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 太白が鈴香に催眠をかけられ、絶望に打ちひしがれてから六日目。

彼はふと思い出したことがあり、紫峰神社の奥にある物置に居た。


 全体に状態保存の術がかけられたそこは、あまり光が入って来ず朝だというのに薄暗い。

加えて、ここが建てられてから八百と数十年の間溜められ続けた物の数々が、几帳面に整理され並んでいた。


「確かここに――」


 その一角にある背の高い箪笥に付いた、多数ある細かな引き出しの内一つを開け、太白は中を探る。


「む」


 すると指先で、魔力を宿す羊皮紙の感触を見つけ、取り出した。

顔の前まで持ってきて、細長い円柱状に丸められた、念入りに状態保存の魔法がかかった巻物を開いていく。


「ふぅ……」


 中に描かれている文字を確認すると、彼は胸を撫で下ろした。

それはウヅメや鈴香たちを作り出した魔術師の長に貰ったもので、文字を読み上げれば彼らに伝わり、救援を求めることが出来る。

七百年前の自体を収拾し、彼らと別れる際保険にと渡されていた。

持っているのはこの一枚限りではあるが、確かに今使うべきものだろう。


「――」


 すぐさま描かれている事を唱えると、魔力が周囲へ広がる感覚と共に紙は消え去っていく。

あまりに味気ない発動で少し呆気に取られるが、しかしこれ以外縋れるものは無い。

期待と不安が交じり合い、鈴香に会って熱く身体を重ね合いたくなる。


 六日前、「半年の間紫苑村から出られない」、「絶望か発情するほど鈴香に会いたくなる」という催眠をかけられてから、太白はさらに追いつめられていた。

何せこんな状況に陥ったのは自分自身の浅はかさが原因だからだ。

いっそ自ら命を絶ってしまえば、全てのことが解決すると思うときもあった。

しかしそうして気が滅入り絶望する度、強烈な「会いたい」という衝動が心と身体を覆い尽くす。

行き過ぎれば自我を保てなくなりそうなほどに。


 しかも、成長した淫紋は絶えずじりじりと性欲を溜めこむだけでなく、時折活性化しては強い劣情を生み出すようになっていた。

そのせいでこれまで何度も、無意識的に彼女が居る異空間への扉を開いている。


「くそ……んはぁ……♡♡」


 もし読み上げた羊皮紙が駄目になっていたら、魔術師たちが既に滅んでいたら、という最悪の想像をしてしまう。

すると、頭は勝手に鈴香と会い情事に及ぶ妄想へと逃げ、発情は深まっていく。

この一週間足らずで何度、そんなことを考えただろうか。


 だが、彼は精神力、そして紫苑村の人々への思いだけを頼りに、外へ足を向ける。

もう明日には、楽しみにしていた夏祭りが控えていた。







「もう少しそっち上げてくれ~!」


「よし、いいぞ!そのまま下げて……」


 強い日差しが照り付ける中、視線の先では男たちがやぐらの準備をしている。

ここは紫苑村の中心地にある小高い丘の上で、夏祭りの最後、村の全員が集まって盆踊りを行うための場所だ。

地面は丁寧に草が刈られており、そこへ深く埋められたいくつかの太い木材の柱を、それぞれ繋ぐようにして足場が組まれていく。

そうして最終的に舞台が出来上がると、本番では選ばれた男子が壇上へ行き、大太鼓でリズムをとるのだ。


 さらに周囲では、女や小さな子供たちが明日出す食事の下ごしらえや作業の見物、補助をしており、活気に溢れている。


 太白はそんな彼ら彼女らに、暑さで倒れないよう加護を与えていた。

しかし、先ほど作業を手伝おうとしたら「見ていてください」と言われ、実のところ手持無沙汰になってしまっている。

軽い神性の行使程度では、暇つぶしにさえならない。


「ふふ」


 ただ、こうして楽しそうにしている村人たちを見ると、不思議と元気が湧いてくるのは確かだった。

安穏とした非日常の光景に思わず笑みが零れ、自分が守らなければ、という気力がみなぎってくる。


「うっ……♡♡」


 するとその時、突如淫紋が活性化し、身体が強く発情を始めた。

湿っぽく気怠い熱が下腹部から全身へと広がり、鈴香との交尾を強く求める。

尻尾や耳の毛は逆立ち、オスを誘惑する甘いフェロモンを放つ。

そして服の中で可愛らしい乳首が精いっぱい屹立し、早くもひくつく尻穴からはどろっとした濃い雌蜜が滲んだ。


「くぅ……♡♡」


 歯噛みをしつつ、だが周りにいる者たちにバレないよう平静を装う。

だが頭の中はあっさりと誘惑を受け容れ、この前のような様子を思い浮かべる。

六日前から発情の度浮かぶいやらしい光景は、日に日に現実感が増していた。


『ほら、気持ちいいですか?♡♡♡太白サマ♡♡♡』


 想像の中の彼女は、仰向けに寝そべる太白を大きく開いた目でじっとりと見つめつつ、正常位の体勢で腰を使って前立腺を虐める。

動きは緩慢だが粘着質であり、セックスの快楽を念入りに教え込むかのようだ。

掻き混ぜられた液体が卑猥な水音を奏で、あたかも実際に鳴っているかのように頭へ響く。

興奮で血の気を帯び、汗をかいた肌と肌が張り付く感触や、火照りきった体温すら感じられそうだった。


『あぁ……♡♡♡すずかぁ……♡♡♡んっ♡♡♡イきそうじゃぁ……♡♡♡』


 そこにいる、心底気持ちよさそうに顔を蕩けさせたメス狐。

外側が下がりきった眉と目はいかにも法悦に溺れきった様子であり、上に乗るオスへ熱っぽい視線を返している。

さらには手足まで首や腰へ自ら絡めに行ってしまっている始末で、開閉を繰り返す口から吐き出される息や、立ち昇る湯気が好色そうな桃色に見えた。

まさしく堕落しきった姿だと言える。


 あれは、近い将来の自分だと思った。


『あっ♡♡♡ふっ♡♡♡ふぅ゛っ♡♡♡すずかっ♡♡♡それすきぃっ♡♡♡』


 嬌声は媚びるようで、あまりにも高く甘ったるい。

加えて呼吸へ気だるげに上擦った低い喘ぎが重なっており、与えられているものの凄まじさを物語っていた。

普段決して出すことの無いそれは、ひどく脳内で木霊する。


 正直なところ、羨ましくて仕方がなかった。

ああして素直に交尾を貪れたら、ああして鈴香を誘惑出来たら、と考えてしまう。

そして考えは、自分がもっと自由だったら、という所まで及ぶ。

もし、紫苑村の人々という守るべきものを持っていなければ、どこまでも堕ちていけるのに、と。


「太白様!」


「っ!?……な、なんじゃ甚助か」


 そうした暗い思考は、急に声をかけられたことで中断した。


 見れば正面には甚平を着た大柄の男、甚助が立っており、背の高い影が出来ている。

一瞬かなり驚いてしまったが、すぐに平静を装い反応を返す。

だが、先ほど頭に浮かんだ事の手前、少し気まずい。


「すみません急に大声出して。驚かしちゃいましたか?」


「いや、よい。わしがぼけっとしておっただけじゃ。……して、何用じゃ?」


「あ、はい。やぐら、建て終わりましたんで報告しようと思って」


「おお、そうか。早かったのぅ。怪我をしたものなどはおらぬか?」


「はい!それに太白様の加護のおかげで、俺たちみんな楽に作業できましたよ!」


「ふふ、それはよかった」


 底抜けに明るく、熱心に慕ってくれている彼と話しているうち、自然と普段の調子は戻ってくる。

あれほど身を焦がしていた劣情も、多少残り不快ではあるが、堕落した考えと共に薄まっていた。


 身体を横にずらし、完成したやぐらへと視線を移せば、毎年見慣れた形に組み上がっている。

また、屋根と床には紅白幕がかけられており、早くも気分が高揚していく。


「あ、そういえば」


「む?」


 村人たちの努力に感心していると、甚助はおもむろに尋ねてきた。


「少し前結婚の挨拶に行った時、静の奴が太白様の様子がおかしかったって言ってたんですが、大丈夫でしたか?」


「あ、あぁ、あの日じゃな……」


 質問の内容に、太白はすぐその日の事を思い出す。

そういえば、彼らに結婚すると言われたのと、発情期の真っ最中だったこと、そして鈴香に襲われたのは同じ日の出来事だった。

全身を疼かせながら甚助と静に何とか応対した後、今も自分を悩ませ続ける事件が始まったのだ。


 フラッシュバックしてくる強姦の記憶に発情がぶりかえしつつも、どう返答するべきか思案する。

何が起きているのか、打ち明けるべきだろうか。

それともまだ、隠すべきだろうか。


「太白様?」


「う、うむ」


 答えに窮するのを見て、彼はかがんで目線を合わせてくる。

幼子にするような動作からは、しかし深い心配の感情が伝わってきた。


「あの日は……久しぶりに裏手の湖で泳いでの、そうしたらはしゃぎすぎてしまったのじゃ。それでお主らと会うというのに疲れていてのぅ……」


「あ、そうだったんですか!……いや~安心しましたよ。これで静も安心させてやれます。あいつ、結構気にしてたんで」


「うむ……」


 そうして、太白は咄嗟に嘘をつく。

動揺が声に出て、上擦ったり震えてしまわないように。

祭りを直前に控えた手前、少しでも台無しにする可能性があることはできなかった。


 あっさりと納得してくれた甚助に安堵し、胸をなでおろす。

だが、鋭い所のある静にはいずれバレてしまうかもしれない。

多少の不安と、それによる劣情が身体を重くしていく。


「それにしても、太白様にも無邪気な所があるんですね!なんだか得した気分です」


「阿呆、それくらいわしにもあるわ。――実は昔、わしはかわいくて優しいと村の女たちが奪い合うほど人気だったんじゃぞ?それで今はお主らに、わしへ恋慕の情を抱かぬようにしているのじゃ……」


