【支援者限定】結婚した元アイドルの人生を奪う話 (Pixiv Fanbox)
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FANBOX限定公開作品『人妻の人生を奪う話(https://gmnt-tsf.fanbox.cc/posts/3450897)』と同様のギミックを利用した作品です。
他人の人生を乗っ取ることで理想の結婚生活を選択するという結婚相談所に迷い込んだ男が、昔好きだったアイドルの人生を奪うという話です。
アイドル衣装でのオナニー、元プロデューサーである夫とのセックス等が含まれます。
これまでの人妻乗っ取り系はまあ結婚していることもあってお互い愛し合っているといったアプローチだったのですが、今回は妻からの好き好きオーラ全開な感じにしてみたかった。
まあ結局いつも通り、ターゲットの記憶や感情も掠め取って、甘々な感じで夫に抱かれる話です。
念のため補足。作中に登場するのは結婚相談所の皮をかぶったナニカです。現実の結婚相談所とシステム等は異なるはずです。
アイドル回りの設定や名称について、参考にした作品はもちろんありますが、明確なオマージュ元等は設定していません。あしからず。
では、以下本文です。
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平日の昼間、買い物のため街を訪れていた時のこと。
ふと見上げた地上数メートル、結婚相談所との看板に気づく。大通りに面しており小綺麗な装いなのだが、存在感がなさすぎる。まるで盲点のように、見えたり見えなかったりするようだった。
なんとなく俺はその名前でウェブ検索してみるが、ヒット件数がゼロ。奇妙なのは、特に珍しそうな名前でもないので類似したサイトや施設が出てきてもおかしくないはずなのに検索結果がゼロという点だった。
怪しい。怪しいが、看板の電灯は点いていて、窓ガラス越しに見えるのはパーティションで区切られたデスクとPC、そして担当者らしきスーツを着た男。
疑問はあるものの、この立地でぼったくり店ということもないだろう。交番もほど近い。最近結婚を意識していた恋人と別れた俺は、ほとんど興味本位でその結婚相談所へ足を踏み入れた。
中で受付をして、会員登録。会費もこの手の施設ではごく良心的だろう価格で追加料金などもなし。なんてことはない、まだ立ち上げたばかりで利用者を増やそうとしている無名の結婚相談所だと思えた。
「うーん……あれ?」
登録されたプロフィールデータを検索していると、突如として画面が一変する。これまでは職業や年収、趣味特技といったそれらしい項目しか表示されていなかったのだが――
「なんだ……『カラダの相性』? それに、これ……夫婦か?」
タブレットの中で新たに現れたのは、一組の夫婦の情報。氏名や住所、顔写真といった個人情報。それだけではなく、夫婦仲の良さ、カラダの相性、実家との関わりなど、まるでなにかの創作作品の設定資料かのような精緻さだった。しかも、膨大な数が登録されている。
結婚相談所だというのに、どうして既婚者のデータが表示されるのだろうか。
画面上部で無機質に並ぶ『乗り移りたい人物を選んで下さい』という文字列に不気味さを感じつつも、好奇心を抑えられず閲覧を続けていると『白井 陽羽《しらい ひう》(旧姓:西野)』という女性のデータを発見する。
「まさか……」
詳細情報を呼び出すと、それはつい先日結婚報告をしたばかりの『西野ひう』という芸名で活動している女優・歌手だった。
彼女は元々、中学生の頃に三人組アイドルグループ<∴パーティクル∵>の一員としてデビューしたアイドルだった。ツインテールや低い身長を前面に押し出した妹キャラとして、グループとともに大きな人気を獲得。
