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 先日描いた「魔界伯爵七男プルプルくん」がそうですが、同人誌にはたまに「コマ割りが無い漫画」があります。

 これは一般的な漫画しか描いたことがない人には描けない…というかどうやって描けばいいのか分からないもので、よく描き方を聞かれます。なので自分の忘備もかねてちょっと解説を。


◇前提

 まずこのコマなし漫画というのは、一般的な漫画が想定するような読者を想定していません。

 このタイプの漫画は商業誌を読み漁り、それでも飽き足らず同人誌に手を出すような変態(褒め言葉)、商業誌レベルの漫画の基本文法から特殊文法まで全て修めているような超絶漫画マニア「読解力オバケ」を対象に描かれます。

 なのでこのタイプの漫画は「読解力のない人でも楽しめるように作る媒体」にはまずありません。読解力オバケが多数なのが前提の同人誌、商業誌なら稀にマニア向け漫画誌にのみ登場します。


◇画面に描かれていない架空の枠線がある

 コマなし漫画には架空の枠線があります。上の画像の赤線で描かれたものがそれです。

 3、4コマめは2コマあるのに絵が1つしかありませんが、これは一般的な漫画なら2コマ使って表現する時間経過を1枚の絵が内包しています。

 このケースでは「こんなハズカシーことさせてタダで済むと思うなぜなよ…?」と言いながらちんちんを握る→「ボクがちんぽシコってるの見ながら前そんな膨らませて、おまえホントヘンタイぜな…っ」と言いながらシコる、という2コマ分を内包しています。

 一般的な漫画の読者ではこの「1コマの中の時間経過が異様に長い描写」はあまり読解できませんが、読解力オバケなら読めます。


◇枠線による視線誘導はフキダシが担う

 一般的な漫画は「視線誘導」という技術が使われています。これは枠線、絵、描き文字、フキダシを読んでもらいたい順番に、読者の視線が意図した方向に流れるようにレイアウトする技術なのですが、コマなし漫画では大抵フキダシでこれを行います。

 上の画像にある矢印がそれですね。フキダシを右上から読み始め下へさがりながら左に読み進め、突き当たったら戻ってまた右から左へ…と繰り返す基本的なZ字配置になっているのが分かると思います。

 一般的な漫画の読者にはこれだけの視線誘導では足りず、視線が迷子になります。しかし読解力オバケならこれだけで架空の枠線の存在を読み取れます。


◇なぜこんな描き方をするのか

 わざわざ読者をフルイにかけて削ぎ落とすような構成をなぜするのか。それは作者によります。

 私は枠線を取っ払い全ての絵を一般的な漫画で言うブチヌキ(インパクト表現のため枠線の外側に絵を飛び出させる技法)で構成し、1枚の絵を可能な限り大きくしちんちんを大きく描きたいという欲望でこれを行います。

 1枚の絵が一般的な漫画2コマ分の時間経過を内包するのもそのためで、小さな絵2つより大きな絵1枚を取っています。


◇読者を信頼する

 繰り返しますと、これは「描いてない枠線が無意識に読み取れる、フキダシのみの視線誘導で読む方向が分かる、これっぽっちの情報で時間経過まで読める」極めて高度な読解力を持つ人のための漫画です。

 このタイプの漫画を描く人はここまで無茶な構成してもまだ読者は読めると想定して描きます。つまり「読者の読解力を非常に信頼」していますし、その読者への信頼なしに描くことはできません。

 信頼しましょう。愛です、愛ですよナナチヽ( | )ノ


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