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「ふぅっ♡♡♡ふぅっ♡♡♡」


 強力な催眠術で心と身体を弄ばれてから一週間が経ったある日の朝、太白の姿は紫峰神社の縁側にあった。

境内に面し、誰かが石段を上がってくれば姿を見られてしまう場所で、彼は興奮しきり赤くなった裸体を晒している。

ぼってりと内側から膨らまされた腹や、痙攣の度尻穴から溢れ出す粘ついた精液が、先ほどまで何度も中出しされていたことを物語った。


 未だに余韻が全身を支配しており、胴体やろくに動かせない手足は、甘い心地よさでじんじんする。

頭も蕩け、思考はままならない。


「ん~っ」


 そんな太白を尻目に境内へ出て、気持ちよさそうに伸びをしながら日光浴する鈴香。

目を閉じ自然な笑顔を浮かべた横顔が、一見清々しい朝を感じているようだ。

だが明らかに興奮が残りまだ紅潮している裸の肉体は、浮かんだ汗で強い日差しをツヤっぽく照り返し、白肌を艶めかしく映えさせていた。


 中でも肉々しい媚臀は相当いやらしい。

やや薄い女性らしさのある胴体から豊かに膨らむことで、下側が広がった淫靡なS字の曲線を作り出している。

同じく肉づきが余りに良い太腿との境目は互いにむちむちと押し合って、うっすら魅惑的な線が引かれていた。

気分よさげに揺らされると柔らかく震え、中の筋肉によって元々の凛としつつも卑猥な形に戻る。


 そして、その反対側には未だ硬く勃起したままのチンポがあった。

高くそそり立つ肉柱は、先端から根本まで所々に精液の塊がこびりつき、やたら浅黒い肌へ黄白色を纏わせている。

最初の頃よりずっと淫水焼けした暗い茶色は、全て「メス狐」の穴によってもたらされた変化だ。

同じように彩度が低い紫色の亀頭は、溢れ出す我慢汁によって鈍く艶めいた。

白く可憐な身体との対比が、ふたなり故の倒錯した色気を醸し出している。


「っ♡♡♡」


 見ていれば、あれだけ犯され、さらにこんな屋外で大声を出させるためか激しく喘がされ、辱められたにも関わらずまた犯されたくなっていく。

手が自然と下半身へ伸び、淫穴が、寂しげにひくついてしまう。


 それが嫌で縁側の天井へと視線を移した。


 実のところ太白は一週間前のあの日以来、殆ど彼女に抵抗できなくなってきている。

なぜならば、趣味の悪い催眠をかけられたとはいえ、素直に快楽を貪る気持ちよさを教え込まれてしまったからだ。


 神事のためと積極的に、肉体を使って体液を浴びた事。

精液を吐き出すための穴として媚びへつらい、自ら淫猥に性奉仕した事。


 二つの記憶、得られた法悦は、嫌に鮮明に頭の中へ残っていた。

催眠が解けた今もなお、思わず欲しくなってしまうほどに。


 彼はそんな自分に、身体が変えられてしまったから仕方ないと言い訳を続け、少しずつ確実に堕落しつつある。

だが実際、鈴香のなすがまま受け容れただ肉穴として生活するのは甘く、なにより何も考えなくてよいのが楽だった。

さらに一週間、性交のため何度か入っていた神事を休まされているが、その罪悪感を打ち消すように激しく抱かれるのは何故だかひどく興奮するのだ。

あまつさえそうして再度芽生える罪悪感を消すため抱かれ、発情し、また罪悪感を覚え、という悪い循環に入ってしまっている。


 徐々に彼女へ依存し始めているのは、自分でも気づいていた。

しかし、疼く身体、弱くなっていく心では、どうしようもできない。


「きゃっ」


 絶望によってまた犯されたくなってきていると、唐突に聞こえる鈴の鳴るような、しかし驚いた声。

見れば鈴香は地面の上に仰向けで押し倒され、暗い紫色のローブを着た見知らぬ女から馬乗りになられていた。


「なっ……」


 胸元へ跨る女にそこまで強い力は感じないが、だというのに猫亜人は押し退けることが出来ていない。

どうやら拘束魔法がかけられているようだ。

しかも、大量に太白の神性を吸収し、かなり力をつけた鈴香を封じるほど特殊なものが。


「――」


「ぐっ……」


 ローブの女が何かを詠唱すると、魔法はより強まったのか苦し気な声が聞こえてくる。

そして、彼女はその隙にちらりとこちらを一瞥して口を開く。


「救援を要請したのは貴方ですねっ!?助けに来ましたっ!私はこの亜人を生みだした一族の末裔です!」


「うっ、うむっ」


「今からこいつを滅します!危険ですからそこに居てくださいっ!」


「っ……」


 おっとりした容姿に似合わずややはきはきとした声が告げたのは、太白にとってまさしく天助と呼ぶべきものだった。

遂に、少し前使った巻物の効果が出たのだ。

彼ら魔術師の一族を見るのは実に七百年ぶりだったが、確かに当時の族長と似た顔立ちや雰囲気だと感じる。


「――――、――――」


「くっ……」


 女魔術師は、馬乗りになった敵へ集中しながら何かの詠唱を始めた。

周囲でうねり始める不相応な魔力に、きっと唱え終わった時全てが終わるのだろうと悟る。

当の「敵」は抵抗することもできず、憎々しげに相手を睨みつけるだけだ。


「うぁ……」


 このまま見ていれば、鈴香から解放されることは確実と言えた。

長い時間で彼らは、自らが生み出した猫亜人を滅することに対して相当技術を高めたようであり、態勢は盤石だ。

拘束魔法が解ける、もしくは破壊される気配は一切無い。

長く続きそうな詠唱も、どれだけ相手が強くなったとしても塵一つ残さないほど強力なものだろう。


 そうなればようやく村人たちとの付き合いも、近頃滞りがちだった神事も、そして劣情に塗れた日々も淫乱になってしまった肉体も元に戻る。

時間はかかるかもしれないが、そのはずだ。

全力で、ただ喜ぶべきことのはずだ。


 しかし、太白の心は複雑なものだった。


 そもそも、本当に肉体は元に戻るのだろうか。

変化は不可逆なもので、それをあの魔術師が治すことは出来ない可能性があるのでは。

後ろ向きな考えを、七百年という時間と、拘束から滅するまでの流れるような手際が否定する。


 だが、心に刻み付けられた快楽の記憶は取り除けるのだろうか。

ついた傷を癒すことは、例え紫苑村の人々だとしても難しいかもしれない。

魔法や、神性を使ったとしてもだ。

それほど、精神へ作用する術の扱いは難しい。


 何より、本当に鈴香が滅ぼされてもいいのだろうか。

その結果、この数か月間続いた情事は綺麗さっぱりなくなってしまうのだ。

嫌なのに、同時に狂おしいほど欲してしまう荒々しい交尾が。


 さらに、器用に蠢いて身体を舐め回してくる長い舌も、じっとりとしていて向けられるだけで発情させられる目も。

何より、尻穴をみっちり満たしてくれるあのチンポも。

全てこのままだと無くなってしまうのだ。


 最悪、考えたくは無いが、自分を保てなくなり村人たちを襲ってしまうかもしれない。

欲望に狂って過ちを犯してしまうかもしれない。


「っ……」


 決断を急がなければならないという事実が、より太白の頭を混乱させる。

そして、嫌な妄想がいくつも脳裏をよぎっていく。


 早く考えることを辞め、楽になりたかった。


「――」


 自然と足が動き、裸足のまま境内へ出る。

やがてある程度近づくと、二人の頭上に異空間への扉を開く。


「なっ……。まっ……待ってくださいっ!何をしてるんですかっ!あなたっ……むぐっ……」


 続けてそこから這い出て来た光の帯が、魔術師の女を捕らえ、中へ引き摺りこむ。

彼女は虚を突かれ一瞬で全身を簀巻きにされ、抵抗できないまま扉へ呑み込まれていく。

そうしてすぐ抗議の声が消え去ると、異空間との間に何重ものカギをかけ、境内には太白と鈴香だけが残った。


「はぁっ……はぁっ……」


 力を激しく消耗したわけでもないのに、呼吸が大いに乱れる。

ひどい罪悪感だった。

あの女性を呼んだのは自分なのに、その自分が拘束したのだ。

きっと、陥れられたと感じるに違いない。


 いったいどれほど憎むことだろうか。

彼女らの目的である猫亜人を滅す直前で、他でもない呼んだであろう相手に拘束されて。


「うぅ……」


 そんな現実から逃避したくて縋るような目を送れば、術者との繋がりが無くなって消えていく拘束魔法、戒めから解放される鈴香。


「っ……。くひ……♡♡♡♡」


 視線に気づいた彼女は、身体を起こしながらこちらを見て、一瞬驚いたような顔になり、身を震わせてからぞっとするようないやらしい笑みを浮かべた。

今までとは異なり意地の悪さが無い、ただただ情熱的な顔だ。

目尻は眉と共に下がり、開きっぱなしになった口はだらしなく緩む。

肌がみるみるうちに朱く染まっていき、放たれる色香が急激に増していく。

どうやら極度の興奮状態にあるようだと思った。


「あ……♡♡」


 鈴香は立ち上がると、ゆっくりと歩いて近づいてくる。

その間、危機的状況によりすっかり萎えきっていたチンポは、再び鎌首をもたげていく。

しかも、これまで見たことが無いほどだ。

浅黒い竿に数々の青筋をたてて猛り、普段いくらかたるんでいる、カリ首周辺にある肉色の包皮を突っ張らせている。

さらに亀頭は、先ほどまでの情事で多少濡れていたとはいえもうぐちょぐちょになっていた。


 垂れていく我慢汁は、伸びきって大きくぶら下がる金玉袋から滴っていく。

よほど中身が重たいのか、いつもより位置が明らかに下だ。

またこちらにも青筋が複数できており、特に底面へ多く浮きだしてやたらデコボコしている。


「う……♡♡♡」


 あれほど暗い感情に支配されていたというのに、浅ましくも身体が疼き始めるのを感じた。

というかむしろ「逃げたい」という思いによって、強かった罪悪感の昂りは変化していき、徐々に発情となる。

複雑な気持ちが全て交尾欲へ変換されていく。

漂ってくる異様に甘ったるいフェロモンも、それを助長した。


「だめじゃ……♡♡♡そんなの……♡♡♡」