5周年記念ライブを最後に<∴パーティクル∵>を解散し、女優・ソロの歌手へと転向。そして25歳となった今年、アイドル時代にプロデューサーだった男と結婚した。
その経歴、ご丁寧に芸名まで書かれていた。
彼女は俺と同い年。高校生の頃は本気で恋をしていたため、結婚の報せを耳にした時は多少のショックを覚え、結婚を意識するきっかけとなった。
困惑しながらも俺は目を離せない。しばらく操作をしないでいると、画面にぽんとヘルプメッセージがポップアップされた。
――曰く、既婚者の肉体を奪い精神をも掌握することで、理想とする結婚生活を手に入れる――ここはそんなふざけた結婚相談所だったようだ。
表向きはクリーンな結婚相談所を装っていて、俺がトリガーとなるなんらかの条件を満たしたのだろう。受付の人間にこれはなにかと尋ねたら、招かれざる客として何されるかもわからない。
思えば、ここに入る前から数々の違和感があった。本能が告げている。これは本物だと。
好みの相手が居なかったと逃げ帰ってしまえば安全だろうか。場所は覚えたので、もし気が変わったらまた来れば――
「……いや」
俺は元のページにあった選択ボタンを押す。いくつかの確認事項にもチェックを入れていくと、最後には『おめでとうございます。明日の朝から、新しい生活の始まりです。弊社一同、お客様の幸福を心から願っております。よい人生を』との確定画面が表示された。
受付の人間はタブレットを受け取ると、にっこりと頷く。
それ以降のことはあまり憶えていない。何も手につかず、何も身が入らず、このベッドを使うのも最後だとか考えながら眠りに就いた。
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――翌日の朝。俺は――『西野ひう』こと、白井 陽羽になっていた。
「……」
目覚めた瞬間は、俺は完全に陽羽ちゃんと同化していた。いつものベッドで、夫のぬくもりに抱かれ、決まった時間に起床する。隣では、ほとんど裸で夫の晄明《こうめい》が寝息を立てていて――そこで、自分が誰だったかを思い出す。
「……うわ、うわ……」
俺は破れそうなほど心臓を高鳴らせながら、タオルケットに包まれた自分の身体を見下ろす。手入れされた白い肌に、控えめに膨らんだ胸。うっすらと生えた陰毛と、ちんぽなんて影も形もない割れ目。
「……陽羽ちゃんの……あっ、鏡」
夫を起こさないようキングサイズのベッドから這い出て、俺は鏡の前に立つ。
映し出されたのは、かつて俺も恋い焦がれた女の子の裸体。スレンダーかつ起伏の少ない体型や長い黒髪に童顔など、<∴パーティクル∵>時代からほとんど成長が見られない。肌がきれいなこともあって、下手をすれば中学生にすら見られてしまうかもしれないほどだった。
「本物の……陽羽ちゃんだ……声も……」
全てが新鮮なのに、全てが当たり前でもある。男だった俺の感覚と、産まれた時からこの身体で生き抜いてきたあたしの感覚が混じり合っており、それすらも倒錯的でどうしようもなく気分が高ぶっていく。
「陽羽ちゃん……!」
俺はたまらず、自分自身の身体を抱きしめる。
――やはり正解だった。夫ではなく、陽羽ちゃん自身を選んで。
はじめは夫に成り代わろうと考えていたのだが、タブレットに表示されていたボタンをタップする直前に気がついてしまった。陽羽ちゃん自身も選ぶことが出来ることに。
男として陽羽ちゃんの愛を受けたい願望や、陽羽ちゃんを抱きたい情欲はあった。けれども、陽羽ちゃんの身体を自由自在に動かせるのなら、それに勝るものはない。俺は反射的に、陽羽ちゃんを乗っ取ることを選んでいたのだった。
元の陽羽ちゃんから全てを奪ってしまう罪悪感はあったが、それも今はどこかに飛んでいった。なぜなら、陽羽ちゃんは消え去ってなどいない。記憶や感情をも譲り受けた俺は、陽羽ちゃん以外の何者でもないからだ。