「え~!」


「声が大きいぞ。このことはくれぐれも内密にな。伝えていいのは静にだけじゃ」


「はい……」


 とはいえ、こうして冗談で大きな反応を返してくれる彼を見ていると、暗い気持ちも少しは引っ込んだ。

やはり、村人たちとの交流は元気が出ると再確認する。

彼ら彼女らの送っている生活は、何より、ともすれば自分よりも守る価値があるものだ。


「では、そろそろ帰りますね。明日の祭り、いっぱい楽しみましょう!」


「うむ」


「あ、それと」


「ん?」


 そうして挨拶をし背中を向けようとした甚助は、何か思いついたことがあるようで再度振り返る。


「何かあったら相談してくださいね!まぁ、俺じゃあ力になれないかもしれませんが……」


「あ……うむ。その気持ちだけでも嬉しいぞ。ありがとうな、甚助」


「へへへ。では」


「あぁ」


 続く言葉に、心が温かくなった。

離れていくいつの間にか大きく成長していた背中を見送りつつ、これから行うべきことを考える。


 深く慕ってくれている甚助や村人たちのため、夏祭りに集中し、精いっぱい楽しまなくてはならない。

例え、自分がさらに絶望的な状況へ追い込まれたとしても。

優先するべきは、明らかに彼らだ。


 そして、太白は鈴香と会う事を決める。

あらゆる行動に支障をきたす劣情は、綺麗さっぱり消し去らなくてはならない。

そのためには彼女に会い、交尾する他無いのだ。

自慰程度では、満足することなど出来ない。


 そうして彼は、準備を終え帰宅する紫苑村の人々を見送ってから、自らも紫峰神社へと戻る。

しかし実際の所その決心には、うっすらと欲望が滲み出ていた。

想像の中で貪欲に喘いでいた自分のように、快楽を味わいたいという欲望が。







「ふ~♡♡♡」


 異空間へ入ると、こちらへ背を向けて立つ全裸の鈴香が悩まし気な息を吐いていた。

少し前のめりに生える白銀の猫耳が、今は気だるげに寝そべっており、時々彼女の甘い声と共に跳ねる。

そして腕は少し前方へと伸びていて、絶えず意味深な上下動を繰り返す。

同じように、どっしりと肉を蓄えて安定感のある尻も震えていた。

身体から大きく張り出すやや赤らんだ脂肪の塊は、湖面のように微細な波打ちを繰り返しその柔らかさを見る者に伝える。

しかも、多少開かれた脚によって支えられているからか、中央に出来た谷はどこまでも深い。


「くぁ……♡♡♡」


 明らかな自慰の最中だった。

しかも小屋の中へはおびただしい量の精液がぶっかけられており、メスを即発情させる異臭が放たれている。

きっと六日の間、溜まりやすい性欲を何度も何度もぶちまけ続けたのだろう。


「何をしておるんじゃ、お主は……♡♡」


「ん?」


 思わず鼻を鳴らしてしまいつつも、声をかける。

すると彼女は太白に気づいて振り返った。


「あ、ようこそ太白サマ♡♡♡くひひっ♡♡♡太白サマがあんまりにも来てくれないから、自分でシてるだけですよ?♡♡♡」


「うぁ……♡♡♡こんな、わしの作った空間を汚して……♡♡♡」


「え~♡♡♡じゃあ太白サマもこんな風にどろどろのぐちゃぐちゃにしてあげましょうか?♡♡♡」


「っ♡♡♡たわけたことをっ……♡♡♡」


 相変わらず、癇に障りつつもどこか劣情をくすぐる高い声だ。

会話しているだけで奇妙な苛立ちが生まれ、生殖本能が顔を出してくる。

さらに調子も狂わされてしまう。


 そして、鈴香は喋っている間も手を止めていない。

刺激され続けているチンポは、気持ちよさそうに大きく雄々しい痙攣を繰り返していた。


 唇のように軽くふっくらした尿道口が、白い人差し指の腹で何かを塗り広げるみたく愛撫される。

当然狭くなった噴出孔からは大量の先走り汁が勢いよく弾け、巨大な赤黒い亀頭や床へと飛び散っていく。

畳へ落ちた時の音は、かなり重そうだ。

塗り広げる動作は徐々に大きな円を描き、歪にカリ部分が出っ張る粘膜へさらなる光沢をもたらしていった。

ぬめりを帯びた肉塊は、紫色の霧が幻視できるほど濃密な色気を放ち、オスメス関係無く視線を釘付けにさせてしまうだろう。


「ひひっ♡♡♡」


「あっ♡♡♡」


 そのまま手は、モノに纏わりつく白濁や粘液を掬っては滑りを増していく。

細長く伸びてたおやかな美しさを持つ五指に、穢れた欲望の象徴みたいな汁が絡んでいくとひどく背徳的に見える。

やがて開いて閉じてを繰り返し、にちゃにちゃと音が鳴るようになると、根元を掴んで先端まで一気に扱き始めた。


 40センチはあろうかという砲身に対するストロークは長く、豪快だ。

腕全体を使ったやや乱雑にも思える動作は、ともすれば自慰とは思えない。

どちらかと言えばそれは、こびりついた汚れを強く擦って磨き上げるための動きであり、一見痛そうだ。


 しかし、それがかえって彼女の持つ魔羅の、一般的な男性器との歴然とした差を際立たせていた。

恐らく痛みなど微塵も感じていないのだろう。むしろかなり気持ちよくなっているようで、先ほどから尿道口は先走りを吐き出し続けている。

さらに全体が、中に専用の心臓でも持っているみたく強く脈打つ。


 まさに、貪欲に快楽を求める性器と言えた。

雄々しい威容を持ちつつ、ある種浅ましくもある姿に見惚れる。

性欲旺盛なオスが携えるモノとして、あまりにも相応しく、恰好がいい。


「ふぅっ♡♡♡ふぅっ♡♡♡」


 後孔からは既にメス蜜が濃く滲み、垂れ始めていた。

濡れ、肌に張り付く袴の感触が少し不快で、早く脱いでしまいたい衝動に駆られていく。

甘酸っぱい匂いが漂いだしているのが、自分でも分かる。


「ふ~っ♡♡♡」


 だというのに、ただオナニーを続ける鈴香。

誘ってくることも、襲ってくることも無い。

それどころか、徐々に呼吸を荒く心地良さそうなものへ変化させ、射精に向けて集中している。

少し肉が付いている程度に引き締まった腹筋が、息をするのとは別に忙しなく痙攣を繰り返す。


 しかも向けられている舐め回すような視線からして、太白は自慰の材料にされているようだった。

下卑た目から視姦されて暗い悦びが湧きつつも、交尾で劣情を解放できない苛立ちは募っていく。

そのためにわざわざ、危険を承知でこの場所へ入ったのだ。


「い、いつものように襲わぬのか……?」


 しびれを切らし、直接尋ねる。


「う~ん。一人でも十分気持ちよくなれるんですよね~♡♡♡暇だったので気持ちいい触り方いっぱい研究出来ましたし♡♡♡それに今は、太白サマっていうオカズが来てくれたので♡♡♡」