 意思を持つ神としてそんなことは駄目だとも思う。

自分がしでかしてしまったことの重大さを、真っすぐ受け止めなければならない。

守るべき「人」を陥れ、思いを踏みにじったのだ。

自責の念というせめてもの罰を、受け容れなければならない。


「ひひっ……♡♡♡」


「うぁ……♡♡♡」


 そう逡巡しているうちに、気づけば鈴香の顔が目前に来ていた。

どうやら膝立ちになっているらしく、目線が同じ高さだ。

遠くからでも分かっていたが、やはり蕩けつつも真剣な表情をしている。

細められたまぶた、奥にある潤んだ瞳からは、なぜだかじっとりした深く強い愛を感じた。


 助けられた礼でもしようとしているのだろうか。

しかしそれにしては、普段とあまりにも違う雰囲気だった。

いつもと同じならもっと余裕そうなはずだが、むしろ全くと言っていいほど無く、身体の内から湧き上がるどうしようもない熱情をぶつけてくる。

それはまさしく恋する女の顔に見えた。


「んっ♡♡♡」


「んむっ♡♡♡」


 多少戸惑いを覚えているとキスされる。

しかも今の彼女の様子に即した、とにかく甘くて初心なものだ。

唇が柔らかく重ねられ離れていく、まろやかで淫靡かつ癒しに満ちた感触だった。

繰り返される度、鼻にかかって上擦った高い喘ぎ声と、水分が弾ける音が聞こえてくる。


「ふぁ……♡♡♡」


 さらに腕が身体の後ろへ回ってきて、きつく抱きしめられていく。

密着し触れ合う肉体、そして吸い付くもち肌の温もりに、沈んだ心まで温められていくかのようだ。

冷え切っていた身体の芯へ、熱が満ちていく。

強烈な罪悪感が、少しずつ薄められる。


「んひっ♡♡♡」


 その間中ずっと合わせられている目は、つぶさに反応を観察してきた。

こちらが緩く広がる快楽によって惚けると笑みを浮かべ、嬉しげに歪む。

それは獲物を責める悦びではなく、相手を気持ちよくしたことの悦びによるものだと思った。

愉悦というより幸福と呼べる感情は、鈴香らしくなくて恐ろしくもあるが、しかし今の太白にとってはひどく優しい。


「んぁっ♡♡♡」


 やがて彼女の両腕は抱擁を緩め、代わりに手のひらで背中を愛撫しだす。

触れるか触れないかの位置で、こそばゆく、だが期待を持たせるように。

続けて首筋や肩、脇腹と同じように撫で回されると、ぞくりとした心地が背筋から全身へ駆け抜けていく。


 そして、徐々に疼いてきた尻穴はひくつき、中から精液と本気汁が混ざったすけべ汁を零す。

粘っこい液体は垂れ落ち、またいくらかが尻たぶ、太腿、ふくらはぎと舐めながら地面へ滴っていった。

最早腹の底は火照りきり、焼けるように熱い。


「んっ♡♡♡くひひっ♡♡♡」


「はぁ……♡♡♡はぁ……♡♡♡」


 すると口付けが終わり、互いの顔は少し離れる。

軽い接触だけだったが、よほど興奮が強いのか鈴香の肌は仄かに汗ばんでいた。

丸みを帯びた白くかわいらしい頬が、卑猥に艶めいている。


「ね、太白サマ……♡♡♡」


「う、うむ……♡♡♡」


 声は密やかで甘えるようだ。

生娘じみた印象すら抱いてしまう。

だが、先ほどからずっと下腹部とへそ上の間に当たっている元気なチンポが、彼女は確かに「オス」であることを痛いほど表してくる。


「私、太白サマのこと、ぜ~んぶ欲しくなっちゃいました……♡♡♡♡」


「なっ……んぇっ♡♡♡」


「むふ~♡♡♡」


 そうやって似つかわしくない態度、さらに唐突な愛の告白じみた言葉でたじろいでいると、今度は開きっぱなしだった口へ舌が差し込まれた。

手や先ほどまでのキスと同じように、口腔粘膜がゆっくり丁寧になぞられていく。

動作は、快楽のため性感帯を擦り合わせるというより、愛しさから互いの弱い所を密着させあうものに思える。

隠された場所の形状を深く知ろうとばかりに、ベロが、頬肉が、歯茎や上下のあごが舐められていった。


「はふっ♡♡♡はっ♡♡♡」


「ひひひっ♡♡♡……♡♡♡ん~♡♡♡んくっ♡♡♡んっ♡♡♡」


 溢れそうになるよだれは全て余さず啜られ、堪能された後大きく喉を鳴らして飲まれていく。

鈴香はやたら満足そうだ。

目を三日月に細め、恍惚といった感情を表す。

きっと太白の体液を味わい、その幸福に包まれているのだろう。


 それは恐らく、単なる性欲からだけではない。

あまりの強い感情に食べられてしまいそうだと思うが、同時に少し安心もしてしまった。

このまま彼女の心に食べられ、呑み込まれてしまえば、きっと楽になれそうだ、と。


 考えていると身体にはじっとりした絡みつくような欲望が芽生え、精神までも覆い尽くさんとしていく。

思いの籠った愛撫に、抗えなくなる。


「はーっ♡♡♡はーっ♡♡♡」


「んぇ~っ……♡♡♡ふ~っ♡♡♡」


 口内へ襲い来る念入りな舐りに身を委ねるのは、ひどく心地好い。

吐き出される湿った息も甘くて、みるみるうちに正常な判断力が奪われていく。


「ふぅ……♡♡♡くひひっ♡♡♡」


 やがてキスが終わっても、力の抜けた顎は開いたままだった。

鈴香は惚けたメス顔を上から下までじっくりと堪能してくる。

なめくじが這い回るような怖気すら立つ視線に、しかし肉体は濃い疼きを奥底から滲ませていく。

太く硬い棒に貫かれることを願って、さらにいやらしい表情を浮かべてオスを誘ってしまう。


「お布団、行きましょうか……♡♡♡」


「う……うむ……♡♡」


 すると彼女は仄かに零れだすような笑みを浮かべ、本格的な情事へ向かう事を提案してくる。

欲しくて、嫌なことが起きた場所から早く逃げたくて、太白はまた罪悪感を覚えつつも了承した。







「はっ♡♡♡あっ♡♡♡ひぅっ♡♡♡」


「ん……♡♡♡んぅ……♡♡♡」


 紫峰神社内の寝室に、気品がある音色だがやたら甘ったるい嬌声と、ねちねち、ぬちぬちという水音が響いている。

太白は部屋中央に敷かれた布団へ仰向けに寝そべり、足をはしたなく広げて、与えられる快楽をただ享受していた。


 その右側から軽く覆いかぶさって、乳輪を舐めながら尻穴へ中指と薬指を入れてきている鈴香。

鋭い猫目はこちらに釘付けであり、先ほど同様喘ぐ様子を見つめてきている。


 相変わらず、その表情はただただ優しかった。

薄桃色に艶めく口角は緩み、興奮で赤らんだまぶたはうっとりと垂れつつ笑みを浮かべている。

まるで、気持ちよくしたい、気持ちよくなって貰えていることが嬉しい、とでも言うかのようだ。


 そんな雰囲気と同じように、二点への愛撫はどちらも緩慢なものだった。

乳輪へはふちを沿うように、媚薬であるよだれが尖らせた舌先によって塗り込まれていく。

さらに肛門は改めて解すためか、出し入れと円を描くみたいな動作のみがなされる。

当然前立腺へは当たらない。


 ここに来てからというものずっとそんな調子であり、絶えず心地よさを味わわされていた。

延々続く幸福感に「過ち」を薄れさせながら、とにかく耽溺してしまう。

いつもみたいに激しくされないのは焦れったくもあるが、ぬるま湯での半身浴さながらに意識がぽーっと気持ちよく蕩ける。

何より身を委ねて全てを任せるのはひどく楽だ。


「は~っ♡♡♡」


「ふぁぁっ……♡♡♡」


 温かい息が乳頭へ吐きかけられると、丹田から強い熱が滲み出す。

しばらく触れて貰えていない突起は、微かな刺激でも感じようとかなり敏感になっていた。

さらに触れられる面積も増やそうと大きく屹立し、ぷっくら膨らんだ恥ずかしい姿を晒している。

そこへうっすら汗をかき、光沢も帯び始めていた。

艶めく桜色の周囲と、充血して真紅になった先端の対比は我ながらあまりにいやらしい。


「すずかぁっ……♡♡♡ちくびをっ……♡♡♡ちくびを触ってくれぇっ……♡♡♡」


「んひひっ……♡♡♡」


 思わずはしたなく懇願してしまう。


「……♡♡♡」


「はぅっ♡♡♡そこっ♡♡♡ちがっ♡♡♡」


 だが、襲うのは念入りで執拗な乳輪舐めだけだ。

尖らされたざらつく肉ベロで何度も同じ個所を往復されると、確かに気持ちいいがむしろ同じ動きを乳頭へされたくなる。

よだれが泡立っていくほど愛撫されるのが、自分の身体であるというのに羨ましくて仕方がない。

あのぬめつく舌で、あの動きで淫らな蕾をぬとぬとにされたら、と想像し際限なく期待が募っていく。

乱れた呼吸で、漂ってくる甘酸っぱい香りと雄臭を吸い上げてしまう。


「ふぅ♡♡♡ね、太白サマ♡♡♡もうちょっとだけ我慢しましょ?♡♡♡そしたらも~っと気持ちよくしてあげられますから……♡♡♡ね?♡♡♡」


「あ……♡♡♡う、うむ……♡♡♡」


 そんな中、頭に響くような囁きでさらなる快楽を想起させられ、素直に頷いてしまった。

長く我慢した後溜め込んだものを爆発させるのは、どれほど気持ちいいのだろうか、と強烈な疼きを覚える。


 性奉仕しているのは鈴香だが、主導権を握っているのもまた鈴香だ。

その事実を再確認させられ、被虐心が悦ぶ。


「ほら、ここも舐め舐めしてあげますよ~?♡♡♡んぇ……♡♡♡」


「うぁ?♡♡♡ふぅっ……♡♡♡」


 続けて彼女は、強めにベロを食い込ませて胸と腋の境目辺りを愛撫しだす。

初めて触れられる場所だったが、ぞくりとした未知の感覚が広がっていく。

乳首を責められた時の直接的な法悦とは違い、胸の芯から滲み出すような心地だ。

前立腺を圧迫された時に似た捉えどころのない多幸感が、ゆっくり蓄積されていく。

媚薬唾液によって急速に開発され、絶頂の二文字が脳裏に浮かぶ。


 また、濡れそぼった弾力のある物体が這い回る感触と相まって、背筋からの官能が止まらない。

慣れなくて意識が持っていかれ、思わず胴体や腰が反っていく。

息遣いが、不規則なものになる。


「あっ♡♡♡すずかぁっ♡♡♡これぇっ♡♡♡はふっ♡♡♡んっ♡♡♡ひぅっ♡♡♡はっ♡♡♡」


「くひひっ♡♡♡」


 そうして呆然としてしまう太白の視界の端で、鈴香の右目は相も変わらずこちらをじっとり観察していた。