「はぁ……はぁ……」
陽羽ちゃんとして馴染んでいくにつれ、俺は率直に言って――オナニーがしたくなっていく。もっと、陽羽ちゃんの身体を確かめたい。
そんな男としての欲望が後から後から湧いてくるが、時計を見るとそろそろいい時間だった。今日は……陽羽ちゃんは休みだが、夫の晄明は仕事だ。
仕方がない。夫が居なくなれば家は一人きり。それからゆっくりと楽しませてもらおう。俺は陽羽ちゃんとしての気持ちに寄せて、どうにかぐっとこらえた。
まずは朝食の準備をしなければならない。いや、これは必ずしも陽羽ちゃんとしての役目ではないのだが、愛する夫のためにそうしてあげたいという暖かな気持ちからくるもの。そして、それに抗う必要はなかった。
俺は夫婦の寝室を出ようとして、全裸だったことを思い出す。脱ぎ散らかしていた黒レースのブラジャーとショーツを拾い上げごく自然に身に着けた後、チェストの上にあった白いルームウェアに着替えてから、ダイニングキッチンへ降りていった。
「おはようございます、陽羽さん」
「おはよ、晄明さん」
朝食を用意していると、パジャマ姿の晄明がやってくる。
彼は陽羽ちゃんよりだいぶ年上の38歳。顔は渋みが現れてきている。それに身長も180cm台とかなりの長身であり、ちんちくりんな陽羽ちゃんと並ぶと父娘に間違えられても不思議ではないほどだ。
その顔にはまだ眠たさを貼り付けており、目は半開きだった。俺はいたずらっぽく笑いながら、晄明のまぶたを指で優しく開いた。
「眠そうだね。会社行ける?」
「問題ありません」
晄明さんこと夫の晄明は丁寧な言葉遣いを崩さない。これは関係性を問わない。彼の性格だった。
まもなく準備を終えた俺は、晄明と一緒にご飯を食べる。
「今日は早いの? またアイドルちゃん達とお仕事? ロケ?」
「今日は事務処理だけの予定ですね。あまり遅くならないかと思います」
「やった。最近時間合わなかったし、夜はゆっくりしようね。絶対だよ」
そんな話をしながら朝食を済ませると、晄明は支度をして仕事へ向かう。きっちりと玄関でお見送りをした俺は、食器の片付けをこなした。
「……さて、と」
一通り家事を終えた俺は、家にある陽羽ちゃんの衣装部屋へと踏み込む。
ここはアイドル『西野ひう』時代、実際にステージで使用したアイドル衣装を保管してある一室だった。
通常、その手の衣装は用意した提供元会社へと返却するのが常らしいのだが、陽羽ちゃんの強い希望でほとんどを買い取っていたようだ。そのせいで出演料などの報酬はほとんど手元に残らなかったらしいが、変に贅沢をするよりはずっと健全だろう。
「ファーストライブの時から……解散ライブの時のも」
俺は歩きながらたくさんの衣装を眺めていく。ほとんどは透明カバーが被せられハンガーで連なっているが、いくつかはトルソーにディスプレイされていた。ファンならこれだけで感涙ものだ。
陽羽ちゃんが所属していたアイドルグループ<∴パーティクル∵>でのイメージカラーはピンク、かつ妹キャラだったこともあって、とにかくポップでキュートな衣装が多い。
「お、これは」
俺は並んだ衣装の中から、<∴パーティクル∵>ファーストライブで着用していた衣装を手に取る。フリルが舞ってリボンが揺れる、まさに魔法少女のようなデザイン。思い入れもあってかなりお気に入りの一着だった。
「……あ、ていうか」
持っていた衣装を体に当ててみて、そのサイズのフィット感に驚き――俺が今その本来の着用者であると思い出す。まさに陽羽ちゃん推しだったのでファン目線になっていたが、その元アイドルは俺自身だ。
「……」
静かにとくとくと、それでいて力強く心臓が脈打っていく。
あの『西野ひう』に、なれる。