「っ♡♡♡」


「あとぉ……♡♡♡私とえっちしなきゃいけない理由があるの、バレてますからね?♡♡♡」


「なっ……」


 すると返ってきた答えに、心を読まれたのかと驚いてしまう。


「くひっ♡♡♡やっぱり♡♡♡カマかけて正解でした♡♡♡」


「くっ……お主……」


「でも、この状況で太白サマがここに来る理由なんてそれしか無いですよね?♡♡♡攻撃手段を封じられてる今、襲われたらろくに抵抗できないわけですし♡♡♡」


「う……♡♡♡」


「それに、えっちな気分になると私に会いたくなるようにしてあげましたから♡♡♡」


 だが、実際はそうでは無かった。

考えてみればすぐ分かる事なのに、鈴香と対面するとペースが乱され、気づけない。


 であれば、と拘束して無理矢理性交に及ぼうとする、

彼女の思いを無視した行為ではあるが、村人たちのためならば致し方ない。

というかそもそも今行われていることはどうせ、意地の悪い鈴香による単なる茶番に過ぎないのだ。


「あ、無理矢理しようとしても無駄ですよ♡♡♡今なら淫紋を通じて、太白サマが全く気持ちよくなれないようにできますから♡♡♡」


「なんじゃと……?」


 しかし、その考えすらも打ち砕かれる。

場を有利にするためのハッタリである可能性もあるが、拘束術を断行して機嫌を損ねるのは得策ではないかもしれない。

雁字搦めにされ、動くことが出来なくなった。


「あ、でもぉ……♡♡♡」


 すると、鈴香は唯一の道を提示する。


「太白サマがどうしても、って言うならシてあげてもいいですよ?♡♡♡いくらでも、望むように……♡♡♡」


「ふぁ……♡♡♡」


 低くハスキーに囁かれた言葉は、脳内にすぐさま数々の想像を生む。

荒っぽく腰を打ち付けられるけだもの交尾や、嘲られながら尻尾だけで何度も絶頂させられる屈辱の責め。

さらには屋外で抱え上げられ、結合部を周囲へ見せつけるような体勢での情事を。


 そして、ここに来た目的も思い出させる。

どちらにせよ、明日からの夏祭りを目一杯楽しむため、ここで要求を呑むほか無いのだ。

重い口を開く。


「わ、分かった。頼む。お主と、その、ま、まぐわいをさせてくれ……♡♡」


「ひひっ♡♡♡それじゃあ、誠意を見せてください♡♡♡」


「誠意……?」


「はい♡♡♡う~ん、それじゃあ、服を脱いで土下座でお願いしてもらおうかな~♡♡♡えっちさせてください、って♡♡♡」


「なっ……♡♡」


 慣れない単語を何とか言い切ったのも束の間、さらに屈辱的な要求が飛んできた。

彼女に土下座をするだけでも嫌なのに、全裸で、という辱めを加えられるとは思いもしていない。

神として、存在としてのプライドが拒否反応を示す。


「いっ、いやじゃっ……」


「ふ~ん♡♡♡それじゃあ、えっちは無しってことで♡♡♡まぁ私は太白サマをオカズに気持ちよ~く精液出させてもらいますけどね♡♡♡」


「っ♡♡♡」


「あ、もしちゃんとお願いしてくれたら、ご褒美として精液かけてあげますよ?♡♡♡」


「そんなことっ……♡♡」


 しかし、それではここに来た意味が無いのだ。

ただ劣情を煽られ、自分で自分をより追いつめたという結果が残るだけ。

選択を無意味にしないため、やはり鈴香の言う事を聞くべきかもしれない。


 太白のそうした考えの中には、村人たちへの思いの他、劣情も滲み出していた。

実際の所精液をぶっかけられ、セックスをしたかったのだ。

少し前から乳首は勃起したままひくつき、尻穴も同様に蠢いてはいやらしいよだれをたっぷりと垂らしている。


「くっ♡♡♡」


「くひひっ♡♡♡」


 要求を呑み、まずは帯から解いていく。

小屋の中には衣擦れの音と、チンポをねちょねちょと扱く音、そして荒い息遣いが響いていた。


 なるべく気にしないようにしているが、向かってくる視線は驚くほど下品だ。

獣欲に穢れきっており、袴越しにある白い肉体を透かさんばかりに見てきている。

これまで散々抱いているのに飽きたりはしないのだろうか、と思うが、全くその気配は無い。

むしろ、何度も見た肢体を思い浮かべているのだろう、始めの頃よりもずっと目つきはいやらしかった。


 さらに射精のタイミングを計っているのか、自慰は緩やかになっている。

溜めた快楽を逃さず、だが決して限界を迎えないように、長い竿部分だけが扱かれていく。


「ふ~っ♡♡♡」


 まず紅の衣服を床へ落とすと、股関節の辺りが凝視されだした。

太腿やペニス、腰が細い針に刺されるようで、むず痒い疼きに曝される。

反射的に脚をすり合わせると、お気に召したようで彼女の手の動きは速度を増す。

つんとした鼻をつく我慢汁の匂いが、少し距離があるにも関わらず濃く漂ってきた。


「太白サマの身体、少しずつすけべになってませんか?♡♡♡お腹の淫紋も相まってすごくえっちですよ♡♡♡」


「そんなことっ……♡♡♡」


 続けて白衣も脱ぎ全裸になれば、裸体を揶揄する言葉が飛んでくる。

咄嗟に否定はしたものの、彼女の言っていることは正しかった。

交尾を繰り返す度、全身に、その中でも特に下半身に肉が付いてきている。

中でも淫紋が刻まれた後行われた六日前の情事では、変化が大きかった。


 本来神の肉体は、神性を用いて神自身が望むように変化、もしくはある程度固定できる。

にも関わらず意識せずに変化しているのはつまり、太白が心の奥底ではそれを望んでいるからに他ならない。

その事実が嫌で考えないようにしていたが、こうして言われると本当に思ってしまう。

普段拒否しているが実際の所自分は、鈴香を誘惑して、何度も何度も交尾したいのではないかと。


「お尻から粘っこいのが垂れてますよ?♡♡♡これから土下座させられるのに、そんな興奮してるんですか?♡♡♡」


「うるさい……♡♡お主が放つ匂いのせいで勝手に垂れるだけじゃ……♡♡」


「くひひっ♡♡♡ほんとかなぁ♡♡♡……それじゃあ私にお願い、してくださいね?♡♡♡」


「う、うむ……♡♡」


 膝を折り、三つ指をついて見上げると、身長の差が改めて分かる。

天井へとそびえ立つような、興奮で赤らみ所々はより深い薔薇色に染まった肉体が威圧的で、どこまでも高く見えた。


 劣情でぎらつきながら見下ろしてくる釣り目は、狂気的なまでにかっ開かれて「オカズ」がこれから行う事を見逃すまいとしている。

きっとひれ伏した恥ずかしい体勢が、あの大きい瞳に余さず焼きつけられてしまうのだろう。

そしてそれが終わればしなやかでハリのある腕、程よく肉の実った胸に抱かれ、たっぷりと愛されてしまうのではないか。

もしくは、大量の脂肪をつけた重たく豊かな腰を打ち付けられ、派手な音を響かせながら幾度も精液を注ぎ込まれてしまうのかもしれない。

期待が異様なまでに膨らみ、自然と頭は下がっていく。


「ふぅッ♡♡♡すずかっ♡♡♡わ、わしと……♡♡♡わしとまぐわってくれっ……♡♡♡♡」


「……♡♡♡♡」


 やがて額が畳へ着きそうになると、太白は言葉を発した。


 こういて土下座していると、自分の立場が猫亜人より下なのだと、心がどこか本気で思う。

自分は彼女に抱かれ、襲われるのではなく、これからは彼女に抱いてもらう側なのだと。


 本来は間違った認識であるはずだ。

鈴香は侵略者であり、力を奪い取るためなんとしてでも太白と行為に及ばなくてはならない。


 だというのに、そう考えるとどこか嬉しく、安心してしまった。

優秀なオスである彼女に支配され、屈服し服従する悦びが常識にもやをかける。

駄目だと分かっていても、こみ上げるような心地好い震えが止まらない。


 どうにか、それを止めようとする。


「そろそろ出ます♡♡♡約束通りかけてあげますね~♡♡♡……ふ~っ♡♡♡♡」


「ふぁっ♡♡♡」


 だが、その瞬間射精が始まった。

精液が髪や背中、ゆらめいていた四本の尻尾へと命中していく。


 液体は欲望の強さを表すみたく熱くて、同時に重たい。

にも関わらずやたら粘っこく、付着したところにしつこくへばりついてはじくじくとむず痒い快楽で焦がし続ける。

しかも量が多くて狙いも的確なのか、かなりの広範囲が黄白色に汚されていく。

放たれる臭気は新鮮で、頭を劣情で茹で上がらせた。


「そのまま続けてくださいね~♡♡♡あ~濃いの出てる……♡♡♡」


「っ♡♡♡」


 さらに、身体はぶっかけられていく事実を愉しんでいる。

決して動かず土下座したまま与えられるものを受け容れ、上下の口からは火照ったよだれを垂らす。


 また、聞こえてきた呟きすらも耳ざとく聞き、いつもより興奮してもらえたらしいことに興奮していた。

背筋には甘ったるい痺れが迸っていき、萎えたままのペニスからは薄い汁が滴っていく。

そして、身体の中にある淫核が、激しく脈打っては多幸感を全身へ広げた。


「っぁ……♡♡♡♡はぁっ♡♡♡はぁっ♡♡♡」


 絶頂ほどではないがややずっしりとした法悦に侵食され、腰が小刻みに痙攣する。

手足はぬるま湯に浸かったような気怠さで、あまり動かしたくない。


 確かに淫紋によってひどく肥大化した劣情があったが、触れられもせず軽イキするのは異常と言えた。

太白の肉体はもう、それほどまでに堕落しきってしまっている。

つられて心まで堕ちきるのは、時間の問題だった。


「ふぅ♡♡♡」


 やがて、少しずつ勢いを減らしながらオスの絶頂は止まる。

同時に太白の身体もわずかばかり平静を取り戻す。


 全身にはおびただしい量の精液がかけられており、特に狐耳や髪はぐちゃぐちゃだ。

粘り気によって飴がくっついたみたく毛が絡まって、不快に黄ばんだ毛玉を作り出している。

ただ穢されるだけでも嫌なのに、こうなればきちんと浄化しない限り取りきれない。

誇りを侮辱されているような気持ちだった。


 だが時間と力を使って整えたものを、何より体液で台無しにされることへ、ひどく被虐感も覚える。

二つの感情が渦巻いてどうにも抗議することが出来ない。


「それじゃ、お待ちかねのえっち……♡♡♡しましょうか♡♡♡顔上げていいですよ♡♡♡」


「う、うむ……♡♡待ってなどいないがな……♡♡っ♡♡♡」


 すると交尾の許可が出て、前半を否定しつつも従う。

上体を起こすと見えてくる、後ろに手を付き脚を伸ばして座る鈴香。


 先ほどより目線が近づいて威圧的では無くなったが、それでも身長の差は大きい。

自分が少し前傾しているのもあって頭二つ分ほど高く、降り注ぐ視線は体勢も相まって未だ立場を分からせてくる。

しかも、目つきは蠱惑的だ。

全てを受け容れるように甘く、心の底にある下卑た欲望すらも肯定する底知れないいやらしさがある。

きっと思うまま快楽を貪ったとて、くすぐるようにからかわれることはあっても根底から否定されることはないのだろう。


 そして股座では、真っすぐそそり立ったチンポが食虫植物さながらに、獲物を見た目と匂いで誘いつつ揺れていた。

少し離れた場所でさえ、独特の磯臭い香りが濃く漂う。

さらに先端は先ほど吐き出された新鮮な精液が少し付着し、黄白色の向こうに淫猥な濃い紫色をした粘膜がある。

我慢汁でコーティングされ滑りやすい亀頭にもしがみつく様子は、作った者の粘っこい性的欲求を想起させた。


