【報告】DS Audio Thornを購入しました (Pixiv Fanbox)
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待ちに待ったブラックフライデーです。この日は各種シンセメーカーが大盤振る舞いのセールをするので、毎年の楽しみになっています。
というわけで、ずっと欲しかったDS Audio Thorn(定価28000円)が4800円だったので購入しました。ああ、私このシンセずっと欲しかった、とても欲しかったヾ(:3ノシヾ)ノシ
Thornはちょっと変わった設計思想のシンセです。
作りとしては割とシンプルな減算式ウェーブテーブルシンセなのですが「波形を変形させながらフィルターで削る」ではなく「倍音制御で音を作る」という加算シンセ的な構造になっています。
まず波形を作るオシレータ部ですが、波形を選んだり書いたりではなく「サイン波を基準にどの倍音を出すか」で波形を作っていきます。青い部分は「その倍音の位相」で、ここをいじるとさらに波形が変わります。
下にグラフがいくつも並んでいますが、このコマ間をモーフすることでウェーブテーブルのように波形を動かしながら鳴らすことができるようになっています。
そしてオシレータで作った波形をフィルタで盛り削りして音を作るのですが、一般的なフィルタに加えハーモニックフィルタという「指定した倍音を削るフィルタ」を乗せています。
HPフィルタだと芯が抜けちゃうLPフィルタだとボケちゃう、みたいな事があるのですが、ハーモニックフィルタは帯域ごとに盛り削りしてそれを上手くカバーします。
そしてBalanceツマミでフィルタのかかる帯域を移動させることができるので、目当ての音とちょっと違うなと思った時ここを回せば「イイカンジ」にすぐ辿り着きますし、エフェクタのように使うこともできます。
エフェクタは一般的なものをあらかた内蔵していますが、ここでも「音を歪ませて倍音を増やす」効果のディストーションが音の形を作るメインのように働きます。
結果的に、倍音で波形を作る→倍音を盛り削りして調整する→倍音を加えて効果を付けるという工程になるので、構造的には減算シンセなのに、加算シンセ的です。
さらにオモシロ効果としてグリッチシーケンサというものを内蔵しています。
これはRP(音を粉砕してリピート)、LP(低い帯域の音だけ出す)、HP(高い帯域の音だけ出す)、BT(ビットクラッシャー)、SR(サンプルレート)を次々切り替えながらリズムを作り出すシーケンサです。
同社の作っているグリッチエフェクタTantraのシンプルなやつですね。
さて、シンセの仕組みをある程度知っている方だとここまで聞いて「え、こんな音の作り方じゃすぐキンキンバリバリジャリジャリ耳障りな音になっちゃって、音作りが凄い難しいのでは?」となるのではと思われます。
しかしThornは不思議なシンセで、確かにキンキンバリバリジャリジャリになるんですが、それが耳障りでない音が出てきます。
別のサイトで「毛先が球」と某歯ブラシみたいなレビューがありましたが、実際その通りで、刺々しいのに刺さらない、むしろそのトゲトゲが柔らかくさわさわしてキモチイイ、みたいな音がします。
初めてこのシンセの音を聞いた時、私はそれで惚れました。
聞いてもらうのが一番ですね。4年前にThornを試用した時に作ってみた音です。
エフェクタほぼ無使用でThornの音を抜き差ししているだけなのですが、もうこれだけでキモチイイ。私この音、大好きです。
余談ですが、ComputerMusicMagazineという色々なシンセやエフェクタを付録に付けている雑誌があるのですが、この本を買うと機能限定版のThorn CMがもらえます。
オシレータが3つから2つ、フィルタが2つから1つ、エフェクタがいくつか削られているだけで、売りのハーモニックフィルタもグリッチシーケンサも内蔵しており、Thornの魅力が十分に生きており、使えます。