俺は迷わず、衣装をワンセット持ち出す。夫婦の寝室へ移動すると、薄化粧をした後ルームウェアからアイドル衣装へと着替えていった。
「……あ、ひう……ちゃんだ」
ツインテールを彩る猫耳カチューシャに、胸元を飾るリボン。ふわりと広がるスカートと、編み上げ柄プリントの白いタイツ。メイクだけは少し異なっているが、些細な問題だった。
「……あー……やばい」
頭に駆け巡るのは、あの日の感動。『西野ひう』としてホールを見渡す景色と、ファンとして客席側でペンライトを振る熱狂。ぼやけて重なるふたつの映像は『西野ひう』の記憶を呼び起こさせた。
俺は鏡の前でひとり、ミニライブを開催する。甲高いアニメ声で歌を歌い、衣装をふりふりと揺らしながら振り付けで踊る。体は今でも憶えており、声も衰えていない。全く色褪せないアイドルがそこに居たのだった。
本人の生ダンス生歌唱を、自分のためだけに。
「今日はひうのソロライブに来てくれて、ありがとー!」
お気に入りだった楽曲を一通り演じて満足した俺は、その場にへたりこむ。
膝を立てて座る俺の目に飛び込んできたのは、テープリボンで結ばれたドロワーズと、タイツに包まれた太ももの隙間。もちろん中は暗くて見えない。
この衣装は陽羽ちゃんにぴったりと合わせて設計され、ライブで激しく動き様々な角度から観られることも前提となっているので、脱げてしまったりずれてしまうことはないようになっている。
「……ダメだけど」
かつて<∴パーティクル∵>を応援していた頃は、純情というべきか愚直と言うべきか、陽羽ちゃんを性欲の対象として見ていなかった。それでも翻るスカートの中には気をひかれ、素肌がさらけ出されていれば目を奪われていた。
するべきではない。一瞬だけためらいが頭にかすめるが、踏みとどまるなく俺はドロワーズを下ろしていく。もはや、陽羽ちゃんの全ては俺の物なのだ。下着ぐらい、大したことではないのだから。
「……あっ、あはは……」
ドロワーズを足首でひっかけるように脱いだ俺は、さらにスカートをたくし上げる。なんなら朝から穿いていてほとんど意識していなかった黒いショーツなのに、今こうしてアイドル衣装では見てはいけないもののように感じられてきた。
「はぁ……はぁ……」
俺の、『西野ひう』の顔には朱が差しており、息も荒い。内股で恥ずかしそうに自ら下着を見せつけている様子は、陽羽ちゃんにとって青春を汚すようで忌避感があり、全身をむず痒くさせる。俺にとっては、陽羽ちゃんらしくないと思いながら目を離せない。
けれども――
「……んっ、晄明さん……」
もし、目の前に夫が、晄明がいるとしたら。晄明に頼まれて昔の衣装を着て、こんなはしたないポーズをとらされているとしたら。
「……や、ダメ……だよ、晄明さん……っ!」
一気に嫌悪感が反転し、被虐めいた悦びへと変貌していく。羞恥と背徳の中、大好きなあの人に求められていると思うと、お腹の中が熱くなっていった。
――晄明さんには、アイドルデビューの直後からずっと恋をしていた。
当時あたしは中学3年生、オーディションから入って社会のことなんか何も知らないあたし達をプロデューサーさんは全力でサポートしてくれた。それに他のアイドルグループの子とか女優さんのお話を聞いて、<∴パーティクル∵>やあたしがどれだけ尊重されているか、大人たちの悪意から遠ざけてくれているかを知った。
グループが解散した後に想いを伝えたけど、プロデューサーさんからは年上の男に憧れているだけだとか、他にいろんな男が居ると説得されて……けど最終的に、3年経っても好きだったら恋人になる、と条件を出してきてくれた。言うまでもなくあたしの気持ちは冷めず、晴れてお付き合いを始めて――あの人は応えてくれた。
「プロデューサー……さんっ!」