 あれをついに味わえるのだと思うと、尻穴の蠢きは最高潮になる。

疼きも強くて、太く硬い棒で満たされなければもう収まりがつかない。

太白は立ち上がり、よろよろと惚けた足取りで近づいていく。

やがて導かれるまま、より身体を倒した鈴香の上体と肉棒の間に膝立ちで入った。


「くひひっ♡♡♡」


「ふぁ……♡♡♡」


 欲望を刺激する彼女の甘酸っぱいフェロモンを嗅ぐと、手は自然に動いて後ろ手でモノを掴んだ。

そのまま自分の尻へと近づけていけば、やがて熱く濡れた物が双丘の下側へ当たり、掻き分けて奥へ進む。

たったそれだけの動作でこれまでの挿入が強くフラッシュバックし、既に準備ができている後孔をもっとほぐれさせていく。

するとようやく、互いの最もすけべな場所が触れ合う。


 前戯など必要無いと思った。

というか、ここまで来てさらに耐えることなど今の彼には無理だった。


「っ♡♡♡あぁぁぁっ♡♡♡♡」


「は~♡♡♡ナカあっつい……♡♡♡」


 すぐさま腰を押し付け、亀頭を腸内にめり込ませる。

「入口」が愛おしい物体に割り開かれていく感覚で思わず声が出て、思考力が痺れていく。

まるであるべきものが帰ってくるような心地だ。

腸壁は殺到して隙間なく抱き着き、カタチを正確に伝える。

形状はいつも通りだが、硬度はいつも以上な気がした。


 続けて伸ばしていた膝から上を緩め、受け容れていく。

恭しく狭まり待っていた、たっぷりとした粘液に塗れた肉ひだたちは、緩やかな抵抗で摩擦を生みつつチンポを歓迎する。

六日と少しおあずけにされていた身体は、肌という肌が粟立つような悦びを味わっていた。


「はッ♡♡♡お゛ひぃっ♡♡♡♡」


「ひひ♡♡♡前立腺、すごいどくどくしてますね♡♡♡」


 そこへGスポットが潰され始め、快楽は倍増していく。

体勢ゆえ腹側へ向けての反りが強く、挿入していく度ごりごりとひどい擦られ方をする。

あまりに強い法悦によって呼吸は途切れ途切れになり、膝が笑いだした。


 そして、脚は脱力しきって全身を支えきれなくなり、尻が鈴香の下腹部へと落下する。


「ッほぉ゛っ♡♡♡♡イっぐぅ……♡♡♡♡――♡♡♡♡」


「あれ♡♡♡イっちゃいました~?♡♡♡」


 すると未だ三分の一ほどしか入っていなかったデカ魔羅が一瞬で最奥を突き、ナカを著しく愛撫したことで、太白は一瞬でアクメを迎えた。

柔らかな腰の上で、上体を逸らし目を上向かせながらぐったりした四肢を痙攣させる。


 腸壁は万力みたく狭まり、ひくつきつつチンポに縋っていく。

動きはイかせてくれたことへの感謝を示すみたいで、ひどくオスに媚びていた。

思考力が薄まる絶頂中において、それは肉体のすけべなメス化を痛いほど表している。


「は~っ♡♡♡は~っ♡♡♡」


 数分ほどするとようやく多幸感が引き、嬌声交じりの荒い息を吐く。

全身は甘く痺れ重たいが、しかしまだまだ足りない。


「よいしょっ♡♡♡」


「あぐっ♡♡♡」


 そうしてそろそろ二回戦が始まるかという時、鈴香は手を枕にしつつ畳へ寝そべった。

騎乗位になると中のモノの反りは増し、先ほどまでよりもきつくGスポットや膣肉へ食い込むようになる。

腹を見れば、へその上辺りは内側から膨らまされていた。


「それじゃ、自由に動いていいですよ♡♡♡太白サマがシたいように、私のチンポ使ってください♡♡♡」


「っ♡♡♡」


 続けてそう言葉を発してくる彼女。

視線を向けると顔、中でも口元がやたらいやらしい。

薄桃色の薄い唇は両端が歪み、上品な印象にふさわしくない意地の悪い笑みを浮かべていた。

艶めきひどく柔らかそうな閉じた蕾が劣情を強くそそり、「どういうセックスを見せてくれる?」という持ち主の愉悦を言外に語る。

期待の通り、浅ましい姿を見せつけてしまいたくて腹の底が疼く。


 思えば今まで、敵対した精神状態の時に自分から動くことはあまり無かった。

前戯ではいくらかあったが、こと挿入後となると特に。

無意識的に腰を振ってしまうことはあったにしろ、自らの意思かと問われれば少し違う。


 しかし今回はつまり、完全に自らの意思で交尾をしなくてはならないらしい。

それは、敗北にかなり近しい行為だ。

村人のためという大義名分があるとはいえ、少しだけ拒否感がある。


「ほら、いいですよ?♡♡♡私のチンポで存分に気持ちよくなって、えっちな気分を発散しちゃいましょう?♡♡♡」


「くぅぅ……♡♡♡」


 そうして手をこまねいていたが、誘惑するようにチンポがナカで痙攣するとたまらない。

食い込みは確かに心地いいが、一瞬では物足りなかった。

呼吸の身じろぎによってなされる若干の擦れも、僅かな抵抗を確実に削り取っていく。


 やがて、太白はとにかく一度だけ動いてみるという選択肢を選んだ。

少し気怠い腰を持ち上げる。


「ふぁぁっ♡♡♡あっ♡♡♡あっ♡♡♡」


「くひひっ♡♡♡」


 すると中毒性の強い多幸感が全身へ迸り、あっさりとピストンを止められなくなった。

反ることで高すぎるカリと共に巨大な返しを作った先端や、血がぎちぎちに詰まってひどく硬い竿に淫肉を掻き毟られ、欲望が抑えきれなくなったのだ。

上下運動の度くちょくちょ、ぷちゅぷちゅとすけべ汁が卑猥な音を鳴らし、耳からも快楽が入り込んで一気に頭を快楽で染め上げる。

さらに鈴香の腹へ手をつき、全身の力を使いながら一心不乱にメス穴でオス魔羅を貪っていく。


「はっ♡♡♡いっ♡♡♡はっ♡♡♡いいのじゃっ♡♡♡これぇっ♡♡♡はひっ♡♡♡」


「は~えっろ♡♡♡かわいいですよ、太白サマ♡♡♡」


 彼女は腰を掴み、抽送を支えてきた。

そして情事に溺れる狐の神を、じっとりと穴が開きそうなほど視姦してくる。


 まず見られているのは顔だった。

よほどはしたない姿を晒してしまっているのだろう。時間は長く、肉棒の反応もいい。

言葉を紡ぐ度、喘ぎ声を漏らす度、各部位が痙攣する度、熱い先走りがナカへ注がれていく。

また先ほど精液で汚され、ぐちゃぐちゃに纏まって乱れてしまっている髪の毛も、きっと堪能されている。

性格が悪く支配欲が強いのだから、身体を穢されたままヨがる獲物の姿など、あまりに興奮するはずなのだ。


「触られてもないのに勃起しちゃってる乳首はぁ……♡♡♡後で沢山可愛がってあげますからね?♡♡♡」


「っ♡♡♡ふぅっ♡♡♡ふぅっ♡♡♡」


 やがて視線は胸元へと移る。

期待を煽るように言及されたのもあって、そこは厭らしい目つきに対して敏感さを増していた。

何故か、何本もの細い針で性感を同時に何か所も直接刺激されているみたいな気に陥る。


 しかし、求めているのは長細い白指にいじくられ、撫でられ、捏ね回されることだった。

触れられなければ切なくて、思わず身体をくねらせ、胸を突き出して誘惑してしまう。

だが決して愛撫されることは無く、聞こえるのは上機嫌そうな笑い声のみだ。

弄ばれる暗い悦びに、膣は嬉しそうに締まる。


「あとお尻、やっぱり大きくなってますね?♡♡♡それに柔らかくて、触ってるだけで気持ちいいです♡♡♡」


「ふあぁぁ……♡♡♡ひぅっ♡♡♡おふぅっ♡♡♡」


 続けて腰を支えていた手は目線と共に尻へ移動した。

さすり方は自分の物だと主張し、感触を愉しむような粘っこさで、時には掴まれて背筋に怖気が走る。

なんとなく拒否感があるのに、そのせいでかえって感度が増し、厭らしさがはっきり伝わってきた。

もたらされるのは力が抜けていく快楽だったが、ピストンは止まらない。

というか、ぞわつきも相まって次第にアクメが鎌首をもたげていた。


「太腿もむちむちしてきてますね~♡♡♡太白サマのカラダ、どんどん私とえっちするためのカラダになってきてませんか?♡♡♡」


「んひっ♡♡♡そんなっ♡♡♡フーッ♡♡♡♡ちがっ♡♡♡あぁっ♡♡♡」


 今度は太腿が尻と同じ手つきで愛撫され、ひどく品の無い揶揄も飛んでくる。

さらに先ほどから萎えっぱなしのペニスには目もくれられないことで、自分は鈴香から見てもうメスなのだと実感させられてしまう。

それも、下卑た扱いでも歓喜する淫乱なマゾメスだと思われているはずだ。


 実際そうした屈辱がさらなる多幸感を呼び、どんどんと絶頂を近づけさせている。

抽送も自らしていることだというのに気づけば相当早く、濡れた肌同士が強く打ち合って水っぽい音が大きく鳴り響く。


「じゃあほら、好きなようにイっちゃいましょう…‥?♡♡♡私のチンポを好きな所にぎゅ~って当てて、きっついマゾアクメしちゃいましょう……?♡♡♡」


「あっ♡♡♡お゛ふぅぅぅ……♡♡♡♡んぉ゛っ♡♡♡」


 イきそうな時、そんなことを言われてしまえば誘惑に耐えることは出来なかった。

一度動きを止め、前傾していた骨盤から上を仰け反らして、チンポをマンコへより食い込ませていく。

角度が付いていく度、法悦はじゅわじゅわとナカから大量に滲み出し、頭をぐちゅぐちゅに煮立たせる。

特に下腹部を反らせると、前立腺がぶっ潰れてしあわせが感覚を犯す。


「あぁあぁっ♡♡♡クるぅ♡♡♡クるのじゃぁっ♡♡♡♡ふひゅぅっ♡♡♡」


 最早止めることなど太白には出来ない。

自分に自分でとどめを刺すため、腰を浮かせていく。

そして出来る限り持ち上げると、鈴香へぶつけるような速度で一気に腰を落とした。


「っ♡♡♡――♡♡♡♡♡」


 瞬間尻穴から「気持ちいい」が噴き出し、すぐ肉体全てを支配する。

同じように精神も何か暗く心地よい世界へと入り、多幸感に酔いしれていく。


 あまりの好さに、現実味は薄れていった。

思考力が溶け、空っぽになった頭にはメスイキのことが詰め込まれる。


 彼は少しの間、絶頂を享受する男性器や女性器そのものとなっていた。





「はっ♡♡♡はっ♡♡♡はっ♡♡♡」


 深いメスイキを味わってなお、太白は余韻が抜けきるとすぐさまピストンを再開していた。

段々と動くことに慣れてきており、小さな身体を鈴香の腹へついた手で支えつつリズミカルな上下を繰り返す。

しかもおびただしい量分泌されている愛液によって、交尾で発生するすけべな音は粘度を増している。

肌が打ち合う度、チンポとケツマンコが擦れ合う度、にちょにちょ、ぐちゅぐちゅという恥ずかしい響きが耳へ届いた。


 当然ナカはぬるぬるで、滑りはひどくいい。

その分腸壁がみっちりとチンポへ絡みつき、一際敏感な亀頭やカリへいくつものひだを使い、よだれたっぷりの舌で舐りまわすみたく奉仕する。

すると媚薬である体液が相まって、「奉仕する側」も強烈な快楽を味わっていた。


「私のチンポ気持ちいいですか~?♡♡♡」


「いっ♡♡♡いやっ♡♡♡よくなどっ♡♡♡んひっ♡♡♡ないっ♡♡♡」


「くひひっ♡♡♡でもこうしてあげると~……♡♡♡」


「んはぁっ♡♡♡う゛ぅぅ゛ぅぅ……♡♡♡♡」


 その事実を鈴香には認めたくなくて強がるが、下から腰を揺すられれば低く濁った喘ぎが出てしまう。

同時に肩は力が籠って窄まり、首が丸まる。

しかし抽送は貪欲に止まらない。

淫乱なメス狐の本心が、言葉などよりも明確に彼女へ伝わる。


「ねぇ太白サマ♡♡♡そうやって動くだけじゃなくて、少し腰を浮かせて前後にぐりぐりするのも気持ちいいですよ?♡♡♡あ、お腹から下だけを使うともっと、です……♡♡♡」


