけどさ!だからっていきなり戻ってこられても困るんだよ。これじゃあデートにならないじゃないか。」

「そうかぁ……俺は邪魔者かぁ。じゃあ仕方ない!また後で戻ってくるわ!デートが済んだらラブホにでも誘って一発ヤラせてくれ!じゃあなっ!」

「おい待てよ!誰も了承なんかしてないぞ⁉」

博人の抗議も空しく悪霊は鈴華の身体から出て行ってしまい程なくして鈴華の意識が目覚める。

「んぅ……あれ?私いつの間に駅に!え、えっ⁉」

記憶を操作すらされていないようで鈴華は突然移動している自分に驚愕する。これはなんと説明したものか、と博人は頭を抱えた。

「はぁ……(あいつにもう一度会いたいなんて考えるんじゃなかった。)」

大きくため息をつきながら、博人は鈴華を落ち着かせるべく説明を始めた。

それを遠めに見ていた悪霊は楽しそうにほくそ笑む。

こうやって人間の日常を弄ぶことこそが彼の娯楽なのだ。

「へへっ、今夜を楽しみにしておくぜ相棒。なんだかんだ長い付き合いになりそうだからな。さぁて、時間まで適当な女を乗っ取ってオナニーでもするかぁ!今日こそいい女が見つかるといいなぁ。」

そう言って、悪霊は宙へと舞い始める。

次に彼の目に留まるのは誰なのか。

それは、彼のみぞ知る。

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