劣情で淀み、細められ見据えてくる瞳から向けられているのは、強烈な好意だ。

「かわいい」「好き」「えっちしたい」、といった直接的で、それ故本能や劣情に激しく響く意思がぶつけられる。

すると同じ欲望が煮立たせられ、特に尻穴がひくついて、太くて硬くて、大量の精液を吐き出してくれるふたなりチンポをねだってしまう。


「こっひも……♡♡♡」


「んんんっ♡♡♡」


 応じるように指使いと音は粘っこさを増した。

普段挿入される棒より柔軟に動きつつ、腸壁をにゅりにゅりと捏ね回してくる。

未だナカに残る白濁液を深くまで塗り込み、身体の芯から発情させていくように。

肛門を解しつつも、肉棒を突っ込まれればよく締まるどすけべまんこになるように。


 だが、決して前立腺には触れてもらえない。

二本の指は重なって近づくが、すんでのところで分かれていってしまう。

直前まではもしかしたら、と考えさせられ、結果どんどん期待は募っていく。


「はぁ……♡♡♡はぁ……♡♡♡ふぅ……♡♡♡」


 自分でも驚くほどいやらしい喘ぎ声が出ていた。

体内で熱くなった空気が外へ出る度、声帯が撫でられ淫猥な音となる。

額には汗が浮かび、無意識のうちにオスを誘惑する悪いメスフェロモンが漂う。

あまりに甘ったるい、よほど美少年の身体から出るとは思えない香りは、漂わす美少年すらもより発情させていく。


「あ……♡♡♡クる……♡♡♡クるぅ……♡♡♡♡」


 そうなれば当然、太白を胸イきの予兆が包み込んだ。

味わったことの無い快楽とはいえ、極度の興奮状態であれば簡単に絶頂出来そうだった。

肉体は、これまでの情事でそれほど淫乱にされている。


「……♡♡♡」


 自ら作り上げた浅ましい女狐の姿を見て、愛おしげだった鈴香の視線は嗜虐心を帯びていく。

大きな瞳の奥底から、濁った性愛の炎が燃え上がってくる。


「っ……。すずかぁっ……♡♡とめないでくれぇ……♡♡」


 すると、愛撫は唐突に全て止まってしまった。

寸止めされた不快感が、快楽を一気に霧散させていく。


 持ち上がってきて右乳首の真上に来る、彼女の顔。


「んれぇ……♡♡♡」


「あぁぁぁっ♡♡♡♡イっ♡♡♡♡――♡♡♡♡」


 次の瞬間、素早く伸びてきた舌がべっとりと突起を舐る。

消えたかに思えた快楽は、被虐の悦びと共に強くぶり返し、そして限界を迎えた。

これまで溜めこまれたものが弾け、一気に多幸感が広がっていく。

感動すら覚えるような、著しく甘い心地だ。

ずっと残っていた暗い気持ちは覆い尽くされ、この間だけは消え去る。

麻薬のように嫌なことを忘れさせてくれる絶頂へ、太白はしばらく溺れた。


「ふぅっ♡♡♡ふぅっ♡♡♡」


「くひひっ♡♡♡気持ちよかったですか?♡♡♡」


「っ……♡♡♡あぁ、うむ……♡♡♡」


 やがて法悦が引き始めると、鈴香は訊ねてくる。

その表情は無防備なイき顔を堪能した悦びと、自分の愛撫で相手をイかせた悦びに満ちており、ともすれば慈母のようだ。

先ほど行われた意地の悪い寸止めも、もしかするとマゾを熟知した奉仕の一つにすぎないのかもしれない、と思う。

心の内まで覗かれてしまったようで恥ずかしく、少し恐ろしさもあった。

きっと、今の弱った己ではそんな彼女に抵抗などできない。

絡め取られるように、堕とされていってしまう。


「んぇ……♡♡♡」


「ふぁぁっ……♡♡♡」


 考えているうちに舌と指は再び動きだした。

しかも乳輪舐めには時折乳首舐めが織り交ぜられる。

二度目のアクメへ向けて身体を昂らせつつ、同時に決定的な快楽も与える責めだ。

いつ突起に、ぬめついてざらざらした猫ベロが触れるのかと視線が釘付けになり、意識が集中し敏感さは増す。


「はっ♡♡♡んひっ♡♡♡んぅっ♡♡♡」


 仄かに膨らんだ胸、先ほどより充血し真っ赤に染まった肉芽が、同じく真っ赤な粘膜に弄ばれる様子はひどくいやらしい。

中でも青白い乳肌は、触手に似た物体の摩擦を受けてむにむにと形を変え、よだれを塗られることでテカる。

さらに弾けるような水音も鳴り響く。

また、舌が離れると間に糸をひき、柔らかそうに震えた。

「おっぱい」と言うべきなほど淫らに成長したそこは、我ながら興奮を煽る。


 そして、周囲が舐られる度切なそうにひくつく中央の乳首もそうだ。

本来男性についてはいるがなんの意味もなさない不要な部位は、しかし大きく膨らみ、少しでも気持ちよくしてもらおうと存在を主張し続けている。

応じるように舐められると乳房の中へ沈み込み、持ち主へ強い幸せを与えつつまたそそり立つ。

その姿は快感に貪欲な淫乱、すけべなメス乳首と言える。

睦み合いでこちらも光沢を帯び、度々泡立った唾液で下品に飾られた。


「太白サマの乳首、すごくおいしいです……♡♡♡こっちも触りますね?♡♡♡」


「ひぅっ♡♡♡ふぁぁ……♡♡♡」


 すると上と同様に下、前立腺も愛され始める。

二本の指が、ノックするように優しく叩く。


 これまでついぞ触られていなかったのもあって、もたらされる多幸感は格別だった。

弱点を人に触れてもらえる悦び、開発されきった性感帯を愛撫してもらえる悦び、さらに強い快楽によって、頭が蕩ける。

ただでさえ力を入れられなくなっていた身体が、より腑抜けになっていく。


「そこっ♡♡♡そこいいのじゃぁっ……♡♡♡」


「くひひ……♡♡♡」


 脱力しきった中でオスポルチオを圧迫されるのは、無防備な姿を晒すという致命的な欠点を凌駕するほどあまりに気持ちよかった。

下腹部から広がってくる法悦が、何にも邪魔されず全身まで行き渡る。

普通の状態ですら思考が支配されそうになるほどなのだ。

減衰が無いナマの前立腺刺激はそれ以上に強く、今の太白であれば一瞬で心を奪われてしまう。


「あ~む♡♡♡」


「んぁっ♡♡♡」


 しばらく見ていれば、乳輪と周囲を全て覆うように胸が咥えられた。

鈴香の口内は温かく湿っており、普段触れている外気とは違う感覚に性感帯は何もせずとも否応なく反応する。

汗ばんでいく卑猥な場所を、直接愛撫されたくて仕方がない。


「んっ♡♡♡んっ♡♡♡んっ♡♡♡」


「うぁ……♡♡♡ちくびっ……はやくぅ……♡♡♡」


 だが、期待とは裏腹に彼女は口を広げた状態で固定したまま、何度もちゅぱちゅぱとキスするみたく吸い付く。

当然、突起どころか根本部分さえ粘膜は当たらず、生殺しだ。

確かに自分の乳房を吸われている光景は淫靡だが、むしろかえって興奮だけが募る。

激しく二点責めされたらと、破滅的な願望が芽を出す。


「んひっ♡♡♡」


「あっ♡♡♡あぁっ♡♡♡」


 そうしてひな鳥のような期待に満ちた目を向けていると、やがて応えるみたく徐々に唇が狭まり始めた。

ねっとりと丹念に、纏わりついて乳肌を舐りながら。


 少しずつ中心へ近づいてこられると、強制的に意識が向く。

取れそうなほどしゃぶられてしまうのか、はたまた側面を包まれたまま先端が舌で弄られてしまうのか、様々な想像が脳裏を駆け巡る。


「んっ♡♡♡」


 やがて、乳頭に温かくぬめった肉が当たった。


「……♡♡♡」


「ひぁぁっ♡♡♡♡」


 そして、取れてしまうのではないかと思うほど強烈な吸引を受ける。

引っ張られ、同時に振動が起こってしこりの芯へと響き、密着した粘膜が表面を擦っていく。

さらにむにむにと食まれてもいるのだからたまらない。

これまで経験したことがあまり無く、驚きのある不慣れな刺激ではあるが、だとしても快楽は相当に激しい。

乳中を渦巻く心地好さから、射乳してしまうのではないかと錯覚する。


 寝室へは水分を啜る音に加え、狭い場所を空気が通り抜けることで悲鳴に似た甲高い音も響いた。

当然そこにメスの大きな喘ぎ声が混ざる。


「あぁぁっ♡♡♡」


 鈴香はそのまま、頭を持ち上げていく。

細められた釣り目はこちらへ向き、相変わらず嬉しそうだ。

愛撫の最中でさえも、視姦しながらヨがる様子を一挙手一投足まで見据えてくる。


 きっとはしたなく開いているだろう口も、ろくに焦点の合わない蕩けた目つきも、興奮しすぎて真っ赤になった頬も全て脳裏に焼き付けられてしまう。

ひどい辱めなのに、黒く甘ったるい感覚が全身を襲った。

絶頂せずとも、ただただ著しい心地好さに見舞われる。


「んぁっ♡♡♡はぁっ♡♡♡はぁっ♡♡♡」


 少しして、ちゅぽんと間抜けな音を立てながらようやく乳首が吸引から逃れた。

性臭を大量に嗅ぎながら荒い呼吸をすれば、際限なく発情が深まっていく。


「ひひっ♡♡♡見てください、太白サマの乳首……♡♡♡ちょっとおっきくなっちゃいました♡♡♡」


「っ♡♡♡」


 声へ応えるように見れば、よだれでしとどに濡れた自らの突起。

ただでさえ赤かった先ほどと比べ、腫れたようにより赤みを増している。

また彼女の言葉通り心なしか膨らんでもいた。

それは吸われたせいかもしれないが、太白自身が「乳首でもっと気持ちよくなりたい」と強く願った故の変化に思えてならない。

悦ばしいような、恥ずかしいような、複雑な感情を覚える。


「今度はこのまま、じわ~っとイきましょうね……♡♡♡んぇ♡♡♡」


「ふあっ♡♡♡」


 淫猥な性感帯に見惚れていれば、鈴香が舌をみっとりと当てながら乳肌を太白の頭へ向けて昇りだす。

まず到達するのは浮きだした右の鎖骨だ。

すると窪みの部分へよだれを溜めるかのように、何度も何度もベロが這わされていく。

そこは意外にも敏感で、ざらざらした感触が舐める度ぞくりとした快楽が広がる。

近さから媚薬体液の甘ったるい香りもすぐ漂い、意識が陶酔した。


「ふぅっ♡♡♡ふぅっ♡♡♡」


 依然として前立腺を刺激されながらされると、全身が際限なく解れていく。

気持ちいいことに無防備な、とてもすけべな肉体になってしまう。

くちくち、ぬぱぬぱと発されている水音が、やたらに頭の中を響き渡った。