あたしは――俺は我慢できず、タイツとショーツに手を潜り込ませる。陽羽ちゃんのあそこは、晄明への愛情と、それを自分のものとして噛みしめる俺の心によってしっとりと濡れていた。
「んっ……っふぁっ! やぁ……あんっ!」
割れ目から染み出した愛液を指先に集めて、クリトリスに塗りたくって刺激する。記憶を探り弱点を責めると、ずしんとした快感が身体に走ると同時に、カメラの前では絶対に出してはいけない『西野ひう』の甘く切ない喘ぎ声が奏でられる。
ファーストライブ衣装を着ているせいで時を超えて蘇った『西野ひう』時代に隠していた淡い恋心は、今叶っている。その喜びは大量の脳内麻薬を分泌して――
「あっ、あっ、にぁっ――あぁっ!」
俺は膝立ちで下着に手を突っ込んだまま、絶頂した。膝から崩れ落ち、床のフローリングに横たわる。
「……はぁ……はぁ……ははっ。陽羽ちゃんの身体でイっちゃった……」
その快楽を比べると、男のものなんか本当にささやかなものだ。あまりに弱い。ここまで気持ちよくはなれないだろう。
けど――それでも、まだまだ上があると陽羽の記憶は語りかけてくる。
「……したいよ……プロデューサーさん……」
陽羽として、ファンの男としていくら興奮するシチュエーションといえど所詮は一人遊び。そう、遊びに過ぎない。晄明とのセックスは、これ以上なのだ。
「……」
――陽羽の記憶をほじくり返した俺は、小さな決心をする。もしかしたらせっかく手に入れた新しい人生をふいにしてしまうかもしれない。けれども、陽羽は――俺はもう止められなかった。
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その夜――
晄明は予告通り早めに帰宅。ご飯を食べた後、先にお風呂を済ませた俺は晄明の入浴中に準備を済ませた。
昼間にも着たファーストライブのステージ衣装に着替え、夫婦の寝室で晄明を待ち構えている。
「……よし」
端的にいえば、晄明に対する恋心の原風景を思い出した陽羽は、夫婦としてのセックスではなく、アイドル『西野ひう』としてプロデューサーに抱かれたいという欲求が溢れ出していたのだ。回春といってもいい。
「……」
けど、それを晄明が受け入れてくれるとは限らない。幻滅されることはないだろうが、大切なものだからと脱がされてしまうかも。
徐々に緊張してくる。それこそ、初めてのライブの時より脚が震えているかもしれなかった。
やがて、晄明の足音が近づいてきて、扉が開いた。
「部屋にいたんですね。少し探しましたよ……っと」
「……」
晄明はばっちりと着込んだ衣装のせいか言葉を失う。何度か目を泳がせたけど、最後はこちらをまっすぐ見据えてから口を開いた。
「急に最初のライブの時の衣装を着られていて驚きましたが……よく似合っていらっしゃいますね。今でも可愛らしい」
「!」
いくつか質問も予想して回答を用意していた。だけど、全て吹っ飛ぶ。
――ああ、あたし馬鹿だったな。晄明さんが、プロデューサーさんがあたしを拒んだり、嫌がる理由なんかない。昔からそう。プロデューサーさんがどんなに疲れていたり大変でも、あたしたちには気を遣ってくれて、いつも可愛いって褒めてくれて。
それなのに、何を怖がっていたんだろう。あたしは感極まって、プロデューサーさんの元へと飛び込んでいく。優しく受け止めてくれて、ぎゅっと抱きしめてくれた。
あたしは半泣きになって、プロデューサーさんの顔を見上げた。
「あのね、あたし今日久しぶりにアイドルの時の衣装を着てみたら、なんだか……その、プロデューサーさんにずーっと恋してるなあって思って」
「ええと、つまり……?」
「……今日、夫と妻じゃなく、昔のこと思い出しながら……アイドルとプロデューサーっていう風に……したいな、って」
「……なる、ほど」
少しだけプロデューサーさんの声が震える。何かを迷っているみたい。