「っ♡♡♡ふ~っ♡♡♡ふ~っ♡♡♡はふっ♡♡♡あぁっ♡♡♡」


 応じるように飛んできた提案へ、身体は素直に従った。


 言われた通り浮かせた下腹部で前後運動を繰り返すと、腸内でチンポが大きく暴れる。

前へ行けば先端が腹に、後退すれば竿の中腹、尿道による出っ張りが背中へ著しく食い込む。

しかもそれぞれきつく締まる括約筋が支点となっており、入口までも同時に愛される。


 膣は、半ば恋に堕ちてしまっているモノとの濃密な接触でたいそう悦んだ。

より粘っこいすけべ液を分泌し、自ら蠕動してかき混ぜ「二人」の愛の汁を作る。

結合部から時折吐き出されるそれは、尻穴の感覚だけでも分かるほどやたらにどろどろしていた。

さらにオスとメスのフェロモンが放たれ、異様に甘ったるすぎる性的な臭気を立ち昇らせていく。

嗅ぐと快楽も相まって思考がぼやけ、新たな動き方に夢中になってくる。


「ひひっ♡♡♡腰の動きすごくえっちですよ♡♡♡身体がえっちなのもあって、チンポにキます……♡♡♡」


「ぅ……♡♡♡はっ♡♡♡はっ♡♡♡あひっ♡♡♡」


 下半身を滑らかに波打たせると、忙しなくびくつくデカマラ、そして反応する鈴香の身体。

中でも手が、軽く掴み続けている太白の腰、そして臀部から興奮を伝えてくる。


 指は力が籠っており、蓄えられた脂肪が揉まれていく。

緩かった動作は徐々に身勝手さを増していき、もにゅもにゅと感触が愉しまれた。

かと思えば今度は肌を艶めかしくさすり、たまに媚肉を引っかけてはできたたるみを親指と人差し指が捏ねるみたく弄ぶ。

さらには時折痙攣し、先端が強く食いついた。


 それらは愛撫に等しく、絶えず悩ましいぞわつきが全身へ滲んでいく。

結果腰は震え、互いの性器に予測が出来ない快楽をもたらした。


「そうだ♡♡♡ここも触ってあげますね♡♡♡」


「なっ♡♡♡くぁぁぁっ……♡♡♡♡」


 続けて彼女は右手で、太白の淫紋を撫で回す。

すると何故だか、前立腺が直接触れられているかのような感触が押し寄せる。

しかもやたら詳細で、関節や指と指の間にある段差、微かな力の入れ具合さえ知覚できた。

普段、腸壁越しでしか触れて貰えないそれは、深い幸せを広げていく。


「なんじゃこれぇっ……♡♡♡うぅぅ……♡♡♡」


「びっくりしました?♡♡♡その淫紋は魔力を流しながら触ると、その人の一番気持ちいいとこを直接刺激できるんです♡♡♡ほら、こうやって押し込んであげると……♡♡♡」


「ふぁぁぁっ♡♡♡」


 囁きと共に下腹部が押し込まれ、応じるみたく実際に潰されているのが分かる。

同時に反対側からはチンポが食らいつき、挟まれた。

そして肉体は浅ましくもより気持ちよくなろうと、自らの力でもそそり立つ棒に弱点を押し付けていく。


「ひっ♡♡♡イっ♡♡♡ごれっ♡♡♡とけっ♡♡♡」


 強烈な快楽の過剰摂取で意識がすぐ混濁し、全身に鳥肌が立つ。

呼吸は短いものが途切れ途切れになり、深い痙攣が身体の底からこみ上げてくる。

四肢が強く強張り、まるで制御が出来なくなった。

全く予兆が無かったはずなのに、太白は一瞬で絶頂へと昇らされていく。


「お゛ッ♡♡♡♡イぐぅっ♡♡♡♡――♡♡♡♡」


 普段のとは違う、突き上げるように始まったアクメは、しかしいつも通り甘ったるい多幸感を連れてくる。

ともすれば苦しさすらあった直前までの法悦から解放され、天国に居るような気になった。

強く肉体が脈打つ度、心地好い痺れが迸っていく。

「溜め」が少なかったのもあって時間は短かったが、その分得られたものは濃厚だった。


「くひひっ♡♡♡一瞬でイっちゃいましたね?♡♡♡」


「はーっ♡♡♡こんなっ♡♡♡はーっ♡♡♡たやすくっ♡♡♡」


「それだけ太白サマの身体が、ナカも、もちろん外もえっちになっちゃったってことじゃないですか?♡♡♡」


「っ♡♡♡くぁぁ……♡♡♡」


 絶頂が落ち着いてくるとからかう声がして、変化を揶揄する言葉も続く。

悔しいのに未だ重たい劣情は残っており、自然と腰は前後運動を再開する。


 鈴香は、自分が言った通り浅ましく行動する太白を悠々と眺めてきていた。


 特にひときわ羞恥心をくすぐる大きな目。

紅潮したまぶたは粘っこく垂れ愉しげで、だが奥にある薄茶色の瞳はじっとりとこちらを見据える。

中央にある縦長の瞳孔がまるで獲物を値踏みするようで、鋭さと好色さが表れていた。

高温の熱を持って向けられていると、身体の芯が直接責められるようでどうにも疼く。


「そうだ♡♡♡腰、前後だけじゃなくて8の字に動かすのもいいですよ♡♡♡も~っとチンポがナカ、ごしごししてくれると思います……♡♡♡」


「ふ~っ♡♡♡あっ♡♡♡あぐっ♡♡♡」


 彼女はそのままさらなる動き方の提案をしてきた。

「ごしごし」という擬音がやたら頭に残り、すぐ従ってしまう。


 するとチンポの暴れには縦だけでなく横、斜めが加わり、より腸内の広範囲が擦られていく。

前へ移動させれば腹の裏側が横一閃にえぐるみたく愛撫され、後ろへ移動すると同様に背中側へなされた。

普段多い上下とまた違った刺激は新鮮で、慣れない故耐えることのできない快楽を生む。

しかも膣壁で肉棒の硬さや滾りがより強く認識でき、そのオスとしての優秀さに改めて惚れ惚れする。

ケツマンコで奉仕できることに、いくらかの悦びすら芽生えた。


「くひひっ♡♡♡さっきよりも~っとえっちな腰つきになりましたね♡♡♡はぁ……♡♡♡見てるだけでもすごく興奮しますよ♡♡♡」


 こちらの様子を見て、鈴香が興奮を露わにする。

呼応するようにナカのモノは脈打ち、振動を続けていた。


 実際、太白の少し肉づいた腰はさらにくねくねといやらしくうねり、劣情を貪りつつも見る者を誘う。

動作はスムーズかつねっとりしていて、他の場所では滑らかなのに、特に擦れる8の字の上端や下端では堪能しようとばかりに遅くなる。


「それにこの乳首♡♡♡薄ピンクでかわいいのに、おっきく勃起してていやらしいですね?♡♡♡」


「っ♡♡♡うるしゃいっ♡♡♡」


 そうしていると、彼女は両の人差し指と中指の先で、乳輪のふちを微細な力で掻き始めた。

もたらされる快楽は非常に少ない。

しかしずっと触られなくてもどかしかった突起は、付近が愛撫されて期待感を持ち徐々に疼きを貯めていく。

同じく突起の主も、先ほどした想像と相まって白指に弄ばれることを望む。


「ふンっ♡♡♡はっ♡♡♡はふっ♡♡♡」


 とはいえ、願いが簡単に叶えられるわけも無かった。

鈴香は早めたり遅くしたりしながら境目だけをひたすらなぞる。

さらに時折食い込ませ、奥にある乳腺を刺激して劣情を煽るだけ。

グラインドの際どうにか当てようとするも、的確にいなされ責められる場所は変わらない。

むしろ咎めるような視線を感じ、じれったさだけが募っていく。


「くる……♡♡♡くる……♡♡♡」


「ふぁっ♡♡♡はっ♡♡♡はやくっ♡♡♡」


「ひひひ……♡♡♡」


 擬音語を発しつつ動きは円を描くものに変化し、少しずつ少しずつ中央に近づいてくる。

すると意識はより雌芽に集中し、思わず胸元が反った。


 だというのに、あとほんの数ミリという所で折り返して離れていってしまう。

彼女の腹へついた腕で仄かな膨らみを寄せ、強調したとしても、チンポが反応こそすれ一向に円は狭まりきらない。

淫乱なおっぱいに、思考を支配する強い性衝動が渦を巻く。


「触って欲しいですか?♡♡♡」


「っ♡♡♡そんな、ことは……♡♡♡」


「じゃあ、やめちゃいますね♡♡♡」


「なっ♡♡♡」


 やがて尋ねられ、咄嗟に拒否をすると鈴香はあっさり手を引いた。

不満感を著しく滲ませながら劣情は薄れていく。


「ね、手、繋ぎましょうか♡♡♡太白サマのすけべな動き、もっと見せてください♡♡♡あとそうしたら太白サマももっと動きやすくなって、私のチンポふかぁ~く味わえますよ♡♡♡」