「ん~っ♡♡♡」


「あぁぁ……♡♡♡」


 舐め愛撫はしばらくすると首筋へ移動する。

人体の弱点は感覚が鋭敏だ。

ぬめつく物体に責められればくすぐったいような心地と、生命の危機を感じてか竦むような心地がもたらされる。

だが二つが合わされば、身体はこみ上げる震えを法悦だと判断した。

奥底まで染み入るような幸せに、精神までも毒される。


 そしてすぐ近くにある鈴香の頭から濃いフェロモンが放たれ、絶えず嗅がされていく。

緩やかに、確実に、メスアクメは忍び寄ってきていた。


「くひひ……♡♡♡」


「うぁ……♡♡♡」


 やがて、今度は頭頂部にある狐耳へと来る。

何をされるのか期待して、思わず彼女と向かい合わせになってしまうそこへ、密やかで愉しげな笑い声が発された。

喉奥からこみ上げたような低い音は、鼓膜を震わせ同時に頭も震わせてくる。

襲い来るじぃんと響き渡るような痺れに、イかされる準備をしてしまう。


「太白サマ……♡♡♡」


「っ♡♡♡」


 続く囁きによって、得も言われぬぞくぞくした感覚が沸き起こった。

どこかむず痒いのにもっと聞きたくなってしまう、不思議な感覚だ。

縦長の大きな聴覚器官は、淫らにひくつく。


「すき……♡♡♡すきです……♡♡♡」


「なっ……♡♡♡なにをっ……♡♡♡」


 そこへ告げられたのは、想定していない言葉だった。

およそ鈴香という存在に似つかわしくない語句を、しかし身体と心は真っすぐ受け容れようとする。

胸の奥が跳ね、四肢が火照っていく。


「ずっと一緒にいましょう……?♡♡♡太白サマ……♡♡♡すきです……♡♡♡」


「ふぅっ……♡♡♡すずかっ……♡♡♡やめっ……♡♡♡」


 熱っぽく名前を呼ばれる度、好意を伝えられる度、強烈な恋の甘さが全身を支配した。

熱っぽい吐息交じりに告げられる猫亜人からの求愛に、不快な感情を一切抱かない。

むしろ、ときめきと温かさに満たされていく。


 なぜならば、普段意地の悪い彼女から全く嘘を感じ取れないのだ。

本気で言われている、という事実に疑う余地が一切無い。

確かに快楽と発情で判断力が鈍ってはいるものの、何故だかそう考えてしまう。


「す~きっ……♡♡♡すき……♡♡♡すき……♡♡♡太白サマ……♡♡♡♡」


「あぁぁっ……♡♡♡だめじゃっ……♡♡♡これっ……♡♡♡」


 思えば、先ほどからずっとただただ気持ちよくされていた。

「オス」から、自分勝手に肉欲を貪ろうという思考はこれまで感じ取れていない。

チンポなど二の次とでも言いたげに、とにかく肉体を愛撫されていた。


 ぶつけられる恐らく愛と呼べるものは、太白の傷ついた心に染み込み、根付いていたモノを大きく成長させていく。

今日こそ本当に、鈴香に堕とされる。


「んぇ……♡♡♡しゅきっ……♡♡♡あむ……♡♡♡しゅきぃ……♡♡♡」


「んぁぁっ……♡♡♡♡」


 恐怖を覚えたのも束の間、たっぷりと唾液で塗れた舌が耳を愛おし気に這い回り始めた。

喋る度当たる生温かい空気によって感度を上げられていた狐耳が、激しく責められる。

間近から響く粘っこい音や鼻にかかった喘ぎ、こみ上げるように発される言葉が、理性や意識をどろどろに溶かしていく。


 そんな中で前立腺を圧迫されていれば、相変わらず優しいノックする動きだったとしても確実に絶頂が近づいてきた。

しかもとにかく甘ったるい、幸せに溢れているだろうものが。


「んぅ……♡♡♡イっへっ……♡♡♡イっへぇ……♡♡♡♡」


「はぁっ……♡♡♡クるっ……♡♡♡ふかいのクるぅ……♡♡♡」


 肉体はなるべく気持ちよく迎えようと、極度に脱力していく。

思考もつられて期待を大きく膨らませ、イく事のみを考えだす。

その境地には、先ほど魔術師へした悪事やこれまで村人たちへした不義理の罪悪感や苦しみが一切無い。

まさに至福と言える場所だった。


「あ……♡♡♡♡――♡♡♡♡♡」


「……♡♡♡♡」


 やがて、茶碗へ注ぎすぎた水が溢れ出すように、ゆったりじんわりとメスアクメが訪れる。

多幸感が世界の奥底から滲んでいき、全てがくまなく「気持ちいい」に侵食されていく。

乱暴に犯されてするのとはまた違う、染み入るような心地だ。

時折身体が跳ねるのと同時に強めの波も来て、慣れることが無い。

それゆえ太白長く長く続く間、ひたすらに溺れることが出来た。





「はーっ♡♡♡はーっ♡♡♡っ♡♡♡」


 しばらくして心地好い絶頂が終わると、二度したのもあって正常な判断力がいくらか戻ってくる。

鈴香に敗北することが、どれほどいけない、悪い結果をもたらすことなのかも。

そうなればきっと、紫苑村の人々だけでなく周辺の地域、果てはこの地方全体まで危険に晒すこととなる。

守り神として看過できる事態ではない。


 なんとかこの状況から逃れねばと考える。


「んぁぁっ♡♡♡」


「……♡♡♡」


 だが、アクメ後の著しく敏感になった尻穴から、じっくり擦られながら指が引き抜かれれば、容易く思考は中断させられてしまう。

身体を動かし、目の前十センチほどから見下ろしてくる鈴香。

二人の間に、先ほどまでナカを責めていただろう手が掲げられる。


「ふぁ……♡♡♡」


 その中指と薬指、そして根本周辺には、泡立った本気汁とふたなりザーメンが混ざり合い、黄ばみ濁った液体がべっとりこびりついていた。

出した者双方の粘っこい劣情を表しているのか、相当な粘り気を持っており、全く滴る気配が無い。

また付着したところの向こう側は一切見えず、それもどれほど劣情が濃厚なのかを表すみたいだ。


 さらに匂いまでもひどい。

独特な磯臭い香りと甘ったるい香りが混ざり、嗅いでいるだけでも交尾したくなってくる。

再びあの下品な交尾汁を、二人で作りたくなってくる。


「あ~む♡♡♡ん~っ♡♡♡」


「なっ♡♡♡」


 すると彼女は、欲望の証で汚れきった指を根本まで咥えた。

続けて唇を引き締めたまま引き抜き、くっ付いた汚れを余さずこそぎ落していく。

人中が少しはしたなく伸び、そこから透明なよだれでぬらつく美しい細指が出てくる。

弾けた水分がぐじゅぐじゅと音を鳴らした。


「あむっ♡♡♡んふ~♡♡♡」


 一度終われば美味しそうに目元を綻ばせながら、一本ずつ丹念に、滓も残さないとでも言わんばかりにしゃぶっていく。

時折フェラチオのような上下動を繰り返し、見る者の劣情を煽りながら。

続けて手のひらや甲に付いたものまで啜っていくと、ものの数回で綺麗になった。

代わりに付着した唾液が、こちらの頬へ垂れてくる。


「ん~♡♡♡」


 そして、口の中へ溜めたものを鈴香は攪拌し始めた。

顎や舌を大きく蠢かせ、味わいながら掻き混ぜていく。

零れないようにか口は閉じたままだが、相当な粘っこさから絶えずくちゃ、にちゃ、と空気の弾ける下品すぎる音が聞こえた。

さらに鼻を通って空気が抜けてくるようで、否応なく肉体を疼かせる卑猥な性臭が漂ってくる。


 見下ろしてくる視線は、少しいたずらっぽいものに変わっていた。

大きく開いたまぶたは笑みを浮かべ、この後どうなるか、への期待で愉しげだ。

ともすれば思いついた事を素直に実行する子供みたいで、無邪気な印象を抱く。


「んぇ♡♡♡」


「っ♡♡♡」


 だが、実際になされるのは性欲で塗れた行為だった。

開かれた唇から長い舌がだらしなく垂らされ、そこから太白の口へ向けて「液体」が滴ってくる。

当然、全く普通とは言い難いものが。


 それは、先ほど指についていた液体より少し薄まっていた。

彼女のよだれも混ざったからだろう。

しかし相変わらず黄ばみ、ふたなり精液を強烈に思わせる色だ。

長く赤い肉にぬめつくテカりを与えながら、とろとろと流れ落ちてくる。


 あまりにもおいしそうで、自然と受け容れるように、固く閉じていた柔らかな門が開いた。


「ふあっ♡♡♡」


「んひひ……♡♡♡」


 味蕾へ落ちた瞬間感じるのは、濃厚な甘臭いエグ味だ。

さらにベロを包み込み、愛撫さえしてくる。

媚薬唾液や本気汁の甘ったるさと酸っぱさは、その後からした。


 倒錯的な心地好い味わいに、思わず顔が惚けていく。

もっと堪能したいとでも言いたげな、ねだるような目を向けてしまう。


「ん~♡♡♡」


「んむっ♡♡♡」


 すると鈴香は唇同士を隙間なく密着させて閉じ、舌肉を器用に使って直接送り込んでくる。

しかもただそれだけではなく、平べったくした状態で頬肉や歯茎へ念入りに擦り込まれた。

上の穴からも交尾臭が取れなくなりそうなほど、話す度匂いが漂ってしまいそうなほど、何度も何度も。

手で耳をいくらか塞ぎ、口内で響く音だけに集中させ、ずちゅずちゅ、ぬちゅぬちゅと。


 貪るようなベロキスの快楽と身体にマーキングされる背徳感で、再度淫乱メス狐にされていく。

また彼女へ抵抗できないようになっていく。

そんな様子が、上からじっと視姦されている。


「んれぇ……♡♡♡」


「んっ♡♡♡」


 やがて全て移し終わり顔が離れていく時、気づけば自分から口を引き締め、這い出ていく舌を扱いてしまった。

いくつかの泡が付着した真っ赤な物体を、ぼんやりと見つめる。

膣穴を蹂躙した後、本気汁がべっとりこびりついたチンポみたく、あまりにも淫靡だ。


「太白サマ、飲んでください……♡♡♡」


「……♡♡♡んくっ♡♡♡んくっ♡♡♡んくっ♡♡♡」


「ひひっ……♡♡♡」


 そしてちゅぷりと音を立てて抜けきると、囁きに従って喉を鳴らしだす。

体勢ゆえ少し飲みづらいが、濃厚なねっとりした液体に食道を愛撫されていく感覚があった。

彼女の体液を摂取する悦びに、自らの愛液も入れる背徳的な心地が相まって、一度始めれば止まらない。

腹が温かくなり、頭が緩くなっていくのを知覚しつつ、押し寄せてくる官能に蕩ける。


「ぷは……♡♡♡けぷ♡♡♡」


 結果全て飲みきるまで、あまり時間はかからなかった。