「嫌? えっちな気分にならない?」
「……むしろ、逆ですね」
「――きゃっ!」
あたしはプロデューサーに腕を掴まれて、ベッドに押し倒される。目もギラギラとしていた。こんなの、初めてかも――うん、陽羽ちゃんの記憶を探る限り、ここまで獣になった晄明は初めてだった。
40歳近い年齢だがまだまだ元気で、特別セックスが嫌いということもない。それなのにいつもはもう少し淡白で、陽羽ちゃんから迫って応じてくれるような形だった。
けれども、今は晄明から激しくキスをしてきて、体中もまさぐられる。今までにないほど、興奮しているようだった。
「西野……さん……っ!」
「プロデューサーさん……あっ!」
ピンクの音符柄スカートの中に潜り込んだ晄明は、股間に顔を押し付け匂いを嗅いでくる。昼から手入れはしていないので汗臭いはずなのだが、お構いなしだった。
「……っふ、ぁっ」
晄明は先程、俺のことを『西野さん』と呼んだ。これはアイドル時代の呼び方なので、俺のやりたいことを最大限に汲み取ってくれている模様。
一体どこに燃え上がっているのかはいまだ掴みかねているものの、とにかく性欲をたぎらせている。あとは、身と心を陽羽ちゃんに任せるだけだ。
「あ……プロデューサーさん! ライブで汗かいたので、臭いですって!」
スカート越しに頭を抑えて抵抗しようとするが、敵うはずもない。そもそも全力など出していなかった。セリフも即興だが、女優としても活動している陽羽ちゃんにこの程度の演技はわけもない。
「ちょ、ちょっと……ひっ!?」
ついに晄明はドロワーズやらタイツを下げて、俺のおまんこを直に触れる。それだけでなく、鼻先を当てながらぺろぺろと割れ目を舐め始めてしまった。
「んっ、あぁっ、プロ……っふ」
身体に愛という媚薬が回っていき、骨抜きにされていく。恥ずかしがる演技もおざなりになって、俺はすっかり発情したメスになってしまった。
胸もぴくぴくと震えて、愛撫を欲しがっている。試してみるがステージ衣装という特殊性からずらすことも出来ず、陽羽ちゃんの貧乳では揉むほどもない。厚めの生地の上からさするのが精一杯だった。
「にゃっ! やっ! ん……あっ、あ……」
「……ごめんなさい。ずっと、こうしたかったんです……!」
クンニを止めた晄明は、懺悔するように囁きながら俺の腰を掴み引き寄せる。俺の意識はとっくに夢の中へと放り出されていた。
「……プロ、デューサー……さん……いいよ」
「……西野さん……!」
「あっ――あぁああんっ!」
ずりゅ、とチンポが入ってくる。陽羽のおまんこは晄明のモノにとって非常に狭い。体格差もあって俺はおもちゃのように上下させられる。しかし、離れることはない。俺と晄明は手を繋ぎ、頬を寄せ合い、激しく求め合う。
途中、晄明に持ち上げられて騎乗位となった。かつて観客の前で愛らしく舞い遊んだ衣装が男との情事によっていやらしく、しかし一段と美しく踊る様を鏡というカメラマンがしっかりと捉えていた。
あれが、俺。あんなえっちで優美な女の子が――あたし。
「やっ、ああっ、ダメ、っ! イっちゃう!」
「いいですよ! イって下さい! 中学生なのに無様にイって下さい……っ!」
俺は今、いつか想いを寄せていたアイドルになっている。
あたしは今、いつか想いを寄せていたひとにあの日の姿で抱かれている。
その映像は、俺と陽羽の心は一気に灼き尽くした。
「――イ、っ、ああっあああああぁあっ!」
「く――うっ!」
全身が跳ねて痙攣する。視界がバチバチとスパークして真っ白になる。五感が薄れ快楽すらも切り離されていくなか、不思議とお腹の中だけはくっきりと晄明の精液を飲み込んでいるのがわかる。
やがて急に意識が戻ったかと思えば、再び指先にまで痺れる快感が支配していった。
衣装がシワになるのも体液で汚れるのも気にせず、俺と晄明は折り重なって絡み合っていた。