「う……♡♡♡……♡♡♡」


「ひひっ♡♡♡ありがとうございます♡♡♡」


 そして蠱惑的に囁かれつつ腕を伸ばされると逆らえなかった。

消えたかに思えた疼きは全て前立腺やナカへと集まり、再度強烈な衝動を生む。


 彼女の腹へ置いていた手のひらを手のひらに重ね、離れないよう互いに指を絡めて固めていく。

手の甲の三分の二以上を、自分より肌色っぽく、赤らんだ細長い五指が占める。

本来は恋人同士がする繋ぎ方なのに、牙が想起されなんとなく捕食されているような気分になった。


「あぁぁっ♡♡♡ふぐぅっ♡♡♡チンポっ……♡♡♡いいのじゃぁっ……♡♡♡」


 抽送を再開すると、姿勢を前傾しなくてもよくなったおかげでより自由に下腹部を振れる。

すると粘膜同士の摩擦度を増すことが出来、また当てたいところへチンポの好きな部分を当てられた。

基本は二つの円を描きつつも、時折カリや血管に自ら膣壁をしっかり押し付け、身体を持ち上げる。

結果高く傘のように返しがついた出っ張りは淫肉を舐り、著しく掻き毟っていく。

さらに「彼」も気持ちいいらしく、ご褒美のような熱く粘っこい汁をナカに噴き上げた。


「ふ~っ♡♡♡私のチンポでぼこっ、ぼこってなってる太白サマのお腹……♡♡♡それにせーえき搾り取ろうとしてくる腰……♡♡♡はぁ♡♡♡濃いの上がってきました♡♡♡♡」