下品なげっぷを吐き出せば、先ほど堪能した味わいが胃袋からこみ上げてくる。

きっと今、上と下の口は同じ匂いがするのだろう。

そう思うと、全身がぞくぞくと甘ったるく震えた。


「ふ~♡♡♡」


 太白のすけべな姿に、満足げな表情を浮かべ舌なめずりする鈴香。

次の責めをするため移動し、脚の間にあぐらをかいて座ってくる。


「ふあっ……♡♡」


 続けて足首が握られ、持ち上げられ、膝裏が引っ掛かるように彼女の肩へ乗せられた。

経験したことの無い恰好に恥じらいを覚えていれば、下半身はより持ち上げられて、股間と愉しそうな顔がぐっと近づく。

さらに頭とほぼ垂直まで上向いた背筋へはぴったりと柔らかな肢体、そしてチンポが当たり、楽でありつつも逃げづらいようになった。

いわゆるちんぐり返しという体位だ。


「くひひっ♡♡♡」


「うぁ……♡♡♡」


 やや肉づいた太腿の間、萎えた小さなペニスの向こうから、鈴香は熱っぽい視線で見下ろしてくる。

目つきは確かに優しく、うっとり細められたまぶたからはこれまで通り「気持ちよくなってほしい」、という思いが伝わってきた。

大きな瞳、縦長の瞳孔も、反応が良い所に気づくためか全く逸らされない。


 だが、唯一体勢だけが辱めそのものだ。

これでは隠すべき秘部が全て彼女に晒されてしまう。

すっかり勃起しなくなった皮被りの陰茎も、睾丸も、脂肪がついていやらしくなった尻も、浅ましくも既にひくついてしまっている尻穴も。


「ちゅっ♡♡♡」


「ひぁっ……♡♡♡」


 そんな期待へ応えるように、まず内ももがキスされた。

弾力があって瑞々しい唇がみっちりと吸い付き、水っぽい音を立てながら名残惜しそうに離れていく。

広がる仄かな快楽は、思わず声を漏らしてしまうほどの切なさを発生させ、二度目の絶頂へ向けて心と身体を昂らせる。


「ちゅっ♡♡♡ちゅっ♡♡♡ちゅっ♡♡♡」


「んんんっ……♡♡♡」


 右足、左足と交互に、だが毎回丁寧に、粘膜のむちむちした感触を刻み付けるように続いた。

銀色の細かな毛髪がくすぐってくるのも相まって、脚全体はぞわつき、赤らんでいく。

とはいえ摩擦が無いため、どこか物足りない刺激だ。

淫乱な肛門が、勝手にくちゅりと新たな愛液を滲ませてオスを誘惑する。


「んぢゅ……♡♡♡」


 しかし返ってくるのは強烈な吸い付きだけだった。

狭い所を空気が抜けていく甲高い音は鳴っても、気持ちよさは比例しない。

ただ吸われているというむず痒い感覚があるだけ。


「ぷは……♡♡♡」


「あ……♡♡♡」


 そう思っていたのも束の間、口を離されるとそこには赤い痕が出来ていた。

しかも、しばらく放置されていても消えない。

単に、刺激を受けて皮膚が赤くなっているだけでないということに気づいた。

鈴香にキスをされた、愛されたという証が、身体につけられたのだ。


 自分の物であると誇示するような行為、そしてそこへ籠められた意味に、胸がときめく。

彼女にもっと、彼女からの痕をつけられたい。

弱り、快楽に蕩けた思考はそう思い、「もっと」とねだるような視線を送ってしまった。


「くひひっ……♡♡♡ぢゅっ♡♡♡」


「あぁぁ……♡♡♡」


 応じるように反対側が、激しく吸われ始める。

やがて離れると、同じような痕跡が出来上がっていた。

そのまま口付けは尻へと向かい、自分では分からない場所へも大量に付けられていく。


 真っ赤な痣だらけになった臀部を見せつけて誘惑したら、鈴香はどんな反応をするだろうか。

妄想していれば、尻たぶは開かれ中央にある穴へ、太白の脚の間へ顔が埋められていく。


「ちゅっ♡♡♡」


「ひぁっ♡♡♡」


 肛門への口付けは、普段気持ちよくされている場所への感謝を示すみたく優しい。

みっとりと唇を纏わりつかせ、長く緩やかに密着し軽く食んでくる。

それは愛撫に等しく、清楚且つ卑猥な動きに温かい快楽が広がっていった。


 「下の口」は答えるようにひくついて、するとさながら本来のキスでもしているかのようだ。

甘く、しかし場所が場所だけに淫らな行為は、興奮を昂らせていく。


「ん……♡♡♡」


 発情を助長する、彼女の真剣な顔つき。

特に視線は真っ直ぐに股間を凝視しており、熱を感じるほど。

目力の強い縦に入った瞳孔は、青白い肌をむず痒く焼く。

奥にある腹の底が、ひどく疼いていた。


「んぇ♡♡♡」


「んはぁっ♡♡♡」


 すると横一閃に入った肉の裂け目から煮え滾ってぬるついたものが這い出し、いやらしいメス穴を舐める。

よだれで濡れそぼった厚ぼったい舌は力強くて、少しナカへめり込みながらシワや縦割れをいっぺんに責めていく。

じゅるじゅるという音が聞こえ、満足げな鼻息が尻をくすぐった。

再び媚薬唾液の匂いと、愛液の匂いが濃くなっていく。


「ひぅっ……♡♡♡」


 さらに胸へはしなやかな手指が伸びてきた。

遠いあばらから先端を仄かに触れさせつつ、焦らすように乳首へ向かって撫で回してくる。

決して強くは無いが、それ故意識が向かされる性感だ。

結果少し萎えていた頂の蕾は、まだあまり近づいてはいないというのに膨らんでいき、自らがどれほど浅ましいのかを表現してしまう。

鈴香に一瞥され、笑みを浮かべられると恥ずかしいのに、半ば調教された身体は羞恥で悦ぶ。


「ふぅ♡♡♡」


「あ……♡♡♡」


 やがて肉体が感じやすくなってくると、唇は名残惜しそうに一度離された。


「んぇ♡♡♡」


 そして彼女は、ペニスの前で尖った長舌を見せつけてくる。

それは当然のように、太白の萎えたモノより長く太かった。

加えて猫の亜人らしく、内側には無数の微細な突起が生えてもいる。

滑らかな外側部分と合わせて、腸壁を舐られれば慣れることの無い刺激がもたらされるだろう。

しかも、全てが筋肉のため縦横無尽に蠢くのだ。


「ふあっ……♡♡♡」


 肛門へ先端が突きつけられる。

柔らかくて、やたらに熱くて、存在感に否が応でも集中させられてしまう。


 また、今度はじっとりとこちらへ目が向けられていた。

優しくもぎらついた眼光だ。

あんな強い視線で、あられもない体勢でヨがらされる姿を、たっぷり見てもらえる。


 そんなはしたない期待から、入口は侵入者を迎え入れるべく広がった。


「あぁぁっ……♡♡♡」


 求めへ応じるように、ずぷずぷとゆっくり肉ベロが沈み込んでいく。

太いモノが挿入される悦びに全身は打ち震え、頭もぼやけて濃厚なピンク色に染まる。

肌という肌が粟立っていた。

甘い溜息が溢れ出し、幸福の最中に居ることを表す。


 寝室には、耳を塞ぎたくなるほど淫猥な、粘っこい水音が響き渡る。


「んひ♡♡♡」


「ふぅっ……♡♡♡♡」


 さらに乳頭のすぐ上下、ともすれば当たってしまいそうな位置で、二本の指が素早く往復しだす。

快楽は他の場所よりずっと強くて、上半身は痙攣する。

だが、決して突起へ触れることは無かった。

手のひらを胸と腋の間に当てて固定しつつ、ただただ乳輪だけが、何度も何度も繰り返し指先で擦られ続けていく。


 それはアナル舐めがまだ始まったばかりだということを言外に表していた。

より気持ちいいことが待っているという期待に、肉体は熱を増していく。


「ん~っ♡♡♡」


 気づけば鈴香の顔は、かなり太白の足の間へ埋まっている。

舌は根本へ向かうほど徐々に太くなっていくため、尻穴を拡げられる悦びが絶えず与えられた。

しかもざらつきは腹側の括約筋を激しく擦り、痒くも熱っぽい刺激になる。

反面裏は滑らかであり、背中側には甘い感触がもたらされていく。


「んむっ♡♡♡」


 やがて、ぷにっとしていてまろやかな唇が肛門のふちへと当たった。


「んぁぁぁっ♡♡♡」


 再びの口同士によるキスに温かな幸せを覚えたのも束の間、縦に膨らんだ粘膜触手がすぐさま、緩慢に引き抜かれる。

じっくりと味わわされるまた違った拡げられる悦びに、思わず大きな嬌声が出た。

また、表にある細かな突起は密着度が凄まじくなり、無数のこりこりした棘に性感神経が嬲られていく。

暴れる下半身は的確にいなされ、まるで動きが止まることは無い。


「おふぅっ……♡♡♡」


 そうしてある程度すれば、今度は平べったい状態での挿入だ。

さっきより優しい快楽ではあるが、チンポと違って縦横のどちらか一方向に長い物体は、尻穴への当たり方が強かった。

慣れていないこともあって、意識が強制的に陶酔させられる。

力の抜けた身体は、気持ちいいことへひどく従順になっていた。


「っ♡♡♡」


 そして、乳首の先端、そのごく間近にある細長い指先。

固定され、もうあとほんの少し下ろされるだけで潰せる位置にあり、さながら断頭台のようだ。

時が来れば落ちてきて、まさしく処刑されてしまうのだろう。

生殺しされ続けながらも、恥ずかしい恰好での尻穴舐めは続く。


「はっ♡♡♡はっ♡♡♡はっ♡♡♡」


 鈴香は顔を上下させ、やや早いピストン運動を始めた。

淫猥な粘音が絶えず響く。

よほど愛液が出ているのか、抜かれる度真っ赤な舌はびしょびしょになり、白濁したものを纏っていっている気がする。

甘酸っぱいメスの匂いを漂わせる本気汁は、周囲へ飛び散って敷布や畳へシミを作った。

当然太白の顔や髪、身体へも飛び、いやらしく汚していく。


「んっ♡♡♡んっ♡♡♡んっ♡♡♡」


 やがてあまりにも濡れそぼると、彼女は尻穴へ口をつけ、ごくごくと飲みだした。

啜る下品な音がして、口元はみるみるうちに粘液で塗れていく。

貪欲なけだものは、よほどおいしいのかひどく満足げな、まぶたを糸のように細めたうっとりした表情を浮かべる。

きっと深く深く味わわれてしまっているのだ。

強い羞恥が、全身を熱くする。


「おひぃっ♡♡♡」


 そこへ一気に抽送され前立腺まで押されれば、はしたない声が出るのも当然だった。

激しい幸福感と共に下腹部からは圧迫感が広がってきて、これまで以上に恍惚としてしまう。