「はぁ……はぁ……えへへ。すごかったね」
「……もう隠しても無駄なので白状します。あなたのことは、一番最初……オーディションでひと目見たときから好きでした。欲望の対象としてすら、見ていた」
お互いしばらく余韻を愉しんでいたところ、晄明は切々と語り出す。
「それから一緒に仕事をするようになって……実はあなたに好かれていたことも察していました。しかし当時は世話をしてくれる年上という一点だけで惚れていて、いずれ目が醒めると思っていました。この考えも、今のあなたなら、きっと分かるはず」
「確かに……そうだね」
まあ大人として妥当な判断だ。もしも今の陽羽ちゃんが、小学生の男の子に好きだと言われても同じように諭す。
「……今日のこれは、あなたと同じです。出会ったばかりの頃……あなたがアイドルだった頃は、あなたと結ばれる事は絶対に許されませんでした。しかし今、プロデューサーさん、なんて呼ばれたら……少し、我を忘れてしまいました。申し訳ありません」
「そっか……そうなんだ……ふふっ」
つまり、お互い初心に返ったことで、当時から秘めていた思いが爆発したということ。
なんだ。晄明さんも……我慢してたんだ。あたしはずっと気が楽になる。
「いいよ。あたし、なんでもするよ? もう夫婦なんだからさ、隠しごととかなしにしよ。エッチなこともさ。衣装でもなんでも着る」
「……はい」
お互いくすりと笑い合ってから、ちゅっと短いキスをする。
――ほとんど勢いで陽羽ちゃんになったが、何一つ失敗はない。前の未練など些細なこと。
俺は――あたしは、もう陽羽だ。
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「んあっ、ああっ! プロデューサーさん――ああっ!」
「っふ、ぅ……っ! 西野……さん!」
その夜も、あたしはプロデューサーさんとエッチをしていた。あたしの誘惑で歯止めが効かなくなったのか、アイドル衣装だけじゃなく中学の時の制服を着てくれとも頼まれるようになった。今日もそう。
しかも、わざわざ子供っぽい下着やスクール水着まで用意して中学生らしさを演出させるのは中々だと思う。もはやただのロリコンなんだけど、別に子どもが好きってわけじゃないみたいだからよしとしている。
とにかく、晄明さんの要求には全部応えていた。あたしもいつもと違う晄明さん、シチュエーション自体にもすごく興奮している。もうどうしようもない、変態夫婦だった。
――もちろん、陽羽ちゃんではなく俺の影響なのだが。
「んっ……っはぁ……」
「西野さん……」
「んっ」
晄明が俺からチンポを抜くと、どろりと白い精液が溢れ出す。もっと計画的に子作りをしようと晄明は主張していたが、俺がおねだりしたらすぐに避妊はしなくなった。
女として、愛する――いや、恋する男の精を受け止められるのは何にも替えがたい幸せだから。きっと夫としても、愛する妻に胤を打ち込むのは遺伝子レベルでの悦びだろう。
「はぁ……西野さん」
繰り返し呟きながら、晄明ははだけたブラウス、乱れたスカートの俺を抱きしめてくる。ワイヤーの入っていないお子様ブラの上から胸をさすり、脱毛してつるつるのあそこに指を這わせてきた。
「……プロデューサーさん、あたしショックです。あたしみたいな子ども相手に――ひぁんっ!」
「このために、あなたを引き入れたんですよ……!」
今日のプレイは、中学生アイドルを食い物にする悪徳プロデューサー。いつもより荒々しい責めと、下衆なセリフ。ベッドの上でも、現在は女優として活躍する陽羽ちゃんの演技力の見せ所だった。
もし、アイドル時代に手を出されていたら――ある種のレイプ願望めいた倒錯的な思いを胸に、俺は陽羽ちゃんとしての身体を、人生を愉しませてもらうのだった。