 その持ち主は太白の肉体を視姦しつつ、次第に表情を熱に浮かされた物へと変化させている。

目も口もうっとりと緩やかに垂れ、汗ばんだ額や頬にいくつか白銀の髪が張り付く。

全体的に紅潮した艶肌へ、暁光を照り返して眩しく輝く毛髪が映え、美しい。

だが反面顔つきはただただすけべの一言であり、そうした美しさがかえっていやらしさを引き立てていた。

背徳的な姿に全身がぞわつく。


「わしもっ♡♡♡イっ……♡♡♡!♡♡♡はっ♡♡♡ちがうっ♡♡♡」


「くひひ……♡♡♡じゃあ私の射精を感じながらイきましょう?♡♡♡それまで耐えたらきっと、すごく気持ちいいですよ……♡♡♡」


「っ♡♡♡」


 なんとなく口をついて出てしまった言葉を否定していると、鈴香はひどく魅力的な提案をしてきた。

心とは裏腹にすっかり色ボケしきっている身体は、反射的にチンポをイかせにかかる。


 括約筋に力を入れて強く締め、竿や血管に纏わりつかせていく。

その様子はまるで食らいついたら離さないスッポンのようだ。

膣壁もぎゅっと抱き着いては小刻みに蠕動し、先っぽから根本までをぺろぺろと舐り回す。


「ふっ♡♡♡ふぅ゛っ♡♡♡ほっ♡♡♡」


 続けて全身は上下に激しくピストンを開始した。

溢れ出す混合液は結合部周辺に広がり、上下運動にやたら粘ついた音を与える。

さらに甘さと刺々しいオスの臭気が香り、交尾の最終局面を淫らに盛り上げていく。

二人の周囲には紫に近い桃色の霧が立ち込め湿っぽくした。


「あ~♡♡♡すごく気持ちいいです♡♡♡そろそろ出しますね……♡♡♡ふ~♡♡♡」


「っ♡♡♡こすれてっ♡♡♡♡」


 次第にチンポは余裕なくびくつき、よだれを絶えず垂らしだす。

しかも内部を巡る血液の量を増やして膨張し、腸内を穿つ。

するとより大きく出っ張ったカリや血管が膣肉を捕まえ、毟り取らんばかりに愛撫した。


 先にイかせようとしているのは太白なのに、メス殺しの性器は在るだけで強烈な快楽を与えてくる。

痙攣や我慢汁を吐き出す無意識の行動すら、予測の出来ない刺激となりケツマンコへの責めとなっていた。


 上半身をくねらせることでどうにか絶頂感を逃がし、同じ動作を続けるので精いっぱいだ。

だが対策していたとしても、少しずつ限界は近づいてくる。


「あ……♡♡♡出る……♡♡♡んっ♡♡♡♡は~っ♡♡♡♡」


「あぁっ……♡♡♡出てるのじゃぁ……♡♡♡♡うっ♡♡♡クるぅっ♡♡♡♡」


 その時、ようやくナカのモノは大きく拡縮を繰り返しつつ、ごぽりごぽりと塊のような精液を発射し始めた。

二度目、もしくは自慰をしていたためもっと回数がかさんでいるかもしれないが、相変わらず何日も溜めたように濃い。

そして勢いも強くて、先端が届かないさらに奥までかかってこびりつく。

加えて一度の脈動で大量に吐き出され、狭まった腸内は徐々に満たされていき、糸引くほどの粘りを持つ。


 オスの生殖液を受け止めるのは、ひどく嬉しかった。

本来感じるべきでない女の悦びに、身体は溜めこんでいた法悦も巻きこんで一気に深いアクメへと落ちていく。


「きっ♡♡♡きたぁ……♡♡♡♡とけるっ♡♡♡とけるぅっ♡♡♡♡ィっ――♡♡♡♡♡」


 おぞましいほどの多幸感に浸され太白は、いつもの彼であれば決して出さない震えた声を出しながら頂点を迎える。

どうにかイかないよう力を込めていた箇所は脱力し、代わりに温かな心地好さが満たした。

重たくてまどろみに似たそれによって、身体はくにゃくにゃになりやがて鈴香の柔らかい胸へと倒れ伏す。

湿っぽい火照りと柔らかさに抱かれると、しあわせはより強く深くまで感じられた。





「しょっ……♡♡」


「ふあ……?♡♡♡」


 メスイキの余韻に浸りながらハリのある肉体に寝そべっていると、鈴香は伸ばした手で尻を、腕であばらから背中にかけてを抱えてくる。

そのまま彼女はゆっくり九十度上体を起こした。

当然くっついていた太白の身体も地面と垂直になる。

チンポが揺れ、ナカが捏ねられて気持ちいい。


 続けて鈴香は足を動かす。


「ふっ♡♡♡」


「んぉ゛っ♡♡♡」


 そして、膝立ちになった。

地面という支えを失った身体は、代わりにチンポと臀部を持つ手へ体重をかける。

結果挿入深度が相当に増し、いつもより少し奥に先端が当たった。

しかも互いの腰は、溶け合ってしまいそうなほどべっとり密着していく。


 だがそれでも不安定で、落下の危機を感じた太白は思わず四肢をオスの首や豊かな腰へ絡みつけた。

そのせいで意図せず、より密着度の高い体位となる。

こうしていると、汗をかきやすい胸の谷間から出た甘いフェロモンを直に嗅がされる。

発情が深まった尻穴はひくつき、粘々した弾力のある液体が糸を引きながら垂れていった。


「よいしょっ♡♡♡」


「んぅ゛ぅっ♡♡♡♡」


 もう一度鈴香の身体が大きく揺れる。

先ほどの行動から考えて、完全に立ち上がったのだろう。

埋めていた頭を動かして下を見れば、いつの間にか自分は相当高い所にいる。

最早足はつきそうにない。


 なんとか抗議するため、彼女へと視線を移す。


「くひひっ♡♡♡」


「うっ……♡♡♡」


 すると想像以上に顔が近くて驚き、射精前より著しくぎらついた表情に気圧される。

目には「これからは私が犯してやる」という意思がありありと表れていた。


 まぶたが今までより大きく開かれ、影が差した瞳から送られてくる嗜虐的な眼光は全身を貫くようだ。

神である自分が恐ろしいとさえ感じるほどなのに、しかし重ねた目線を逸らすことが出来ない。

それは、この後行われるだろう欲望を無遠慮にぶつけられる交尾を、浅ましくも期待してしまっているからだ。

肛門が、ナカが、ねだるようにときめいている。


「ちゅっ♡♡♡」


「んむっ♡♡♡」


 太白の求めとは裏腹に、まずされたのは優しいキスだった。

長い情事によって温かく火照り、仄かに湿った唇は柔らかく吸い付いてくる。

意外ではあったが、甘い心地に心がふやけ、溺れていく。


「んぇ♡♡♡じゅる♡♡♡じゅぞ♡♡♡」


「んぁっ♡♡♡んふぅっ♡♡♡ふーっ♡♡♡」


 だが、すぐに愛撫は一変した。

舌が侵入すると同時に口中の粘膜が無遠慮に舐り回され、擦りたくられる。

頬やベロへ密着し、こちらの反応など意に介さずごしごしとやするように蠢く。

動きは粘膜を人の粘膜に押し付けて刺激し、自分勝手に快楽を貪るためのものだ。

滅茶苦茶に暴れ回る舌に、自分は肉でしか無いと言われているようで、背筋に暗い悦びが迸る。


「んっ♡♡♡むふ~っ♡♡♡んっ♡♡♡」


「お゛っ♡♡♡おひっ♡♡♡はへぇっ♡♡♡」


 そうして顎が完全に脱力させられると、チンポも動き始めた。

ピストンはねちっこく腸壁を味わう緩慢さであり、どろっとした液体に塗れた性感帯が摩擦し合うのを堪能させられる。

ひだを熱く滾った幹が脈動しつつかき分け、分厚いカリが下品な男のように厭らしく舐めていく。

上で行われている舌交尾に酷似した感覚で、こちらもまた身勝手な肉棒扱きに特化していた。


 しかしどちらも彼女に著しく開発されており、ただ物みたいに使われるだけでも持ち主は相当ヨがってしまう。

実際彼のアナルからは精液と混じった濃い色の愛液が絶えず垂れ落ち、身体は蠱惑的な甘ったるいフェロモンを絶えず放出する。

乱暴な責めもあって、ともすれば小屋に充満する交尾臭は騎乗位の時よりひどい。


「ふっ♡♡♡ふっ♡♡♡んぇ~っ♡♡♡」


「あ゛っ♡♡♡♡ひっ♡♡♡ひぅっ♡♡♡♡」


 口付けと抽送は、長く長く続く。

その間鈴香には一切の疲れも見られず、体勢も全く崩れない。

太白はそんな姿に、頼り甲斐があって屈強なオスらしさを感じてしまっていた。

反面華奢でされるがままの自分には、弱弱しく愛らしい愛玩動物のようなメスらしさを。


「ひひっ♡♡♡」


 結果彼は甘えるようにより彼女へとしがみつき、同じく膣壁でもオスマラへしがみついた。

加えて表情も眉が八の字になり目尻が落ちた、卑猥なものへと変化していく。

聞こえてくる上機嫌そうな笑い声に、被虐心と奉仕欲が悦んで脳内麻薬を生んだ。

メスイキに似て幸せが強い感覚は、頭をふしだらに惚けさせていく。


「ふんっ♡♡♡んれぇ~♡♡♡♡ふんっ♡♡♡」


「お゛ほぉっ♡♡♡♡ほひっ♡♡♡♡ほぉ゛~っ♡♡♡♡」


 そうして痴態を晒す女狐に興奮を深めたのか、雄猫は腰の動きを荒くする。

すると今までは結合部から水っぽく鳴るだけだった音に、濡れた肌が打ち合うやや高い音が重なり始めた。

しかも尻を抱えていた手は指を食い込ませ、強欲そうな手つきで形が変わりそうなほど揉み込む。

激しい動作は奥にある性感帯を揺らし、刺激して、さらなる心地好さをもたらす。


 先ほどとはまた違ったけだもの交尾に、あっさりと絶頂は近づいてきていた。

好みとして植え付けられた敗北マゾアクメに、慣れた肉体は真っすぐ向かっていく。


「くひひっ♡♡♡」


「っ♡♡♡んぐっ♡♡♡ふぁぁっ♡♡♡」


 そんな太白を至近距離で視姦してくる目。

イきそうなことが分かっているのだろう。大きく開かれており、あられもない姿を爛々と輝く瞳に焼き付けようとしている。

縦長の瞳孔が恐ろしくも、「イけ」という意思があまりに熱烈で劣情がそそられた。


 恥ずかしいのが好きなはしたないメスには、たまらない目だ。

微かにあった理性は吹き飛ばされ、全身が襲い来るものを受け容れていく。


「んっ♡♡♡ィっ♡♡♡――♡♡♡♡」


 ぞわ、と無理矢理産毛が逆立たせられる感覚の後、揺り戻しのように重たく幸せな世界へと沈み込んだ。

身体の奥底から生まれた心地よさは、爪先から頭の天辺までを包みやたらと長引く。

永遠にも思えるほど、まるで絶頂感が萎えていかない。

こうして物のように抱えられながらするアクメは、慣れないながらも甘ったるい悦びがあった。





「ふぁっ♡♡♡ゆれっ♡♡♡」


「くひひっ♡♡♡」


 少しして、太白が柔らかな胸に顔を埋めつついくらか呼吸を整えると、強くはないが確実にナカを苛む振動が起こる。

周囲を見るに、鈴香が小屋の外へ向かってゆっくり歩き始めたのだ。


 絶えず互いの身体が動くことでチンポは腸壁、特に奥深い所を捏ねるように擦っていく。

接地した時の衝撃が結合部から脳天へと突き抜け、メスに汚濁した喘ぎを出させる。

単なる歩行であるのに気持ちよくされているという事実は、さらなる被虐感を与えてきた。

もしかしたら落ちてしまうかもしれないスリルも、背筋にぞくぞくしたものを走らせる。


「歩いてるだけで感じちゃってる太白サマ、かわいい……♡♡♡」


「っ♡♡♡」


 狐耳の近くで密やかになじられると、思わず喉を鳴らしてしまう。

しかも湿っぽい息が生えている毛をこそばゆく刺激し、頭を蕩かした。

下半身から来るもどかしさと相まって、また激しいのが欲しくなっていく。

だが顔を見られるのが恥ずかしくて、再度胸の中に納まる。

蒸れやすい場所故、鼻から入ってくる空気は相当甘酸っぱい。


「しょっ♡♡♡」


「くぁっ♡♡♡」


 すると突然視界が緋色に明るくなり、そして先ほどまでよりひときわ強い衝撃に突き上げられた。

身体が自然に仰け反ると、雲一つない夕焼け空が目に入る。

太白は、裸で交尾したまま屋外に連れ出されてしまったのだ。

自分達しかこの空間に居ないと分かっていても、裸体と痴態を晒すことへの恥じらいが湧く。


 しかし鈴香は歩みを止めない。


「うぅっ……♡♡♡まてっ♡♡♡とまるのじゃっ♡♡♡」


「……♡♡♡」


 視線を向け抗議をするが、聞く耳を持たないどころか顔も合わせず進んでいく。

嫌に下卑た、愉しげな表情を浮かべる彼女。

その肌は汗ばんで暁光を強く照り返し、自らが持つ艶を誇示している。

しかも特に頬の辺りがしっとりと紅潮し、美しさの中で生々しい色香があった。

漂ってくる酸味の強い体臭もあり、清楚風な見た目にそぐわない荒々しい欲望を感じる。


 見惚れていればいつの間にか、先ほどまでいた小屋とはかなり距離が出来、鬱蒼とした木々に囲まれていた。

見えない場所があまりに多くて、無いはずの視線がどうにも気になってしまう。

ちくちくと全身の神経が刺されるようで、敏感さを増していく。


「お゛ッ♡♡♡あっ♡♡♡っ……♡♡♡くぅっ……♡♡♡」


「ひひ……♡♡♡」


 すると、少し激しいピストンが開始された。

太白の体重を利用しつつ、奥を重点的に虐める動きだ。

しかし鈴香の腰も堂に入っており、抜く時は抜く時で腸壁が粘っこく掻き毟られていく。

こんな体位は殆ど経験が無いはずなのに、的確にメスを使うオスらしさがひどく素敵に見えてしまった。

手足はさらに抱き着きを強め、膣口がひくひくと嬉しそうに痙攣する。


 そうした愛撫で一度大きく喘いだが、すぐ屋外であることに気づいてこらえた。

喉の奥からは呻くみたいな、甘えるみたいな音が鳴る。

だがその「自分たち以外にも誰かが居る」場合の行動は、彼に周囲の目や存在をより意識させていく。


「声出すのが嫌なら、こうして優しくさわさわしてあげます……♡♡♡このままあま~く気持ちよくなりましょうね……♡♡♡」


「ふぁぁ……♡♡♡」


 少しの間我慢を続けていると、動きは甘ったるい物へ変化した。

抽送が緩くなりつつ、両の乳輪が何かふわふわとした毛がついたもので責められだしたのだ。