筋肉が突っ張った後、緩まると肉体はずっしり重くなり、快楽が滲み出してくる。


「あっ♡♡♡はぁっ♡♡♡うぅっ♡♡♡」


 続けて尖った舌先に飴玉でも転がすみたく舐られるとたまらない。

寄せては返す波さながらに、強い刺激と弱い刺激が何度も襲い来る。

加えてひくつく尻穴が震わされ、腸壁もぞりぞりとざらつきで擦られ、じぃんと身体の芯に法悦が響く。


 しかも媚薬唾液が浸透していくため、時間の経過と共にナカは敏感さを増していった。

絶頂が近づき、踊るようだと思うほど愉しげに動くベロが、はっきりと分かる。


「うぅっ♡♡♡すずかぁっ♡♡♡」


「ひひっ♡♡♡」


 思わず名前を呼ぶと、彼女は慈しむような笑みを返してきた。

まるで恋人同士のような応酬で、素直に心が温かくなっていく。

同時に、脚を天井へ向け尻を差し出す、あられもない自分の姿も見えて恥ずかしくなるが、鈴香へそんな姿を晒すのさえ心地好い。

身体の外と内側だけでなく、精神すらさらけ出したくなる。


「んれぇ……♡♡♡」


「はぁぁっ……♡♡♡」


 すると今度は膣壁へ平たいベロ肉が密着し、丹念に這い回り始めた。

絶えず角度を変えつつも、前後して磨くような動作だ。

柔軟な粘膜はひだの一つ一つを全て余すことなく触れていく。

硬く、凹凸がありながらも基本的に真っすぐなチンポとはまた違った感触だった。


 結合部から聞こえてくる淫音に手指が、腹筋が震える。

胸元は早く頂点の突起を潰されたくて、何度も捩ってしまう。

感じている事を一切隠せない。

というか、隠す必要すら感じなくなってきている。


 何故ならこれ以上の、彼女にされるがまま愛される以上の幸せなど存在しないように思えてきたからだ。

全て任せてしまえば、ただただ甘ったるく苦しみの無い場所へ連れて行ってくれる。

しかもどうしてだかはいまいち判然としないが、今日これまで、あまりに深い愛着を示されていた。

恐らく、飽きて捨てられてしまうことなどもない。


「あっ♡♡♡すずかぁっ♡♡♡クるぅ……♡♡♡」


「……♡♡♡」


 再び名前を呼びイきそうなことを伝えれば、鈴香は頷く。


「あぁぁっ♡♡♡♡」


 そして、とぐろを巻いて塊となった重たい舌が、前立腺を圧し潰す。

全体を満遍なく、すりこぎのように。

当然広がるのは強い快楽だけだ。

絶頂感が一気に膨らんでいく。


「んひぃっ♡♡♡ちくびぃっ♡♡♡♡」


 さらに、ずっと期待を募らせていた白磁さながらの指も、乳頭へと振り下ろされた。

こちらも突起が胸の中へ沈み込むほど激しく潰し、そのまま何度も引っ掻いてくる。

焦らされ続けた甲斐あってと言うべきか、往復の度確かな気持ちよさと、腹の底へ響くようなじんわりした気持ちよさが迸っていく。

紛れもないメスのアクメが、オスのアクメなどより確実に近づいてくる。


「あっ♡♡♡イくぅっ♡♡♡イくぅっ……♡♡♡♡」


 寝室には、はしたない「女」の喘ぎ声と、粘っこい水分が啜られ、弾ける音が響いている。

外から聞こえてくる木々のざわめきや鳥のさえずりはそれらにかき消され、まるで部屋が他の空間から隔離されてしまったようだ。

事実、睦み合う二人には、二人が立てる以外の音は一切耳に入っていない。


 それは匂いもそうだった。

普段室内に漂う井草や箪笥から出る柔らかな香りは、甘酸っぱいものや青臭いものの刺激に覆い尽くされ、無いも同然だ。

結果ここは触手が満ちる肉窟や、異種族の胎に子供を孕ませる下卑た魔物の巣さながらに、鼻が曲がるほどひどい臭気となっていた。


「っ♡♡♡♡――♡♡♡♡♡」


 太白は、そんな欲望の園で、あらゆる意識や感覚を快楽に押し流されてイった。

本来感じるべきではないどす黒い多幸感が、全てを一色に染め上げていく。


 魂が堕落していくのが分かった。

肉の悦びこそを是とする考えが、太く硬い根をいくつも張り巡らせる。

あとほんの一押しさえあれば、という所まで、彼の心は崩れきっていた。







「ふぅっ♡♡♡ふぅっ♡♡♡」


 絶頂の余韻に身を包まれながら、布団の上に仰向けで寝そべっている太白。


「くひひっ♡♡♡」


 鈴香はその左横からチンポを突き出し、目隠しのようにして見せつけてきていた。

あまりの太さから影になって視界は暗く、殆どが浅黒い茶色の柱で占められている。

表面はたっぷりと纏った汁によってオス臭を放ち、てらてらと煌めく。

尿道の膨らみによって出来た最も低い所から、糸をひく雫が絶えず滴り落ちた。


「太白サマ♡♡♡私、太白サマのことが好きになりすぎて、チンポこんなになっちゃいました♡♡♡」


 毛づくろいするような丁寧さで頭を撫でてくる彼女の言葉通り、肉棒は普段と様子が違う。

まず明らかに太く、ちらほらと見覚えのない大きな血管が浮いている。

これまで何度も味わわされ、見せられてきているのだから間違いない。


 さらにカリ首周辺で多少たるんでいた包皮は、伸ばされきってパツパツになっており、亀頭から根元へ10センチほどは他の場所よりも明るい肉色だ。

つまり全長が明らかに伸びている。

他にも先端からは我慢汁が迸り続け、何より近くにあるだけで激しい熱気が伝わってきた。

異常なサイズだが、強烈に尻穴へ欲しくなってしまう。


「さっきからず~っとこんな感じで……♡♡♡ちょっと擦っただけでも精液出ちゃいそうなんです♡♡♡でも、太白サマのナカに出すために我慢して貯めてあります……♡♡♡」


「っ♡♡♡」


 今日の彼女の言葉は、相変わらず嘘が無い。

確かに鋭敏な聴覚が、根本で渦巻く精子たちの蠢きを捉えている。

もしかすると挿入すれば、すぐ射精されてしまうかもしれなかった。

しかも、魔術師が来る前複数回吐き出したにも関わらず、一発目と思うような、むしろそれよりもずっと濃く大量なものが。


「上、失礼しますね♡♡♡」


「あっ……」


 鈴香が膝立ちになることで、そんなチンポは離れて行ってしまう。

しかしすぐ顔がまたがれ、男性器のもう一つの部位が目の前に来る。


「こっちもすっごく重たいんですよ?♡♡♡んっ♡♡♡それに、今もどんどん重くなってってます……♡♡♡」


 それは、中のモノが多すぎて明らかに日頃より肥大化した睾丸だった。

包み込みぶら下げる金玉袋を突っ張らせ、縦長のゆるやかなシワを作り出している。

底部や側面にはこれまた見覚えのない血管がいくつも浮かび上がり、単なる球体であるはずなのにひどく禍々しい。

また、巨乳さながらの谷間までできていた。

深い影の中は汗ばみ、甘ったるさと精子臭さが混じった濃厚なふたなりチンポフェロモンが香ってくる。


「すっごく熱くて、さっきから我慢汁が止まらないんです♡♡♡これの中身、ぜ~んぶ太白サマのものですよ……♡♡♡」


「ふあっ……♡♡♡」


 そして続く囁きが、理性や常識といった彼女へ抵抗するためのもの全てをどろどろに溶かしてきた。

綺麗になっていく頭の中には、精子をぶちまけられる以上に幸せなことなどあるのか、という疑問すら芽生える。


「あとおまんこも濡れ濡れで……♡♡♡」


 そんな金玉が持ち上げられれば、殆ど見た覚えのない女性器も晒された。

チンポと違いあまり使われていないのか、ぴっちり閉じた縦の裂け目は色落ちも無く、清楚な白い肌に赤みが刺しているだけ。

ただ無毛の陰唇が大きめに膨らんでおり、侵入するものを弾力と柔らかさで包み込みそうだ。

加えて今は溢れ出した愛液によって濡れそぼり、忙しなくひくついてひどく蠱惑的だった。


「それに、お尻も太白サマのことが欲しいみたい……♡♡♡」


 さらに、開かれた豊満な尻たぶの間から覗く、いくつものすじと穴。

特に穴周辺は周囲のやや浅黒い肌と違いピンク色で、まるで何かを挿入されるためあるようだ。

実際中央は縦に割れており、さながら女性器を思わせる。

痙攣も相まって、本来不浄である窄まりは見る者を誘う魔力に満ちていた。


「ね、太白サマ♡♡♡」


「う、うむ……♡♡♡」


 そうして鈴香は秘部を見せつけ終わると、太白の腹辺りへ移動し視線を合わせてくる。

上気した相変わらず熱っぽい目つきには、どこか緊張の色が浮かんでいた。

ふるふると震え、不安げに時折忙しなく動く。


「さっきは助けてくれてありがとうございました♡♡♡」


「っ……」


 呼び起こされるのは数刻前の苦い記憶と感情で、ずっと甘かった胸が刺々しく跳ねた。

だが同時に、そうしたおかげで今があるのだとも思ってしまう。


「私、あの時の太白サマの複雑そうな目を見て……貴方を好きになっちゃいました♡♡♡」


「なっ……♡♡♡」


「奪うだけの私がここまで誰かから思われるなんて初めてで、でも、感じてみたらすごく気持ちよかったんです♡♡♡太白サマの強い感情が……♡♡♡」


 そして続く、今日これまでの行動からうっすら気づいてはいたが、改めて言葉にされる彼女の好意。

衝撃的で、様々な暗い思考が吹き飛ばされて再び胸はときめく。

強い感情で「嫌なこと」を上書きするのに、仄かな背徳を覚える。


「それであの時の太白サマの怒りとか葛藤、私への依存、そういうものを全部、変わることの無い私への好意にしたいと思いました♡♡♡どんな手を使っても……♡♡♡」


「うぁっ……♡♡」


「独り占めして、独占して、私だけに向けさせたいって……♡♡♡そうしたらどれだけ幸せなのかって、思ったんです……♡♡♡」


 さらに言いつつ、鈴香は瞳の奥底からどす黒い意思を滲み出させてきた。

粘着質で、血肉を喰らい尽くさんとしてくる捕食者さながらの意思だ。

背筋が凍り付きそうなほど恐怖を感じるのに、しかし同時に食べられてしまいたいという破滅的な願望も湧く。


「もしかしたら元々太白サマのことが好きだったのかもしれませんね♡♡♡だから今までずっと、他でもない貴方を狙ってきたのかもしれません♡♡♡少し危うい状況になったとしても♡♡♡」


「っ……♡♡♡」


 このまま逃げないでいればきっと、自分は確実に彼女の恋奴隷へと堕とされてしまう。

そう直感できた。

だというのに身体は動こうとしない。

逃げようという考えは、それ以上に楽そうな「彼女を受け容れる」という考えにかき消されていく。


「なので……♡♡♡」


「あっ♡♡♡」


 すると、あぐらをかいた鈴香に抱きかかえられ、向かい合わせで膝の上に座らされた。

告白でより高揚し、まだ少しずつ肥大化しているチンポが二人の間にある。

一瞬触れただけでも我慢汁が橋どころか膜を作った。


「太白サマに……♡♡♡」


「あぁっ……♡♡♡」


 尻尾と手に全身を持ち上げられて、そんなチンポと尻穴がくっ付く。

尻穴は接触しただけで当然のように口を開け、拡縮してキスを繰り返す。

明らかにいつもより大きいことが、いつも咥えこんでいる場所故分かった。


 だがそれでも散々焦らされ続けた穴には、このまま力が抜かれれば、抵抗がありつつもすんなり入ってしまうことも分かってしまった。


 恐らく今が、自分に残された最後の選択肢なのだと太白は悟る。

ここを逃せば、もう堕落は不可逆なものとなってしまうということが、何故だか理解できた。


 しかしやはり、手足はまるで動かない。

神性を行使する気にもならない。


 むしろ心は、この先にある快楽がどんなものなのか、という浅ましい期待に満ち溢れていた。

そのことを表すように、顔にはうっすらと笑みが浮かんでいる。


「私を、好きになってもらいますね♡♡♡」


「あぁぁぁっ♡♡♡♡」


 そして、長い前戯で挿入されたいという欲望がはちきれんばかりになった膣へ、ようやく肉棒が挿入され始めた。

互いに相手を深く感じ合うためか、ゆっくりと、少しずつ。


「魔羅っ♡♡♡魔羅いいのじゃぁっ♡♡♡」


「私も♡♡♡太白サマのナカ熱くて……♡♡♡きゅうきゅう締め付けてきて……♡♡♡」


 ひどく敏感な性器で、好きになりつつある鈴香のモノを受け容れる悦びに、早くも素直なメス声が出る。

しかも、そもそもモノ自体が相当凶悪だ。


 亀頭は彼女の尻肉さながらにむっちりもちもちとしており、締め付ける狭い腸壁を軽く押し返し揉む。

砲身全体の激しい脈動も相まって、ともすれば擦れの強さは指か舌でも使っているみたいだった。


 さらにカリへ向かうにつれて、どんどん円周は広がっていく。

すると密着感は肉同士が溶け合いそうなほど増し、弱い所同士を接触する幸福が身体だけでなく心にも滲む。

まだ情事は序盤も序盤であるというのに、最早太白の興奮は最高潮になっていた。


「ぐぅぅっ♡♡♡カリっ♡♡♡ふといっ♡♡♡」


「くひひっ♡♡♡太白サマのことを想って太くなっちゃったカリですよ……?♡♡♡たっぷり味わってくださいね♡♡♡」


「っ♡♡♡」


 挿入だけでも気持ちいいのに、甘ったるい囁きまで重なれば絶頂が確かに近づいてくる。

数度チンポ以外でイったのもあって、チンポでイきたいという思いが止まらない。

いくらでも拡げてくるカリを、ぎゅっと力を入れた括約筋で深く愉しむ。


「あっ……♡♡♡」


「あ~♡♡♡先っぽ終わっちゃいましたね♡♡♡でも、先っぽ以外もすごいですよ……♡♡♡」


「ん゛んんっ♡♡♡」


 そうしているとやがて、太ましい粘膜部分は全てナカへと入りきった。

ポルチオには当たりだしたものの、もうよく締まる場所でカタチを感じられないのかと少し寂しくなるが、かといって幹も著しく凶暴だ。


 とにかく鉄以上かと思うほど硬くて、先ほど亀頭と押し合っていた「入口」でもまるで歯が立たない。

むしろ血管がいくつもうねる歪なカタチによって、ごりゅごりゅと成形され、鈴香チンポ専用にマン肉が耕されていく。

一切優しさの無い「オス」そのものな刺激は、マゾメスに強烈な快楽をもたらした。


「どうですか?♡♡♡自分のことをを好きな相手のチンポは……♡♡♡太白サマのことが好きすぎて、ガチガチになっちゃってるチンポは……♡♡♡」


「ふぅぅっ♡♡♡♡いいっ♡♡♡たまらぬぅっ♡♡♡」


「ひひっ♡♡♡嬉しいです……♡♡♡」


「んぉ゛っ♡♡♡はねてぇっ♡♡♡」


 好いことを素直に伝えれば、肉の柱は嬉しげに大きく痙攣し腸内で暴れる。

中でも亀頭はその巨体で前立腺を殴りつけるみたく潰し、腹の底から激しい法悦を生ませていく。

動作自体は乱暴だが、まるで彼女の愛の深さを教え込むみたいだ。

そしてその愛に、太白が全く抗いきれない事を表してもいる。


「んぅ♡♡♡すき……♡♡♡好きです……♡♡♡太白サマ……♡♡♡」


「あぁっ♡♡♡いうなぁっ♡♡♡」


 告げられる言葉によって甘やかな幸せが全身を浸し、心も加速度的に鈴香を受け入れていく。

咄嗟に拒否が出るものの、今となってはもはや明らかに遅い。

せめてもの恰好をつけるため、ギリギリまで抵抗している、というていを装っているようにしか見えない。

それかむしろ、あえて抵抗の意思を見せることで虐めてもらおうという魂胆でもあるように思える。

何せ先ほど、最後の機会を自ら逃したのだ。


「くひひっ♡♡♡大丈夫ですよ~♡♡♡ちゃんと私の事、好きになれるまでやりますからね……♡♡♡」


「っ♡♡♡はぁっ♡♡♡くぅっ♡♡♡魔羅がぁっ♡♡♡」


 見透かしたような態度に何も言えず、太白はただ与えられるモノを受け容れる。


 チンポはようやく半分といったところだった。

底面の膨らみが、反りもあって特に激しくて、背中側の腸壁が大いに擦られていく。

しかも尿道内部に早く精液を通過させ、放出する快楽を得たいとばかりに拍動が強く、振動が身体全体をむず痒く苛む。

カタチだけでなく蠢きでもメスをヨがらせるチンポに、思わず惚れ惚れしてしまう。


 前戯の時よりも急激なペースで、だがじわじわと確実に絶頂が近づいていた。

またあの、ぼんやりした心地好いアクメを、それもふたなり魔羅で味わえるのかと思うと、背筋が甘く震える。


「半分入りましたね~♡♡♡これから今までよりも深いところまで、チンポ入っちゃいますよ~……♡♡♡」


「ふぁぁっ……♡♡♡お゛ひぃっ♡♡♡」


 心底気持ちいい、と言うようにぐったりと垂れ下がった目を向けられれば、期待は際限なく高まっていく。

すると感度も著しく高まっていき、挿入が少しでも深くなる度濁った喘ぎ声が出た。

寝室へはさらに、浅ましい腸肉や括約筋が魔羅へ食らいつくことで、ぬぱぬぱ、ぐちぐち、と貪欲すぎる音も響いている。

結合部から絶えず滴り落ちていく混合液によって、匂いまでもひどい。

まるで何十人もの男女がまぐわっている密閉された空間のような、濃厚な交尾臭が漂う。


「あっ♡♡♡おくぅ……♡♡♡♡」


「んぁ……♡♡♡すっごいきつきつですね……♡♡♡」


 しばらくすれば、普段亀頭によってたっぷり捏ねられている奥、そのより奥へ侵入され始める。

なるべくぴったりと性器同士愛し合う為、そこは閉じて相当狭まっており、ともすれば新たに拡げられることを拒んでいるみたいだ。

結果密着感と摩擦はあまりにも濃厚で、改めて鈴香用に変えられていく悦びと相まって、肉体だけでなく心までも満たされていく。


 情熱的な幸福が、腹の底からこみ上げてきていた。

彼女の存在、温もり、甘くもオス臭い香りに、やたらと意識が向いている。


「ほら、もう少しで全部ですよ……♡♡♡」


「っ♡♡♡♡」


 囁きによって、視界が淡い桃色へと染まっていく。

全身の毛が逆立ち、切なげな息が吐き出される。

あとは新しい最奥が作られるという切っ掛けさえあれば、溜めこまれた全ては爆発を起こす。


「あっ♡♡♡」


「――♡♡♡♡♡」


 そして、太白の尻、鈴香の柔らかな太ももがくっついた。

同時にメス穴の深い深い場所を巨大な亀頭がとん、と押し込み、法悦が弾ける。


 広がるのは重量のあるアクメだった。

力が入らなくなった全身はぐってりと垂れ、ただただ性感帯としてだけ機能する。

爪先から頭のてっぺんまでが甘く心地好い。


 それを彼女は大きな身体で優しく抱きしめ、感じ入る事のみに集中させてくれる。

「村人たち」が優先だった幸せの価値基準は、みるみるうちに塗り替えられていった。


「すき……♡♡♡すき……♡♡♡太白サマぁ……♡♡♡すきぃ……♡♡♡」


「はーっ♡♡♡♡はーっ♡♡♡♡」


 やがて絶頂が終わりに近づいていると、気づけば無防備な狐耳のすぐそばで、求愛の言葉が流し込まれている。

意味はするりと心にまで侵入し、オスから女として愛される悦びを生む。


 同時に腕や手も、「触れたい」という思いを滲み出させながら撫で回してきた。

汗をかいてしっとりしややべたつく肌に、だが柔らかくて吸い付いてくる肌に、こちらからも身を擦り付けて甘えたくなってくる。

顔を包む形のいい胸もそうだった。

後頭部から押され沈み込まされれば、弾力も相まってややあった疲労が癒されていく。


「うっ♡♡♡よせっ……♡♡♡」


 しかしそんな甘さへ素直に堕ちていくのは恐ろしくて、もう手遅れだというのにまだ抵抗しようとしてしまう。

受け容れれば戻れないところまで変えられると、分かっているのだ。

弱った心は自分を守るため警戒を高め、拒絶しようとした。


「好き♡♡♡太白サマ……♡♡♡ちゅっ♡♡♡」


「んむっ♡♡♡」


 すると鈴香は上体を屈め、上から唇と唇を重ね合わせてくる。

優しくてふんわりした感触に、防壁が容易く崩れていく。

あまりに愛おし気な動作は、警戒する必要などない事を伝えてくるかのようだった。


「んっ♡♡♡ふっ♡♡♡」


「むぁっ♡♡♡すずかぁっ♡♡♡あむっ♡♡♡」


 依存先を探していた心が、本当に信じていいのではないか、と思いたくなる。

全てを任せてもいいのではないか、と「メス」が囁く。

このまま溶けきってしまえば、楽になってしまえると、考えてしまう。


 なにせ、あれほど蕩けるような気持ちよさを与えてくれるのだ。

なにせ、オスとして優秀すぎるのだ。

女になってしまった身体、そしてなりつつある頭が、服従したくて、寵愛を受けたくてたまらない。


「んっ♡♡♡」


「んむっ♡♡♡くひひっ♡♡♡」


 そうして太白は一度、彼女にキスを返してしまった。

粘膜は温かく、瑞々しくて幸せな感触だ。

さらに満足そうな笑い声で、愛に応じる悦びが広がっていくのを感じる。

だが、一回した程度ではまるで満足できなかった。

むしろ、もっとしたくなってしまう。


「ちゅっ♡♡♡ふっ♡♡♡」


「ひひひっ♡♡♡んっ♡♡♡しゅきぃっ♡♡♡」


 部屋の中に何度も、水分の弾ける音が響き渡る。

しかも、強く粘着質な吸い付きから来る、大きく長い音だ。


 太白は口付けに溺れていく度、これまで守ってきたものすべてが崩れていくのを感じていた。