円を描くように、付着した汚れをはらうように、むず痒い感触が与えられる。

一度頂点を味わわないままおあずけを食らったそこは、今度こそイかせてもらえるのかと沸き立つ。

感覚を鋭敏にし、多少の刺激でもなるべく気持ちよくなろうとする。


「私の尻尾、気持ちいいですか……?♡♡♡成長した今なら、こうして太白サマのおっぱいも気持ちよくしてあげられます……♡♡♡」


「はーっ♡♡♡はーっ♡♡♡うっ……♡♡♡」


 囁きながらこちらを覗き込んでくる鈴香は、先ほどとは打って変わり優しげで淫蕩な目つきだった。

まぶたと眉毛はうっとりと垂れ落ち、僅かに笑みが浮かんでいる。

そして茶色い瞳は潤み、ひどく情熱的に思えた。


 これもさらなる堕落へと誘うためのものに過ぎないと分かっているのに、惚けた頭は好意だと信じようとする。

身体だけでなく心までも、彼女に明け渡そうとしてしまう。


 結果太白は、体勢によって行動が制限されている中胸以外を逸らして胸を強調した。

本当に欲しい突起への接触を、触りやすいようにしてねだる。


「ひひひ……♡♡♡さっきお預けにしちゃった分、ちゃんとイかせてあげますね……♡♡♡」


「っ♡♡♡ふッ♡♡♡」


 応じるようにまず、左右の乳首先端が柔らかな体毛だけを使ってむず痒く弄られていく。

前立腺やナカを突かれるのとはまた違う、切なくこそばゆい、まだ少し物足りない快楽が広がった。

低い頻度でくるちくりとした強い感触が、かえって蕾の勃起を促す。

あまり激しくはないため嬌声を上げることは無いが、いちいち息がひくついた。


「ふぅッ♡♡♡ひっ♡♡♡」


 続けて乳輪と同時に側面をなぞられ、甘く痺れる心地が生まれる。

だがまだ愛撫は毛先で掃くようであり、敏感な性感帯ではあるものの絶頂へ昇りきるようなものではない。

むしろ焦らしによって、その絶頂による快楽を何倍にも深め強めるみたいな動作だ。

もどかしさと、反対に期待も湧く。


「太白サマのえっちな息、かわいい……♡♡♡私の胸に包まれて、周りに聞こえないようにしちゃいましょう?♡♡♡私にだけい~っぱい聞かせてください……♡♡♡」


「あ……♡♡♡んむっ♡♡♡!♡♡♡ッ♡♡♡」


 囁きは脳をふやかし、理性をふやかして太白の事を欲望に忠実なメスへと変える。

彼は言葉に従い、目の前にある慎ましくも柔らかそうな乳房へと再び顔を埋めた。

多量の発汗で湿った肌が吸い付いては、べっとりと密着してきてかなり暑い。

しかしそれによって濃密なフェロモンがより放出され、すけべな事に対する抵抗力を下げてくる。

思わず安心してしまい、外へ漏れ出す声は徐々に大きくなっていく。


 しかも乳頭と同時にささやかだが膣穴まで責められており、二つの法悦が重なって相当に気持ちいい。


「それじゃ、そろそろおっぱいでイきましょうか……♡♡♡」


「ふあっ……♡♡♡」


「今度は先っぽの毛だけじゃなくて、尻尾でいっぱい弄ってあげますね……♡♡♡」


「ふーっ♡♡♡ふーっ♡♡♡んっ♡♡♡んぁぁっ♡♡♡」


 そしてようやく、胸の突起が指に似た硬さと柔軟さを持つもので触られ始めた。

まずは先っぽの平たい所だけを、素早く何度も何度も引っ掻かれていく。

動作の緩さに反して与えられる快感は凄まじくて、悩ましい息遣いだったものが「喘ぎ」へと徐々に変わる。

恥ずかしいから、目立ちたくないから耐えなければならないのに、乳首刺激が甘ったるすぎて上手くできない。

また、嬌声を出した方が明らかに快楽が大きかった。


「くひひっ♡♡♡私の胸で塞がれてますし、いっぱい声、出しちゃいませんか?♡♡♡きっと誰にも聞こえませんよ?♡♡♡周りには誰も居ませんし……♡♡♡」


「っ♡♡♡あっ♡♡♡ふぅっ♡♡♡んんっ♡♡♡あひっ♡♡♡」


 耳元で発される大義名分に、太白は喉から少しずつ大きくいやらしい音を響かせる。

すると増加する頂点への速度に、取り返しがつかなくなっていく。

おっぱいアクメは、あっさりとすぐ近くまで来ていた。


「はぅっ♡♡♡んっ♡♡♡クるっ♡♡♡ぅっ♡♡♡んひっ♡♡♡」


 尻尾が突起を荒っぽく捏ね回すようになり、身体の痙攣が絶えずどこかで起こる。

愛撫は執拗で、同時に遠慮がない。

一気にイかせるための動きだ。

鈴香へ絡めている手足が跳ね、腹筋が波打ち、腰がびくつく。

さらにアナルは開閉を繰り返してナカの、より泡立って濁った本気汁と精液の混合物を垂らした。


「イく時はなんにも考えず喘いじゃいましょうね~♡♡♡思う存分気持ちよくなっちゃいましょう♡♡♡そのために私のところまで来たんですから……♡♡♡」


 言葉は思考へ浸透し、自分の意思として定着していく。

あれほど拒んでいたはずなのに、理由すら最早思い出せない。

それだけ今は、絶頂することだけが全てになっていた。


「イっ♡♡♡イくっ♡♡♡イくのじゃぁっ♡♡♡あぁぁっ♡♡♡♡イくぅっ♡♡♡♡♡」


 最後に乳頭と乳輪を平らにするみたく滅茶苦茶に両方の蕾が責められ、腹の底に溜まっていたものが全身へ滲み出していく。

それは重く圧迫感があって、強烈な気怠い幸せをもたらす。

しかも心身共に受け容れているからか、身体の芯まで含めた全ての場所が心地好い。

魂が歓喜に震えている。

太白は肉欲に塗れる素晴らしさを感じながら、流れていく時間を過ごした。


「ひひっ♡♡♡」


「あっ♡♡♡あっ♡♡♡」


 やがてメスイキが引き始めると、間髪入れずに鈴香は強いピストンを再開する。

チンポの動きは互いが激しく気持ちよくなるためのものであり、ねちっこく素早い。

腸壁を絡め取って抜き、みっちりと押し付けながら突く。

そんな膣泣かせの抽送を、よりにもよって短い間隔で続けられれば、下がっていくはずだった快楽は再び上昇する。


「太白サマぁ……♡♡♡恥ずかしくてかわいい声、いっぱい出しちゃいましたね?♡♡♡」


「なっ♡♡♡お主がっ♡♡♡ふぁぁぁっ♡♡♡♡」


 さらに、下卑た声色でなじってくる彼女。

やや冷静さを取り戻した頭で意図を理解し顔へ目を向ければ、あれほど優しげだった表情から一転、厭らしい笑みが浮かんでいた。

可憐な桃色で楚々とした唇は助平親父さながらに歪み、倒錯した美を生み出す。

下品に端が釣り上がっておよそ美しいとは思えないはずなのに、嗜虐的で、劣情に塗れていて、粘ついた願望を表すみたいでマゾ女の部分が悦んでしまう。

これからたっぷりと性欲をぶつけて「もらえる」のだ、と。


「ほら、太白サマが大きな声を出したせいで、すっごく見られちゃってますよ?♡♡♡」


「そんなっ♡♡♡わけっ♡♡♡お゛っ♡♡♡♡」


「ほら、また♡♡♡あの人たちは外で何してるんだろうって、沢山の人から見られてます……♡♡♡」


 続く言葉で無いはずの視線を感じさせられ、高まった羞恥で弱くなったナカ、そして乳首が虐められる。

周囲を見回して嘘であることを確認しようとするが、身体は言う事を聞いてくれない。

出来るのは、ただただ痙攣し快楽に溺れきった痴態を晒すだけ。

しかも嬌声を出すことに慣れてしまい、最早止めることはできなかった。


 鬱蒼と木々が茂る森の中に、粘度の高い水音と肌が打ち合う音、メス声とオスの荒い息遣いが響いている。

また、男であれば誰でも嗅いだ事のある磯臭さと、情事を経験した女であれば嗅ぐ濃厚な甘酸っぱい香りも漂う。


「いいんですか?♡♡♡神サマなのにこんなことして♡♡♡しかも男の子なのに、こんな体勢でチンポ突っ込まれてあんあん喘いじゃって……♡♡♡」


「んぉ゛っ♡♡♡それもおぬしがっ♡♡♡♡ひゃぅっ♡♡♡またっ♡♡♡♡キてっ……♡♡♡」


「ひひっ♡♡♡このままイったら犯されてるんじゃなくて悦んでるってバレちゃいますよ~?♡♡♡いいんですか~?♡♡♡」


「っっ♡♡♡♡いやっ♡♡♡♡いやじゃぁっ♡♡♡んぃ゛っ♡♡♡」


 こうして喘ぐのは他でもない鈴香に勧められたはずであるが、彼女はとにかくそれをする太白だけを揶揄してきた。

しかし息が引き攣り反論さえ許されず、ただいいように弄ばれることしかできない。

そして、衆目など無いという事実は恥じらいと法悦に隠され、幻想であるはずの鋭い目線が肌に刺さる。

すると肉体は際限なく興奮を昂らせ、どんどんと自らを追い詰めていく。

まるで心までも深い堕落の底へと連れていくみたいに。


「んぁぁっ♡♡♡これっ♡♡♡グるっ♡♡♡だめなのじゃっ♡♡♡でもっ♡♡♡♡」


「嫌がってないで、負けることを受け容れちゃいましょう?♡♡♡そうだ、私もそろそろイきたくなってきたし、精液、奥に注いであげますよ……?♡♡♡」


「ふぁっ♡♡♡そんなっ♡♡♡お゛ひっ♡♡♡♡たえられぬっ♡♡♡♡ふぅッ♡♡♡」


「中出しされてイくとこ見せつけるの、きっとすごく気持ちいいですよ?♡♡♡自分がデカチンポでどれだけ幸せになってるか、どれだけメスなのか、みんなに見せつけちゃいましょう♡♡♡」


「……♡♡♡♡あ……♡♡♡イく……♡♡♡♡イくぅ……♡♡♡♡」


「くひひっ♡♡♡」


 耳元で囁かれると、遂に彼は全身の力を抜き身を任せてしまった。

気持ちよくなりたいという欲望が、理性を上回ってしまったのだ。

オスに自分を委ねると、身体の奥底にある熱いものが際限なく肥大化していくのが分かる。


 さらにチンポが射精を間近に控えて痙攣を増やし、膨らんで我慢汁を垂れ流すのも伝わってきた。


 中出しへの期待に、限界が目と鼻の先まで近づく。


「じゃあ、太白サマ♡♡♡」


「はっ♡♡♡♡はっ♡♡♡♡」


「イけ……♡♡♡♡」


「っ♡♡♡♡――♡♡♡♡♡」


 そして、命令をきっかけにして太白は濃厚なアクメへと至った。

アクメの多幸感と言いなりになる幸せが重なり、肉体が溶けだすような心地に包まれていく。


 続けてデカマラによる精液の放出も始まる。

膨大で莫大な熱が女性器を満たしていき、甘く焼き尽くす。


 そんな状態において、彼は周囲の目が有るとか無いとかはどうでもよかった。

全てがどうでもよくなるほど、絶頂は気持ちが良かったのだ。

また一つ、魂にメスである悦びが刻まれていく。







「くひひ♡♡♡太白サマがえっちさせてくれたおかげで、だいぶ使った力が戻ってきました♡♡♡」


「ふぅ♡♡ふん、そうか……♡♡」


 互いに絶頂から帰ってくると、鈴香は同じ体位で繋がったまま得意げに話し始めた。

快楽が相当に強かったのもあって、劣情が発散されきり、太白はかなり冷静さを取り戻している。


「というか、しばらく休んだのもあってむしろ前より強くなってるかもしれません♡♡♡」


「くっ……♡」


「なのでそろそろ、この空間から出してもらいたいんですよね~♡♡♡」


「なっ……♡♡」


 これまでの激しい発情故想定できていなかった事を言われ、思わず驚く。

元々夏祭りが終われば、万に一つも彼女に会いに行かないよう自分自身を拘束する予定だったが、言う通りにすればそれもできなくなってしまう。

今朝がた呼んだ魔術師の集団も、彼らより鈴香が力をつけてしまえば無意味だ。


「それは出来ぬっ……♡♡お主をまた解放するなどっ……♡♡」


「じゃあこのままえっちし続けましょうかっ♡♡♡ふっ♡♡♡」


「んぁっ♡♡♡はっ♡♡♡はひっ♡♡♡」


 拒否をすると、また抽送が開始される。

たったそれだけで無くなったはずの劣情はぶり返し、身体が快楽に溺れようとする。


 だが今ここで情事を続けると、明日に支障をきたしかねない。

それどころか長引けば遅刻、最悪欠席ということもあり得る。

もしかすれば優しい村人たちは、祭りそっちのけで自分を探そうとするかもしれない。

しかしそうなると、わざわざこの空間に入った意味も無くなってしまう。

元々夏祭りをつつがなく行うため、ここに来たのだ。


「ひひっ♡♡♡気持ちいいですか~?♡♡♡この後大事な予定があるんですよね?♡♡♡でも、私はまだまだ何回でもできますよ♡♡♡」


「お゛っ♡♡♡おひっ♡♡♡はげしっ♡♡♡んぅぅっ♡♡♡♡」


 次第に激しさを増していくピストン。

結合部から鳴り響く、精液による粘ついた音は交尾欲を引きずり出し、太白もその気にさせていく。

このまま少しでも続けていれば、本当に取り返しがつかなくなってしまう。

早く、早く決断しないといけない。


「わっ♡♡♡わかったっ♡♡♡分かったからやめよっ♡♡♡ん゛ぉっ♡♡♡♡」


「わ、ほんとですか?♡♡♡よかった~♡♡♡これでいつでもえっちできますね♡♡♡」


「は~っ♡♡♡は~っ♡♡♡うぅ……♡♡くそ……♡♡」


 要求を呑むと、先ほどまでの激しさが嘘みたいにすぐ責めは止まった。

すっかりその気になってしまった肉体から、不快な疼きが滲むのを感じる。


「――――」


「くひひっ♡♡ありがとうございます♡♡♡」


「う、うむ……んっ♡♡♡」


 そして元の空間への扉を開くと、繋がったまま鈴香は歩き出す。

結局彼女の思惑通りになってしまったことへ、深い後悔の念が生じる。

暗い感情から逃げるように、身体は振動による快楽へ集中した。

さらに太白自身も、少しずつ、メスの快楽に溺れ始めていた。

魂に生まれた黒い濁りは、白をゆっくりと、だが確実に染め上げていく。



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