道徳、常識、紫苑村、人、神としての矜持、自分。

そういったものが頭に浮かんでは消えていく。

同時に、新しく守るべきものが出来ていくことも分かる。

鈴香という存在が、自らの全てになっていく。


「あっ♡♡♡んぅっ♡♡♡」


 それはとても心地好かった。

もう罪悪感や責任感など、それらによる重たい自責の念など、味わわなくて済むのだ。

愛する主と、心を満たす快楽の事だけを考えれば良くなる。


 身体や心だけでなく、魂まで堕落していくのが、手に取るように理解できた。

ひどく気持ちよくて、もっと耽溺していく。


「すきっ♡♡♡すきじゃっ♡♡♡すずかぁっ♡♡♡♡」


「っ♡♡♡嬉しいです……♡♡♡私もすき……♡♡♡太白サマ♡♡♡」


 思い浮かんだ言葉をそのまま吐き出せば、甘く応じられる。

幸せが胸の中へ広がり、もたらされる性感はさらに強くなった。

するとそのことを覚えた頭が、どんどんと気持ちをぶつけていく。

まさしく恋人同士といった睦み合いに、情事は際限なく加熱する。

愛する相手との間で行われるらぶらぶセックスはによる快楽は、これまでとは比べ物にならないほどだ。


「あっ♡♡♡すずかの魔羅っ♡♡♡チンポ膨らんでっ……♡♡♡♡」


「ひひっ♡♡♡太白サマの言葉が嬉しくて、またおっきくなっちゃいました……♡♡♡」


「っぁ……♡♡♡♡お゛っ♡♡♡♡」


 しかも悦んだ鈴香が、よりチンポを硬く大きくいきり立たせるのだからたまらない。

びくつきも増え、対面座位という動きづらい体位でも汚いオホ声が出て行く。


 答えるようにメス穴も引き締まると、実際だけでなく感覚的な大きさも増していった。

最早小さな身体の三分の一ほどは、チンポに占められている気さえする。

性具のようにして、自分を使ってたっぷりと快楽を貪って欲しくなる。


「すずかぁっ♡♡♡もっとお主のすきなようにしてよいのだぞ……?♡♡♡めちゃくちゃにしても……んひっ♡♡♡わしは構わぬっ♡♡♡」


「……♡♡♡♡ぢゅっ♡♡♡」


「んはぁっ……♡♡♡」


 思ったことをそのまま伝えると、鈴香は相当熱っぽい息を吐いた後、頬へ向かって吸い付いてきた。

先ほど痕をつけるために行ったキスと同じか、それ以上の強さだ。

親愛の情を示すような行為に、甘やかな官能が背筋を迸っていく。


「んっ♡♡♡……太白サマ♡♡♡激しいのも良いですけど、今日はいちゃいちゃしましょ?♡♡♡今までできなかった分……♡♡♡」


「っ♡♡♡♡うむ……♡♡♡そうじゃな……んむっ♡♡♡」


「あっ♡♡♡」


 蕩けるような言葉へ応じるように、太白も彼女の首筋へと強く吸い付いた。

十秒ほどそうしてから離れれば、そこには赤い印が出来ている。

上気した白い肌に浮く、自分がつけた独占欲や執着の証に、興奮は深まっていく。


「くひっ♡♡♡嬉しいです……♡♡♡ナカ、掻き回してあげますね?♡♡♡」


「んぉ゛っ♡♡♡はっ♡♡♡あひっ♡♡♡」


 そんなメスの姿に悦んだ「オス」は、円を描くように腰を動かし始めた。

ただ抱き合うだけでも擦れ、気持ちよかったモノは膣肉を舐る。

逞しい血管や尿道の膨らみで歪に出っ張るチンポによって、身体には燃え盛るような刺激が襲う。

結合部からは粘った音が響き渡り、様々な汁が混ざった濃い色の液体が零れた。


 自然と互いの抱き着きは強まって、溶け落ちそうな体温を交換し合う。

触れている場所はどんどんと汗をかいていき、生々しい交尾の匂いが閉じた部屋に充満する。

愛する相手を感じる幸せに、それぞれの絶頂は確かに近づいてきていた。


「んっ♡♡♡太白サマ……♡♡♡すきっ♡♡♡すきっ♡♡♡」


 こちらからも腰を動かし、淫らに解れた粘膜を押し付ければ、求愛が聞こえてくる。


「わしもっ♡♡♡すきじゃっ♡♡♡すずかっ♡♡♡すずかぁっ♡♡♡」


 応じると熱い先走りがナカに飛び散り、より敏感な、鈴香に対して弱すぎるチョロい女性器になっていく。

そうして彼女のための身体になるのは、今となってはひどく悦ばしい。

もっと深く、自分という存在の全てが「鈴香用」になったらどれほど幸福なのだろうと妄想してしまうほどに。

あまりに被虐的な考えではあるが、しかしマゾである太白にとってそれは相当魅力的だった。


「わしをっ♡♡♡おぬしのモノにっ♡♡♡おぬしせんようのメスにしてくれぇっ♡♡♡すずかぁっ♡♡♡♡」


「……♡♡♡♡♡」


 言えば、深く息を呑む音が聞こえる。

見上げると頭の中で考えを巡らせ、慈母のような、ともすれば悪魔のような笑みをたたえる姿があった。

逡巡する様子に賢そうな印象を受けて、膣穴と胸が疼く。

鈴香はやがてゆっくりと目を開いていき、こちらへ真っすぐな視線を向けてくる。


「分かりました♡♡♡次のえっちで太白サマの力全部頂いて、空っぽになった貴方を私の力で満たしてあげます……♡♡♡♡」


「ふあっ♡♡♡」


「そうしたら正真正銘私専用の、奴隷妻になれますよ♡♡♡魂まで全て私のものになって、絶対に離れられない……♡♡♡」


「んんんっ♡♡♡♡」


 告げられるのは、ひどく魅力的な提案だった。

聞いているだけで法悦が全身にこみ上げていく。


「なりたいですか?♡♡♡♡」


「あぁっ♡♡♡なるっ♡♡♡ならせてくれっ♡♡♡」


「くひひっ♡♡♡」


 即答すれば、再び満面の笑みを浮かべる彼女。

汗ばみ乱れた銀髪の間から覗く瞳は真剣そのもので、熱烈な感情が伝わってくる。

そして嗜虐的に、幸せそうに口の端を歪めており、悦んでもらえた嬉しさが心に満ち溢れていく。


「んっ♡♡♡」


「あむっ♡♡♡ふっ♡♡♡」


 どちらともなく唇を重ね、舌を絡め、止まっていた腰の動きを再開した。

上下の粘膜は相手と出来うる限りきつく密着し、気持ちよくなるために摩擦する。


 気づけばこれまでの応酬で身体にはたっぷりと快楽が溜めこまれており、すぐにメスアクメが近づいてきた。

目で訴えかければ鈴香も同じようで、激しい欲望が合致する。


「はっ♡♡♡むふ~っ♡♡♡んっ♡♡♡」


「お゛っ♡♡♡おひっ♡♡♡ほぉ゛~っ♡♡♡」


 すると二人はあらんかぎりの力で抱き合い、貪欲に肉をぶつけ合う。

周囲には肌と肌が軽く打ち鳴らされて、たぱたぱと水っぽい音が鳴り、汗や粘液が飛び散っていく。

最早言葉は無く、あるのはただ、肉体の奥底から発される官能の呻きだけだ。

本能に従うけだものたちは、なりふり構わずとにかく性器同士で互いを感じる。


「ふぅっ♡♡♡ふぅっ♡♡♡んむっ♡♡♡」


「はふっ♡♡♡は~っ♡♡♡んひっ♡♡♡」


 ナカにあるチンポが、寂し気に震えていた。

張り詰めていく亀頭に、尿道の中では何か濃いものが大量に通っていく。


 太白の全身は徐々に言う事を聞かなくなり、代わりに絶対的な甘みが占有し始める。

あらゆるものを凌駕する幸せが、彼に襲い来ていた。


「っ♡♡♡あっ♡♡♡――♡♡♡♡♡」


「ふ~っ♡♡♡♡――♡♡♡♡♡」


 絶頂状態に身体が切り替わり、どっと重たくなる。

腸壁にはおびただしい量の精液がぶっかけられていく。


 普通では味わうことのできない、鈴香が与えてくれるものは、深く深く根付いていった。

根源的な欲望として、本能が希求するものとして、決して逃れえないほど染みつき、魂を変質させていく。


 下腹部に刻まれた淫紋が、成長しきったのが分かる。

鈴香のものであるという証は、太白がそうなったことを表すように、アクメの間禍々しく輝き続けていた。





「あぁ……♡♡♡鈴香……♡♡♡すきじゃ……♡♡♡んっ♡♡♡」


「んむっ♡♡♡私もですよ、太白サマ♡♡♡んっ♡♡♡しゅきぃ……♡♡♡」


 深い絶頂を終えた後も、対面座位で繋がったままじゃれ合う。

長い前戯を経て始まった本番は、まだまだ序盤なのだ。

しかも互いに激しい性欲を持ち、愛する者同士でもあるとなれば、数回程度で済まないことは当然とすら言えた。


 太白は、自分の力がもう殆ど残っていない事を感じ取る。

その分、鈴香の「奴隷妻」に近づけているのだと思うと、悦びはそれだけで一度軽く達してしまうほど。


 対して彼女はかなりの神性を帯びていた。

最早かなり神に近い存在となっているようで、今ならば魂を弄ることも可能だろう。

そうして、力を吸い尽くされ空っぽとなった自分を、都合よく作り変えることも。


「んぇ……♡♡♡」


「あっ……♡♡♡」


 これから起こる事に想像を膨らませていると、唇は離れていった。


「くひひっ♡♡♡淫紋、完成しちゃいましたね♡♡♡」


「っ♡♡♡うむ♡♡♡お主のものであるという証じゃ♡♡♡」


「……♡♡♡そんなこと言われると、もっとつけちゃいたくなります……♡♡♡」


「あぁ♡♡♡好きなようにしていいのじゃぞ?♡♡♡この身体の持ち主はお主なのじゃからな……♡♡♡んむっ♡♡♡」


「ちゅっ♡♡♡」


 自らオスの愛欲や所有欲をくすぐることに、恥ずかしくもあるがひどく興奮してしまう。

意外なほどすらすら出てくる言葉に、元からこうしたかったのだと納得する。


「ぷは♡♡♡……あと私も、尻尾がまた一本増えちゃいました♡♡♡」


 鈴香は告げながら顔の横で、合わせて三本となった尻尾の先端を向けてきた。

揺れ動く複数の棒を見るだけでも、どう責められてしまうのだろうと期待が渦巻く。


「それに、自由に動かしたり、形を変えたりもできます……♡♡♡」


「うぁ……♡♡♡」


 すると言葉と共に、三本はそれぞれ形を変える。

いくつもの球体が連なったようなもの。

チンポに似た形で、表面には無数のイボが生えたもの。

先端に小さな臼をくっ付けたような窪みがあり、ちゅぱちゅぱと吸うことに特化したらしきもの。


 さらにどれもが粘液を滲み出させ、明らかにナカへ挿入する用途だと分かる。


「これを私専用になった太白サマに使ったら、どうなっちゃうんでしょうね……?♡♡♡」


「っ♡♡♡」


「もっと気持ちよくなる身体になるから、トんじゃうかも……♡♡♡」


「はぁっ……♡♡♡」


 密やかな、嗜虐的な声に、膣穴はひどく疼いた。

またイかせてもらいたくなる。


「すずかぁ……♡♡♡♡」


「はい♡♡♡♡」


「んぉ゛ぉっ……♡♡♡♡」


 ねだるような目を向ければ、鈴香は応じてくれた。

散々高められていた身体は、あっさりと法悦を広げ始める。


 既に、太白の頭には村人たちの慈愛は無かった。

というかむしろ、自分と同じように堕ちてしまえば今よりもっと幸せになれる、と歪な愛情が芽生えている。


 紫苑村を守っていた狐の神は最早、完全に悪へと、快楽とそれを与えてくれるオスに従順なただのメスへと、遂に堕落してしまったのだった。



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